第629回 『コップクラフト』最終回と写真とOP


 『コップクラフト』最終回のダビング終了後、岩崎琢さんが「写真撮ろう!」ということでこうなりました。そもそも写真を撮ることはまったくない俺は、アニメ誌などのインタビュー取材の時も「写真なしなら」と条件を出すくらい。もちろん自分以外のメインスタッフが顔出しする場合は拒みませんが。まず人前に出すようにはできていません、板垣の容姿は。ここ何十年(?)もプライベートで写真を撮ったことがないくらいです。できるだけ跡形もなく死んでいきたいと思ってます。で、何かしら作品が残ってくれたらなあと。前にも言ったとおり、作品づくりは一期一会。自分にとってのスタッフさんやキャストさん、そしてその相手から見た自分との関係も一旦はその作品限り。だからこそ作ってる期間の一瞬一瞬を一所懸命に生きてるのです。で、最近は気づくと作り終わってて、さして余韻に浸る間もなく次の作品へ。

今回も例外なく、来週から次の作品のコンテに入ります!
まだタイトルは言えませんが!

 ま、そんなわけでOPの話の続き。

C-21 このカットもコンテのタイミングを基にCGカーにマトバの作画を載せてます。原画・板垣、作監・木村。
C-22 ビルをツンツン潰す女の指。なんででしょう? 結構早い時期に思いついた画です。『コップクラフト』のタイトルを聞いて思い浮かんだワードが”ペーパークラフト”で、自分は子どもの頃、紙工作が大好きでした。ラフ原を自分が描いて、社内の若手が清書。
C-23 ここのカーチェイスのバック、壊れていくビルもペーパークラフトなイメージ。実は煙とビルと空をそれぞれ円形に描いて、3〜4センチずつ回転させただけのアイデアカット。こちらもカーチェイスをCGで作った後、板垣が原画を載せました。
C-24 ティラナの変身! 木野下(澄江)さんの原画に木村作監。原作者・賀東招二さんいわく「ティラナの変身シーンのイメージは『宇宙刑事ギャバン』Aパートでの蒸着のイメージ」とのこと。「ギャバン」はAパートで変身する場合、軽くビワァン! と一瞬なんですよね(本チャンの蒸着シーンはBパートに取っておく的な意味で)!
C-25 サンテレサに広がる無数のパトライト。ネオン風クレジットを重ねて。天狗工房さんの撮影ONLYカット。
C-26 ティラナの手を引っ張り上げるマトバ。ラフ原は板垣、二原をキーアニメーターの吉田智祐くん。ま、もともと強引奈なカットです(汗)。
C-27 はとりあえず劇場版『ゴルゴ——

 てとこでまた途中ですみません(汗)!

【アニメスタイルの書籍】アニメーター・村田峻治による車輌デザイン集を刊行!

 この秋、アニメスタイルでは、アニメーターの村田峻治が手掛けた車輌デザイン画を集めた書籍を刊行する。書名は「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」だ。

 村田峻治はいくつもの作品で、自動車、バイク、戦車といった車両のデザインを担当している。彼がデザインした車輌はリアリティがあり、アニメーションのデザインとしても非常に優れたものだ。
 本書籍はそういった車輌デザインを収録した画集である。

 収録作品は『逮捕しちゃうぞ』『ああっ女神さまっ』『エクスドライバー』『GetBackers-奪還屋-』。巻末には収録作品でもある『逮捕しちゃうぞ』シリーズ等の原作者である藤島康介と村田峻治による対談を収録している。アニメファンには勿論のこと、車輌の画を描く人にも手に取ってほしい一冊だ。

 本書籍の判型はA4、総ページ数は152ページ。Amazon、「アニメスタイル ONLINE SHOP」、イベントでの販売が中心となる。書店での販売はごく一部の店舗のみとなる予定だ。

■村田峻治 プロフィール
アニメーター、デザイナー。亜細亜堂、スタジオジブリ等を経てフリー。代表作に『逮捕しちゃうぞ』シリーズのメカニックデザイン、劇場版『機動警察パトレイバー』原画、『GUIN SAGA』のキャラクターデザイン・総作画監督、『BATMAN GOTHAM KNIGHT』「Field Test」のキャラクターデザイン他など。

■書籍概要
書名/「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」
編集/アニメスタイル編集部
発売日/11月30日(土)
サイズ・ページ数/A4、本文152ページ
発行/株式会社スタイル

●関連リンク
アニメスタイル ONLINE SHOP
http://animestyle.jp/shop/

Amazon
https://amzn.to/2pusZlW

第166回 10年を支えた力 〜FAIRYTAIL〜

 腹巻猫です。まもなく終了する「高畑勲展」(東京国立近代美術館)にようやく足を運びました。展示資料の物量に圧倒されます。『風の谷のナウシカ』の音楽イメージを記したメモや、『太陽の王子ホルスの大冒険』の大量のメモ、資料、譜面、『セロ弾きのゴーシュ』の音楽設計を記したノートなど、興味深いものばかり。図録に載ってない資料があるので、もう一度行きたい。10月6日まで。まだの方はお見逃しなく。


 2019年9月29日、TVアニメ『FAIRYTAIL』ファイナルシリーズ(第3期)の放送が最終回を迎えた。
 『FAIRYTAIL』は、真島ヒロが「週刊少年マガジン」(講談社)に連載した同名マンガを原作にしたファンタジーアニメである。TVアニメは2009年10月にスタート。それから、足かけ10年にわたって(中断を挟みながら)放映されてきた。ファイナルシリーズは原作の最終話までを描くシリーズで、これで物語は完結。10年間見続けてきたファンにとっても感慨深い最終回になった。
 長期にわたるTVアニメシリーズでは、途中でメインスタッフやキャストが変更になる場合もあるが、本作は監督の石平信司、シリーズ構成・脚本の十川誠志、音響監督のはたしょう二、音楽の高梨康治らのメインスタッフとメインキャストは変更がなく、番組の雰囲気は一貫している。第1期第1話からファイナルシリーズ最終話まで、全328話がほぼ理想的な形で作られたTVアニメだった。
 筆者にとっても、本作は思い出に残る作品である。第1期からずっと、サウンドトラック・アルバムの構成を担当させていただいたからだ。今回は、『FAIRYTAIL』の音楽の魅力とサントラの聴きどころについて語ってみたい。

 『FAIRYTAIL』の音楽を担当したのは高梨康治。『ゲゲゲの鬼太郎[第6期]』(2018〜)や『ゾンビランドサガ』(2018)、『BORUTO -NARUTO NEXT GENERATIONS-』(2017〜)等の音楽を手がける、アニメ音楽では超売れっ子の作曲家の1人だ。
 高梨康治の音楽的原点はロックである。それもヘビーメタル。という話は、当コラムでも一度書いたことがある(『ハートキャッチプリキュア!』の回)。
『FAIRYTAIL』の音楽もその例にもれず、ロックサウンドを基調に作られている。
 『FAIRYTAIL』は魔法を操る魔導士たちを主人公にした作品である。魔法使いのギルド「フェアリーテイル(妖精の尻尾)」に属するナツ、ルーシー、グレイ、エルザたちが、魔法の力を駆使してさまざまな事件に挑む、冒険ファンタジーアクションとも呼ぶべき作品。ファンタジーであれば、「ハリー・ポッター」シリーズのようにクラシカルでシンフォニックな音楽がつきそうなところに、ロックを持ってきたところがユニークだ。
 筆者が聞いたところによれば、高梨康治とは旧知の音楽ディレクターが本作の音楽制作にかかわっていて、その人物から声がかかったのだという。原作を読んだ高梨康治の頭に、すぐに音楽のイメージが浮かんできた。それはケルト音楽とロックを融合したケルティックメタル。ファンタジーの世界にふさわしい、斬新なロックサウンドだった。
 高梨康治とケルト音楽との出逢いは、『FAIRYTAIL』の少し前に手がけたTVアニメ『こんにちはアン Before Green Gables』(2009)にさかのぼる。世界名作劇場の第26作として制作された本作で、高梨は舞台となるプリンスエドワード島の空気感を表現するためにケルト音楽を採用(カナダ東部にはヨーロッパからの移民が伝えたケルト音楽が盛んな地域がある)。本物のフィドルやアイリッシュフルート、ティン・ホイッスルなどを用いて音楽を制作した。その経験が『FAIRYTAIL』の音楽作りに生かされている。『FAIRYTAIL』の音楽録音には、『こんにちはアン』のミュージシャンも何人か参加しているのだ。
 『FAIRYTAIL』の音楽を代表する曲といえば、「FAIRY TAIL メインテーマ」だ。弦が奏でる印象的なリフから始まり、アップテンポのリズムに乗って、ストリングスによるゆったりしたメロディが展開する。リズムは激しいのに、曲の印象は悠々としていて、どこか懐かしい。高梨康治は細かい音楽発注が来る前にこの曲の原型を書き上げ、スタッフにデモを聴かせて自分のやりたいことを納得させたという。
 『FAIRYTAIL』の初期の音楽は、このメインテーマのバリエーションとメインキャラクターそれぞれのテーマ、のどかな日常描写曲、魔法発動の曲、そして勢いのあるアクション曲などが中心になっている。
 特に力が入っているのがアクション曲で、竜の力を持つ滅竜魔導士ナツのバトル曲「ドラゴンスレイヤー」、魔法の鎧を操る女魔導士エルザのバトル曲「エルザのテーマ」、氷の魔導士グレイのバトル曲「氷刃舞う」など、燃える名曲が多数作られた(いずれもオリジナル・サウンドトラック1枚目に収録)。
 高梨康治は『FAIRYTAIL』と同時期にプリキュアシリーズの音楽も手がけている。キラキラ感とヘビーメタルを合体させたプリキュアの音楽を作る一方で、ダークな味わいもあるパワフルな『FAIRYTAIL』の音楽を作っていたのが、なかなか面白い。
 第1期から10年にわたって作られてきた『FAIRYTAIL』の音楽には、ケルティックメタル以外にもいくつかの特徴がある。
 ひとつは、楽曲に年々、新しい要素が加わって進化していること。初期はケルトの香りが強いが、追加録音では強力な敵魔導士の登場に合わせて、金属がぶつかり合うようなサウンドを盛り込んだ、重厚で緊迫感に富んだ楽曲を制作。高梨康治はこれを「インダストリアルメタル」と呼んでいた。サントラ2枚目に収録した「邪悪の槌音」「魔道の挑戦者」などがそれである。
 また、さらなる追加録音ではプログレ風の曲やデジロック風の曲などを導入。物語の展開に合わせて、音楽に変化をつけている。同時に繊細な情感を表現するシリアスな心情曲が増えてきた。サントラ盤を1枚目、2枚目、3枚目と続けて聴いていくと、その変化の過程がわかって興味深い。
 第2の特徴は、音楽を演奏するミュージシャンがほとんど変わってないこと。一般的なアニメのBGMでは、録音の都度、スタジオミュージシャンが集められるため、同じシリーズでも演奏家が変わることが多い。しかし、『FAIRY TAIL』では高梨康治を中心に、10年間、ほぼ固定したメンバーで録音が行われている。
 もともと、高梨康治はロックバンド出身の音楽家で、自身もプレイヤー(キーボード奏者)である。アニメの音楽制作でも、おなじみのメンバーを集めて、バンドのアルバムを録音するようなノリでレコーディングを進めているのだ。そのため、サウンドに統一感が出るとともに、バンドとしてのまとまりと成長が音楽にも反映し、『FAIRYTAIL』の音楽を演奏・サウンドの面で進化させている。
 『FAIRYTAIL』の第2期、3期では、第1期に作られた音楽をアレンジ、もしくはリメイクした曲がいくつか作られている。新旧の録音を聴き比べると、サウンドがより先鋭化し、深みが増しているのがわかる。同じメンバーでひとつの作品に取り組み続けているからこその味わいが感じられるのだ。

