新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 92
吉浦康裕の世界


 2017年4月29日(土)に開催するオールナイトは「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 92 吉浦康裕の世界」。3年ぶりの吉浦康裕監督作品の特集だ。

 今回は『ペイル・コクーン』『イヴの時間』『アルモニ 』『サカサマのパテマ』、そして、「日本アニメ(ーター)見本市」の『POWER PLANT No.33』『ヒストリー機関』『機動警察パトレイバーREBOOT』(いずれも短編)を上映。長編・短編おりまぜて全7本のプログラムとなった。意欲作揃いの吉浦監督作品を劇場で堪能していただきたい。

 トークのゲストは勿論、吉浦康裕監督を予定。前売り券は新文芸坐とチケットぴあで3月25日(土)から発売となる。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 92
吉浦康裕の世界

開催日

2017年4月29日(土)
開場:22時30分/開演:22時45分 終了:翌朝5時15分(予定)

会場

新文芸坐

料金

一般2600円、前売・友の会2400円

トーク出演

吉浦康裕、小黒祐一郎

上映タイトル

『日本アニメ(ーター)見本市/POWER PLANT No.33』
『同/ヒストリー機関』
『同/機動警察パトレイバーREBOOT』
『ペイル・コクーン』
『イヴの時間 オリジナル版』
『アルモニ 』
『サカサマのパテマ』

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第507回 先生の話〜「受け入れる」の姿勢

・画用紙をはみ出すように構図するべし!
・必ず絵の具を2色混ぜて、一筆塗ったらまた2色混ぜる。これを最後まで繰り返すべし!

 前回の続きで、これが小4の頃の担任コジマ先生流絵画術です。今思うとメチャクチャ単純な話で、「そんなん当たり前じゃん」「何を今さら」と思われた方も多いのでは? ただ、それまで誰からも絵を習った事がなくて小3まで図画工作はパーフェクトの成績だった板垣にとっては、正直「若干面倒くさい指示」でした。しかし、

俺は「騙されたと思って一度はやってみる性格」

とりあえず言われたとおり、はみ出させて、コツコツ混ぜて塗ってみたら驚きました。それまで周りから褒められたどの絵より巧く描けたんです! 当時コジマ先生ご自身からも「すばらしい!」と大変褒められました。その時の話を同窓会でコジマ先生にすると、

と懐かしそうに話されました。色塗りはともかく、「はみ出す構図」はそのままアニメでも活きてます。俺のコンテで、寄りは寄りでも、はみ出すくらいの寄りが多いのは、「はみ出す=迫力が出る!」というコジマ先生の刷り込みによるものが大きいのでしょう。そして、この方程式を知った自分のアンテナに、出崎統監督作品がひっかかったわけです。

フレームからはみ出すほどのド寄りに、
塗りムラこそが迫力を出す「止め(ハーモニー処理)」
ね? 出崎作品でしょう!

 で、先生に「今、自分が取り組んでいる新人育成」の相談。「何度言っても遅刻・無断欠勤する社員に手を焼いている」と。すると先生

 先生はやっぱりいつまでも先生でした。ありがとうございました!!

第102回 躍動とリリシズムの魔術師 〜長靴をはいた猫〜

 腹巻猫です。SOUNDTRACK PUBレーベル最新作「渡辺宙明コレクション ガードドッグ/おーい!太陽っ子」が3月22日に発売されます。渡辺宙明が手がけた幻のレア作品をカップリング。当面はAmazonの販売はなく、ディスクユニオン、神保町タクト、ARK SOUNDTRACK SQUARE専売となります。今なら渡辺宙明直筆サイン入りジャケットサイズカードつき!(なくなり次第終了) ぜひご利用ください。

「渡辺宙明コレクション ガードドッグ/おーい!太陽っ子」
ディスクユニオン
http://blog-shinjuku-movie.diskunion.net/Entry/3176/
http://diskunion.net/portal/ct/detail/1007348174

神保町タクト
http://www.tacto.jp

ARK SOUNDTRACK SQUARE (「ガードドッグ」で検索ください)
http://www.arksquare.net/jp/index_main.html


 第89回アカデミー賞はミュージカル「ラ・ラ・ランド」が監督賞、作曲賞、歌曲賞などを受賞。作品賞こそ逃したものの、最多6部門の栄冠に輝いた。往年の名作ミュージカルを現代のセンスと技術でアップデートしたような、「映画の魔法」にあふれた魅惑的な作品だ。
 『アナと雪の女王』(2013)の例があるように、劇場用アニメーションにはミュージカル仕立てのものが少なくない。黎明期の日本の劇場アニメも同様だった。東洋のディズニーを目指した東映動画(現・東映アニメーション)が1950〜70年代に送り出した劇場作品には、ミュージカル仕立ての場面がたびたび登場する。
 今回はミュージカルシーンが印象深い『長靴をはいた猫』を紹介したい。
 『長靴をはいた猫』は1969年公開。シャルル・ペローの原作を井上ひさしと山元護久が脚色し、矢吹公郎が監督を務めた。作画監督は森康二。原画に大塚康生、小田部羊一、宮崎駿、大工原章ら。美術は浦田又治と土田勇。大スクリーンに映えるレイアウトと作画・美術がすばらしい。ギャグ監修としてクレジットされているのが「怪人オヨヨ」シリーズで知られる作家・コラムニスト・映画評論家の中原弓彦(小林信彦)。全編ユーモアにあふれた、「まんがえいが」の面白さを満喫させてくれる作品である。主人公のペロは現在も東映アニメーションのマスコットキャラクターとして使用されている。
 矢吹公郎は本作に先立つ本格的なミュージカル劇場アニメ『アンデルセン物語』(1968)の監督も担当している。このときの脚本も井上ひさしと山元護久。井上と山元は両作品の主題歌・挿入歌の作詞も手がけた。井上ひさしと山元護久といえば、ミュージカル仕立てのTV人形劇「ひょっこりひょうたん島」(1964-1969)で子どもたちを魅了した作家。それを買われての起用だった。

 「ひょっこりひょうたん島」から『アンデルセン物語』と『長靴をはいた猫』に参加したスタッフがもう1人いる。音楽を担当した宇野誠一郎である。
 宇野誠一郎は1927年生まれ、兵庫県出身。早稲田大学文学部仏文科卒業。幼少時からピアノを習うが、小学3年生のとき中断。その後独自に勉強を続け、早大に進学してから池内友次郎と安部幸明に師事して作曲を学んだ。作曲の道に入ったのは、身体が悪く、どうせ死ぬなら好きな音楽をやって死のうと思ったからだという。
 大学在学中から自由舞台やテアトル・ブッペなどの舞台音楽を手がけた。ラジオ番組の仕事を経てTVにも進出。NHKのTV人形劇「チロリン村とくるみの木」(1956-1964)、「ひょっこりひょうたん島」(1964-1969)、「ネコジャラ市の11人」(1970)で人気を博した。NHKラジオドラマ「モグッチョチビッチョこんにちは」(1962)で作家の井上ひさしとと出会い、以降、コンビで多くの作品を作っている。井上ひさし主宰の劇団こまつ座の舞台音楽も大半を手がけた。
 アニメでは、劇場アニメ『少年ジャックと魔法使い』(1966)、『アンデルセン物語』(1968)、『長靴をはいた猫』(1969)、『アリババと40匹の盗賊』(1971)、『ながぐつ三銃士』(1972)、『長靴をはいた猫 80日間世界一周』(1981)、TVアニメ『W3』(1965)、『悟空の大冒険』(1967)、『ムーミン』(1969/1972)、『アンデルセン物語』(1971)、『ふしぎなメルモ』(1971)、『さるとびエッちゃん』(1971)、『山ねずみロッキーチャック』(1973)、『小さなバイキング ビッケ』(1974)、『一休さん』(1975)などで主題歌と音楽を担当。日本の劇場・TV音楽史を語る上で忘れてはならない作曲家である。惜しくも2011年に逝去している。
 宇野誠一郎作品の特徴は、意表をついたメロディラインと思わず体をゆすりたくなるリズム。いっぽうで、TVアニメ『アンデルセン物語』のエンディング主題歌「キャンティのうた」などで奏でられるリリカルな旋律も大きな魅力だ。感情を煽るような曲調ではないのに、聴いていると泣きたくなってしまう。「心の琴線にふれる」とはこういう曲のことを言うのだろう。
 『長靴をはいた猫』はそんな宇野誠一郎の持ち味が生かされた作品。「まんがえいが」の醍醐味がたっぷり詰まった本編を、楽しい曲、美しい曲が彩っている。
 残念ながら本作は単独のサントラアルバムは発売されていない。レコードとしては公開当時発売された4曲入りコンパクト盤と1979年に発売された2枚組ドラマ編LPがあるだけ。1996年に発売された10枚組CD-BOX「東映動画長編アニメ音楽全集」の1枚として、ようやく音楽集がリリースされた。
 しかし、東映ビデオから発売されているDVDには音声特典としてミュージックトラックが収録されているので、こちらで劇中に流れた音楽をすべて聴くことができる。
 CD-BOX版の収録曲は以下のとおり(構成と解説は中島紳介)。

  1. オープニング〜裏切り者ペロ
  2. 主題歌「長靴をはいた猫」
  3. ペロとピエール
  4. 3匹の殺し屋
  5. さあ、出かけよう
  6. 挿入歌「友達」(「はなれられない友だちさ」)
  7. ローザ姫の花婿候補
  8. 我こそは魔王ルシファ
  9. 挿入歌「幸せはどこに」
  10. 挿入歌「ネズミたちの行進」
  11. ペロをさがせ!
  12. 白薔薇のプリンス
  13. ペロ、一計を案ず
  14. 挿入歌「カラバ様万歳!」
  15. 不安を胸に
  16. ピエールの告白
  17. 魔王激怒す
  18. 急げピエール
  19. 魔法七変化
  20. 塔の上の姫君
  21. ペンダント争奪戦
  22. ローザ姫を救え!
  23. ピエールとローザ姫
  24. 楼閣の大混戦
  25. 魔王の焦り
  26. 朝陽よ!
  27. 大団円〜エンディング:主題歌「長靴をはいた猫」

