アニメ様の『タイトル未定』
271 アニメ様日記 2020年8月2日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年8月2日(日)
自分の作業を進める連休の2日目。台割りを作り直して、その後は原稿作業。やることを絞ったので、気持ちよく作業ができた。
『ハクション大魔王2020』14話「元祖カンちゃんが帰ってきた!の話」を観る。大魔王とアクビが、旧シリーズ『ハクション大魔王』のカンちゃんと再会する。現在のカンちゃんは58歳らしい。再会の場面そのものはドラマチックなものとなっているが、それ以降の場面は淡々としている。旧シリーズ『ハクション大魔王』最終回のテンションを考えると、あっさりしすぎていると思ったけれど、むしろ、これくらいの感じのほうがリアルなのかもしれない。

2020年8月3日(月)
ワイフとの早朝散歩は続いている。ワイフの提案で普段よりも早めに外出し、自宅近くのある場所で陽が昇るのを見る。なんというか夏らしい。その後はデスクワーク。夏らしい映画ということで『宇宙ショーへようこそ』と『虹色ほたる ~永遠の夏休み~』を観る。『虹色ほたる』はビデオマーケットで観たのだけど、多分、今まで観た『虹色ほたる』の中で一番映像が鮮明。監督の意図としては鮮明すぎるのかもしれないけれど、好印象。

2020年8月4日(火)
早朝散歩以外はずっとデスクワーク。3書籍の編集作業を進める。「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」のラフと追加キャプション。「アニメスタイルちゃんのうすい本」の原稿が届く。別の書籍のテキスト作業、ラフのチェック。印刷会社とのやりとり、流通についてのやりとり等。
YouTubeで配信中の『カレイドスター』を27話から39話まで視聴。第3クールも面白いなあ。レオン、メイ、ロゼッタのコントラストがいい。自分は本放送当時、メイの人格にイラっとしていたかもしれない。

2020年8月5日(水)
引き続き、3書籍の編集作業を進める。「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」のラフを描いたり、テキストをチェックしたり、入稿スケジュールを作ったり。今日も「アニメスタイルちゃんのうすい本」のイラストが1点届く。
Amazon prime videoで「逃げるは恥だが役に立つ」を視聴する。放送時に話題になっていたのは知っていたけど、観ていなかった。確かによくできているし、面白い。登場人物の反応からすると森山みくり(新垣結衣)って、劇中では「わりと可愛い」くらいであって美人ではないのね。「あまちゃん」の劇中だと天野アキが美人ではないらしいのと同じ。

2020年8月6日(木)
ずっとデスクワーク。休んでいた事務所スタッフがひさしぶりに出勤。これからはたまに出てきてもらうことになりそうだ。「逃げるは恥だが役に立つ」の最終回を観て、有料配信が始まった『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』、そして、劇場版『若おかみは小学生!』を観る。
「逃げるは恥だが役に立つ」の「好きの搾取」の話は面白かった。「職業としての主婦」の話で始まって、そういった展開になるのは納得。視聴者が考えたり、議論したりするきっかけを提供するドラマだと思った。

2020年8月7日(金)
連休前だけあって慌ただしい。「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」のテキストやラフの作業は一段落した(この本の原画のページの構成は事務所スタッフに任せている。念のために記しておく)。「アニメスタイルちゃんのうすい本」は依頼原稿が全て届いた。色々な方にアニメタイルちゃんを描いてもらう企画のイラストは全部で10点。表紙も描きおろしなので、合計で11点。アニメスタイルの本としては描きおろしが多めだ。一番の見どころは井上俊之さんの下ネタかもしれない。
Netflixで『Re:ゼロから始める異世界生活 新編集版』を1話から視聴。序盤の辺りはすでに懐かしい。

2020年8月8日(土)
三連休1日目。事務所で「アニメージュ」の京都アニメーション特集に目を通す。その後はゆるくデスクワーク。夕方から吉松さんとSkype飲み。
Netflixで『Re:ゼロから始める異世界生活 新編集版』の続きを数話観た後、YouTubeの「ポケットモンスター ソード・シールド」オリジナルアニメ『薄明の翼』を改めて1話から観る。

「アニメスタイル20周年展」が開催中
第5弾は劇場版『若おかみは小学生!』の展示です

 「アニメスタイル」の20周年を記念して、ササユリカフェで「アニメスタイル20周年展」を開催しています。開催は9月末までとお伝えしてきましたが、もう少し続けさせていただくことになりました。

 書籍「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」の刊行を記念して、「アニメスタイル20周年展」の第5弾「メイキング・オブ『劇場版 若おかみは小学生!』」を開催します。展示物は制作初期に高坂希太郎監督が描いた「キャラクターラフ」をはじめ、原画、イメージボード、レイアウト、絵コンテです(「キャラクターラフ」は生原画。他は複製画となります)。

 「メイキング・オブ『劇場版 若おかみは小学生!』」は10月1日(木)~10月19日(月)まで。営業時間は午前11時30分~午後6時(午後5時30分最終入場)で、火・水曜が定休日です。開催期間中のササユリカフェは終日立ち見営業となります。入場料はいただきませんが、ワンドリンクの注文をお願いしています。
 会場では「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」をはじめ、アニメスタイルの書籍を販売します。



■関連リンク
ササユリカフェ
http://sasayuricafe.com

「アニメスタイル20周年展」が開催中 第4弾は馬越嘉彦さんの原画、デザイン画などの展示です
http://animestyle.jp/2020/08/27/18022/

【アニメスタイルの書籍】「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」は名場面をたっぷり収録!
http://animestyle.jp/news/2020/09/09/18105/

レイトショー「新文芸坐×アニメスタイルSPECIAL 現代アニメの傑作 劇場版『若おかみは小学生!』」
http://animestyle.jp/2020/08/26/18008/

第676回 絵(画)コンテという仕事・回想編

他人の描いた絵(画)コンテを直す(修正する)というのは、いちから自前で描くより下手をすると時間がかかるものです!

 かれこれ10年以上前にも書いたテーマですが、現在はすでに考えが変わってたりもするので、もう一度改めて話題にしてみようと思います。いちファンの方々でも「コンテって監督はどの程度関わってるの?」と考えたことがあるのではないでしょうか(ないかな)? つまり「この画作りカッケーッ!」「アクションのカット割り、迫力あるぅ!」と感動した時、その手柄は本当になんでも監督にあるのか? 実際自分が若い頃、何人もの監督のコンテをお手伝いしましたが、コンテ打ち合わせのやり方など千差万別。本当、ガチで脚本めくりながらやるタイプから、ポンと脚本放って「君の好きに描いていいよ」な監督まで。はたまた雑談だけな場合も。例えばガチタイプでは『鉄人28号』(2004年)の今川泰宏監督や『ミチコとハッチン』(2008年)の山本沙代監督。お二方とも写真参考やビデオ資料などを山ほど渡してきて「このシーンはこうしたい」とか「このキャラクターのモデルは〜」などと、非常に具体的に俺(各話コンテマン)に対して「こう描いてください!」とはっきり伝える打ち合わせだったと記憶しています。要は今川監督や沙代監督は

“自分の作りたいフィルムを、いかに他人に描いてもらうか?”が監督の仕事!

と考えてるのだと思います。これはこれで実に監督らしいやり方で、アニメーター出身でない方が多いように思います。
 で、脚本ポンの好きにやってタイプは、アニメーター監督に多く見られます。てとこで毎度の時間切れ。

アニメ様の『タイトル未定』
270 アニメ様日記 2020年7月26日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年7月26日(日)
連休最終日。この4日間は外出はほとんどなし。仕事は進んだし、睡眠もたっぷりとった。OVA『今日から俺は!!』の最終10話を視聴。シリーズを通じて作画は丁寧。ただし、画風はシリーズ中に変わっている。『幽★遊★白書』と時期とスタッフが重複していて、画的に通じるところがある。それから、ネットで公開された佐藤順一夫妻の「きんぎょ注意報 第1話コメンタリー」を聴いた。
紙の本で「天人唐草」を読む。「吉祥天女」と同じく、タイトルだけ知っている作品だった。こういった内容のものだったのか。描かれた当時は今よりも衝撃的な内容だったのだろう。読んでよかった。

2020年7月27日(月)
ワイフとの早朝散歩は続いている。サンシャインの裏で建設中だった新しい公園が中に入れるようになっていた。公園の名前はとしまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)。かなり広い公園だ。ワイフは「池袋なのに空が広い」と大喜び。15時から新宿で進行中の書籍で取材。それ以外はデスクワーク。
7月26日(日)の『ちびまる子ちゃん』の「ヨッちゃんの彼女」の巻を観る。タイトルになっているヨッちゃんの彼女は、美人で性格がよくて清純派で、天然なところもある。老若男女が惹かれる女性だ。演じているのは久川綾さん。後で知ったのだけど、このエピソードはリメイクで、初代のヨッちゃんの彼女役は井上喜久子さんだったようだ。