 さて、本作のために作られた音楽は第1期だけで200曲以上(劇場版を除く)。サウンドトラック・アルバムはポニーキャニオンから「FAIRY TAIL ORIGINAL SOUNDTRACK」VOL.1〜VOL.4の4タイトルが発売された。そのうち、VOL.4だけは2枚組なので、CD枚数にして5枚分がリリースされたことになる。それでも、全曲は収録されていない。
 実はサウンドトラック・アルバムを構成するとき、高梨康治の希望もあり、これまでと違う作り方をした。ストーリーに沿った選曲・曲順をやめ、音楽重視で、ロックのアルバムのような構成を試みたのだ。
 そのため、のんびりした日常曲やコミカルな曲をはずし、アップテンポのノリのよい曲を中心に選曲した。曲順も、一気にヒートアップする曲から始め、最後も盛り上がる曲で締める、コンサートのセットリストのような並びを意識している。参考にするために、名盤と呼ばれるロックのアルバムを何枚か聴いたりした。筆者にとっても勉強になった仕事である。
 およそ1年の中断をはさんで2014年4月からスタートした第2期では、アニメーション制作のスタッフが一部変わり、サウンドトラック盤の発売元もポニーキャニオンからエイベックス・エンタテインメントに変更になっている。しかし、サントラ盤の構成は引き続き、筆者が担当させていただいた。メーカーをまたがって同じ作品のサントラを作らせていただくのは、なかなかない経験で、大変ありがたかった。
 第2期では、第1期のメインテーマのテイストを受け継ぎながら異なるメロディを持つ新たなメインテーマ「FAIRY TAIL メインテーマ 2014」が作られている。
 そのメインテーマのバリエーションを中心に、メインキャラクターのテーマ、バトル曲、日常曲、心情曲、その他のストーリーに必要な曲を盛り込んだ音楽設計は、第1期と同様。追加録音と合わせて総曲数は100曲余りになる。激しいバトル曲や怪獣映画音楽的なドラゴンの曲があるいっぽうで、胸にじんわりと沁みる泣けるバラード曲が充実しているのが特徴だ。第2期のサントラ盤「FAIRY TAIL ORIGINAL SOUND COLLECTION」および「同VOL.2」(いずれも2枚組)に収録した「星霜の雫」「エルザの道」「想い出のフェアリーテイル」などは、物語を思い出しながら聴くと落涙必至の名曲である。
 第2期以降の音楽は、サントラ盤の発売元が変わったため、基本的に新作で用意されている。いわば、仕切り直しての新規制作になったわけだが、音楽の方向性はまったくブレていない。ケルトの香りがするロック・サウンドである。これも驚くべきことだ。
 いや、同じ作曲家と同じ演奏メンバーで作られているのだから、驚くことではないかもしれない。けれど、他にもたくさんの仕事をこなしながら、『FAIRYTAIL』の音楽を作るときには、そのサウンドが再現できるのは、本作の音楽イメージがしっかりと確立され、ミュージシャンの中にも染み込んでいるからだろう。
 10年間にわたって音楽的進化と変化を遂げてきても、『FAIRYTAIL』の音楽のコアはまったく変わってない。だからこそ、ファンはシリーズが変わっても違和感なく『FAIRYTAIL』の世界に入っていけるし、第1期からファイナルシリーズまでをひとつの作品として楽しむことができる。『FAIRYTAIL』の音楽は、『宇宙戦艦ヤマト』や『スター・ウォーズ』の音楽のように、音楽の一片を聴いただけで「あ、『FAIRYTAIL』だ」と思わせるくらい、作品の象徴になっている。アニメ音楽史に残る作品として聴き継がれ、演奏され続けていくに違いない。
 音響監督のはたしょう二は、最初に作られた「FAIRY TAIL メインテーマ」のメロディをフィイナルシリーズまで大切に使い続けている。ファイナルシリーズ終盤のクライマックスで「FAIRY TAIL メインテーマ」が流れてくる場面。「これは反則だよ」と思いながらも、胸の奥から熱いものがこみ上げてきて、どうしようもなかった。アニメ『FAIRYTAIL』を観続けてきたファンなら同じ思いを抱いたのではないか。10年にわたって作品を支え続けてきた音楽の力である。

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アニメ様の『タイトル未定』
223 アニメ様日記 2019年9月1日(日)

2019年9月1日(日)
去年も9月1日にも書いたけど、今年も書く。「なんてこった。この空域には、今まで撃墜した数と同じくらいの戦艦がいる!」。ここまでも忙しかったけど、今年の残り4ヶ月はさらに忙しくなのだ。
暗いうちから散歩。久しぶりに公園でラジオ体操。ラジオ体操も毎日やらないといけないなあ。昼からトークイベント「第161回アニメスタイルイベント 『エウレカセブン』を語ろう!」を開催。充実したイベントになった。「家族の絆のハンバーグセット」はアニメスタイルイベントの特別メニューとしては傑作だと思う。池袋に戻ってから、ワイフとポケモンGOのレックウザのレイドに。

2019年9月2日(月)
暗いうちから散歩。午後にワイフと、グランドシネマサンシャインで『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』を観る。賑やかで、ひたすら楽しい映画。アニメ『うる星やつら』の正統進化形といえるかもしれない。キャラクターデザインの菊田幸一さんが猛烈に沢山仕事をしているように見えたけど、多分、間違ってない。映画以外はデスクワーク。例によって原稿以外の作業が多い。
9月1日放映分の『サザエさん』を観る。田中秀幸さんのマスオ役としては2回目。田中さんはおそらく増岡弘さんの芝居をなぞろうとはしておらず、それそれでよいと思う。ひょっとしたら、今は台本が増岡弘さんの芝居を前提にした言い回しになっており、喋りづらいところがあるのかもしれない。いずれ作る側も観る側も慣れるだろう。

2019年9月3日(火)
暗いうちから散歩。その後は、デスクワーク。早く片づけなくては、と思っていた作業をふたつクリアした。午後は打ち合わせ3本立てのはずが、3本目がなくなったので、自宅に戻って昼風呂。事務所スタッフは「馬越嘉彦 原画展」の準備の追い込み。

2019年9月4日(水)
暗いうちから散歩。そして、ラジオ体操。午前中は取材原稿のまとめ。タイマーをかけて30分作業して、また30分の繰り返し。午後はササユリカフェの「馬越嘉彦 原画展」の設営を見にいく(設営作業はスタイルのスタッフが担当)。事務所に戻ってデスクワーク。

2019年9月5日(木)
早朝の散歩はお休み。午前中から、シネフィルWOWOWの「世界がふり向くアニメ術」の撮影。前回の『銀河鉄道の夜』の解説が杉井ギサブロー監督に好評だったそうで、それはよかった。今回も地方在住の編集者さんに同行してもらった。その後、事務所に戻って打ち合わせ。来年春に出す予定の書籍の、全体のページ構成・第一弾ができてしまった。急げば年末に刊行できてしまう。いや、そういうわけにはいかないのだけど。

2019年9月6日(金)
暗いうちから散歩。高田馬場まで行って戻る。11時45分からの回で、ワイフと「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をグランドシネマサンシャインの【IMAXレーザーGT字幕版】で鑑賞。予告も入れると3時間近くの上映時間だが、長いとは思わなかった。ストーリーだけ取り出すと、多分、面白くはないのだけど、映画としては面白い。ある人からLINEで「吉田玲子脚本作品のお薦め」を訊かれて、嬉々としてタイトルを次々に送る。

2019年9月7日(土)
暗いうちから散歩。大塚から巣鴨まで行って、池袋に戻った。いつもの公園でラジオ体操。事務所に戻って、来週以降の仕事の整理。高血圧関係で病院。昼寝。午後はまた事務所に。夕方、今度開店する一人焼肉の店のプレオープンにワイフと行ってみた。値段は通常の焼肉屋よりも定食屋寄り。土曜日っぽい一日って感じ。
ちまちまとiPhoneのKindleで読んでいた推理小説を読了。 「すごいドンデン返し」があると知っていて、それで読み始めたので、だいたいどんな仕掛けかは分かってしまった。要するに叙述トリックだろうと思って読んだら、やっぱり叙述トリックだった。それが分かっていても面白かったけれど。

第628回 オープニングの話の途中

 『コップクラフト』オープニングのカット解説の続き。Youtubeに上がっているコンテ撮ムービーと照らし合わせつつ読んでください。

■TVアニメ『コップクラフト』オープニングコンテムービー

C-6 メインタイトル。前カットでブチ抜かれたラッカーが転がり込んで跳ねるラフ原までは自分。で、そのラフ原で社内の若手にニ原(清書)を頼みました。モブのシルエットはCG。あ、思い出した! モブシルエットのラスト、逃げる犯人っぽいヤツがいますが、最初の思いつきでは「OP内犯人探し」とか考えてコンテを切り始めて、途中で放り投げたのでした。

C-7 コンテをベースにCGムービーを組んでもらい、その上から自分で原画を描いて、木村(博美)さん作監。スタッフテロップをネオン風に、は最初から考えてました。

C-8 ティラナのチャンバラ、その1。木野下澄江さんのラフ原を自分が作監修正でアクションを増やしました。すみません。木野下さんとは、俺が脚本・コンテ・演出・作監で参加した『この醜くも美しい世界』7話以来だから、10数年ぶりに原画を描いていただけて大変嬉しかったです、感謝!!

C-9 トニー&ゴドノフ以下、サンテレサ市警・特別風紀班の面々。ここらもネオンテロップいっぱいに。このカットは俺のコンテを直にレイアウトとして使っての木村による直原画です。ま、このカットに限らずレイアウトは半数以上板垣のコンテ画をそのまま拡大して使用しています。

C-10 大ウソ望遠の信号機たくさん。これも自分のコンテをそのままレイアウトとして使用、演出の播磨(優)くんに指示書きをしてもらい背景へ。このくらいのカットは原画行程を通しません。

C-11 #01のみで登場したチンピラA、B、C。しっかり設定化されてたので使いました。原画は社内のホープ、小林大地くんで作監は木村さん。

C-12 キャミー&ジェミーの縦PAN↑。木野下原画の木村作監。

C-13 #07のみで登場、ゾーイ。駆けてきてパチリ! ちなみに本編でもゾーイが手にしているカメラは村田蓮爾先生の持ち物と同じもの。村田先生もはいつもこのカメラを持ち歩いていました。自分も含め、スタッフが直に手に持たせていただき、参考写真も撮らせてもらいました。ありがたいです! OP冒頭と本編マトバの愛車1号(#06まで)のミニ・クーパーも原作者・賀東招二さんの実物を見せていただき、こちらも写真をたくさん撮りまくらせてもらえました。

C-14 #03より、エルバジ対ティラナのアナザーバージョン。ラフ原・木野下に作監修正・板垣。

C-15 巨大都市から大きなストロークのT.B。一応BGとBOOK分けの指示を播磨にお任せ! でネオン風テロップ。

C-16 ややうつ気味ティラナに、ややテンション高めにやってくるマトバ(新車で!)。これも自分のコンテを下敷きに社内の新人に原画を描いてもらい、木村作監でフィニッシュ!

C-17 で、やや高テンションなマトバのサムズアップ! 100%木村原画。板垣のコンテプランよりも木村自身のマトバに引き戻してくれてます、さすが!

C-18 突如傍らに着弾(?)で、間一髪跳びのくティラナ。これも自分の大ラフに社内新人原画、そして木村作監。

C-19 あちらこちらに銃を持った黒い人。自分のコンテ(レイアウト)に今シーズンで社内に入っていただいた助っ人・岡正信さん原画。銃の描き込みがありがたし!

C-20 ティラナの着せ替えカット。「こういう可愛いカットは木野下さんに」と。そして木村作監。個人史的には『ベン・トー』の著莪あやめOP(#04のみで使用)でも似たことをやったような?

というとこで残りは次回、すみません(汗)。

アニメ様の『タイトル未定』
222 アニメ様日記 2019年8月25日(日)

2019年8月25日(日)
日付が変わったあたりで事務所に。暗いうちに散歩。新宿あたりをウロウロ。久しぶりにラジオ体操。身体がなまっていた。その後、原稿作業と原稿以外の作業。長い1日だった。

2019年8月26日(月)
一日、デスクワーク。取材の予習で『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア5GoGo!』を観る。今観ると『ふたりはプリキュア Splash Star』もいい。『Yes!プリキュア5GoGo!』4話「うららの台本を届けろ!」と18話「みんなに届け! うららの歌声」は本放映時も「スペシャル回」の印象だった。うららはスタッフに愛されているなあ、とも思った。

2019年8月27日(火)
暗いうちから散歩。午前中は取材の予習で色々と観る。「プリキュアの凄いファン」こと祥太さんに作ってもらったリストが役になった。打ち合わせを挟んで、14時半から「この人に話を聞きたい」で、大塚隆史さんの取材。最初は喫茶店で始めて、撮影を挟んで、その喫茶店の個室で取材の続き。自分的には達成感のあるインタビューだった。編集部スタッフと食事をして、自分は少し歩いてから事務所に。
話は前後するが、近所の古本屋が移転したことを知る。20年くらい前はその店で色々と買っていたが、最近は店に入る回数も減っていた。これで池袋東口に昔風の古本屋はなくなったはず。

2019年8月28日(水)
暗いうちから散歩。打ち合わせ、編集作業、オールナイトの準備、イベントの準備などで、僕も事務所スタッフも大わらわ(事務所スタッフは通販作業もあり)。

2019年8月29日(木)
暗いうちから散歩。朝のツイートをして、メールなどを書いてから、ワイフと博多に向かう。新幹線の中で原稿を書いたり、仕事のメールを書いたり。博多到着は15時半くらい。ホテルに荷物を置いて、居酒屋の二◯加屋長介で食事。店は僕の好みにあわせてワイフが選んでくれた。その後、ワイフの希望で中州を歩く。

