第213回アニメスタイルイベント
ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』3 【着る物から見えてくる『平安時代中期人』はどんな人たちだったか 編】

 片渕須直監督が制作中の次回作のタイトルは『つるばみ色のなぎ子たち』。平安時代を舞台にした作品のようです。

 『つるばみ色のなぎ子たち』の制作にあたって、片渕監督はスタッフと共に平安時代の生活などの調査研究を進めています。今までアニメスタイルは「ここまで調べた片渕須直監督次回作」のタイトルでイベントを開催し、15回にわたって調査研究の結果を語っていただきました。現在は「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』」のタイトルでイベントを続けています。

 2023年11月5日(日)に開催する「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』3」では、片渕監督や前野秀俊さんに加えて、平安時代の装束や文化を研究されている承香院さんをゲストに迎えます。【着る物から見えてくる『平安時代中期人』はどんな人たちだったか 編】のサブタイトル通り、衣装についてディープなお話をうかがうことができるはずです。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長が務めます。

 「ここまで調べた~」イベントは土曜の開催が多いのですが、今回の開催日は日曜です。お気をつけください。会場は阿佐ヶ谷ロフトA。イベントは「メインパート」の後に、ごく短い「アフタートーク」をやるという構成になります。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。アフタートークは会場にいらしたお客様のみが見ることができます。

 配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。また、今までの「ここまで調べた~」イベントもアニメスタイルチャンネルで視聴できます。

 チケットは9月30日(土)正午12時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。

■関連リンク
LOFT  https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/264706
会場(LivePocket)  https://t.livepocket.jp/e/k1inc
配信(ツイキャス)  https://twitcasting.tv/asagayalofta/shopcart/263738

アニメスタイルチャンネル  https://ch.nicovideo.jp/animestyle

 なお、会場では「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」上巻、下巻を片渕監督のサイン入りで販売する予定です。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」についてはこちらの記事をどうぞ→ https://x.gd/57ICr

第213回アニメスタイルイベント
ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』3 【着る物から見えてくる『平安時代中期人』はどんな人たちだったか 編】

開催日

2023年11月5日(日)
開場12時30分/開演13時 終演15時~16時頃予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

片渕須直、承香院、前野秀俊、小黒祐一郎

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,500円、当日 1,800円(税込・飲食代別)
ツイキャス配信チケット/1,300円

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

第265回 アリスとテレスとウルトラQ 〜アリスとテレスのまぼろし工場〜

 腹巻猫です。公開中の劇場アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』を観ました。タイトルから、アリスとテレスというふたりの子どもが活躍する児童文学風の(「チャーリーとチョコレート工場」みたいな)お話かと思っていたら、思春期の少年少女の心情を大胆な設定の物語で描く、心に深く刺さる作品でした。今回はその音楽を聴いてみます。


  『アリスとテレスのまぼろし工場』は、2023年9月に公開された劇場アニメ。監督と脚本は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011)や『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018)などで知られる岡田麿里。アニメーション制作はMAPPAが担当した。
 菊入正宗は14歳の中学生。ある冬の日、町にある製鉄所が爆発し、正宗たちは時の止まった世界に閉じ込められてしまう。一見以前と変わらない町だが、住民は町から一歩も外に出ることができず、季節も冬のまま変化しなくなってしまったのだ。町の人々はいつか元の世界に戻ることができると信じて、爆発前と何も変わらない生活を続けようとする。そんな日々に閉塞感を抱く正宗は、あるとき同級生の佐上睦実に連れられて製鉄所の奥に入り、ひとりの少女と出会う。正宗は少女の正体に気づき、自分と世界を変えようと思い始める。

 音楽は、『心が叫びたがってるんだ。』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2015)、『迷家』(2016)、『空の青さを知る人よ』(2019)など、岡田麿里脚本作品にたびたび参加している横山克。『うる星やつら』(2022)のようなポップな作品もある一方で、『四月は君の嘘』(2014)、『劇場版ツルネ —はじまりの一射—』(2022)のような、ストイックで繊細な音楽も得意な作曲家である。本作も後者の系統の作品で、登場人物の心情に寄り添い、空気感や情感を音で表現するみごとな音楽を提供している。
 まず特徴的なのは、横山克作品ではあまり聴かないタイプの抒情的なメロディが聴けること。岡田麿里監督は音楽を依頼するにあたり、「自分が子供の頃に憧れた“大人の邦画”の雰囲気がほしい」と伝えたという。本作の音楽に昭和の映画音楽のようなロマンティックな旋律が登場するのはそのせいだろう。特に最初に公開されたPV「超特報」では、本作のメインテーマと呼べる切ないメロディの曲が使われている。心をざわつかせる音楽が本作の雰囲気を伝え、作品への期待感をあおる。このメロディを横山克はウィーン滞在時に思いついて書き留めたという。
 もうひとつの特徴は、ボーカルやコーラスがふんだんに使われていること。コーラスは埼玉栄中学&高等学校コーラス部によるもの。10代の少年少女の歌声にはプロの合唱団にはない瑞々しさ、生々しさがあり、それが楽曲に繊細でウェットな味わいを加えている。
 さらに、本作の音楽全体にさりげなく散りばめられた重要な音がある。金属を叩いて鳴らした音である。横山克がサウンドトラックに寄せたコメントによれば、安曇野ちひろ美術館にあるシデロイホスというインスタレーションの音を挿入したのだそうだ。
 シデロイホスは金属彫刻家・原田和男と打楽器奏者・山口恭範の共同製作によって生まれた金属打楽器。「シデロイホス」はギリシャ語で「鉄の響き」を意味する。本来は楽器の名前ではなく、金属で作られた構造そのものにつけられた名称である。金属の楽器というと、鋭い音や重い音を連想するが、シデロイホスは親しみやすく心地よい音がする。
 金属の音を挿入したのは、本作で鉄工所が重要な舞台装置となっているからだろう。金属音を音楽に使う試みは古くからあり、ヨーゼフ・シュトラウス作曲の「鍛冶屋のポルカ」は金床が打楽器として使われ、アレクサンドル・モソロフは金属板や金鎚を使った「鉄工場」を作曲している。1970年代以降には機械音や金属音を取り入れたインダストリアル・ミュージックが発展した。しかし、多くは金属音を効果音的、ノイズ的に使ったものだった。シデロイホスの音には耳ざわりな鋭さがなく、音楽と調和する。
 実は過去にも音楽にシデロイホスを使った作品があった。1990年に公開された実写劇場作品「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」である。この作品では、実相寺昭雄監督の依頼で作曲家・石井眞木が「オーケストラとシデロイホスのための交響詩『遥かなる響き』」を書き下ろし、それを自由に抜粋する形で音楽がつけられた。岡田監督や横山克がこの作品を意識したとは思わないが、『アリスとテレスのまぼろし工場』は「ウルトラQ」の1エピソードであってもおかしくないSF幻想譚。ふしぎなつながりである。
 なお、本作の音楽に挿入された金属音がすべてシデロイホスによるものか、あるいは、ほかの金属製パーカッションやシンセの音なのか自信がないので、以下の楽曲紹介では単に「金属音」と表記している。
 本作のサウンドトラック・アルバムは「『アリスとテレスのまぼろし工場』オリジナルサウンドトラック」のタイトルで9月13日にヤマハミュージックコミュニケーションズから発売された。収録曲は以下のとおり。

  1. 1991
  2. My Smoky Hometown
  3. Detective Hero
  4. Cold Skirt
  5. Wolf Girl
  6. Runaway Stories
  7. Your Name Is Itsumi
  8. Complicated Family
  9. maboroshi
  10. SHIN-KI-ROU
  11. Love and Hate
  12. World of Cicadas
  13. Mifuse Countdown
  14. Steel Days
  15. Vapored Away
  16. Piece of Summer
  17. Monochrome Confession
  18. Parking Lot Hearts
  19. Rain Kiss Explosion
  20. Her Name Is Saki
  21. Gymnasium Hypothesis
  22. Choo Choo Escape
  23. Raging Impulse
  24. Borderland Express
  25. Fragile Distance
  26. One Desire
  27. WE ARE ALIVE
  28. Sweet Pain Factory
  29. Matsuri-Bayashi
  30. 心音(しんおん)(歌:中島みゆき)

 中島みゆきが歌う主題歌「心音」も収録。トラック29の「Matsuri-Bayashi」は終盤で聞こえる祭囃子で、いわゆる現実音楽=ソースミュージックである。トラック1〜28が実質的な映画音楽だ。曲は物語の流れに沿って並べられている。
 1曲目の「1991」は冒頭の導入部に流れる曲。「超特報」で流れたメインテーマのメロディが使われている。頭には金属音、そして合唱とピアノによる切ないメロディ。本作の音楽の三大要素がすべて含まれている。タイトルの「1991」は本作の物語の始まりが1991年であることを示唆している。
 メインテーマのメロディーは「Cold Skirt」(トラック4)、「Complicated Family」(トラック8)、「maboroshi」(トラック9)、「Steel Days」(トラック14)などで変奏される。そのいずれにも、金属音がさりげなく仕込まれている。特に「maboroshi」は印象深い。正宗の同級生・園部裕子が心を乱したことで空がひび割れ、狼の姿に似た煙が現れる場面に流れる曲である。
 このメロディは正宗たちが心に抱く閉塞感と焦燥感、切なさなどを象徴している。物語が進み、正宗たちがこれまでと違う日常を歩もうとし始めると、この旋律は使われなくなる。
 正宗が鉄工所で謎の少女に出会う場面の「Wolf Girl」(トラック5)は、金属音とコーラスを中心に構成されたミステリアスな曲。金属音が鉄工所の風景をイメージさせ、コーラスが謎めいた雰囲気を表現する。金属音と人間の声との融合がユニークだ。
 正宗が少女を「五実」と名づける場面の曲が「Your Name Is Itsumi」(トラック7)。チェレスタやパーカッション、ギターなどによる愛らしいメロディにボーカルが重なって、五実のキャラクターを印象付ける。五実のテーマと呼べる曲だ。
 空がひび割れたときに現れる狼の姿をした煙は「神機狼」と名づけられている。鉄工所の煙突から現れ、世界のほころびを修復する、ふしぎな存在である。トラック10「SHIN-KI-ROU」は、その神機狼に当てられた曲。不穏なコーラスとピアノが妖精とも妖怪ともつかない妖しい存在を表現する。この曲では金属音が不安感、緊張感を高める効果を担っている。
 正宗が五実を鉄工所の外に連れ出すと、風景にひびが入り、向こうに「夏の風景」が見える。その衝撃的な場面に流れる「World of Cicadas」(トラック12)は「Ha〜」と歌う女声ボーカルが印象的な曲。哀感を帯びたメインテーマとは対照的に、夏の開放感、明るさをボーカルとリズムだけのシンプルなサウンドで表現している。
 「Ha〜」と歌うボーカルは、正宗が駐車場で佐上睦実に告白するシーンに流れる「Monochrome Confession」(トラック17)と「Parking Lot Hearts」(トラック18)でも使われている。凍った心が溶けていく音なのだろう。この2曲に続いて流れるのが「Rain Kiss Explosion」(トラック19)。本作の中盤のクライマックスとなる長いキスシーンの曲だ。この3曲にも通奏低音のように金属音が使われている。ここでは、金属音は動き始めた世界が鳴らすきしみや身震いの音のように聞こえる。
 正宗が五実の正体を確信する場面の「Her Name Is Saki」(トラック20)は、ピアノとストリングス、ギター、女声ヴォーカルなどが奏でる切なさと希望が入り混じったナンバー。ストイックで繊細で心の奥深くに響いてくる。これぞ横山克サウンドと思わせるエモーショナルな曲である。
 終盤は「Choo Choo Escape」(トラック22)、「Raging Impulse」(トラック23)、「Borderland Express」(トラック24)など疾走感のある曲が多くなる。 「Borderland Express」はテンポの速いピアノに合唱が重なり、身もだえするような焦燥感と哀感が表現される。横山克のコメントにある「ヒリヒリした合唱曲」とはこのことか。本作の音楽の聴きどころのひとつ。
 トラック26「One Desire」は、メインテーマのメロディの希望的な変奏。閉塞感を表現していたメロディーが希望を宿した曲に変わる。ギターと一緒に鳴る金属音も軽快に聞こえる。同じ旋律がさまざまに変奏されていく映画音楽の醍醐味が味わえる曲だ。
 物語終盤の正宗と睦実のシーンに流れる「WE ARE ALIVE」(トラック27)は大団円(と言ってよいのか迷うが)の曲。この曲だけボーカルが「ラララ」と歌っているのがいい。
 次の「Sweet Pain Factory」(トラック28)はエピローグの曲。ピアノと金属音のみのシンプルなサウンドだ。金属音は音楽の一部でもあり、鉄工所で聞こえる環境音のようでもある。この音がなくても音楽としては成り立つが、たぶん、まったく異なる印象になるだろう。