2020年7月28日(火)
早朝散歩でまた、としまみどりの防災公園に行ってみる。TOHOシネマズ池袋の10時からの回で、ワイフと『風の谷のナウシカ』を鑑賞。週イチで映画館で映画を観るようにしていたのだけど、来週は無理かもしれない。Zoom打ち合わせをはさんで、午後はデスクワーク。
以前、「アニメ様365日」で『風の谷のナウシカ』について「いまだに映画として向き合っていない気がする」と書いたけれど、今回の鑑賞で向き合うことができた気がする。次にコラムや解説を書くときは、あまり悩まなくて済みそうだ。
以下はそれとは別の話。今だと、自分はミトとかお爺さん達に気持ちを重ねて観てしまう。お爺ちゃん気分で観ると、彼らがナウシカを慕う気持ちがよく分かる。僕にとって『風の谷のナウシカ』は当時から気持ちの置き場所がつかみづらい映画だった。つまり、感情移入できるキャラクターがいなかった。今回の鑑賞が一番感情移入ができたかもしれない。

2020年7月29日(水)
午後は西武新宿線のアニメスタジオで打ち合わせを2本立て。
Amazon prime videoの日本映画NETで『ハッピ-バ-スデ- 命かがやく瞬間』を観る。同じく、Amazon prime videoのプラス松竹で「二階の他人」を観る。『ハッピ-バ-スデ- 命かがやく瞬間』は親による児童虐待、いじめ、障害などをモチーフにした劇場アニメーション。淡々とした作品だけど、インパクトのある場面も。「二階の他人」は実写映画。山田洋次さんの監督デビュー作だそうだ。60分にも満たない作品だけれど、ちゃんと面白い。

2020年7月30日(木)
夕方まで書籍編集の進行、グッズの作成、棚卸し、月末の振り込み、家賃の支払い等。説明しておくと、事務をやっているスタッフが休んでいるため、この数ヶ月、僕の仕事が増えているのだ。
『メジャーセカンド』を1話から10話まで視聴。楽しんで観た。最初の『メジャー』がEテレで始まったのが2004年。その頃は「これをNHKでやる意味があるのかなあ」と疑問を感じていたのだが、今では「誰でも楽しめる作品をNHKでやってくれるのがありがたい」と思っている。

2020年7月31日(金)
原稿作業を進めるはずだったが、デザイナーさんへ依頼、イベント関連の連絡など、それ以外の作業が多くて原稿に手をつけられなかった。
10年前に作った「さよなら絶望先生全書」の在庫の残りが14冊になったと事務所スタッフからの報告があった。よかったよかった。在庫は社内資料をとして残すこととし、Amazonへの出荷を止めて、「アニメスタイル ONLINE SHOP」の販売も止めるように指示を出す(しかし、後日になって倉庫に数百冊の在庫があることが判明。Amazonへの出荷と「アニメスタイル ONLINE SHOP」での販売を再開した)。

2020年8月1日(土)
平日は自分の作業(主に原稿)がなかなか進められないので、この土日は自分の作業に集中することにした。「金曜ロードSHOW!」でやった『聲の形』を録画で視聴。Netflixで『トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー(Transformers: War for Cybertron Trilogy)』の数話分を視聴。画作りがいい。YouTubeで期間限定リバイバル配信の『サンフェス応援上映リターンズ オンライン!』も観る。要するにサンライズ作品のオープニング、エンディング集だ。昔からサンライズのこういうビデオがほしいと思っていた。商品化は難しいのだろうか。
録画で観たのでちょっと無責任な発言になるけれど、『聲の形』はテレビ放送にハマリがいいのではないかと思った。土曜や日曜の午後とか深夜に放送するのもいいかもしれない。今回の放送のエンディングは、オリジナルのものではなく、テレビ用に編集されたものだったけど、本編の終わり方は悪くないと思った。エンディングの直後に『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の予告が入るのがよかった。予告が始まった瞬間に少し感動した。「金曜ロードSHOW!」で京都アニメーションの作品とSHAFTの作品が続くのはどのくらい意図されたものなのだろうか。その後にスタジオジブリの作品(『となりのトトロ』『コクリコ坂から』『借りぐらしのアリエッティ』)が続くのもとてもよいと思う。

第675回 絵(画)コンテという仕事

 昔、何年も前に興味本位で手相を見てもらった際、易者さんに

あなた、二重生命線で人の倍生きるよ!

と言われました。信じる信じないは別として、悪い気はしない程度。本気で人の倍生きること前提の人生設計を組むハズもなく、今現在の自分は46歳、十分人生の折り返し地点を越えたと認識しております。で、その現時点では

生命を半分使い切ってなお、ひとつのやりたい仕事で食っていけることの幸せたるや!

と感慨。そう、絵(画)コンテという仕事がそれです! 大変辛い反面、こんなに面白い仕事はありません。何しろ単純な話、自分の思ったアングル・タイミング・カット割りに動きがつき色が塗られ、役者(声優)さんにより声が吹き込まれ、効果音や音楽までもつけてもらえる! こんな唯我独尊で勝手で楽しい仕事は他にあるでしょうか? ちなみに同じ内容のことを出崎統監督もインタビューで仰ってました、というか俺の方が出崎監督(のお言葉)の受け売りっぽい。でも自分もそう思ってるのは本当です。

 ま、ついでなのでもう少しコンテの話を続けます。まず自分がコンテを切る際、一番に考えるのは

いかにリミッターを外してフリーダムにイメージを広げられるか?

ということ。「アレやっちゃいけない!」「コレ描いちゃダメ!」から何か新しいモノが生まれた歴史などかつて一度もないはず。監督として人にコンテを振る際も、できるだけ「脚本読んで好きに描いてみてください」と言います。あ、さらについでなので

監督自ら切るコンテと他人に振る(任せる)コンテの違い!

について語っておこうと思います。通常アニメファンの方々は、その作品の面白さの手柄をなんでもかんでも監督に還元しがちですが、意外とそうでもないという話、はまた次回。

アニメ様の『タイトル未定』
269 アニメ様日記 2020年7月19日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年7月19日(日)
午前9時半に池袋を出て新宿に。ロフトプラスワンで無観客配信イベント「アニメスタイルTALK 続・沓名健一と語るアニメ作画の20年」を開催。終盤駆け足になったが、とにかく2020年まで到達した。よかった。「続々・沓名健一と語るアニメ作画の20年」をやることになるのではないかと思っていた。新宿駅はこの日、東西自由通路が開通。駅の印象がかなり変わった。

2020年7月20日(月)
午前1時過ぎに事務所へ入って原稿作業。仕事の合間に自宅の粗大ゴミを出したり、夏布団を買いに行ったり。仕事でも片づけることが多くて、夕方にはクタクタ。
『CLANNAD AFTER STORY』を最終回まで視聴。今回は朋也と汐が旅行に行くあたりが染みたなあ。終盤の展開については色々と思うことがあるのだけれど、それはいずれきちんと文章にしたい。番外編 「一年前の出来事」も視聴。dアニメストアには「もうひとつの世界 杏編」だけないのね。

2020年7月21日(火)
13時までデスクワーク。13:35から、ワイフとグランドシネマサンシャインで「ダークナイト【IMAXレーザーGT字幕】」を鑑賞。フルサイズIMAXのシーンは少ないのだが、その少ないシーンはかなりガツンときた。IMAX上映は映像が鮮明になった分だけ、登場人物が誇張された存在だということが強調された気がした。
YouTubeで配信中の『カレイドスター』を視聴中。7話「笑わない すごい 少女」は今観ても凄いし、面白い。テロップで和田高明さんの役職が「演出・作画」になっていて、どうしてこうなったんだっけと思って、「WEBアニメスタイル」の過去記事を見たら、その理由をインタビューで訊いていた。偉いぞ、自分。

animator interview 和田高明(3)[WEBアニメスタイル・旧サイト]
http://www.style.fm/as/01_talk/wada03.shtml

「WEBアニメスタイル」で、吉松さんの「サムシネ!」の連載が再開。

2020年7月22日(水)
11時からササユリカフェでとある取材。昼飯を食べてから池袋に。入れ替わりで事務所スタッフがササユリカフェで「吉成曜ラクガキ」の設営作業。午後はデスクワーク。連休前も慌ただしい。

2020年7月23日(木)
連休1日目。「新文芸坐×アニメスタイルSPECIAL 劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇 & 螺巌篇」開催日。今回はトークがなかったので、物販を事務所スタッフに任せて、自分は事務所でデスクワーク。dアニメストアで配信が終わるというので『科学冒険隊タンサー5』を数話分観る。途中でバンダイチャンネルでは引き続き見放題であるのに気づく。

