第705回 オサムさんの話をもう少し

板垣君のレンジ君のヤツ、良かったじゃん! 「おっ、ヤルな」って思っちゃった!

 これはコバヤシオサムさんからもらった最後の電話でした。去年の始め頃だったと思います。「レンジ君」とはもちろん村田蓮爾さんのこと。つまり俺が監督した『COP CRAFT』をちょっと褒めてくださったのです。オサムさんは村田さんとお友達なので『COP CRAFT』は「レンジ君のヤツ」になるわけ。オサムさんからあまり褒められたことがなかった自分は、その時の電話が結構嬉しかったのを憶えています。ちなみにこの時に限らず電話はたいがいオサムさんから、やっぱり飲み屋からが多かったです。「今、○○さんと飲んでるんだけど、板垣君の話題になってさぁ、飲みにこない?」と。とにかく顔が広いオサムさんは自分との共通に知人が多いのです。

てのもありました。なぜオサムさんんがWUG!のメンバーと? 未だに謎です。
 あと記録によると2013年6月になるのでしょうか? 意外と前だなと思ってるのですが、阿佐ヶ谷ロフトAにて12年ぶりの師匠との再会もオサムさんのおかげで実現したのでした。「コバヤシオサムのアニメ道(道)×3=アニメーター友永和秀」にゲストで呼んでいただいたんです。「板垣君、友永さんの弟子なんだから来てよ!」との電話で。あの名アニメーター・金田伊功さんがテレコムに遊びに来た際、友永さんの口から「コイツ俺の弟子!」と紹介されたのだから「弟子」と呼ばれることは否定しませんし光栄なことだ、と当時南阿佐ヶ谷にあったミルパンセから歩いて行きました、ロフトAへ。

アニメ様の『タイトル未定』
299 アニメ様日記 2021年2月14日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年2月14日(日)
グランドシネマサンシャインで『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第1章を観た。他は散歩とデスクワーク。

2021年2月15日(月)
途中から雨が降ってきたので、午前中の散歩は途中から傘を差して。午後はワイフと国立新美術館の佐藤可士和展に行く。自分は彼の仕事に雑誌の特集やムックで何度か触れていた。そのおさらいをする気分で展示を見た。基本的に知っている内容なので冷静に見てしまったけれど、それでも触発されるものはあった。会場の販売スペースに佐藤可士和さんがデザインをしたTシャツが売られていた。マンガやアニメ、あるいは特撮作品を題材にしたシャツもあり、欲しいものが沢山。勢いで買うと万単位で使ってしまいそうなので、この日は買うのはやめておいた。一番欲しかったのが『ポケットモンスター』シリーズのサトシゲッコウガのシャツだった。サトシゲッコウガは『ポケットモンスター XY&Z』の作画のいい回のイメージが強い。だから『新・鉄人』のブラックオックスが好きなのと同じ理由でサトシゲッコウガが好きだ。しかし、どうしてサトシゲッコウガ? マンガやアニメで今回のTシャツの題材になっているのは、他は1960~70年代の作品ばかりなのに。
池袋に戻り、食事をしてから事務所に。「川元利浩アニメーション画集」の色紙のイラストを発表する。取材の予習で『きみと、波にのれたら』『DEVILMAN crybaby』『フリップフラッパーズ』を流し観。

2021年2月16日(火)
早朝から体調が悪くなって朝9時に病院に。CT検査等をやってもらう。病名はここでは書かないけど、この日記の2020年12月9日で書いた体調不良の理由がようやく分かった。既に快方に向かっていて、薬は抗生物質をもらっただけ。その後も痛みは続き、騙し騙し仕事を続ける。午後に池袋駅前の喫茶店で打ち合わせを一件。今後の仕事についてちょっと考える。「川元利浩アニメーション画集」は編集作業の追い込み。

2021年2月17日(水)
昼前に痛みがひく。一時はどうなることかと思った。ああ、好きなだけ仕事ができるって素晴らしい。夕方からBONESで打ち合わせ。『ぶらどらぶ』をAmazon prime videoで8話まで観た。

2021年2月18日(木)
早朝に出社して、公園に行ってラジオ体操をやり、また事務所に戻るパターンが続いている(ちなみに朝のラジオ体操は午前6時30分から)のだが、この日はラジオ体操から戻ったところで、会社の階段で事務所スタッフとすれ違ってびっくり。彼は普段は自宅勤務であり、印刷会社から出た校正紙を見るにために、通勤ラッシュを避けて朝早く出社したらしい。病院に行って16日の検査結果を聞いたところ、特に問題はないとのこと。追加の薬もなし。「川元利浩アニメーション画集」の追い込みは続く。最終的な部数決定で悩む。深夜アニメの未視聴分を観て、午後はAmazon prime videoで「孤独のグルメ」を流す。何を観るかで悩んだ時は「孤独のグルメ」だ。全話観ているつもりだったけど、第5シーズンの後半は観ていなかった。

2021年2月19日(金)
散歩以外はデスクワーク。「川元利浩アニメーション画集」の追い込みは続く。『ホリミヤ』の未視聴話数を配信で視聴。『ホリミヤ』は気持ちが入れやすい。Netflixで『岸辺露伴は動かない』全4話を一気観した。最初に作られたエピソードは『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』Blu-ray・DVDの全巻購入者特典だったので、観る機会がないかもしれないと思っていた。それも含めて一気観は贅沢だった。『ゲンジ通信あげだま』のDVD BOXが出ることを知る。これは買ってしまうかも。
「川元利浩アニメーション画集」の編集作業の過程で、デザインをお願いしている井上則人デザイン事務所の井上さんが、飯田馬之介監督の追悼イラストを収録したページにコメントをくださった。飯田監督は昔からの友人で、イラストを見て感極まるものがあったのだそうだ。

2021年2月20日(土)
10時50分からの新文芸坐のモーニングショーで「Mank/マンク」を観る。プログラムのタイトルは「ハリウッド最高の脚本の舞台裏 Mank/マンク」。配信で観られる作品ではあるけれど、映画館で観てよかった。就寝前にKindleで「衛府の七忍」10巻を読む。これで完結か。うーん、もっと読みたかったなあ。

第175回アニメスタイルイベント
ここまで調べた片渕須直監督次回作【初級編】

 片渕須直監督は『この世界の片隅に』『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』に続く、新作劇場アニメーションを準備中です。新作のタイトルや内容は発表になっていませんが、平安時代に関する作品であるのは間違いないようです。
 新作の制作にあたって、片渕監督は平安時代の生活などを調査研究しています。その調査研究の結果を少しずつ語っていただくのが、トークイベントシリーズ「ここまで調べた片渕須直監督次回作」です。