 『アリスとテレスのまぼろし工場』を観たあと、「どんな音楽だったろう?」と振り返ってまず思い出すのが、切ないメロディと合唱である。メロディはシーンによって異なる雰囲気にアレンジされ、合唱も曲によって表情や歌い方が変わっている。その違いを意識しながらサウンドトラックを聴くと興味深い。
 そして、作品を観ているあいだはほとんど気にならないが、サウンドトラックを聴くと「ここにも、こんなところにも使われている」と気づかされるのが、曲の背景で鳴っている金属音、シデロイホスの音である。あるときは不安に、あるときは温かく、あるときは軽快に響いて、作品世界を象徴するサウンドを作り上げている。横山克は「作曲の終盤でこの音を入れ込んだ時、まぼろし工場の音楽世界がしっかり出来上がった実感がありました」とコメントしている。本作は、横山克による「ピアノと合唱とシデロイホスのための交響詩」と呼んでもよいかもしれない。

『アリスとテレスのまぼろし工場』オリジナルサウンドトラック
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
412 アニメ様日記 2023年4月16日(日)

2023年4月16日(日)
イベント前に、OVA『ああっ女神さまっ』を観返す。当時はベルダンディーが降臨したこと自体が幸福なことだと思ったけれど、この年齢になると「ここはまだまだスタートラインだなあ」と思ってしまう。OVAの1話、2話は「このカットはセル撮したなあ」とか、そんなことばかり思い出す。1話に関してはムックを作ったわけでもないのに、かなりの量のセル撮をやっているなあ。OVAの1話、2話の後に、TV『ああっ女神さまっ』1話、2話を観る。OVAとTVでは絵作りの方向がかなり違う。TVの2話で願いが受け入れられて、ベルダンディーと一緒に暮らすことになった螢一が自分は貧乏だけどいいのか、バイトもしなくちゃいけないんだけどいいのか、とベルダンディーに問うところが、今の深夜アニメを観慣れた目で観ると、やたらと地に足が着いていて、むしろ、新鮮。OVAだと1話で螢一とベルダンディーが他力本願寺に落ち着くところまでやって、螢一の妹の恵まで登場するが、TVは2話が寮を追い出されて、螢一とベルダンディーが自動車の中で夜を明かすところまで。他力本願寺に落ち着くのは3話。OVAは話を圧縮していて、TVは膨らませている。
昼に「第203回アニメスタイルイベント ANIMATOR TALK 合田浩章&松原秀典」を開催。お客さんとして黄瀬和哉さんが来るのは分かっていたのだけれど、それ以外に業界の方が何人も。荒牧伸志さんもいらしていた。トーク自体は楽しいものになった。今回のイベントで松原秀典さんの姓の読みが「まつばら」ではなく「まつはら」だったということが判明した。戸籍上の名前は「まつはら」。ご本人は「まつはら」と呼ばれるのが嫌なので「まつばら」と呼んで欲しいそうだ。イベント終了後、駅に戻る途中で、もんじゃ焼きの店にいたアニメスタイルイベントの常連さん達に声をかけられる。実はその方達に謝ることがあって、お邪魔して少し吞む。

2023年4月17日(月)
疲れていたので、低空飛行にした日。散歩のついでに、高田馬場で翌日に打ち合わせで使う喫茶店の下見をした。仕事関係でまたまた大き目のアクシデントが発生。「やばい」とか言っている場合ではない。
例によってながら観だけど、録画で現行のアニメをひたすら観る。この日だけで1クール分以上の本数を観た。『六道の悪女たち』が楽しい。配信で『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』も観た。

2023年4月18日(火)
あるアニメーターさんと打ち合わせ。お宝資料を沢山お借りする。作業は沢山やっているのだけれど、原稿が進められないと、仕事をしている気があんまりしない。現行のアニメを観て、Amazon prime videoにあった「東京大学映画祭」を数本観て、「式日」が観たくなってDVDで視聴。それから、TOKYO MXでやっていた『ARMORED SAURUS アーマードサウルス』の1話を観た。映像に関してかなり頑張っていた。メカメカしい。
『アリス・ギア・アイギス Expansion』3話。劇中のセリフで、キャラクターの日向リンというキャラクターについて、セリフで「ひむかいっち」と呼ぶべきところで、誤って「ひなたっち」と呼んでしまったのだそうだ。作品公式サイトでそれについてのお知らせを読んでから、3話を観たので、申し訳ないけれど、笑わなくていいところで笑ってしまった。特に最後のセリフ。
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』が初週3日間で興収31億4,638万7,340円だそうだ。4月14日(金)の初日朝イチで『黒鉄の魚影』を鑑賞した後、ワイフは『名探偵コナン』にどっぷり浸かって、サブスクでTVシリーズを観て、劇場版を観て、Kindleで原作も読んで、17日(月)の朝は一人で『黒鉄の魚影』のおかわりにいった。終盤の灰原と蘭のキスがいいらしい。確かにあれには驚いた。Twitterで「ファンを殺しにきた映画だ」という発言を見たけれど、確かに殺しにきているなあ。「映画館で何度も殺されたい」って感じなんだろうなあ。自分の『黒鉄の魚影』の感想はまた改めて。

2023年4月19日(水)
この日でワイフは朝の散歩が4日連続。連続して散歩に行けるくらい元気になったのは、半分は『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のおかげらしい。自分はダイエットを続けたためか、この数日はスタミナ不足。
昼の買い物中に、サンシャイン60の「てんぼうパーク」がオープンしていることを思い出し(オープンは4月18日(火)だった)、あまり人が並んでいないかったので、入場して一回りする。座るところが多いので時間を潰すのにもいいかも。
『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』を1話から14話まで流し観する。

2023年4月20日(木)
『贄姫と獣の王』1話がよかった。2話以降もあのテンポと雰囲気なのかな。仕事の合間に新文芸坐で『マッドゴッド』(2021・米/84分/PG12)を観る。尖った内容のストップモーションアニメ。これが一般映画として公開されていることが凄い。今の自分にとっては観たいタイプの映画ではなかったけれど、高校生の頃に観たらかなり楽しんだかもしれない。
「Gメン’75」の137話「’78新春大脱獄!」、138話「復顔術」の録画をながら観。137話で劇中でかけられたレコードが「Gメン’75」のテーマ曲で、シーンが変わってもテーマ曲が流れ続ける。つまり、劇中曲兼BGMとして使っているところが面白かった。

2023年4月21日(金)
かなり久しぶりにOVA『人魚の傷』を視聴。主人公が山寺宏一さんだ。OVA『人魚の傷』は1993年9月発売で『獣兵衛忍風帖』は1993年6月5日公開だ。『獣兵衛忍風帖』が山寺さんの初めての主人公だという記事を読んだ記憶があるけど、その直後の作品なのね。『D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~』1話も観る。
午後はWOWOWの「暗殺者[吹替補完版]」「デッドフォール[吹替補完版]」を流し観。特集「吹替で楽しむ!シルヴェスター・スタローン×ささきいさお」のプログラムで、他には「コブラ」「スペシャリスト(1994)[吹替補完版]」を放映していた模様。「デッドフォール」でシルヴェスター・スタローン演じる主人公が、冒頭で「ランボーのつもりか」という意味のことを言われて「ランボーはひよっこさ」と言うのがちょっと面白かった。「デッドフォール」は二人の刑事のバディ物で、佐々木功さんとコンビを組むのが、安原義人さん。二人の掛け合いが楽しかった。

2023年4月22日(土)
朝から昼過ぎまでみっちり作業をした。ざくざくとラフを作成して、Chatworkに送った。最近は複数の作業を並行して進めることが多くて、ひとつの作業を長時間やったのは久しぶり。その後はワイフと外出。六義園でツツジを見てから「もつ焼 高賢」で食べて吞む。話は変わるけど、『カワイスギクライシス』は引き続き、登場人物が馬鹿で可愛くて楽しい。

第821回 役職掛け持ち~『いせれべ』の話(12)

 まだ、『いせれべ』話の続きです。

8話の脚本・コンテ・演出は長谷川千夏さん!

 『蜘蛛ですが、なにか?』(2021)制作中に入社した、若手アニメーター。現在でも原画・動画・仕上げ・背景となんでもアグレッシブにこなしてもらっています。本人がもともと演出志望であると、面接時からそう言っていました。という訳で、今回は「脚本やってみる? 俺が面倒見ることが条件になるけど」と誘ったところ、「いいんですか!?」と。やりたいと言ってくれるのなら、ガッツリ最後まで付き合っていただこう! で、ちょっと背伸びさせるつもりで“脚本・コンテ・演出1本まるまる”任せてみました。
 ちなみにそれを言うと「アニメーター3年目で脚本・コンテ・演出なんてやらせ過ぎだろ!」と仰る業界人(特に我々同世代より上)が必ずいらっしゃいます。でも考えてみて下さい。我々が20代だった頃の数倍(小さいのを入れると10倍以上?)の本数のアニメが作られてる昨今、それに対し業界全体でアニメーターの人数は30年以上変わっていないと聞いています。ということは各制作チーム(会社)が業界全体の人材を互いで奪い合ってアニメ作ったって、現状付け焼き刃に過ぎません。なぜなら我々団塊ジュニアが早ければあと10年もすると使いものにならなくなるからです。さらにそれにオーバーラップして、2000年以降の出生数から計算しても“アニメーターを目指す人”自体が減り続けるのは間違いないと思います。加えて“働き方改革”による労働時間制限では、

40年は続いたであろう旧態依然とした“監督1人に脚本3〜4人、演出6人、以外作業者100人”のなだらかなピラミッド体制で作り続けられるハズがありません! 脚本家・演出家の権威どーのこーのなんて言ってる場合じゃない!

でしょう。よって、ウチは複数の役職を掛け持ちしてもらうのであり、全員時給換算の社員雇用であればこそ可能な作り方です。業務委託のアニメーターに作画以外の仕事を振るのはルール上NGなので。
 実作業の話に戻ります。脚本作業は初めてにしては順調でした。もちろん、シリーズ構成の立場からホン読み(脚本打ち)で少々揉ませてもらいましたが、長谷川さん自身賢い人なので特段問題なく普通にこなしてくれました。
 続いてコンテ。こちらは数回に割って、それぞれのブロックでラフ段階に修正・アドバイス入れて戻す。それを反映させた清書を彼女が上げて行く、な感じでチェックしました。基本、長谷川さんのやりたいことをベースに、俺の方が「こう見せたいならカット割った方が作画しやすい」とかの部分修から、「このシーンのカット割りはこう!」などと大きな流れから直したものまであったりしましたが、長谷川さんのは他話数のコンテに比べると比較的直しが少なかったように思います。どちらかと言うと、凝り過ぎている芝居内容を「ここ止めて」「ここBG ONLYのOFFで」などの整理してた感じの修正でした。
 レイアウト・原画のチェックは田辺(慎吾)監督が長谷川さんにアドバイスをしていたようです。自分、任せるところは大雑把に任せる性格です。
 が、任せっぱなしには絶対にしません! 納品前のリテイク作業は自分が仕切り、且つ手伝いました。例えば、“沢田先生の髪の毛クルクル”はラッシュ(撮影上がり)を見て、動画の(と言うより原画から)の上りが良くなかったので、俺の方が仕上げデータに直修正を入れて、長谷川さんに仕上げてもらいました。他ディティールの甘い部分の修正も同様に板垣修正・長谷川仕上げでやりました。最後は前回話題にした“撮影張り付き”も。
 あと印象的なのは、長谷川さん演出・作画の料理のシーンや食材のディティールの描き込み、大変良かったと思います!
 そして、3話でも見事な“投げアクション”を描いてくれた篠衿花さん、今回は“熊の投げ飛ばし”で大活躍!ありがとうございました!

