新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol.116
映画館で観る『ヤマノススメ』

 6月29日(土)のオールナイトは『ヤマノススメ』特集だ。『ヤマノススメ』は「登山」をモチーフとしたTVアニメである。可愛らしいキャラクター、地に足のついたドラマ、丁寧に作り込まれた映像が魅力の作品だ。
 『ヤマノススメ』は現在まで第3シリーズまでが制作されている。今回のオールナイトでは、5分枠の番組だった第1シリーズ全12話と、15分枠の番組となった『セカンドシーズン』全24話を上映する予定だ。

 トークコーナーのゲストは山本裕介監督を予定している。前売りチケットの6月1日(土)から新文芸坐とチケットぴあで発売となる。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 116
映画館で観る『ヤマノススメ』

開催日

2019年6月29日(土)

開場

22時/開演:22時15分 終了:翌朝6時20分(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日・一般2600円、前売・友の会2400円

トーク出演

山本裕介、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

『ヤマノススメ』第1シリーズ(2013/BD)
『ヤマノススメ セカンドシーズン』(2014/BD)

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第159回アニメスタイルイベント
『この世界の片隅に』に至る道(3)

 2019年7月6日(土)に開催するトークイベントは「第159回アニメスタイルイベント 『この世界の片隅に』に至る道(3)」だ。「『この世界の片隅に』に至る道」は、片渕監督が『この世界の片隅に』を手がけるまで、どのような道をたどってきたのかについて、じっくりとうかがうイベントシリーズである。
 1月に開催した「『この世界の片隅に』に至る道(2)」では、彼が若き日に関わった『NEMO』が話題となった。今回の「『この世界の片隅に』に至る道(3)」では『NEMO』と『アリーテ姫』の間の、ミッシングリンク的な位置づけの仕事について語っていただく予定だ。

 会場は阿佐ヶ谷ロフトAではなく、新宿のLOFT/PLUS ONEだ。くれぐれもお間違えなきように。また、今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。前売り券は6月1日(土)から発売開始。詳しくは以下のリンクLOFT/PLUS ONEのページを見てもらいたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

LOFT/PLUS ONE
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/120098

第159回アニメスタイルイベント
『この世界の片隅に』に至る道(3)

開催日

2019年7月6日(土)
開場12時00分 開演13時00分

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

片渕須直、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となるLOFT/PLUS ONEはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

アニメ様の『タイトル未定』
205 アニメ様日記 2019年4月28日(日)

2019年4月28日(日)
早朝に新文芸坐へ。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 114 押井守映画祭2019 第三夜《ガルム&立喰師》編」の終了を見届ける。事務所に戻ってデスクワーク。その後、ワイフと散歩に。池袋から大塚まで歩いて、大塚から日暮里まで山手線。日暮里から不忍ブックストリートの一箱古本市をのぞきながら、上野まで歩く。一箱古本市では文庫本1冊とマンガ1冊を購入。PARCO_ya上野でワイフの買い物(『らんま1/2』のハンカチ)に付き合って、その後、アメ横をウロウロ。入りたかった店はどこも行列で、前に行った24時間営業の飲み屋で遅めの昼飯。谷根千の落ち着いた感じと、一箱古本市のカルチャーな雰囲気(と一箱古本市の文系女子)でゴールデンウィーク気分を満喫。

2019年4月29日(月)
表参道で食事をしながら、ある監督さんとこれから作るTシャツについて打ち合わせ。

2019年4月30日(火)
新宿ピカデリーで『えいがのおそ松さん』を鑑賞。公開直後に観ることができなかったので、こんな時期になってしまった。内容に関して全肯定はできないけれど好印象。久しぶりに「六つ子が好きだ」と思った。終盤のドタバタの中で、現在の六つ子が高校時代の六つ子に語りかけるところだけでも、観てよかった(特にカラ松のセリフ)。あるキャラクターの存在で、『おそ松さん』ファンの女子の目線を入れているのは面白いけど、僕的にはなくてもよかった。いや、これは我が儘な感想だ。それから、エンディングの高校時代の六つ子を、本編で観たかった。

2019年5月1日(水)
「第157回アニメスタイルイベント アニメ様のイベント 語りまくり編」を開催。僕が語りまくるイベントである。こんな自分勝手なイベントに、数十名のお客さんに来ていただいた。ありがとうごさいます。トークではサムシング吉松さん、遠藤一樹君にサポートしてもらった。第2部以降のほうが、気持ちよく話すことができた。以下はイベント前に書いたトークの構成だ(一部、加筆修正してある)。
⋯⋯⋯⋯
第1部 アニメ様の好きなアニメを語る『鉄人28号[1980年版]』編
・正統派ロボットアニメ。「人間にとってロボットとは何か」を描いている点において正統派。小黒個人にとっては傑作。
・『機動戦士ガンダム』の後に作られたことの意味
・この前後の「東京ムービー新社作品」にあるシャープさ
・作画アニメとして素晴らしい
・配信で観てほしい話数はこれとこれ
・キャラクターデザインは楠部系
・ブラックオックスと作品を貫くテーマ
・49話「さらば! ブラックオックス」ラストのロボットアニメ史上屈指の名場面
・名作になり損ねた最終回
・気になって仕方がない「暴走!地獄の天使」
・マジンガーシリーズやウルトラシリーズへのリスペクト

第2部前半(アニメと出版物、アニメとファンの関係)
・小黒が気になっていること。「ネットの記事は残らない」ようだ。紙で残すことの意義
・「今の作品を取り上げること」の意味
・感想も残らない。皆にも自分の感想を残してほしい。ネットだけでなく、できたら紙に

第2部後半(アニメスタイル大賞2018)
・アニメスタイル大賞2018を選ぶ
【劇場アニメ編】ノミネート
 『さよならの朝に約束の花をかざろう』
 『リズと青い鳥』
 『若おかみは小学生!』
 『名探偵コナン ゼロの執行人』
 『ペンギン・ハイウェイ』
【TVアニメ編】ノミネート
 『宇宙よりも遠い場所』

第3部前半(アニメについて色々)
・『リズと青い鳥』と『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』を観てわかった『響け!ユーフォニアム』第一シリーズの意味
・劇場版『名探偵コナン』の静野監督の仕事
・『宇宙戦艦ヤマト2199』と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』に対するアニメ様の屈折
・評価されていない『傷物語』
・『君の膵臓をたべたい』はいいぞ
・『SSSS.GRIDMAN』で日本のメカ(怪獣)アクションが『パシフィック・リム』に追いついた

第3部後半(アニメスタイルについて)
・「アニメスタイル インタビューズ01」でやりたかったこと。やった感想
・『名探偵コナン』の島本須美さんについて
・今後のアニメスタイル。ちょっとだけ方向性を変える
・小黒がこれからの人生でできることは限られている。あれもこれもは無理(あれもこれもできると思っていた)。できることをできるだけやりたい
・商業アニメに対して(編集や研究を)色々とやってくれる人に大勢でてきてほしい
⋯⋯⋯⋯
アニメスタイル大賞2018は、僕が一人で決める賞だ。劇場アニメ部門は『さよならの朝に約束の花をかざろう』『リズと青い鳥』『若おかみは小学生!』『名探偵コナン ゼロの執行人』『ペンギン・ハイウェイ』の5作品が受賞。5作品の中のスペシャル賞が『さよならの朝に約束の花をかざろう』だ。TVアニメ部門は『宇宙よりも遠い場所』。イベント中に発表できなかったが、アニメーター賞は井上俊之さん(『さよならの朝に約束の花をかざろう』)と本田雄さん(『さよならの朝に約束の花をかざろう』『若おかみは小学生!』)。
それから、数人のお客さんに誕生日のプレゼントとして焼酎をいただいた。これも嬉しかった。イベントの帰りに阿佐ヶ谷の古本屋で、40年ほど前の設定資料集(『まえがみ太郎』、『リスのバナー』、それからイベント販売用に編集されたらしい『宇宙戦艦ヤマト』)と雑誌「ファントーシュ」を購入する。設定資料資料集は各500円、「ファントーシュ」は一冊1000円だった。

2019年5月2日(木)
TSUTAYA東池袋店が6月いっぱいで閉店することを知る。この10年間で一番お世話になったレンタル屋だ。24時間営業だった頃は、特に重宝した。午前中は、ワイフと東京ソラマチの「幾原邦彦展 ~僕たちをつなげる欲望と革命の生存戦略~」と丸善日本橋店の「関修一原画展 ~思い出のキャラクターたち~」に。午後は事務所でデスクワークと片づけ。

2019年5月3日(金)
アクアシティお台場で『バースデー・ワンダーランド』を観る。原作未読だが、原恵一監督としてはおそらく原作に対して向き合い、観客に対してのサービスも考え、自身の映画作りも貫いたのではないかと。

2019年5月4日(土)
「マチ アソビ vol.22」1日目。アニメスタイルとして、マチアソビに参加するのはこれが初めて。馬越嘉彦さん、アニメスタイルのスタッフ達と徳島に。

第611回 エンディングは吉岡さん!

 前回の続き(アニメ監督の仕事、令和元年[2])は次回に回させてください。時間的に上手くまとめきれずスミマセン! で、今回はコレ、

『コップクラフト』のエンディング収録に立ち会ってきました!

 もう発表されてるようなので改めて説明する必要はないかと思いますが、『コップクラフト』のEDは吉岡茉祐さんによるティラナのキャラソンです。事の顛末は、メインスタッフ&キャストさんらとの打ち入りのような食事会の帰り、プロデューサーより「ED、ティラナのキャラソンってダメですか、監督?」との問いに、俺「いいじゃないですか!」と即答。トントンと決定。そして5月某日、すでに曲のラフ(ボカロ入り)をいただいてラフコンテは上がってて清書中だったのと、収録日がアフレコ日の午後となっていたので、帰りに寄っていったというわけです。画のイメージを説明し、かつ俺の方も吉岡さんの歌を聴いてコンテに反映させるため。で、感想、

めちゃくちゃカッコいい!
詞も曲も原作のイメージにピッタリで、抑揚のあるドラマチックな仕上がりに、吉岡さんの歌声が凛としてて気持ちいい!

 1回目のテスト後のディレクターさんと俺。

 収録当日はとうふのような真っ白いワンピースの吉岡さんで、そちらもティラナの「白の鎧」と重なって無垢な感じでした。やっぱ芝居同様、歌も上手い! で、収録風景のスケッチ↓。

 今、大変忙しそうですが「全部手を抜きたくない!」だそう。

吉岡さんは何事も一所懸命だからカッコいいのだと思います!

 ED、放送日をお楽しみに。と言いつつ、その完成版(ファイナルミックス)を聴きつつこの原稿を書いてます。よい!

第157回 観たら買わずにいられない 〜REDLINE〜

 腹巻猫です。早川優さん企画の労作「ウルトラ・マエストロ 冬木透 音楽選集」が5月15日に日本コロムビアから発売されました。「ウルトラセブン」で知られる作曲家・冬木透の作品を集大成したCD10枚組セット。アニメ作品パートの選曲・構成・解説を腹巻猫が担当しました。注目は世界名作劇場『牧場の少女カトリ』の音楽の初CD化! 放送当時発売された音楽編アルバムから主題歌と交響詩「フィンランディア」を除く全曲を収録しました。高額商品ですが、名作アニメファンの方はぜひ!
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JVF89ZP/


 5月31日にアニメ『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』が一部劇場で公開される。小池健監督がこだわりの作画と演出で『ルパン三世』をアニメ化した「LUPIN THE IIIRD」シリーズの3作目。音楽は前2作に続いて、ジェイムス下地が担当している。
 『次元大介の墓標』『血煙の石川五ェ門』と、独特のルパン音楽を構築してきたジェイムス下地が今度はどんな音楽をつけてくるか。映像ともども大きな楽しみだ。
 今回は「LUPIN THE IIIRD」シリーズの前にジェイムス下地が小池健監督と組んだ劇場アニメ『REDLINE』(2010)を取り上げよう。

 ジェイムス下地は1965年、北海道出身。「ペプシマン」(ペプシコーラ)、「カーキン音頭」(フロム・エー)などのヒットCM音楽を手がけた作曲家・音楽プロデューサーである。音楽は少年時代から好きだったが音楽家になるつもりはなく、CMディレクター志望だった。しかし、学生時代にCM制作現場を見学させてもらって、とても下積みには堪えられないと痛感。CM音楽の制作に関心が移っていった。CM音楽制作会社で年間1000本近い現場を経験。やがて作曲もまかせられるようになり、作曲家として活躍を始める。
 映画音楽の仕事は「ウルトラマンゼアス」(1996)から。2000年に石井克人監督の「PARTY7」の音楽を担当し、当時としては斬新なサウンドが注目される。「PARTY7」にはアニメーションディレクターとして小池健も参加していた。その縁が「LUPIN THE IIIRD」シリーズにつながることになる。
 『REDLINE』は2010年10月に公開された劇場アニメ。原作・脚本・音響監督を石井克人、絵コンテ・演出・作画監督を小池健が担当している。手描きにとことんこだわり、作画に4年もかかったという映像が圧巻である。主役2人の声が木村拓哉と蒼井優。これがすばらしいハマリ具合で驚く。
 未来の宇宙を舞台に、銀河最速を決めるルール無用のカーレース「REDLINE」に参加するレーサーたちの友情と恋とデッドヒートを描く。見どころは武器使用もOKのレースシーンの迫力と個性的なレーサーたちのキャラクター。「絵と音がすごい『チキチキマシン猛レース』」みたいな劇場作品だ。
 音楽は、映像が完成したあと全面的にジェイムス下地のフィーリングにまかせて作ってもらったという。ここでも聴きどころとなるのは、レースシーンの音楽とレーサーたちに付けられた曲。映像に負けないパワフルなサントラだ。
 サウンドトラック・アルバムは2010年10月にジェイムス下地の独立レーベル good-beat.com から発売された。「PARTY7」のサントラも「LUPIN THE IIIRD」シリーズのサントラもこのレーベルから発売されている。
 収録曲は以下のとおり。