2019年8月30日(金)
暗いうちから博多を散歩。ホテルから海まで行って戻る。その後、ワイフと舞鶴公園と大濠公園まで散歩。午前中に福岡市美術館の「富野由悠季の世界」に。展示物はかなりのボリューム。見どころは富野さんの子供の頃、あるいは学生時代の作品と関連物だろうか。僕的な見どころは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の絵コンテだった。音声解説はキャラクターの掛け合いだったけれど、ノリが不思議な感じだった。ある意味、そのノリは富野監督的。 「富野由悠季の世界」で(正確には「富野由悠季の世界」の外で)上映されていた『しあわせの王子』だが、ワイフは小学校の給食の時間に何度か観たことがあるそうだ。王子の像から剥がした金箔が何故か正方形になっているところが印象的だったそうで、上映されていたものも金箔が正方形だったので、間違いないだろうとのこと。
福岡市美術館では他の展示も見た。「コレクションハイライト2 1945 年以降の現代美術」で、アンディ・ウォーホルの作品があったのだけど、サイズが大きくて、そのことで驚いた。アンディ・ウォーホルの作品は書籍で何度か見ていたが、サイズは想像したことがなかった。博多駅のすぐ近くで飲んで、新幹線で東京に。一度、事務所に入ってから帰宅。

2019年8月31日(土)
暗いうちから散歩。午前中はメールなど。昼に軽く休むつもりが、夕方まで寝てしまう。事務所にきたアニメスタイル卒業生(今は業界の方)と世間話と食事。その後、デスクワーク。ワイフは「富野由悠季の世界」の影響で、昼は『∀ガンダム』の楽曲を聴いていて、夜は配信で『∀ガンダム』を1話から観ていた。

第627回 コンテと原画と板垣

 前回解説したとおり、”コンテ描きたがり板垣”のルーツはやはり出崎統監督のコンテにあります。もっとド直球に

コンテが描きたくて(切りたくて)アニメを始めたし、出崎アニメ以外のアニメがなくなっても俺は全然困らない(こちらはややオーバー)!

とも言えます。そのくらい「コンテ」と言えば「さきまくら」、「アニメ」とは俺にとっての「出崎統」なのです(意味不明)!
 そんな構えでテレコム・アニメーションフィルムに入ったものだから、もうアウェー感が半端なかった新人時代。そりゃあ「止め! 劇画! ケレン味!」な出崎アニメ狂が、真逆の大塚康生さんや古くは宮崎駿さんらを中心に「動かせるアニメーターを」と育成を標榜したアニメ会社に入社して、「出崎! 出崎!」と連呼するわけだから、周りの先輩方からは「お前誰に何を習いに来たんだ?」「テレコムに来て出崎アニメ作る気か?」とよく攻撃されましたよ! ほぼ隠れキリシタン状態です。そのテレコム時代に板垣が「好きなアニメ」として挙げていたのが

『あしたのジョー』『宝島』を始めとする
出崎アニメと『未来少年コナン』!

でした。自分としては出崎作品と宮崎作品が並ぶのはごく自然なのですが、当時の先輩方からは奇異の目で見られていたんです、なぜか。
 もうお分かりでしょう? 俺の作画方面は小田部羊一先生から大塚・友永テレコムの、昔の言い方ではいわゆる”東映派”で、コンテ・演出方面は出崎監督に代表される”虫プロ派”の映像主義の両輪で成り立っているということが。動きに関しては大塚・友永両師匠よりたくさん教わって、コンテ(カット割り)は独学。ただ『キャプテン翼』(2002年版)の時、杉井ギサブロー監督(東映出身の虫プロ派)より、

アニメーター出身とはいえ演出家になったんだから、動き(作画)以外の”演出”で作る見せ場を考えるといいですよ!

との教えがあり、そこは常に意識するクセがつきました。よって今回の『コップクラフト』に限らずアニメの現場では大抵はつきまとう「1話あたりのカット数・動画枚数制限」内にちゃんと収まるコンテを上げるようにしています。
 で、もちろん『コップクラフト』のオープニングも例外ではありません。そして、枚数を使うトコと止めるトコ、作画と演出のメリハリがいつものテーマ。以下、カット内容についてザッ! と。カットナンバーはコンテムービーを確認してみてください。

C-1A〜2Bの4カットはベタな割り。特に新しいことをやってるつもりはありません。
C-3 夜景の横PAN→。なんとなくエンディングとリンクする感じとか。
C-4 ミニ・クーパーのキーを回す位置、コンテの画が間違ってます。
C-5 車庫から発進するミニ・クーパー。BG(背景)は2枚の置き換え。カット尻で撃ち抜かれるのは、メインタイトルのグラフィティーに使用したであろうラッカー。ラフ原は自分。
C-6 メインタイトル。

 てとこで、いつもの時間切れ。

アニメ様の『タイトル未定』
221 アニメ様日記 2019年8月18日(日)

2019年8月18日(日)
早朝に新文芸坐に。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol.118 『この世界の片隅に』三度目の夏」のラストを見届ける。昼間は大物の原稿を進めるつもりが、なかなか進まず。原稿以外の作業に切り替える。作業をしながら「臨死!! 江古田ちゃん スペシャルロングVer.」を1話から観る。16時にワイフと神田の五の五へ。吉松さんと打ち合わせを兼ねて飲む。
急に思いついて、神田からの帰りに大塚で降りて、水baに寄る。水baは足を冷たい水に浸して、お酒などを楽しむことができるスポットだ。楽しいし、快適。しかも、僕らが行った時は空いていた。ワイフも大喜び。

2019年8月19日(月)
暗いうちから散歩。昼間はデスクワーク。色々進めたけれど、もっと進めなくては。夕方にジムで少し運動。だけど、もっと運動したい感じだ。「臨死!! 江古田ちゃん スペシャルロングVer.」を最終話まで観た。ある仕事でプロフィールがほしいと言われたので書いてみた。

■プロフィール
アニメ雑誌編集者。アニメ雑誌で30年以上、活動するライター&編集者。雑誌「アニメスタイル」編集長であり、アニメの企画・脚本やイベントの企画なども手がける「アニメのなんでも屋」。株式会社スタイル取締役社長。主な仕事に『少女革命ウテナ』(プランニング)、『機動戦艦ナデシコ』(劇中アニメ設定)、『ケモノヅメ』(企画協力・文芸・脚本)、『【俗・】さよなら絶望先生』(シリーズ構成・脚色)、また、「美少女戦士セーラームーンR メモリアルアルバム」(編集・構成)、『新世紀エヴァンゲリオン』LD(ジャケット編集)、「時をかける少女 絵コンテ・細田守」(発行・編集)、「磯光雄 ANIMATION WORKS」(発行・企画)、「この人に話を聞きたい」(著書)等がある。1964年5月1日生まれ。埼玉県出身。

2019年8月20日(火)
暗いうちから散歩。その後はずっとデスクワーク。少し原稿の調子が出てきた。打ち合わせもした。イベント準備もあり、大忙し。

2019年8月21日(水)
暗いうちから散歩。午後にあるプロダクションで打ち合わせ。他はデスクワーク。録画で、アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ男たち~」を観た。原作、TVシリーズ、『LUPIN THE IIIRD』にスポットを当てた構成。僕的には『LUPIN THE IIIRD』の部分に新事実が多かった。

2019年8月22日(木)
例によって暗いうちから散歩。ワイフと午前11時に池袋マルイの「今 敏 メモリアルイベント」に。開店前に行列が出来ていてびっくり。上映会とトークショーに参加する(グッズを購入したお客さんが先着で参加券をもらえる)お客さんだったらしい。作業に関しては、例によって片づけなくてはいけないことが山積み。予定外の急ぎの作業も。夕方、ジムに行ってクロストレーナーを40分。
確認することがあって、杉井ギサブロー監督版の『グスコーブドリの伝記』を視聴。公開時は『銀河鉄道の夜』と比べてしまったけれど、比べないで観たほうがよさそうだ。

2019年8月23日(金)
早朝の散歩はおやすみ。Blu-rayで『MIND GAME』を視聴する。画面が驚くくらいに鮮明。今まで(DVDと上映で)画面がモワッとした印象だったシーンも、パキッとした感じに。床屋に行ってから「世界がふり向くアニメ術」の取材でSTUDIO4゚Cに。田中栄子さんと対談になるかもしれなかったのだけど、普通にインタビューするかたちとなった。取材の帰りに、松屋銀座の「アニメ化30周年記念企画 ちびまる子ちゃん展」に。湯浅政明さんの担当カットも含めて、展示物が豊富だった。

2019年8月24日(土)
暗いうちから散歩。昼間はデスクワークで、原稿以外の作業。取材の予習で『Yes!プリキュア5』1話から再視聴開始。始まり方がナチュラルだなあ(運命の人とかスーパー生徒会長がいたりするけど)。午後に昼寝。21時から、ワイフとグランドシネマサンシャインで「ダンケルク」【IMAXレーザー/GTテクノロジー字幕版】を鑑賞。スクリーンで観たのは三度目のはずだけど、一番よかった。そのシーンに自分が立ち合っている感じが素晴らしい。晩飯を食べた後、事務所に。

第165回 音楽ギャグでイェイ! 〜ジュエルペット サンシャイン〜

 腹巻猫です。いよいよ今週末になりました。「渡辺宙明トークライブ Part13〜『スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全』出版記念!〜」、9月22日(日)13時より阿佐ヶ谷ロフトAにて開催です。会場では、書籍『スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全』(辰巳出版)のほか、渡辺宙明の新曲を収録したミニアルバム「SFX巨人伝説ライン 30th Anniversary Song」と映画音楽デビュー作を収録したアルバム「渡辺宙明 新東宝映画作品集」も販売します。前売り券はe+にて発売中。ぜひ、ご来場ください!

渡辺宙明トークライブ Part13
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/126944


 サンリオのYouTubeチャンネルで、6月からTVアニメ「ジュエルペット」シリーズ全話が順次公開されている。シリーズ放映開始から10周年を迎えたことを記念したものだ。6月にTVアニメ第1作『ジュエルペット』(2009)が、7月末に第2作『ジュエルペット てぃんくる☆』(2010)が、9月からは第3作『ジュエルペット サンシャイン』(2011)が、配信を始めた。
 TVアニメ「ジュエルペット」シリーズは、サンリオの動物キャラクター・ジュエルペットを主人公にした作品である。ジュエルペットは瞳にルビー、サファイア、ガーネットなどの宝石を持つふしぎな動物。魔法の国ジュエルランドに住み、魔法学校で魔法を学んでいるという設定だ。
 1年間放映されるTVアニメ「ジュエルペット」シリーズには、毎年、同じジュエルペットたちが登場する。デザインも声優も基本的に同じ。しかし、ストーリーや設定はシリーズごとに異なり、シリーズ間のつながりはない。ジュエルペットの性格も、少しずつ異なっている。そのおかげで、各シリーズの個性がはっきりしているのが特徴だ。
 筆者はサウンドトラック・アルバムの仕事をしたので、『ジュエルペット てぃんくる☆』と『ジュエルペット サンシャイン』はリアルタイムに全話視聴した。土曜日の朝放映されている、子ども向けの愛らしいキャラクターのアニメである。仕事でなければ、観なかったかもしれない。しかし、キッズ向けアニメとあなどっていたら、『ジュエルペット てぃんくる☆』では、夢を追う少年少女たちの熱いドラマに感動させられた(シリーズ構成とメイン脚本は島田満)。続いて始まったのが、『ジュエルペット サンシャイン』だ。これにはぶっ飛んだ。
 『ジュエルペット サンシャイン』はとんでもないアニメだった。前作の感動ストーリーから一転、パロディやブラックなギャグが満載の破天荒な作品になって、「こんなに変わっていいのか?」ととまどったものである。それは音楽演出においても同様だった。