 はい、また次週へ。

アニメ様の『タイトル未定』
411 アニメ様日記 2023年4月9日(日)

2023年4月9日(日)
朝の散歩でサブスクに入った『地球防衛企業ダイ・ガード』のサントラ1、2を聴いた。BGMもいいんだけど、オープニングテーマ、エンディングテーマがいい。歌としていいだけでなく、これがアニメの主題歌だというのがいい。「あの時代」の感じだ。
午前10時からグランドシネマサンシャインで「 『シン・仮面ライダー』大ヒット御礼舞台挨拶 ライブビューイング」を鑑賞。仕事のスケジュール的には行けないはずだったのだけど、チェックする原稿が届かなかったので、当日になって行くことにした。行ってよかった。庵野さんが数十年ぶりに今後のスケジュールを白紙にしたという意味のことを言っていて、とてもよいと思った。たっぷりと休んでもらいたい。「シン・仮面ライダー」を再見して、庵野秀明作品として色が濃いことを確認した。本郷にとって一文字隼人がどういう存在なのかが分かったし、本郷がルリ子と距離をとっている理由もわかった。
新番組では『異世界召喚は二度目です』『おとなりに銀河』『異世界ワンターンキル姉さん 姉同伴の異世界生活はじめました』の1話を観た。『天国大魔境』2話も『地獄楽』2話もよかった。天国もよかった、地獄もよかった。深夜アニメではないけれど、『ぐんまちゃん』シーズン2の1話も観た。
身体を休めるのが目的で、ワイフとドーミーイン池袋に泊まる。15時にチェックインして温泉に入って、16時に就寝。

2023年4月10日(月)
午前1時40分に出社して午前5時40分までデスクワーク。その後はドーミインに戻って昼までベッドで横になる。身体を休めるのが目的なので、途中でメールを書いたりしないで、積極的に休んだ。午後は事務所で作業。「アニメスタイル017」で困ったことがあって悩む。アニメ雑誌の仕事をはじめて40年近いけど、こんなことになったのは初めてだ。アニメ雑誌で突っ込んだ記事をやるのが難しくなったことを痛感する。仕事関係のストレスでどかんと飲みたいところだけど、晩飯時にハイボールを一杯だけ。
新番組は『事情を知らない転校生がグイグイくる。』『ワールドダイスター』『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』『青のオーケストラ』を観る。それから『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期1話を観た。『事情を知らない転校生がグイグイくる。』は太陽君も西村さんもイメージしていたよりも声に抑揚があるんだけど、それはそれとして声がついた嬉しさがあった。特に西村さん。録画で「藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ」の「おれ、夕子」「メフィスト惨歌」を観た。
SNSでan・anの『名探偵コナン』描きおろしイラストを見た。素晴らしかった。

2023年4月11日(火)
13時から池袋西口の新珍味で、吉松さんと「アニメスタイル017」のマンガの内容についての打ち合わせ。
仕事をしながら何か映像を流そうかと思ったけれど、アニメだと余計なことを考えてしまいそうだし、録画してある映画、配信の気になる映画はじっくり観たいものばかりだし、録画してあった「Gメン’75」を再生したら、安楽死をテーマにした重たい話でどんよりしてしまったので、Amazon Prime Videoチャンネルの「マイ★ヒーロー」に入り直して特撮ドラマの「ジャイアントロボ」を再生。4話まで観た形跡があるから、前にも「何か観るものは」と思って観たのだろうなあ。「ジャイアントロボ」は今観てもよくできている。敵ロボット(怪獣)のバリエーションもいい。U6(マリー花村)が登場したところで、本放映当時、この子が苦手だと感じていたのを思い出した。いや、苦手だったのは覚えていたけど、その感覚を思い出した。別に悪い子じゃないんだけど。それから「ジャイアントロボ」は自分にとって、BGMが一番耳に馴染んでいる番組のひとつだった。
新番組は『彼女が公爵邸に行った理由』『デッドマウント・デスプレイ』『君は放課後インソムニア』の1話を観た。

2023年4月12日(水)
午前1時28分に出社。深夜から昼まで集中して原稿を進めた。疲れたのでマンションに戻って20分だけ横になる。その後は主にメール作業。用事があって、ある方に電話をして、そのついでに「シン・仮面ライダー」について熱く語る。グランドシネマサンシャインの15時35分から16時25分の回で「イントゥ・ザ・ネイチャー 自然が教えてくれること」【IMAXレーザーGT吹替版】を鑑賞。全編がIMAX(R)フルサイズで、その意味では満足。単に綺麗な景色を観せてくれるだけの映画かと思ったら、半端に内容があって、しかしそれがとりとめがない。IMAXカメラで撮っているらしいけど、映像に精緻さが足りないと思ったところもあった。ラスト直前の雄大な景色をしっかり見せるようなカット(絵はがきみたいなカット)を並べるだけの部分が嬉しかった。
配信で太陽の塔のドキュメンタリーを流し観。「Gメン’75」を3話分流し観。

2023年4月13日(木)
TOKYO MXの『新世紀エヴァンゲリオン』最終回を録画で視聴。本放映時から思っていたけど、ケンスケの「平和だねえ」のセリフの次にくるのが自動車のタイヤのカットなのは、高度なアニメギャグだ(ギャグではなくて、カット割りの引用と受け取るべきかもしれないけど)。
「Gメン’75」の録画を流しながら作業。131話「少女餓死」(脚本/池田雄一、監督/小西通雄)が面白かった。サブタイトルからして凄い。障害のある娘を死なせてしまった母親をめぐり、所轄署警部補とGメンが対立する。重たい話だなあと思っていたら、母親を責めていた警部補には植物人間の娘がおり、彼が仕事を優先させたために娘が死んでしまい、その責任をとって警部補が自殺するという大どんでん返し。いやあ、驚いた。「Gメン’75」本放映時にも、自分はこういった刺激が強い部分が好きだったんだろうなあ。136話「X’マスイブ21時のトリック」(脚本/池田雄一、監督/山内柏)はGメンが警視庁の警視を殺人事件の犯人として追い詰める話。警視が同じ内装の部屋をふたつ用意し、それを使ってアリバイ作りをしていたことをGメンが暴く。警視のキャラクターとトリックのギャップもいい。クリスマスの雰囲気もよかった。ネットで検索して、136話が49話「土曜日21時のトリック」(脚本/池田雄一、監督/佐藤純弥)のバージョンアップ版らしいことに気づいた。49話も録画が残っていたので観てみた。こちらはGメンが弁護士を追い詰めるというもので、トリックを暴いたうえで、意外な物的証拠で弁護士を逮捕。その物的証拠は黒木警視が捏造したものであったことが、ラスト数カットで判明する。49話の弁護士も136話の警視も演じたのは内田朝雄。どちらも女Gメンが彼に挑む(49話では響圭子刑事、136話では速水涼子刑事)。
新番組は『魔術士オーフェンはぐれ旅 聖域編』『【推しの子】』1話を観た。『【推しの子】』は映画館で観るよりも、CMが入るTV放映のほうが観やすいかもしれない。劇場は劇場ならではの没入感があったけれど。
コピーはしない、トークの内容をメモしたいだけです、と言うので、10年近く前にトークイベントを録画したディスクを貸したことがある。その貸した相手が、映像の一部をTwitterにアップしていた。これは困ったなあ。

2023年4月14日(金)
グランドシネマサンシャインの午前8時からの回で、ワイフと『名探偵コナン 黒鉄の魚影』をBESTIA enhanced上映で鑑賞。映画が始まる前に、去年が安室で、一昨年が赤井で、その前がキッドと京極だから、来年は★★のはず。今の『名探偵コナン』だと、★★単体だと物足りないから★★と☆☆を絡ませるのでは? と話していたのだけど、本編後の告知を観るとその予想が当たっていた模様。蕎麦屋で吞みながら、映画の内容について色々と文句を言ったら、ワイフに「文句を言っている祐一郎さんが本当に楽しそう。こんなに楽しそうにしているのは久しぶりに見た」と言っていたので、不満はあるけど、かなり楽しんだのだろう。ワイフは『黒鉄の魚影』について「胸キュンが強すぎて吐きそうになった」と言っていた。自分の不満はともかく、これは100億いくかもしれないなあ。作品内容とは別の話だけど、予告で気になっていた輪郭線のジャギジャギは無くなっていた。
その後、ワイフとユニクロに行ってジーパンとチノパンを買う。セレクトはワイフの意見を反映させた。ジーパンのサイズはL。チノパンはウエスト85センチ。この日まで履いていたジーパンのウエストは91.5センチでブカブカになっていた。事務所に戻ってデスクワークと定例Zoom打ち合わせ。ウドン社のエリックさんが来日して、堺三保さんと食事をしているところにお邪魔してご挨拶。「シン・仮面ライダー」についてどう思うか、と聞かれたので、自分の作品についての印象を伝える。何度か人に話したので上手に説明できた。

2023年4月15日(土)
新文芸坐で『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の「ワイルドスクリーンバロック・ライティング上映【拍手OK】」を観た。鑑賞というか観劇。上映というか上演。映像にあわせて、天井と壁のライトが点灯するのだが、光の色や動きがきちんと「演出」されていた。主にレヴュー(バトル)のシーンでライティングされるのだが、レビューごとに演出が違う。特殊上映としては100点満点で300点くらい。作品を殺さず、いいところを強化する上映だった。ライティングで、新文芸坐のステージを華恋とひかりの舞台に見立てる演出があり(劇中で二人が舞台に立った時に、新文芸坐のステージ上のポジションゼロとその左右にスポットライトがあたる)、さらに上映が終わった後で、劇場スタッフが華恋とひかりの衣装をステージに配置するという凝り方。僕は見ていないけど、上映前にも衣装は置かれていたようだ。ステージに華恋とひかりがいると想像させることで、劇中で二人が「観客」について言及することの面白さが強化されるわけだ。作品がアバンギャルドなら、映画館もアバンギャルドだ。いつにも増して音響もよくて、クライマックスの東京タワーが飛んでいくところは身体がビリビリ震えるくらいだった。
『バブルガムクライシス』5巻~8巻を観た。8巻のサブタイトルは「SCOOP CHASE」。改めて画面を確認すると「SCOOP CHASE」の後に「LISA」という文字が出る。「アニメポケットデータ2000」を確認したら、同書での表記は『MEGA TOKYO 2033 BUBBLEGUM CRISIS[8]SCOOP CHASE LISA』になっている。凄いぞ、さすがだ。リスト制作委員会。ただし、バッケージのロゴは「BUBBLEGUM CRISIS 8 SCOOP CHASE」みたいだし、画面で「SCOOP CHASE」と「LISA」の書体が違うところも気になる。小川びい君が作品リストを作成した書籍「キャラクターボイスコレクション 女性編1」の富沢美智恵さんのリストを見ると、タイトル表記が『MEGA TOKYO 2033 BUBBLEGUM CRISIS[8]SCOOP CHASE』になっている。「LISA」はつけていない。このリストはリスト制作委員会の表記を参考にしているはずで「LISA」をつけていないのは、リスト制作委員会の表記を参考にした上で、「LISA」は作品タイトルではないと判断したのだろうか。
『終末のワルキューレII』1話、『ポケットモンスター』新シリーズ1話を観る。『ポケットモンスター』新シリーズは世界観が現実寄りになった。林原めぐみさんはニャオハ役でレギュラー。大谷育江さんもレギュラーだけど、ピカチュウではなく、キャプテンピカチュウ。

第212回アニメスタイルイベント
ANIMATOR TALK 黄瀬和哉&西尾鉄也

 「ANIMATOR TALK」はアニメーターの方達に話をうかがうトークイベントシリーズです。今回は『機動警察パトレイバー[劇場版]』『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』等で知られる黄瀬和哉さん、『NARUTO ‐ナルト‐』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』等を手がけた西尾鉄也さんをゲストに迎えて開催します。
 お二人がリスペクトするアニメーターについての話を中心にトークをしていただく予定です。

 開催は10月8日(日)昼。会場はLOFT/PLUS ONEです。チケットは9月19日(火)18時から発売。購入方法についてはLOFT/PLUS ONEのサイトをご覧になってください。 また、会場では「黄瀬和哉 アニメーション画集」「西尾鉄也画集」のサイン本を販売する予定です。


 イベントは「メインパート」のみを配信します。配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。このイベントに関してはアニメスタイルチャンネルでの配信も期間限定となる予定です。
 なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。

■関連リンク
LOFT/PLUS ONE
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/263599

■商品情報
【アニメスタイルの新刊】「黄瀬和哉 アニメーション画集」の一般販売が開始!!
http://animestyle.jp/news/2018/08/21/14114/

西尾鉄也の集大成「西尾鉄也画集」ネット書店、一般書店で9月26日発売!
http://animestyle.jp/news/2016/08/16/10363/

第212回アニメスタイルイベント
ANIMATOR TALK 黄瀬和哉&西尾鉄也

開催日

2023年10月8日(日)
開場12時30分/開演13時 16時頃終演予定

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

黄瀬和哉、西尾鉄也、小黒祐一郎

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,500円、当日 1,800円(税込・飲食代別)
ツイキャス配信チケット/1,300円