  1. Yellow Line
  2. Inuki
  3. REDLINE Title
  4. Boy’s Memory
  5. Winner March
  6. ROBOWORLD TV
  7. TV Show
  8. ROBOWORLD
  9. EUROPASS
  10. Mogura Oyaji
  11. OASIS
  12. And it’s so beautiful(feat.Kitty Brown)
  13. Shinkai
  14. MachineHead
  15. Capture Operation
  16. Let me love you(feat.Veronica Torraca-Bragdon)
  17. Get The Stones(feat.Andrew O.Jones)
  18. Crab Sonoshee
  19. 彼のシフトはブンブンブン(feat.SUPER BOINS)
  20. LynchMan & JohnnyBoya
  21. Redline News
  22. Gori-Rider
  23. Miki & Todoroki
  24. Put-up Guy
  25. Red Angels
  26. Three-point decomposition cannon
  27. Tension
  28. Chatter Void
  29. Volton Unit
  30. Vertical Drop
  31. Moniter Room
  32. Sand Biker
  33. Spinning Car
  34. Trouble
  35. Semimaru
  36. Gangstar
  37. Flying Finger
  38. Funky Boy
  39. REDLINE
  40. Exceed Limit
  41. Dead Heat
  42. REDLINE DAY(feat.Rob Laufer)

 収録時間約79分とボリュームたっぷり。楽曲は基本的に映像に合わせて作曲されている。サントラでは作中で使用されなかった部分も聴くことができる。
 1曲目の「Yellow Line」は冒頭のREDLINE出場者を決めるレースシーンの曲。7分近い長さでくり返されるリズムとリフ。いやが上にもテンションが上がる。
 メインタイトルの「REDLINE Title」は50秒程度の短い曲。打ち込みのリズムからコーラスが入り、短いジングルで終わる。CM音楽のようなキャッチーな作りである。
 レーサーが登場するときに流れる曲がどれも秀逸だ。マシンヘッド登場場面の「MachineHead」は「♪マシンヘッド」と歌うコーラス入り。美女2人組のスーパーボインズ登場場面の「彼のシフトはブンブンブン」は2人が歌うキャラソン。リンチマン&ジョニーボーヤ登場場面の「LynchMan & JohnnyBoya」ではコーラスだけでなく、2人のセリフまで入る。
 同じ曲をくり返し使うTVアニメではキャラクターごとに「○○のテーマ」を設定することはよくあるが、映画音楽でここまでやるのは珍しい。ぜいたくな作り方である。マシンヘッドの曲とスーパーボインズの曲はのちのレースシーンでも流れて、キャラクターを印象づけている。
 独裁国家ロボワールドの大統領とボルトン大佐がレースの開催を阻止しようとする場面に流れるオルガンの曲「ROBOROWLD」「Three-point decomposition cannon」「Funky Boy」などは、わかりやすい「悪のテーマ」風。これもTVアニメ的だ。短い登場シーンでキャラクターの立ち位置を伝える工夫だろう。
 また、いちいちそれらしく作曲された劇中のニュース番組のジングルやBGMも耳に残る。細かいところまでこだわった音楽作りは「ここまでやるか……」と呆れるほどだ。
 短い尺で観客を集中させ、心に何かを残す音楽はとてもCM音楽的。メロディやサウンドがということではなく、音楽のコンセプトがそうなのだ。『REDLINE』はジェイムス下地がCM音楽制作で培った技術やノウハウがフルに生かされた作品なのである。
 本作の音楽でもう一つ印象的なのがボーカル曲である。
 ヒロインのソノシーが登場する場面に流れる「And it’s so beautiful」、主人公JPの回想場面に流れる「Let me love you」、ロボワールドの街で聴こえる「Get The Stones」、スーパーボインズのテーマ曲「彼のシフトはブンブンブン」。
 どれもキャッチーでスタイリッシュ。劇中では一部しか流れないが、ちゃんとフルサイズの楽曲が作られている。まるでタイアップ曲のように。これもまた別の意味でCM音楽的だ。
 トラック30からが劇中のクライマックス。ゴールを目指すレーサーたちとレースを阻止しようとするロボワールド軍、レースに熱狂し応援する人々らが入り乱れる、レース&バトルシーンになる。ボロボロになったレーサーたちが立ち上がって走り始める場面のタイトルチューン「REDLINE」では、冒頭シーンの曲「Yellow Line」のモチーフがくり返される。最後の壮絶な競り合いのあとに、美しいエンディング曲「REDLINE DAY」が流れる演出も素敵だ。

 CMディレクター志望から音楽制作の道に入ったジェイムス下地の音楽の作り方は、音楽家というよりディレクター、プロデューサーに近い。映像で何を伝えたいのか? どんな世界を見せたいのか? そこから音楽のコンセプトを決め、曲作りに入る。音楽面での演出家の役割を担っているのだ。小池監督が音楽についてほとんど注文をつけないというのも、氏のディレクターとしての資質に信頼を寄せているからだろう。
 この『REDLINE』のサントラ、試写会に来た人の75%が買って帰ったという(ジェイムス下地氏談)。それもうなずける。作品を観たらサントラを買わずにいられない。そのくらい勢いとパワーのあるサウンドトラックである。ヘッドフォンでなくスピーカーで、大音量で聴きたい1枚だ。

REDLINE オリジナルサウンドトラック
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
204 アニメ様日記 2019年4月21日(日)

2019年4月21日(日)
『スパイダーマン:スパイダーバース』をシネマサンシャイン池袋で、ワイフと一緒に観る。前回はIMAX 3D字幕版で、吹替版はこれが初めて。吹替版もよかった。アニメーションとしてどんなことが行われているのかを確認するなら、2Dのほうがいい。

2019年4月22日(月)
調布で『劇場版 幼女戦記』を「岩浪音響監督監修 シアタス調布”存在4DX”魔音術式上映! 」で観た。戦闘シーンの音響のよさは言うまでもない。TVアニメの『MIX』を1話から3話まで観た。この作品ならではの「語り口」を作ろうとしているのではないかと思った。

2019年4月23日(火)
昼から夜までかけて、打ち合わせ四本立て。事務所での企画打ち合わせ、アニメーターさんとの打ち合わせ、また、アニメーターさんと打ち合わせ、さらに別の方との打ち合わせ。20年以上、一緒に仕事をしてきたその方が業界を去るらしいことを知る。

2019年4月24日(水)
Netflixで『リラックマとカオルさん』を観始める。かなりいい。生活系アニメに近い。こういう書き方をすると、誤解されるかもしれないけど、僕の感覚では『魔法のスター マジカルエミ』に近い。そして、ストップモーションアニメならではの作品にもなっている。同じ物語、同じキャラクター、同じカット割りで手描きアニメでやっても、この存在感は出ないだろう。実写でもやれたとしても違うだろう。
印刷会社から「アニメスタイル インタビューズ01」の見本が届いた。ページ数が少ないことは分かっていたけれど、実際に手に取ってみると、今までの「アニメスタイル」との厚みの違いに驚く。

2019年4月25日(木)
『リラックマとカオルさん』を最終回まで観て、また1話から最終回まで観る。カオルさんの理想の異性のイメージとか、通信販売で買い物をし過ぎた際の金額とか、意外な笑いどころもあり。SNSで、KADOKAWAから「Animec」が刊行されるらしいことを知る。

2019年4月26日(金)
ゴールデンウィーク前で事務作業が山盛り。

2019年4月27日(土)
午前中に、ユナイテッド・シネマとしまえんで『アベンジャーズ/エンドゲーム』を2D吹き替え版で鑑賞。3時間の上映時間も長くは感じなかった。立派な出来だった。お見事。

第610回 アニメ監督の仕事、令和元年(1)

 予定どおりこちらの話題でいきます。

アニメ監督が「監督としてやらなければ(できなければ)ならない仕事」は時代の空気に合わせて年々変わる。当たり前だと思います!

 アニメ監督とはいったい何をする仕事なのでしょうか? この問いに対する様々な答えを先輩・後輩から聞きます。例えばメジャーな返答は「監督は画を描く仕事じゃない」と。アニメーター出身監督&現役アニメーターの俺に対してだから、あえて仰ってるのか分かりませんが、自分より年配の方によく言われました。もっと端的に「監督は画を描くべきではない!」と力説された方も。「自分で画を描いたら演出が巧くならないよ!」と。これは一理あると思いますし、少し前までは自分も結構信じてました。でも「監督は画描きじゃない」主張って本当に信憑性あるのでしょうか? 俺に言わせると、それを本気で仰っているのであれば、その監督は「画を作る現場の苦労」を全然知らないだろうし、もしかするとおのれ自身を脅かす存在になるであろう監督志望の有望アニメーターに諦めさせて、自分の地位を守りたいだけの発言でしょうと。少し考えれば分かる話だと思いますが、歴史上、アニメーションが発祥した時は基本皆「素人」なはずです。つまり「これから始まるアニメという文化はワシがすべてを取り決める! これがマニュアルじゃ! まずイマジナリーラインは守るべしっ! カメラは無駄に動かしてはならーぬ!」と仰った文字どおりのアニメ様が存在した? そんなわけがないでしょう。どんな文化も最初は手探り。始めは小品な短編アニメならアニメーターが演出(監督)も兼ねてたものはもちろんありましたが、商業ベースの映画を作る時でしょう——「画描きじゃない監督」がまるで演出のスタンダードであるかのような勘違いが生まれたのは。だって昔の映画興行サイドの偉い人たちがアニメーターに映画を作らせるわけありませんから。映画として長編アニメ映画を作る際、それがたとえアニメであろうと映画として公開されるのであれば「画が描ける、コンテ切れる云々」よりも、興行側としては「映画を撮ってお客に観せた」という実績のほうが断然優先なのは当然のこと。アニメの現場にしても、まだ「画で映画を作るって、演出(監督)は何をするのか?」が誰も分かっていなかった時代、今のようにレイアウトチェックができることが監督の条件ではなかったはず。そこでは必ずしも演出家がコンテを描かなければならないというルールも概念もなかったでしょうし、ましてや原画に手を入れるなど——。アニメ史に興味がある方なら当然ご存知かと思いますが、日本アニメの黎明期、アニメ会社(スタジオ)によってそれぞれ監督として立てた人材が違います。例えば虫プロダクションやタツノコプロはマンガ家、つまり手塚治虫先生や吉田竜夫先生らが監督として最初立ってました。東京ムービー(現・トムス・エンタテインメント)は初代社長の藤岡豊さん繋がりで、人形劇方面からおおすみ正秋さんや長浜忠夫さん。そして東映動画(現・東映アニメーション)は当然実写方面から薮下泰司さん。薮下さんは実写映画のなかでも教育映画出身だと大塚康生さんから聞いたことがあります。つまりアニメーション=まんが映画=子ども向け。「教育映画は実写とはいえ同じ子ども向け」というわけです。もっと遡ると、戦中には国産アニメ初の長編映画といわれる『桃太郎 海の神兵』(1945年公開/74分)があり、こちらの監督の瀬尾光世さんはすでに作画もご自身でやられています。ちなみに瀬尾さんは、後に「せお・たろう」のペンネームで絵本作家としてご活躍された方で、手塚治虫先生は自身のインタビューで「せお・たろう」さんと呼んでました。
 また話がバラバラになりましたが、早い話、初の長編カラー映画『白蛇伝』(1958年)の薮下監督が実写出身であったとしても、それより13年前に自ら画も描く瀬尾監督が『桃太郎』を作ってたということは、単純に前述の「監督は画を描くべきではない」論はまったく根拠がないということが分かります。そして後のTVシリーズにおいても演出を担ったのはマンガ家や人形劇作家と様々であると。特に絵コンテに関しては「画が描ける描けないに関わらず、演出家自身が描くべき」という概念は東映以外は見当たりません。他はほぼアニメーターが(マンガ感覚で、かもしれませんが)描いていたようです。前述の長浜監督はコンテは描かれませんが音響にはかなり拘ったらしく、色が付かない(線撮り)状態では絶対アフレコはせず、役者さんの前で芝居の手本を見せたり、遂には音響監督もされてました。これもひとつのスタイル。

アニメ様の『タイトル未定』
203 アニメ様日記 2019年4月14日(日)

2019年4月14日(日)
早朝の新文芸坐に。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 113 2018年傑作アニメ! リズ・ペンギン・若おかみ」の最後を見届ける。オールナイト終了後に、館内の掲示で気がついたのだが、お客さんの投票による「2018年 新文芸坐ベストテン」で、邦画の10位が『若おかみは小学生!』、12位が『ペンギン・ハイウェイ』だった(Twitterで『ペンギン・ハイウェイ』が11位だとツイートしたが誤りだった。すいません)。素晴らしい。

2019年4月15日(月)
「アニメスタイル インタビューズ01」の追い込みの日々。昼までに「アニメスタイル インタビューズ01」の最後の原稿。

2019年4月16日(火)
「アニメスタイル インタビューズ01」の追い込みの日々。コンビニを数件回って「気分はもう戦争3(だったのかも知れない)」が掲載された「漫画アクション」を購入した。

2019年4月17日(水)
「アニメスタイル インタビューズ01」校了。印刷会社に組んでもらったスケジュールから遅れてしまった。夕方、散歩をしたら事務所の近くに、アニメファンのためのヘアサロンができていた。

2019年平4月18日(木)
「アニメスタイル インタビューズ01」の編集作業が一段落したので、通常モードに戻る。午前中はデスクワーク。昼にポケモンGOでポケモンの交換をするために、業界のある方と喫茶店で待ち合わせ。ポケモンGOについて色々と話をした。僕も熱心にポケモンGOをやっているほうだと思うけれど、その方のやり込みにはとても敵わない。ちなみにその人は僕よりも年上だ。池袋HUMAXシネマズで『名探偵コナン 紺青の拳』を観る。絵コンテに目を通していたが、完成作品を観るのはこれが初めて。上映終了後、周囲に座っていた女性客達が大喜び。ファンが喜ぶポイントをしっかり押さえていた。新文芸坐で今後のオールナイトについて打ち合わせ。