2020年7月24日(木)
連休2日目。早朝散歩以外は外出はしないで、ずっとデスクワーク。インタビューまとめを続ける。さすがに作業が進んだ。
dアニメストアでOVA『今日から俺は!!』1話から4話を観る。このシリーズは未見だった。もりたけしさんは1話の監督で、2話以降の全ての絵コンテを担当。初期話数はガイナックスのメンバーも作画で参加している。ガイナックススタッフが入っているかどうかは別にして、作画がいい。動画の線も綺麗だ。ビデオリマスターの力が大きいのだろうと思うけど、映像が鮮明だ。いきなり声優の話になるけれど、屋良有作さんが高校生役をやっていて、すっごい味のあるキャラクターになっている。

2020年7月25日(土)
連休3日目。夕方までデスクワーク。16時にワイフと近所の立ち飲み屋に行って、Skype吞み用の焼き鳥や揚げ物を買う。できるのを待っている間にもちょっと吞む。16時半から吉松さんとSkype吞み。ゴールデンウィークの頃に戻った感じ。そして、居酒屋呑みよりもリラックスして呑める。

第674回 躍動するコンテ

 最近、コンテでいよいよ忙しくなりました(2クール目突入)。毎日毎日コンテコンテ。普通に言って遊ぶ暇がありません。端から見ると苦しそうに見えるかもですが、作品づくりが何より好きなので全然苦にはなりません。自分でも驚くくらい、46歳にもなって何か(主にコンテや原画)を描いてるだけで幸せなんです、板垣という男は。世に言う晩酌的なものも30代後半あたりで週1〜2回ほどになり、40越えてからは、打ち上げやたまに会う友人との会合以外はまったく呑まなくなりました。呑んでもノンアルです。「普段何が楽しみなの?」と問われるとやっぱり仕事!
 中学の頃、出崎統監督のアニメを観て興奮し、

俺もこんな躍動感のあるモノが作りたい!

と思ったんです。「モノ」とはその当時その正体が「アニメ」だと分からなかったから、そう表現するしかなかったわけで、今ならはっきり「躍動感のあるアニメを作りたい!」と言います。

 自分が出崎監督のフィルムで好きなのはその躍動感なんです。それはアニメートのみではなくカメラワークやアングルも含む、フィルム全体の。もちろん画面には直接映らない、キャラクターの感情も激しく、時に優しく、もう本当にすべてのことが動いています。それは画が止まっても!

「アレやっちゃいけない」「コレをやっちゃ映画じゃない」と絶対に否定しない、無制限に自由な表現で緩急自在にドラマを操る出崎コンテの技は、俺にとって永遠の憧れです!

 で、その出崎監督の「ぴあCOMPLETE DVD BOOKシリーズ」でいよいよ名作『家なき子』が10月29日より5ヶ月連続(全5巻)でリリースされるそうで、仕事以外の楽しみがまたできました! まだ観たことがない方は、この機会に是非買って観てください。俺の言ってる意味が分かりますから!

 さて、コンテコンテ……。

第190回 夏の思い出 〜ペンギン・ハイウェイ〜

 腹巻猫です。10月9日(金)にRMAJ(レコーディング・ミュージシャンズ・アソシエイション・オブ・ジャパン)が主催するイベント「トークぷらすライヴ Vol.12〜和田薫アニメ音楽の世界〜」が開催されます。「トークぷらすライヴ」は音楽家のトークとライブで構成されたイベントで、今回は『金田一少年の事件簿』『ゲゲゲの鬼太郎』『犬夜叉』など、和田薫さんのアニメ音楽がたっぷり採り上げられる予定。時節柄、客席数を抑えるためにクラウドファンディングを利用しての開催になります。チケットは特典付きで、特典のみの支援も可能。久しぶりの映像音楽関係のイベントに期待がふくらみます。詳細は下記からどうぞ。
https://fanbeats.jp/projects/64


 前回の『サマーウォーズ』に続いて、「ひと夏の冒険」を描いた劇場アニメをもう1作。
 2018年8月に公開された劇場アニメ『ペンギン・ハイウェイ』だ。
 森見登美彦の小説をスタジオコロリドがアニメ化。石田祐康が長編アニメ初監督を務めた。
 森見登美彦といえば、『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』といった作品がアニメ化されている人気作家。ユニークな着想のファンタジーが持ち味だ。本作のストーリーもひと筋縄ではいかない。
 小学4年生のアオヤマ君は、日々世界について学び、ノートをつけている好奇心旺盛な男の子。目下の研究対象は、アオヤマ君が通う歯科医院で歯科助手をしている“お姉さん”だ。
 そんなある日、アオヤマ君の街にペンギンが出没する事件が発生。アオヤマ君はペンギン出現の謎を解くためにクラスメートのウチダ君と一緒に「ペンギン・ハイウェイ」の探索を始める。やがて、アオヤマ君はお姉さんがペンギンを出現させていることに気づく。
 いっぽうで、アオヤマ君とウチダ君は同じクラスの女子・ハマモトさんに相談されて、森の奥に浮かぶ水の球“海”の存在を知り、3人で研究を始める。どうやら、ペンギンと“海”とお姉さんには関係があるらしい。そうこうするうちに、街には新たな異変が起こり始めていた。
 どう転がっていくのかわからない、ふしぎな物語だ。主人公の少年たちが謎を相手に研究や実験を始めるところがいい。夏の知的冒険という趣で、センス・オブ・ワンダーが刺激される。観終わって、甘酸っぱい香りが残るのも少年の夏の物語らしい。こういう、ジュヴナイルSFっぽい感じに筆者は弱いのだ。

 音楽は阿部海太郎が担当した。
 1978年生まれ。幼いころより楽器に親しみ、独学で作曲を始めた。東京藝術大学、同大学院、パリ第八大学に進学して音楽を学ぶ。が、専攻は作曲ではなく、音楽学。学理科で音楽史や民族音楽などの知識を深めた。作曲はほとんど独学だという。
 パリ留学から帰国後、舞台音楽や映画音楽、イベント音楽などで活躍。2008年より蜷川幸雄演出の舞台音楽を数多く手がけた。並行して、オリジナル・アルバムも発表。NHK「日曜美術館」のテーマ曲やWOWOW連続ドラマW「分身」の音楽なども担当している。
 劇場用長編アニメーションの音楽は本作が初めて。アニメ音楽の型にはまらない、瑞々しい音楽が聴ける。
 演奏は最大50人編成のオーケストラ。しかし、派手に鳴らすのではなく、音を吟味し、抑制の効いた表現で、ふしぎな物語の世界を彩っている。絵にたとえるなら、水彩画のような、温かく、味のあるサウンド。やさしく、心地よい音楽だ。
 メインテーマ以外に、アオヤマ君、お姉さんなどに固有のテーマが設定されている。また、アオヤマ君とウチダ君がペンギン・ハイウェイを探るシーンのユーモラスな曲(「プロジェクト・アマゾン」)も耳に残る。クラリネットやマンドリンなど、楽器の音色を生かしたオーケストレーションが印象的だ。
 サントラ盤のブックレットに掲載された対談の中で、阿部海太郎は本作の音楽について「全曲愛おしい」「傑作率が高い」と語っている。その言葉どおり、じっくり味わいたい曲が並ぶ傑作サントラである。
 本作のサウンドトラック・アルバムは2018年8月にソニー・ミュージックレーベル/エピックレコードジャパンから発売された。収録曲は以下のとおり。

  1. ペンギン・ハイウェイのテーマ The theme of Penguin Highway
  2. 天才少年の朝 Genius boy’s morning
  3. プロジェクト・アマゾン Project “Amazon”
  4. ペンギン発見 He found a penguin
  5. マドンナ Madonna
  6. お姉さん Dentist lady
  7. 最初の夢 The first dream
  8. 実験成功 Experiment succeeded
  9. 世界のしまい方 How to put away the world
  10. 未知との出会い Unknown encounter
  11. 夏休み Summer vacation
  12. かわいがり She cherishes him
  13. 海辺のカフェ Cafe au bord de la mer
  14. ペンギン号、〈海〉へ ”Penguin”, sail away!
  15. 帝国の逆襲 The empire strikes back
  16. ペンタを連れて Take Penta out
  17. プロミネンス Prominence
  18. 全て一つの問題 All in one problem
  19. 円環の川 Ring shaped river
  20. 海辺の街へ To the seaside town
  21. ジャバウォック Jabberwock
  22. 奪われる研究 Stolen research
  23. 悪い夢 Nightmare
  24. エウレカ Eureka
  25. 脱出 Escape
  26. 研究発表 Research presentation
  27. ペンギン・パレード Penguin’s parade
  28. 世界の果て World end
  29. 〈海〉の崩壊 Collapse of the sea
  30. 誰もいない街 No one in the city
  31. これからの研究課題 Further research