 猫の掟を破ってネズミを助けたために裏切り者として殺し屋に追われることになったペロ。ペロの境遇とキャラクターを紹介するアバンタイトルの曲「オープニング〜裏切り者ペロ」に続き、ペロのテーマでもある主題歌「長靴をはいた猫」が流れる。
 歌い出しからキャッチー、一度聴いたら耳から離れない名曲だ。歌うはペロ役の石川進。アニメファンなら、いや、アニメファンならずとも、『オバケのQ太郎』(1965)、『パーマン』(1967)、『ウメ星殿下』(1969)、『ど根性ガエル』(1972)等の主題歌で記憶に刻まれている歌手である。ユーモアとペーソスを感じさせる表情豊かな歌唱がすばらしい。ペロ役としても主題歌歌手としてもこれ以上はないハマりようだ。
 2人の兄に冷遇される農家の息子・ピエールとペロが出逢い、旅に出る。そのとき流れるのがペロとピエールがデュエットする「はなれられない友だちさ」(CDでは「友達」のタイトルで収録)。歌うは石川進とピエール役の藤田淑子だ。
 藤田淑子もまた、アニメファンには忘れられない歌手・声優である。歌手としては『キングコング』(1967)、『どろろ』(1969)、『ムーミン』等の主題歌を歌い、声優としては、『一休さん』(1975-1982)、『がんばれ元気』(1980)、『キテレツ大百科』(1988-1996)、『デジモンアドベンチャー』(1999)等の主役でおなじみ。『CAT’S・EYE』(1983)の長女・泪役、『ロミオの青い空』(1995)のアルフレド役も忘れがたい。
 藤田淑子は1968年の劇場アニメ『アンデルセン物語』でも主人公のハンスを演じ、主題歌・挿入歌を披露している。本作では勇敢で正義感の強い青年ピエール役。歌はこの1曲だが、爽やかな声と達者な歌唱力に聴き入ってしまう。歌の途中、ペロとピエールのセリフ風のかけ合いが入る。2人の友情が感じられるミュージカルシーンならではの演出だ。
 この歌は次のローザ姫の歌のシークエンスのあとにペロのソロでもう一度歌われている。
 悪い魔王ルシファ(小池朝雄)がローザ姫を見初め、求婚する。ローザ姫は断るが魔王は聞き入れない。ローザ姫がまだ見ぬ恋人を想って城のバルコニーで歌う歌が「幸せはどこに」。可憐なローザ姫にふさわしいロマンティックな曲で、本作のサブテーマとも呼べる旋律である。
 歌はローザ姫役の榊原ルミ(現・るみ)。本作の2年後に「帰ってきたウルトラマン」のヒロイン・坂田アキ役で子どもたちの前に登場する。歌手は本業ではないけれど、初々しい歌い方がローザ姫の心情を表現する歌にぴったりだ。数ある東映動画の劇場アニメの挿入歌の中でも、際立って心に残る曲のひとつである。
 ペロの策略でピエールの衣装を手に入れるためにネズミたちが行進しながら歌う歌が「ネズミたちの行進」。主題歌「長靴をはいた猫」の替え歌である。ネズミらしく語尾を「チュー」に変えて歌っているのが楽しい。
 歌はCDのクレジットでは水垣洋子とボーカル・ショップ。劇中ではネズミたちの父親の声で熊倉一雄が加わっている。Wikipediaにはネズミたちの父親の声は「すべての資料で熊倉一雄と書かれているが実際の声優は辻村真人」とあるが、この歌だけは熊倉一雄の声である。歌は熊倉一雄でプレスコ収録されたが本編のアフレコは違ったという可能性もある。
 ペロがピエールを花婿として売り込むために王様とローザ姫に聴かせる歌が「カラバ様万歳!」。劇中ではネズミたちが蓄音機にかけたレコードで歌を流す演出になっている。歌はボーカル・ショップとトリオ・ポワンの混声コーラス。たたみかけるような曲調と繰り返しの多い歌詞で「カラバ様」が印象づけられるしかけだ。
 王様の城にカラバ侯爵として迎えられたピエールは、噴水のそばでローザ姫と語らううちに、心苦しくなって自分の正体を明かしてしまう。その場面に流れるのが「幸せはどこに」の女声コーラスによる変奏曲。CDにクレジットはないが歌はトリオ・ポワンだろう。画面ではムードを盛り上げるためにペロの指揮でネズミたちが歌っているという演出。
 肩を落とすピエールに「身分なんかどうでもいいの。あなたが必要なの」と語りかけるローザ姫。「幸せはどこに」のメロディからローザ姫の気持ちが伝わってくる。
 以降、物語はローザ姫をさらった魔王とピエール、ペロとの対決を描くアクションが中心となり、ミュージカルシーンは登場しない。もう少し尺があれば、ピエールとローザ姫のデュエットや、ペロを追う殺し屋猫の歌、魔王ルシファの歌なども聴きたかったと思うが、それはないものねだりだろう。
 それでも本作のミュージカルシーンはどれも効果的で心に残る。クライマックスでピエールとローザ姫が塔の頂上をめざす場面の曲「朝陽よ!」とすべてが終わって2人が抱き合う場面の曲「大団円」は、「幸せはどこに」のアレンジBGM。観客の耳にはローザ姫の歌が残響のように聴こえてくる。それだけ、ミュージカルシーンが劇中に溶け込んでいるのである。
 ラストシーン。ピエールとローザ姫の幸せを見届けたペロはふたたび旅に出る。主題歌「長靴をはいた猫」が流れる心躍る幕切れだ。

 CD-BOX「東映動画長編アニメ音楽全集」の解説書所収のインタビューで、宇野誠一郎は、劇場アニメでは「情緒よりもリズム感、動感を基本に置いた作曲をしようと思った」と語っている。動きに音楽を合わせるだけではなく、逆に音楽を合わせやすい絵を作ってほしいという提案もしたが、絵のスケジュールが間に合わなくなり、満足のいく形では実現しなかった。宇野誠一郎のアニメ音楽に対する考え方を知ることができる興味深いインタビューである。
 実際、宇野誠一郎のアニメ音楽を聴いていると、映像以上に音楽のほうがアニメっぽい印象を受けることがある。躍動的という言葉では足りない。ダンス音楽とも違う。動きの快感が音楽からあふれているような感じ。人間の根源的な衝動や悦びに根差した、体の奥から律動がわいてくるような音楽だ。
 その動的な音楽と、リリカルなメロディが同居しているところが、宇野誠一郎作品の魅力である。心の奥にある大切な場所にそっと触れてくるような旋律。「ムーミンのテーマ」や「キャンティのうた」や「ふしぎなメルモ」などを聴いていると、なぜだかわからないけど、胸の奥がきゅっとしてじっとしていられない気分になる。子ども心に、この宇野メロディに心をとらわれた人は多いだろう。
 『長靴をはいた猫』には、宇野誠一郎音楽の魅力が詰まっている。作品とともに何度でも聴いて、何度でもわくわくし、何度でもため息をつきたい。そんな名作である。
 宇野誠一郎の作品をまとめて聴きたい向きには、ウルトラヴァイブから発売されている「宇野誠一郎作品集」がお奨めだ。第3集まで発売されているが、アニメソングの主要曲は第1集にほぼ網羅されている。

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宇野誠一郎 作品集

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宇野誠一郎 作品集 II

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宇野誠一郎 作品集 III

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第129回アニメスタイルイベント
ANIMATOR TALK 亀田祥倫

 2017年4月2日(日)に「第129回アニメスタイルイベント ANIMATOR TALK 亀田祥倫」を開催する。
 『モブサイコ100』『ワンパンマン』などで知られるアニメーターの亀田祥倫が主役となるトークイベントだ。今までの作品や、仕事に関しての考えなどについてたっぷり語っていただく。もう一人のゲストは『デス・パレード』『モブサイコ100』で監督を務めた立川譲。肩の凝らない楽しいイベントになるはずだ。
 なお、今回のイベントでは、来場者全員に「亀田さん入魂! のプレゼント」を用意する。どんなプレゼントかは当日までのお楽しみだ。

 会場は阿佐ヶ谷ロフトA。今回もトークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する予定だ。前売り券については、3月22日(水)から販売となる。詳しくは阿佐ヶ谷ロフトAのサイトを見てもらいたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/animestyle

阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/62003

■参考記事
アニメーター・インタビューズ 亀田祥倫(1)『エヴァ』と今石洋之がきっかけだった
http://animestyle.jp/2014/12/08/8346/

雑誌「アニメスタイル010」(立川譲監督と彼の『モブサイコ100』インタビューを掲載)
http://animestyle.jp/news/2016/11/17/10757/

第129回アニメスタイルイベント
ANIMATOR TALK 亀田祥倫

開催日

2017年4月2日(日)
開場18時 開演19時 終演22時予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

亀田祥倫、立川譲、小黒祐一郎

チケット

1800円(飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第506回 同窓会と先生


と、小学生の頃の自分に檄を飛ばしたコジマブンゾウ先生に30数年振りにお会いでき、感激しまくりの同窓会でした。久しぶりにクラスメイトに会えるのはもちろん楽しみだったけど、事前にT君より「コジマ先生がご出席される」とメールがあった時は、俺も「何が何でも出席するぞ!」と。で、75歳になられた先生は

精悍だった昔とは打って変わって温厚な雰囲気を放たれてました。多少細かい話を挟むと、自分にとってコジマ先生は小学4年生の時の担任で、5・6年生では板垣は1組でコジマ先生は2組の担任(玉川小は各学年2クラス)。よって卒業時が基準の今回の同窓会では、気持ち離れたところから先生を見ていようと思っていたのですが、なぜか先生と隣り合わせの席に座る事になってしまい緊張! そして先生は色々お話してくださり、30年前の思い出が次々と蘇ってきたんです。「どきなさい、どきなさい! 危ないからどきなさい!」と生徒たちをかき分けてドリブルして、あさっての方向へ大シュートするコジマ先生。板垣が上級生と殴る蹴る噛みつくの大喧嘩をした時は、仲裁に入ってくださったコジマ先生。その大泣きしてた俺を指してまわりの生徒らに「見なさい!! 自分より強い相手とばかり喧嘩する伸みたいなヤツが本当に強いんだ!」と励まして(?)くださったコジマ先生。運動会の退場式でクラスメイトと殴り合いの大喧嘩してた時(喧嘩ばっか……)は、すでに退場したはずの姉が門から戻ってきて、俺を引っ張ってムリヤリ退場。それを見て「伸はいい姉さん持っとる!」と感心してたコジマ先生。
 中でも板垣がいちばん影響を受けたのは「画の描き方」でした。小学校の先生なのでなんでも教えるわけですが、どう見ても体育会系のコジマ先生はなぜか図画工作の授業、特に「画」にうるさかったんです。小4当時の「コジマ流絵画術」はごく単純な2点(基本水彩です)。

・画用紙をはみ出すように構図するべし!
・必ず絵の具を2色混ぜて、一筆塗ったらまた2色混ぜる。これを最後まで繰り返すべし!

今思い返すと、アニメの仕事にも通じてる内容なので、次週に続きます。ここんとこ仕事が忙しくて長く書けず申し訳ありません! 今度挽回します(汗)。

第505回 また同窓会

先週末、今度は名古屋市立玉川小学校の同窓会に行ってきました!
声をかけてくれた友人たちに感謝です!

 もちろん、昨年の11月に催された名古屋市立昭和橋中学校の同窓会と参加者が一部被るわけですが、こーゆーのは何回やっても楽しいモンです、理屈抜きで。玉川小は各学年2クラスなので、自分らの代は全員で卒業時77名で、今回30名集まったというのは、そこそこの出席率かと。昭和橋中の同窓会に欠席だった人などは30数年振りとか。ホント皆いい顔してました! あとやっぱり、当時のまま

と呼んでくれるのは嬉しいやら恥ずかしいやら。そもそも俺は、自分の「伸」という名前があまり好きではなかったんです。だって呼び捨てで「しん!」だと余程力を入れないと聞き取りづらいわ呼びづらいわ、電話で何度も聞き返されるわ。で、周りの友人は「しんくん」、家族は「しんちゃん」だったり、何かとガキっぽさがつきまとうから。ただ、この歳になると若返った感じで嬉しく思えるようになりました。
 そして、今回の目玉は玉川小の恩師・コジマブンゾウ先生がご出席される事でした!

第101回 官能のステージミュージック 〜真マジンガー 衝撃!Z編〜

 腹巻猫です。3月4日に渋谷で開催された「渡辺宙明スペシャルコンサート」、すばらしかったです。トランペットにエリック・ミヤシロ、トロンボーンに中川英二郎という日本最高峰の奏者を迎えたオーケストラの演奏に大興奮でした。その興奮冷めやらぬ3月12日に「渡辺宙明トークライブPart10」が阿佐ヶ谷ロフトで開催されます。SOUNDTRACK PUBレーベル最新作「渡辺宙明コレクション ガードドッグ/おーい!太陽っ子」の先行販売もあり。コンサートの余韻を胸に、ぜひご来場ください!