2019年4月19日(金)
新宿ピカデリーで『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』を初日朝イチの回で観る。感想としては「卒業した部の先輩が、後輩達が頑張っているのを見ている気分」だった。細かいところでよかったのは小笠原晴香元部長の描写。この日記がアップされる頃には、公開から数週が経っているはずなので、以下はネタバレ込みで書く。物語の構成を気にしながら観ると、映画の途中で久美子達が全国大会に行けないことが分かってしまう。それがちょっと残念だった。それから、新1年生にスポットが当たるので、どうしても「久美子の話」としては弱くなる。それでも真摯な作りで作品としてまとめていた。いつか作られる3年生編では、かつてのあすか先輩に匹敵するような3年生に、久美子がなれるかどうかが描かれるのだろう。意識して他人と距離をとっていたあすかに対して、久美子はどうするのかという点に興味がある。また、上級生ではあるけれど演奏が上手ではない夏紀のドラマを、葉月が引き継ぐことになるはずで、そこも楽しみだ。3年生編のタイトルは『劇場版 響け!ユーフォニアム~奇跡のアンコール~』がいいな(もっとヒネったタイトルになると思うけど)。
さらに『響け!ユーフォニアム』の話を続ける。石原立也監督の劇場作品と、山田尚子監督の劇場作品が作られると発表された時、正直、興奮した。『響け!ユーフォニアム』TV第1シリーズはどこまでが石原監督のカラーで、どこまでが山田監督のカラーか分からなかった。2人がそれぞれ監督作品を作ることで、カラーが分かると思ったのだ。結論としては分かった。いや、分かったような気がする。

2019年4月20日(土)
ユナイテッド・シネマとしまえんで『キャプテン・マーベル』の吹き替え版を、ワイフと一緒に観る。多くの人がそう思ったに違いないけれど、主人公の終盤での強さは反則レベルで、1人でサノスをやっつけられるのではないかと思った。話は変わるが、今日も池袋の街にはコスプレイヤーさんが大勢いて、『紺青の拳』のアーサー・ヒライのコスプレをしている人がいた。コナンではなくて、アーサー・ヒライのコスプレである。

第609回 人間は多面的

 前回の続きをもう少々。10数年前の原画仕事の時の、コンテを描かずに飲み歩いて原画マンを手空きにして、アフレコもバラされたダメ監督の話。いきなり話が逸れますが、役者(声優)さんにも「○月〜○月までの○曜日押さえ」があります。だからコンテのスケジュールを引っ張りすぎると、役者さんらの次のレギュラーが始まったりして、結果アフレコを2〜3回に分け、それぞれの空き時間に抜き抜きで収録するハメになります。特に人気声優さんがレギュラーになってる場合は。制作プロデューサーも音響制作も非常に困るわけです。
 実は我々みたいなフリーのアニメーターにとっても「ふざけんなっ!」で。だって「ひと月でこなせるカット数が減る=稼ぎが減る」のですから。このことは現在のアニメーター不足、さらに大手アニメ会社によるアニメーター大量拘束に繋がってるわけですが、その話はまた別途。
 で、ダメ監督の現場の話に戻します。俺個人はそのデスク氏が気の毒だったので、スタジオに入って別作品の仕事をやりつつ、ダメ監督のコンテが上がったところから、できる数だけ描く約束をして待ちました。その際、

 と腹の中で思っていました。これ性格悪いとか裏表のあるイヤな奴? そう思われる方、人間をなんだと思ってるのでしょうか? 俺に言わせると人間なんて誰でも「腹の中」というものがあります。特にアニメーターとかやってると、例えばモブシーンで「この人は何を考え、何をするためにここにいるのか?」を自分なりに考えて描かないとポーズが同じになってしまいます。だから本来は、そこにいて立ってる人数分の役をこなすつもりでないと描けないもの(もちろんどこまで突き詰めるかはアニメーター毎に個人差はありますが)。「ベルセルク」の三浦建太郎先生も、村人・兵士モブのそれぞれのバックグラウンドを考えて、コスチュームや表情・ポーズを描かれているらしいです。これ役者さんがその他大勢を演じてるのにも通じるし、声優さんのガヤ録りにも言えますね。今思い出しましたが、富野由悠季監督も以前(といっても10年以上前)N○Kの番組に出演なさった際、観客席の一角を差し「例えばあの人はなんでここに来たのか? を考え、名前をつけてまわりの人と絡みだして物語になる云々」と仰ってました。そして自分もアニメーター修業のテレコム時代、先輩から

電車の乗客のポーズを見れば、1人として同じポーズはない!

とも言われてましたから、未だに電車に限らず人ごみの中に入ると、人々のポーズを観察するクセが抜けていませんし、「何しにこの人はここに?」「あの人は誰かと待ち合わせ?」などと考えて歩くので、スマホなどイジらなくても退屈しないのです。そう考えて街に出て、いろんなものを感じてると当然思うはずです。

世界には自分以外の思考・感情が何十億、さらに同じ数だけの「腹の中」がある! しかも皆同じ時間を共有しているわけだから、自分が今真剣に考えてる「世の中の問題点」とは別の事柄について、自分と同じ時間考えてくれてる他人がいる!

と。今までのこの連載で語ってきたどれよりも当たり前の話してますよね? 例えば前述のダメ監督にも「役者やアニメーターの都合よりも大事な飲み会がある! そこで決まった仕事を皆に落してあげるんだから」な言い分(彼なりの正義)もあるんでしょう。そう、人間は物事を皆「多面的」に考えるべきで、もし「自分、腹立った!」があるなら、まず「相手の方は?」を同時に考えるのが普通。
 だから! ここからは持論なのですが、真剣に取り組んでるアニメーターやアニメ演出家なら「あれで監督できるなら俺だって」と腹の中で考えてる後輩らが現場には何十人とかいることくらい想像してるべきなんです。

何せ白紙から人の感情を組み立て、
描くのがアニメーターでありアニメ演出家!

ですからね。それぞれのキャラを正面だけでなく、側面や腹の中まで想像して描かなければ、アニメの作画もコンテも演出もできないのです、本来。出崎統監督も『おにいさまへ…』(1991年)で「エイリアン(女性)を想像して描く」と仰ってたし、『おにいさまへ…』を観れば、出崎作品の独特のカメラワークやストップモーションは、そのキャラの多面性を描くのに必要なのだと分かるはず。その腹の中を作画の芝居で表現できるならアニメーターセンスで表現すればいいし、それをカメラワークでこなすのも全然ありだし、脚本が書けるなら演者さんのセリフに託す、それはおのおの自由。「何をどう描いて伝えるのか?」が何よりも優先されるべき作品づくりにおいて、「FIXであることが最優先!」を掲げるだけの者こそ、90年代最高! に取り憑かれた頭デッカチのただのインテリ。

映像作品にとって、やっちゃいけない撮り方なんてありません! 「やっちゃいけないこと」を羅列する消去法的指導から、新しい作品なんて作れるはずがない!

と、また話が逸れて持論でした(読みにくくてすみません)。
 つまり前回・今回で言いたかったことは、他人の気持ちが分かるまでできなくても、少なくとも「分かろうとする」くらいができないとコンテも原画も描けませんし、脚本も書けないと思います、ということです。そして、それに取り組む努力を怠っている監督は、自然淘汰されていくでしょう。当然これは自らを律するためにも言ってることで、それこそ面接の時からウチの新人たちには「俺から仕事を奪ってくれ! 俺を干すことができたら一人前だ!」と言ってるんです。で、次回は

アニメ監督が「監督としてやらなければ(できなければ)ならない仕事」は時代の空気にあわせて年々変わる。当たり前だと思います!

って内容になる確率は60%。

第158回アニメスタイルイベント
亀田祥倫の新世紀の思い出のアニメを語る会

 6月2日(日)に開催するトークイベントは「第158回アニメスタイルイベント 亀田祥倫の新世紀の思い出のアニメを語る会」である。これは『モブサイコ100』『映画ドラえもん のび太の宝島』等で知られるアニメーターの亀田祥倫をメインとした企画で、彼が好きなアニメ、観てきたアニメについて語るというもの。ざっくばらんな雰囲気の、肩の凝らないトークとなるはずだ。現在のところ、決まっている出演者は亀田祥倫とアニメスタイル編集長の小黒祐一郎。追加のゲストについては改めてお伝えする。

 今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。前売り券は本日・2019年5月8日(水)から発売開始となっている。詳しくは、以下のリンクの阿佐ヶ谷ロフトAのページを見てもらいたい。また、会場ではアニメスタイルの関連書籍を販売する予定だ。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

阿佐ヶ谷ロフトA
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/117521

第158回アニメスタイルイベント
亀田祥倫の新世紀の思い出のアニメを語る会

開催日

2019年6月2日(日)
開場12時00分 開演13時00分

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

亀田祥倫、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第156回 時代を越えた競演 〜ママは小学4年生〜

 腹巻猫です。令和の時代もよろしくお願いします。都内で5月19日まで開催中の「シド・ミード展」眼福でした。『YAMATO2520』『∀ガンダム』の展示もあり。もう1回ぐらい行きたい。


 今回は90年代アニメの中でも個人的に心に残る1本、『ママは小学4年生』を取り上げる。
 『ママは小学4年生』は1992年1月から12月まで放送されたTVアニメ。サンライズ制作のオリジナル作品である。『魔神英雄伝ワタル』(1988)、『魔動王グランゾート』(1989)などを手がけた井内秀治が総監督を務めた。
 ある日突然、15年後の未来からやってきた自分の赤ん坊を育てることになった小学4年生の少女なつみと周囲の人々の奮闘を描くSF作品。といってもSF要素は最小限に抑えられ、なつみの子育ての苦心や赤ん坊をめぐる騒動が、ときにコミカルに、ときに感動的に描かれる。SF的設定を借りて「親子の絆」を描いた、ほかにあまり類のないユニークな作品である。1993年にはSFファンがすぐれたSF作品を選出する「星雲賞」のメディア部門を受賞。派手さはないが、根強いファンがいる名作だ。

 しかし、音楽については謎がある。
 音楽担当としてクレジットされているのは、千住明、神林早人、加藤みちあきの3人。
 千住明は(記録に残る限り)これが初のアニメ作品である。それまでに劇場作品と単発ドラマを数本担当しているだけで、映像音楽作家としては駆け出しの時期だった。本作の翌年には『機動戦士Vガンダム』の音楽担当に抜擢され、TVドラマではヒット作「高校教師」(1993)、「家なき子」(1994)を続けて担当して注目される。まさにこれから飛躍しようとする直前の作品が『ママは小学4年生』だった。
 神林早人は井内秀治監督の『魔神英雄伝ワタル2』(1990)の音楽を門倉聡、兼崎順一と共同で手がけている。代表作のひとつはTVアニメ『コボちゃん』。アニメソングの作・編曲も多い作家である。
 加藤みちあきは1989年におおたか静流とのユニットdidoを結成し、1989年にポリスターよりアルバム「Pagina」をリリースしてメジャーデビュー。J-POPからCM音楽、映像音楽と多彩な分野で活躍する音楽プロデューサー、ギタリスト、作・編曲家である。アニメでは『ホワッツマイケル』(1988/馬飼野康二と共同)、『神風怪盗ジャンヌ』(1999) などの音楽を手がけている。
 ひとつの作品に3人の作曲家がクレジットされることも珍しいし、映像音楽の経験が少ない顔ぶれが集まった経緯も興味深いところだ。
 さらに、サントラ盤を手にすると、もう1人意外な作家が参加していることがわかる。

 その話の前に、本作の音楽アルバムを紹介しよう。
 本作の音楽アルバムはビクター音楽産業(ビクターエンタテインメント/現・フライングドッグ)から2タイトルが発売されている。1992年5月に発売された「ママは小学4年生 音楽篇」と1993年11月に発売された「CDシネマ ママは小学4年生〜AFTER〜」である。後者はオリジナルドラマを収録したドラマCDだが、アルバムの後半はBGM集になっている。
 収録曲は以下のとおり。

「ママは小学4年生 音楽篇」

  1. 未来からのプロローグ(作・編曲:神林早人)
  2. 愛を+ワン(歌:益田宏美)
  3. 友情(作・編曲:千住明)
  4. 急いで!!(作・編曲:千住明)
  5. 戸惑い(作・編曲:神林早人)
  6. さわやかな風(作・編曲:神林早人)
  7. 不思議なroute(作・編曲:千住明)
  8. この愛を未来へ(インスト・ヴァージョン)(作曲:樋口康雄/編曲:千住明)
  9. 夢のDoor(作・編曲:千住明)
  10. 愛を+ワン(インスト・ヴァージョン)(作曲:樋口康雄/編曲:千住明)
  11. みらいのテーマ(作曲:池毅/編曲:神林早人)
  12. ふれあい(作・編曲:神林早人)
  13. なつみのテーマ(作曲:神林早人/編曲:加藤みちあき)
  14. ほんのりLOVE(作・編曲:千住明)
  15. この愛を未来へ(歌:益田宏美)
  16. 未来へのエピローグ(作・編曲:神林早人)

「CDシネマ ママは小学4年生〜AFTER〜」

  1.愛を+ワン〜Short version(歌:益田宏美)
  2~7.ドラマ
  8.この愛を未来へ〜Short version(歌:益田宏美)
  〈ミニBGM集〉
  9.天才!江地さん(作・編曲:神林早人)
  10.恋はトラブル(作・編曲:加藤みちあき)
  11.危険な予感(作・編曲:神林早人)
  12.みらいちゃんのしっぽ(作・編曲:神林早人)
  13.今夜は騒ごう(作・編曲:加藤みちあき)
  14.ド・キ・ド・キ(作・編曲:千住明)
  15.タイムマシン(作・編曲:神林早人)
  16.夢が丘の希望(作・編曲:神林早人)