 構成はちょっと変わっていて、ストレートな劇中使用順にはなっていない。
 トラック01から16までは、劇中での使用順とは並びを変えて収録されている。トラック17以降は劇中使用順どおり。前半と後半でコンセプトを変えている雰囲気だ。前半はイメージアルバム、後半は本編を再現するサントラ、というところだろうか。
 前半には、「○○のテーマ的」なキャッチーな曲が多い。フィルムスコアリングだが1曲1曲が個性的で、メニュー方式で作った溜め録り音楽のようだ。
 トラック01「ペンギン・ハイウェイのテーマ」は、本作のタイトルからオープニングクレジットのバックに流れるメインテーマ。本編では、次の「天才少年の朝」が最初に流れ、この曲につながる。ここは、メインテーマをアルバムの1曲目として聴かせたいという意図だろう。
 ストリングスとオーボエによるバロック風の優雅な演奏から始まる。ピアノとクラリネットの合奏が続き、弦楽器による美しい曲想に転じる。トランペットが加わり、高揚感が盛り上がる。ペンギンが住宅街を駆け、水路を泳ぎ、森の奥へ入っていく映像とともに流れて、本編が始まるワクワク感を味わわせてくれる。なるほど、アルバムの1曲目にふさわしい。
 2曲目の「天才少年の朝」は、アオヤマ君のモノローグとともに流れる「アオヤマ君のテーマ」と呼べる曲。冒頭のピアノのフレーズはアオヤマ君が考えごとをするシーンなどに短いブリッジのように使われている。本作の音楽では、ピアノとクラリネットがアオヤマ君のキャラクターを表現する楽器になっているようだ。
 トラック03「プロジェクト・アマゾン」は本作の音楽の中でも筆者の好きな曲のひとつ。アオヤマ君とウチダ君が水路をたどってペンギンを探す場面に流れる。いわば、「冒険のテーマ」である。といっても勇ましい曲ではない。ベースとクラリネットをメインにした、ぷかぷかと宙を歩むような曲調がユーモラスだ。このクラリネットのフレーズは、ほかの探検シーンでも使われている。
 次の「ペンギン発見」は、2人がついにペンギンを発見するシーンで流れる曲。
 トラック05「マドンナ」とトラック06「お姉さん」は、本作のヒロイン2人のテーマである。
 ハマモトさんの初登場場面に流れる「マドンナ」は、アコーディオンを使ったミュゼット風の小粋な曲。チェスが得意なハマモトさんのすました表情をとらえている。
 「お姉さん」はキューバの舞曲ハバネラのリズムを採り入れた曲で、お姉さんの自由でミステリアスな雰囲気をユーモラスに表現。お姉さんのモチーフは、アオヤマ君とお姉さんが電車に乗って海辺の街をめざす場面に流れるトラック20「海辺の街へ」でも反復される。
 お姉さんのテーマの変奏では、お姉さんがアオヤマ君の歯を抜こうとする場面のトラック12「かわいがり」もいい。マンドリンとギロを使って、アオヤマ君を翻弄するお姉さんを描写。愛らしさとコミカルさが同居する絶妙の曲になっている。
 アオヤマ君と父親が喫茶店で世界の果てについて話をする場面のチェロの曲(トラック09「世界のしまい方」)やアオヤマ君とお姉さんが海辺のカフェでチェスをする場面のボサノバ風のギター曲(トラック13「海辺のカフェ」)など、現実音楽的に使用されているBGM風の曲もよくできている。こういう曲は既成曲で代用されたり、新曲であってもサントラ盤には収録されないことが多いのだが、しっかり収録されているのがうれしい。これがあることで、アルバムの「夏休み感」がぐんと増すのだ。
 前半の聴きどころは、トラック11の「夏休み」だろう。アオヤマ君とウチダ君とハマモトさんの3人が、森の奥の草原で“海”の観察をする場面に流れる曲である。軽やかなリズムをバックに管楽器群がさわやかなメロディを歌い、美しい弦合奏が引き継ぐ。後半に入るピアノがちょっとセンチメンタルな香りを漂わせる。3人の夏休みの日々を音楽と映像のモンタージュで綴る名シーンだ。
 アルバム後半は、物語がクライマックスに向かうにともなって、映画音楽らしい動きのある曲やサスペンス風の曲が多くなる。
 ペンギンが“海”に異変を生じさせる場面のドラマティックなトラック17「プロミネンス」、地鳴りのような弦の低音が時空のゆがみを描写するトラック21「ジャバウォック」、リリカルなピアノからマーチ風に展開するトラック25「脱出」などだが、いずれも、型通りのアクション曲やサスペンス曲にはなっていない。繊細で温かみのあるオーケストレーションで、ふしぎな夏の物語にふさわしい音楽に仕上げている。
 後半で特に印象深い曲がトラック22の「奪われる研究」。3人だけの秘密の研究を大人たちに取り上げられてしまったハマモトさんの悲しみと怒りを伝える曲だ。心の痛みを表現するピアノの音、乱れる想いを描写する弦と木管の絡み合い。たっぷり3分以上にわたるエモーショナルな演奏に胸打たれる。本作の音楽の中でもとりわけ心をゆさぶられる曲である。
 そして、本作の音楽のハイライトは、トラック27「ペンギン・パレード」だ。ペンギンの群れを引き連れて、巨大化した“海”をめざすお姉さんとアオヤマ君。弦の小刻みなリズムの上で、木管楽器が短いフレーズをくり返し、弦楽器の躍るようなメロディに展開する。ピアノや金管が加わり、華やかにスケール豊かに変奏。スタイルはバロック風だが、はめをはずしたようなお祭り感があり、それがスクリーンを埋め尽くすペンギンの映像とよく合っていた。
 阿部海太郎によれば、この曲と「夏休み」はブラジル音楽のビートを採り入れ、クラシック音楽では珍しい裏拍でリズムを取る曲にしたのだそうだ。クラシカルでありながらラテン的な躍動感があるのはそのためである。
 “海”に飛び込み、世界の果てにたどりついたアオヤマ君とお姉さん。その周囲に広がるシュールな景色。それは2人の心象風景のようでもある。そこに流れるトラック28「世界の果て」は、ピアノとクラリネット、弦楽器をメインにした現代音楽風の曲。次の「〈海〉の崩壊」とともに、本作のSF的なクライマックスを描写する音楽である。
 トラック30の「誰もいない街」は、おだやかな曲調ながら、本編を観たファンには格別胸に迫る曲である。映画の大詰め、お姉さんとアオヤマ君の別れの場面に流れた曲なのだ。ピアノのフレーズから始まり、クラリネットのメロディがそっと入ってくる。「天才少年の朝」と同様の構成ながら、曲調やメロディは異なる。ピアノとクラリネットが、アオヤマ君の心のざわめきと言葉にならない想いを表現している。ラストの雨だれのようなピアノが切なく響く。ストレートに悲しい曲を付けてしまいそうなところだが、ここでも型通りの表現を避け、抑えた曲調で複雑な心境を描いている。
 ラストの「これからの研究課題」は、冒頭に流れた「天才少年の朝」と対をなす曲。ピアノが「天才少年の朝」と同じモティーフを反復する。中間部は弦合奏がしっとりと重なって、ちょっぴり大人になったアオヤマ君を表現。ピアノだけが残ってテーマをくり返し、さわやかな余韻を残して終結する。
 「いい劇場作品を観たなあ」と思う終わり方だ。

 『ペンギン・ハイウェイ』はひと筋縄ではいかない、ふしぎな物語である。音楽もひと筋縄ではいかない。映像になじみ、オーソドックスに聴こえるが、パターンにはまらず、独創的だ。けれど、夏休みの高揚感と非日常の喧騒、出逢いと触れ合いのときめき、夏が終わる切なさが伝わってくる。聴くと、いつもと違う夏があったことを思い出す。そんな音楽である。

ペンギン・ハイウェイ オリジナル・サウンドトラック
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
268 アニメ様日記 2020年7月12日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年7月12日(日)
13時から大塚のある店で吉松さんと打ち合わせを兼ねた食事。のつもりが、行ってみたら予約を入れた店がどういうわけか開いていない。店の番号に電話をしたけれどつながらない。暑い中、入れる店を探して大塚の駅周辺をうろついて、駅の反対側の店に落ち着く。吉松さんに新刊を渡して、ササユリカフェに置く感想ノートの表紙を描いてもらう。吉松さんとリアルで会ったのは4ヶ月ぶりくらいだった。吉松さんは自粛で痩せたと言っていたけど、確かに痩せていたなあ。
Kindleで「薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―」を読了。これも楽しい作品だった。本の成り立ちも素敵だ。