「渡辺宙明トークライブPart10 〜宙明サウンドのディープな世界〜」
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/58961


 「渡辺宙明スペシャルコンサート」でも大きくフィーチャーされていた渡辺宙明の代表作『マジンガーZ』。その原作を再び映像化した作品が2009年にTVアニメとして制作されている。2009年4月から9月まで全26話が放送された『真マジンガー 衝撃! Z編』である。
 監督は『機動武闘伝Gガンダム』(1994)、『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』(1994-1998)、『鉄人28号』(2004)等を手がけた今川泰宏。デザインや雰囲気は永井豪のマンガ版『マジンガーZ』に寄せつつも、独自の設定を多数盛り込み、誰も観たことがないストーリーを展開した意欲作だった。
 本作には1972年の元祖TVアニメ版『マジンガーZ』の影はない。音楽も変わった。音楽を担当したのは宮川彬良。『宇宙戦艦ヤマト』で知られる宮川泰の息子である。
 宮川彬良は1961年、東京生まれ。音楽一家に育ち、東京藝術大学音楽学部作曲科に進む。在学中から東京ディズニーランドのショー音楽などを手がけてプロとして活躍。学業より仕事が忙しくなって大学は中退してしまう。この頃に宮川彬良の仕事を手伝い、東京ディズニーランドの仕事を引き継いだのが、同じ東京藝術大学の後輩・佐橋俊彦だった。
 宮川彬良は高校生時代から父の『宇宙戦艦ヤマト』の音楽作りも手伝っていた。『さらば宇宙戦艦ヤマト』のパイプオルガンの演奏をした話はヤマトファンの間では有名だし、いくつか曲も提供している。
 が、宮川彬良は父のように歌謡曲や映画・TV音楽を主な仕事の舞台にはしなかった。彬良が選んだのはミュージカルなどの舞台・ショー音楽の世界。彬良は舞台音楽の第一人者としてメキメキと頭角を現していった。2004年には松平健の公演用に書いた「マツケンサンバII」が大ヒット。宮川彬良本人もTVやステージへの露出が増え、父ゆずりのサービス精神にあふれたトークとパフォーマンスを見せる機会が多くなった。近年は吹奏楽コンサートやサックス奏者・平原まこととのデュオによる「ふたりのオーケストラ」コンサートなど演奏活動も精力的に行っている。
 アニメの仕事では『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』(1992)、『星のカービィ』(2001)、『風の少女エミリー』(2007)などを手がけた。そして、2012年に『宇宙戦艦ヤマト2199』の音楽を担当。現在は『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の音楽を担当しているのはアニメファンならご存知のとおり。

 宮川彬良のアニメ作品の中でも『真マジンガー 衝撃!Z編』はちょっと意外な印象を受ける作品である。なにより、元祖『マジンガーZ』の渡辺宙明の音楽のイメージが強すぎて分が悪い。が、無心に聴いてみると、これはこれでいい。渡辺宙明とは別のアプローチによる、独自の魅力を持った作品になっている。
 筆者は本作の放送前に、宮川彬良に本作の音楽について聞いてみたことがある(正式の取材ではなくて、宮川彬良が出演したライブハウスの楽屋でだった)。そのとき、宮川彬良は面白い話をしてくれた。
「自分も子どもの頃に『マジンガーZ』を観ていて、渡辺宙明先生の音楽は印象に残っている。宙明先生の音楽はちょっとエロい。そのエロい感じを自分の音楽にも忍ばせてみた」
 「エロい」ではなく「色気がある」という表現だったかもしれない。とにかく、そんな意味のことを語ってくれた。
 たしかに渡辺宙明の音楽にはある種の官能性がある。その官能性に着眼して新しい『マジンガーZ』の音楽を紡いだというのだ。
 宮川彬良のちょっとエロい『マジンガーZ』。これは聴いてみたいではないか。
 本作のサウンドトラック・アルバムは、2009年6月に「TVアニメ『真マジンガー 衝撃!Z編 on television』オリジナルサウンドトラック Vol.1」が、2009年10月に同「Vol.2」が、ランティスから発売されている。
 Vol.1から紹介しよう。収録内容は以下のとおり。

  1. 全能なる者
  2. 感じてKnight(TV size)(歌:ULTIMATE LAZY for MAZINGER)
  3. 戦士たちのレクイエム
  4. 敵軍侵攻!
  5. 迎撃戦線
  6. 兜甲児は止まらない!!
  7. 兜甲児は止まらない!!(リズムバージョン)
  8. バードス島
  9. ブロッケン・ワルツ
  10. 暗黒寺
  11. 兜十蔵
  12. 兜シロー
  13. 兜シロー(リズムバージョン)
  14. 錦織つばさ
  15. シュトロハイム
  16. くろがね屋の野郎ども
  17. それぞれの闘い
  18. 緊迫感
  19. Dr.ヘルの脅威
  20. Dr.ヘル
  21. 困惑と謎
  22. 危機感
  23. 響き止まぬ行軍歌
  24. 立ち上がれ、怒りと共に!!
  25. 進軍!ブロッケン伯爵
  26. Hurry UP!
  27. 出撃!パイルダー!!
  28. 燃えよ闘志!!
  29. 侵略作戦
  30. 漆黒の翼
  31. Brand new world(TV size)(歌:麻生夏子)

 2曲目と31曲目がオープニング&エンディング主題歌。主題歌の作曲は宮川彬良ではない。
 1曲目の「全能なるもの」は、マジンガーZがジェットスクランダーと初めて合体するシーンや科学要塞研究所が姿を現す場面に流れた短い曲。この曲がプロローグとなり、主題歌につながる。マジンガーZの無敵のパワーを強調する導入部である。
 主題歌が終わると、女声ボーカルとチェンバロがフィーチャーされたクラシカルな「戦士たちのレクイエム」が流れる。第2話の冒頭シーンや第3話でマジンガーZがブレストファイヤーを放つシーンで流れた曲である。最終話ではDr.ヘルが古代ミケーネ人を虐殺する回想場面に選曲された。マジンガー軍団とDr.ヘルとの壮絶な死闘を彩る曲だ。
 この1曲で、「元祖『マジンガーZ』とは音楽もまったく別物」という印象が際立つ。オペラ的なイメージの、宮川彬良らしい曲である。
 トラック4「敵軍侵攻!」にも宮川彬良の独自性が発揮されている。敵の侵攻を描写するサスペンス音楽だが、ギターとベースが刻むリズムは軽快で、思わず体をゆすりたくなるような高揚感がある。
 トラック6「兜甲児は止まらない!!」は軽快なファンク・ロック風の曲。アクション曲ではあるが、この曲も踊りたくなるようなダンサブルな曲調に仕上がっている。
 トラック27「出撃!パイルダー!!」も同様の雰囲気の曲。マジンガー出撃シーンなどによく使われたメインのアクションテーマだが、テンポはミディアムに近く、スピード感よりもダンスミュージック的な躍動感が感じられる。
 本作の音楽を代表する曲と呼べるのが、トラック9「ブロッケン・ワルツ」である。タイトルどおり、3拍子のワルツの曲だ。
 「『マジンガーZ』にワルツ!?」と意表をつかれるが、これがDr.ヘルとあしゅら男爵の登場シーンやマジンガーZ対機械獣の戦いの場面などに選曲されて、抜群の効果をあげている。緊迫した戦いの場面が、まるで舞台の上の1シーンのように見えてくる。
 実は『真マジンガー 衝撃!Z編』の音楽には、こうしたワルツの曲やミッドテンポのダンスミュージック的な音楽が目立つのである。
 トラック12の「兜シロー」は哀愁を帯びたジンタ風。ジンタというのはサーカスや芝居小屋などの客寄せに使われた大衆音楽だ。
 トラック15の「シュトロハイム」もワルツの曲。科学者シュトロハイム・ハインリッヒがミケーネ人の伝説を語る場面や兜十蔵とDr.ヘルの回想シーンなどに流れた。最終話では、あしゅら男爵の復活の秘密が語られるバックに使用。悲劇的でありながら、どこか甘美な抒情性がある。「ブロッケン・ワルツ」とともに印象に残る曲である。
 「オリジナルサウンドトラック Vol.2」に収録された「ゴッドスクランダー」も、曲名から受ける勇ましい印象を裏切るワルツの曲だ。マジンガーZの戦闘シーンや最終話でDr.ヘルが地獄王ゴードンを駆って科学要塞研究所を襲うシーンなどに使用された。
 元祖『マジンガーZ』では、マジンガーZの出動シークエンスにマカロニウェスタン調の「Zのテーマ」が流れてパイルダーオンの場面を大いに盛り上げていたが、本作では、それに相当するようなアップテンポの疾走感のある曲は登場しない。
 代わりに、ワルツやミッドテンポのダンサブルな曲が戦闘シーンや緊迫したシーンに流れている。
 ロボットアニメ音楽でよく聴かれる、激しく荒々しいサウンドや重量感のあるサウンドも、本作ではほとんど聴かれない。アクション曲でも、軽快で洗練されたサウンドに仕上げられている。そして、ちょっと大人びた香りがする。
 これって、ロボットアニメの音楽というより、ミュージカルの音楽のようではないか。

 カット割りやカメラワークで見せる映画の音楽とステージの音楽とでは、求められるテンポやリズムが異なる。舞台で生身の人間が動いたり歌ったりするときには、足運びや呼吸といった肉体性に沿った音楽が必要だ。ワルツなどのダンス音楽はまさにそういう音楽なのである。
 そして、肉体性は官能性に通じる。ステージの上の肉体を気持ちよく動かすテンポやリズム。さらに、ブロードウェイ的な華やかさと大人の香りをまとったサウンド。これが、宮川彬良が到達した自分の音楽だったのではないだろうか。
 ジャズとロックをベースにした渡辺宙明の先鋭的な音楽とも違う。歌謡曲的な大衆性で多くの人に親しまれた父・宮川泰の音楽とも違う。
 洗練されたサウンドと官能性をあわせ持った「アキラさんの音楽」が、『真マジンガー 衝撃!Z編』には結実している。
 そんなことを意識して聴いてみると、『真マジンガー 衝撃!Z編』の音楽も、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の音楽も、宮川彬良ならではの独自の魅力を放つ作品として聴こえてくるのだ。

TVアニメ『真マジンガー 衝撃!Z編 on television』
オリジナルサウンドトラック Vol.1

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TVアニメ『真マジンガー 衝撃!Z編 on television』
オリジナルサウンドトラック Vol.2

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第128回アニメスタイルイベント
音楽演出の仕事2017

 2017年3月19日(日)にお届けするトークイベントは「第128回アニメスタイルイベント 音楽演出の仕事2017」。昨年の7月に開催した「音楽演出の仕事」の続編イベントである。

 『たまゆら』『あまんちゅ!』『デジモンユニバース アプリモンスターズ』『ドラゴンボール超』等の作品に音楽監督や選曲の役職で参加している佐藤恭野に、そのお仕事について語っていただく。どのように曲を選び、どのように映像につけていくのか。あるいは曲の編集はどのように行われているのか。アニメファンの多くが知らない「音楽演出」の世界だ。
 前回のイベントでは『あまんちゅ!』の映像を使った選曲の実演をやっていただいた。今回もそれに近しいコーナーを予定している。

 また、今回もトークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する予定だ。ただし、既存の楽曲を使った「選曲の実演」のようなコーナーは配信が難しい。興味がある方は是非とも会場に足を運んでもらいたい。

 会場は阿佐ヶ谷ロフトA。前売り券については、3月4日(土)から販売となる。詳しくは阿佐ヶ谷ロフトAのサイトを見てもらいたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/animestyle

阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/60851

第128回アニメスタイルイベント
音楽演出の仕事2017

開催日

2017年3月19日(日)
開場18時 開演19時 終演22時予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

佐藤恭野、小黒祐一郎、早川優、他

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第504回 イベントありがとうございました〜


 なんか適当にしゃべり過ぎて、お答えできなかった質問

板垣さんへの質問です。最近観たアニメの中で「これは凄い」と思った作品はありますか? 理由もあわせて教えてください

 大前提、自分の観たアニメに興味を持っていただけてる事に感謝するしかありません。本当にありがとう! で、率直に申し上げて、ここ数年まともに全話観たアニメや劇場に足を運んだアニメ、ないんです。あ、仕事で続編を手がけるなどの理由で、前作を観るとかは『ベルセルク』にしても『Wake Up, Girls!』にしても、TV・劇場とも何回も繰り返し観てますし、『劇場版 カードファイト!! ヴァンガード 〜ネオンメサイア』を作る際も、そこまでのTVシリーズは全話観て研究しました。でもそれらは仕事視点過ぎて「凄い云々」とはちょっと違うでしょう? ちなみに数年アニメ観れてないのは単純に

アニメ作りの仕事が忙しくなる一方で、暇が作れない!!