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

【新文芸坐×アニメスタイル vol. 166】
映画館で出逢うアニメの傑作 劇場版『機動警察パトレイバー』1&2

 9月23日(土)と30日(土)に、新文芸坐とアニメスタイルの共同企画で『機動警察パトレイバー[劇場版]』『機動警察パトレイバー2 the Movie』を上映します。いずれの作品も押井守さんが監督を務めた傑作です。両作ともサウンドリニューアル版での上映となります。

 23日(土)は上映前に、作画監督を務めた黄瀬和哉さん、プロデューサーの石川光久さんのトークを予定。聞き手はアニメスタイル編集長の小黒が務めます。

 23日(土)分のチケットは16日(土)から、30日(土)分のチケットは23日(土)から発売となります。発売方法については、新文芸坐のサイトで確認してください。

【新文芸坐×アニメスタイル vol. 166】
映画館で出逢うアニメの傑作 劇場版『機動警察パトレイバー』1&2

開催日

2023年9月23日(土)14時~18時35分
2023年9月30日(土)19時~22時45分

会場

新文芸坐

料金

2023年9月23日(土) 一般 2800円、各種割引 2400円
2023年9月30日(土) 一般 2600円、各種割引 2200円

トーク出演
(9月23日)

黄瀬和哉(アニメーター)、石川光久(プロデューサー)、
小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)

上映タイトル

機動警察パトレイバー[劇場版](1989/99分)
機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/113分)

備考

※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第820回 寺沢先生、ご冥福を~『いせれべ』の話(11)

 『コブラ』の原作(ジャンプコミックス版)を全巻持っています。自分の場合、週刊少年ジャンプ連載時にリアルタイム読みするには、年齢的にちょっと子供だったので、出﨑統監督のアニメ——しかも再放送ぐらいから(中学生?)ハマった感じで、そこから全18巻揃え、何回も読み返していました。その後『MIDNIGHT EYEゴクウ』も大好きで、こちらも全巻持ってます! どれもカッコよくて、男なら皆寺沢作品が好きだったと思います。

『コブラ』の原作者・寺沢武一先生のご冥福を心からお祈り申し上げます

 そして、『いせれべ』話の続き。

7話の脚本は2話と同じ竹田裕一郎さん!

 脚本(シナリオ)の竹田裕一郎さん——自分とは『砂ぼうず』(2004)、『BLACK CAT』(2005)の連投で御一緒しました。当時、連絡先を交換しないままお別れしてその後ご縁がなかったのですが、今回、前述の筆安一幸君(6話・脚本担当)より、ホン読み(脚本打ち)前に「板垣さん、竹田さん知ってますよね、声掛けましょうか?」と切り出され今回の運びに。つまり、もともと筆安君が竹田さんと繋がっていたお陰で、またお仕事できました、感謝です! 筆安君も竹田さんも、様々なタイトルをこなしてきたベテランの貫禄で、仕事が早く助かりました。
 この7話はルナ初登場で、木村(博美)総作監が結構粘っていた気がします。自分の方は、他話数同様アクション原画~レイアウト全般のフォロー。あと、この辺りから“撮影張り付き”が仕事のメインに入ってきました(汗)。撮影張り付きとは本来、原画と一緒に提出される撮影指定やタイムシートでそのカットで欲しい画面処理、光や影・カメラワークなどを指示するのが基本なのですが、今作みたいに画ができ上がってからのリテイクが少々多い場合、時間的に間に合わせるためのショートカットとして、

撮影監督・撮影スタッフのモニターに向かい、そこに張り付いて直接指差し指示をする!

という、撮影スタッフによっては嫌がる人は嫌がる強行演出スタイルです。
 が、今回は撮影が物理的にウチの上の階にある白石社長のもう一つの会社──lxlxl(エルエルエル)だったからできた技(?)でした。つまり、階段上れば指示出しに行ける理想的な環境だった訳で、最終回まで納品前日は張り付きまくりました! ありがとう、田中翔太君、大見有正さん!
 撮影張り付きの話が出たついでにぶっちゃけると、この話数も納品前の直しがかなり大変でした。前半はBG(背景)修正、2話や5話と同じく森が“大魔境になっていない!”と、また俺も参加して直し、後半は現実世界での校外学習。こちらはバス内のシーンから、モノによってはレイアウトから全修正も。現実世界の森や川周りは、またまた中島楽人君や長谷川千夏さんにBG修正を助けてもらい(ありがとう!)、さらに他話数と同じく俺の要望に合わせて、木村総作監がレイアウト・原画から容赦なく描き直してくれたので、何とか事なきを得られました。スタッフの皆本当にありがとう!

 じゃ、また次週へ。

第211回アニメスタイルイベント
「磯光雄 ANIMATION WORKS preproduction」刊行記念トーク

 アニメスタイルが8月に刊行した「磯光雄 ANIMATION WORKS preproduction」は磯光雄さんが描いた企画書、アイデアメモ、シナリオ、設定、絵コンテ等をたっぷり収録した資料集です。この書籍の刊行を記念してトークイベントを開催します。磯光雄さんに今までのお仕事を振り返っていただきます。

 開催は9月23日(土)夜。会場は阿佐ヶ谷ロフトA。チケットは9月16日(土)正午12時から発売。購入方法については、ロフトグループのサイトをご覧になってください。なお、今回のイベントは現在のところ、配信を予定していません。

■関連リンク
LOFT  https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/263312
LivePocket(チケット)  https://t.livepocket.jp/e/6910-

■商品情報
「磯光雄 ANIMATION WORKS」第3弾の予約受付開始!コミックマーケット102で先行販売!
http://animestyle.jp/news/2023/07/20/24746/

第211回アニメスタイルイベント
「磯光雄 ANIMATION WORKS preproduction」刊行記念トーク

開催日

2023年9月23日(土)
開場18時/開演19時 22時頃終演予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

磯光雄、小黒祐一郎

チケット

前売 1,500円、当日 1,800円(税込・飲食代別)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

第264回 君たちはどう聴くか 〜君たちはどう生きるか〜

 腹巻猫です。劇場アニメ『君たちはどう生きるか』は、観た直後はお腹一杯と思いながら、しばらく経つとまた観たくなるふしぎな作品です。「面白いからリピートする」のとはちょっと違う(面白いのですが)。観ると心の奥をかき回され、「死と再生」を体験したような気持ちになります。そう感じる理由は、これまでの宮崎アニメとは異質のストイックな音楽にもありそうです。


 『君たちはどう生きるか』は2023年7月に公開されたスタジオジブリ制作の劇場アニメ。
 『風立ちぬ』以来10年ぶりとなる宮崎駿監督の長編劇場アニメであり、公開前に内容を一切明かさない大胆な宣伝手法も話題になった。
 第二次世界大戦中の日本。病院の火事で母を亡くした少年・眞人(まひと)は、父とともに東京を離れ、母の実家に疎開する。そこには父の再婚相手で、母の妹である夏子が待っていた。新しい母にも疎開先の学校にもなじめない眞人は、奇妙な青サギによって森の中の古い洋館に導かれ、生と死が混然一体となったふしぎな世界へと迷い込んでいく。
 音楽は宮崎アニメになくてはならない作曲家・久石譲。
 宮崎アニメでおなじみだった、親しみやすいメロディと大編成のオーケストラを使った音楽とはがらりと作風を変え、久石譲の原点でもあるミニマルミュージックの手法を取り入れた音楽で、全編を演出している。
 サウンドトラックのブックレットには、宮崎監督と鈴木敏夫プロデューサーのコメントが掲載され、久石譲が映画音楽をミニマルミュージックで統一したことへの驚きが表明されている。
 しかし、本作の音楽のすべてがミニマルミュージックかと言われると、たぶん違う。少なくとも、テリー・ライリーやスティーブ・ライヒに代表されるようなスタイルのミニマルミュージックばかりではない。単純な音型の反復がミニマルミュージックの典型だとしたら、『君たちはどう生きるか』の音楽には、わかりやすいメロディを持つ曲もあるし、どんどん展開していく曲もある。ただ、どの曲も編成は薄く、音数も少なく、メロディも控えめ。大きく盛り上がる展開もない。「ミニマルミュージックの手法を取り入れた音楽」で全編が彩られているのはたしかだ。

 ミニマルミュージックは久石譲の原点である。久石は過去の映像音楽作品でもミニマルミュージックの手法をたびたび使っている。まず思い出されるのは『風の谷のナウシカ』(1984)の腐海の曲。シンセサイザーによる単純なフレーズの反復はまさにミニマル的だった。OVA『BIRTH』(1984)ではロックとミニマルの融合とも呼べる音楽が聴けるし、『となりのトトロ』(1988)ではミニマル的な音楽が幻想と隣り合わせの童話的な日常を演出していた。ふしぎな感じや浮遊感を表現するのに、ミニマルミュージックの手法は有効なのである。
 また、余分な音をそぎ落としたミニマル的な音楽は、映画音楽の手法として古くから使われている。シンプルな旋律で淡々と奏でられるピアノソロの曲などは、繊細な心情描写や静かな情景描写に効果を発揮する。坂本龍一の晩年の映画音楽が、そういう、音を極限まで減らしたストイックな音楽だった。
 しかし、それは作品のテーマや演出が要求した必然的な音楽スタイルである。
 『君たちはどう生きるか』で驚くのは、ふつうならミニマル的な音楽がつくとは思えないシーンもミニマル的な音楽で通していること。
 たとえば、映画の冒頭、母を亡くした眞人が東京を離れて疎開するシーン。眞人の気持ちに寄り添うなら悲しい曲や不安な曲をつけるところだが、穏やかなテーマ「Ask me why」が静かに流れる。また、クライマックスの世界崩壊シーン。劇場アニメ『銀河鉄道999』の惑星メーテル崩壊シーンのような壮大な曲が流れそうなのに、最小限の音で演出している。従来のファンタジー作品の音楽を思い浮かべると、とても「らしくない」音楽なのである。
 本作におけるミニマル的な音楽は、演出の必然から採用されたスタイルというより、もう少し大きなコンセプト、もしくは、ある種のこだわりから採用されたスタイルだと思うのだ。
 音楽打ち合わせで宮崎監督と話した久石譲は、本作が監督の自伝的要素が強い作品だと理解し、それならピアノ1本とか、シンプルに主人公の心に寄り添う音楽がよいかもしれない、と提案したという。そこからミニマルミュージックという発想が自然に出てきた。
 久石譲は2000年代後半からミニマルミュージックに回帰する姿勢を見せ、オーケストラと共演したミニマルミュージック・アルバム「ミニマリズム」のシリーズを意欲的にリリースしている。一連のアルバムでは「シンプルなフレーズのくり返し」にとどまらない、ミニマルミュージックの久石譲流の解釈を聴くことができる。こうした挑戦、あるいは実験が、本作の音楽の下地になったのだろう。
 が、それだけで作品全体をミニマル的な音楽で彩るのは冒険である。
 本作の手法を予感させる作品があった。2019年に公開された劇場アニメ『海獣の子供』だ。この映画を観たとき、久石譲の音楽に大きな感銘を受けた。見せ場となる幻想的なシーンをピアノを使ったミニマル的な音楽で演出している。生命の神秘に迫る作品のテーマと音楽がみごとにマッチして、新鮮な体験をもたらしてくれた。
 久石譲はこの作品で、ファンタジーでもミニマルミュージックの手法が有効だと手ごたえを感じたのではないか。
 もうひとつ忘れてはならない先行作品がある。高畑勲監督の遺作となった『かぐや姫の物語』(2013)である。高畑監督と初めてタッグを組んだこの作品で、久石譲は「登場人物の気持ちを表現してはいけない」「状況につけてはいけない」「観客の気持ちをあおってはいけない」と求められたという。
 『君たちはどう生きるか』の音楽は、まさしく、気持ちを表現せず、状況を説明しない音楽である。表現も説明もしない音楽を聴いていると、観客は無意識に、この場面は何を表現しているのだろう、どういう意味なのだろう、と考える。
 音数を減らし、メロディを抑え、シンプルなフレーズのくり返しで紡いだ音楽は、観客に「この作品をどう観るか」と問いかけてくるようだ。
 本作には謎が多い。音楽もまた、観客に向けて放たれた謎である。
 本作のサウンドトラック・アルバムは「君たちはどう生きるか サウンドトラック」のタイトルで、2023年8月9日に徳間ジャパンコミュニケーションズから発売された。収録曲は以下のとおり。