 「音楽篇」は主題歌2曲とBGM14曲を収録。頭にプロローグ曲とオープニング主題歌を、最後にエンディング主題歌とエピローグ曲を配した構成。日常、心情、ミステリー、サスペンスとバラエティに富んだ曲が選曲され、イメージアルバム風にまとめられている。
 しかしながら、総収録時間は40分足らずと短くて、ファンにはもの足りなかった。
 そのためか、2枚目の「CDシネマ」にはBGM8曲が追加収録された。
 繊細でクラシカルな音楽を書く作家という印象が強い千住明だが、本作ではシンセサイザーを取り入れた小編成の曲を提供していて、まだ本領発揮の感じではない。神林早人と加藤みちあきの曲も、同様にシンセ+小編成のオケ+バンドという編成。クラシック寄りでもなく、完全にポップス寄りでもなく、その中間的なサウンドである。
 注目は「音楽篇」のトラック11「みらいのテーマ」だ。作曲者は池毅。TVアニメ『超獣機神ダンクーガ』の音楽や『DRAGON BALL』『おジャ魔女どれみ』の主題歌など、キャッチーな楽曲で知られるヒットメーカーである。『ママは小学4年生』のサントラではこの1曲のみにクレジットされている。
 「みらいのテーマ」は、第2話以降、本編冒頭に毎回のように流れる「あたし、水木なつみ、小学4年生」というなつみのナレーションのバックにかかるおなじみの曲だ。池毅らしいポップなメロディの曲……というより、完全に歌メロ。もしや主題歌のコンペに残った曲だったのでは……? と想像がふくらむ。
 先に触れた、『ママは小学4年生』の音楽にかかわったもう1人の「意外な作曲家」が池毅なのだ。
 池毅の参加を含め、本アルバムからは、なんとなく音楽の方向性を決めかねているような雰囲気がうかがえる。
 赤ちゃんをめぐるドタバタに焦点を置いたにぎやかな作品なのか、親子の絆と友情に焦点を置いた心情重視の作品なのか。要素としてはどちらも重要なのだが、本編を観てきたファンとしては、後者の方向の音楽をもっと聴きたかったという思いが残る。
 以下、2枚のアルバムから印象深い曲を紹介しよう。
 「音楽篇」のトラック3「友情」はトランペットの温かい音色が奏でるミディアムテンポの日常曲。なつみとクラスメートとの友情や日常生活を描写する曲として第1話から使われている。アルバムの導入にぴったりのさわやかな曲。
 同じくトラック9「夢のDoor」はバイオリンが美しいメロディを奏でるしっとりとした心情曲。2クール目の重要エピソードである第17話「ゴメンネみらいちゃん!」で、なつみが同級生の大介にロンドンに行く決意を話す場面に流れている。
 その第17話で、なつみがみらいと離れて暮らす寂しさを大介に打ち明ける場面に流れたのがトラック14「ほんのりLOVE」。ピアノ・ソロによるメロディが胸に沁みる曲で、なつみと大介のラブテーマという趣だ。この曲は第49話「わたしがママです!」で、なつみがクラスメートたちにみらいは未来から来た自分の赤ん坊だと真実を明かす感動的なシーンに使われている。
 トラック12「ふれあい」は、オーボエのメロディが切ない心情曲。第17話と最終話では、なつみが悲しみをこらえてみらいと別れる決意をする場面に流れていた。
 ほかに、タイトル通り風が吹き渡るようなトラック6「さわやかな風」、次回予告に使われたメロディを発展させたトラック13「なつみのテーマ」も聴きごたえがある楽曲だ。
 樋口康雄の曲を千住明が編曲したトラック10「愛を+ワン(インスト・ヴァージョン)」は、木管とストリングスのアンサンブルがクラシカルで優雅なサウンドを聴かせる、さすが千住明と言いたくなる曲。本編では短いアレンジがたびたび使われていた。

 2枚目の「CDシネマ」には「音楽篇」からもれた重要な曲が収録されている。
 トラック9「天才!江地さん」は自称天才科学者の江地さん(エジソンのもじり)のテーマ。江地さんが初登場する第12話「タイムマシンで出発!」で江地さんが作った蒸気機関車型タイムマシンが爆走するシーンに流れた。
 同じく第12話でなつみたちがタイムマシンを見つける場面に流れたのがドラマティックな曲想のトラック15「タイムマシン」。ちょっと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のテーマを思わせる曲である。
 トラック12「みらいちゃんのしっぽ」はシンセの音色が楽しく軽快に踊るユーモラスな曲。なつみがみらいの世話に手を焼く場面やなつみと大介の口げんかの場面など、日常シーンを彩る曲としてよく使われていた。
 トラック14の「ド・キ・ド・キ」は終盤のエピソードで、なつみとみらいをめぐるうわさ話が町に広まる場面やそれを聞きつけたレポーターがみらいの家に集まってくる場面などに使われたコミカルタッチのサスペンス曲。
 「CDシネマ」に収録された最重要曲はトラック16「夢が丘の希望」だ。ストリングスの駆けあがりから始まるミュージカルナンバーのようなロマンティックな曲で、第17話のラスト、ロンドン行きをやめたなつみが大介の抱くみらいのもとに帰ってくる場面に使われた。また、最終話「さよならみらいちゃん」では、タイムマシンで未来に帰っていくみらいとなつみたちとの別れの場面に流れて感動を盛り上げた。『ママ4』ファンには忘れがたい1曲である。

 さて、本作の音楽について語るなら主題歌に触れないわけにはいかない。
 オープニング主題歌「愛を+ワン」とエンディング主題歌「この愛を未来へ」は、ともに岩谷時子の作詞、樋口康雄の作・編曲、益田宏美(現・岩崎宏美)の歌唱による曲。
 個人的に「愛を+ワン」は90年代アニメソングのベストと呼びたい超絶名曲である。天才・樋口康雄。どうしたらこんな曲が生まれるのか想像もつかない。筆者が樋口康雄本人から聞いた話によれば、アメリカで仕事中に発注を受け、録音まで間がなかったので、帰国する飛行機の中でメロディを書き、帰国してすぐオーケストレーションして録音したのだそうだ。それでこんな曲ができてしまうのだから、やはり天才……。
 同時に、録音がぎりぎりだったことから、本作の主題歌づくりは難航したのでは……? とまたも想像がふくらんでしまう。
 ともあれ、すばらしい主題歌を得たことで、本作の音楽イメージは決定的なものになった。クラシック音楽を思わせる樋口康雄の精巧なオーケストレーション、岩谷時子のロマンティックな詩、益田宏美のみごとな歌唱。聴くたびにうっとりしてしまう。この歌が毎回流れることで、『ママは小学4年生』は日常アニメというよりも、スケールの大きな、時代を超えた大河ロマンの風格をそなえた作品に見えてくる。なつみたちの日常の背景にある、過去から未来へと連なる親子の絆を、この曲が表現しているのだ。
 そして、エンディング主題歌「この愛を未来へ」に樋口康雄はユニークなしかけを施している。モーツァルトの「ピアノソナタK.545」を伴奏にしてメロディを作ってしまったのだ。これまた天才としか言いようがない発想と技巧である。
 これで『ママは小学4年生』の音楽のピースがすべてそろった。
 千住明、神林早人、加藤みちあき、池毅、樋口康雄、そして、モーツァルト。18世紀の天才から現代の天才、これから活躍する未来の作曲家までがそろった顔ぶれは壮観だ。本作の音楽がどのように作られたか、まだまだ研究の余地がある。しかし、時代を越えた作曲家の競演は、過去・現在・未来と続く親子の絆を描いた『ママは小学4年生』という作品にふさわしかった、と思うのである。

ママは小学4年生 音楽篇
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CDシネマ ママは小学4年生 〜AFTER〜
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アニメ様の『タイトル未定』
202 アニメ様日記 2019年4月7日(日)

2019年4月7日(日)
昼から「第156回アニメスタイルイベント『若おかみは小学生!』絵コンテ コメンタリー」を開催。ゲストは高坂希太郎さん。今回のイベントでは絵コンテの解説だけでなく、これまでの取材でうかがって、記事に組み込むことができなかった話題についても改めて話していただくつもりだった。大半は話していただけたが、進行の関係でいくつか小ネタが残ってしまった。それはまた別の機会に。時間配分に関しては、トークが2時間、サイン会が1時間のつもりだった。高坂さんがハイスピードでサインを入れてくれたおかげで、余裕をもって、イベント終了。

2019年4月8日(月)
「アニメスタイル インタビューズ01」の追い込みの日々。差し入れを持って、吉松さんが事務所に登場。

2019年4月9日(火)
「アニメスタイル インタビューズ01」の追い込みの日々。作業をしながら『ケムリクサ』を1話から観る。最初に1話を観た時は、なんとなく入り込みづらかったのだけど、二度目ではそんなことはなかった。どんな作品か分かってから観たせいかもしれない。

2019年4月10日(水)
「アニメスタイル インタビューズ01」を進めつつ、「設定資料FILE」の構成。作業をしながら『どろろ[2019年版]』を1話から観返す。最終回まで観てみないと分からないが、『どろろ[2019年版]』は古橋一浩監督の代表作になるのではないかと予想している。

2019年4月11日(木)
「アニメスタイル インタビューズ01」の追い込みの日々。

2019年4月12日(金)
「アニメスタイル インタビューズ01」の追い込みの日々。『キャロル&チューズデイ』と『さらざんまい』の1話を観た。

2019年4月13日(土)
オールナイト「新文芸坐×アニメスタイルVol. 113 2018年傑作アニメ! リズ・ペンギン・若おかみ」を開催。随分前から準備していた企画でようやく実現した。ゲストは高坂希太郎監督と石田祐康監督。トークでも話したけれど、上映順番についてちょっと考えた。最初や二番目に『若おかみは小学生!』を観て泣いてしまうと、次の映画までに気持ちを切り替えるのが難しいかもしれない。繊細な『リズと青い鳥』は頭がスッキリしている最初に観てもらいたい。それで『リズと青い鳥』『ペンギン・ハイウェイ』『若おかみは小学生!』の順番とした。各作品について初見のお客さんが多い今回は、これで正解だったと思う。

第608回 物事の多面性

 現在『コップクラフト』第9話のコンテ作業中。来月中旬には全話分のコンテを終わらせて、作画にも参戦します。そこまでは社内の若手で演出・作画を突っ走ってもらって、自分は総合の打ち合わせとチェックがメイン。月並みな意見ですが、1人では作れません、アニメは。色々な人の手で作られるものです。人の手とは「人の時間」とも言い換えられます。さらに時間とは、ぶっちゃけ人生のこと。人様の人生のある一部を借りて作品を作るのが監督である以上は、各スタッフのテンションのバラつきは覚悟の上。制作中のダメ出しはもちろんあっても、最終的にでき上がったものに対して「会社がいいアニメーターを揃えられなかった云々」は言うべきではありません。なぜならいいアニメーターが揃わないのも「監督にカリスマ性がないから」でしょう。少なくとも俺は最初からそう思ってたし、監督・演出家として渡り歩いたどの会社(スタジオ)においても、「もっと優秀なアニメーターを揃えてきて!」などとは1回も言ったことはありません。それは世間で活躍しているヒットメーカーと自分を比べても仕方ないからです。「この人についていけば、私を幸せなトコへ連れてってくれるハズ」と信用されたカリスマ監督には、自然と人が集まるし、制作さんらもスタッフ集めに苦労はしないでしょう。当たり前な話。だから板垣は、監督の責任であるコンテを上げきったら作画もお手伝いするわけ。自分のカリスマ性皆無が招いた部分はおのれでできるだけ回収しないと!
 実際俺の場合「一作画マン」としても、アチコチ会社をまわったため、

アニメーター側から見た「監督」と「ダメ監督」の違いはハッキリ差をつけて接してました!

 コンテを持って自宅にこもった挙げ句連絡がつかず、何人ものアニメーターにタップと鉛筆を握らせたまま、何週間も待たせる作家気取り監督や、現場に来たら来たで、自らのザルチェックを棚に上げまくってリテイクを山ほど出して帰る監督。ずっと手を動かしてる総作監の後ろに立って話しかけ続け、終いには「飲みにいこう!」とさらに職人の時間を奪っていく(だったら最初から飲み屋でダベるべき)自分ではフランクで親しみやすいと思い込んでる監督とか。
 監督は上り詰めた地位を永遠に維持できて当然だと思ってはいけません。いつどこの現場でも寝首をかかれないように、自宅でのみ発揮される作家的センスより、現場に貢献できる実務を磨くことの方が重要です(断言)! そもそも俺自身は「上り詰めた」とも「地位を維持したい」とも思っていません、あしからず。

監督とはあくまで制作現場で作品の方向性を仕切るという「役職」であり、ある種の作家足りうることの証明でもなんでもありません!

から。よって少なくとも自分がアニメーター側として渡り歩いてきた現場では、前述のようなダメ監督は制作サイドから静かに嫌われていきました(誰にも忠告されずに)。例えば、某スタジオに原画マンとして呼ばれた際、

てことがありました。このデスク氏は、監督のコンテを今か今かと待ち続け、監督の自宅に何度も押しかけては「上がってない」の繰り返し。その監督様のコンテ待ちのおかげで、カッティング(編集)とアフレコを3回も飛ばされたために、役者(声優)さんもバラされ、さらにその間集めていた原画マンにもどんどん逃げられ、この時点でコンテが上がったところで半分以上は海外まきになるのが分かってて……。これ、デスク氏悪いですか? 俺はこのデスク氏の態度は当然だと思います。その後このデスク氏は「あの監督の作品をやらされるならオレ辞める」と会社側に進言。以降その監督はその会社に呼ばれなくなりました。実はこれに似た事例、あちこちでありました。アニメーター側から見て「あ、この監督、次はないな」と。同時期周りにいた俺と同年代のアニメーターに起こった例を挙げると、最初は「○○監督に認められて」と意気揚々付いていくと、制作中にその監督がダメ監督なのが発覚して、その制作が終わるまでとガマンにガマンを重ねつつもデスク・制作Pと「○○監督の次は、君に監督を任せたいから」という流れで監督になった、ということがありました。その際、委員会でそのダメ監督を指名した張本人のプロデューサーですら説教ひとつせず、悲しいかな自然と離れていくのがほとんど。これらの事例は、どっちが正しい悪いとかは関係なく、ただそこにあるのは現場を回す制作側が「お前とはやりたくない!」と言っている大人な現実だけ。自らの恥部をさらしますが、10年近く前に監督降板があった時に、そのことが分かってたので公では何も言い訳しませんでした。そりゃ腹も立ったし、言いたいことはありました。でも「お前とやらない!」と言わせてしまったのが俺であるのは間違いないのです! あ、もちろん周りの知人には思いっきり愚痴りましたよ。その説はご迷惑をおかけしました! また次回、この続きをGW明けで!