からです。決して自分らの同世代からその上の年代さんにありがちな「90年代のアニメはよかった」人間な訳ではありません! 俺はこの際だからハッキリ断言しますが

アニメなら昔の作品に限らず今の作品も、さらに面白いのからつまらないのまで、なんでも大好きなんです!

よ。だからホント、観れるモノなら観たいんです。でも観てる時間があるなら、1ページでも多くコンテを描きたいし、1カットでも多く原画を……。作らせてもらえるモノがあるうちに。
 まぁ、そんなこんなで板垣のアニメ鑑賞ライフはもっぱら仕事の合間にちょくちょく覗く動画配信ものくらいなんです。すみません、こんな残念なお答えしかできず。作家よりアニメ職人でありたい板垣なので、もう少し手が速くなって「アニメを観る時間」を作れるようになるまで少々お待ちください(汗)。そうこう言ってる間に2018年監督のお仕事が決まりそうなんですが。「それでもあえて無理矢理最近観たアニメで凄かったのは?」とアニメ様に訊かれればお答えします。

 以上です。

第503回 デジタル化でお仕事

マンガ家はお話を考えてコマ割りして画を描く人。
じゃ、アニメ監督は何する人?

 自分が中学の時から、もしかすると今でも考えてる疑問です。この連載でも折に触れて話題にしてきたと思いますが、俺自身この仕事を目指すきっかけは、出崎統監督の一言。たしか中学生の頃に読んだ「アニメージュ」の出崎監督特集でのインタビュー記事で、監督自身が「アニメにはまったきっかけ」について

初めてコンテを切った時、「これはマンガと同じだ! しかも動いて音まで付く。なんて面白い仕事だろう!」と思いました

と。正確な言い回しかはともかく、こんな内容の事を仰っていたのは間違いありません。これはマンガ家出身の出崎監督らしい素直な感想だったのでしょう。実際、小難しい哲学などを交えつつ「今の子どもたちに対して描くべきテーマが云々」とか語られるより、当時中学生だった自分には、出崎監督の言った「なんて面白い仕事」の方が余程響いたのです。だってその一言のおかげで板垣は監督をやってるのですから。90年代に向けて評価が高まっていった「アニメ文化人」監督の方々による映像・映画哲学談義に、大して傾倒しなかった自分にとって、アニメとは観念である前に実務! そう感じたから出崎監督の「描く力」に惹かれたし、アニメーターから監督になったんだと思います。

そこで監督業のデジタル化です!

 まず手始めに社内の新人たちの後を追うかたちで、去年の7〜8月から自分もデジタル作画にし、レイアウト・原画チェックをPC+タブレットでやれるようにしました。さらに10月から『ベルセルク』のコンテもデジタル化。たしか第16話(2期第4話)からですが、この時はまだ作画ツールで描いてるだけで、ただのペーパーレス化。で、今年に入ってからは本格的にデジタル絵コンテツール

「STORYBOARD PRO」を使ってコンテ切ってます!

これがいいのはコンテを描いた端からタイムラインに並んでいき、コンテが上がると同時に「コンテ撮」が終わってるトコ。もちろん賛否はあると思いますが、単純な話、音響スケジュールのために生まれた「コンテを撮影する」などという日本アニメ業界の悪癖にいつまでも費用をかけるべきですか? その他のチェック工程もデジタル化で各セクションの仕事内容を見直し、構造改革をして

ちゃんと使うべきところに費用を使った上で作品を作り、「えっ!? 今までの制作費でここまでできるの!?」と周りに思わせて、初めて「もっとよい作品を作るには〜」と前よりも高い制作費を要求できるし、現場のスタッフにも労働に見合ったギャラを出せるようになるのではないか!?

と。そこを現場に説明した上で、スタッフに「今までとちょった違った作り方になるけど、チャレンジしてみよう!」と促す。これを企業努力というんだと思います。その努力をせずに、一部の監督や有名アニメーターにだけ金が流れるのが目に見えてる会社に対して、制作費って集まるんでしょうか? だから板垣は仕事を受けるとギャラ云々より先に

とやり取りが成立するプロデューサーと仕事をしたいし、これからのアニメ制作のためにちゃんとしたプランを持った会社で作品を作りたいんです。

 あと、今のアニメ作りに窮屈を感じてるアニメ業界人の方々には「90年代のアニメ作り」を一旦忘れる事をお勧めします。実写映画の業界もそうだと思うのですが、ひねたクリエイターが「昔はよかった!」を10〜20年説いてる間に、若き天才が現れるもの。旧態依然なアニメ作りに拘る業界人の眼前に

アレ? プロのアニメクリエイターを名乗っておきながら、
コンテしか描けないんですか!?

と言って現れる新卒が業界入りしてくる近い将来が目に浮かぶんです。だって、それくらいなんでもできるアニメツールを小学生の時から触ってアニメを作って業界に入ってくるんですから! もちろん観念も育む必要はありますが、デジタル化による実務の勉強もしておかないと足元をすくわれるのでは?

第100回 光と影のヒーロー音楽 〜タイガーマスク〜

 腹巻猫です。昨年10月から放送中のTVアニメ『タイガーマスクW』のサウンドトラック・アルバムの発売日が発表されました。4月26日、キングレコードより発売。音楽は、『NARUTO疾風伝』や『FAIRY TAIL』、「プリキュア」シリーズ等で熱いバトル曲を書き続けてきた高梨康治。現代の『タイガーマスク』サウンドの作り手としてこれにまさる作家はいない! と期待が膨らみます。

タイガーマスクW オリジナル・サウンドトラック
http://www.amazon.co.jp/dp/B06W2LY184/


 『タイガーマスクW』の主題歌には1969年から放送された初代のTVアニメ『タイガーマスク』の主題歌がアレンジを一新して使用されている(ボーカルは湘南乃風)。劇中にも主題歌のメロディを使った音楽がたびたび流れ、初代アニメ版のファンには涙ものだ。
 今回は、初代TVアニメ『タイガーマスク』の話。

 TVアニメ『タイガーマスク』は梶原一騎(原作)・辻なおき(作画)による漫画原作を東映動画(現・東映アニメーション)がアニメ化した作品。1969年10月から1971年9月まで、よみうりテレビ系で全105話が放送された。
 悪役レスラー養成機関・虎の穴出身のレスラー・タイガーマスクが虎の穴を裏切り、次々と送り込まれる虎の穴の刺客と死闘を繰り広げる物語。悪役レスラー対タイガーマスクの壮絶な戦いとともに、社会問題を扱ったエピソードやタイガーマスク=伊達直人と子どもたちとのふれあいを描く抒情的な一面が心に残る。同時期に放送された『巨人の星』『あしたのジョー』等とともにスポ根アニメの一角を占める作品であるが、内容はスポーツ根性ものの範疇には収まらない。仮面のヒーロー対仮面の悪役の構図は、むしろ変身ヒーローものに近い。
 そう、『タイガーマスク』は「仮面ライダー」(1971)に始まる変身ヒーロー番組の原型ともなった作品なのだ。組織を裏切った主人公が、組織から送り込まれる刺客と孤独な戦いを続けていくというプロットは『サイボーグ009』から見られるし、そのルーツは時代小説や時代劇の抜け忍ものにあるのだろうが、それをグロテスクとも見える仮面対仮面の闘いとして描いたところに子どもたちは食いついた。このプロットとヒーロー像は「仮面ライダー」『デビルマン』(1972)に受け継がれていく。
 本作の音楽を菊池俊輔が担当したことは運命的である。菊池俊輔こそ、「仮面ライダー」シリーズを始めとして、70年代変身ヒーローブームを音楽面で支えた立役者のひとりだからだ。「超人バロム・1」(1972)、「変身忍者嵐」(1972)、「アイアンキング」(1972)、「ロボット刑事」(1973)、「ジャンボーグA」(1973)、「鉄人タイガーセブン」(1973)、「電人ザボーガー」(1974)などなど。制作会社もレコードメーカーも異なるさまざまな作品の音楽を菊池俊輔は一手に手がけた。『タイガーマスク』の音楽には、菊池ヒーロー音楽のプロトタイプが刻まれている。本作なくして、「仮面ライダー」も『ゲッターロボ』も、もしかしたら「暴れん坊将軍」もなかったかもしれない。それほど重要な作品と言っても言い過ぎではないだろう。

 菊池俊輔は1931年生まれ、青森県弘前市出身。少年時代から映画の魅力に取りつかれ、映画音楽の作曲家を志して、日本大学芸術学部作曲科に進む。卒業後、木下忠司に師事し、1961年公開の東映作品「八人目の敵」で映画音楽作曲家として一本立ちした。その後、時代劇、任侠もの、サスペンス、アクション、怪奇、SFなど、娯楽作を中心に多彩なジャンルの映画音楽を手がける。特撮ファンになじみ深いのは、東映の「海底大戦争」(1966)、松竹の「吸血鬼ゴケミドロ」(1968)、大映の「ガメラ」シリーズ(「ガメラ対大悪獣ギロン」[1969]から担当)などだろう。
 TVドラマは1963年の「野菊の墓」を皮切りに、「遠山の金さん」(1975)、「暴れん坊将軍」(1978)などの時代劇、「キイハンター」(1968)、「Gメン’75」(1975)などの探偵・刑事ドラマ、「赤い」シリーズ(1975-1980)や「スチュワーデス物語」(1983)に代表される大映ドラマなどで活躍。「砂の器」(1977)などシリアスな作品も手がけた。
 1965年の『宇宙パトロールホッパ』で初めてTVアニメの音楽を担当。『タイガーマスク』を経て、70年代以降は『バビル2世』(1973)、『侍ジャイアンツ』(1973)、『ミラクル少女リミットちゃん』(1973)、『新造人間キャシャーン』(1973)、『てんとう虫のうた』(1974)、『ゲッターロボ』(1974)、『UFOロボ グレンダイザー』(1975)、『アラビアンナイト シンドバッドの冒険』(1975)、『ドカベン』(1976)、『大空魔竜ガイキング』(1976)、『闘将ダイモス』(1978)、『ドラえもん』(1979)、『Dr.スランプ アラレちゃん』(1981)、『DRAGON BALL』(1986)など、数えきれないほどの作品を手がけた。
 TV音楽で活躍した作家は多いが、菊池俊輔ほど多彩なジャンルの作品を手がけ、それぞれのジャンルでヒット作を生み出した作家はいないだろう。作品数もおそらく日本一で、1960年代後半から『ドラえもん』の音楽担当が沢田完に交替する2005年まで、TVでは毎週どこかで菊池俊輔の音楽が流れ続けていた。