2020年7月13日(月)
他にも相変わらず片づけなくてはいけない用事がいくつもあるけれど、大物のテキスト作業に着手。とにかく着手。
この数日、続けて少女マンガについての本を読んだので、その勢いで「天人唐草」を読もうと思ったのたけど、Kindleになっていないのね。「天人唐草」は紙の本を注文して、次に気になっていた「吉祥天女」をKindleで買う。僕は少女マンガに関しては有名タイトルでも読んでいないものが多い。「吉祥天女」はタイトルだけ知っていたけど、現在(40年近く前の現在だけど)が舞台で学生達が出てくる物語だとは思わなかった。それくらい少女マンガに疎い。

2020年7月14日(火)
13時まで原稿作業で、その後は原稿以外の作業。しばらくはこのパターンでいきたい。YouTubeで配信中の『美少女戦士セーラームーンS』を配信中の31話まで視聴。観直していて、土萌教授が好きだったのを思い出した。自分が台本を書いたカセットブックに土萌教授も出ているんだけど、あれは書いていて楽しかった。今思うと、感情移入がしやすかったのだろう。

2020年7月15日(水)
午前中は原稿作業。午後は打ち合わせであるアニメスタジオに行く。このスタジオに行くのは21世紀になってからだと2度目か3度目。担当の方に挨拶するのは30年ぶりくらいかもしれない。イベントの予習で『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』の再見を始める。

2020年7月16日(木)
13時まで打ち合わせ。13時にZoom打ち合わせ。14時からSkype打ち合わせ。その後、アポ取りの電話を2本。一人は10年ぶりに連絡をする方。もう一人は初めて連絡を入れさせていただいた方。夕方から平松禎史さんと吞む。平松さんと会うのも久しぶり。途中でもう一人が合流。4時間半くらい吞む。

2020年月17日(金)
15時からワイフと、グランドシネマサンシャインで4DXの『機動警察パトレイバー[劇場版]』を観る。ちなみに、グランドシネマサンシャインHPでの表記のタイトル表記は「機動警察パトレイバー THE MOVIE【4DX】」。『機動警察パトレイバー[劇場版]』は予想していたよりも4DX向きの映画だった。特に風がよかった。冒頭の帆場暎一が身を投げる場面も風がよかった。この作品を劇場で最初から最後まで観るのは久しぶりで、4DX効果以外の部分も楽しめた。
『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』を最終回まで観て、その後は『CLANNAD AFTER STORY』を1話から視聴。少し前に『CLANNAD』の濃い人とLINEでやりとりしている時に、いきなり「便座カバー」と言われて対応できなかったよ、便座カバー。こういうネタだったんだね、便座カバー。『CLANNAD AFTER STORY』は本放送で観ているのに、このネタは忘れていたよ、便座カバー。

2020年7月18日(土)
散歩以外はデスクワーク。午前10時までは原稿作業で、その後は原稿以外の作業。

第673回 キツい! ゴメンナサイ!

 すみません、先週連載休みだったにもかかわらず、また中途半端な内容で……。現在(前回報告したとおり)シリーズのコンテ後半戦で、週1コンテに加え、毎日社内分の全原画チェックからのアニメーター指導、そして毎週レギュラーの音響デーが丸一日あるわ。さらにイレギュラーで入社希望の方との面接が組まれてしまい、今週はこのザマです。

なぜ1週間は7日しかないっ!?

アニメスタイルTALK 叶精二のアニメーション講義 初級編

 10月の無観客配信のトークイベントは「アニメスタイルTALK 叶精二のアニメーション講義 初級編」です。映像研究家であり、高畑勲・宮崎駿作品研究所代表でもある叶精二さんにアニメーションについてのお話をうかがうトークイベントシリーズの第1弾です。

 聞き手はアニメスタイル編集長の小黒祐一郎。今回は小黒が、叶さんに質問をするかたちでトークを進める予定です。

 開催日時は2020年10月11日(日)。11時からAsagaya/Loft Aツイキャスでリアルタイムで配信し、Asagaya/Loft Aツイキャスで10月13日(火)23時59分までアーカイブ配信を行います。その後、アニメスタイルチャンネルでアーカイブ配信を始めます。

 Asagaya/Loft Aツイキャスの配信チケットについては、以下のリンクをご覧になってください。

Asagaya/Loft(イベントページ)
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/153480

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

アニメスタイルTALK 沓名健一の作画語り

 9月も無観客配信のトークイベントをお届けします。ゲストはアニメーター、演出として活躍し、さらに作画研究家でもある沓名健一さん。聞き手はアニメスタイル編集長の小黒祐一郎が務めます。
 今回はテーマを絞らず、色々な切り口でアニメの作画について語っていただきます。マニアックなトークをお楽しみください。

 開催日時は2020年9月20日(日)。11時からAsagaya/Loft Aツイキャスでリアルタイムで配信し、Asagaya/Loft Aツイキャスで9月22日(火)23時59分までアーカイブ配信を行います。その後、アニメスタイルチャンネルでアーカイブ配信を始めます。

 Asagaya/Loft Aツイキャスの配信チケットについては、以下のリンクをご覧になってください。

Asagaya/Loft(イベントページ)
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/153470

 アニメスタイルチャンネルでは、過去のトークイベント「沓名健一と語るアニメ作画の20年」「続・沓名健一と語るアニメ作画の20年」をアーカイブ配信しています。こちらはアニメスタイルチャンネルの会員はいつでも視聴できます。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

アニメ様の『タイトル未定』
267 アニメ様日記 2020年7月5日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年7月5日(日)
無観客トークイベント「アニメスタイルTALK データ原口のアニメ講座」の開催日。原口さんは開演の少し前に到着。サクっと打ち合わせをして、トークを開始。原口さんは元気そうだった。無観客イベントでもいつもと同じテンションでトークができるのはさすが。トークのテーマは「日本最初のテレビアニメ」「トレスマシンの歴史」の予定だったが、直前の打ち合わせで「トレスマシンの歴史」を次回にして「日本アニメの4大潮流」をテーマにすることとなった。15時に終わらせるつもりが15時半に終了。

2020年7月6日(月)
このところずっとやっていたページ構成はひとまず終了。アスクルから、折りたたみの小さな机が届く。しばらく、これを打ち合わせで使うことにする。事務所スタッフの大半が自宅作業になったので、大人数用の打ち合わせテーブルを片づけてしまったのだ。自宅で「めんつゆひとり飯」3巻で出てきたパスタをつくる。7月スタートの月曜深夜アニメが少なくて驚く。新番組はTOKYO MXの『ゴッド・オブ・ハイスクール』『バキ 大擂台賽編』くらい。再放送が多いのだ。

2020年7月7日(火)
「めんつゆひとり飯」3巻の本栖のセリフ「これでもうゴリゴリにドレッシングなんすよ!!」を参考にして、ポン酢とオリーブオイルでドレッシングをつくってみた。東映特撮の「ジャイアントロボ」を流しながら作業。いやあ、いいわあ。作業のストレスが軽減される。今さらなにを言っているんだと言われそうだけど、音楽もいい。火曜の夜も新作アニメは少ないなあ。

2020年7月8日(水)
作業をしながら新番組に目を通す。『八月のシンデレラナイン Re:fine』『巨人族の花嫁』『魔王学院の不適合者』『Lapis Re:LiGHTs』『ド級編隊エグゼロス』『HERO MASK』『うまよん』。ちなみに『八月のシンデレラナイン Re:fine』は「初回放送をブラッシュアップしたコレクターズエディション(Blu-ray収録版)」だそうだ。
『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』の第二部を最終回まで視聴。よくできているし、面白い。気になってWikipediaを見たら、この後、まだまだ原作は続くのね。
ある劇場アニメのあるカットに撮影処理が入っているかどうかを確認するために、U-NEXTでレンタルする。視聴は3分ほどで終了。

2020年7月9日(木)
グランドシネマサンシャインで、ワイフと『千と千尋の神隠し』を観る。頭から終わりまで通して観たのは公開当時以来かもしれない。物語についての印象は変わらず。作画に関しては初見時にもいいと思ったはずだけど、今観るとなにが行われているのか分かる気がする。ジブリ作品の作画を一歩進めた作品ということになるのだろう。手足の描き方がリアル寄りなのも印象的。自分としては『もののけ姫』の後に観たのがよかった。『崖の上のポニョ』も映画館で観直したい。
福しんの明治通り店が7月17日に閉店することを知る。福しんというのは中華料理のチェーン店で、その明治通り店は事務所のすぐ近くだ。30年近くお世話になった。寂しくなるなあ。

2020年7月10日(金)
11時30分からササユリカフェで打ち合わせ。事務所に戻ってから、Zoom打ち合わせ2本立て。晩飯は福しんで冷やし中華。ここで食べるのもこれで最後か。Netflixで『日本沈没2020』を1話から最終話まで観る。発想について湯浅さんらしいと思うところがあった。