 その第3弾となる【初級編】は5月15日(土)の開催となります。会場は新宿のLOFT/PLUS ONE。チケットは〈会場での観覧+配信視聴〉と〈配信視聴〉の2種類を販売しますが、コロナの感染状況を鑑みて、配信のみのイベントとなる可能性もあります。その場合、〈会場での観覧+配信視聴〉のチケットは払い戻しいたします。詳しくは以下にリンクしたLOFT/PLUS ONEのページをご覧になってください。

 なお、会場で観覧される方も配信で視聴される方も、事前に「枕草子」に目を通しておくとよいかもしれません。

 LOFT/PLUS ONEを含むLOFTの会場は厚生労働省が定めた、新型コロナウイルス感染症に関するガイドラインを遵守し、さらにガイドラインよりも厳しいLOFT独自の基準を設けて、万全を期してイベントを開催しています。
 来場されるお客様にはマスクの着用、手指の消毒をお願いしています。消毒液は会場に用意してあります。また、体調の優れないお客様は来場をお控えください。
 同じく新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、今回のイベントは通常の半分ほどの人数で定員となります。また、飲食物についてはお客様がカウンターで注文し、その場で代金を支払うキャッシュオン形式となります。

■関連リンク
LOFTグループのイベントページ
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/178164

アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

第175回アニメスタイルイベント
ここまで調べた片渕須直監督次回作【初級編】

開催日

2021年5月15日(土)
開場11時30分 開演12時 終演15時予定

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

片渕須直、小黒祐一郎

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信視聴/1,500円 ツイキャス配信視聴のみ/1,300円

■アニメスタイルのトークイベントについて
  アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

アニメ様の『タイトル未定』
298 アニメ様日記 2021年2月7日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年2月7日(日)
散歩とデスクワーク。午後に新文芸坐に行ったらビル前に行列ができていた。何事かと思ったら「若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映」のお客さん達だった。自分もその客の一人であり、2本立ての内の「連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」(1972/83分/第1作)を観る。上映中にネタとして話題になっているらしいところで、客席で笑い声がおきていた。映画としては満足。第2作の方が評判がいいのは知っていたけれど、第1作だけを観て劇場を後にした。自分は映画の 「子連れ狼」はこれが初見。TVドラマは熱心に観ていた。機会があったらTVドラマも観直したい。

2021年2月8日(月)
午前中の散歩で、池袋から代々木公園まで歩いた。代々木公園は非常事態宣言を受けて、売店でのアルコールの発売を中止していた。山手線で池袋に戻って、夕方までデスクワーク。就寝前にKindleで「僕の心のヤバイやつ」最新4巻を読む。ほとんどのエピソードをWEBで読んでいるけど、楽しめた。この関係性とこの感情をじっくり描いているのが面白い。ドラマや市川の心情よりも、山田の恋心を楽しんだ。

2021年2月9日(火)
この日の作業は「川元利浩アニメーション画集」で、デザイナーさんに渡すための素材の整理、ラフ描き、簡単なテキスト。「川元利浩アニメーション画集」の編集作業はまだまだ続くのだけれど、自分の作業としては山を越えた感じ。次の次に出す書籍、次の次の次に出す書籍の作業に入る。
作業をしながら、ドラマ「また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ」を観た。ちょっと変わった女の子が勘違いの恋を繰り返すドラマかと思ったら、同じ時間を繰り返すループものだった。

2021年2月10日(水)
午前中は散歩とデスクワーク。散歩時に「ぱにぽにだっしゅ!ボーカルベストアルバム 歌のザ・ベストテン」を聴く。昼に新文芸坐で「子連れ狼 三途の川の乳母車」(1972/81分/第2作)を観る。これも「若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映」の1本。凄い作品だと聞いていて、自分の中でハードルを上げすぎていたかもしれない。凄い作品であるのは間違いないんだけど、突っ込みどころも多い。いや、突っ込みどころも楽しむべきなのか。配信で『無能なナナ』を1話から観る。

2021年2月11日(木)
散歩とデスクワーク。『無能なナナ』を最終回まで観た後、現行の深夜アニメを配信で観る。グランドシネマサンシャインの斜め前にスーツショップ「P.S.FA池袋東口店」が開店。こんなところに堅いお店ができるんだなあと思っていたけど、店頭で『鬼滅の刃』や『新世紀エヴァンゲリオン』とコラボしたスーツやネクタイがディスプレイされていた。

2021年2月12日(金)
夕方、池袋TOHOシネマズで『劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal 後編』を観る。仕事の合間に、Amazon prime videoでドラマ「日本をゆっくり走ってみたよ」を数本観る。1話で「二十四の瞳はアニメ版もありましたよね」とマニアックな話題が。TVシリーズの『プリンセス・プリンシパル』を観ていたら、広川太一郎さん風の芝居のキャラクターが登場。気になって検索したら、放送当時に橘正紀監督がTwitterで、そのことについて説明していた。

https://twitter.com/tachicol_/status/896747653446344704

以下はポジスキャンについての話題。この場合のポジとはボジフィルムのことだ。同じポジを事務所のスキャナーと印刷会社のスキャナーでスキャンして、どれくらい差がでるかを試してみた。どうしてそんなことをやったかというと、これから作る書籍で大量のポジをスキャンすることになるかもしれないのだ。結論としては「ほぼ同じ」だった。勿論、印刷会社のスキャンの方がきれいではあるのだけれど、A5サイズくらいで印刷するのなら変わらないのではないかなあ。
20年くらい前に印刷会社でポジをスキャンしてもらうと予算がかかりすぎるので、デザイナーさんが使っているスキャナーでポジをスキャンして書籍で使えないか試してみたことがあった。その時はデザイナーさんが使っているスキャナーでは、印刷会社のスキャンには太刀打ちできなかった。今では、印刷会社のスキャンも安くなっているようだ。隔世の感があるなあ。

2021年2月13日(土)
午前中はワイフと散歩。その後は「佐藤順一の昔から今まで」のまとめ作業。土曜の午後の優雅な原稿タイムだ。近所のやきとん屋でつまみを買って、17時から吉松さんとSkype飲み。

第205回 青春は恥ずかしい 〜ハチミツとクローバー〜

 腹巻猫です。5月4日に中野サンプラザで開催予定の「資料性博覧会14」に参加します。新刊はありませんが、「THE MUSIC OF “ANNE OF GREEN GABLES”〜赤毛のアンの音楽世界〜」ほかの既刊と、SOUNDTRACK PUBレーベルのCDを頒布します。CDは店頭在庫切れ商品やお買い得アウトレット品も持ち込む予定。イベント詳細は下記を参照ください。
https://www.mandarake.co.jp/information/event/siryosei_expo/