 『タイガーマスク』の音楽の初商品化は、1979年に日本コロムビアから発売された2枚組LPアルバム「テレビオリジナルBGMコレクション 菊池俊輔の世界」(『新造人間キャシャーン』『ゲッターロボ』『UFOロボ グレンダイザー』と混載)。このアルバムは1991年に「菊池俊輔BGMコレクション」のタイトルでCD化された。1997年には東芝EMIから「懐かしのミュージッククリップ(11) タイガーマスク」が発売されている。残念ながら現在は、どちらの盤も入手困難になっている。
 BGMの収録曲数は、「菊池俊輔BGMコレクション」が35曲(LPでは28曲だったがCD化の際に7曲が追加された)、「ミュージッククリップ」が34曲。ダブっている曲は7曲しかないのでファンは両方買わないといけない。今回は「BGMコレクション」の内容から紹介しよう。
 収録内容は以下のとおり。

1.オープニング・テーマ
 タイガー・マスク(TVサイズ)
2.テーマ・ヴァリエーション
 (1)タイガー・マスクは行く (2)去りゆくタイガー・マスク (3)みなしごのバラード
3.アクションBGM
 (1)勝ち進むタイガー・マスク (2)「虎の穴」の訓練 (3)対立 (4)対決の時 (5)迫る悪の影 (6)悪の攻撃
4.情景描写BGM
 (1)スリラー (2)忍び寄る影 (3)悪の行動 (4)尾行 (5)「虎の穴」の恐怖
5.心理描写BGM
 (1)緊迫 (2)孤独 (3)悲しみのライバル (4)暗い過去
6.人物その他のテーマ
 (1)直人ひとりさびしく (2)ルリ子寂しく (3)虎の穴
7.ブリッジ・コード
 (1)〜(5)
8.エンディング
 (1)緊張高まって (2)静かに
9.エンディング・テーマ
 みなしごのバラード(TVサイズ)

〈ボーナス・トラック〉
19.「タイガー・マスク」未収録音楽
 (1)I-7A (2)F-28 (3)Q-5 (4)I-12 (5)I-10 (6)I-13 (7)A-8+A-7
※本アルバムでは「タイガー・マスク」とナカグロ入りで表記されているので、そのまま記載した。

 BGMをカテゴリ別にまとめた構成。複数曲が1トラックに収録されているので、お気に入りの曲を聴きたいときにすぐたどりつけないのが難だ。この点は「ミュージッククリップ」も同様だった。観賞用のアルバムというより、音楽資料集とでもいうべきまとめ方になっている。
 しかし、選曲はなかなか充実している。『タイガーマスク』を観ていたファンなら印象に残っている曲が厳選されている。CD化の際に加えられたボーナス・トラックもツボをついた内容だ(ボーナス・トラックの選曲は早川優氏)。
 まずは主題歌である。マカロニウェスタン調のオープニングテーマ「タイガーマスク」。子ども心にこの曲調には魅了された。もちろん「マカロニウェスタン」なんて言葉も知らない頃だが、「なんてカッコいい音楽だろう」とひたすら聞き入っていた。なお、曲名は「行け!タイガーマスク」と表記される例もあるが、JASRACには「タイガーマスク」で登録されている。
 1コーラスがわずか16小節。短いのでTVサイズでは2コーラス歌われている。短い中にドラマがぎゅっと詰まった名旋律だ。注目してほしいのが流麗なストリングスが奏でる前奏部分。哀愁をたたえた美しいメロディが影のあるヒーローの登場を印象づける。これぞ菊池節の神髄と言いたくなる聴きどころである。
 BGMでは、この主題歌のメロディがさまざまにアレンジされて登場する。マーチ風、スローバラード風、ウェスタン風、メロディくずしなど、菊池俊輔のアニメ・特撮音楽のスタイルがほぼできあがっている。
 トラック2「テーマ・ヴァリエーション」に収録された1曲目「タイガー・マスクは行く」は悲壮感のあるマーチ風アレンジ。2曲目「去りゆくタイガー・マスク」はハーモニカとギター、ビブラフォンなどによる哀愁に満ちたバラード風アレンジ。アレンジによって表情が変わるのが菊池メロディの味わい深いところだ。ボーナス・トラックの7曲目にはエレキギターとトランペットによるインストゥルメンタルが収録されていて、「これだよ、これ!」と胸が躍る(ちなみにこれはギター・メロの曲(A-8)とトランペット・メロの曲(A-7)の2曲を1曲に編集したもの)。
 エンディングテーマはアコースティック・ギターとハーモニカの伴奏が印象的な「みなしごのバラード」。3拍子と4拍子を行き来する、意外と複雑な構成の歌である。
 オープニングとは雰囲気をがらりと変えた寂しげなバラード。オープニングが明でエンディングが暗。タイガーマスクと伊達直人の対比を音楽でも表現する試みだ。エンディングが静かなバラードというのは当時はまだ珍しく、本作以降、ひとつの定型になっていく。
 「テーマ・ヴァリエーション」の3曲目「みなしごのバラード」はトランペットがメロディを奏でるインストゥルメンタル。このテーマは、トランペット、アコースティック・ギター、ビブラフォン、口笛、ピアノなど、さまざまなソロ楽器によるバージョンが作られている。
 菊池ファン待望のトラックがトラック3「アクションBGM」だ。軽快なウェスタンのリズムが躍動感を生む1曲目「勝ち進むタイガー・マスク」はトランペットとフルートのかけあいが印象的。1コーラス目と2コーラス目の間にホルンとティンパニの間奏が入る。ここが菊池アクション曲らしくて実にいい。2曲目「「虎の穴」の訓練」は悪の陰謀が進行するイメージの曲。ブラスとエレキギターのアンサンブルは「仮面ライダー」等の悪のサウンドに受け継がれている。トランペットの歪んだ音色が不気味な雰囲気をかもし出すのは、菊池俊輔の怪奇作品やアクション作品でも聴かれる手法だ。続く「対立」「対決の時」「迫る悪の影」「悪の攻撃」も、変身ヒーローものの怪人登場曲をほうふつさせるサスペンス曲である。
 ボーナス・トラックもアクションBGMで構成されている。1曲目(I-7A)はギターによるマカロニウェスタン調の曲。愁いを帯びたメロディが超絶にカッコいい。2曲目(F-28)と3曲目(Q-5)はサスペンス、4曲目(I-12)は1曲目の雰囲気を受け継ぐマカロニウェスタン風の勇壮な曲。タイガーマスクの緊迫した戦いぶりが目に浮かぶ。5曲目(I-10)と6曲目(I-13)は激しい危機描写曲となり、最後はタイガーマスクの勝利をイメージしたオープニングテーマ・アレンジ(A-8+A-7)で締めくくられる。ドラマを感じさせる曲順で、このトラック単体でも聴きごたえがある。
 トラック4「情景描写BGM」もサスペンス系の曲が選曲されており、本アルバムの選曲コンセプトがタイガーマスク対虎の穴の闘いに焦点を絞ったものであることがわかる。
 しかし、アクション、サスペンス系の音楽にばかり気をとらわれていては、菊池音楽の重要な魅力がこぼれ落ちてしまう。トラック5「心理描写BGM」に収録された「孤独」「悲しみのライバル」、トラック6「人物その他のテーマ」に収録された「直人ひとりさびしく」「ルリ子寂しく」などを聴いていただきたい。『タイガーマスク』の音楽の抒情的な一面を代表する楽曲である。
 菊池俊輔のメロディはバラードにしたときに本領を発揮する。アクション曲ばかりが注目されがちだが、日本人の心の琴線にふれる抒情的な旋律こそ、菊池音楽の持ち味なのだ。そのメロディは「東北の匂いがする」と語られることもある。アクションでも、人間ドラマでも、メルヘンでも、ギャグでも、あらゆるジャンルの作品に菊池俊輔の音楽がフィットし、世代や性別を超えて愛されてきたのは、菊池節と呼ばれるメロディの力があったからこそだろう。アクションと叙情、光と影のふたつの面がひとつの作品の中に同居しているのが菊池俊輔のヒーロー音楽の魅力なのである。
 『タイガーマスク』は菊池俊輔ヒーロー音楽の原点となった重要な作品だ。菊池俊輔の……というよりも、日本の変身ヒーロー音楽はここから始まった。その音楽が、手軽に聴けない現状は何かが間違っているとしか思えない。もう数年で、TVアニメ『タイガーマスク』の放送開始から50周年になる。そのときまでに、2枚組以上で構成した『タイガーマスク』単独サントラを実現してほしい……実現しなければ、と思うのだ。

菊池俊輔BGMコレクション

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懐かしのミュージッククリップ タイガーマスク

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新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 91
今 敏監督の”感染する”サイコサスペンス『妄想代理人』

 『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』等の作品で高く評価されている今 敏監督。彼が遺した唯一のTVシリーズが2004年に放映された『妄想代理人』である。この作品に今 敏は原作と総監督の役職で参加しており、奇想に満ちたエキセントリックな作品に仕上げている。

 3月25日(土)開催のオールナイトでは『妄想代理人』全13話を一挙上映。関係者によるトークも予定している。前売り券は新文芸坐では2月18日(土)から先行発売。チケットぴあはでは2月19日(日)から発売となる。なお、当日の入場に際して先行販売分が優先されることはないそうだ。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 91
今 敏監督の”感染する”サイコサスペンス『妄想代理人』

開催日

2017年3月25日(土)
開場:22時15分/開演:22時30分 終了:翌朝5時45分(予定)

会場

新文芸坐

料金

一般2600円、前売・友の会2400円

トーク出演

未定

上映タイトル

TVシリーズ『妄想代理人』(2004/BD)全13話

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第502回 引っ越し後〜イベントあり!

自宅の引っ越し、無事終了。毎日こつこつ段ボール開けてます!

 今度は会社にも駅にも近くてとても便利。昨年末のある夜、散歩しててとある不動産屋の前で偶然見つけた物件で即決! ホント、部屋選びは直感ですよね。「ここに住んでる未来の自分が想像できる!」かどうかです。

 ま、これも想像できてました。「この際、DVD類を整理しよう!」と思い精査していると、出てくる出てくる白箱の山。白箱とは完成した納品データをディスクに焼いたモノの業界用語(昔はVHSでもらってました)。初監督作『BLACK CAT』の見本品はいただいても、白箱はなかなか捨てられず。白箱だけでなく劇伴(BGM)や主題歌のCD-Rとかもです。あと、

「え!? あの声優さんがこの訳の候補だったの!?」的
お宝(?)オーディションCD-R

とかもホント捨てづらい。別に今後価値が上がるかも〜とかなんかじゃなく(もちろん売るつもりなど皆無ですよ!)、自分たちが作るアニメに出たいと思って下さる役者さんの芝居が詰まっているモノなんで、捨てたくないだけです。バレンタインはチョコ食べて包み紙を捨てられない性格。いや、ただ単に小心なんでしょう。で、そんな小心な板垣がまたイベントをやるハメになってしまいました。

2月26日(日)第127回アニメスタイルイベント 「板垣伸のいきあたりバッタリ!『てーきゅう』&『ベルセルク』編」 阿佐ヶ谷ロフトA

という事らしいです。自分はしゃべり下手ですが、よくしゃべる里見哲朗プロデューサーが出てくれるので、皆様お誘い合わせのうえ、是非〜。

第501回 呼ばれたい?

俺、「監督」って呼ばれるの、好みません!