2020年7月11日(土)
キーボードを叩いたり、買い物に行ったり。「萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命」と「松苗あけみの少女まんが道」を読了。自分は少女マンガについての知識が乏しいので「萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命」で初めて知ることが多かった。「松苗あけみの少女まんが道」はまずマンガとして面白い。仕事中に流すカセットテープやテレビの話も時代性が感じられてよかった。それから出てくるマンガ家の先生達が素敵で、それも印象に残った。

「アニメスタイル20周年展」が開催中
第4弾は馬越嘉彦さんの原画、デザイン画などの展示です

 「アニメスタイル」の20周年を記念して、ササユリカフェで「アニメスタイル20周年展」を開催しています。開催は9月末までの予定で、開催期間内に展示内容が変わっていきます。

 「アニメスタイル20周年展」の第4弾は「馬越嘉彦 仕事集」です。馬越嘉彦さんが描いた原画、キャラクターデザインのラフ、イラストのラフ等の展示となります。作品としては『ハートキャッチプリキュア!』『おジャ魔女どれみ』『キャシャーン Sins』等(展示する資料は、昨年の9月にササユリカフェで開催した「馬越嘉彦 原画展」と重複しています)。
 「馬越嘉彦 仕事集」の展示は9月3日(木)から9月21日(月)まで。ササユリカフェの営業時間は11時30分から18時で、火曜と水曜が定休日。また、9月13日(日)が臨時休業となります。開催期間中のササユリカフェは終日立ち見営業です。入場料はいただきませんが、入場時に持ち帰りドリンクのオーダーが必要です。

 「アニメスタイル20周年展」開催中のササユリカフェでは「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第一巻」「同・第二巻」をはじめ、アニメスタイルの書籍を販売しています。

 さらに9月3日(木)からササユリカフェでは、アニメスタイル20周年記念小冊子「アニメスタイルちゃんのうすい本」を発売します。「アニメスタイルちゃんのうすい本」には馬越さんが描いたアニメスタイルちゃんのイラストも収録されていますよ。

■関連リンク
ササユリカフェ
http://sasayuricafe.com

「アニメスタイル20周年展」を開催中 第3弾は「『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ができるまで」
http://animestyle.jp/2020/08/06/17905/

【アニメスタイルの新刊】「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第一巻」の一般販売は9月から!
http://animestyle.jp/news/2018/08/21/14120/

【アニメスタイルの書籍】「馬越嘉彦 アニメーション原画集」! 充実の第二巻が刊行!!
http://animestyle.jp/news/2019/09/02/16189/

【アニメスタイルの書籍】一般販売開始! 「馬越嘉彦 仕事集」はお宝資料が山盛り 「アニメスタイル ONLINE SHOP」では複製原画付き!!
http://animestyle.jp/news/2020/01/09/16902/

新文芸坐×アニメスタイルSPECIAL
現代アニメの傑作 劇場版『若おかみは小学生!』

 9月のアニメスタイルと新文芸坐の合同企画は、レイトショー「新文芸坐×アニメスタイルSPECIAL 現代アニメの傑作 劇場版『若おかみは小学生!』」です。劇場アニメーション『若おかみは小学生!』をトークコーナー付きで上映します。

 トークコーナーのゲストは高坂希太郎監督と、豊田智紀プロデューサーです。また、当日は、アニメスタイルの新刊「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」を販売する予定です。

 チケットは9月23日(水)から発売開始します。販売について詳しくは新文芸坐のサイトをご覧になってください。

新文芸坐×アニメスタイルSPECIAL
現代アニメの傑作 劇場版『若おかみは小学生!』

開催日

2020年9月30日(水)

開場

開場:19時10分/開映:19時30分/トーク終了:21時55分(予定)

会場

新文芸坐

料金

一般1500円、シニア・友の会1300円(招待券不可)

トーク出演

高坂希太郎、豊田智紀、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

若おかみは小学生!(2018/94分/DCP)

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

アニメ様の『タイトル未定』
266 アニメ様日記 2020年6月28日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年6月28日(日)
雨天のため、早朝散歩はおやすみ。新作放送を再開した『ヒーリングっど プリキュア』『デジモンアドベンチャー:』『ONE PIECE』を観ながら取材の予習。『メイプルタウン物語』を数話観る。Amazon prime video、Netflix、U-NEXT、dアニメストア、Hulu、バンダイチャンネル、Disney+を使っていて、どれかやめようと思っていたのに、VideoMarketに入会してしまった。14時からSkypeを使って、ある監督のロングインタビュー。

2020年6月29日(月)
作業はページ構成、簡単なテキスト、「アニメスタイル20周年展」の準備、事務作業等。やることが多くて、晩飯を食べそこなう。
YouTubeで配信中の『美少女戦士セーラームーンS』を1話から11話まで観る(1話は今回の配信でなく、以前から配信されていたもの)。『セーラームーン』の全エピソードの中で、一番好きなのが8話「水のラビリンス! ねらわれた亜美」と10話「男の優しさ! 雄一郎、レイに失恋?」の2本だな。どちらも『セーラームーン』を代表するエピソードではないけれど、観返したいのはこの2本。これは好みの問題なので仕方がない。

2020年6月30日(火)
TOHOシネマズ池袋のオープン初日のプログラムが発表された。アニメ関係だと、ジブリの4本(『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』)に加えて『天上人とアクト人 最後の戦い』『ルパン三世 ルパンVS複製人間(轟音上映)』『ルパン三世 カリオストロの城(轟音上映) 』。『もののけ姫』は通常上映と轟音上映がある。

2020年7月1日(水)
事務所スタッフの2人が「アニメスタイル20周年展」の設営のためにササユリカフェに。自分も後から入り口に貼るポスターを持ってササユリカフェに。帰りにちょっと吞む。いつもお客が大勢の「やきとり 戎」がガラガラ。自分以外の客は一組だけだった。注文してすぐに出てくるのはいいけれど、ちょっと心配だ。
吉本ばななさんの「キッチン」を読了。移動時にスマホのKindleでちまちま読んでいたら、二月くらいかかってしまった。かなりよかった。文章もいいし、主人公のものの考え方や感じ方もいい。面白いというのとはちょっと違う。あえて言うならば、主人公のみかげと友達になった感じ。1980年代の時代の気分もいい。この本は刊行された頃にも読んでいるんだけど、当時はピンとこなかっただろうなあ。当時は単純に自分達の世代の小説と思ったのかもしれない。文庫版あとがきもよかった。

2020年7月2日(木)
深夜から午前11時40分までページ構成。Zoom打ち合わせをはさんで、午後はササユリカフェに。入り口に貼るポスターの、プリントし直したものをもっていく。事務所に戻って作業。毎日8~14ページのラフを切っていたのだけど、この日は44ページのラフをきった。自己新記録。
Amazon prime videoで映画「キッチン」(1989年版)を観る。今年の4月9日にも観ていて、その時は演出がいいなあとか、時代感がいいなあと思ったのだけど、原作を読み直してからだと感想がまるで違う。原作も映画も30年以上前のものだからネタバレを気にしないで書くけれど、映画では雄一の母親(戸籍上は父親)のえり子が死なないのだ。きちんと比べたわけではないが、えり子のキャラクターも随分違うはず。したがって、あの印象的なカツ丼を届けるエピソードもない。えり子は死なないかわりに、男性のパートナーを見つけて同居を始めることになる。みかげのキャスティングは素晴らしい。しっかりとみかげになっていた。それから、これも検証はせず、印象で書いてしまうけれど、映画ではみかげの自意識が薄くなっている気がした。
Twitterで流れてきたアニメ『ケロロ軍曹』についてのツイートまとめを読む。かなり面白かった。僕が劇場版『ケロロ軍曹』に異様に詳しい人みたいになっている。「では、あの身体の感じとか動きは山口晋さんの持ち味?」とか、「『超劇場版ケロロ軍曹3』EDは、最初のほうの秋ママもお描きですか」とか。あるいは「てゆーか温故知新?」とか。

オールナイトイベント直前!アニメスタッフとアニメスタイル編集長による『ケロロ軍曹』作画談義!
https://togetter.com/li/524968

事務所スタッフが「▼▼▼の▲▲▲の作業が終わりました」と言う。えっ、なんだっけ。あー、思い出した。3年か4年前にあるアニメプロダクションから「急ぎませんので手が空いた時にやっておいてください」と言われた仕事だ。依頼してきたプロダクションも忘れているんじゃないの。というか担当さんがまだその会社にいるのかどうかも不明だ。だけど、ずっとやっていたの?