 YouTubeで『ジュエルペット サンシャイン』が全話公開されて、筆者が真っ先にチェックしたのが、第25話「雨にうたえばイェイッ!」。劇中でジュエルペットの女の子ガーネットとアイドル・ディアンが手をつないで街中を走る場面にザ・ビートルズ「ハード・デイズ・ナイト」が流れる(実写劇場作品「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」のパロディ)。女優志望のガーネットがオーディションに臨む場面は実写劇場作品「フラッシュダンス」の名場面の完コピで、流れる音楽はもちろんアイリーン・キャラの「ホワット・ア・フィーリング」。……というのは放映版で、DVD版では似た感じの別の音楽に差し替えられている。放映とパッケージでは音楽使用料の扱いが異なることによる措置である。配信版はどちらか……? と思いながら観たが、残念ながら音楽が差し替わったパッケージ版だった。予想はしていたが、ちょっとがっかり。
 第25話に限らず、本作には既成のヒット曲を使ったパロディシーンがたくさんある。第7話の「アルマゲドン」のパロディ(エアロスミス「ミス・ア・シング」)、第35話の「卒業」のパロディ(サイモン&ガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」)などのほか、日本のTV番組のテーマ曲や寺尾聰のヒット曲「ルビーの指環」を使ったシーンも登場する。いずれもパッケージ版では差し替えられていて、放映版の面白さが伝わらないのが惜しい(CS放送等では差し替えなしで放送されている)。
 しかし、そんなことを抜きにしても、本作には音楽込みで笑える名シーンが多い。音楽がからむギャグというと、名曲を使ったパロディ以外にも、シリアスなシーンにコミカルな音楽を流し(あるいはその逆の組み合わせで)異化効果をねらったものや、悲しい場面や怖い場面に大げさな曲を流して一種のパロディにしてしまうものなど、さまざまな手法がある。変わった音色の楽器やコミカルなリズムを使って音楽自体をユーモラスに仕上げるケースもある。
 『ジュエルペット サンシャイン』の場合、音楽にも多少コミカルな要素はあるが、シーン自体が突拍子もないところに音楽が追い打ちをかけるケースが多い印象である。不条理ギャグ回とも呼べる第7話「サンクスジュエルデーにイェイッ!」や第36話の前半「ジュゲムペットでウヒョイッ!」などはその典型だ。また、全編が劇中ミュージカルになった第34話「ミュージカルだよ!イェイッ!」は、歌あり踊りありギャグありの、本作の魅力が詰まったエピソード。どの回を観ても、面白くするためには音楽ひとつにも手を抜かないスタッフのこだわりが伝わってくる。

 本作の音楽を手がけたのは『ガールズ&パンツァー』『ああっ女神さまっ』などで知られる浜口史郎。『ジュエルペット』『ジュエルペット てぃんくる☆』『ジュエルペット サンシャイン』の音楽を続けて担当している。
 浜口史郎といえば、オーケストラを巧みに使ったスケール感豊かな音楽やポップで品のよい楽曲が持ち味の作曲家。けれど、「ジュエルペット」シリーズの音楽はひと味違う。生音は控えめで、打ち込み中心のキラキラしたサウンドで統一されている。宝石を瞳に宿すジュエルペットらしい音楽だ。女の子を中心にしたキッズ向けアニメとしても、カラフルで鮮やかな音色はぐっと心をつかむ要素になったはずである。
 アニメ「ジュエルペット」がシリーズごとに違った設定と物語を持っているのに合わせて、音楽もそれぞれ異なっている。たとえば、どのシリーズにも舞台となるジュエルランドのテーマや主人公のジュエルペット・ルビーのテーマなど同じ主題の曲があるのだが、浜口史郎はシリーズごとに違う曲を書いている。名前は同じでも違う世界、違うキャラクターという認識なのだ。他のシリーズものとは異なるユニークな点である。並べて聴いてみるのも面白い。
 内容はそうとう型破りな『ジュエルペット サンシャイン』であるが、音楽は比較的オーソドックスである。音楽発注時には、ここまで振り切れたアニメになるとは誰も予想していなかったのではないか。
 本作の音楽は、「ジュエルペット サンシャイン はっぴぃ×3ミュージック」のタイトルで2011年7月に日本コロムビアから発売された。タイトルの「はっぴぃ×3」は「はっぴぃ はっぴぃ はっぴぃ」と読む。これは、1作目、2作目のサントラ盤のタイトルがそれぞれ、「ジュエルペット はっぴぃ♪ミュージック」「ジュエルペット てぃんくる☆ はっぴぃ☆はっぴぃミュージック」であったのに倣ったもの。次作『ジュエルペット きら☆デコッ!』(2012)からは音楽担当が浜口史郎でなくなり、サントラ盤も発売されなくなったので、この趣向は継承されなかった。
 サントラ盤収録曲は以下のとおり。

  1. ジュエルペットサンシャインのテーマ
  2. GO! GO! サンシャイン(TVサイズ)(歌:五條真由美)
  3. 宝石の国ジュエルランド
  4. サブタイトル
  5. サンシャイン学園
  6. ルビーと仲間たち
  7. 花音のテーマ
  8. イルカ先生がやってきた
  9. ミラクルチャーム☆ジュエルフラッシュ!
  10. 3年ウメ組おちこぼれ組
  11. お気楽で行こうイェイッ!
  12. 花音の恋心
  13. たゆたう想い
  14. ルビーのやさしさ
  15. ラブラとエンジェラ
  16. ハイテンションでイェイッ!
  17. ペリドットとひなた
  18. ペリドット☆ジュエルフラッシュ!
  19. 青空のメッセージ
  20. 学園生活
  21. おしゃれなガーネット
  22. あこがれのダイアナ
  23. あの子は人気者
  24. ガーネット☆ジュエルフラッシュ!
  25. ジュエルランドの休日
  26. のんびり脱力系
  27. ゆかいな仲間
  28. イケメン組登場
  29. ほのかな恋
  30. ワニ山のテーマ
  31. ネジ川のテーマ
  32. 謎を追うルビー
  33. 晶子のテーマ
  34. スピード勝負!
  35. 友情のジュエル
  36. 夕日に向かってイェイッ!
  37. 星空のジュエリーナ
  38. 困ったルームメイト
  39. ヤバイ展開!?
  40. 大ピンチ
  41. 力を合わせて
  42. ピュアなハートで
  43. 恋は魔法
  44. サンシャインな日々
  45. 花音のキモチ
  46. 夢を追いかけて
  47. 明日もドキドキだよイェイッ!
  48. イマドキ乙女(TVサイズ)(歌:増山加弥乃&望月美寿々)

TVサイズのオープニング&エンディングテーマを含む全48トラック。
 構成は筆者が担当した。
 チャンスがあれば、もう一度作りたいサントラである。というのも、サントラを制作したのは5月末から6月初旬にかけて。番組はようやく7話か8話が放送された頃だった。そのときは、ここまでぶっ飛んだ作品になるとは予想してなかったのだ(7話まででも、十分とんでもないエピソードがあるのだが)。前作『ジュエルペット てぃんくる☆』の余韻が残っていたこともあり、前作よりも元気でコミカルな作品……でも、最後はいい話で終わる……というイメージで選曲・構成したことを覚えている。
 本作の音楽は第1回録音で約80曲が作られていた。選曲段階で落とした曲が30曲近くある。シリーズが半分くらい進んだ時期に取りかかっていたら、もう少しコミカルな曲や不穏な曲、ハイテンションの曲を入れたのになあ……。曲順と曲タイトルも、もうひと工夫していただろう。
 しかし、これはこれで、ジュエルペットらしい曲が詰まったアルバムである。
 1曲目の「ジュエルペットサンシャインのテーマ」はタイトルどおりメインテーマとして書かれた曲で(MナンバーはM1)、ジュエルペットの世界のキラキラしたイメージ、わくわく感を伝えるナンバーだ。
 オープニング主題歌「GO! GO! サンシャイン」を挟んで、「宝石の国ジュエルランド」はファンタスティックで穏やかなジュエルランドのテーマ。番組の冒頭によく流れていた曲で、皆口裕子のナレーションが聞こえてくるようだ。
 「ルビーと仲間たち」「花音のテーマ」は本作らしい楽曲で、可愛らしさを残しつつ、ちょっとずれたコミカルさをかもし出している。
 トラック8の「イルカ先生がやってきた」は第1話のイルカ先生登場場面に流れた曲。オルガンとエレキギターをメインにしたロックンロール調で、スラップスティックなギャグシーンを彩った。
 筆者が(今にして)気に入ってるのは、トラック30の「ワニ山のテーマ」。パーカッションを多用したエスニック風味の曲で、コミカルさと不穏なイメージが共存する。後半に入ってサックスのソロが登場するところが笑える。本作のイメージを伝えるユニークな曲である。その次の「ネジ川のテーマ」も一風変わった曲調で面白い。こういう、「おかしいんだか不思議なんだかわからないが、なんとなく変」という曲が『ジュエルペット サンシャイン』に一番合っている気がする。
 アルバム終盤は、大事件発生〜力を合わせて解決〜エピローグ、というイメージで構成したのだが、今なら、もうひとひねりした締めくくり方を考えると思う。でも、最終話はけっこう感動的な終わり方なので、あながちはずれてもいなかった。

 前作の『ジュエルペット てぃんくる☆』は、2013年にBD-BOXが発売されたときに、同梱の「完全版サウンドトラック」(全BGMを収録したCD2枚組)を構成させていただく機会があった。しかし、『ジュエルペット サンシャイン』は放送当時サントラCD1枚が発売されたのみで、多数の未収録曲が残っている。番組後半に登場する怪盗M-Kageの曲など、追加BGMとおぼしき曲もある。
 今回の全話配信を機に、完全版サウンドトラックを出してもらいたいなあ。既成のヒット曲の収録は無理としても、パッケージ版で代わりに使われたBGMやミュージカル回の曲、最終話の合唱版主題歌も網羅して。筆者の中で、本作は「21世紀以降の面白かったアニメ」上位にランクインする思い出深い作品。音楽ともども、埋もれさせておくには惜しい名作である。

ジュエルペット サンシャイン はっぴぃ×3ミュージック
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ジュエルペット てぃんくる☆ はっぴぃ☆はっぴぃミュージック
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ジュエルペット はっぴぃ♪ミュージック
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第626回 またOPコンテムービー

ポニーキャニオン様の公式に『コップクラフト』のオープニング・コンテムービーを上げていただきました!

■TVアニメ『コップクラフト』オープニングコンテムービー

 ここ何作かはコンテ自体をStoryboard Proで描いてたりするので、コンテ撮ムービーは簡単にできます。ってか動きを確認しながらカットを割ってる感じですから常に。  絵コンテ——今まで何回もこの連載で語ってきたこの絵コンテというヤツに憧れてアニメ業界に入ったのが板垣です。中学3年生の頃「月刊アニメージュ」で初めて目にした出崎統監督の絵コンテのショック! 出崎監督特集で紹介されていた、たった1ページの『あしたのジョー2』のコンテに理由も分からず「凄えっ!!」と感動し、「出崎アニメのカッコよさのすべてがここにある! 自分もこんなコンテを描いて『ジョー2』のようなアニメを作りたい!」と。出発点はそれ。小・中・高とマンガを描いてたけど、カリカリとペン入れをしてペタペタとホワイトで修正する繰り返しの作業に、なんとなく面白味を感じなくなった俺の目の前に、”アニメーターにイメージを与えるラフが画の連なり”に将来の希望を見たのです。その時見た「アニメージュ」の特集で、出崎監督のコメントに「(アニメをやって)初めて描いた動画が動いた時も面白いと思ったけど、バイトで初めてコンテを切った時、これはなんて面白い仕事だ! と思った」とありました。「しかも動いて音までつく!」とも。

 う、時間です、申し訳ありません!

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 120
スクリーンで観る『モブサイコ100 II』

 2019年10月12日(土)に開催するオールナイトは「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 120 スクリーンで観る『モブサイコ100 II』」。
 ONEの同名マンガを映像化した『モブサイコ100』は、現在までにふたつのシリーズが制作されている。今回のプログラムでは、第2シリーズ『モブサイコ100 II』全13話と、OVA『モブサイコ100 第一回霊とか相談所慰安旅行~ココロ満たす癒やしの旅~』を上映。愛すべきキャラクター達の活躍を劇場のスクリーンで楽しんでいただきたい。

トークのゲストは立川譲監督とキャラクターデザインの亀田祥倫。前売券は9月14日(土)から新文芸坐窓口とチケットぴあで発売となる。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 120
スクリーンで観る『モブサイコ100 II』

開催日

2019年10月12日(土)

開場

開場:22時15分/開演:22時30分 終了:翌朝6時(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日・一般3000円、前売・友の会2800円

トーク出演

立川譲、亀田祥倫、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

REDLINE(2010/102分/35mm)
TVシリーズ『モブサイコ100 II』全13話
OVA『モブサイコ100 第一回霊とか相談所慰安旅行~ココロ満たす癒やしの旅~』

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

アニメ様の『タイトル未定』
220 アニメ様日記 2019年8月11日(日)

2019年8月11日(日)
コミックマーケット96の3日目。午前中は事務所。馬越嘉彦さんが会場に来るのにあわせて、自分も午後に会場へ。馬越さんにはアニメスタイルのブースの前で看板を持っていただく。
コミケの行き帰りで、Kindleで「さすがの猿飛G」を読む。細野不二彦さんが描いている「さすがの猿飛」の続編だ。あまりにも絵柄が変わっていて驚くが、細野さんの絵が変わっているのは「さすがの猿飛G」を読む前から分かっていたことだ。そのこと自体で文句を言ってもしかたがない。「さすがの猿飛G」はリメイクとか、息子の話とかではなくて、「さすがの猿飛」の続編だった。あれ、原作「さすがの猿飛」の最終回ってどんな感じだったっけ? と思って「さすがの猿飛」の最終刊をKindleで購入して読む。あ~、こんな話だったか。続編が描かれてもおかしい終わり方ではない。だけど、やっぱりこの頃の細野さんの画が好きだと思ってしまう。