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 115
スクリーンで観る『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』

 昨年に続き、『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』全話上映のオールナイトを開催する。

 『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』は横山光輝原作、今川泰宏監督によるOVAシリーズだ。「水滸伝」「三国志」「鉄人28号」「マーズ」等、横山光輝作品のキャラクターがメイン、サブを問わず、続々登場。ケレンミたっぷりの演出。マンガ的なキャラクターとダイナミックなアクション。アニメ史上空前にして、おそらく絶後の豪華なキャスト陣。天野正道作曲、ワルシャワ・フィルハーモニーによるフルオーケストラのBGM。作品コンセプト、ドラマ、ビジュアル、出演者、音楽、その全てにおいて破格の娯楽作だ。

 この傑作OVAを劇場の大スクリーン、劇場の音響で楽しんでいただきたい。開催日は開催日は2019年5月18日(土)。トークコーナーのゲストについては調整中。前売りチケットの4月27日(土)から新文芸坐とチケットぴあで発売となる。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 115
スクリーンで観る『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』

開催日

2019年5月18日(土)

開場

22時15分/開演:22時30分 終了:翌朝5時45分(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日・一般2600円、前売・友の会2400円

トーク出演

企画中

上映タイトル

『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』全7話(1992~1998/BD)

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

アニメ様の『タイトル未定』
201 アニメ様日記 2019年3月31日(日)

2019年3月31日(日)
「アニメスタイル インタビューズ01」には『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』についてのこだま兼嗣総監督、諏訪道彦プロデューサーの取材が載る。その原稿まとめの参考に『シティーハンター』の原作をチェック。原作『シティーハンター』って海原神との戦いで終わっていた印象があるんだけど、改めて読むと、その後も結構続くのね。それと、海原神の話ってドシリアスな内容だった印象なんだけど、読み直すとそれほどでもない。以下は後日の追記。気になって、wikiを見たら「後味が悪くないよう作者の意向によりコミックスに30ページ程、加筆された話が収録された」とある。ああ、なるほど。『新宿PRIVATE EYES』で、子どもの頃の香が「ハンマー少女」だったということが回想で描かれていて、えー、そうなの? と思っていたのだけど、原作終盤で「ハンマー少女」の頃の写真が出てくるのね。アニメオリジナルではなくて、原作からネタを拾ったかたちだったんだなあ。
WOWOWでやっていた『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』の途中から『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』の途中まで観た。『暗黒タマタマ大追跡』は何度観ても面白い。キャスティングの謎はいつか解けるのかなあ。

2019年4月1日(月)
録画してあった「ガンダム誕生秘話」「歴史秘話 マクロスヒストリア」「絶対監督主義 シネマラボ 押井守の挑戦」を観た。「ガンダム誕生秘話」がとてもよくできていた。アニメ関連でこんな「成熟」した番組が作られたのが嬉しい。番組としての出来のよさは置いておいて、小牧雅伸さんの若き日の写真がよかった。小牧さん、24歳か。「歴史秘話 マクロスヒストリア」も悪くはない。「絶対監督主義 シネマラボ 押井守の挑戦」は、こういう書き方をすると失礼かもしれないけれど、押井さんが可愛かった。
録画予約のチェック。4月1日だけど、今日の新番組は『爆丸バトルプラネット』のみ。『モブサイコ100II』『キャプテン翼』『けものフレンズ2』が最終回で『ポプテピピック』がスペシャル版。それから新番組関連特番で「なごやか特番、八千亀ちゃん!」。
新しい元号が発表になった。SNSでも書いたけど、令和の「仮面ライダー」は 「Rライダー」と表記されるのではないか。「Hライダー対Rライダー」とか。「ライダー決戦 S・H・R!」とか。プリキュアもこれからは「平成プリキュア」と「令和プリキュア」かな。Hプリキュア、 Rプリキュアという呼称は抵抗がある。夏に出す書籍(仮に「書籍A」とする)の編集スケジュールが完成した。

2019年4月2日(火)
録画予約のチェック。今日の新番組は『ダイヤのA actII』『フリージ』。それから『アイドルマスター シンデレラガールズ劇場 CLIMAX SEASON』が新シリーズに。Anichu枠は『HUNTER×HUNTER』の再放送なのね。しかも、1時間枠。イレギュラー番組として『第2クール突入直前!盾の勇者の成り上がり#12 再放送』『一撃でわかる!TVアニメ『ワンパンマン』マジ振り返り!』。
入ったことのなかった近所の有名な飲み屋に。有名な絵本に紙を貼ってメニューにしている。斬新。

2019年4月3日(水)
昨夜、TOKYO MXで放映が始まった『フリージ』はドバイを舞台にした3DCGアニメ。公式サイトによれば「アラビアン・ビジネス・マガジンにて“最も影響力あるアラブ諸国の人々”の1人に選ばれているモハメド・サイード・ハリブが、 2005年に制作をスタートしたUAE初の3DCGアニメーションによるテレビ作品」とのこと。1話の映像縦横比率は4:3だが、ネットに上がっている動画だと、16:9のエピソードもある模様。数シリーズあるようだから、後のシリーズでは16:9になるということかもしれない。

2019年4月4日(木)
夏に出す書籍(仮に「書籍B」とする)について打ち合わせ。収録する作品について大体見えてくる。今晩始まる新番組は『叛逆性ミリオンアーサー(第2シーズン)』『BAKUMATSUクライシス』『ラビッツ インベージョン』かな。 TOKYO MXで『SHOW BY ROCK!! スタミュ』、TBSで『けいおん!』の再放送がスタート。今期は噂通りに再放送が多い。「アニメスタイル インタビューズ01」には『HUGっと!プリキュア』についての佐藤順一さんの取材が載る。それと関連して『ふしぎ星の☆ふたご姫』で確認したいことがあったのだけど、瞬時にdアニメストアで見つかった。配信ばんさい。

2019年4月5日(金)
『けいおん!』の再放送で1話を観る。地上波なのに16:9だ。いや、当たり前なんだけど(念のために説明しておくと、地上波本放送での画面比率は4:3だった。ちなみに最近まで4:3での配信があった)。1話冒頭を観て『宇宙よりも遠い場所』みたいだと思った。逆だ。『聲の形』や『響け!ユーフォニアム』を観た後に『けいおん!』を観ると、色んなことが分かる。今なら、山田尚子さんがどこから『けいおん!』にきて、『リズと青い鳥』にたどり着いたのか、そして、どこに行くのかが分かるかもしれない。

2019年4月6日(土)
20世紀末にある雑誌でインタビュー記事をやった時に(その雑誌はアニメージュでも、ニュータイプでもないです)、校正の段階で、編集者が記事の最後に「ありがとうございました。」という一文を付け足してきたことがあった。インタビュアーが取材相手にお礼を言って終わるかたちにしてきたわけだ。そういう記事もあるだろうし、お礼を言いたい気持ちも分かるけど。いや、ここは取材相手が言いたいことを言ったところで終わらせたほうがいいよ、と僕は思った(はず)。多分、戻してもらったのではないかなあ。ということを、ある取材まとめをしていて思い出した。

第607回 休み時間とひとりの時間

 思えば自分が20代、アニメーターを始めた時、つまりテレコム時代から昼食・夕食は基本ひとりでした。もちろん周りから誘われた時は断らないし、若い時は先輩や後輩とよく飲みに行ったものです。

板垣は寂しがり屋なくせに「ひとりの時間」が大好き!

 早い話、自分のペースで動ける時間はひとりでいたい、と。こういう方、結構いると思いますし、逆に周りで人が働いてると、俺自身は周り(のスタッフ)に合わせる側になります。まあ、その話は後にして、何しろ板垣は散歩とひとり飯が日常。

 特にコンテを切る日々は現実から遠のきがち。ツイッターとかにも興味がない自分にとって、せめて飯時くらいニュースや映画を観る時間に使わないと、今の世の中が分からなくなってしまいます。今だけでなく昭和の映画もこーゆー時間に観ます。だから一番いいのは

飯の買い出しを兼ねてブックオフまで散歩、で購入したDVDないしBDを観ながら飯! コレ!!

 映画はもう、国・年代・監督に拘らず手当たり次第。その日の気分と、あと何より値段! そもそも黒澤明、小津安二郎、岡本喜八や、アニメだと宮崎、高畑や出崎作品など、板垣のマスターピース的敬称略な方々のソフトは、とっくのとうに定価で揃え済みなので、今さら中古で買う必要はないのです。やっぱり、

ブックオフは安物衝動買いに限る! 何も決めないで行って500円コーナーまでブラついて「今日はコレ!」を選ぶ。クソ映画上等!

 このまま行くと今回、何処に落ち着くのか想像つかないけど、とりあえず続けます。俺は常々思ってるのです。

映画とは何を観ても自分の血肉になる! 「面白い」か「面白くない」かなど究極どーだっていい。なぜなら人の感想に正解なんてない! むしろどんな作品に対しても「自分なりの感想をもつ」ことが大切である!

と。だからといってツイッターやブログで言いたい放題書くのがいいという訳ではありません。敵を作るのが怖いからとかではなく、テキストで放ってテキストで返されて、では何も伝わらないし、無駄に時間を消費するだけ。何も生まれません。まあ唯一生まれるモノがあるとすれば、人気評論家だと勘違いした手遅れな自分が仕上がるだけ。本当に評論を気取りたいのなら、その作品の悪口だろうと「他人が読んで不愉快にならないか?」を周りに確認してから上げるべきだと思います。だって周りの人の機嫌を損ねる評論は、そのつまらない作品以上に罪でしょう。本当にうまい評論とは、悪評でも面白く読ませることができるハズだから。俺にはそんな巧い文章は書けないので、評論ではなく感想文止まりで、なるべくいいところを見つけるようにしてるんです。で、評論の域に踏み込んだ悪口などは、親・兄弟・友人など

身近な人に直にしゃべる!

のがいいと思います。自分の場合も友人や白石(妻)にしゃべってウケがよくなかったら、それ以上遠くに放ったりしません。相手にとって笑えもしない個人的悪口は、ただただ迷惑なだけですから。あと、ブログや評論に限らずテキストで語り合うのは反対です。直に話したほうが誤解が少ない上、その場の空気を読む修練になりますから。ほら、やっぱりよく分からないトコに着地した。

 で、現在は『コップクラフト』第8話とオープニングのコンテに入りました! いかん、予定より数日遅れ(汗)。

【情報局】新作アニメピックアップ[TV編]190417
『メルヘン・メドヘン』最終2話放映

 『メルヘン・メドヘン』の最終2話の放映が決定した。
 作家・松智洋原案による、フィクションをモチーフにした魔法ものだが、著者の急逝や放映中の再放送、ソフトリリースの延期など、これまでいくつもの苦難に見舞われきた企画だ。特に最終2話が未放映のままとなっていたが、ようやく今回放映にこぎ着けた。25日(木)にAT-Xで11話と12話が間をおいての放映となる。どちらも特別無料放映なので、契約未加入であっても受信設備があれば視聴可能。製作サイドの「意地」とも言える措置に感謝したい。
 続いて、改編期の掉尾を飾るのが、NHK総合で28日深夜にスタートする2作品。『進撃の巨人 Season 3』の後半と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』だ。前者は民放からNHKへの局変更で驚かせた『進撃の巨人』の最新シリーズ。後者は、劇場上映された『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』6本を全13話に再編集した作品。NHKがついに『ガンダム』のキー局にと、こちらも感慨深い。放映開始に先駆け、20日深夜0時5分からは、同じく総合テレビで「#声優ぷらす×機動戦士ガンダム THE ORIGIN」と題した特別番組も予定されている。

《TVアニメ新番組リスト》
2019年4月17日現在、編集部調べ

2019年4月25日(木)

『メルヘン・メドヘン』11話

午後7時30分~(AT-X)他、順次放映 ※特別無料放送
【公式サイト】http://maerchen-anime.com/

『メルヘン・メドヘン』12話

午後10時~(AT-X)他、順次放映 ※特別無料放送
【公式サイト】http://maerchen-anime.com/

2019年4月28日(日)

『進撃の巨人 Season 3』※第50話~

深夜0時10分~(NHK総合) ※関西地方は深夜0時45分~
【公式サイト】https://shingeki.tv/season3

2019年4月29日(日)

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』

深夜0時35分~(NHK総合) ※関西は別枠
【公式サイト】http://www.gundam-the-origin.net/

2019年7月1日(月)

『スタミュ[第3期]』

午後10時~(TOKYO MX)他、順次放映
【公式サイト】http://hstar-mu.com/

2019年7月5日(金)

『炎炎ノ消防隊』

深夜1時25分~(MBS・TBS系全国28局ネット)
【公式サイト】http://fireforce-anime.jp/

2019年7月7日(月)