 2005年のスタートから15周年を迎えたフジテレビのアニメ専門枠ノイタミナ。その第1作は『ハチミツとクローバー』(通称『ハチクロ』)だった。
 原作は羽海野チカによる少女マンガ。TVアニメを皮切りに、実写劇場版やTVドラマにもなった人気作品だ。
 TVアニメ版は2005年4月から9月まで全24話が放送された。さらに2006年6月から9月まで第2期全12話が放送されている。
 郷里を離れて美大に入学した竹本祐太は、個性的な先輩や先生に囲まれて、貧乏ながらも楽しい学生生活を送っていた。ある日、小柄で可憐な少女、花本はぐみが美大に編入してくる。はぐみと会った竹本は一瞬で恋に落ちてしまう。
 竹本とはぐみを中心に、竹本と同じおんぼろアパートに住む先輩の森田忍と真山巧、はぐみの才能を見出した花本先生、真山に片思いする美大生・山田あゆみ、真山が思いを寄せる年上のデザイナー・原田理花ら、さまざまな登場人物の悩みや恋やドタバタが描かれる青春ストーリー。
 原作の絵柄を生かした柔らかい線のキャラクターと淡い色調の美術、コミカルなシーンと繊細な心理描写の対比が効いた演出など、とても丁寧に作られた作品だ。ノイタミナは月9ドラマのように観られるアニメをめざして企画されたそうだが、ふだんアニメを観ない視聴者にも響く作品を作ろうという意欲がひしひしと伝わってくる。

 その意欲は音楽にも及んでいる。
 TVアニメ『ハチミツとクローバー』の音楽を手がけたのは林有三&サロン’68。林有三は1954年生まれ。バンド活動を経て、キーボード奏者・アレンジャーとして、さまざまなアーティストのツアーやレコーディングに参加してきた。サロン’68は林有三が結成したラウンジバンドで、60年代のイタリア映画音楽をオマージュしたアルバム「映画のような人生」(2002)、「或るヴァカンス」(2005)を発表している。
 1990年代に「渋谷系」と呼ばれる音楽のブームがあった。エンニオ・モリコーネやアルマンド・トロバヨーリといったイタリアの映画音楽作曲家の作品が再評価され、スキャットやオルガンをフィーチャーした心地よいグルーヴの音楽に人気が集まった。林有三&サロン’68が演奏していたのはそういう音楽である。
 林有三はサウンドトラック盤のライナーノーツで、「美大がドラマのベースである点、したがって芸術家の集まりであるという事から、若い響きをもった大人の音楽を書こうと思った。それは、このバンドが目指す音楽と一体だと信じたからだ」と語っている。
 『ハチミツとクローバー』は、大人の香りがする、おしゃれなラウンジミュージックに彩られたアニメだった。いや、そうなるはずだった……のかもしれない。
 というのも、完成した作品では、ラウンジミュージック風の音楽とともに、切ない曲やしっとりした曲がよく流れていたからである。この点について、林有三はこう証言している。
 「しかし番組が進んでいくにつれ、サロン’68のサウンドとは少し違う方向の音楽を書いた方がよりこのアニメーションには合うのではないかと思うようになった。結果的には、それが良い方向に出たと自負している」
 『ハチクロ』の音楽は、異なるタイプの曲がミックスされた、おしゃれで、ちょっとコミカルで、切ないものになった。個性に富んださまざまな曲が、サウンド的にはひとつの色調で統一されている。それは『ハチミツとクローバー』の世界そのものだ。
 本作のサウンドトラック・アルバムは、2005年9月に「TVシリーズ『ハチミツとクローバー』オリジナル・サウンドトラック」のタイトルでアニプレックスから発売された。初回盤はデジパック仕様で、レース模様のようにデザインされた白い紙の帯が下に巻かれている。凝ったデザインのしゃれたアイテムだった。
 収録内容は以下のとおり。

  1. 回りだす車輪
  2. ドラマチック(歌:YUKI)
  3. サークルオブフレンズ
  4. ウィークエンド
  5. 酒と酒の日々
  6. ボンボンベレッパ〜テーマ☆忍
  7. 猪突猛進
  8. はじまりの予感
  9. 四つ葉のクローバー
  10. ハチミツ(歌:スピッツ)
  11. ディスタンス
  12. やまない雨
  13. 放課後の色
  14. レゾンデートル
  15. それぞれの想い
  16. Mistake(歌:The BAND HAS NO NAME)
  17. 風の通り道
  18. 街へ出ようよ
  19. 乙女のレシピ
  20. 早足
  21. Panic!
  22. Hungry?
  23. たくらみに気をつけろ!
  24. 重ねた心
  25. やわらかな時間
  26. もつれる言葉
  27. 月とナイフ(歌:スガシカオ)
  28. 守りたいもの
  29. 恋のかたち、愛のかたち
  30. うちへ帰ろう
  31. そして、歩きだす
  32. ワルツ(歌:スネオヘアー)