 まあ、現場で監督業務をしてる時なら仕方ないけど、現場以外でも呼ばれるのは苦手なんです。監督によってはプライベートでも「監督」と呼ばれて悦に入ってる方、中には

監督だから偉いんです!

つってる巨匠もいらっしゃるとか。俺に言わせると、

「偉い監督」はもちろん存在しますが、それは人望厚く仕事が巧みだからであって、「監督だから」ではない!

のです。ちなみに自分は自分の事を偉いとは思ってません。偉いかどうかは周りの人たちが決める事であって、役職名で保護された偉さなんて信用できませんから。あと、

とか言われると気が小さい自分などはその言葉の裏に

今回はあんたが監督だから従ってあげるんですけど〜

が透けて感じられるんです。特にプロデューサーさんらが口にする「監督、監督ゥ〜」は、今までに大した成果物が作れていない板垣にはひときわプレッシャーで、「この作品、上手く着地しなかったら、分かってるよね君?」と聞こえます。でもこれは作品を作るうえで必要かついいプレッシャーだと思ってます、自分。そもそも、

「監督はなんのストレスも感じる事なく作品が作れるべき!」なんて誰がいつ決めた法律なんでしょうか? 監督って国家試験を受けてなるモンじゃないんですよ! てことはまず「職業として上手く監督をこなせるようになってから」周りに要求するべき!!

でしょ? 周りの人たちから「是非○○監督の作品が観たい!」と思われるようになったら自然と監督のわがままだって聞いてもらえるようになるし、監督の望む「ストレス排除のプロフェッシュナル」型プロデューサーを指名すればいいんだ! と俺個人的には思います。

 なわけで、仕事に戻らねば〜!

第99回 奇妙な味の魅惑 〜マクロス ゼロ〜

 腹巻猫です。およそ1年ぶりとなる「渡辺宙明トークライブ」を3月12日に阿佐ヶ谷ロフトで開催します。91歳を超えてなお創作意欲旺盛な渡辺宙明先生に最新作やヒット作のお話をうかがいます。チケットはe+で発売中。ぜひご来場ください。詳細は下記リンクからどうぞ。
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/58961


 サウンドトラックにはふつうのポピュラー音楽ではありえないような不思議な音楽、気持ち悪い音楽が必要とされることがある。そういう奇妙な音楽に出逢えることもサントラを聴く楽しみのひとつだ。
 奇妙な音楽といえば、すぐ頭に浮かぶのがはい島邦明である。フジテレビのオムニバスTVドラマ『世にも奇妙な物語』のテーマ曲「ガラモン・ソング」を書いた作曲家だ。
 はい島邦明の「はい」は正しくは「配」の上に「くさかんむり」が付いた字であるが、これは機種依存文字(コンピュータの機種が異なると文字化けしてしまう文字)なので本稿では「はい島」と表記する。
 はい島邦明は埼玉県出身。少年時代は美術に興味があり、デザイン彫刻がやりたかったという。しかし美大に進むことはかなわず、大学は経済学部へ。卒業後は美術とも音楽とも関係ないパン屋を始めた。が、どうしても身が入らず、しばらくしてやめてしまう。1年ほどフリーターを経験したあと、劇団の音効の仕事に応募して採用された。
 音効の仕事は、舞台に必要な音(音楽や効果音)をテープに仕込んでおいて芝居のタイミングに合わせて音を出すこと。その音はレコードなどのありものを使ってもよいのだが、はい島邦明は劇の中で使う音楽はすべて自分で作らなければならないと思いこんでいた。そのため、借金までしてシンセサイザーを買い、多重録音で曲を作り始めた。それが作曲家になるきっかけになった。
 音楽の専門教育を受けたことはなく、コードのセオリーも知らない。できた音を自分がいいと思うかどうかだけを手がかりにシンセサイザーで音を作っていく。そんな白紙の状態から作り始めたユニークな音楽がCM業界で注目され、年間100本ものCM音楽を手がける売れっ子に。そして出逢った作品が「世にも奇妙な物語」(1990〜)だった。ちなみに「ガラモン・ソング」のタイトルは「ウルトラQ」に登場する怪獣「ガラモン」に由来しているそうだ。
 「世にも奇妙な物語」以降、ドラマ、劇場作品、アニメ等の音楽で活躍。TVドラマ「NIGHT HEAD」(1992)、「ボーダー」(1999)、「ショカツ」(2000)、アニメ『SPRIGGAN』(1998)、『MASTERキートン』(1998)、『ガサラキ』(1998)、『MONSTER』(2004)、実写劇場作品「催眠」(1999)、「蟲師」(2007)などの音楽を手がけた。サスペンスものやミステリーものの印象が強いので、特撮ヒーロー作品「ウルトラマンマックス」(2005)、「仮面ライダーカブト」(2006)の音楽を担当したときは驚いた。が、怪獣や怪人、ヒーローの表現などにはい島独自のサウンドが生かされていて大いに納得した。近年では芸術家・岡本太郎を描いたTVドラマ「TAROの塔」(2011)、Amazonプライム・ビデオ配信の特撮ドラマ「仮面ライダーアマゾンズ」(2016)の音楽が印象深い。
 今回は、そのはい島邦明が2002年に手がけたOVA『マクロス ゼロ』の話。

 『マクロス ゼロ』は2002年から2004年にかけて全5話が発売されたOVA作品。「マクロス」シリーズ生誕20周年記念作品である。「マクロス」といえば宇宙を舞台にしたSF作品というイメージだが、本作は地球の南海の孤島マヤンを舞台にしたエスニックなムード満載の異色作品。マヤンの伝説で「鳥の人」と呼ばれている異星人の遺跡をめぐって統合軍と反統合同盟軍が衝突、平和な島が戦火に巻き込まれていく物語だ。ヒロインのサラが歌う「ARKAN」と鳥の人が歌う「滅びの歌」、ふたつの歌が物語の軸になっている。
 サウンドトラック・アルバムは「マクロス ゼロ オリジナルサウンドトラック1」と「同2」の2タイトルがフライングドッグから発売された。2枚とも2014年に再発売されている。サウンドトラック1の収録曲は以下のとおり。

  1. Life Song(vocal:福岡ユタカ with Holy Raz)
  2. ARKAN〜part1〜(vocal:Holy Raz)
  3. VF-Zero
  4. 鳥の人
  5. Sky Shine
  6. Forest Song
  7. Welcome
  8. 滅びの風
  9. 海聖
  10. counter clockwise
  11. crack radio
  12. MAO
  13. Totem Spell
  14. GAN BORA
  15. Prayer
  16. MAYAN
  17. ARKAN〜part2〜(vocal:Holy Raz)

 ボーカル曲も含めて、すべてはい島邦明の作曲。マダガスカルから来日した歌手Hory Razが本作の歌姫サラの歌声を担当している。
 エスニック、テクノ、クラシカル、ポップス、さまざまな要素が混淆した不思議なサントラだ。そのどれもがはい島邦明独特のサウンドで色づけされているので、ちぐはぐな印象はない。自然に恵まれた南の島マヤンと文明世界からやってきた軍隊、そして異星人の遺した「鳥の人」。3つの異なる文化が肌触りの違う音楽で表現され、ひとつの世界を形作っている。異なる文化の衝突から生まれるドラマを描くのが「マクロス」シリーズの伝統だが、そのテーマが音楽にも反映されている。
 もともと美術を志望していたはい島邦明は、音楽を作るときも音という絵の具で絵を描くようなイメージで曲を作っていくそうだ(筆者がインタビューさせていただいたときに聞いた言葉)。イメージに合う音(色)を探すこと、音を作ることにこだわり、時間をかける。
 本作の音楽も耳に飛び込んでくる音のイメージにまず圧倒される。音が立体感や手触りを持って迫ってくる。多彩な音を使った音楽を「色彩感豊か」と表現することがあるが、はい島邦明の音楽からは色彩だけでなくマテリアルを感じるのだ。まさに彫刻のような音楽である。
 トラック1「Life Song」は第2話のエンディングに使用されたボーカルナンバー。ジャングル風リズムのバンドサウンドにシンセのループとエスニカルなコーラスが重ねられて、異文化混淆の香りがたっぷりだ。はい島邦明は、80年代に六本木インクスティックを拠点に活動した即興演奏中心のバンド〈HAO〉にキーボード奏者として参加していた。だから、こういう音楽も得意なのである。
 トラック2の「ARKAN〜part1〜」はハープとストリングスをバックに歌われる美しいボーカル曲。この歌はマヤンの巫女サラが歌う歌として劇中にくり返し使用されている。同じメロディが16曲目「MAYAN」の中にも登場する。マヤンの世界を象徴する歌である。
 曲の後半は大きく表情が変わり、金属的なシンセの響きが島の騒乱と危機を描写する。やがて戦火に包まれることになるマヤンの未来を予感させる構成である。
 トラック3「VF-Zero」は統合軍の戦闘機VF-0の飛行シーンやドッグファイトのシーンに付けられた曲。緊迫感を盛り上げるイントロから激しくスピード感のある曲調に展開し、戦闘機同士のバトルが描かれる。マヤンの世界と対照をなす軍隊の世界を描写する曲だが、バックのリズムにエスニカルな要素を入れて南の島の空気感を潜ませている。なかなか一筋縄ではいかない音楽である。
 「マクロス」シリーズらしいスリリングなバトル曲としては、ほかに「Sky Shine」「counter clockwise」「GAN BORA」などが聴きごたえがある。
 トラック4「鳥の人」はマヤンの伝説に謡われる「鳥の人」のテーマ。幻想的な民族音楽風の曲だ。男声ボーカルと女声コーラスが重なり合い、バックにはシンセサイザーによるエスニカルなサウンドが流れる。「鳥の人」の正体は古代に地球に飛来した異星人の遺跡なので、宇宙的・異界的なイメージも漂う。はい島邦明らしい、ジャンル分け不能の音楽である。
 トラック9「海聖」も異星文明を描く曲だ。シンセサイザーのリズムに牧歌的な旋律が重なってミステリアスな雰囲気が広がる。海の底に眠る異星人の遺跡のイメージだろう。この曲は、第3話でサラの妹マオが異星人の遺跡から採取された血液(のような液体)を輸血される場面に使用された。
 本作の舞台マヤンの自然と暮らしを描く曲が「Forest Song」「Welcome」「MAO」。「Forest Song」では鳥の声やせせらぎの音などを挿入して、ミュージックコンクレート風の音響を作り出している。明るく愛らしい曲調の「MAO」は本作のもうひとりのヒロイン・マオのテーマ。本編では第2話のちょっとユーモラスな場面に使用されている。
 トラック13の「Totem Spell」は第2話のアバンタイトルでマヤンの長老が島の伝説を語る場面に流れる曲。「鳥の人」に通じる曲調の不思議な音楽である。
 激しい戦闘を描写する「GAN BORA」を挟んで、第3話でマヤンの村が戦火に包まれる場面に流れた曲「Prayer」が続く。静かな哀感をたたえた美しい曲調が島の悲劇を印象づける。
 トラック16の「MAYAN」は、ストリングスが厳かに奏でるマヤン島の自然と命を描写する曲。次にもう一度サラの歌「ARKAN」が流れて、アルバムは締めくくられる。
 本アルバムの収録曲は劇中使用順に並べられているわけではない。が、丹念に聴いていくと、構成意図は明らかだ。南の島マヤンの視点に立った曲順になっているのである。美しい南の島マヤンと島に伝わる伝説、伝説を目当てにやってくる軍隊。そんな構図を思い浮かべて聴くと、アルバムならではの『マクロス ゼロ』の世界が浮かび上がってくる。