『あんさんぶるスターズ!』

【公式サイト】http://ensemblestars-anime.com/

2019年7月

『Dr. STONE』

【公式サイト】https://dr-stone.jp/

『戦姫絶唱シンフォギアXV[第5期]』

【関連サイト】http://www.symphogear-axz.com/

『ありふれた職業で世界最強』

【公式サイト】https://arifureta.com/

『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』

【公式サイト】https://anime.elmelloi.com/

『魔王様、リトライ!』

【公式サイト】http://maousama-anime.com/

『ダンベル何キロ持てる?』

【公式サイト】https://dumbbell-anime.jp/

『ソウナンですか?』

【公式サイト】http://sounandesuka.jp/

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

【公式サイト】http://araoto-anime.com/

『かつて神だった獣たちへ』

【公式サイト】http://katsu-kami.com/

『手品先輩』

【公式サイト】http://tejina-senpai.jp/

『ギヴン』

【公式サイト】http://given-anime.com/

『胡蝶綺~若き信長~』

【公式サイト】http://wakanobu.com/

『ナカノヒトゲノム【実況中】』

【公式サイト】http://www.nhg-anime.com/

『からかい上手の高木さん[第2期]』

【公式サイト】http://takagi3.me/

『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』

【公式サイト】https://rst-anime.com/

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII』

【公式サイト】http://danmachi.com/danmachi2/

『彼方のアストラ』

【公式サイト】http://astra-anime.com/

『とある科学の一方通行』

【公式サイト】http://toaru-project.com/accelerator/

『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』

【公式サイト】https://okaasan-online.com/

『グランベルム』

【公式サイト】http://granbelm.com/

『女子高生の無駄づかい』

【公式サイト】http://jyoshimuda.com/

『われしょ!~我ら!小動物愛護委員会~』

【公式サイト】https://www.waresyo.com/

2019年夏

『トライナイツ』

【公式サイト】https://www.ntv.co.jp/tryknights/

『コップクラフト』

【公式サイト】http://copcraft.tv/

『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』

【公式サイト】https://hensuki.com/

『BEM』

【公式サイト】https://newbem.jp/

2019年10月

『BanG Dream! 3rd Season』

【公式サイト】https://anime.bang-dream.com/2nd/

『僕のヒーローアカデミア[第4期]』

【公式サイト】http://heroaca.com/

『ちはやふる[第3期]』

【公式サイト】https://www.ntv.co.jp/chihayafuru/

『ラディアン[第2シリーズ]』

【公式サイト】https://www.nhk.or.jp/anime/radiant/

『PSYCO-PASS 3』

【公式サイト】https://psycho-pass.com/

『BEASTARS』

【公式サイト】https://bst-anime.com/

『GRANBLUE FANTASY The Animation[第2期]』

【公式サイト】http://anime.granbluefantasy.jp/

『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』

【公式サイト】https://sao-alicization.net/

『星合の空 ―ほしあいのそら―』

【公式サイト】http://www.tbs.co.jp/anime/hoshiai/

『ハイスコアガールII』

【公式サイト】http://hi-score-girl.com/

『スタンドマイヒーローズ』

【公式サイト】https://www.standmyheroes.tv/

『Fate/Grand Order 絶対魔獣戦線バビロニア』

【公式サイト】https://anime.fate-go.jp/ep7-tv/

『魔入りました! 入間くん』

【関連サイト】https://www.akitashoten.co.jp/works/irumakun/

『歌舞伎町シャーロック』

【公式サイト】http://pipecat-kabukicho.jp/

2019年秋

『かいじゅうステップ』

【公式サイト】https://www.kaijustep.com/

『ACTORS –Songs Connection-』

【公式サイト】https://actorsmusic.jp/

『トクナナ ‐警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課‐』

【公式サイト】http://www.tokunana.jp/

『ソマリと森の神様』

【公式サイト】http://somali-anime.com/

『七つの大罪 神々の逆鱗』

【公式サイト】https://www.7-taizai.net/

2020年1月

『空挺ドラゴンズ』

【公式サイト】https://drifting-dragons.jp/

2020年春

『啄木鳥探偵處』

【公式サイト】http://kimikoe.com/kitsutsuki/

放映予定

『むさしの!』

【公式サイト】https://www.musasi-no.com

『Z/X Code reunion』

【関連サイト】https://www.zxtcg.com/

『あひるの空』

【公式サイト】http://ahirunosora.jp/

『魔術師オーフェンはぐれ旅』

【公式サイト】http://www.ssorphen.com/anime/

『pet』

【公式サイト】https://pet-anime.com/

『バビロン』

【公式サイト】https://babylon-anime.com/

『ヴィンランド・サガ』

【公式サイト】https://vinlandsaga.jp/

『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』

【公式サイト】http://w-witch.jp/

『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』

【公式サイト】http://w-witch.jp/

『アイドリッシュセブン[第2期]』

【公式サイト】http://idolish7.com/aninana/

『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』

【公式サイト】https://anime.magireco.com/

『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』

【関連twitter】https://twitter.com/boku_haka

『とある科学の超電磁砲[第3期]』

【公式サイト】http://toaru-project.com/railgun_3/

『俺を好きなのはお前だけかよ』

【公式サイト】https://oresuki-anime.com/

『ゆるキャン△[第2期]』

【公式サイト】http://yurucamp.jp/

『シキザクラ』

【公式サイト】https://www.ctv.co.jp/shikizakura/

『ご注文はうさぎですか?[第3期]』

【公式サイト】http://www.gochiusa.com/

『ドロヘドロ』

【関連YouTube】https://youtu.be/8yrNYhhZKqQ

『この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる』

【関連サイト】https://promo.kadokawa.co.jp/oretueee/

『ダーウィンズゲーム』

【公式サイト】https://darwins-game.com/

『ツキウタ。THE ANIMATION 2』

【公式サイト】http://www.tsukiani.com/

『白猫プロジェクト』

【関連サイト】https://colopl.co.jp/shironekoproject/

『EX-ARM エクスアーム』

【関連サイト】https://shonenjumpplus.com/episode/10833519556325021960

『ハイキュー!![新シリーズ]』

【公式サイト】http://www.j-haikyu.com/anime/

『理系が恋に落ちたので証明してみた。』

【公式サイト】https://rikekoi.jp/

『虚構推理』

【公式サイト】https://kyokousuiri.jp/

『まちカドまぞく』

【公式サイト】http://www.tbs.co.jp/anime/machikado/

『インフィニット・デンドログラム』

【公式サイト】http://www.dendro-anime.jp/

『小林さんちのメイドラゴン[2期]』

【関連サイト】http://webaction.sakura.ne.jp/maidragon/pc.html

『プリンセスコネクト! Re:Dive』

【公式サイト】https://anime.priconne-redive.jp/

『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』

【公式サイト】http://uchinoko-anime.com/

『異常生物見聞録』

【公式サイト】http://ijouseibutsu.com/

『恋する小惑星』

【公式サイト】http://koiastv.com/

『転生したらスライムだった件[第2期]』

【公式サイト】http://www.ten-sura.com/

『フラグタイム』

【公式サイト】https://frag-time.com/

『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』

【公式サイト】http://choyoyu.com/

『継つぐもも』

【公式サイト】http://tsugumomo.com/

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。[第3期]』

【公式サイト】http://www.tbs.co.jp/anime/oregairu/

『ノー・ガンズ・ライフ』

【公式サイト】http://nogunslife.com/

『厨病激発ボーイ』

【公式サイト】http://chubyou.net/

『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』

【公式サイト】http://booklove-anime.jp/

『地縛少年花子くん』

【関連twitter】https://twitter.com/hanakokun_info

『八男って、それはないでしょう!』

【公式サイト】http://hachinan-anime.com/

『異世界チート魔術師』

【公式サイト】http://isekai-cheat-magician.com/

『グレイプニル』

【公式サイト】http://gleipnir-anime.com/

『約束のネバーランド[第2期]』

【公式サイト】https://neverland-anime.com/

『プランダラ』

【公式サイト】http://plunderer-info.com/

『number24』

【公式サイト】https://number24-anime.com/

『テンカウント』

【公式サイト】https://10count-anime.com/

『はたらく細胞[第2期]』

【公式サイト】https://hataraku-saibou.com/

『アフリカのサラリーマン』

【公式サイト】http://afusara.com/

『Re:ゼロから始める異世界生活[第2期]』

【公式サイト】http://re-zero-anime.jp/tv2/

『アズールレーン』

【公式サイト】https://azurlane-anime.jp/

『おちこぼれフルーツタルト』

【関連サイト】http://www.dokidokivisual.com/magazine/carat/

『装甲娘戦機』

【関連サイト】http://soukou-musume-senki.com/

『放課後ていぼう日誌』

【関連サイト】https://teibotv.com/

第155回 心の内側から溢れてくるものを 〜花より男子〜

 腹巻猫です。今年の7月、シカゴで開催される「G-FEST」(ゴジラと怪獣映画の祭典)の期間中にゴジラのオーケストラコンサートを開催するためのクラウドファンディングが進行中です。コンサート1部では伊福部昭と佐藤勝のゴジラの曲を、2部では大島ミチルが作曲したゴジラの音楽を大島ミチル自身の指揮で演奏する企画。「もしゴジラがシカゴに上陸したら?」との想定で大島ミチルが書き下ろす新曲も世界初演奏されるそうです。
 ああ、聴きに行きたい! でも遠い!
 そんな人のためにコンサートライブ音源のダウンロードやCDのリワードも用意されているので、ゴジラファン、大島ミチルファンの方はチェックしてみてください。プロジェクトは4月20日まで。

https://www.kickstarter.com/projects/kaijucrescendo/kaiju-crescendo/


 当コラムでも大島ミチルの作品を取り上げたことがある。ビッグバンドを取り入れた『Project BLUE 地球SOS』(2006)だ。
 しかし、大島ミチルの真骨頂は管弦楽を駆使した華麗でメロディアスな音楽。今回は、そんな大島ミチル・サウンドの魅力が堪能できる作品をあらためて紹介したい。

 1996年9月から1997年8月まで放送されたTVアニメ『花より男子』である。神尾葉子が「マーガレット」(集英社)に連載した少女マンガを東映動画(現・東映アニメーション)が映像化した。
 のちに実写ドラマ化、実写劇場化され、韓国でもリメイクされた人気作品。今、『花より男子』といえば、井上真央が主演したドラマ版(2005、2007)を思い出す方が多いかもしれない。
 アニメ版は日曜朝8時半から、朝日放送・テレビ朝日系で放送された。この時間帯は『とんがり帽子のメモル』(1984)から現在の『プリキュア』シリーズまで連綿と続く伝統の東映アニメ枠。本作に先立つ『ママレード・ボーイ』(1994)、『ご近所物語』(1995)は少女向けのちょっと背伸びした恋愛もので、本作を含めて「トレンディアニメ3部作」と呼ばれたとか。筆者も朝からもぞもぞするような気分で観ていたことを思い出す。
 富裕層の子女が通う英徳学園高校に入学した庶民の娘・牧野つくしと学園を牛耳る男子4人組=F4との対立と友情と恋愛を描くストーリー。持ち前の正義感と反骨心からF4に宣戦布告するつくしのキャラクターが痛快な作品だ。
 つくしは、大島ミチルがのちに手がけるTVドラマ「ショムニ」(1998)や「ごくせん」(2002)、劇場アニメ『はいからさんが通る』(2017)の主人公たちにも通じるキャラクター。元祖・大島ミチル・サウンドが似合うヒロインだ。
 本作の音楽には思い切った趣向が採用されている。スタッフは「クラシック音楽でやってみたい」と希望したそうなのだ。
 この場合の「クラシック音楽」とは、ドラムス、エレキベース、エレキギターといったポップスのリズムセクションやシンセサイザーを含まない、古典的なオーケストラ音楽という意味。アニメ音楽ではオーケストラを使っていてもシンセやリズムセクションと共演するスタイルがほとんどで、生楽器のみによる正統派オーケストラ音楽は珍しい。作曲家にとっても演奏者にとっても、高い技量を要求されるスタイルである。
 映像音楽でオーケストラ音楽といえば、「スター・ウォーズ」のような大編成の音楽を連想する。が、『花より男子』の場合はちょっと違う。求められたのはスケール感よりも上品さ、優雅さだ。英徳学園のハイソな雰囲気とつくしをめぐるロマンティックな恋愛模様を描くために、古典的なスタイルのオーケストラ音楽が採用されたのだろう。  学園恋愛ものというとポップで軽快な音楽もほしくなるところだが、そこは主題歌に譲り、本編に流れるのは優美な管弦楽曲。この音楽によって、日曜朝のアニメにエレガントで大人びたムードがただよう。大島ミチルの音楽は、「ちょっと背伸びしたラブストーリー」になくてはならない要素だったのだ。
 サウンドトラック・アルバムは「変奏曲集『花より男子』〜サウンドトラックアルバム〜」のタイトルでバンダイミュージック系のエアーズから1996年12月に発売された。
 「変奏曲集」というタイトルが独特だ。70年代から「交響組曲」「交響詩」と冠されたアニメ音楽アルバムはあったが、「変奏曲集」と名づけられたものは寡聞にして他に知らない。本作の音楽の特徴を表現するとともに、「ありきたりの音楽にしない」というスタッフの意気込みが伝わってくる。
 収録曲は以下のとおり。

  1. メインテーマヴァリエーション(1)ドラマティックに
  2. 変奏曲(1)「つくしのテーマ」
  3. 間奏曲(1) 不安〜緊迫〜怒り
  4. 変奏曲(2)「道明寺司のテーマ」
  5. メインテーマヴァリエーション(2)あたたかく優しく
  6. アルビノーニ/アダージョ(恋のテーマ(1))
  7. 間奏曲(2) いじめ〜だんだんと激しく
  8. 変奏曲(3)「花沢類のテーマ」
  9. G.マーラー/アダージェット交響曲第5番第4楽章(恋のテーマ(2))
  10. メインテーマヴァリエーション(3)明るく

 「変奏曲集」と銘打つだけに、構成もクラシックのアルバムみたいである。
 主題歌は収録されず、全曲インストゥルメンタルでまとめられている。サウンドトラック・アルバムはストーリーを意識して構成することが多いが、本アルバムは楽曲のモチーフ(テーマ)に着目した構成。じっくりとメロディとアレンジを味わいながら聴きたい。

 「メインテーマヴァリエーション」と名づけられた3曲は、主題歌「普通の日曜日に」のアレンジ曲。
 アルバムの開幕を飾る「(1)ドラマティックに」(トラック1)はピアノとストリングス、木管をメインにした華やかなアレンジ。最終話ラストの道明寺司とつくしの旅立ちのシーンに(主題歌が流れる直前まで)流れた曲だ。
 中間部に配された「(2)あたたかく優しく」(トラック5)はピアノ・ソロによる変奏。第17話「やっとつかまえた」の冒頭で司がつくしを抱き上げて歩く場面などに使われていた。
 「(3)明るく」(トラック10)は勢いのある軽快なアレンジ。希望に向けて駆け出すイメージの、アルバムの締めくくりにふさわしい曲である。

 変奏曲(1)「つくしのテーマ」、変奏曲(2)「道明寺司のテーマ」、変奏曲(3)「花沢類のテーマ」の3曲が本アルバムのメインとなるトラック。各曲の演奏時間は6分以上と聴き応えたっぷり。それぞれ、キャラクターテーマのバリエーションをメドレーにした構成になっている。複数のBGMを集めたトラックととらえることもできるが、ここは、クラシック音楽でいう「テーマとその変奏」形式の楽曲として聴くべきだろう。
 トラック2「つくしのテーマ」はユーモラスな雰囲気もある愛らしく軽やかなメロディ。舞踏会の音楽のような華やかな演奏から、ストリングスによるしっとりした変奏、フルートによる優しい変奏、クラリネットと弦合奏による明るくはずんだ変奏へと展開する。つくしのキャラクターに沿った、高揚感たっぷりのトラックだ。
 トラック4「道明寺司のテーマ」では、トランペットを中心にしたシリアスな曲調でテーマが提示される。続いて、木管と弦合奏によるユーモラスな変奏で司の別の一面を描写。オーボエとハープ、弦楽器による変奏で一途な恋心を表現したあと、オーケストラによるダイナミックな変奏になる。最後に再びユーモラスな変奏に戻って終わり。司というキャラクターの多面性が音楽で表現されている。
 トラック8「花沢 類のテーマ」は、類がバイオリンを弾くという設定から「ロマンティック・ヴァイオリン・コンチェルト」として作曲された(大島ミチルによるライナーノーツより)。ハープをバックにバイオリンが歌うファンタジックな導入から始まる。バイオリン・ソロをたっぷり聴かせながら、弦合奏をともなったパセティックな変奏が続き、最後は希望的な変奏で締めくくられる。本アルバムのハイライトと呼べる曲である。
 「間奏曲(1)」(トラック3)と「間奏曲(2)」(トラック7)は心情描写曲や状況描写曲をメドレーにしたトラック。「間奏曲」というタイトルがこだわりを感じさせる。本アルバムの中でもサントラらしい曲が集まったトラックだ。恐怖やいじめを描写する音楽は緊迫したサスペンス音楽として書かれていて、のちのゴジラ映画音楽をほうふつさせるのが個人的に楽しい。
 本アルバムには既成のクラシック曲も2曲収録されている。オルガンと弦合奏による「アルビノーニのアダージョ」(トラック6)とマーラーの「アダージェット」(交響曲第5番第4楽章)(トラック9)である。
 マーラーの「アダージェット」は劇場作品「ベニスに死す」のテーマ曲として記憶する人も多いだろう。この曲は第17話で司とつくしがキスをする場面に流れた曲。まさしく「恋のテーマ」と呼ぶにふさわしい曲だ。
 こうしたクラシック曲と大島ミチルの音楽とが違和感なく共存しているのが、本アルバムのすごいところである。