 オープニング主題歌、エンディング主題歌のほかに、劇中に挿入歌として流れるスピッツやスガシカオの曲が、すべてフルサイズで収録されている。アニメサントラにはあまり例を見ない、ぜいたくな作りである。挿入歌は本作の重要な要素で、これがあることで『ハチクロ』の雰囲気が再現される。ちなみにスピッツの曲もスガシカオの曲もわざわざ他社レーベルから音源を借りて収録している。音楽に対する強いこだわりを感じさせる作りである。
 1曲目の「回りだす車輪」は第1話のアバンタイトル、少年時代の竹本が自転車に乗って「1度もふり向かずにぼくはどこまで走れるのかな?」と思う場面に流れる始まりの曲。自転車の車輪が回る映像は、心が動き出し、新しいなにかが始まる象徴として、本編でしばしば挿入される。その映像とともに、ピアノのためらうような旋律と低音の響きが印象に残る曲である。
 トラック3「サークルオブフレンズ」からトラック7「猪突猛進」は竹本たちの学生生活を彩るラウンジミュージック風の曲。スキャットが入った「サークルオブフレンズ」、オルガンとトランペットが軽快に奏でる「ウィークエンド」、リズムが強調された「酒と酒の日々」など。60年代ヨーロッパ映画の音楽と言われたら信じてしまいそうな、魅惑的な曲が並ぶ。
 中でもよく使われたのが、トラック6の「ボンボンベレッパ〜テーマ☆忍」。曲名に「忍」の文字があるように、困った先輩・森田忍のテーマのように使われていた。タイトルのとおり「ボンボンベレッパ」とスキャットで歌う楽しい曲だ。  次の「猪突猛進」はワウギターとオルガン、トランペットなどが奏でるロック調のスピード感のある曲。
 こういうラウンジ系の曲は、ほかにもある。バート・バカラック風のトラック18「街へ出ようよ」、女声スキャットをフィーチャーしたトラック19「乙女のレシピ」とトラック20「早足」、混声スキャットで「ダバダバ」と歌うトラック23「たくらみに気をつけろ!」など。いずれも気軽に楽しめるナンバーになっている。
 こういう曲が『ハチクロ』を代表する曲……と言いたいが、すでに書いたように、そうではないところが面白いところだ。
 本編ではラウンジ系の曲はもっぱらユーモラスなシーンに使われている。森田のいたずらに悩まされる竹本や、あゆみに責められる真山、はぐみとあゆみの強烈な料理に絶句する竹本たちなど、笑える場面にスキャットの曲が流れるパターンが多い。
 本来はおしゃれな音楽であったはずの「渋谷系」の曲が、本編ではギャグの音楽になっている。しかし、それはしかたないかもしれない。本作が放送された2005年は、もう「渋谷系」ブームも下火で、こういう曲はちょっとパロディ的に受けとられるようになりつつあった。
 だけど、それがかえって青春の恥ずかしさと重なり、いい感じを出している。
 ラウンジ系の曲よりも本編で活躍したのが、抒情的な曲や切ないメロディの曲だ。
 トラック8「はじまりの予感」は、第1話で竹本がはぐみと初めて出逢ったときに流れたオルゴール風の曲。ほかのエピソードでも、はぐみのテーマのように使われている。ニーノ・ロータが書くようなノスタルジックな旋律で、ミステリアスな味わいもある。
 同じメロディをピアノで奏でたのがトラック29の「恋のかたち、愛のかたち」。こちらはしっとりと聴かせる落ち着いた曲で、竹本がはぐみへの気持ちを意識する場面など、揺れ動く心を繊細に描くときに使われている。
 トラック9「四つ葉のクローバー」は全編を通してよく使用された曲。ピアノのシンプルなリズムから弦の抒情的なメロディに展開する。大きく盛り上がるわけではないが、じんわりと心にしみてくる、味わい深い曲である。第1話ではぐみに見とれる竹本を見た真山が「人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった」と心の中で思う場面など、口に出せない想いを伝える曲として重要な場面に使われた。『ハチクロ』を代表するBGMといえばこれだろう。
 このメロディをピアノを中心にアレンジした曲がトラック15の「それぞれの想い」。これも聴いていて温かくやさしい気分になるいい曲だ。
 ほかに印象深い曲といえば、真山が理花を想う場面によく流れていた、泣きたくなるような切ない曲「やまない雨」、ピアノとアコースティックギターが奏でる「守りたいもの」などがある。「守りたいもの」は第1期の終盤、自転車に乗ってひとり旅に出た竹本が海岸で人恋しくなる場面や亡き父との思い出が残る寝台特急「北斗星」を追いかける場面などに流れていた。
 ところで本作を代表する名場面に、第7話の、はぐみが野原で四つ葉のクローバーを探す場面がある。通りかかった竹本がはぐみを手伝い始め、さらにあゆみ、森田、真山も加わって、主要登場人物がそろって四つ葉のクローバー探しに参加する。だけど、四つ葉のクローバーは見つからない。幸せを探しながらも空回りする青春を象徴するような場面だ。トラック9の「四つ葉のクローバー」はこの場面を意識したタイトルだろう。いいタイトルだけど、実はこの場面にはこの曲は使われていない。
 実際に使われたのはトラック31の「そして、歩きだす」。ピアノやチェンバロ(?)の音色が愛らしいメロディを奏でる、心がほっこりするような曲である。第18話の卒業記念パーティの場面や第24話の旅から帰って来た竹本を仲間たちが迎える場面にも、この曲が流れている。使用回数は多くないが、節目となるシーンに流れていた大事な曲である。
 悩んだり、迷ったり、回り道をしたり、羽目をはずしたりしながらも、四つ葉のクローバーを探し続けずにいられない。そんな愛すべきキャラクターをやさしく包み込むようなこの曲をラストに置いた構成は、とてもいい。

 『ハチミツとクローバー』のサウンドトラックは、ラウンジ系、しっとり系、爽やか系、切ない系など、タイプの違う曲をバランスよく配し、挿入歌をまじえて本編の雰囲気を再現した好アルバムだ。主要な曲はほぼ、収録されている。
 ただ、このアルバムには本編で何度も使われた重要な曲が2曲もれている。それは、オープニング主題歌「ドラマチック」とエンディング主題歌「ワルツ」をアレンジした曲である。この2曲がないと、大切なピースが欠けているように感じてしまう。
 実はその2曲は、2006年12月に発売された「ハチミツとクローバー COMPLETE BEST」に収録されている。これは1期、2期の主題歌を集めたアルバムなのだが、ボーナストラック的に主題歌アレンジのBGMが入っているのだ。サントラ盤に物足りなさを感じた方は、こちらも手に入れるとよいだろう。
 個人的には『ハチクロ』から15年も経ったというのが驚きである。筆者はサントラ盤を発売当時買った。手元にあるパッケージには、今はない六本木WAVEの値札が貼ってある。いろいろなレコードやCDをこの店で買ったなと思い出す。もう青春という年齢ではなかったが、迷ったり、悩んだり、バカなことをしたりするのは若い頃とあまり変わらなかった。このアルバムには、そんな日々を思い出させる曲が詰まっているようだ。

TVシリーズ「ハチミツとクローバー」オリジナル・サウンドトラック
Amazon

ハチミツとクローバー COMPLETE BEST
Amazon

佐藤順一の昔から今まで(18)『カウボーイ ビバップ』と『彼氏彼女の事情』

小黒 96年頃はTVシリーズ各話の絵コンテが多いんですね。

佐藤 はいはい。

小黒 タイトルでいうと『セイバーマリオネットJ』(TV・1996年)、『少女革命ウテナ』(TV・1997年)、『カウボーイ ビバップ』(TV・1998年)、『セイバーマリオネットJtoX』(TV・1998年)、『彼氏彼女の事情』(TV・1998年)。これは何か事情があったんですか。

佐藤 いや、特に事情はないんだけど、基本的にもらったオファーは断らない主義でやっていたので、どんどん多くなった。今も基本はそうなんだけど。

小黒 『カウボーイ ビバップ』もそうですが、比較的泣ける話をやることが多かった。

佐藤 そうですね。

小黒 『セイバーマリオネットJ』なんか、いきなり最終回の前の回だから。

佐藤 そうだったんだよねえ(笑)。オファーを受けた時に「それまでの話を全然知らないのに大丈夫ですか」と言ったけど。しかも、最後が歌に合わせての音楽シーンだったし。

小黒 『元祖爆れつハンター』(OVA・1996年)も全3本の3本目ですよ。

佐藤 そうなんですよね。そういう話をもらうことが多かったんだけど、頑張りました、と。

小黒 『カウボーイ ビバップ』は、何かにつけて話題になる18話「スピーク・ライク・ア・チャイルド」ですね。いかがでしたか。

佐藤 どうだったかなあ。

小黒 脚本と全然違うわけじゃないんですよね。

佐藤 『ビバップ』はほぼ脚本どおりですよ。

小黒 終盤までは、アクションシーンがないとはいえ、普段の『カウボーイ ビバップ』なんですよ。

佐藤 はい。

小黒 やっぱり、最後の「フレー、フレー、私」で、全て持っていく。

佐藤 急にね(笑)。

小黒 急に『ビバップ』じゃなくて、女子高生ものになるっていう。

佐藤 でも、そういう話でしょ。「フェイがこんな女子だったの?」みたいな話だと思ったんで。

小黒 そうですそうです。

佐藤 凄い女子っぽくやって。「こんな女子っぽい部屋に住んでたの?」「こんな女友達とこんなキャッキャウフフやってたの?」という感じを出さなければと思いながらやってたはず。

小黒 佐藤さんにおけるリアルな女子描写の一環ですよね。

佐藤 そうそう。「こういうことでしょ、女子達って」というね。だから、競馬場のやさぐれた感じとの対比がどれぐらい出るかが勝負、といった感じでやってるんじゃない?