  1. Ask me why(疎開)
  2. 白壁
  3. 青サギ
  4. 追憶
  5. 青サギII
  6. 黄昏の羽根
  7. 思春期
  8. 青サギIII
  9. 静寂
  10. 青サギの呪い
  11. 矢羽根
  12. Ask me why(母の思い)
  13. ワナ
  14. 聖域
  15. 墓の主
  16. 箱船
  17. ワラワラ
  18. 転生
  19. 火の雨
  20. 呪われた海
  21. 別れ
  22. 回顧
  23. 急接近
  24. 陽動
  25. 炎の少女
  26. 眞人とヒミ
  27. 回廊の扉
  28. 巣穴
  29. 祈りのうた(産屋)
  30. 大伯父
  31. 隠密
  32. 大王の行進
  33. 大伯父の思い
  34. Ask me why(眞人の決意)
  35. 大崩壊
  36. 最後のほほえみ
  37. 地球儀(歌:米津玄師)

 鈴木敏夫がライナーノーツに面白いことを書いている。
 久石譲は毎年、宮崎駿の誕生日に新曲をプレゼントしている。それのほとんどがミニマルミュージックだった。そして、本作には宮崎駿にプレゼントした曲が使われているというのだ。
 ただし、そのプレゼント曲は基本的に公開されていないので、全貌はわからない。が、このエピソードだけでも、本作の音楽が従来の宮崎アニメとは違う形で作られたことがうかがえる。
 1曲目の「Ask me why」は本作のメインテーマと呼べる曲。ピアノソロと薄いストリングス、パーカッションで奏でられる。シンプルな音とフレーズで構成された曲は、ミニマル的ではあるが、温かく、心を動かす。映画の重要な場面で、この曲の変奏が登場する。本作のタイトルは「君たちはどう生きるか」なのに、曲名は「私に理由をきいて」。これも音楽に秘められた謎のひとつだ。
 トラック2「白壁」は落ち着いたトーンのピアノソロの曲。眞人が疎開先の屋敷に到着する場面に流れた。これもミニマル的ではあるが、むしろサティが書いた「家具の音楽」に近い印象がある。
 トラック3の「青サギ」は、主人公・眞人を旅に導き、ときにはトリックスターの役割も果たす青サギの登場シーンに流れる曲。初めて登場したときはピアノが短いフレーズを奏でるだけだが、「青サギII」(トラック5)、「青サギIII」(トラック8)と、くり返し登場するたびに曲が長くなっていく。単純なフレーズとリズムで構成されたミニマル的な曲である。「青サギIII」では眞人の動揺にあわせて曲が展開し、典型的なミニマルミュージックのスタイルからは逸脱していく。が、心がしだいに波立っていくような感じは、ミニマル的な曲想の効果である。
 青サギと眞人が池で対峙する場面に流れたトラック10「青サギの呪い」も「青サギ」の変奏。眞人と青サギが対話し、眞人の動揺は最高潮に達する。「青サギ」から順に聞いていくと、ミニマルな響きが徐々にダイナミックに変化していくようすが興味深く面白い。一連の青サギの曲は「青サギのテーマ」というより、青サギが象徴するなにか、おそらく「異界」を表現している。眞人が青サギとともに旅を始めてからは、このテーマは聴こえなくなる。
 トラック11「矢羽根」は筆者が魅力を感じた曲のひとつ。眞人が弓と矢を自作するシーンに流れていた。ストリングスとピアノ、フルートなどが、単純な音型をくり返す曲だ。弦のピチカートがアクセントになっている。大きな起伏も展開もない曲想は、とてもミニマル的で気持ちいい。こういうモンタージュ場面にもミニマルミュージックは合っている。
 トラック13「ワナ」は眞人が古い洋館の奥に誘い込まれ、偽物の母を見つけるシーンに流れる曲。ふつうなら緊迫感に富んだ音楽で盛り上げるところだが、ここでも音楽はミニマル的。ストリングスやピアノがシンプルなフレーズをくり返す構成が、張り詰めた緊張感を醸成する。観客は「なにが起こっているのか」と息を呑んで見つめることになる。「青サギの呪い」の発展形とも呼べる曲である。
 次の曲「聖域」(トラック14)がいい。眞人の前に広がる異世界の情景。ファンタジー作品の常道なら、幻想的で壮大な音楽を流すところだ。久石譲が付けた曲は、ピアノが淡々と同じ音型を奏で続ける、静謐とも呼べる音楽。ミニマルミュージックの手法がこの上ない効果を上げている。静かで、感情的でないからこそ、生と死が混然となったふしぎな世界の印象が伝わってくる。本作の音楽の聴きどころのひとつだと思う。
 ここから本作の主な舞台は異世界になるわけだが、音楽のトーンは変わらない。現実世界と異世界とで、音楽を分けていないのだ。
 緊迫した場面に流れる「墓の主」(トラック15)、「箱船」(トラック16)なども、ミニマル的なアプローチを崩していない。
 後半の音楽の中でもほっとするのが、丸くふわふわした生き物ワラワラにつけられた曲「ワラワラ」(トラック17)。シンセサイザーとパーカッションを主体にした可愛い曲である。ミニマル的な曲想をベースに、声やリズムを加えて、ユーモラスな味を出している。これまでの宮崎アニメに登場した、小さくふしぎな生き物たちを連想させる曲だ。
 後半の音楽で印象的なのが、火を操る娘ヒミにつけられた曲。女声ヴォーカルが歌うモティーフが「火の雨」(トラック19)の終盤に初めて登場する。「炎の少女」(トラック25)では、そのモティーフがくり返され、活気のある神秘的な娘ヒミのイメージを印象づける。エキゾティックなフレーズのくり返しは呪文のようでもあり、祈りのようでもある。「回廊の扉」(トラック27)はその変奏で、ピアノとコーラスだけのアレンジによって神秘性が増している。
 女声ボーカルが入った曲想に『風の谷のナウシカ』の「ナウシカ・レクイエム」を連想する人もいるだろう。本曲のボーカルも「ナウシカ・レクイエム」と同じ麻衣(久石譲の娘)が担当している。ヒミは本作のヒロインと呼べるキャラクター。ナウシカの曲との相似は偶然ではないはずだ。
 眞人が夏子と再会するシーンに流れる「祈りのうた(産屋)」(トラック29)は原典が判明している。2015年にリリースされたアルバム「ミニマリズム2」に「祈りのうた for Piano」という曲が収録されているのだ。メーカーによるアルバムの説明には「戦後70周年を迎えたこの日本のために書かれた」とある。もともとは久石譲が宮崎駿にプレゼントした曲だという。このシーンの映像はドラマティックだが、音楽はストイックで、内面に深く斬り込んでいくようなすごみがある。
 「大叔父」(トラック30)は、旅路の果てに眞人が対面する大叔父の曲。パーカッションのリズムにピアノの強いアタック、ストリングス、木管などが重なり、大叔父の存在感を示す。明快なメロディはなく、ミニマル的な進行だ。「大叔父の思い」(トラック33)はその変奏。インコ大王と大叔父が世界の後継者をめぐって対峙するシーンに流れる。音楽は緊迫感をあおらず、ストリングスと木管による単純な音型のくり返しで、観客にこの場面を静かに見守ることをうながす。
 そして、クライマックスの曲「大崩壊」(トラック35)。これも大叔父のテーマの変奏である。「大崩壊」というタイトルに反して、悲壮感やスペクタクル感は感じられない。このシーンが哀しみよりも希望に彩られているという事情もあるだろう。無駄な音をそぎ落としたミニマルな音楽を聴きながら、観客は大崩壊の意味と、その先にある眞人たちの人生に思いをはせることになる。
 「最後のほほえみ」(トラック36)は本作を締めくくる曲。ストリングスとピアノ、パーカッションなどによるモティーフのくり返しが、いくたびも打ち寄せる波を思わせる。ミニマルというより、オスティナートと呼ぶほうがふさわしいように思える。オスティナートは同じフレーズを反復する手法で、音楽史的にはミニマルミュージックよりも古くからある。終幕に至って、久石譲はふたたび気持ちを表現する音楽、観客の情感を刺激する音楽に回帰したように感じた。この曲は眞人たちを、そして観客を、異界から現実へ送り出す役割を果たしている。

 久石譲は、なぜ本作の音楽をミニマルミュージックの手法で通したのか。
 作品を説明しないため、シーンに意味を与えないためだと筆者は思う。観客それぞれの頭と心で、考え、感じ取ってもらうためだと。
 もちろん、音楽に(作品にも)正解はない。このコラムも筆者が妄想した考察のひとつにすぎない。
 この音楽を君たちはどう聴くか。

君たちはどう生きるか サウンドトラック
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
410 アニメ様日記 2023年4月2日(日)

2023年4月2日(日)
ワイフと雑司ヶ谷でのランチの後、東池袋中央公園でコスプレイベントを見る。自分が目にした範囲で言うと、今回は『ONE PIECE』『ブルーロック』『僕のヒーローアカデミア』が多かった。『名探偵コナン』のコスプレグループにいた蘭が、特徴的な髪型を「細いツノ」として表現していたのが印象的。17時から業界のある方とリモートで世間話。いろいろと話す。
この日に観た新番組は『僕の心のヤバイやつ』『地獄楽』『天国大魔境』『山田くんとLv999の恋をする』『逃走中 グレートミッション』 『きゃらトビ!』『デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編』『冒険大陸アニアキングダム』。

2023年4月3日(月)
グランドシネマサンシャインで『らくだい魔女 フウカと闇の魔女』を鑑賞。アニメーションとしては通常のTVアニメよりも少し凝っている感じ。中盤の絵コンテが作画の手間をかけないで観客を退屈させないカット割りになっていると感じた。クライマッスで「影の付け方が黄瀬和哉さんみたいだなあ」と思ったところがあって、エンディングを見たら、いくつかの役職で黄瀬さんの名前があった。ただし、そこが黄瀬さんかどうかは分からない。観ていて幾つかの魔法少女物を思い出して、特に『赤ずきんチャチャ』を観返したくなった。堺三保さんと近所の蕎麦屋で早めの昼飯。
この日に観た新番組は『マイホームヒーロー』『転生貴族の異世界冒険録 ~自重を知らない神々の使徒~』『漣蒼士に純潔を捧ぐ』。この日に観た最終回は『KJファイル』『ノケモノたちの夜』『もういっぼん!』『Buddy Daddies』。それからDVDでOVA『東京BABYLON』を観た。

2023年4月4日(火)
5月頭までの仕事スケジュールを作成。それにあわせて生活パターンを少し変えることにした。DVDで『東京BABYLON 2』『不思議の国の美幸ちゃん』『X2(Xの二乗)』『聖伝』を観た。『不思議の国の美幸ちゃん』は今観ると随分と印象が違うなあ。『聖伝』の後編はアニメアールが作画のメインなのね。谷口守泰さんに見える画は谷口さんの作画なんだろうなあ。冒頭のアクションの作画は誰だろう。
この日に観た新番組は『くまクマ熊ベアーぱーんち!』『アリス・ギア・アイギス Expansion』『絆のアリル』『異世界はスマートフォンとともに。2』。

2023年4月5日(水)
午前1時頃に起床して、午前1時46分に出社。散歩以外はずっと作業を進めていたのだけど、13時くらいでかなり疲れた。やっぱり作業が多い日は途中で休みを入れたほうがいいなあ。
アニメミライ版『リトルウィッチアカデミア』を観る必要があったのだけれど、気がついたら配信で視聴できなくなっていた。慌てて事務所スタッフに頼んで社内のどこかにあるBlu-rayソフトを探してもらった。アニメミライ版『リトルウィッチアカデミア』は「文化庁若手アニメーター育成プロジェクト」の1本として制作された作品だけれど、今観ると原画のクレジットがとても豪華に見える。豪華に見えるということは、当時の若手が活躍しているということで、育成に成功したということなのだろう。『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』も観た。Amazon prime videoで『とつくにの少女』を全話観た。
この日に観た新番組は『スキップとローファー』と『東京ミュウミュウ にゅ~※[2期]』(※はハートマーク)。『スキップとローファー』1話はかなりの好印象。『SHIRANAMI THE TV』1話も観たけど、これはアニメではない、ということになるのだろうなあ。

2023年4月6日(木)
「この人に話を聞きたい」の原稿で確認することがあり、色々と観る。久しぶりに『ひそねとまそたん』を数話観る。この作品のOL感は面白いなあ。キャラ作画もいい。アクション物としてはやっぱりちょっと物足りない。
夜は新宿で知人と食事。退院祝いと「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会」刊行祝いで食事を奢っていただいた。
この日に観た新番組は『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』『この素晴らしい世界に爆焔を!』『神無き世界のカミサマ活動』。『U149』1話はかなり凝った作りだった。『この素晴らしい世界に爆焔を!』も楽しかった。