 大島ミチルは本アルバムのライナーノーツにこう書いている。
 「音楽は何時の時代でも形式やスタイルが最初ではありません。(中略)心の内側から溢れてくるものを、音という言葉で表現したものが音楽ではないでしょうか」
 クラシックの形式を借りて、あるいは、アニメ音楽の枠を借りて、大島ミチルが自らの音楽を奏でたのが『花より男子』ではなかろうか。サントラではなく音楽作品と呼びたいエレガントな1枚である。

変奏曲集「花より男子」〜サウンドトラックアルバム〜
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
200 アニメ様日記 2019年3月24日(日)

2019年3月24日(日)
日曜だけど、例によって事務所で作業。日曜は作業をしようと思ってもなかなか進まないことが多いのだけど、今日はかなり捗った。体調もいいし、頭もスッキリしている。いつもこんな感じだったらよいのだけれど。

2019年3月25日(月)
ライターさんにまとめてもらった取材原稿が猛烈に面白くて、直すところもあまりなかった。半日スケジュールが浮いた。Echo Dotに向かって「アレクサ、戦闘開始!」と言ったら「平和な世界が好きです」と返された。午後は「アニメスタイル インタビューズ01」の取材。「インタビューズ01」の取材はこれが最後のはず。事前に質問状を提出しなかったインタビューは久しぶり。

2019年3月26日(火)
『彼氏彼女の事情』のBlu-ray BOXのサンプルが届く。ありがとうございます。解説書がかなり充実している。映像は仕事が落ち着いたところでチェックしたい。ここにこっそり書いておくけど、『彼氏彼女の事情』をBlu-ray BOX化しようと言い出したのは僕だったはず。大月俊倫さんがキングレコードにいらした頃だから、随分前だ。その時の企画がそのまま進んで、このパッケージになったわけではないと思うけど。
インターネットのBOOTHというサービスで、おてんばベッキーこと川島よしおさんの『グルームパーティー』の原稿が販売されていた。数枚まとめて5000円。うわあ、安いなあ。「グルームパーティー」は好きなマンガだった。1セットを注文する。

2019年3月27日(水)
BOOTHでは、ふくやまけいこさんの原稿販売もあった。気になっていたのだけど、起きてネットを見たら完売していた。原稿をまとめるにあたって確認したいことがあって、『名探偵コナン』の437話「上戸彩と新一 4年前の約束」を観る。上戸彩さんが演じたのは、自身をモデルにしたキャラクターだった。劇中の上戸彩さんは、以前から新一や蘭と知り合いという設定。午後はあるアニメプロダクションに行って資料を山ほどお借りする。
「グルームパーティー」の原稿が届いた。昨日注文したばかりなのに。マンガの生原稿は、アニメの原画とはまた違った存在感があるなあ。原稿用紙の端にペンの試し描きの跡があり、それが生々しい。

2019年3月28日(木)
片づけなくてはいけないことが山のようにあった日。

2019年3月29日(金)
午前3時に起きて、午前4時に事務所に。朝の散歩(とポケモンGOのレイド)を挟んで午前11時までデスクワーク。昼から三鷹方面で打ち合わせ。ササユリカフェの「劇場版『若おかみは小学生!』ができるまで展」をのぞいて、西武池袋本店の「TVアニメ『BANANA FISH』原画展覧会」に寄って、事務所に戻って、倉庫の片づけの様子を確認して、その後はキーボードを叩く。この日はずっと働いてくれていたアルバイトさんの最後の出勤日だった。来週の月曜からは社会人だ。アルバイトさんは何ヶ月もかけて、倉庫の片づけをしてくれた。
この日のWOWOWシネマは、19時15分の『ドラゴンボールZ 復活の「F」』に始まって『リズと青い鳥』、『ガールズ&パンツァー 最終章』第1話、『あさがおと加瀬さん。』『傷物語〈I鉄血篇〉』『傷物語〈II熱血篇〉』『傷物語〈III冷血篇〉』と続く。凄いプログラムだ。

2019年3月30日(土)
午前4時くらいに事務所へ入ったら、WOWOWシネマで『傷物語〈III冷血篇〉』を放映していた。この時間に相応しい無茶苦茶なテンション。昼間はずっと原稿作業。

第157回アニメスタイルイベント
アニメ様のイベント 語りまくり編

 今年も5月にアニメ様イベントを開催する。アニメ様とは本誌編集長である小黒祐一郎のニックネームだ。開催日は5月1日(水・祝)で、イベントタイトルは「第157回アニメスタイルイベント アニメ様のイベント 語りまくり編」。小黒が語りたい内容をひたすら語るイベントとなる。

 第1部では小黒が好きな「ある作品」について語る予定だ。第2部もアニメ作品やアニメ雑誌について話をする。マンガ家としても活躍しているアニメーターのサムシング吉松(吉松孝博)も出演する。

 今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。前売り券は4月13日(土)から発売開始。詳しくは、以下にリンクした阿佐ヶ谷ロフトAのページを見てもらいたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

阿佐ヶ谷ロフトA
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/115837

第157回アニメスタイルイベント
アニメ様のイベント 語りまくり編

開催日

2019年5月1日(水・祝)
開場12時00分 開演13時00分 

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

サムシング吉松、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第606回 作画と仕事と快感

1日集中して「画をたくさん描く」と職人としてえも言われぬ快感に満ちまくります! 今、そんな毎日!

 それは作画に限らず、コンテも同様。自分は基本「画を描くのはA4サイズ1枚で30分、かけても1時間で」を目安にしてます。もちろん考える時間は必要なので、モノによると言えばモノによりますが、1枚30分を念頭に置くのとそうでないのとでは1日の生産量は確実に違うので、社内のアニメーターにもそれを促しています。例えば30分で1枚描けると、単純計算で動画なら10数枚、原画なら普通の芝居の場合1日1カット、止め口パクなら4〜5カット描けるわけ。コンテでも1日10数ページ描ければ、1週間から10日で1本(1話分)描くことができます! で、本日はレイアウト(背景原図)12カットを出したあと、次のコンテに入り、さらにこの原稿を描き上げて帰る。まあ決して手が速いとは言えませんが、まだ集中力はあると思うし、

目いっぱいの集中力で画を描くのってやっぱり楽しいのです!

 ホント集中してる時って、声をかけられるだけで

と社内に響き渡るほどの驚天動地な狼狽を見せる板垣です。スタッフもびっくりしてしまうでしょうが、その際いちばん焦ってるのは確実に俺ですから。

やっぱり夢中になって仕事する快感がある限り、続けたいアニメ作り!

 あ、そう言えばこないだ取材(インタビュー)を受けた「アニメージュ」発売してるのか、もう。興味のある方はどうぞ〜。今週もこんなんですみません。来週はもう少し長く書きます。

アニメ様の『タイトル未定』
199 アニメ様日記 2019年3月17日(日)

2019年3月17日(日)
昼間は、ワイフと缶ハイボールを片手に公園へ。芝生の上をゴロゴロする。珍しく日曜日らしいひととき。夜はLOFT/PLUS ONEでトークイベント「第155回アニメスタイルイベント 平松禎史 デザインの話・彼氏と彼女の話」を開催。事前に告知していた出演者が平松禎史さん、大塚雅彦さん、黒柳トシマサさん。それに加えて、シークレットゲスト、飛び入りゲストがあり、最終的に僕を含めて出演者が9人となった。実は開催の1週間前には「出演者が少なくてちょっと寂しいイベントになるかも」と思っていた。人数が増えたところで、僕がやるべきことはタイムキープである。普段のアニメスタイルのトークイベントだと、話を転がしてトークを膨らませていくところを、サクッと切り上げる。その一方で、ステージに上がった人に満遍なく喋ってもらえるように段取りを考える。結果として、盛り沢山で華やかなイベントになったのではないかと思う。自分の中では「LOFT/PLUS ONE的なイベント」と「Asagaya / Loft A的なイベント」がある。LOFT/PLUS ONEで開催したからといって、「LOFT/PLUS ONE的なイベント」になるとは限らないのだ。今回はLOFT/PLUS ONE的なイベントになったと思う。話は前後するが、平松さんに早めに会場に入ってもらって、「平松禎史 アニメーション画集」 と「平松禎史 SketchBook」にサインを入れていただいた。物販も好調であった。

2019年3月18日(月)
「アニメスタイル インタビューズ01」の取材。この方にインタビューをするのは27年ぶりくらいのはず。と思っていたら、こちらから切り出す前に「30年ぶりですね」と言われた。

2019年3月19日(火)
疲れがたまっていたので(翌日、風邪の引き始めだったことが分かった。最近、このパターンが多い)、半休にして昼間から自宅で横になる。窓を開けて部屋に風を入れ、Echo Dotに波の音を再生してもらう。海の近くのホテルで休んでいるという設定なのである。と書いていて、ちょっと悲しくなってきた。Netflixの「ラブ、デス&ロボット」を観始める。スタイルが多彩でぼんやりと映像を眺めているだけで楽しい。それから、夏に出す書籍のひとつが決まった。
タイトルを書かなくても、推理小説に詳しい人なら分かると思うが、ある有名な推理小説を「スマホ+Kindle」のセットで、移動時にちまちまと読んでいる。先週末に読んだ部分で、物語の途中で登場人物が「我々は推理小説の登場人物だ。言い訳などせずに、高貴な態度で登場人物であることに徹しよう」という意味のセリフを言い出した。20代の頃に「登場人物が、自分は推理小説の登場人物だ」と言い出す小説について、何かの本で読んだ。それがこれだったのか。トンデモ発言ではあるのだけれど、意外と作品のテイストに合っているというか、流れとしてはしっくりくる感じだった。

2019年3月20日(水)
Netflixで、ドラマ「チャンネルはそのまま」を観る。これは面白い。よくできている。事務所の倉庫から文庫本が入った段ボール箱が発掘されたので、アニメージュ文庫をラックに並べてみた。それなりの量があるけど、まだこれで全部ではないなあ。とりあえず「日本アニメーション映画ポスター史」の下巻を見つけたい。

2019年3月21日(木)
祭日。仕事の合間に『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars- I プロローグ×ユキノジョウ×タイガ』を新宿バルト9で観る。応援上映だった。同行者がペンライトを持ってきてくれたので、生まれて初めてペンライトを振った。応援上映が今回のプログラムの初見だったので正確に比較はできないのだけど、おそらくは応援のおかげで面白さ倍増。今後も応援上映で観たいと思った。

2019年3月22日(金)
「アニメスタイル インタビューズ01」のテキスト作業が進む。

2019年3月23日(土)
「アニメスタイル インタビューズ01」のテキスト作業が進む。ライターさんと打ち合わせ。

第605回 『コップクラフト』のコンテ

『コップクラフト』鋭意制作中!!

 また日々コンテに追われる毎日。今週6話、来週7話、再来週8話、その間OPとEDのコンテも切ります。ちなみに公開されてるPVは、1話と2話からの抜粋。社内で育った若手の演出・アニメーターが必死に頑張ってくれたので、とてもいい仕上がり!

 とにかく今の目標は、一刻も早くコンテを全話終わらせて作画に参戦したい、ということ。まあ、毎作コンテをなるべく多く描くスタンスは、初監督作品『BLACK CAT』(2005〜6年)の頃から一貫してて、どの監督作も全体の半分以上はコンテを切ってきました。最近はありがたいことに、プロデューサーや委員会方面から「監督にはたくさんコンテを描いてほしい!」と言っていただけるようになったので、監督をやるのが楽しくなってます! でも作画も大好きなので「コンテ終わったらやります!」と言いつつ、5月末からは次のシリーズのコンテに入らなきゃならないという。次回は作画の話(予定)!