小黒 そういう意味では得意技が発揮されたということですね。

佐藤 そうだね。だから、そんなに悩んでやった感じじゃなかったかもしれない。自撮りしてるカメラの感じをどう出そうか、とかは結構工夫したかもしんないけど。

小黒 次の『彼氏彼女の事情』の18話「ACT18.0 シン・カ(朝雲暮雨)」は、初体験の話でした。

佐藤 そうですね。話には聞いてたけど、「今の少女マンガって本当にそういうところまでやるんだ」と思った。

小黒 これは絵コンテを2バージョン描いたんでしたっけ。

佐藤 えっ、そんなことがありましたっけ。

小黒 18話は放映版とビデオソフト版があるんです。後で修正版を作ったわけではなくて、同時に放映版とビデオソフト版を作ったらしいです。

佐藤 ちょっと記憶にないんだけど、もしかしたらそれは俺のコンテの後の作業だったりしない?

小黒 そうかもしれないですね。絵コンテの後で現場で対応したのかもしれない。

佐藤 『カレカノ』は原作の画をちゃんと使っていきたいっていう方針があったよね。縦長のコマは縦長で画面の中に入れるみたいな。

小黒 はい。

佐藤 そこまできっちり拾うのも面白いな、と思ってやった記憶があるよね、原作の画がそのまま拾えるところは拾っていく。これは(監督の)庵野さんの方針だったんだっけな。

小黒 庵野さんの方針でしょうね。あとは『ウテナ』も1回だけ絵コンテ描かれてますよ(34話「薔薇の刻印」)。

佐藤 これは「話が来たらやらねば!」と思っていた。

小黒 これは覚えてますよ。僕がオファーしたんです。

佐藤 ありがとうございます。

小黒 幾原さんから「佐藤さんに絵コンテを依頼してくれ」と言われてお願いしたんだと思います。それで、佐藤さんにメールを送ったら「いつそう言われるかと待ってました」という返事が来たんですよ。

佐藤 そうそう。言われたらやらねばと思っていた。もしやるんだったら、これに関してはペンネームじゃなくて本名でやる、ということも既に言ってたんじゃないかな。

小黒 それは、やっぱり後輩の作品だから。

佐藤 ちゃんとやんないとご祝儀になんないしねと思って。

小黒 お願いしたのは、どちらかというと難解な話でしたね。

佐藤 そうですね。意味が分からないところもあったけれど、分からないままやろうと思ってやりましたね。

小黒 手応えはいかがでしたか。

佐藤 手応えはね。コンテが上がってから、どのぐらい直しが入ったのが戻ってくるんだろうと思ってハラハラしてました。作品をちゃんと掴めてない可能性があるな、と思いながらやってたね(笑)。

小黒 修正は入っていましたっけ。

佐藤 割とそのままだったから「あ、よかったのかな?」と思いましたね。あの話で、小屋の中にFAXがあって、紙を吐き出していたよね。あのFAXはコンテチェックで足されたものだったかもしれない。

小黒 絵コンテを上げられて随分経ってからだと思いますけど、佐藤さんは「いや、ちょっと甘かった! もっと変わった追加してほしい!」と言ってましたよ。

佐藤 そうだっけ。『ウテナ』のコンテは「メタなのか、演劇なの? リアルなの? どこを目指せばいいんだ?」というのを掴みかねながらやっていて。その頃にやっと掴めてきたんじゃないかな。

小黒 ああ、なるほど。

佐藤 あるいは、もっと他にやり方があったと思ったのかもしれない。

小黒 どうもありがとうございました。

佐藤 いや、こちらこそ。自分もこういうのをやるとは全然思わなかったけど、勉強にはなりましたね。

小黒 そうですね。もっと普通の回、キャラクターを掘り下げる回とかを頼んだほうがよかったかもしれない。

佐藤 (笑)。いや、そういうのはやれる人がいっぱいいるんじゃない?

小黒 なるほど。

佐藤 だからあれですよ。『ビバップ』でもやり手のいなさそうな話が来る、とかね。それはそれで、自分にとっての勲章になるじゃない。

小黒 それでいうと、『(天空の)エスカフローネ』(TV・1996年) 15話「失われた楽園」は割と普通の話ですよね。

佐藤 亡者が黄泉の国へ行進していくような、「ロボットものなのこれ?」というシーンがあったから、やっぱりちょっと特殊な回かなとは思ったかな。

小黒 この頃、佐藤さんはそろそろフリーになるぞと思われていたんですか。

佐藤 どうだったかな。必要な時が来たら、東映を辞めてもいいという気が、あったはあったよね。『ユンカース』の時も「それを作るのは許さない」と言われたら、「辞めてやります」と言うつもりだったから。

小黒 なるほど。

佐藤 TVシリーズの『まほTai!(魔法使いTai!)』(TV・1999年)の時だったと思うけど、制作に「この作品をやりたい」と言ったら「辞めてから、やっていただかないと」ということだったので、「分かりました」と言って辞めたように記憶しています。


●佐藤順一の昔から今まで (19)シルバー王女と声優オーディション に続く


●イントロダクション&目次

第704回 オサムさん、さようなら

 予期せぬ訃報でした。コバヤシオサム(小林治)さん、早過ぎますよ——享年57歳って……。オサムさんとのお付き合い、自分はテレコムを辞めてすぐに各話演出で参加した『GAD GUARD』(2003年/制作GONZO)からでした。『GAD GUARD』は制作期間が長く、おそらく2002年の始めには顔合わせしていたはずなので、かれこれ20年近くになるかと思います。『GAD GUARD』でのオサムさんの役職は「セットデザイン」。内容は美術設定・世界観の構築とレイアウト・背景原図のチェックを全話(26本!)。大変な仕事量に驚愕したものです。そのバイタリティ溢れる仕事ぶりは当時27歳・フリーになりたての板垣にとって、かなり衝撃的でした! あとなんと言っても

圧倒的なテンションの高さ!!