2020年7月3日(金)
深夜からページ構成。早朝散歩をはさんで、デスクワーク。ワイフとオープン初日のTOHOシネマズ池袋に。10:30~12:55の回で『もののけ姫(轟音上映)』を鑑賞。映像については基本的に良好。ただ、キャラクターの色がセル色に近すぎるという意見はあるかも。それから、線がピリピリしているところがあった気がする。映像以外だと、今回の鑑賞で初めて自分が『もののけ姫』という作品に向き合ったような気がした。アニメーション作品としては、ボリューム的にも内容的にも、大変過ぎることをやろうとしている。前後のジブリ作品と比べても、そうだろう。14時からZoom打ち合わせ。その後は「アニメスタイルちゃんのうすい本」のラフ描き。

2020年7月4日(土)
雨天のため、早朝散歩はおやすみ。朝10時くらいまでページ構成。その後、ワイフと外出。期日前投票をしてから、山手線で高田馬場に。食事をしたり、おとめ山公園に行ったり。帰りにブックギャラリーポポタムで買い物をして、ジュンク堂にも寄る。その後、床屋に。床屋で頭を刈ってもらうのは3ヶ月ぶりくらい。
YouTubeで配信中の『美少女戦士セーラームーンS』を16話まで観る。13話「奪われた純な心! うさぎ絶体絶命」で、美奈子が化けたムーンが猛烈に胡散臭くて面白すぎる。

第672回 忙しく、疲れて、そして楽しい

演出歴19年。内、監督歴16年。今までに何本コンテを切ったのだろう? もう数えるのも面倒くさいのです(誰か教えて)。てことで今作(まだタイトルは言えません)のコンテもそろそろ折り返し点。久々の2クール、もちろんほぼ全話コンテ、あと1クール分全力疾走! あ、オープニング・エンディングもあるか。

第189回 闘う夏 〜サマーウォーズ〜

 腹巻猫です。梅雨明けからの猛暑続きで、いささかダウン気味。そんな中、8月15日(土)に開催された「資料性博覧会13」にたくさんのご来場ありがとうございました。対面イベントは約半年ぶり。時節柄、いろいろ気も遣いましたが、新しい出会いもあり、有意義でした。また機会がありますように。


 新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、今年もさまざまなサントラ系コンサートが開催される見込みだった。そのひとつに、6月に開催される予定だった「サマーウォーズ フィルムコンサート」がある。
 劇場作品『サマーウォーズ』公開10周年記念イベントのフィナーレを飾るものとして企画されたコンサートである。内容はいわゆる「シネマコンサート」。作品を上映しながら、劇中音楽を生演奏で聴かせるコンサートだ。近年、盛んに開催されており、洋画では「スター・ウォーズ」「タイタニック」「ニュー・シネマ・パラダイス」など、邦画では「ゴジラ」「砂の器」「八甲田山」などが上演されている。アニメでは、昨年(2019年)、劇場版『機動戦士ガンダム』が上演されたのが記憶に新しい。
 『サマーウォーズ』の公演は残念ながら中止になってしまったが、開催されていれば、興味深いコンサートになったと思う。というのも、『サマーウォーズ』の音楽は、電子音楽とオーケストラ楽曲が混在する、ハイブリッドな構成になっているからだ。
 今回は、コンサートを想像しながら、『サマーウォーズ』の音楽を紹介しよう。

 『サマーウォーズ』は2009年8月に公開された劇場アニメ。『時をかける少女』に続いて細田守が監督したオリジナル作品だ。
 数学が得意な高校生の健二は、憧れの先輩・夏希の頼みで長野県上田市にある夏希の実家・陣内家を訪れる。広壮な大邸宅とぞくぞくと集まる陣内家の一族に圧倒される健二。一夜明けると、世界中の人々が利用するインターネット上の仮想世界「OZ」がハッキングされ、現実世界に大混乱が広がっていた。健二は陣内家の人々と協力しあって、OZを乗っ取ったAI「ラブマシーン」に闘いを挑む。
 デジタルワールドの危機というSF的な題材と戦国時代から続く旧家の大家族のドラマを組み合わせた着想がユニークだ。夏の日差しの下、自然に囲まれた屋敷で電脳世界の闘いが繰り広げられるさまは、アーサー・ランサムの少年小説とサイバーSFが合体したような味わいがある。
 音楽を手がけたのは松本晃彦。TVドラマ「踊る大捜査線」などの音楽を手がけた作曲家である。
 サックス奏者の松本英彦を叔父に持ち、父親もヤマハで音楽教室に関わる音楽一家。幼少時から音楽に親しんだ。早稲田大学在学中にバンドでプロデビュー。そのまま音楽家になる道を選んだ。
 80年代後半から、作・編曲家、プロデューサーとして、吉川晃司、サザンオールスターズ、中森明菜、CHAGE&ASKAら、さまざまなアーティストの楽曲を手がけ、また、ステージサポート・ミュージシャンとしてコンサートツアーに参加。
 1997年に手がけたTVドラマ「踊る大捜査線」の音楽が評判となり、映像音楽の分野でも活躍を始める。映像音楽の代表作に、TVドラマ「甦る金狼」(1999)、「恋人はスナイパー」(2001)、「課長島耕作」(2008)、「学校のカイダン」(2015)、映画「踊る大捜査線THE MOVIE」(1998)、「スペーストラベラーズ」(2000)、「リターナー」(2002)、TVアニメ『ブラック・ジャック』(2004)、『ONE OUTS』(2008)などがある。
 サウンドトラック・アルバムのライナーノーツに寄せられた音楽プロデューサー・岡田こずえのコメントによれば、本作の音楽について細田監督から発せられたキーワードは「アクション」と「オーケストラ」だった。オーケストラはバラバラな方向を向く人々がひとつにまとまっていくことの象徴でもあった。
 本作の音楽に求められた要素は多岐にわたる。デジタルワールドOZを描写する曲、AIラブマシーンとの闘いを描写するアクション曲、陣内家の大家族を描写する曲、健二や夏希の思いを描写する曲……などなど。デジタル音楽からオーケストラ音楽まで、歌ものから現代音楽まで、さまざまなジャンルや曲調が要求された。ものすごい量のリサーチを経て選ばれた作曲家が松本晃彦だった。
 松本晃彦は、本作のために最初に3つのデモを書いた。「健二のテーマ」「田舎町の大家族の温かい曲」「電脳世界の音楽」の3曲である。ファースト・インプレッションで音楽の方向性は決まった。「健二のテーマ」は本作の音楽の核=メインテーマとなり、さまざまな場面にアレンジされて使用されている。また、「大家族の曲」はオープニングの序曲とエンディング曲に使われた。
 松本晃彦は、本作の音楽を「上田市の大家族と健二のそばにずっと一緒にいてもらいたい」と思いながら作曲したという。
 劇中では華やかなオーケストラ曲やアクション曲の印象が強い。が、音楽に込められた想いは繊細だ。どの曲も周到な計算と監督とのディスカッションを経て作られている。
 本作のサウンドトラック・アルバムは2009年7月末に「サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック」のタイトルでバップから発売された。収録曲は以下のとおり。

  1. 仮想都市OZ
  2. Overture of the Summer Wars
  3. 陣内家
  4. 侘助
  5. 2056
  6. 愉快犯
  7. KING KAZMA
  8. 健二
  9. 栄の活躍
  10. 陣内家の団結
  11. 戦闘ふたたび
  12. 崩壊
  13. 手紙
  14. みんなの勇気
  15. 1億5千万の奇跡
  16. 最後の危機
  17. The Summer Wars
  18. Happy End