2023年4月7日(金)
午前1時に起きて、午前1時42分に出社。散歩以外は「この人に話を聞きたい」の原稿作業。それからZoom打ち合わせを2本。午後はちょっと気怠い感じ。
テレビをつけたら東映チャンネルで「プレイガール」をやっていた。ゲストが天本英世さんで、天本さんがセリフを言う度に得した気分になる。次回予告のナレーションも面白かった。うろ覚えだけど「次回は5周年記念で~~のシャワーシーンもバッチリです」とか、そんな感じだった。
『かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-』を録画で視聴。劇場での先行上映も鑑賞している。先行上映では4話分を上映したけど、TV放映は2話ずつ二度に分けて放映するバージョンと、4話をまとめて放映するバージョンがあるらしい。TOKYO MXは4話をまとめてだけど、2話毎にOPとEDがつく。TVで4話まとめては長いなあ。劇場で観た時と体感時間が随分と違う。2話ずつ二度に分けて観たほうが楽しめたかも。
朝の散歩とその後で聴いたのはサブスクで配信が始まった「妖刀伝 -破獄の章-」「妖刀伝 -炎情の章-」「ぼくの地球を守って」のサントラ。「ぼくの地球を守って」はいいアルバムだった。
この日に観た新番組は『私の百合はお仕事です!』『Opus.COLORs』『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する』『勇者が死んだ!』『魔法使いの嫁 SEASON2』『Dr.STONE NEW WORLD』。『私の百合はお仕事です!』はタイトルだけ知っていたけど、思っていたのと随分と違った内容だった。

2023年4月8日(土)
外部のライターさんが午前3時までに送ると言ってくれていた取材まとめ原稿が届いたのが午前3時50分。冗談でなく、かなり優秀だ。しかも、あまり手を入れなくてもチェック出しできる仕上がりで助かった。考えてみたら深夜の原稿待ちは久しぶりだった。その後は散歩、原稿、ランチ。16時から新文芸坐で劇場版『銀河鉄道999』の上映があり、4K上映の映像と音響を確認するために足を運ぶ。仕事もあるので、タイタンでアンタレスに会う辺りまで観て退散した。映像と音響はDolby Cinemaには及ばないかもしれないけれど、これはこれで贅沢な上映だった。Dolby Cinemaを観ていなければ「うわあ、すげえ」と思っていたはず。
この日も午前2時台から作業したけど、原稿以外の作業(スケジュールの確認、素材の確認等)が多くて「仕事したぞ」って感じではなかった。
この日に観た新番組は『六道の悪女たち』『女神のカフェテラス』『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』『江戸前エルフ』『カワイスギルクライシス』『マッシュル -MASHLE-』『トニカクカワイイ(シーズン2)』『BIRDIE WING -Golf Girls’ Story-(Season 2)』。

第819回 ちょっと、次の仕事の話~『いせれべ』の話(10)

 昨日発表があったので、ちょっと解禁。ミルパンセの次のシリーズは

『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』(略称『沖ツラ』)

になります!
 また少々長めのタイトルで、沖縄が舞台のコメディてとこまでで、後は続報をお待ちください。ちなみにちょくちょく話題にしていますが、さらにこの次の作品も準備中。そちらは今まで自分がやってこなかったジャンルで、脚本(シナリオ)が半分上がった(折り返し地点を越えた)ところです。
 正直、50を目の前にしてこんなに忙しくなるとは思っていなかった(汗)。「もっと早くに振ってくださればよかったのに!」「何で10年前に持ってきてくれなかったの?」などと、現状非常にアタフタ中。

 で、『いせれべ』話の続き。

【5話は監督・田辺慎吾君の脚本・コンテ・演出、
たくらんけさんのグロス話数!】

 脚本(シナリオ)の割り振りの際、「小動物のモフモフがやりたい!」と田辺君自ら名乗り出たのを記憶しています。たくらんけグロスは毎回安定の出来で、非常に有り難いです。俺的には脚本より、コンテ・作画段階で少々手を出しました。ひったくり犯を捕まえる辺りの優夜&ナイトとか。“ひったくりを追いかけるナイト”は久々に描いた動物の走りでした。同じくアクション系では大魔境でクリスタル・ディアー(鹿型の魔物)に爪を振り下ろすナイトも板垣が原画を描き直しました(放映前のPVでも使用したカットです)。あと、木村(博美)総作監の修正が入ったナイトは、毛並みも骨格もめちゃめちゃリアルでカッコよかったですね。

【6話は作画監督・吉田智裕君のコンテ・演出話数!】

 この話の脚本は『ベン・トー』(2011)で一緒にやった筆安一幸(ふでやすかずゆき)君で、お久し振り! 脚本時に手は入れてないのですが、コンテ時に“非常階段と警備員の件”を追加しました。“退路を断たれた優夜”を画的に分かりやすくするためです。非常口を通れなくしないと、大炎上中の10階フロアを横切らなきゃならない必然がなくなってしまうので。
 その大炎上と床ぶち抜き・超全力疾走など、6話のアクションシーンを担当したのが社内の中堅アニメーター・森亮太君。彼のシーンはキャラ修正こそ入るものの、動きはほぼそのまま。他話数のアクションも森君大活躍しています。
 あと、ノンクレジットですがコンテは俺の方でそれなりに修正させてもらいました。やっぱ、これも学園の生徒だ、デパート客だと“モブ”で苦労した話数。最後、女子たちの救出劇~消化後の大団円辺りの消防隊員や救護班などのシーンも撮影上りを観て「これじゃあマズい」と、自分と木村でレイアウトから大直し——大変でした。モノによっては、あまり大きな声では言えませんが、

納期までに修復可能なアングルにカット内容自体コンテから組み直し

もしました。他話数も同様なのが何箇所もあります。それに合わせて現場(社内)の動画・仕上げスタッフもギリギリまで付き合ってくれて、感謝しかありません。

 そして、また次週へ。

第210回アニメスタイルイベント
アニメマニアが語るアニメ60年史

 突然ですが、9月9日(土)の昼にトークイベント「第210回アニメスタイルイベント アニメマニアが語るアニメ60年史」を開催します。急な告知になってしまってすいません。

 アニメスタイル編集長の小黒祐一郎が、独自の視点で1963年の『鉄腕アトム』から現在までのアニメの歴史について語ります。主にはアニメファン(アニメマニア)の視点による歴史になります。「アニメ制作における3大革命」や「作品とファンの再構築があった」など、目新しい話もあるはずです。

 話の聞き手はプロデューサーとして活躍し、かつてはアニメージュの編集者として腕を振るっていた高橋望さんにお願いします。なお、今回のトークの内容を加筆修正して書籍化するかもしれません。

 会場はLOFT/PLUS ONE。イベントは「メインパート」の後に、ごく短い「アフタートーク」をやるという構成になる予定です。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。

 配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。

 チケットは既に発売中。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。

■関連リンク
LOFT https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/261936

第210回アニメスタイルイベント
アニメマニアが語るアニメ60年史

開催日

2023年9月9日(土)
開場12時30分/開演13時 終演15時~16時頃予定

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

小黒祐一郎、高橋望

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,300円、当日 1,600円(税込・飲食代別)
ツイキャス配信チケット/1,000円

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

アニメ様の『タイトル未定』
409 アニメ様日記 2023年3月26日(日)

2023年3月26日(日)
仕事の合間に新文芸坐で「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」を観る。修道院での修道士達の生活を追ったドキュメンタリーで、ネットの感想を目にして観に行くことにした。緊張感のある作品を期待したのだけれど、そういうタイプの映画ではなかった。修道士達が雪遊びに興じるところがあったけれど、あれはごく珍しい出来事だったのだろうなあ。他にもテロップ等で解説を入れてほしいと思う箇所があった。自分はハマらなかったけれど、この映画にハマる人がいるのは分かる。169分の時間は修道院で変化のない日々を表現するのに必要だったのだろう。Amazonを見ると、DVDには未収録映像が約52分入っており、それとは別に資料が満載なのだそうだ。
『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』『TRIGUN STAMPEDE』『弱虫ペダル LIMIT BREAK』『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』の最終回を観た。

2023年3月27日(月)
仕事の合間に花見。ワイフの体調のこともあって、近所の公園で桜を見た。社内スタッフとのやりとりにChatworkを導入して、ラフやデザインのやりとりを進める。
『デジモンゴーストゲーム』の後番組は『逃走中 グレートミッション』。あの枠が、既存シリーズの新作あるいはリメイクでないのは何時以来かと確認したら、どうやら『トリコ』(2011年~2014年)以来のようだ。
DMM TVのCMの雨宮天さんがよい。レンタルビデオ店の店員の役なんだけど、リアルにいるかもしれないオタク系美人という感じ。
買うか買わないかで悩んでいた「宣弘社ヒーロー全記録」。定価が税込で5000円近い本が、Kindle Unlimitedで無料で読めることに気づく。マジか。
『魔道祖師 完結編』『The Legend of Heroes 閃の軌跡 Northern War』『神達に拾われた男2』『便利屋斎藤さん、異世界に行く』『虚構推理 Season2』の最終回を観る。
録画でWOWOWで放映された『Coo/遠い海から来たクー』を観た。

2023年3月28日(火)
『グリッドマン ユニバース』を鑑賞。語るべきポイントが多すぎる。次回作は「新条アカネの大冒険」でいいんじゃないのとか、極々普通の告白で終わったところがトリガー作品(ルーツのガイナックス作品を含む)として画期的とか、雨宮哲監督にはアクション無しの恋愛ものを作ってほしいとか、クライマックスのアクションのボリュームが破格だとか、エンディングの後のアレが「アベンジャーズ」のパロディだとしたら秀逸だとか、中盤の異変はもっとボリュームがあったほうがよかったんじゃないかとか、ガウマの姫は決着の付け方が最高とか、『パシフィック・リム』の一作目で「これからはこれをやらんといかんのか」と思った巨大感の表現にようやく追いついたとか。一番驚いたのは、やっぱり実写世界(現実)に行った新条アカネのその後を描いた点で、あれは『まごころを、君に』のオマージュだったとしても、それを超えたものになっていて、この作品で語るべきのポイントだと思う。物語を整理したら、もっと気持ちよく観られたと思うんだけと、それを上まわるくらい語りたいポイントが多かった。
新しい書籍の企画書を書く。この書籍については珍しくとんとん拍子で進みそうなのに「これってイラストの線画のコピーが残っているから、印刷物から影線を抽出したら、セル塗りできますよ」とか、社内スタッフが手間がかかることばかり言い出す。たまにはスピーディーに本を作る方向で考えてほしい。
『吸血鬼すぐ死ぬ2』『もののがたり』『永久少年 Eternal Boys』『クールドジ男子』『吸血鬼すぐ死ぬ2』『英雄王、武を極めるため転生す そして、世界最強の見習い騎士』の最終回を観た。『永久少年 Eternal Boys』の最終回がよかった。

2023年3月29日(水)
ローソンで「3月のライオン」コラボの「川本家 パズルのおとも おやつセット」を購入。入っているお菓子は羽海野チカ先生が選んだのだそうだけど、そうか、川本家で食べられているお菓子はこんな感じなのかと納得。ちょっと感動した。
15時に病院Bに。今回は呼吸器関係の診察。薬がひとつ減った。よかったよかった。事務所に戻って、ショートメッセージで『グリッドマン ユニバース』について長々と熱く語る。しかも、相手は『グリッドマン ユニバース』の関係者だった(監督ではない)。
『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです』『とんでもスキルで異世界放浪メシ』の最終回を観る。少し前の放映だけど『ブルーロック』の最終回も観る。
録画で『デュエル・マスターズ WIN』最終回を観る。声優トークのコーナーで、ボウイ(男子)のヒロイン力が目を見張るという話題で、オープニングでヒロインみたいになっているのは「作画チームの暴走のため」という話がちょっと面白かった。ただし、映像を観るとそんなに暴走はしていない。
『SSSS.DYNAZENON』の再見を始める。

2023年3月30日(木)
『トモちゃんは女の子!』の最終回、『テクノロイド オーバーマインド』の最終回、『ツルネ -つながりの一射-』の最終回、『文豪ストレイドッグス』4期の最終回を観た。『トモちゃんは女の子!』の最終回がなかなかよかった。
『SSSS.DYNAZENON』の再見が終わったので、続けて『SSSS.GRIDMAN』を全話観る。『グリッドマン ユニバース』は本当にハッピーな作品だったんだなあ。

2023年3月31日(金)
『【推しの子】』の先行上映をグランドシネマサンシャインで観る。今回の映像化分は原作既読。きちんとした映像化になっているはず。ただ、映画館で観るものとしては物語の構成がしんどいかも。原作にある内容なので、ネタバレを気にしないで書くけど、星野アイが死ぬシーンは力が入っていた。仕事が一段落したら観に行くつもりで、ギリギリにチケットを取ったのだけれど、ほぼ満員になっていて、一番前の列の端の席で観た。
『スパイ教室』と『コタローは1人暮らし』の最終回を観た。

2023年4月1日(土)
日本映画専門チャンネルでやった『シュンマオ物語 タオタオ』を録画で少し視聴。記憶に間違いがなければ動いている映像を観たのはこれが初めて。公開当時の1981年に、都内のデパートでこの映画のセル画が販売されており、友人に付き合って一緒にその販売コーナーに行ったことがある。キャラクター(主にパンダ)の影色とノーマル色の境界部分に、大きな模様が並ぶようような処理でグラデーションが表現されていた。その表現が日本のアニメのセルでは見たことがないもので、また、表現そのものが面白くて感心したのを覚えている。当時から、そのグラデーション部分が動いたらどう見えるのが気になっていたのだけれど、それがようやく確認できた。キャラクターが動くとグラデーション部分がモワモワと動く。きれいに動いているわけではないけれど、生命感が表現されていると考えることもできる。それから、基本的には背景のグラデーションとキャラクターのグラデーションを合わせるという発想だったのだろうと思う。
話は変わるけど、『ニャンジャラ』で「教師生活5、6年~」というセリフがあってちょっと笑った。

第818回 監督の仕事~『いせれべ』の話(9)

『いせれべ』4話はREVOROOTさんのグロス話数! 
非常に助かりました! ありがとうございます!