 何百カット机に積まれてても、さらに「コンテも演出もやっちゃおうかな(笑)!」と。そう、いつでも(笑)なんですよ、オサムさんは! 普通の人なら平静を保っていられない量の仕事に笑って立ち向かえる方で、とてもカッコいいクリエイターでした。

謹んでご冥福をお祈りいたします

 オサムさんとの思い出はまだまだあるので、また次週。

アニメ様の『タイトル未定』
297 アニメ様日記 2021年1月31日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年1月31日(日)
新文芸坐で「ハニーランド 永遠の谷」(2019・北マケドニア/86分/DCP/ドキュメンタリー)を観る。新文芸坐で何度も予告を観て、鑑賞する気になった。ヨーロッパ最後の自然養蜂家である女性にスポットを当てた作品だ。ドキュメンタリーではあるが劇映画的な作りで、画づくりもよかった。自然養蜂家の女性のその後が気になって、上映後にパンフレットを購入。パンフレットに彼女のその後が書かれていた。14時からZoom打ち合わせ。散歩では『WOLF’S RAIN』のサントラのvol.1、2を聴く。

2021年2月1日(月)
「川元利浩アニメーション画集」「同・デザイン編」「同・原画編」の編集作業は続く。編集部スタッフには次の書籍の作業を進めてもらったり、年末以降に刊行する書籍のための資料の回収に行ってもらったり。午後から映画に行くつもりだったけど、作業を優先させることにしてとりやめ。『WOLF’S RAIN』を最終回まで観た後、Amazon prime videoで「Love Letter」を観る。散歩時には『WOLF’S RAIN』のサントラvol.2と「シン・ゴジラ」のサントラを聴く。

2021年2月2日(火)
仕事は「川元利浩アニメーション画集」の進行と他の書籍の進行。散歩は毎日続けている。午前中の散歩では池袋から王子まで歩いて、王子から赤羽まで歩いた。赤羽は久しぶりだ。コロナ禍で人気の立ち食いおでん屋も、いつも行列ができている居酒屋も空いてた。仕事にかかりっきりで、家にこもってばかりのワイフが体力も気力も落ちているようなので、午後に家から連れ出してミニ散歩。
Blu-ray BOXで『天元突破グレンラガン』の視聴を始める。何を当たり前のことを、と言われそうだけど、映像が鮮明だ。そのおかげで意外なくらい新鮮な気持ちで楽しむことができた。4話でシモンとカミナがブータの尻尾(と尻の肉)を食べて、グレンラガンが動き出すのだけれど、既にブータの螺旋力が発現しているように見える。アダイ村のエピソードは地味な印象だったけれど、観直すと味わいがあって、いい話だなあ。
「この人に話を聞きたい」のリストを自分のnoteにアップした。新米小僧さんがブログにアップしていたテキストに加筆したものだ。これからは自分で加筆していこう。今まで新米小僧さんがまとめてくれているのに甘えて、自分ではアニメージュの記事やイベントのデータをまとめていなかった。

「この人に話を聞きたい」リスト[note]
https://note.com/animesama/n/nbc65571108a9

2021年2月3日(水)
川元さんと打ち合わせ。「川元利浩アニメーション画集」「同・デザイン編」「同・原画編」の総ページ数が確定。他にも色々と決まる。引き続き、Blu-ray BOXで『天元突破グレンラガン』を視聴。午前中に「GURREN LAGANN ORIGINAL SOUNDTRACK」をネックスピーカーで聴きながら散歩をしていたら、あるアニメ監督さんからClubhouseのお誘いがあって、彼の世間話を聞きながらウォーキングを続けた。知人の話(しかも、朝食がどうしたとか、そんな話)を聞きながら歩くのは不思議な感覚だった。
noteに「アニメスタイルイベント」のリストをアップした。これも新米小僧さんがブログにアップしていたテキストに加筆したもの。

「アニメスタイルイベント」リスト[note]
https://note.com/animesama/n/nbdaaff9b1d81

2021年2月4日(木)
「川元利浩アニメーション画集」の作業が山盛り。主にデザイン関係の作業。新文芸坐の花俟さんと相談して、2月のオールナイトを中止することになった。『天元突破グレンラガン』Blu-ray BOXの視聴はTVシリーズを終えて『紅蓮篇』『螺巌篇』を観る。最終決戦直前はTVシリーズよりも『螺巌篇』のほうがしっくりくるなあ。ゲームの特典とした制作された5.5話「俺のグレンはピッカピカ!!」も観た。
今度はNoteに「設定資料FILE」のリストをアップした。アニメスタイルオールナイトのリストは書式を変えたいので、また改めて。

「設定資料FILE」リスト[note]
https://note.com/animesama/n/n9a9ee41315af

2021年2月5日(金)
嵐のような忙しさ。『天元突破グレンラガン』Blu-ray BOXの視聴はミュージッククリップやメイキング。当時のメイキング(井上麻里奈さんがレポーターを担当)では「あ、東小金井時代のGAINAXだ」とか「今石さんが若い」とか、当時とはまるで違った感想が。その後はTV『名探偵コナン』を昨年11月の放送分から最新話数まで観た。

2021年2月6日(土)
散歩とデスクワークの後、阿佐ヶ谷ロフトAに。吉松さんと配信イベント「アニメスタイルTALK アニメ様とサムシング吉松の酔っ払いトークPART8」の収録をした。今回はノンテーマで思いつくままに2人で話をした。収録は2時間ほど。コロナ禍ということで、居酒屋での打ち合わせは無し。配信した会場でそのまま少し吞んで解散。

佐藤順一の昔から今まで(17)『ゲゲゲの鬼太郎(4期)』と『地獄堂霊界通信』

小黒 『鬼太郎』で佐藤さんが演出した「逆襲!妖怪さら小僧」(33話)で「水木ビンタ」をやっていますよね。あの「ビビビビビッ」と平手打ちをするやつ。あれを映像でやったのは初めてだと思います。

佐藤 はいはい。あれも「やりたいこと」だったんだよね。

小黒 他に『鬼太郎』で試したかったことはあったんですか。

佐藤 なんとなくですが、原作独特の抜けた感じのセリフがスポイルされていくので、そういうテイストは入れたいな、というのはあったよね。

小黒 具体的には?