第154回 大胆で繊細で官能的 〜パタリロ!〜

 腹巻猫です。4月12日(金)19時より神保町・楽器カフェにてサントラ・トークイベント・サントラさんの帰還を開催します。出演・貴日ワタリ、早川優、腹巻猫、ゲスト・不破了三。お気に入りのサントラや作曲家について、音楽を流しながらゆるく熱く語るイベントです。お時間ありましたら、ぜひご来場ください。詳細・予約は下記よりどうぞ。
https://gakki-cafe.com/event/20190412/
(予約ページが表示されないときは、一度前のページに戻って再表示してみてください)


 声優の白石冬美さんが亡くなった。シリアスな役や元気な少年少女役もうまかったが、筆者が印象深いのは初代怪物くん(『怪物くん』[1968])をはじめとする人間離れしたキャラクター。動物や宇宙人やロボットや赤ん坊などを愛らしくパワフルに演じて命を吹きこんだ、他に代えがたい声の持ち主だった。あの声がもう聴けないと思うと本当に悲しい。
 今回は哀悼の意を込めて、代表作のひとつ『パタリロ!』を取り上げたい。
 『パタリロ!』は魔夜峰央の同名マンガを原作にしたTVアニメ。東映動画(現・東映アニメーション)の制作で、1982年4月から1983年5月まで全49話が放映された(第21話から『ぼくパタリロ!』に改題)。放映終了後の1983年7月に劇場版『パタリロ! スターダスト計画』が公開されている。
 主な舞台は常春の国・マリネラ王国。10歳の若さでマリネラ国王となったパタリロ・ド・マリネール8世を主人公に、妖しいキャラクターが次々と登場して騒動を巻き起こすギャグアニメだ。ギャグ仕立てとはいえ、少年愛(同性愛)が堂々と取り上げられており、当時としてはかなり思い切った企画だったはずだ。スタッフは原作の絵柄やテンポ感をうまく再現し、独特の世界をみごとにアニメ化している。
 声の出演も、パタリロ役の白石冬美をはじめ、美少年キラーの異名を持つボディガード・バンコラン役の曽我部和行(和恭)、美少年の暗殺者マライヒ役の藤田淑子ら、芸達者ぞろいでいずれもはまり役。サブキャラクターや各回のゲスト声優も豪華だった。音だけ聴いても充分楽しめる。主役3人の声優がみな鬼籍に入ってしまったのが残念でならない。
 と書いているが、実は放映当時はこの作品の面白さがよくわからなかった。ギャグで薄まってはいるけれど、ちょっと耽美で背徳の香りがする。今観ても、マニアックで視聴者を選ぶタイプの作品だと思う。しかし、設定や雰囲気になじむと、この世界が心地よくなり、はまってしまう。中毒性のある作品だ。

 音楽は『銀河鉄道999』の青木望。これがまたすばらしかった。
 青木望といえばストリングスを使った抒情的な音楽が持ち味。いっぽうで、歌謡曲やフォークソング、ニューミュージックの分野ではリズムセクションを生かしたモダンでカッコいいアレンジをたくさん手がけている。クラシックをルーツにしながら学生時代はバンドを組んでいたという青木望の音楽性は幅広く、『銀河鉄道999』でも第3回録音分の楽曲はジャズコンボ・スタイルのジャズっぽい曲やロック調の曲が多いのである。
 『パタリロ!』の音楽は『銀河鉄道999』とは異なるスタイルで書かれている。本作にクラシック風の華麗な音楽をつける選択もあったと思うが、青木望はそうはしなかった。ストリングスをほとんど使わず、バンド+小編成のオケでクロスオーバー・サウンドを思わせるセンスのよい音楽を提供している。
 特徴的なのは、ギャグアニメなのにギャグっぽい音楽がないこと。コミカルな曲やドタバタした曲はほとんどなく、映画音楽やクラシック曲のパロディっぽい曲があるくらい。耳に残るのは、美少年がらみのシーンに流れる官能的な美しい音楽である。
 また、本作はミステリー仕立てのエピソードが多く、ほどよい緊張感を生むサスペンス曲やパタリロが推理をめぐらす場面の「ピンクパンサー」風のミステリー曲も記憶に残る。
 全体にエレピやフルート、サックスなどがリードするしゃれた曲が多く、60〜70年代のヨーロッパ映画音楽のような味わいがある。この音楽もまた、『パタリロ!』の魅力の重要な要素だ。
 本作の音楽アルバムは、放映当時、キャニオンレコードから3枚発売されている。主題歌・挿入歌と新録ミニドラマで構成された「パタリロ! PATALLIRO TV SHOW」(1982年7月発売)、主題歌とBGMで構成された「ぼくパタリロ! PATALLIRO TV SHOW 2」(1982年11月発売)、以上2枚のアルバムからの抜粋+未収録BGMで構成された「ぼくパタリロ! 音楽総集編 PATALLIRO MUSIC TV SHOW」(1983年4月発売)である。アニメ『パタリロ!』のアルバムとしては、他に劇場版サントラ「パタリロ! スターダスト計画 完全収録オリジナル・サウンドトラック」(1983年発売)があった。
 キャニオンレコードは当時アニメ音楽に本格参入したばかり。『1000年女王』『うる星やつら』「世界名作劇場」などの音楽アルバムを発売していたが、アルバムによってできばえに差があり、まだまだ試行錯誤という時期だった。
 しかし、『パタリロ!』のアルバムは秀逸である。構成や曲タイトルに作品への愛情が感じられるのだ。特に3枚目の「MUSIC TV SHOW」はよく練られた構成で、1枚のアルバムとして完成度が高い。のちに東芝EMIから「懐かしのミュージッククリップ(34) パタリロ!」というCDアルバムが発売されるが、オリジナル・アルバムには及ばない内容だった。そのことはあとで触れるとして、今回は「ぼくパタリロ! 音楽総集編 PATALLIRO MUSIC TV SHOW」を紹介しよう。
 収録曲は以下のとおり。

A面

  1. 「パタリロ!」(歌:藤本房子)
  2. スーパーキャット参上
  3. マリネラ国歌
  4. パタリロライフ1
  5. パタリロライフ2
  6. フンニャの大テーマ
  7. マリネラ・サンセット2
  8. サスペンスA
  9. しのびよる影
  10. パタリロ危うし!
  11. バンコラン登場
  12. 「薔薇の戦士」(歌:曾我部和行)
  13. ショック1
  14. 英国情報部MI6
  15. 愛は永遠に
  16. マライヒ幻想
  17. 哀愁のマライヒI
  18. 哀愁のマライヒII
  19. 「Smoky Violet〜マライヒの愛〜」(歌:藤田淑子)
  20. アイ・キャッチャー

B面

  1. ドリーム・オン・ドリーム
  2. 忠誠の木
  3. 古代の響き
  4. 蝶の舞い
  5. タイムトリップC
  6. タマネギ飛行
  7. 「輝け!タマネギ部隊」(歌:スラップスティック)
  8. サスペンスB
  9. 空を駆けるプラズマX
  10. 翔べ!プラズマX
  11. プラズマララバイ
  12. プララへの愛
  13. 悲しみこらえて
  14. 「美しさは罪」(歌:竹田えり)
  15. 出逢いの喜び
  16. ジ・エンド
  17. 「クックロビン音頭」(歌:スラップスティック、白石冬美)
  18. パタリロより愛をこめて
  19. アイ・キャッチャー

 主題歌・挿入歌6曲とBGM32曲を収録したボリュームたっぷりの内容。2枚目のアルバムは主題歌2曲とBGM14曲の全16曲入りだったので、曲数は倍以上になっている。
 オープニング主題歌「パタリロ!」と前期エンディング主題歌「美しさは罪」は、伊藤薫の作詞・作曲。1枚目のアルバムのインナーに掲載された籏野義文プロデューサーのコメントによれば、エンディングはすんなり決まったものの、オープニングは難航したという。今となっては2曲とも『パタリロ!』にはこの曲しかないと感じられるほどなじんでいる。
 BGMパートは短いファンファーレ「スーパーキャット参上」から始まる。パタリロの親友猫・スーパーキャットの登場シーンに流れた曲である。この曲と次の「マリネラ国歌」がパタリロ・ワールドへの導入の役割を果たしている。
 「パタリロライフ1」「パタリロライフ2」はいずれもパタリロのテーマ。曲だけ聴いたらパタリロの曲とは思えないような、AOR風のしゃれた曲である。本編ではパタリロの気ままな日常やエピローグに流れることが多かった。
 「マリネラ・サンセット2」は抒情的な情景描写曲。「2」とあるのは、2枚目のアルバムに「マリネラ・サンセット」という曲があるから。
 「サスペンスA」「しのびよる影」「パタリロ危うし!」とサスペンス系の曲が続いたあと、いよいよバンコラン登場となる。
 バンコランのテーマの短いアレンジ「バンコラン登場」に続くのは、曽我部和行が歌う「薔薇の戦士」。森雪之丞作詞・作曲によるバンコランのキャラクターソングである。
 曽我部和行はキャニオンレコードからデビューした声優バンド・スラップスティックのメンバーだった(担当はリードギター)。一部の曲のヴォーカルも担当していたので歌はお手のもの。『パタリロ!』の歌には他にもスラップスティックが参加したものがある。
 「英国情報部MI6」はバンコランが所属する情報機関のテーマ。MI6は英国に実在する情報機関で、007/ジェームズ・ボンドが所属する組織としても有名。本曲も「ジェームズ・ボンドのテーマ」を彷彿させる曲調になっている。
 アコースティック・ギターとエレピをバックにフルートとサックスがロマンティックな旋律を奏でる「愛は永遠に」を挟み、本作の3人目の主役ともいうべきマライヒが登場する。
 「マライヒ幻想」はストリングスとエレキギターが交代でメロディを奏でるマライヒのテーマ。往年のハリウッド映画音楽を思わせる美しく上品な曲である。
 「哀愁のマライヒI」では同じメロディのマイナーアレンジが女声スキャットとストリングスで演奏される。まるでフランシス・レイかミシェル・ルグランかと言いたくなる、妖しくも官能的な曲だ。「哀愁のマライヒII」は同じ旋律のストリングス主体の変奏曲。ゴージャスなストリングス・アレンジが聴ける青木望らしい曲である。
 マライヒのテーマ曲は、マライヒのみならず、広く美少年のテーマとして、ほぼ毎回のように本編で使われていた。
 そして、マライヒ役の藤田淑子が歌うキャラクターソング「Smoky Violet〜マライヒの愛〜」(作詞・冬杜花代子、作曲・青木望)。
 CBS・ソニーから歌手デビューもしていた藤田淑子の歌のうまさはいまさら言うまでもない。アニメソングでは少年の声で歌う曲が多かったが、ここでは大人の女性(役は美少年だが)の声で、シティポップ風の曲を甘く歌い上げている。もう、「藤田淑子サマ素敵!」と言うほかない。第23話「殺しのライセンス」ではレコード・バージョンとは異なるピアノ弾き語りバージョンが流れる。かなうなら、いつの日か商品化してほしい音源である。
 「クックロビン音頭」をアレンジしたアイキャッチ曲「アイ・キャッチャー」でA面は終了。A面はパタリロ、バンコラン、マライヒに焦点を絞った、『パタリロ!』の濃厚な世界にひたれる内容だった。
 B面はバラエティに富んだ、動きのある曲が多い構成である。
 フルートが優雅に歌う「ドリーム・オン・ドリーム」を導入に、第28話「忠誠の木ものがたり」や第37話「ベルサイユのヒマワリ」で使われたバロック風の「忠誠の木」、エキゾティックな「古代の響き」、和風の「蝶の舞い」、SF的な「タイムトリップC」と時空を超越したパタリロ・ワールドを彩る楽曲が並ぶ。
 トラック6「タマネギ飛行」はパタリロに仕えるタマネギ部隊の活躍をイメージした曲。ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を思わせるヒーロー音楽風の曲である。
 タマネギ部隊はみな同じ顔をしていて、タマネギみたいなヘアスタイルとメガネ、ひし形に開いた口が特徴。だが、実はそのビジュアルは変装で、素顔はみな美青年・美少年であることが第18話「輝けタマネギ!」で明かされる。その第18話のラストシーンに流れたのがスラップスティックが歌う「輝け!タマネギ部隊」。森雪之丞が作詞、森田公一が作曲を担当している。明るいマーチ風の曲調が楽しい1曲だ。
 メカニカルなサスペンス曲「サスペンスB」を挟み、パタリロが作ったスーパーロボット・プラズマXがらみの曲を集めたコーナーに入る。
 ティンパニロールとファンファーレから始まる「空を駆けるプラズマX」は軽快な曲調のプラズマXのテーマ。第21話「超(スーパー)ロボット・プラズマX」でプラズマX活躍シーンに流れていた。
 次の「翔べ!プラズマX」はプラズマXのキャラクターソング。サタンタ(子門真人)が歌うボーカル曲として作られたが、ここでは第21話に使用されたインスト版(メロオケ)が収録されている。歌入りはアルバム1枚目に収録されているので重複を避ける意図もあったのだろう。ファンにはうれしい配慮だ。
 フルートが軽やかにメロディを歌う「プラズマララバイ」、ピアノとフルートがしっとりと奏でる「プララへの愛」、エレキギターとサックスによる哀愁の曲「悲しみこらえて」と続き、一連のプラズマXのエピソードをなぞる構成。この流れはドラマティックで、ストーリーに沿った映画音楽アルバムを聴くようだ。
 前期エンディング主題歌「美しさは罪」を配したあと、美しいストリングスの曲「出逢いの喜び」が流れる。パタリロの母エトランジュの登場場面や最終話終盤のバンコランとマライヒの場面などに流れたロマンティックな愛の曲である。短いエンディング曲「ジ・エンド」でひとまずBGMパートは終わる。
 トラック17は後期エンディング主題歌「クックロビン音頭」。劇中ではパタリロ(白石冬美)が歌っているが、レコード・バージョンではスラップスティックがメインで歌い、白石冬美が合いの手のセリフを担当している。
 これで終わるかと思いきや、最後にBGM「パタリロより愛をこめて」が流れる。フィナーレのあとのアンコールの1曲といった趣である。サックスが主旋律を担当するパタリロのテーマのジャジーなアレンジ曲。ギャグで終わらせない構成がうまい。
 籏野義文は本作の青木望の音楽を「大胆で、繊細」とコメントしている。それに「(ちょっぴり)官能的」を加えてもいいだろう。これは、とても色っぽいアルバムなのだ。
 青木望の『銀河鉄道999』とは異なる一面が発揮された代表作のひとつであり、キャニオンレコード80年代初期アニメアルバムの名盤である。

 先に触れたが、本作の音楽は1990年代に東芝EMIから発売されたCDアルバム「懐かしのミュージッククリップ(34) パタリロ!」でCD化されている。内容は、主題歌・挿入歌全8曲に2枚目と3枚目のアルバムから抜粋したBGMとTVサイズ主題歌を加えたもの。
 歌はよいとして、BGMの選曲には不満がある。収録されたBGMはわずか11曲。しかも、CDなのに収録時間は46分ほど。CDのキャパシティをもってすれば、あと約30分は収録できる。それだけあれば未収録のBGMがほぼすべて入るはずだし、劇場版『パタリロ! スターダスト計画』の主題歌2曲も収録できたはずだ。
 それなのに、BGMをわずか11曲ですましてしまうとは。せっかくのCD化の機会がもったいない。しかも、ブックレットには歌曲の編曲者のクレジットがまったくないというずさんさ(「美しさは罪」のみ中村暢之編曲で他はすべて青木望編曲)。筆者がパタリロなら担当者を逆さ吊りのムチ打ち刑にするところである。
 まあ、そんな恨みごとを言ってもしようがない。その「ミュージッククリップ」も現在は入手困難。中古市場では、『パタリロ!』のアルバムはCDよりもアナログ盤の方が手に入れやすい。再生環境がある方は、ぜひレコード盤で、優雅に、『パタリロ!』の耽美な世界を堪能していただきたい。
 常春の国・マリネラ王国に今も生きる白石冬美、藤田淑子、曽我部和行に愛と感謝をこめて。

懐かしのミュージッククリップ(34) パタリロ!
Amazon