 REVOROOTさんの演出・作画、サッカーシーンも女子更衣室シーンも総作監が入っていない段階でも安定のクオリティで素晴らしかったです。
 コンテは俺が直接切り(描き)ました。他話数もコンテのチェックは全部自分でやってたのですが、一からやったコンテはこれだけ? な気がします。ま、部分的にアクション部分とかを、最初から俺の方で引き取った話数(10話とか)もありますが、1本まるまるはこの4話のみ。
 自分の中にある監督の仕事での一番は、コンテの主導権を握ること! その考えでここ10年続けてきた“基本全話コンテ”を『いせれべ』では自ら封印。それは今作が板垣の“総監督デビュー”作だから。
 里見哲朗P(今回はプロデュース協力)より、もう何年も前から助言されていたやり方です。里見P曰く、

板垣さんは最前線に立ち過ぎ! むしろ最後列で援護する作り方をやってみては?

と。これは彼の会社、ライデンフィルムで制作した『劇場版 カードファイト!!ヴァンガード ~ネオンメサイア』(2014) の監督を終えた後辺りから『COP CRAFT』(2019)の時も同様のことを言われてたので、今回はあくまで総監督。
 つまりコンテの前——シナリオ(脚本)段階で押さえて、コンテは別の人に撒き、その上りを修正する、です。
 そんな中4話はスケジュール的に適当な描き手が見つからず、自分に回ってきた訳。ま、久々に“白紙のコンテ用紙”に向かうのは新鮮だった、という1本でした。

 また次回~。

第263回 いつかきっと! 〜愛の若草物語〜

 腹巻猫です。SOUNDTRACK PUBレーベル第33弾「愛の若草物語 音楽集」を8月30日に発売します。TVアニメ『愛の若草物語』の音楽(BGM)を収録した初のCDアルバムです。試聴用動画も公開中ですので、ぜひお聴きください!


 『愛の若草物語』は1987年1月から12月まで放送されたTVアニメ。日本アニメーション制作による「世界名作劇場」第13作にあたる作品である。
 原作はルイザ・メイ・オルコットが1868年に発表した小説『若草物語(Little Women)』。くり返し映像化されてきた古典的名作である。日本でも何度かアニメ化されており、1980年に東映動画制作のTVアニメスペシャル『若草物語』が、1981年に国際映画社制作のTVアニメ『若草の四姉妹』全26話が放送されている。同じ原作を全48話のTVシリーズとして映像化した『愛の若草物語』は、再放送や映像ソフト化の機会も多く、もっとも親しまれているアニメ作品だろう。
 舞台は南北戦争末期のアメリカ合衆国。マーチ家の四姉妹——メグ、ジョオ、ベス、エイミーは、従軍した父の帰りを待ちながら母とともに家を守っている。つつましい暮らしの中で、母の愛情に包まれて成長していく個性豊かな四姉妹の物語である。
 監督(演出)は『小公女セーラ』を手がけた黒川文男。脚本は『ペリーヌ物語』『トム・ソーヤーの冒険』などの宮崎晃。そして、メインキャラクターのデザインは『赤毛のアン』の近藤喜文。主人公ジョオを演じるのが『赤毛のアン』でアン・シャーリーを演じた山田栄子ということもあって、当時、楽しみに観ていた思い出がある。

 音楽は大谷和夫が担当した。大谷和夫といえば、ロックバンドSHOGUNのキーボーディスト、作編曲家として活躍し、ドラマ「探偵物語」やアニメ『CAT’S・EYE』などの音楽を手がけた人物。軽快なアクションものが得意な印象があったので、名作劇場への登板は意外にも思えた。しかし、これがすばらしいのである。
 オーケストラを使ったクラシカルな音楽を基調としながら、リズミカルな曲やジャズ風の曲を忍ばせてくる。後期にはシンセサイザーを使った曲もある。優雅でありつつ、快活でモダンな響きをまじえた音楽が、四姉妹のキャラクターにぴったりだった。
 音楽全体を見て気づくのは、本作にはキャラクターテーマにあたる曲がないこと。四姉妹のテーマや、ジョオたち1人ひとりのテーマは設定されていない。その代わり、心情や状況を表現する曲がふんだんに作られて、シーンに応じて使用されている。原作もそうだが、本作は本来、四姉妹全員が主人公と言える作品。特定のキャラクターにフォーカスしない音楽設計は作品の性格に沿ったものと言えるだろう。
 また、オリジナル音楽にまじって「故郷の人々(スワニー川)」「草競馬」といったフォスターの楽曲が挿入されているのも特徴のひとつ。『トム・ソーヤーの冒険』でも同様の試みがされていたが、本作ではフォスターの曲のフレーズをBGMに引用したり、ベスが弾くピアノの曲としてフォスターの曲(やショパンの曲)が登場したりと、より物語に密着した使い方がなされている。音楽が四姉妹の生活に溶け込んでいるのだ。

 さて、本作の音楽(BGM)の商品化は、放送当時キャニオンレコードから発売されたアルバム「愛の若草物語 音楽編」が初。同アルバムには、主題歌・挿入歌4曲、BGM18曲が収録されていた。挿入歌2曲はのちに後期主題歌として使用されている。以来、主題歌はたびたびCD化されたものの、BGMは一度も再録の機会に恵まれなかった。
 今回発売される「愛の若草物語 音楽集」は本作のBGMを収録した初のCDアルバムである。初商品化曲も含めたBGM全曲をステレオ音源で収録した。放送当時のアルバムを聴いて「18曲ではもの足りないなあ」と思っていた方も、きっと満足していただけるはずだ。
 収録曲は下記を参照。
https://www.soundtrack-lab.co.jp/products/cd/STLC052.html
 構成は筆者が担当した。
 ストーリーに沿った曲順とし、ディスク1を第1話〜第20話、ディスク2を第21話〜最終話のイメージでまとめた。
 ディスク1でまず注目してほしいのは、オープニング主題歌のすぐあとに収録した「マーチ家の四姉妹」(トラック7)から「不安な影」(トラック14)までの8曲。いずれも第1話で流れた音楽である。実は第1話の音楽は映像にタイミング合わせたフィルムスコアリングで作曲されているのだ。四姉妹が1人ずつ登場するシーンの「マーチ家の四姉妹」は場面転換やキャラクターの動きに合わせて次々と曲調が変化する。それが姉妹の生き生きとした表情や動作を思わせて楽しくなる。トラック13「ピクニック」では軽快で楽しげな曲調が、終盤で不安な曲調に変化する。これもシーンの展開に合わせたものである。
 トラック20「戦争の足音」からトラック22「燃える街」までの3曲は、ほかの楽曲とは雰囲気が異なるサスペンスタッチ、ミリタリータッチで書かれている。南北戦争の描写や兵士の登場場面に使われた音楽だ。街が戦火に包まれるなど、世界名作劇場らしからぬ緊迫した場面が描かれているのが、本作の前半エピソードの特徴。それを象徴する音楽である。
 トラック23「さよならふるさと」からトラック28「新しい町」までは、マーチ一家が故郷を離れてニューコード(原作ではコンコード)に引っ越すまでをイメージした構成。トラック26「明日への希望」は、試聴用動画の1曲目で紹介した、さわやかで躍動感のある曲。本作の代表的な楽曲のひとつである。放送当時発売された音楽編アルバムにも収録されていたから、記憶に残っている人も多いのではないだろうか。次の「ふるさとを離れて」(トラック27)はフォスターの「故郷の人々」を引用した曲。原曲のノスタルジックな雰囲気よりも旅立ちの期待感を強調した楽曲になっている。
 ディスク1の後半はニューコードに住まいを構えた四姉妹の日常をバラエティに富んだ曲で表現してみた。
 トラック32「ジョオは怒りん坊」は第9話のジョオと新聞記者アンソニーのやりとりのバックに流れたコミカルな曲。お隣の少年ローリーとの友情を快活な曲調で表現する「友情」(トラック36)、エイミーのユーモラスなシーンに流れた「おしゃまなエイミー」(トラック38)などを挟み、もの憂く大人びたムードの「夢みる乙女心」(トラック41)がメグやジョオの繊細な心情を表現する。
 次の曲からがディスク1のクライマックス。華やかなワルツを3曲続けた。
 舞踏会にあこがれるメグやジョオの場面に流れた「舞踏会に行けたら」(トラック42)と「初めての舞踏会」(トラック43)、そして、速いテンポで新生活への期待と希望を表現する「明るい新天地」(トラック44)である。
 四姉妹のちょっと背伸びしたロマンティシズム、少女たちが憧れる華麗な世界を表現していたのが、こうしたワルツの曲だった。ワルツの曲はディスク2にも収録しているのでお楽しみいただきたい。
 ディスク1の締めくくりに、女声スキャットをフィーチャーした「ニューイングランドのたたずまい」(トラック45)を配した。第11話でジョオがマーサおばさまと馬車で港へ向かう場面など、美しい情景とともに流れることが多かった曲だ。
 本作のBGMで女声スキャットをフィーチャーしたのは5曲。音楽全体に占める割合は大きくはないが、要所に挿入されて強い印象を残している。ワルツとともに華やかな香りで『若草物語』らしさを演出したのが、女声スキャットの曲だった。
 女声スキャットが入るほかの曲はディスク2に収録した。こちらもお楽しみいただきたい。
 ディスク2は、原作の冒頭で描かれたクリスマスのエピソードで流れた曲から始まる。クリスマスの朝の情景を描写する「クリスマスの朝」(トラック3)、ごちそうを貧しいフンメルさんにあげて、パンとミルクだけの朝食を食べるマーチ一家の場面に流れる「愛の贈りもの」(トラック4)、マーチ一家の行動に感心したお隣のローレンス氏からプレゼントされた夕食にジョオたちが感謝する場面の「お父さまへのララバイ(Instrumental)」(トラック5)。マーチ一家の、とりわけ母メアリーの慈愛あふれる行動に感動するエピソードだった。
 続いて、ピアノ好きのベスがローレンス氏からピアノをプレゼントされる、原作でも印象深いエピソードの曲をトラック6から4曲続けて収録。特に、はじけるようなベスのよろこびを表現する「美しい笑顔」(トラック8)とベスの純粋な気持ちが伝わる「胸いっぱいの幸せ」(トラック9)は、聴いていて幸せな気分になる。
 ジョオとエイミーの仲たがいから始まり、ジョオの不注意からエイミーが氷の張った川に落ちてしまうエピソードは衝撃的。シリーズ中盤の大きな見せ場になった。トラック13「エイミーの傷心」〜トラック19「悲しみが癒えるまで」は、第29話から第30話までで描かれた一連のシーンを音楽で再現した。音楽だけ聴いても、なかなかドラマティックで感動的である。
 メグとブルック先生との恋も本作の重要なエピソード。メグのゆれる想いをイメージして、「恋するメグ」(トラック23)、「ときめき」(トラック24)、「月夜のもの想い」(トラック25)とロマンティックなナンバーを収録した。この恋が実を結ぶシーンに流れたのがトラック44の「愛のともしび」。ピアノとストリングスによる甘く美しい曲である。
 友人から舞踏会に誘われたメグのエピソードなどを経て、物語は、父の戦場での負傷、猩紅熱にかかって生死をさまようベス、と不安な展開が続く。けれど、最後はハッピーエンドが待っている。元気になった父が帰ってきて、ジョオたちは家族そろってクリスマスを迎える。帰宅した父と娘たちが語らうシーンに流れるトラック42「父と娘たち」は、やすらぎと愛情を感じさせるしっとりした曲。華やかではないけれど、とてもいい曲だ。
 トラック48「父との再会」は、最終話で父の全快とメグの婚約を祝うパーティのシーンに流れた。次回予告にも使われたおなじみのメロディが長く演奏される。この曲も筆者が好きな曲のひとつ。クラシックにジャズの要素を加えたような、今風にいえばモダンクラシック的な曲である。大谷和夫の詳細な経歴は不明だが、マネージャーを務めていた早川泰氏は大谷和夫を「クラシックからジャズへ行った人」と語っている(『ニッポンの編曲家』DU BOOKSより)。その経験が生かされた曲だろう。
 ディスク2の締めくくりとして、最終話のラストシーンに使われた「ジョオの旅立ち」(トラック49)を収録した。ジョオが作家をめざしてニューヨークに旅立つシーンに流れた、2分30秒を超える長い曲だ。おそらく当初から最終話での使用を想定して書かれたのだろう。
 この曲の冒頭や中間部にはフォスターの「故郷の人々」のメロディが引用されている。そこで思い出してほしいのが、ディスク1のトラック27に収録した「ふるさとを離れて」。これも「故郷の人々」のメロディを引用した曲だった。2曲を比べると、「ジョオの旅立ち」の序盤部分は「ふるさとを離れて」とほぼ同じ構成であることがわかる。つまり、マーチ一家が故郷を離れて旅立つシーンに流れた曲を発展させたのが、ジョオが家族から離れて旅立つシーンに流れた曲だったのだ。1人汽車に乗るジョオの姿に家族の旅立ちの思い出が重なり、ジョオの成長を感じさせる。うまいなあ。