佐藤 やっぱりねずみ男の描き方かな。「ねずみ男ならこうするかな」というイメージがそれぞれの人にあると思うんだけど、俺の持ってるねずみ男の感じを出そうとしてる。

小黒 佐藤さんが思うねずみ男っていうのは、あんまりキャラクターが濃くないんですか。

佐藤 えっとねえ、視点みたいなことかな。とにかくお金が欲しくていつも腹を減らしてる。その割になんか自由でしょ。今思い出したものだと「怪奇!人食い肖像画」(84話)の時に、若い妖怪連れてこいって言われるんだけど、子泣き爺にカツラをかぶせて子泣き小僧にしてみるか、なんて思った後で、本当にカツラをかぶせて連れていって、やっぱり無理あったかなあと言ったり。そんなテイストなんだけど、分かりづらいかな(笑)。

小黒 間抜けってことじゃないですよね。

佐藤 そうだね。説明が難しいけど、「ねずみ男らしさ」みたいなものだよね。ただの守銭奴になっちゃうと、ちょっと違うかなと思う。ダメ人間味というかね。

小黒 なるほどなるほど。

佐藤 鬼太郎もただのヒーローじゃなくって、どこかちょっとボヤッとしてる。それでいて、「あ、これはやっぱり人間とは感覚が違うな」っていう怖さがチラチラ見えるところだね。

小黒 この取材の前に佐藤さんの演出回を観返してきたんですが、「雪コンコン! 笠地蔵」(51話)が傑作ですよね。

佐藤 あ、あれはよいよね (笑)。

小黒 本放送の時は『鬼太郎』にしては食い足りないと思ったはずなんですけど、歳を重ねて観ると、このしみじみとした味わいがたまらんみたいな。

佐藤 爺さん婆さんのあの会話とかね。

小黒 だけど、どう見ても、平成のお爺さんお婆さんじゃない。

佐藤 違う(笑)。戦前だよね。

小黒 でも、山を下りてくると現代だっていうね(笑)。

佐藤 (笑)。土産物屋に行くと、その店が今風の観光地になってたりするんだよね。

小黒 そうそう。あんなお店では、昔風の笠は売れないだろうなあと思いますよね。

佐藤 普段どうやって暮らしてんだよ(笑)。『鬼太郎』の原作に昔話の「笠地蔵」をアレンジした話があって、それをさらに脚本で膨らましたんだったかな。「趣味」に合ってる話だったよね。なんにも起こらないし解決もしないっていう。

小黒 あの話は妖怪を倒してないですからね。一本ダタラという妖怪が出てくるんだけど、餅をあげたら「帰って寝るよ」と言って帰っていっちゃう(笑)。

佐藤 そう、あの妖怪の感じも、そうなのよ。子ぎつねとのやりとりも「許すよ。さてと、喰うか」「えー!?」「許すけど喰うよ」みたいな(笑)。

小黒 そうそう。許すことと食べることは関係なかった。

佐藤 あの辺のテイストは、もしかしたら、演出で足したのかもしれない。水木ワールドはこうである、っていう。

小黒 「雪コンコン! 笠地蔵」は、ちょっと大人向けのアニメでしたよ。

佐藤 そうだよね。細田守が頑張って雪を降らしてましたから(笑)。

小黒 この回とさっきも触れた「怪奇! 人食い肖像画」(84話)で、細田さんが演出助手だったんですよね。

佐藤 そうそう。

小黒 当時から見どころありましたか。

佐藤 その時点では、演出家としての見どころは分からなかったけど(笑)。相当大変な作業を「雪コンコン」ではさせちゃったな、とは思う。デジタルでは、雪はツールで降らせるけど、当時は雪セルを作っていたからね。そして、降り方によって動く速さを変えなきゃいけない。雪セルは兼用なんだけど、全カットに入れるから。自分でも経験あるけど、助手は素材作りが大変なんですよ。

小黒 どの話も面白いんですけれども「もち殺し! 妖怪火車」(45話)。

佐藤 ああ、火車。

小黒 妖怪が、親のお通夜にも来ない子供達を懲らしめようとする話ですね。脚本がこういった話だったんですか。

佐藤 あれは、脚本どおりに近いかな。

小黒 ご自身的にはどうだったんですか。

佐藤 ちょっと分からずにやってるとこはあるかもね。

小黒 つまり、この物語で妖怪側に肩入れしていいのかということですね。

佐藤 そうそう。普段はある程度、自分で演出のフォーカスを当ててやれてると思うんだけど、「もち殺し」はいまいちフォーカスが当てられなかった記憶がある。

小黒 問題意識のある話ですよね。だけど、死んだお母さんが「あんたらが頑張ってくれてるのが、私は嬉しいんだからいいのよ」と言ってしまうので「え! そんなに簡単に許しちゃうの!?」と思いました。

佐藤 そういう話だったね。ただ、それもある意味、水木さんテイストかなと思って。でも、脚本がどうなっていて、それを変えたのかどうかは覚えてないなあ。

小黒 少なくともシナリオ打ちで、意見をガンガン出したりはしてないんですね。

佐藤 多分、してないですね。

小黒 『鬼太郎』の時は話を選べたんですか。

佐藤 話は選ばないけど、シナリオ打ち合わせには基本出てたかな。「人食い肖像画」だけは、オリジナルでこういうのやりたいんだけど、って提案したやつですね。

小黒 「人食い肖像画」はどんなところがやりたかったんでしょうか。

佐藤 ねこ娘が四つ足でアクションするところがやりたかったんだけど、どちらかというとしっとりした話にした。ねこ娘が歌うところが山場になっているけど、ギリギリ四つ足アクションもやれてるのがね。

小黒 そこなんだ(笑)。

佐藤 四つ足アクションがやりたかったんですよ。貝澤(幸男)の回(3話)で、地下鉄の暗いところでバトルしてる時に、ねこ娘が四つ足で跳ねてるのがめっちゃかっこいいなと思って。「ねこ娘のこれやりたーい」と、ずっと思ってたんだけど、なかなかその機会がなかったので、自分から「ねこ娘の話がやりたいです」と言った。

小黒 なるほど。佐藤さんの回は、アクションよりは泣ける話が多かった印象なんです。「妖狐・白山坊の花嫁」(39話)もそうだし、「怪談! 妖怪陰摩羅鬼」(24話)もそうですね。これはたまたまそうなってるんですか。

佐藤 そのはずです。もしかしたら、プロデュースサイドで「こういう話が合っているんじゃないか」と組み合わせをしたかもしれないけど、こちらからのオーダーじゃないんだよね。

小黒 劇場版の『ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター』(映画・1997年)はいかがですか。

佐藤 『おばけナイター』をやりたいと言ったのは脚本の島田満さん。

小黒 そうなんですね。

佐藤 打ち合わせで、島田さんと意見が合わなかったのは最後の展開についてですね。メインのゲストの三太郎君が妖怪バットを使って、ついにホームランを打ってすっきりする、という話を島田さんが書いてきたんです。野球少年が夢を叶えた爽快感みたいなものを描きたいと言っていたんだけど、妖怪バットでホームラン打っても、多分すっきりしないので、僕が「ここはホームランを打てないほうがよいです」と主張して、結構バトルになったんです。

小黒 なるほど。

佐藤 「じゃあ、一回コンテでやってみるので、それでもし違うようだったらもう一回打ち合わせしましょう」となったんじゃなかったかな。

小黒 で、絵コンテの内容でOKだったんですか。

佐藤 それでダメ出しは来ていないので、一応はそうかな。

小黒 『鬼太郎』を総括すると、佐藤さんにとってはどんな作品でしたか。

佐藤 それまでは女児ものが多くて、少年ものもやりたいと言っても、なかなかできなかった。『鬼太郎』は少年ものとは言えないかもしれないけど、いつもと違うことができた。笑いのテイストも、いつもやってるのとはちょっと違うし、ホラーっぽいテイストも色々試せたんだよね。そういうことで、楽しかった印象はありましたね。4期の『鬼太郎』は何度も観直しているし、観直して面白いと思います。

小黒 他の研修生の方のお仕事はどうでした?