 1990年代からハリウッドの映画音楽は明確な旋律を持ったメロディ主体の音楽からシンセサイザーが作るループトラックや特徴的な音を核とするサウンド主体の音楽へと変化してきた。日本の映像音楽でその先鞭をつけたのがはい島邦明だったと思う。
 『マクロス ゼロ』はそんなはい島邦明のサウンドへのこだわりが詰まった作品だ。はい島らしい不思議な曲もあるし、バトル曲、エスニカルな曲、美しい曲など多彩な曲調が楽しめる。物語のクライマックスに流れる「滅びの歌」を収録した「サウンドトラック2」もお奨めである。
 ミステリー・幻想小説の分野では、ひねりの効いた少し不気味な後味を残す小説を「奇妙な味」と称する。わかりやすくはないが、その魅力がわかるとはまってしまう通好みの小説だ。はい島邦明の音楽も「奇妙な味」と呼びたくなるような独特の魅力を持っている。バラエティに富んだ『マクロス ゼロ』を入り口に、はい島サウンドの奥深い世界に触れていただきたい。

マクロス ゼロ オリジナルサウンドトラック1

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マクロス ゼロ オリジナルサウンドトラック2

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第127回アニメスタイルイベント 板垣伸のいきあたりバッタリ!!
『てーきゅう』&『ベルセルク』編

 『てーきゅう』シリーズや『ベルセルク』等の作品を手がけ、パワフルに活躍を続けている板垣伸監督。「WEBアニメスタイル」の読者には人気コラム「板垣伸のいきあたりバッタリ!」でもお馴染みのクリエイターだ。2017年2月26日(日)のトークイベントでは板垣監督をメインゲストに迎え、自身の作品について、あるいはアニメについての考え方などについて語っていただく。いわば「いきあたりバッタリ!」のイベント版だ。

 もう一人のゲストは『ベルセルク』の里見哲朗プロデューサー。板垣さんの現場での仕事ぶり、人柄等について語っていただく。リラックスムードの楽しいイベントにする予定だ。

 会場はお馴染みの阿佐ヶ谷ロフトA。前売りチケットは2016年2月4日(土)から発売となる。詳しくは阿佐ヶ谷ロフトAのサイトで確認していただきたい。また、今回のイベントもトークのメイン部分を「アニメスタイルチャンネル」で配信する予定だ。

■関連リンク
阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/58966

アニメスタイルチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/animestyle

第127回アニメスタイルイベント 板垣伸のいきあたりバッタリ!!
『てーきゅう』&『ベルセルク』編

開催日

2017年2月26日(日)
開場18時 開演19時 終演22時予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

板垣伸(『てーきゅう』『ベルセルク』監督)、里見哲朗(『ベルセルク』プロデューサー)、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第500回 なんと500回

祝? 連載500回だそうです!


 そもそも、こんなに続くとは思ってませんでした。作品を創る傍ら「古今東西、アニメに関する事ならなんでもいいよ〜」とアニメ様の一言により超脱力ムードで始めたおかげですね、これも。でもまあ、自分の性格がら

「俺、大したもんだろ!?」とドヤ顔もできなくてSNS系にも疎いため、ここで呆けているわけ

です。早い話10年やってるんですね。ついこないだ(1月28日)で43歳になったわけで、つまり33歳から始めた勘定になります。この10年で世間のアニメは変わり、自分のアニメ作りの現場も変わり、白髪が増え、体重も増えました。でもいつになっても変わらないのは

アニメ作りの面白さ!!

で、確かに制作費の件や労働条件など、アニメ業界の問題は山積みですが、頭の悪い板垣はこれからもアニメを作り続けるしかないと思ってます!

アニメを作り続けている限り、この連載も

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 90
公開30周年『王立宇宙軍 オネアミスの翼』を観る


 2017年2月18日(土)開催のアニメスタイルオールナイトは、公開30周年を迎えた『王立宇宙軍 オネアミスの翼』にスポットをあてたプログラムだ。『王立宇宙軍 オネアミスの翼』はガイナックスの第一作であり、公開時に24歳であった山賀博之監督をはじめ、貞本義行、庵野秀明といった若いスタッフが中心となって作り上げた劇場アニメーションである。作り手のエネルギーが迸ったフィルムであり、映像についても作劇についても非常に先進的。今の目で観ても充分に見応えのある作品だ。

 今回のオールナイトでは『王立宇宙軍 オネアミスの翼』本編だけでなく、パイロットフィルムも上映。さらに同じくガイナックスの『トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版!!』、TVシリーズ『アベノ橋魔法☆商店街』の1話「不思議! アベノ橋☆商店街、7話「回想! 魔法商店街☆誕生」(1話も7話も脚本を山賀博之が、絵コンテと作画監督を平松禎史が担当)も上映する。

 トークのゲストは山賀博之監督を予定。前売り券はチケットぴあと新文芸坐で2月4日(土)から販売開始となる。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 90
公開30周年『王立宇宙軍 オネアミスの翼』を観る

開催日

2017年2月18日(土)
開場:22時15分/開演:22時30分 終了:翌朝6時20分(予定)

会場

新文芸坐

料金

3000円

トーク出演

山賀博之監督、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

『王立宇宙軍 オネアミスの翼〈サウンド・リニューアル版〉』(1987・1997)
『王立宇宙軍 オネアミスの翼・パイロットフィルム』
『アベノ橋魔法☆商店街』(2002)1話「不思議! アベノ橋☆商店街」7話「回想! 魔法商店街☆誕生」
『トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版!!』(2006)

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第499回 やっぱり当たり前、と大きなお世話

 前回同様、また当たり前の事。あくまで「俺はこう考える」ですが、

他人(場合によって社会)に意見する際は、必ず一度「自分が考える程度の事は、相手(皆)はすでに考えているハズ!」と思うべき!

です。こう思う事で、「君の知らない話を教えてあげよう」という上から目線ではなく「君も知ってるこの事について一緒に話し合おう」という同じ目線になります。例えば企画とかも「俺、誰も考えなかった凄え企画思いついたんだぜ!」って自信をもっていても、今時やられてない企画なぞほとんどないわけだから、後で二番煎じだったと知ってガッカリするだけ。それだったら最初から「どこかで誰かがこれと似た企画をすでにやったと思うけど、僕自身は面白く作れると思うからやる」と決心していればいいんです。やるやらないは自由ですから。SNSなどで好きな事を書くのも自由ですが、書く前に「こんなに深く物事考えてるヤツ、俺以外にいるわけねーだろ!?」と読み手を見下すのではなく「自分と同じ考えの方、たくさんいますよね?」という事を心掛けるべきです(ちなみにこの連載はもちろん後者のつもりです)。要は

どんな相手も仕事も馬鹿にしてはいけない!

って事だと思うんです。でも周りや世間が馬鹿に見えてしょうがない人って後を絶たないもんですね、ホント。

 あと話はまったく飛んで、最近は周りの人にハッキリ言ってる事なんですが

俺は考えて納得しながら物事を進めるのが好きなんだから、
ほっておいてほしい!

と。例えば電車での移動。誰かと一緒だと、必ずSuicaとスマホ攻撃に遭います。どの人も大抵Suicaで改札を通って、もたもた(本人的にはじっくりと)運賃表を見て、切符を買って改札を通ると「なんでSuicaにしないの?」の質問(攻撃)。

俺は切符を買うのが好きなんだ!!

と。ちなみに前は自分もSuicaを使ってました。でも、路線図を見て「ここからあそこまでいくらかかる」感覚が衰えると、電車移動が楽しくなくなると感じて止めたんです。で、駅に着いたら着いたで、今度はスマホを見ながら「こっちですよ」と先導(攻撃)。

俺は景色を見ながら考えて歩く事を楽しみたいの!!

これは何人かに1人の割合ですが「監督、スマホにしないンすか?」何が悲しくて外に出てまでスマホ見て歩かなきゃならんの!? と言いながら自分も近いうちにスマホに切り替えるんですが(7年モノのPHSがそろそろ限界で)、打ち合わせなどの時間厳守イベントでもない限り、スマホで最短距離を検索し、スマホの地図画面を見ながら歩く事はしません、たぶん。

第98回 夢と冒険のファンタジー 〜モスラ(1996)〜

 腹巻猫です。構成・解説を手がけたCD「透明ドリちゃん オリジナル・サウンドトラック」が1月25日に発売されます。渡辺宙明が1978年に手がけた実写魔法少女ドラマの初のサントラ盤。主題歌のカラオケも収録。渡辺宙明ファン待望の初商品化です。ぜひ、お聴きください!


 前回取り上げた『勇者エクスカイザー』に続く勇者シリーズ第2作『太陽の勇者ファイバード』(1991)では、渡辺俊幸が音楽を手がけている。
 渡辺俊幸。ご存知の方も多いと思うが、『マジンガーZ』で知られる作曲家・渡辺宙明の長男だ。
 今回は渡辺俊幸が手がけた映像音楽の代表作を紹介したい。

 渡辺俊幸は1955年生まれ。少年時代にビートルズの音楽に魅せられてドラムに熱中し、大学在学中にフォークグループ・赤い鳥にドラマーとして加入してプロ活動を始めた。赤い鳥では、のちに編曲、キーボードも担当する。赤い鳥解散後、さだまさしのフォークグループ・グレープと出会い、サポートメンバーとして参加。グレープ解散後は、さだまさし専属の音楽プロデューサー、編曲家として活躍を始める。
 転機はレコーディングのために訪れたアメリカで映画「未知との遭遇」(1977)を観たことだった。ジョン・ウィリアムズの音楽に衝撃を受け、「こんな音楽を書いてみたい」とオーケストラ音楽の作曲を志す。アメリカに留学し、バークリー音楽大学、ボストン音楽院、ロサンゼルスで、本格的なオーケストレーション、指揮法、映画音楽作曲法を学んだ。帰国後、劇場作品、ドラマ等の音楽家として本格的に活動を開始した。
 TVドラマではNHK大河ドラマ「毛利元就」(1997)、「利家とまつ」(2002)をはじめ、「大地の子」(1995)、「優しい時間」(2005)、「おひさま」(2011)など、劇場作品では「解夏」(2004)、「UDON」(2006)など、代表作は多数。
 アニメファンには、近年手がけた『宇宙兄弟』(2012)、『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』(2013)が印象深いだろう。TVアニメ処女作『銀河漂流バイファム』(1983)や世界名作劇場の『ピーターパンの冒険』(1989)、手塚治虫原作の『三つ目がとおる』(1990)、『マグマ大使』(1992/OVA)、永井豪原作の『デビルマンレディー』(1998)も記憶に残る。東映スーパー戦隊シリーズ「救急戦隊ゴーゴーファイブ」(1999)に燃えたという人もいるかもしれない。変わったところでは、『美少女戦士セーラームーンR』の楽曲(主題歌・挿入歌)をアレンジした企画アルバム「交響詩 美少女戦士セーラームーンR』(1994)の編曲も手がけている。
 渡辺俊幸の作風は父の渡辺宙明と好対照だ。ジャズを基調にパンチの効いたアクション音楽を繰り出す渡辺宙明に対し、渡辺俊幸の持ち味はシンフォニックなオーケストラ・サウンドと美しいメロディ。スケール豊かで、じんわりと心に沁みる音楽が魅力である。とは言いながら、『銀河漂流バイファム』などのロボットものや「救急戦隊ゴーゴーファイブ」等のヒーローものでは「血は争えない」と思わせる勇壮なアクション曲を聴かせてくれるのがうれしい。
 そんな渡辺俊幸の代表作としてぜひ聴いてもらいたいのが、1996年に公開された劇場作品「モスラ」の音楽である。