 劇中曲を使用順に並べたオーソドックスな構成。
 トータルで18曲、収録時間は49分。2時間の劇場アニメの音楽としては少ない曲数と尺数である。
 しかし、未収録曲が格別多いわけではない。
 2015年に発売された「細田守監督トリロジー Blu-ray BOX 2006-2012」には、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』のBlu-rayディスクとともに、各作品の「コンプリート・スコア」を収録した特典CDが同梱されている。「コンプリート・スコア」とは、映画本編で流れるBGMを使用尺も順番もそのままに再現した完全版サントラのこと。これで音楽の全体像がわかる。
 「コンプリート・スコア」によれば、本作の劇中音楽のキューはM1からM25まで。うちM4が欠番になっているので、全24曲である(おそらく、M4は挿入歌の「上田わっしょい」、M26が主題歌の「僕らの夏の夢」なのだろう)。総尺数は62分。つまり、「オリジナル・サウンドトラック」に大半の楽曲が収録されているのだ。
 実は、本作で音楽が流れるシーンは意外に少ない。説明的な音楽をつけないことで、観客は映像に集中し、想像力を働かせる。また、音楽を流さないことは、映像にドキュメンタリーのような真実味と臨場感を与える効果もある。それだけに、厳選された場面に流れる音楽の役割は重要である。
 1曲目の「仮想都市OZ」は、冒頭のOZの世界の描写に流れるエレクトロニカ系の電子音楽。映画は時計のクリック音から始まるが、そのクリック音も音楽の一部として作りこまれているのが特徴だ。時計の音から始まるのは細田監督のオーダーだったという。時計の音と音楽のリズムが微妙にずれながら重なり、ポリリズムのような展開になる。現実から電脳世界へ入っていく感覚が音楽で表現されている。
 トラック2の「Overture of the Summer Wars」は、映画のオープニングを飾る序曲。メインタイトルから、健二と夏希が電車で上田市へ向かう描写とメインスタッフのクレジットが交互に映し出されるモンタージュの場面に流れ続ける。本編の始まりと旅の高揚感を表現する軽快で華やかなオーケストラ曲だ。たたみかけるようなリズムと金管のきらびやかな音は、ハリウッドのミュージカル作品を思わせる。コンサートなら、序盤から盛り上がり必至のナンバーである。
 曲の躍動感に耳を奪われてしまうが、オープニング映像を注意深く観ると、セリフのある場面ではメロディを抑えめにし、クレジットが表示される場面には曲のフレーズの切れ目を合わせて、映像と音楽を絶妙にシンクロさせていることがわかる。
 トラック3「陣内家」は、陣内家に一族がぞくぞくと集まって来る場面に流れるオーケストラ曲。弦楽器中心に奏でられる軽やかな舞曲風の曲である。にぎやかで、ちょっとユーモラスな香りもある。これも、コンサートなら楽しく盛り上がる曲だ。
 次の「侘助」は、陣内一族の中で孤立している青年・侘助の登場場面に流れる、静かな緊張感ただよう曲。何か起こりそうな予感をはらんだ曲だ。劇中ではうっすらと、ほとんど聴こえないくらいの音量で流れている。音楽というより、空気感を演出するSE的な楽曲である。
 健二が携帯電話に送られてきた暗号を解く場面の淡々としたピアノとシンセの曲「2056」、一夜明けて、OZの異変に健二たちが気づく場面のリズム主体のエレクトロニカ「愉快犯」。どちらも明快なメロディを持たず、サウンドで不安感や焦燥感を表現する。盛り上げすぎず、説明しすぎない音楽が、何が起こっているのかわからないとまどいと混乱をうまく表現している。
 トラック7「KING KAZMA」は、OZの世界のバトルを描写するデジタルミュージック。前半はハウスミュージック、後半はデジロック風。OZの格闘ゲーム・チャンピオン、キングカズマが陣内一族の少年・佳主馬(かずま)のアバター(分身)であることが明らかになる場面だ。コンサートだと、打ち込みのシンセの音とバンド演奏で再現することになるだろうか。
 トラック9「栄の活躍」は中盤のクライマックスの曲。夏希の祖母であり、陣内家の当主である栄が、現実世界の混乱を収集しようと、古くからの知り合いに連絡して奮闘する場面に流れる。ピアノと弦のピチカートを主体にしたメインテーマのアレンジ曲である。モチーフは、もともと健二のがんばりをイメージして作られたメロディ。それが、音楽を作るうちに、陣内家全体、人類全体のがんばりを表現するテーマになっていった。このモチーフが、このあと、さまざまに形を変えて登場し、クライマックスになだれこんでいくのが本作の音楽の聴きどころである。
 トラック10「陣内家の団結」は、ラブマシーンとの対決の準備が進む場面に流れるミニマル・ミュージック風の曲。ミニマル・ミュージックは監督からのオーダーだったという。「いざ合戦!」という場面だから、もっとメロディアスで盛り上がる曲でもおかしくないところだが、ここではメロディのない、リズム主体の音楽が採用されている。
 シンセのパーカッションで「合戦」の雰囲気をかもしだしつつ、ユーモラスな香りもただよわせる。ずっと同じ曲調のようでいて、次々と参戦するキャラクターに合わせて音色を変化させる凝ったアレンジ。異なる音色がしだいにひとつに重なることで、健二と陣内家の人々が力を合わせていくさまを表現している。
 この場面、健二たちの合戦準備の裏では、急死した栄の通夜の準備が進められている。音楽をニュートラルな曲調にしたのは、ひとつの感情に寄せない意図があるはずだ。
 トラック11「戦闘ふたたび」は、OZの世界でのラブマシーンとキングカズマの死闘を彩るバトル曲。重厚なリズムと緊迫感に富んだメロディ。ここは、正統派のバトル音楽でスリルとサスペンスを盛り上げていく。松本晃彦の持ち味がよく出た楽曲だ。コンサートで演奏されたら客席が熱くなるに違いない。
 次の「崩壊」はラブマシーンの反撃による危機を描写する不気味な曲。ムソルグスキー「はげ山の一夜」のような音型が現れて恐怖感をあおる。
 トラック13の「手紙」は、栄の遺した手紙が読み上げられる場面に流れるピアノ曲。松本晃彦によれば、どういうふうに作るか、もっとも悩んだのがこの曲だったそうだ。悲しみにはさまざまな深さがあり、それを描写する音楽にもさまざまなスタイルがある。結果、採用したのが淡々としたピアノの曲。悲しみを受け止めきれない心の揺れ、じわじわと込み上げる切なさがうまく表現されている。コンサートでは、ピアノの独奏で観客の心をつかむハイライトになりそうな曲である。
 「手紙」の場面を受けて流れ始めるトラック14「陣内家の団結」はメインテーマの弦合奏を主体にしたアレンジ曲だ。ラブマシーンとの決戦を前に、健二と陣内家の人々がそろって食事をする印象深い場面。もともとは、このアレンジを「栄の活躍」の場面のために用意していたが、細田監督が曲を入れ替えた。映画がクライマックスに近づくにしたがって、メインテーマのアレンジも大きくなっていく。映画全体の音楽設計を考えての采配である。
 トラック15「1億5千万の奇跡」は、序曲、メインテーマと並ぶ、本作の音楽の聴きどころ。夏希のアバターが世界中の人々の協力を得てパワーアップし、変身する場面に流れる、児童合唱がフィーチャーされた美しい曲である。
 松本晃彦が最初の打ち合わせで「この映画の中でいちばん大事な曲がかかる場所は?」とたずねたところ、細田監督から「このシーンです」と答えが返ってきた。「声」を使った曲というのも細田監督からの希望だったそうだ。
 松本晃彦は最初、変身のカットに細かく合わせたシンクロ・スコアを書いたが、監督からNGが出て作り直すことに。細かい画合わせにこだわらず、大きなゆったりしたメロディの曲にすることで、シーン全体がひとつにまとまった。本編の中でも、ひときわ感動的な見せ場である。
 個人的には、コーラスを担当しているのが、『海のトリトン』や『銀河鉄道999』の主題歌に参加している杉並児童合唱団(もちろんメンバーは異なるが)であるのがツボだった。『サマーウォーズ』の音楽がアニメソングの歴史を受け継いでいるようで、ちょっとうれしい。コンサートでも杉並児童合唱団の生歌が聴けたら最高だ。
 小惑星探査機「あらわし」落下のサスペンスを描写する「最後の危機」をはさんで、トラック17「The Summer Wars」が登場。健二の最後の奮闘を描写するメインテーマである。劇中に登場するメインテーマの変奏の中でも最大規模のオーケストラで演奏される。音楽的クライマックスと映画のクライマックスが重なり、もっとも盛り上がるところだ。コンサートでも最大の盛り上がりになるナンバーだろう。
 アルバムの最後を飾る「Happy End」はラストシーンに流れる曲。観客が幸福な気持ちで映画館を出られるように、音楽的にも最大限のサービスをして送り出したい。そんな気持ちが詰まった大団円の曲だ。
 この曲と同じメロディが、序曲「Overture of the Summer Wars」の終盤にも使われている。「大家族の曲」として書かれたモチーフである。序曲が流れる場面では大家族の一員ではなかった健二が、終曲が流れるときには家族として迎えられている。音楽を対比することで、関係性の変化が意識される。これも、周到な音楽設計と呼べるだろう。
 作品では、このあと山下達郎の歌が流れて終幕となる。コンサートではどういう趣向になる予定だったか定かでないが、オーケストラの生演奏で締めくくっても十分、満足できる内容だったと思う。

 本作の音楽について、松本晃彦はこうふりかえっている。歌モノ出身の作家としては1曲1曲に強いインパクトを求めてしまいがちだが、本作では、監督の采配のおかげで、作品の中の楽曲の構成のしかた、音楽の印象を、これまでと変えることができた。音楽家としての新しい切り口が見いだせた、と。
 本作の音楽をフィルムコンサート(シネマコンサート)で再現できれば、個々の楽曲の魅力とともに、全体の音楽設計の妙も伝えられたのではないか。作品の中では聴き取りづらい楽器の音色やメロディも、コンサートならくっきりと聴こえるはずだから。幻に終わったコンサートが、いつか実現することを願いたい。

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