2019年8月12日(月)
コミックマーケット96の最終日。事務所で作業をして、午後から会場に。久保田誓夫妻がブースに遊びに来てくれたので、久保田君にアニメスタイルの看板を持ってもらう(久保田君は「さんづけ」にすると「さんづけはやめてください」と言うので、久保田君と表記します)。
話は前後するが、午前中に取材のまとめ作業をやって、テープおこしのクオリティが高くて驚いた。おこしをしている人が、文章の書き手として美意識が高くて、きちんと推敲している感じ。さらに話が変わるが、SNSで「お似合いですよ」と書こうとしたら「『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』ですよ」と変換された。すっかり忘れていたけど「お似合い」で『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』と変換するように単語登録していたのだ。

2019年8月13日(火)
コミケ明けで、事務所はお休み。暗いうちから散歩。午前中にグランドシネマサンシャインで「ライオン・キング」【IMAXレーザーGT3D字幕版】を鑑賞。一部のシーンで「画角が1.43:1のフルサイズまで広がる」仕様で、クライマックスがとんでもなくよかった。映画の一場面に立ち合っているような臨場感だった。それだけでも観たかいがあった。その後は事務所を片づけたり。

2019年8月14日(水)
暗いうちから散歩。午前中にグランドシネマサンシャインで劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』を観る。盛り沢山だし、新しい魅力もあるし、さらに見せ方のポイントもおさえている。トータルで現代の観客が求めるものになっていると思う。「ここでウソップの活躍がほしい」と思ったところでウソップの活躍があるとか、そういうところがいい。今まで、劇場版『ONE PIECE』に関して、最後が「強い敵VSルフィ」になってしまうのがちょっと不満だった。今回の『STAMPEDE』も最後には「強い敵VSルフィ」になってしまうのだけど、そこまでに各キャラクターの活躍と見せ場がたっぷりあるので、不満は感じなかった。ハンコックの扱いが難しいというのも分かった。活躍させすぎると別のアニメになってしまう。それが分かっていても、いつかハンコック大活躍編が観たい。

2019年8月15日(木)
一日、デスクワーク。いろいろ片付けたけど、まだまだ終わらず。

2019年8月16日(金)
風が強かったけど、暗いうちから散歩。その後は「設定資料FILE」の構成。同じことを何度も書いているかもしれないけれど、同じ仕事を30年以上も続けると上手になるなあ。他にはAmazonのへの搬入スケジュールについての相談など。
作業をしながら「全裸監督」を最終話まで視聴した。僕的には黒木香さんの撮影のエピソードが、飛び抜けて面白かった。作品全体としては、テレビではできない内容だし、映画でやったとして、多くの人が観に行くかというと、そんなことはないだろう。その意味ではネット配信ならではの作品になっている。今後、このくらいの企画と作り込みの作品が連発されるようになるのだろうか。
Amazon Prime Videoで「LUCY/ルーシー」を観た。最初はAmazonのオリジナルかと思ったけど、2014年に公開された映画なのね。『GHOST IN THE SHELL』に似ていることについては、wikiでも指摘されていた。『モブサイコ100』と似ているのは偶然? それとも両作がお手本とした作品があるのだろうか。
15時からある方と早すぎる晩ご飯。そして、早めに就寝。

2019年8月17日(土)
暗いうちから散歩。昼間はデスクワークと昼寝。オールナイト前に、Blu-rayソフトで『リトル・ニモ』月岡貞夫版のパイロットフィルムを観る。4分×2本で計8分かな。テレコム版(近藤喜文×友永和秀版)、出崎統版よりも原作に忠実。作画は普通。月岡貞夫版はペンシルテストのようなものだという説と、セルアニメで90秒のものが3本あるという説を聞いていたけど、どれも違った。夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol.118 『この世界の片隅に』三度目の夏」に。

以下はトークで語られたことのメモ
・『リトル・ニモ』の近藤喜文×友永和秀版パイロットフィルムは、近藤喜文さんが監督だった時期に制作したもの。高畑さんが監督だった時代のイメージを利用している。具体的に言うと、高畑監督時代に友永さんが描いた絵コンテがもとになっている。足りないカット等は片渕さんがコンテを描いている。
・近藤喜文×友永和秀版パイロットフィルムは、スタッフがアメリカ研修で学んだことをかたちにするために作った習作であり、「こういった映画を作るぞ」というプランをかたちにするのものではない。
・同パイロットフィルムは近藤喜文さんが映画のプランを組み立てる間に、手があいたスタッフが作ったものであり、近藤さんは「夜空の色はこうしたい」といった意見は言っているが、制作にはほとんど参加していない。
・これは前に取材でも話題になっているが、近藤喜文×友永和秀版パイロットフィルムはカメラを横にして撮影し、フィルムの1コマの面積を大きくした70ミリフィルムで制作されている。当時、『リトル・ニモ』の本編を70ミリ作品にすることだけは決まっていた。
・70ミリで制作するにあたって、トレスマシンではなく、ゼロックスを使用した。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 119
ハード&スタイリッシュ 小池健の世界

 ハードかつダンディな作風で知られる監督&アニメーターの小池健。2019年9月28日(土)開催のオールナイトでは彼の作品にスポットをあてたプログラムをお送りする。上映作品は『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』『同・血煙の石川五ェ門』『同・峰不二子の嘘』『REDLINE』の4本だ。

 『LUPIN THE IIIRD』はハードな内容とアニメーションとしてのクオリティの高さで『ルパン三世』ファンから高く評価されているシリーズだ。『次元大介の墓標』『血煙の石川五ェ門』『峰不二子の嘘』で小池健は監督、キャラクターデザイン、作画監督などを務めている。
 『REDLINE』はオリジナルの長編アクションアニメ。この作品でも小池健は、監督、デザイン、作画監督などを兼任。彼の個性が色濃く出た作品であり、代表作だ。

 前売りチケットは、9月7日(土)から新文芸坐窓口とチケットびあで発売となる。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 119
ハード&スタイリッシュ 小池健の世界

開催日

2019年9月28日(土)

開場

開場:22時45分/開演:23時00分 終了:翌朝5時(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日・一般3000円、前売・友の会2800円

トーク出演

企画中 小池健、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

REDLINE(2010/102分/35mm)
LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標(2014/51分/DCP)
LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門(2017/54分/DCP)
LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘(2019/56分/DCP)

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第625回 日々『コップクラフト』

 前回の続き、『コップクラフト』の各話。2話は1話の続き、当たり前です。マトバが自宅にティラナを連れていく〜マトバの「おやすみ」までのくだりが、自分的に描いて気に入ってたところだったりします。原作を読んだ時からティラナとマトバって、自分の初監督作『BLACK CAT』のイヴとスヴェンにダブってたんですが、『コップクラフト』2話は『BLACK CAT』とは違った角度から見た「オジサンと少女」の関係を楽しんで描きました。公園のベンチでマフラーを巻いて震えてる負けん気なティラナの表情と白い息、作画もいい感じに上がったと思います。マトバの家の玄関から自室までのくだりでの、1話の同ポジ(レイアウト・背景の兼用)の多用はもちろん意図的で、日常感を出すための常套でよくある演出。手抜きとかではありません。同ポジの繰り返しに一部分の変化(ティラナ)を加えることで、そこを立たせるのが目的ってヤツ。
 3話、はっきり言って最初の作画外撒き話数。今、あらゆるアニメ制作現場で作画監督が足りてません。最初から先方より「作監が半分しか入れられません」と泣きが入っている場合も少なくありません。それでもこちらはお願いせざるをえないわけですから、今回も恨むどころか受けていただけただけでも感謝しかないのです。ただ「直させていただきます」と。その直しに社内のスタッフを駆り出して、自分も陣頭指揮に当たったり、原画を描いたり直したりとやり倒し、キャラデの木村(博美)さんにもティラナなどをガッツリ直してもらい、とにかくラストの動仕素材のデジタル修正に至るまで相当苦労した話数。あと、いわゆる「パンツを見せるかどうか問題」は賀東(招二)さん村田(蓮爾)さんと「無理に重力に逆らってまで隠すよりは、アクションの中で自然に見えるのはOK」とホン読みの時から決めてあったし、木村さんがその設定を描かれていたので、使わぬわけにはいかないので見せました。BD版ではもう少し見えるカットが増えてると思います。エルバジとのチャンバラはなんでもあり! な自由な作画で遊び心で描きました。
 で、4話はまた社内話数。1、2話とこの4話あたりまでは、自分が別会社の『ユリシーズ』でボロボロになってた時で、ウチの社内の若手らが本当によく頑張ってくれて嬉しかったです! そう、観た方々が多少驚かれたであろう、A・Bパートで話を割ったくだり。ことの成り行きは賀東さんより「3話で収めるのは無理そうで、かと言って4話まるまるはもたない(汗)」の一言からです。ホン読みでそれを打ち明けられて誰からともなく「じゃ最初の章は3.5話で切りましょうか」と。俺も「そのほうがどこで話の区切りがつくか分からなくなって面白い! 残りのページ数からオチが先読みできちゃう間の抜けた推理小説みたいなのを回避できるし!」って感じで決まりました。じゃ、続きはまた次週。

ササユリカフェで「馬越嘉彦 原画展」を開催

 「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第二巻」の刊行を記念し、2019年9月5日(木)から、東京のササユリカフェで「馬越嘉彦 原画展」を開催する。展示物は『僕のヒーローアカデミア』『ハートキャッチプリキュア!』『キャシャーンSins』『おジャ魔女どれみ』の原画、そして、「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第一巻」「同・二巻」の表紙のために馬越が描きおろした原画風イラスト、特典用に描いた色紙だ。原画は原画集に収録していないものも見ることができる。原画はコピー、原画風イラストと色紙は生原稿での展示となる。

 また、会場では「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第一巻」「同・二巻」に加えて、アニメスタイルの新刊「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」「交響詩篇エウレカセブン アーカイブス」「『なつぞら』のアニメーション資料集[オープニングタイトル編]」も販売する。

■イベント詳細
イベント名/「馬越嘉彦 原画展」inササユリカフェ
会場/ササユリカフェ http://sasayuricafe.com
期間/2019年9月5日(木)~10月14日(月)(火曜・水曜定休、その他短縮営業や貸切営業などあり)
営業時間/11:30~20:00ラストオーダー
入場料/ワンオーダーをお願いしております(カフェは通常営業の予定ですが、来場者数が多く見込まれる日には展示専用・立ち見に変更されることもございます。詳しくはササユリカフェtwitterアカウント@sasayuricafeで最新情報をご確認ください)

主催/ササユリカフェ
協力/アニメスタイル

■関連リンク
【アニメスタイルの書籍】「馬越嘉彦 アニメーション原画集」! 充実の第二巻が刊行!!
http://animestyle.jp/news/2019/09/02/16189/

第164回 スーパーなアニソンを生み出すスーパーな作曲家 〜渡辺宙明大全〜

 腹巻猫です。9月25日、辰巳出版より「スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全」という本を上梓します。作曲家・渡辺宙明の作品を本人の証言と資料で紹介した本です。便宜上、著者は腹巻猫になっていますが、渡辺宙明の言葉が大半を占める構成。作曲家がどのようなことを考えて音楽を作ったか、音楽ができあがるまでにどのような苦心があったか、そこにフォーカスしました。歌だけでなく、劇音楽(BGM)にもページを割いています。9月22日には出版記念イベント「渡辺宙明トークライブ Part13」を阿佐ヶ谷ロフトAで開催します。本の先行販売もする予定ですので、ぜひ、ご来場ください。

スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4777823644/

渡辺宙明トークライブ Part13
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/126944


 本コラムでは、5年前に渡辺宙明作品を取り上げたことがある。そのとき、渡辺宙明は89歳。現在は94歳である。この5年間、渡辺宙明は毎年のように新曲を書き、それがCDで発売されている。驚くほかないパワフルさだ。
 今回は本の予告も兼ねて、渡辺宙明のアニメ・特撮音楽の歴史を簡単に振り返ってみたい。参考音源としては、渡辺宙明90歳の年に発売された格好の作品集がある。「渡辺宙明 卒寿記念 CHUMEI 90 SONGS」(日本コロムビア発売)である。「人造人間キカイダー」(1972)以降の渡辺宙明のアニメ・特撮作品の主題歌を90曲集めた4枚組CD-BOXだ。
 渡辺宙明のプロの作曲家としての活動は1953年のラジオドラマ「アトムボーイ」(中部日本放送)から始まる。映画音楽作曲家としては1956年の新東宝作品「人形佐七捕物帖 妖艶六死美人」がデビュー作になった。1960年代は劇場作品、TVドラマを中心に活動するが、この時代の作品は鑑賞の機会が少ないこともあり、あまり話題に上ることはない。
 渡辺宙明といえば、やはり、アニメ・特撮音楽なのである。