 「モスラ」は1996年12月に公開された東宝制作の劇場作品。インファント島の守護神モスラと凶悪な宇宙怪獣デスギドラとの戦いを描くSFファンタジーだ。卵から幼虫、繭、成虫へと姿を変えるモスラの描写やモスラを呼ぶ小美人=妖精・エリアス姉妹の設定などは1961年に公開された劇場作品「モスラ」を継承している。
 渡辺俊幸にとって、「モスラ」はジョン・ウィリアムズ風のハリウッド・スタイルの映画音楽が書ける格好のチャンスだった。「ついに『未知との遭遇』のような音楽が書ける!」と渡辺俊幸は意欲を燃やしたという。
 本作のサウンドトラック・アルバムはポニーキャニオンから2種類が発売されている。ハイライトを鑑賞用にまとめた「モスラ オリジナル・サウンドトラック」(1996年11月21日発売)と、劇中使用曲を本編に忠実に収録した2枚組「モスラ オリジナル・サウンドトラック 完全版」(1996年12月16日発売)である。どちらも現在は廃盤だが、中古でも比較的入手しやすい「オリジナル・サウンドトラック」を紹介しよう。
 収録曲は以下のとおり。

  1. Main Title
  2. 超高速バトル
  3. 冒険旅行の始まり
  4. 美しき惑星(ほし)の守護神
  5. モスラの歌
  6. 6500万年前の戦い、再び。
  7. 破壊魔獣
  8. pray with me
  9. 祈りの歌
  10. 幼虫の意志
  11. 生命の敵との戦い
  12. 海へ還る
  13. 祈りの歌・インストゥルメンタル
  14. モスラレオ
  15. 聖なる羽化
  16. 新モスラ誕生
  17. 守るために、戦う。
  18. 封印
  19. 生命の瞬間(とき)
  20. フォーエヴァー・フレンズ
  21. End Title

 特撮作品らしいスケールの大きな曲が並ぶ。この1996年版「モスラ」は怪獣映画というよりも、少年少女を主人公にした冒険ファンタジーの色彩が強い。音楽も怪獣映画的な恐怖感を煽る曲よりも、幻想的な曲、ロマンティックな曲が多いのが特徴である。
 1曲目の「Main Title」は冒頭のタイトルバックに流れる曲。弦楽器と女声コーラスが神秘的なモスラの姿を描写し、金管楽器が加わって盛り上がったところで「モスラ」のタイトルが現れる。短い演奏時間の中に本作のイメージが凝縮されたみごとなタイトル曲だ。
 2曲目「超高速バトル」はリビング&ダイニングキッチンでの妖精同士のバトルのシークエンスに流れた曲。細かく刻まれる弦楽器と管楽器の響きが緊迫感とスピード感を表現し、フェアリー(小モスラ)に乗ったエリアス姉妹と飛行獣ガルガルに乗った黒い妖精ベルベラとの空中戦が描写される。日常的な室内を舞台にした空中バトルが新鮮だった。序盤の見せ場である。
 3曲目「冒険旅行の始まり」は北海道に現れたデスギドラのもとへエリアス姉妹と大樹たちが旅立つ場面の曲。明るく躍動感に富んだ曲調がこれから始まる冒険への期待をかきたてる。人形に化けたエリアス姉妹を描写する木管楽器の調べがユーモラスな香りを加えている。本作には怪獣映画らしいサスペンス曲、破壊描写曲も登場するが、全編の基調となっているのはこうした曲調の音楽だ。ハリウッド製冒険ファンタジーを思わせるサウンドにわくわくする。
 そして4曲目「美しき惑星(ほし)の守護神」は、デスギドラの出現を目にしたエリアス姉妹が「モスラを呼びます」と決意を語る場面から流れる曲。美しく奏でられるのは渡辺俊幸によるモスラ(親モスラ)のテーマである。弦楽器と木管楽器を主体にした抒情的な曲調が渡辺俊幸らしい。
 エリアス姉妹の呼び声に応えて現れたモスラがデスギドラに向かって行く場面では、このテーマを勇壮なマーチ調にアレンジした「6500万年前の戦い、再び。」が流れる。1961年版と本作との雰囲気の違いが際立つ音楽演出である。
 「モスラ」といえば小美人の歌だ。本作でも3曲の歌が用意された。エリアス姉妹がモスラを呼ぶときに歌うのは、1961年版で作られた「モスラの歌」(作曲:古関裕而)。2曲目は卵からモスラの幼虫が生まれる場面で歌われる「祈りの歌」。3曲目は新モスラ誕生の場面に流れる「モスラレオ」。「祈りの歌」と「モスラレオ」は矢野顕子が本作のために作曲した歌である。
 3曲の歌はいずれも渡辺俊幸が編曲を手がけ、劇中音楽にも歌のメロディが引用されて本編との融合が図られている。とりわけ、4分に及ぶ「モスラレオ」はファンタジックな映像とあいまって本作の音楽的ハイライトとなった。
 怪獣映画らしいスペクタクル感たっぷりの音楽も聴きごたえがある。幼虫モスラが海を渡ってくる場面の「幼虫の意思」、モスラ親子とデスギドラとの死闘を描く「生命の敵との戦い」、新モスラとデスギドラとの決戦を盛り上げた「守るために、戦う。」など、オーケストラを駆使したダイナミックな音楽は特撮作品ならではの醍醐味だ。
 しかし、本作の音楽の聴きどころは抒情的で美しいオーケストラ曲である。
 モスラの死の場面に流れる「海に還る」、新モスラの誕生を描く「聖なる羽化」(「モスラレオ」から続けて演奏される)、モスラの力で傷ついた自然が再生する場面の「生命の瞬間(とき)」、エリアス姉妹と大樹たちの別れの場面の「フォーエヴァー・フレンズ」。美しい大自然や家族の絆を描いた曲がぐっと胸に沁みる。
 怪獣映画の体裁を取りながら、本作には家族の再生と環境破壊への警鐘のテーマが盛り込まれている。渡辺俊幸のヒューマンな音楽がまさにぴったりで、本編に温かい情感を添えている。
 2016年3月に開催されたオーケストラ・コンサート「ザ・シンフォニック・ソウル」の中で、渡辺俊幸は「モスラ」の音楽を自ら編曲・構成した「組曲 平成モスラ」を初演した。それだけ、本作は渡辺俊幸にとっても重要な位置を占める作品なのだろう。「怪獣映画の音楽」という先入観なしに楽しんでいただきたい、夢と冒険心にあふれたすばらしい音楽である。

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第498回 「好きな事を仕事にする」とは

「好きな事を仕事にする」は「好き勝手振る舞う事を許容される一生を手にした!」ではありません!
こんな当たり前の事が分かってない人がまだまだいるようです!

 以前、某プロデューサーとそんな話題になりました。要するに「自分は好きな事——画を描く事を仕事にできた選ばれし者だから、好きな時に仕事して、ノらなかったら帰るでいいじゃないか!」と巨匠作家スタイルから入るアニメーターがいて困る、だそう。確かに、俺の知ってるアニメーターにもそーゆー人が何人かいますし、自分自身もフリーになったばかりの頃、そー言ってた時期がありました。申し訳ありません。ただ自分の場合は、最初の会社テレコムでの社員生活が長かったので、辞めた際は一度「自堕落なフリー生活」を送ってみたかったってだけなので、すぐに飽きてしまいました。で、今は後輩・新人に

自己管理能力を高めよ!!

と促してます。つまり「ギャラ・制作費が安い!」と訴える前に「自分はノルマをこなせているか?」を疑い、「遊ぶ時間がない」と怒る前に「自分は1日8時間、真剣に机に向かって描いたか?」を省みよ! と。会社は「こなせない人、こなす気のない人」に仕事を頼みません(昔みたいに「上げるまで休ません!」なんて会社は、今ほとんどありませんよ)。

自己をストイックに律する事ができない人の言う事に
耳を傾けてくれませんって、社会は!

 で、現在超ストイックに『てーきゅう』Blu-ray BOXのジャケットイラスト描いてます!!

第497回 もうすぐ500回

新年あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!!

 年末年始はなんとなく名古屋に帰り、早々に東京に戻って引っ越しの準備と『てーきゅう』Blu-rayBOXのジャケットイラストを描くのに大忙し。そうそう、『てーきゅう』がBOXになるんですよ! なんかいよいよって感じで、昨日も渡部優衣さん、石原夏織さんとアフレコ。役者さんたちも皆「凄い! 欲しい!!」と言ってはくださるものの、「買う!」とは言っていただけず(苦笑)。でもまあ、いつもどおりダラダラ書き始めたら、なんと

この連載があと3回で500回を迎える事を思い出しました!!

呆れますよね、500回。そろそろ10年です。たまにお茶濁しイラストのみの回はありましたが(スミマセン!)、いちおう一度も落とした週はないはずです。これは最初にアニメ様より「仕事が忙しくて落としそうになったら、言い訳イラスト1枚でも出してよ。でないと何度も落とす癖がつくよ」と言ってくれたお陰だと思ってます。

何も人に自慢できる事のない板垣のアニメ人生の中で500回! 10年! は少しだけ自分を褒めてやりたいと思いました!


 そもそも俺の性格柄、「作品づくり以外で世間に言葉を発信する場」はここだけで十分なのですよ。たった今、板垣がどこで何食っただの何観て感動しただのをリアルタイムで知りたがってる人が世の中にいるわけないし、自分も他人のそんな類いの話を知りたいと思った事ありませんから。「昼間はサボらずに働きなさい!」と親から教育されたため、俺の姉も妹も基本メールの返信すら休み時間か仕事が終わってからです。このコラムも仕事の合間に書いている筆休め的なものです。だから今までどおり、内容のあるモノは期待しないでお付き合いくだされば幸いです。

105 『傷物語〈III 冷血篇〉』に拍手

 公開日の最初の回で『傷物語〈III 冷血篇〉』を鑑賞した。『傷物語』3部作の完結編である。超力作だった。どこまでも過激であり、力いっぱいにアバンギャルド。アニメーションとしても魅力があり、登場人物に対して真摯でもある。お色気シーンも力一杯。ギャグも忘れてはいない。過剰な作品だ。カルトという言葉が相応しいのではないか。
 監督は尾石達也。『さよなら絶望先生』や『化物語』の頃にもっと彼の個性が色濃く出た作品が観たいと願った。まさにそれが『傷物語』3部作であり、その頂点が『傷物語〈III 冷血篇〉』なのだ。この作品で僕の願いが叶った。制作会社のシャフトとしても到達点のひとつとなった作品であるはずだ。

 尾石達也という不世出のクリエイターが、その才能と意欲の全てを叩きつけたフィルムだ。かつての彼は、あふれる情熱を持て余している印象があった。ひょっとしたら、今までのどの作品も不完全燃焼で終わっていたのかもしれない。しかし、『傷物語』3部作はそうではないはずだ。彼にとって初めての「やり切った作品」になったのではないか。さらに言うと、やり切っただけでなく、彼にとって情熱や稚気を維持したまま成熟した作品になっている印象だ。それもまた素晴らしい。

 『傷物語』の制作発表が2010年であったから、僕達は(「僕」ではなく、ここは「僕達」と書こう)足かけ8年、この作品の完成を待っていたわけだ。その間、ずっと制作を続けていたのかどうかは分からないが、長い時間がかかっているのは間違いない。であるにも関わらず、『傷物語』3部作には「煮詰まり感」がない。場面によっては作り手の初々しさすら感じた。僕が一番の驚きを感じたのはその点だ。

 尾石監督とシャフトに拍手だ。そして、尾石監督の次回作を1日も早く観たい。次は8年も待たせないでほしい。

(2017/01/11)