 原作の続編以降を読んでいる方なら、あるいは、世界名作劇場第19作『ナンとジョー先生』(1993)をご覧になった方なら、ジョオがニューヨークで作家にならなかったことをご存じと思う。しかし、『若草物語』のマルチバースのひとつである『愛の若草物語』の世界の未来では、ジョオは作家になってバリバリ活躍しているのではないか。本作のラストシーンを観ると、そして、「ジョオの旅立ち」を聴くと、つい、そんなふうに思ってしまう。筆者がジョオの(そして山田栄子さんの)ファンだからでもあるんですけれどね。

愛の若草物語 音楽集
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【新文芸坐×アニメスタイル vol. 165】
今 敏の奇想と混沌 ーー 妄想代理人



 9月に新文芸坐とアニメスタイルの共同企画で『妄想代理人』の一挙上映を開催します。上映は2回。9月3日(日)は15時50分にスタートして22時に終了。9月16日(土)はオールナイトで、22時30分にスタートして翌朝5時35分に終了です。16日(土)のオールナイトは上映前にトークを予定しています。トークの出演者は現在、調整中です。決まり次第お伝えします。

 『妄想代理人』は故・今 敏さんが手がけた唯一のTVシリーズです。放映されたのは2004年で全13話。今さんの役職は原作、総監督。濃密な作品世界に加えて、TVシリーズだからこそのバラエティに富んだ物語構成も見どころです。

 9月3日(日)分のチケットは8月27日(日)から、9月16日(土)分のチケットは9日(土)から発売となります。発売方法については、新文芸坐のサイトで確認してください。

【新文芸坐×アニメスタイル vol. 165】
今 敏の奇想と混沌 ーー 妄想代理人

開催日

2023年9月3日(日)15時50分~22時
2023年9月16日(土)22時30分~5時35分

会場

新文芸坐

料金

一般 3000円、各種割引 2800円

トーク出演

安藤雅司(キャラクターデザイン)、板津匡覧(アニメーター)井上俊之(アニメーター)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)
諸般の事情で板津匡覧さんは登壇できなくなりました。申し訳ありません。代打としてアニメーターの井上俊之さんに出演していただくことになりました。何卒ご了承ください。(09/15追記)

上映タイトル

『妄想代理人』全13話(2004/325分/BD/全13話上映)

備考

※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

アニメ様の『タイトル未定』
408 アニメ様日記 2023年3月19日(日)

2023年3月19日(日)
午前9時半にワイフとマンションを出て「新潟国際アニメーション映画祭」開催中の新潟に向かう。新幹線の中で取材原稿のまとめを進める。新潟ではまずワイフの希望で、ぽんしゅ館 利き酒番所で利き酒体験。その後、Italian みかづきで「ナポリタン」をいただく。学生が学校帰りに食べるものみたいな感じで、まさしくB級グルメ。この日も時間があれば映画祭のプログラムのどれかを観るつもりだったのだけど、酒が入ったのでやめておくことにした。これもワイフの希望で「新潟市マンガ・アニメ情報館」に立ち寄る。展示を観るまで山賀博之さんと鶴巻和哉さんが新潟出身であることを忘れていた。ドーミーイン新潟にチェックイン。少し休んでから晩飯に出かける。目当ての店はどれも休みか満席だったので、飲み屋街に行ってみるが、やっぱり休みか満席ばかり。ではあるけれど、知らない街をうろうろと歩くのも旅行らしい感じで悪くなかった。マチアソビと違って、街をウロウロしてもアニメ業界の方に会うこともないなあと思っていたら、レセプションに向かう途中だった某プロダクションの方に声をかけられる。さらにウロウロして、貝が売りの店に入る。どれも美味しくて満足。特に牡蠣がよかった。

2023年3月20日(月)
午前2時に目を覚まして、温泉に入ったり原稿を進めたり。午前7時40分に同じくドーミーインに宿泊していた吉松さんと合流。バスセンターに行って「バスセンターのカレー」をいただく。午前8時の開店前から行列ができていた。これは美味しい。行列ができるのも分かる。ドーミーインに戻って休憩と荷物の整理。吉松さん激推しの立食い寿司の弁慶で早めの昼食。同じ店にいらしていたアニメ業界の方に声をかけられてご挨拶。吉松さんと新潟市民プラザに移動。上映前に顔見知りの方達とご挨拶。「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」を鑑賞する。りんたろう監督の最新作で、これを観るために今回の映画祭にやってきた。『鼠小僧次郎吉』では兼森義則さんの健在ぶりが嬉しかった。トークの後、上映に参加しなかったワイフと合流。時間に余裕があったので「新潟市マンガの家」に。無料で色々なマンガを読むことができる施設なのだけれど、ラインナップが非常に充実。古今東西のマンガをバランスよくセレクトしてあった。聖悠紀作品の充実ぶりは驚くほどで、同人誌時代の単行本や雑誌の特集やアンソロジーまで揃っていた。さらに聖悠紀関連書籍として、連載作品が載った「ランデヴー」や初期の「アニメージュ」まで並んでいた。
「新潟市マンガの家」では『マジぬ剣』という作品のPVが流れていて、ご当地イベントで作ったアニメにしては豪華すぎるし、妙に垢抜けているなあ、和田高明さんが参加しているじゃん、と思いつつクレジットを見たら、制作が新潟エイトビットだった。ネット検索をして新潟エイトビットの記事を見つける。えっ、あの金子真枝さんがプロデューサーになったの? あの「アニメ制作進行・金子真枝伝説」の金子さんが。『マジぬ剣』のクレジットを改めて観たら、金子さんがプロデューサーとしてクレジットされていた。その後、海に移動。波打ち際などを歩く。新潟の食事のクライマックスは「旬魚酒菜 五郎 古町店」。吉松さんお勧めの居酒屋で、何を食べても美味しかった。日本酒もこの数年で吞んだ酒の中で一番旨かった。新幹線で東京に戻る。車中で少しキーボードを叩く。

2023年3月21日(火)
春分の日なので会社はお休み。午前中は新文芸坐で「青いパパイヤの香り」(1993・仏=ベトナム/104分/BD)を鑑賞。どこの国の映画かも知らないで観た。物語はシンプルで、映像は作り込まれており、なおかつ繊細。見どころはセットと昆虫など。知る人ぞ知る映画なのか思いつつ観ていたけれど、ロビーに貼ってあったポスターにはパリ、全米で大ヒットとあった。散歩と映画以外は原稿を進めた。

2023年3月22日(水)
この日はやたらと疲れていた。仕事の合間に新文芸坐で「犯罪都市」(2017・韓/121分/DCP)を鑑賞。この映画はこれが初見。こってりしていて、話の構成もよくできている。いい映画なんだろうと思うけど、こちらの体力が落ちているせいか、いまひとつ作品に入れなかった。
Eテレの『しゅわわん!』1話を録画で観た。とてもよかった。映像のスタイルと内容のマッチングもいいだけど、ゆったりした間合いもよかったなあ。Eテレの『夜廻り猫』1~5話も観た。配信でOVA『鉄腕バーディ』の1話を観た。

2023年3月23日(木)
朝から病院Bに。採血と採尿。精密検査の結果を聞く。先月末に手術した腎臓癌は他への転移はなし。完治したと考えてよいそうだ。腎臓の機能が落ちる可能性があるので、これからは半年に一度のペースで通院して検査をすることになる。病院の待ち時間にスマホとKindleで「事情を知らない転校生がグイグイくる。」14巻、「異世界おじさん」9巻、「推しに甘噛み」1巻を読む。どれも面白かった。事務所に戻ってZoom打ち合わせとデスクワーク。17時30分にマンションに戻って、少し休んでからワイフと六義園に。この日から始まった「春夜の六義園 夜間特別観賞」に参加する。雨が降っているし、参加者はあんまりいないんじゃないの、と思ったら甘かった。予想よりもずっと人が多かった。六義園全体がライトアップされ、順路に沿って歩いてそれを楽しむというもので、ロマンチックな催しだった。ライトアップも気合いが入っていた。
『氷属性男子とクールな同僚女子』が終わってしまった。お話としては全然終わってない気がするけど、とにかく終わり。冬月さんと氷室くんのカップルは好きだった。冬月さん単体だとそれほど好きではないので、あの2人のセットがいいのだろうなあ。
OVA『鉄腕バーディー』2~4巻を配信で観る。

2023年3月24日(金)
『お兄ちゃんはおしまい!』『うる星やつら』『REVENGER』『冰剣の魔術師が世界を統べる』の最終回を観た。『お兄ちゃんはおしまい!』はもうちょっと最終回らしいとよかったかな。『うる星やつら』は「ミス友引コンテスト」の原作2話目以降のアニメ化を観ることができて満足。
仕事の合間にマンションに戻って1時間ほど午睡。このパターンが効率的かな。

2023年3月25日(土)
午前2時半に出社。午前3時20分から5時50分まで集中して原稿作業。この2時間半で、この土日の作業の50%くらいが終わった。その後は散歩とか、午睡とか、また原稿とか。深夜アニメの最終回を色々と観る。

第817回 『アイナナ PV』上がりました!

『いせれべ』の直後に作った『アイドリッシュセブン 8周年 PV』(約100秒)!

が、公式YouTubeに上がってます。『いせれべ』制作中にバンダイナムコさんからお話をいただき、「まず社内でやりたい人はいるか、訊いてみたら?」と、社長・白石に。そこで「『アイナナ』やりたい!」と手を挙げた社員が今回コンテ・演出担当の八田能理子(旧・典子)さん。「志願者がいたなら、自分が面倒みるからやらせてみたら?」というのが始まり。
 コンテに関してはカメラワークのコツやアングルのアドバイス程度で、特に手出しはしていません。むしろ、コンテが通ってレイアウト・原画チェック辺りから、少々手出しをし始めました。
 『いせれべ』から引き続き、総作画監督は木村博美さん。今短編でもその力は遺憾なく発揮されました! 超シャープで美麗な仕上がり、これからまだまだ巧くなることでしょう。で、いつもの如く、最終的には頼まれて自分も原画のお手伝い。

やっぱり、単なる監修で済むはずもありませんでした!

 例えば、「三日月斬り」や「吹雪と桜吹雪エフェクト」など(ムービーを観ていただければ直ぐ分かります)は、板垣が描きました。その他、必要に応じてあちこち参考アタリを入れたり、と。最終的な役職クレジットはアニメーションプロデューサー。
 使用動画枚数はリテイクを含め3000枚ほど。動画の中割り1枚1枚にも拘る木村のチェックに、社内の動画スタッフもよく頑張ってくれて、大変な力作にしあがったと思います。是非観て下さい!

 で、今回いつにも増して短く、申し訳ありません。今日は朝から久しぶりに

“腰痛”!!

が酷くて一日仕事になりませんでした。明日、整骨院に行って来ようと思います。