 「スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全」の本文は「人造人間キカイダー」(1972)から始めた。多くの読者が興味があるのは、ここからだろうと考えたからだ。CD-BOX「CHUMEI 90 SONGS」もまた、この作品から始まる構成になっている。
 「人造人間キカイダー」は「仮面ライダー」(1971)のヒットを受けて、同じ石ノ森章太郎原作で東映が制作した特撮TVドラマ。それまでの子ども向け番組では聴いたことのない、ジャズのハーモニーとブラスロックを取り入れたサウンドが鮮烈だった。これが評判を呼び、渡辺宙明は同じ年の12月から始まるTVアニメ『マジンガーZ』の音楽を担当する。
 『マジンガーZ』の音楽は『キカイダー』よりもパワフルで、カッコよさを追求した印象だ。特撮ものとアニメ、等身大ヒーローと巨大ロボットという違いもあったかもしれない。2作目にして、キャッチーで高揚感あふれる宙明サウンドが完成している。
 この2作のあと、渡辺宙明は、特撮TVドラマ「キカイダー01」(1973)、「イナズマン」(1973)、TVアニメ『グレートマジンガー』(1974)を手がけ、このジャンルの仕事が増えていく。「スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全」では、1972年から1974年までの作品に1章を割いてじっくり紹介した。
 1975年、音楽的な転機となる作品が現れる。「秘密戦隊ゴレンジャー」である。続いて手がけたのがTVアニメ『鋼鉄ジーグ』。「ゴレンジャー」と『ジーグ』の音楽には共通性があり、「バンバラバンバンバン」「ダンダダダダン」といった擬音風スキャット路線がここで開花するのだ。『グレートマジンガー』までは剛球勝負! という感じだったのが、このあたりから、主題歌にも軽快で明るい曲調が入ってくる。ポップな名曲として人気が高い再放送版『サザエさん』の主題歌「サザエさんのうた」「あかるいサザエさん」も1975年の作品である。
 「CHUMEI 90 SONGS」では、ここまでがCD1枚目に収録されている。収録曲を順に聴くと、宙明サウンドの変化の過程が感じとれて、なかなか興味深い。
 「CHUMEI 90 SONGS」のCD2枚目は1976年から1978年までの作品が収録されている。ヒーローもの以外に作品の幅が広がり、音楽もより多彩になっていく時代だ。アニメでは、『マグネロボ ガ・キーン』(1976)、『合身戦隊メカンダーロボ』(1977)、『おれは鉄兵』(1977)、『野球狂の詩』(1977)といった作品が、この時期に登場した。ヒーローソングであっても聴いて楽しく、歌って楽しい作品が多い。そして、サウンドも初期の野性味のあるゴツゴツした感じから急速に洗練されていく。『野球狂の詩』のテーマ曲を聴くと、「『マジンガーZ』から5年間でこの進化!」と驚いてしまう。
 「スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全」では、1975年から1970年代後半を「宙明サウンド快進撃」の時代として紹介した。
 劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(1977)の大ヒットを契機にアニメブームが巻き起こった1970年代終盤から1980年代前半、レコードメーカーは中高生のアニメファンを意識した音楽作りを進めた。この時期の作品が収録された「CHUMEI 90 SONGS」のCD3枚目を聴くと、渡辺宙明の楽曲が子ども向けの枠から脱し、より音楽的に楽しめるものに進化していることがわかる。
 当時流行のディスコサウンドが取り入れられ、シンセドラムや打ち込みによるシンセサウンドが導入されて、新時代の音になっていく。アニメでは、『とんでも戦士ムテキング』(1980)、『最強ロボ ダイオージャ』(1981)といった作品に、その成果を聴くことができる。女声スキャットの入ったカラフルなサウンドが現れるのもこのころからだ。渡辺宙明は音楽の流行だけでなく、最新の機材や録音方式にも敏感だった。
 『スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全』では、この時期を「進化する宙明サウンド」の時代として紹介している。

 80年代前半の渡辺宙明の仕事の中心は、東映の特撮ヒーロー作品だった。「電子戦隊デンジマン」等のスーパー戦隊シリーズ、「宇宙刑事ギャバン」に始まる宇宙刑事シリーズなどに力が入れられた。同時期のTVアニメ『光速電神アルベガス』(1983)、『ビデオ戦士レザリオン』(1984)は少し影が薄い。
 しかし、1985年、渡辺宙明は大きな転機となる作品と出逢う。OVA『戦え!!イクサー1』である。
 『戦え!!イクサー1』は女性が主人公のSFアクションもの。ヒーロー番組の女性版ととらえてもよい。これが渡辺宙明の創作意欲を刺激した。男性主人公のヒーローものだと、どうしても、悲壮感や力強さが求められる。『戦え!!イクサー1』にはその縛りがなく、主題歌も女性ボーカルで作られた。結果、軽やかでポップな、でもカッコいい、新しいタイプのアクションソングが誕生した。ここで重要な役割を果たすのが新興のアニメ音楽レーベル・ユーメックスである。
 ユーメックスでは、渡辺宙明のほとんどの歌曲を曲先(曲を先に作り、あとから詩をはめる作り方)で発注している。それまでのアニメ・特撮作品は、詩先(先に作った詩に曲を付ける作り方)が主流だった。そして、ユーメックスはメロディにもサウンドにも、注文や制約をつけなかった。この自由な作り方が渡辺宙明の新しい音楽を引き出した。『戦え!!イクサー1』に続き、OVA『レイナ剣狼伝説』でも、魅力的な女性ボーカルの曲が多数作られている。
 OVA作品ということで、アニメファンの間でも、これらの作品はあまり知られていないかもしれない。けれど、宙明サウンドの進化の先に登場したのが、こうした女性ボーカルによるアクション曲であったことは、とても面白い。この路線が、2000年代の『ふたりはプリキュア』(2004)の挿入歌「キュア・アクション」「プリティー・エクササイズ」にもつながっていくのである。多くの人に聴いてもらいたいし、再評価してもらいたい音楽だ。
 残念ながら、これらのOVA作品の曲は「CHUMEI 90 SONGS」には収録されていない。しかし、『戦え!!イクサー1』『レイナ剣狼伝説』の楽曲は「卒寿記念CD-BOX 渡辺宙明 ユーメックス・イヤーズ」(ユニバーサルミュージック発売)に収録されているので、渡辺宙明ファンはぜひ押さえておきたい。
 筆者が偏愛する渡辺宙明作品は、90年代の『流星機ガクセイバー』(1991)である。これはコミックス、ラジオドラマ、OVA等でメディアミックス展開された作品で、渡辺宙明はラジオドラマの音楽とOVA版主題歌を手がけている。女性ボーカル路線の頂点とも呼べるカッコよさと爽快感をあわせ持つ主題歌「流星機ガクセイバー」、ちょっと懐かしい曲調のポップな挿入歌群。再生するたびに音楽を聴くよろこびにふるえてしまう。こちらの音源は、渡辺宙明の卒寿を記念して発売されたCD「渡辺宙明コレクション CHUMEI RARE TREASURES 1957-2015」(サウンドトラックラボラトリー)にまとめて収録されている。
 「スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全」では、渡辺宙明が女性ボーカル路線に新境地を開いた時期に1章を割き、「新天地を求めて」として紹介した。

 90年代以降の渡辺宙明は、ゲーム「スーパーロボット大戦」関連の一連の楽曲や特撮作品の挿入歌等を中心に活躍。女性ボーカル路線から離れ、むしろ、男性ボーカルのアクション路線に回帰していく(というより、ファンや制作者からそちらの路線を求められるようになる)。その先にあるのが、TVアニメ『神魂合体ゴーダンナー!!』(2003)である。「CHUMEI 90 SONGS」では、CD4枚目を締めくくる作品だ。
 21世紀、音楽は打ち込みサウンドが主流になり、メロディアスなものから、踊って盛り上がれるEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)に人気が集まるようになる。新しい音楽に敏感に反応してきた渡辺宙明だが、そちらの方面には食指が動かなかったようだ。生のブラスやギターを入れた、メロディ主体のハートにぐっとくる音楽というスタイルを貫き、現在も作曲活動を続けている。
 2010年代以降も、東日本大震災被災地の復興を支援するローカルヒーローソング「東北合神ミライガー」(2012)、ライトノベル原作のアニメ『俺、ツインテールになります。』(2014)の挿入歌「テイルオン!ツインテイルズ」、NHK-FMのラジオ番組のテーマソング「アニソンアカデミー校歌」(2017)、2019年の最新作「SFX巨人伝説ライン」30周年記念ソングなど、新しい楽曲が途切れることなく生み出されている。「スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全」では、そうした最新作まで、余すところなく紹介した。巻頭にはフルカラーのジャケットギャラリー、巻末には作品リスト、音盤リストを掲載したのでお楽しみに。
 90歳を超えて商業音楽の世界で現役で活躍する作曲家・渡辺宙明。生み出す曲は時代を越えて歌われ続けている。スーパーなアニソンを生み出すスーパーな作曲家。『渡辺宙明大全』のタイトルにつけた「スーパーアニソン作曲家」には、そんな意味を込めている。

スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全
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渡辺宙明卒寿記念 CHUMEI 90 SONGS
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渡辺宙明 卒寿記念 CD-BOX ユーメックス・イヤーズ
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渡辺宙明コレクション CHUMEI RARE TREASURES 1957-2015
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アニメ様の『タイトル未定』
219 アニメ様日記 2019年8月4日(日)

2019年8月4日(日)
トークイベント「第160回アニメスタイルイベント 帰ってきた亀田祥倫の思い出のアニメを語る会」を開催。亀田さん達の発案で、二部の最初で亀田さんと益山亮司さんと山田有慶さんとで寸劇(朗読劇)をやって、僕も少しだけ出演した。アニメスタイルイベントで寸劇をやったのは初めて。亀田さんを含めた3人がやたらと芝居が上手かった。前回同様、楽しいイベントになったと思う。

2019年8月5日(月)
夏の3書籍の作業も終わったので、次の次の本の原稿作業に入らないといけないのだけど、片づけなくてはいけない用事が多くて、なかなか作業に入ることができない。
年下の友人と「長電話」ならぬ「長LINE」をする。「長LINE」のテーマは、京都アニメーションの作品について。話した内容をまとめると『CLANNAD』から『けいおん!』にいたるところで、京都アニメーションの作品は大きく変わっており、『CLANNAD』までに培ったものが、『けいおん!』以降を支えているのではないか。その培ったものがクオリティやテクニックを生み出す源のひとつであるはずだ。ということ。この話は印象によるものであり、裏付けはない。

2019年8月6日(火)
暗いうちから散歩。13時から三鷹で打ち合わせ。15時過ぎに事務所で打ち合わせ。他はデスクワーク。「『なつぞら』のアニメーション資料集[オープニングタイトル編]」の作業も進む。
Netflixでドキュメンタリー「アニメ世界への扉」を観る。ボディビルでマッチョになっている岸誠二監督が、スポーツジムに行く場面があって「裸になるのね」と思ったんだけど、裸にはならなかった。「アニメ世界への扉」はアニメのドキュメンタリーをかっこよく作ろうとしているところがよかった。
撮影した日に書くのを忘れていたけれど、シネフィルWOWOWの「世界がふり向くアニメ術」に解説者として出演した。これからも出演する予定だ。その最初の回である『銀河鉄道の夜』の自分の出演パートを、動画で確認した。撮影の段階で僕の喋りはメロメロだったのだけど、番組スタッフはさすがにプロだ。編集で上手くまとめている。言い訳をしておくと、撮影の日は夏の3書籍の編集中で、撮影の前の準備にあまり時間がとれなかった。それから、下半身は映らないだろうと思ってハーフパンツで行ったら、全身を撮られてしまった。メガネはこの番組のために購入したもので、伊達メガネである。ヒゲを伸ばしたのもこの番組のため。

2019年8月7日(水)
暗いうちから散歩。朝はデスクワーク。昼はワイフと「ポケモンGOフェスタ横浜」(Pokemon GO Fest 2019 Yokohama) に。日傘を差したままイベントに参加。昼飯をはさんで、またイベントに。事務所に戻って、夏の3書籍の見本を手にする。デスクワークの後、中村豊さんと打ち合わせ。事務所に戻ってコミケ前に片づけなくてはいけない用事を片づける。
8月6日(火)に増岡弘さんが『サザエさん』『それいけ!アンパンマン』を降板することをネットで知った。それでは「ぶらぶらサタデー」の「有吉くんの正直さんぽ」のナレーションはどうなっているのだろうか。気になって「正直さんぽ」の録画をチェックしてみた(僕は「正直さんぽ」も録画しているのだ)。増岡さんのナレーションは現状では6月29日放映分まで。その後の2回はそれぞれ別の方が担当している。最初に別の方がナレーションをやった回(7月13日放映分)では「皆さん、今日は増岡さんがおやすみのため」と言っているなあ。僕は「有吉くんの正直さんぽ」の増岡さんのナレーションがかなり好きだ。

2019年8月8日(木)
アニメスタイルのスタッフの男性陣はコミケの搬入。僕は「『なつぞら』のアニメーション資料集[オープニングタイトル編]」関連の作業。それから事務的な仕事。午後は馬越嘉彦さんと打ち合わせ。夜は声優博士と打ち合わせ。

2019年8月9日(金)
コミックマーケット96の1日目。アニメスタイルのブースでは「交響詩篇エウレカセブン アーカイブス」「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第二巻」を先行販売した。
巻末にも書いたが「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」では、原画は現存するもののタイムシートが紛失しているカットについて、アニメスタイル編集部の村上修一郎君と中村豊さんの共同作業で、タイムシートを「復元」して掲載した。具体的に言うと、村上君が原画を見ながら映像をコマ送りして、原画と原画の間に何枚の動画が入っているかをチェック。仮のタイムシートを書いて、それを中村豊さんが確認。場合によっては中村さんが改めてコマ送りをして確認した。最終的に村上君が書いたタイムシートを、中村さんが「清書」して完成形に。カット数としてはタイムシートを「復元」したカットのほうが多かった。

2019年8月10日(土)
コミックマーケット96日の2日目。現地での販売はスタッフに任せて、僕は昼過ぎまで事務所で作業。午後からコミックマーケットに。

第624回 『コップクラフト』いろいろ

放映が始まるといっきに駆け抜けるように納品。
納品に次ぐ納品。これがTVシリーズです!

 ホン読み(脚本打ち合わせ)が毎週、コンテが毎週、演出ほか各セクションの打ち合わせが毎週、そして画を作ってる真っ最中でどんだけ不完全な画でも否応なく始まるカッティング(編集)・アフレコ・ダビングが毎週。で、締めはV編(納品)! ま、いつものことです。『コップクラフト』も例外ではありません。あまりの忙しさに詳しい説明をし損ねてましたが、今回の『コップクラフト』の監督のお話をいただいたのは『ユリシーズ』が決まってほどなくして、だったかと。で、仕事は故意に重ねない主義なので

『ユリシーズ』のホン読みが終わらない限り『コップクラフト』のホンは読めないし、『ユリシーズ』のコンテを全話出し切らないうちは『コップクラフト』のコンテには入れません! それでもいいですか?

と。しかしこう言って引き受けたとしても、現場の状況次第ではどうしてもそう都合よくはことが運ばないというのはよくある話で、今回は前作『ユリシーズ』の制作が少々てこずってしまい俺自身もガタガタ。まあ『ユリシーズ』は制作がミルパンセではないので、作画云々の直接ダメージはなかったのですが、板垣個人のスケジュール管理がボロボロとゆーありさま(汗)。
 そんな中でなんとか今作もほぼ全話コンテです。吸血鬼編、4話Bパート〜5話の1本半分のみ先に助監督に振ってから、それに全面的な直しを入れましたが、それ以外はすべて自分のコンテ。すべての話数に思い入れがあります。まず第1話、海外ドラマ風のセリフまわしを監督自身も楽しみつつコンテを切りました。マトバから見たティラナ(Aパートラスト)と、そのティラナから見た地球の様々な文化を彼女の主観から描くことにテーマを置いてたと思います。マトバの煙草にむせるティラナのくだりは、脚本にはなく、俺がアドリブで足したところでした。あ、1話のコンテはBD1巻の特典で付くらしいですね。じゃ、そちらを見てください!
 で、続いて第2話、と思ったところで時間切れです。ちなみに『ベルセルク』『WUG新章』『ユリシーズ』に続き、またコンテムービーを近々お見せできそうです。もう少々お待ちください!

第162回アニメスタイルイベント
中村豊の作画を語る!

 数多くの作品で素晴らしい仕事を残してきたアニメーターの中村豊。アニメスタイルは2019年10月6日(日)に、彼の仕事にスポットを当てたトークイベントを開催する。現在、決まっている出演者は中村豊自身。そして、井上俊之、沓名健一だ。井上俊之と沓名健一には、中村豊の作画の魅力についてたっぷりと語ってもらう予定だ。

 会場では、中村豊の原画を収録した「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」を販売する(なお、同書籍は9月21日(土)から一般販売がスタートする予定だ)。

 また、今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。前売り券は9月1日(日)から発売開始。詳しくは以下にリンクしたLOFT/PLUS ONEのページを見てもらいたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

LOFT/PLUS ONE
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/127164

第162回アニメスタイルイベント
中村豊の作画を語る!

開催日

2019年10月6日(日)
開場12時00分 開演13時00分

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

中村豊、井上俊之、沓名健一、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 会場となるLOFT/PLUS ONEはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

アニメ様の『タイトル未定』
218 アニメ様日記 2019年7月28日(日)

2019年7月28日(日)
半休の日。朝から昼まで、原稿以外のデスクワークと散歩。昼寝をはさんで、16時からワイフとポケモンGO。ロケット団のジムを攻略して歩く。ワイフの希望で、18時35分から池袋HUMAXシネマズで『海獣の子供』を鑑賞。僕はスクリーンで観るのは4回目で、ワイフは3回目。『海獣の子供』は4度目でも飽きない。それから、夏の暑い日に観たほうがいいな。

2019年7月29日(月)
嵐のような忙しさ。午後に打ち合わせが一件。「交響詩篇エウレカセブン アーカイブス」の告知を開始。SNSで投稿した話題について、ここにも記しておく。Aプロ時代に『パンダコパンダ』TVシリーズの企画書が作られている。『パンダコパンダ』のスチルが使われていたので、『パンダコパンダ』の後に作られたものだろう。トピックスとしては、ミミ子のおばあちゃんがレギュラーで、パパンダとパンは一緒に暮らすわけではないということ。あらすじを読む限り、「パパンダとパンも出てくる『長くつ下のピッピ』」を狙ったのではないかと。その企画書を読ませてもらったのも、40年くらい前のことだ。

2019年7月30日(火)
「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第二巻」の詳細告知と先行販売の受付を開始。午前中はラフを描きまくる。12時から高田馬場である監督と打ち合わせ。14時から中野で「アニメスタイル015」の取材。事務所に戻ってデスクワーク。一度マンションに戻ったのだが、チェックするものがあり、22時くらいに事務所に戻って、0時過ぎに帰る。

2019年7月31日(水)
「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」の詳細告知と先行販売の受付を開始。この数日「尾石達也的」とは何かについて、色んな人と話をしている(尾石さんの特集の準備をしているわけではありません)。

2019年8月1日(木)
寝不足だったので、午後に自宅に戻って昼寝。それ以外はデスクワーク。夏の3書籍の校正など。それから、夏の3書籍の次の書籍の作業等々。『ケンガンアシュラ』をNetflixで一気観した。面白し、よくできている。3DCGによる肉体表現が上手くいっている。キャラクターの表情もいい。

2019年8月2日(金)
午前中から、ワイフと東京国立近代美術館で開催されている「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」に。非常に充実した展示だった。「分かっている人」が丁寧に、そして、熱心に構成しているという印象。『太陽の王子ホルスの大冒険』は1万円くらいの資料集を出してほしいなあ。少しマンションで休んでから、事務所に。夏の小冊子最後の一冊の作業が終了。そのまま次の書籍の打ち合わせに入る。それから、冬の書籍と来年の書籍の打ち合わせも。
「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第二巻」について少し記しておく。この書籍には『ハートキャッチプリキュア!』の原画を載せている。だけど、お借りした原画の画像データは話数別にまとめられているわけではなく、各原画にも話数やカット番号は書かれていない。そこで掲載する原画を選んでから、ビデオを観ながら、その原画が『ハートキャッチプリキュア!』の何話なのかを確認していく作業をすることになった(話数が判明した後でコンテを見て、カット番号を確認する)。しかし、確認作業はなかなか進まない。そこで、「プリキュアの凄いファン」こと祥太さんに確認作業を頼むことになった。事情を説明すると「『ハートキャッチプリキュア!』なら大半のカットは頭に入っています」という頼もしい言葉。事実、次々に話数が判明していく。「この表情はこのカットの映像にないようですが」との編集部スタッフからの質問に「エフェクトが手前にきて、顔が隠れているコマの原画です」と明瞭な返答が。さすがだ、さすがすぎる。

2019年8月3日(土)
午前11時から阿佐ヶ谷で、久しぶりの方と打ち合わせ。事務所に戻ってデスクワーク。16時からワイフと、ポケモンGOのコミュニティデイに。今回はラルトスが大量発生。僕は色違いを6匹ゲット。

第623回 ただ今戻りました(汗)

V編(ビデオ編集)とは納品の儀式。
TV局に納める最終形態がここで決まります!

 V編は、まずその話数のスタッフロールや字幕のテロップを組み、その後TV局のプロデューサーさんらによる考査(?)チェック——パカパカ(激しい明滅)やエロ・グロ潰しなどがやることのスタンダード。その次にあくまでサービスとして(自分はそう認識してます)演出や作画の微調整。例えば黒パラ(画面の一部を暗く落すこと。アナログ時代はパラフィンシートを用いたことの名残)や簡単な口パクの直し(デジタルで切って貼る)など。あとは原版(オフライン編集)に間に合わなかったカットの直差し。アニメ業界は今、当たり前のように「ここまでスケジュールとして計算する」クセがついてます。自分が育った古巣(テレコム)では「V編で加工するなど邪道! 演出の仕事は原画チェックですべて終わらせるべき!」という風潮が、当時の社長を中心にあったため、アニメーターだけやってる時はそれを信じてた俺ですが、2001年版『グラップラー刃牙』で演出を始めてから考えがガラリと変わりました。だって散々待った挙げ句、全く満足いく作画があがってこなかった時、もちろん俺もアニメーターだからギリギリまで直そうとするけど、それでも直しきれなかった場合どーする? 諦めるか? いや、作画でダメだったらその作品を捨てるようじゃ演出じゃないでしょ!

撮影処理だろうがV編加工だろうが、その時考え得るすべての技を総動員し、最後まで決して諦めない姿勢こそが演出家としていちばん大事なんじゃないか!

と気づいたからです。それから10数年、納品は闘いで、本日は朝までV編で格闘して戻ってきた板垣でした(疲労)。原稿も半日遅れ(汗)。

第163回 サントラ盤がニュッとでる!! 〜空飛ぶゆうれい船〜

 腹巻猫です。8月30日(金)19時より神保町・楽器カフェにてトーク&DJイベント「レッツゴーサントラさん4〜大暴れ!サントラさん大集合〜」を開催します。出演:貴日ワタリ、早川優、腹巻猫ほか。ゲスト:麻宮騎亜。サントラLOVEの出演者が集まり、お奨めのサントラや秘蔵の音盤を紹介します。お時間ありましたら、ぜひご来場ください。料金は1000円+ドリンク代500円。詳細・予約は下記ページを参照ください。
https://gakki-cafe.com/event/20190830/


 『わんぱく王子の大蛇退治』『太陽の王子 ホルスの大冒険』のサウンドトラック盤をリリースしたCINEMA-KANレーベルが、今度は9月に『空飛ぶゆうれい船』のサウンドトラックを発売するという。10月には70年代のマイナー特撮劇場作品「恐竜・怪鳥の伝説」のサントラ盤まで出るらしい。CINEMA-KANレーベルの狂った、いや、すばらしいリリース攻勢はとどまるところを知らない。今回は応援の意味も込めて、『空飛ぶゆうれい船』の音楽を取り上げたい。
 『空飛ぶゆうれい船』は1969年に公開された東映動画(現・東映アニメーション)制作の劇場アニメ。「東映まんがまつり」の1本として上映された。同時上映は「飛び出す冒険映画 赤影」『ひみつのアッコちゃん』『もーれつア太郎』など。1966年公開の『サイボーグ009』、1967年公開の『サイボーグ009 怪獣大戦争』に続く、石ノ森章太郎原作の劇場用漫画映画である。
 この頃はTVアニメが大人気の時代。東映動画の劇場用漫画映画も、『白蛇伝』(1958)以来の名作・メルヘン路線からTVアニメ的なテンポの速い作品に移行しつつあった。『空飛ぶゆうれい船』も上映時間60分というコンパクトな作品で、巨大ロボットが登場する少年向けSF冒険ものである。
 ちなみに朝ドラ「なつぞら」的ポイントは、作画監督が小田部羊一で、原画に奥山玲子が参加していること。

 音楽は小野崎孝輔が担当した。
 小野崎孝輔は東京芸術大学楽理科卒業後、ジャズピアニストとして、また、作・編曲家、指揮者として活躍した。ラジオ、テレビ、CM、劇場等の音楽を多数担当し、アニメでは、TVアニメ『おらぁグズラだど』(1967)、『ピンク・レディー物語 栄光の天使たち』(1978)、『大雪山の勇者 牙王』(1978)、『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』(1979)、『ヒロシマに一番電車が走った』(1993)等の音楽を手がけている。特撮ファンには「キャプテン・スカーレット」「謎の円盤UFO」の日本語版主題歌の作曲も忘れられない仕事だ。ポップスの編曲も多く手がけ、小椋佳の楽曲のアレンジを数年にわたって続けた。『マルコ・ポーロの冒険』もその1本である。余談だが、渡辺岳夫が作曲し、小椋佳が歌った「大いなる旅路」(1972年の同名ドラマ主題歌)の編曲も小野崎孝輔が手がけていて、これが実に胸にしみる名アレンジ。数ある渡辺岳夫ソングの中でも筆者フェイバリットの1曲である。小野崎孝輔は残念ながら2017年に逝去している。
 本作の音楽は、1996年に発売された10枚組CD-BOX「東映動画長編アニメ音楽大全集」の1枚に『海底3万マイル』の音楽とカップリングで収録されている。上映時間が60分しかないため、大半の曲がこのCDに収録された。今回は、本編とこのCDを参照しながら、本作の音楽の魅力を語ってみよう。
 本作の音楽はすべて映像に合わせて作曲・録音されている。CM音楽を多く手がけた小野崎孝輔は、画にタイミングを合わせるのは慣れていたが、音楽が多いことと時間がないことに苦労したという。録音は、朝から晩まで続けて5日くらいかかったそうである。

 本作は、霧に包まれた海のシーンから始まる。納谷悟朗の「近頃、このような深い霧の夜になると、決まって船の沈没事故が世界各地で起きている……」というナレーションに続き、女声ボーカリーズによる妖しい幽霊船のテーマが流れる。オープニングタイトルの曲(M-1)である。メインタイトルとクレジットが表示されるバックには不気味な幽霊船の姿。音楽はスリラー音楽風に妖しさを増し、観客の心をざわつかせる。実にキャッチーな導入だ。
 一転して、主人公の少年・隼人とその家族がボートで海を進むシーンに変わり、音楽も明るい調子に(M-2)。このメリハリは心地よい。
 自動車事故を目撃したことをきっかけに、隼人たちはさびれた洋館でドクロの顔をした幽霊船長と対面することになる。ハマープロのホラー映画を思わせる怪奇ムードたっぷりの展開。冒頭に流れた女声ボーカリーズの曲の変奏を含む、スリラー感満点の音楽が流れる(M-3〜M-6)。音楽が観客の情感をリードし、本編に没入させる。古典的だが効果のある音楽設計である。
 次に、この作品の見どころのひとつとなるシーンが現れる。突如出現した巨大ロボット・ゴーレムが町を破壊する場面である。
 音楽(M-8)は、重いティンパニのリズムと荒々しいブラスのフレーズでゴーレムの脅威を描写。歪んだエレキギターの音を重ねて、怪獣とは異なるロボットの質感を表現している。
 隼人が傷ついた父の口から自らの出生の秘密を知る場面の曲(M-11)は、弦楽器と木管主体の悲哀曲。隼人の心情を伝え、観客の涙を誘う。現代ならもう少し抑えた曲調の音楽をつけるところだが、この時代らしいストレートな表現である。
 ここまでで、サスペンス、明るい日常、スペクタクル、悲哀、とバラエティに富んだ音楽が流れたことになる。テンポのよい展開とシーンに密着した音楽で観客の心をつかむ。娯楽作品の王道をゆく演出だ。
 『空飛ぶゆうれい船』でゴーレムとともに話題に上るのが、劇中に流れるボアジュースのコマーシャルである。
 このシーンはやや唐突だ。隼人が見ているTVのニュースが中断し、ボアジュースのCMソング(M-14)が挿入される。このCMソングも本作のためのオリジナル。小野崎孝輔はCM音楽もたくさん手がけているので、こうした曲もお手のものだったろう。劇中では5秒くらいしか流れないが、公開当時、長尺版を収録したレコードが発売されていた(曲名表記は「ボワジュースのうた」)。長尺版は当時の名作CMソングのパロディを織り込んだ愉快な曲になっている。今回のサウンドトラック盤にも当然収録されるはずなので楽しみだ。
 このあと、海上に浮上した幽霊船がゴーレムと死闘をくり広げる短いスペクタクルシーンがあり、戦争音楽風のダイナミックな曲(M-15)が付けられている。隼人はゴーレム騒動の黒幕を知り、対決を決意する。ここが全体の折り返し点である。
 後半の音楽は、ボアが送り込んだマシン生物が暴れる場面の怪獣映画風サスペンス曲(M-24)、隼人が、幽霊船が実は超近代兵器であったことを知る場面のリズムとフルートを使った近未来的なミリタリー調の曲(M-26)など、ぐっとSF映画的になる。
 本作のヒロインと呼べる少女・ルリ子の登場場面に流れるハープとストリングスによる曲(M-29)は、本作の数少ないリリカルな音楽。少ししか流れないのがもったいない。ルリ子の登場が本編の半分を過ぎてからというのも遅すぎるではないか。正統派の石ノ森ヒロインなのに……(個人の感想です)。
 隼人が幽霊船長の正体を知る場面は、音楽的にもドラマの上でも、大きな転換点となる。ここで初めて、主題歌「隼人のテーマ」のメロディ(M-30)が流れるのである。これはタイトルどおり、隼人のテーマと呼べる曲だが、ここでは隼人の成長、旅立ちを予感させる役割を果たしている。このテーマは、ルリ子と隼人の語らいの場面でも変奏される(M-34)。
 クライマックスは、幽霊船が、すべての元凶であるボアの本拠地を破壊する場面。SFスペクタクルにふさわしい、オーケストラを駆使した重厚な曲(M-38〜M-40)が最後の戦いを盛り上げる。ここはサントラ盤で聴いても熱くなるところだ。
 ラストは、主題歌「隼人のテーマ」の歌入り(M-41)。スケールの大きい、颯爽とした印象の旅立ちの歌だ。作詞は本作の脚本家・辻真先。作曲はもちろん小野崎孝輔。どこかヒーローソングの趣もあるこの歌は、本当にカッコいい。歌っている泉谷広は、新田洋と名を変えて、本作の公開後にスタートしたTVアニメ『タイガーマスク』の主題歌を歌うことになる。カッコいいのも当然だ。主題歌は劇中バージョンとレコードバージョンでアレンジが異なるので、そこもサントラ盤を聴くときのお楽しみである。
 60分という尺にドラマを詰め込んだ『空飛ぶゆうれい船』は、劇場作品としてはもの足りない印象もあるが、音楽は聴きどころ満載である。小野崎孝輔が音楽を担当した劇場アニメは本作1本のみ。躍動的なジャズのテイストと情感をあわせもった小野崎孝輔の劇音楽をもっと聴きたかった。サントラ盤としてリリースされた作品がわずかしかないのももったいない。そういう意味でも、今回の単独盤リリースはよろこばしい。

 さて、ここまで来たら、CINEMA-KANには『海底3万マイル』の単独サントラ盤発売も期待したいところ。こちらの音楽は渡辺岳夫。しかも、渡辺岳夫が愛してやまなかった海をテーマにした作品である。いや、もちろん『どうぶつ宝島』でも『ちびっこレミと名犬カピ』でもいいですけれど。実現できるよう、みんな、買って応援しましょう。

空飛ぶゆうれい船 オリジナル・サウンドトラック
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アニメ様の『タイトル未定』
217 アニメ様日記 2019年7月21日(日)

2019年7月21日(日)
夏の書籍の編集作業の追い込み。久しぶりに暗いうちからウォーキング。そして、朝のうちに投票に。夕方、作業が手空きになったところで、ワイフとポケモンGOのコミュニティ・デイに参加。西口公園の窓際の席でコーヒーを飲みながら、優雅にミズゴロウをとりまくる。それから、次の書籍の準備を始める。Netflixの『聖闘士星矢』を観る。今回の配信は6話までなのね。黄金聖闘士の布石は合っているから、当然、続きの予定はあるんだろうけど。『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』1話も観た。アニメ化が発表される前からタイトルだけは知っていて、ちょっと気になっていた作品だ。

2019年7月22日(月)
朝からストレスが高まる。ストレス対策で昼飯はいきなり!ステーキで、ワイルドステーキ300グラムとワイルドハンバーグ150グラムのセットに、スパイシーカレーをトッピング。その後、都内某所である取材に同席。結局、同席ではなくインタビュアーをやることになった。映像での取材なので、取材中に相づちはあまりしないほうがいいだろうし、後でインタビューイの発言をテキストで補足するわけにもいかない。そういう意味では、普段の取材とちょっと勝手が違う。インタビューイとは近々にお茶をすることを約束して、事務所に。
書籍関連でインタビューのチェックが戻る。取材をさせていただいた方から「上手くまとめてくださってありがとうございます。自分について色々と整理がつきました」とのお言葉をいただき、修正は無し。ありがたや。

2019年7月23日(火)
夏の3書籍の作業は続く。それはそれとして、ポケモンGOの話。高田馬場の駅前に「古代支那兵士」というポケストップがあって、高田馬場の駅前のどこに古代支那兵士がいるんだ、と思っていた。打ち合わせ帰りに高田馬場駅前の中華料理屋に入ったら、そこにあった。「古代支那兵士」は中華料理屋店内に飾りで置かれた人形だったのだ。

2019年7月24日(水)
夏の書籍の編集の大詰め。自分の原稿は終わっているんだけど、嵐のような忙しさ。吉松さんが差し入れを持って事務所に。その後、一緒に昼飯。

2019年7月25日(木)
夏の書籍の編集の大詰め。ワイフとグランドシネマサンシャインで『ガールズ&パンツァー 最終章 第2話』7.1ch上映を観る。知波単学園が健闘。そんなわけにはいかないけど、知波単学園が勝ってもいいと思った。今回も「え~、ここで終わりなの」というところで終わった。

2019年7月26日(金)
朝の7時から9時の2時間が、嵐のような忙しさ。午前9時30分の回でグランドシネマサンシャインで、ワイフと『トイ・ストーリー4』【IMAXレーザー/GTテクノロジー字幕版】を鑑賞。午後はずっとデスクワーク。

2019年7月27日(土)
午前9時30分からシネ・リーブル池袋で『センコロール コネクト』を鑑賞。ようやく観ることができた。設定がいろいろと分かって、ここからいくらでも話を展開できそう。最初の『センコロール』を観た時も思ったのだけど、作家性の強い作品で、こういった少年マンガ的なアクションもの、あるいはキャラクターものの方向性で作るのはありだ。同日同劇場で「夢見るコリア・アニメーション2019」というプログラムがあり、知り合いが何人も来ていた模様。他はメールとかスケジュールの調整とか。来週の撮影にあわせて床屋に行って、髪と髭を整えてもらう。午後は上京していたガイナックス京都の佐藤裕紀さんとワイフと食事。早めに就寝。

第161回アニメスタイルイベント
『エウレカセブン』を語ろう!

 「交響詩篇エウレカセブン アーカイブス」の刊行を記念して、トークイベントを開催する。出演者は監督の京田知己、キャラクターデザインの吉田健一、デザインワークスのコヤマシゲト。開催日は2019年9月1日(日)で、会場は阿佐ヶ谷ロフトAだ。
 トークの第1部はお客さんの質問に答えながら進行し、第2部は主に『交響詩篇エウレカセブン』のデザインについてお話をうかがう予定だ。また、今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。
 チケットは8月20日(火)昼12時から発売となる。詳しくは以下にリンクした阿佐ヶ谷ロフトAのページをどうぞ。また、会場では「交響詩篇エウレカセブン アーカイブス」をはじめとするアニメスタイルの書籍を販売する。
(追記)前売チケットは完売しました。当日券の販売はありません。

 出演者に質問、あるいは話してほしいことがある方は、TwitterのWEBアニメスタイルのアカウント( @web_anime_style )にリプライするか、「WEBアニメスタイル」のcontactで「その他」の項目にチェックしてメッセージを送っていただきたい。質問を受け付ける期間は8月20日(火)昼12時から、22日(木)昼12時まで29日(木)昼12時まで。全ての質問に答えることはできないが、なるべく答えてもらう予定だ。

■関連リンク
【C96新刊】『交響詩篇エウレカセブン』のイラストとデザインの集大成!
http://animestyle.jp/news/2019/07/29/15865/

阿佐ヶ谷ロフトA
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/126320

アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

第161回アニメスタイルイベント
『エウレカセブン』を語ろう!

開催日

2019年9月1日(日)
開場12時00分 開演13時00分

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

京田知己、吉田健一、コヤマシゲト、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。