佐藤 それほど意識はしてなかったかもしんないね。ただ、シリーズディレクターが西尾大介なので、彼からダメ出しをもらったりはした。それについてはシリーズの方向性とか仕事の仕方がそうなんだ、ということは分かるので、別に揉めたりもしなかったし。

小黒 西尾さんと同じ作品に参加するのも珍しいですよね。

佐藤 そうなんです。珍しいんですよ。あんまりないもんね。

小黒 この頃の作品としては『地獄堂霊界通信』(OVA・1997年)もありますよね。

佐藤 はいはい。

小黒 佐藤さんにしては珍しいテイストですし、東映としてもちょっと珍しい感じですよね。

佐藤 そうね。これは東映ビデオから来た企画ですね。

小黒 どういうプランで臨まれたのでしょうか。

佐藤 東映ビデオからオファーが来て、やることになりました。それで原作を読んだら、ファンがどういうところを面白がっているかっていうことも分かってきて。原作の世界を活かして、怖いところはちゃんと怖く、楽しいところは楽しく。そして、少年達を愛らしいものとして描く、みたいな目標を定めているはずです。

小黒 なるほど。

佐藤 これは、実写の映画も同時に進んでたのかな。

小黒 そうなんですね。

佐藤 こちらはより原作に近い方向性にしようと思ってやっていました。

小黒 アニメ版のキャラクターデザインは原作に近いですが、画作りは原作とちょっと違いますよね。鉛筆でグリグリと描いていて、相当画が濃いですよね。

佐藤 そうそう。少し汚いくらいに、ゴチャゴチャと描いていく感じでいきたいと思ったんです。現場がトランス・アーツで、東映じゃないんですよ。スタッフが全然知らない人達なので、演出として細田雅弘君がついてくれてたんじゃなかったかな。方向だけ示して、現場のことは細田君にまとめてもらった記憶がありますね。

小黒 クレジットだと監督が佐藤さん、演出は佐藤さんと細田雅弘さんの連名ですね。これは2話構成の作品ですが、前半が佐藤さんで後半が細田さんとか、そういうわけではないんですね。

佐藤 絵コンテは、1本目が俺で、2本目を細田君がやってたはず。

小黒 演出処理は両方とも細田さんなんですね。

佐藤 確かそうですね。あ、一応両方ともレイアウトチェックまではやったかも。


●佐藤順一の昔から今まで(18)『カウボーイ ビバップ』と『彼氏彼女の事情』 に続く


●イントロダクション&目次

第174回アニメスタイルイベント
アニメ様の1990年代

 5月1日(土)昼開催のアニメスタイルイベントは「第174回アニメスタイルイベント アニメ様の1990年代」です。アニメスタイル編集長の小黒が自身の1990年代の仕事、つまり、アニメ雑誌、アニメムック、レーザーディスク解説書などの仕事について振り返ります。このイベントは小黒のアニメ雑誌ライター35周年を記念したものであり、彼の誕生日イベントでもあります。

 ゲストは「WEBアニメスタイル」の「サムシネ!」でお馴染みのアニメーター、マンガ家のサムシング吉松さん。なお、今回のトークの内容は2016年に開催した「第114回アニメスタイルイベント 2時間で語るアニメ様の30年」と重複がある予定です。

 会場は阿佐ヶ谷ロフトA。開演は今までのイベントよりも早い12時から。配信はトークのメインパートのみとなります。今回も先行してロフトグループによるツイキャス配信を行い、その後にアニメスタイルチャンネルで配信します。

 チケットは4月21日(水)18時から発売。チケットは「会場でのイベント観覧+ツイキャス配信視聴」と「ツイキャス配信視聴」の2種類を用意します。アニメスタイルチャンネルでの配信は、同チャンネルの会員の方が視聴できます。チケットに関して詳しくは、以下にリンクしたLOFTグループのページをご覧になってください。

 阿佐ヶ谷ロフトAを含むLOFTの会場は厚生労働省が定めた、新型コロナウイルス感染症に関するガイドラインを遵守し、さらにガイドラインよりも厳しいLOFT独自の基準を設けて、万全を期してイベントを開催しています。
 来場されるお客様にはマスクの着用、手指の消毒をお願いしています。消毒液は会場に用意してあります。また、体調の優れないお客様は来場をお控えください。

 同じく新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、今回のイベントは通常の半分ほどの人数で定員となります。また、飲食物についてはお客様がカウンターで注文し、その場で代金を支払うキャッシュオン形式となります。

■関連リンク
LOFTグループのイベントページ
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/broadcast/176733

アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

第174回アニメスタイルイベント
アニメ様の1990年代

開催日

2021年5月1日(土)
開場11時半 開演12時 終演15時予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

小黒祐一郎、サムシング吉松

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信視聴/1,500円 ツイキャス配信視聴のみ/1,000円

■アニメスタイルのトークイベントについて
  アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

第703回 原画描けると便利

 現在放送中の監督作品『蜘蛛ですが、なにか?』について書き(語り)たいのですが、あまりの忙しさに内容的に触れていいのか悪いのかを確認する時間がなくて、基本に返って(?)アニメに関する駄話を少々続けさせてください。『蜘蛛』の話はもう少し落ち着いたらってことで(実は次の別作品の準備も始まり、落ち着くのはいつになることやら)。

とは言いつつも、ここ最近はひたすら『蜘蛛』の原画直し! 結局少しは『蜘蛛』絡み!

 アニメーター不足の昨今、海外に撒いた原画を社内のスタッフでひたすら直す! もちろん社内班は育てたスタッフで丁寧に、がモットーなのですが、それだけでは賄いきれないのでグロス・外撒きをした上で、上がりを確認し、自分もしくは演出の方から説明して社内の若手で修正しまくるわけです。それはそれで出来悪な原画でも真っ白から描くよりはマシ。

下手な原画でも下敷きにし、それを「負の道標」として違うラフを素早く入れて後輩へ! 直接一発原画にする場合もよくあります!

 自分、ヒット作はなくても、有り難いことにアニメーターと監督の場数だけはそれこそ1週と空けずに踏み続けさせてもらってます、現在まで。なので悪い原画のどこをどう直せばよくなるのか? は割と見た瞬間に分かります。原画キャリアをもうかれこれ25年積んでて本当によかった! いや、以前アニメータ上がりじゃない演出・監督のチェックを多数見た時期があったのですが、拙い画で一所懸命描かれた演出修正指示が、アニメーターにとってとてもやりづらいものだったりして、いたたまれなかったことがしょっちゅうあり、少なくともアニメで演出をする際「己がアニメーターである」ことの利便性は計り知れません! だから最近、制作上がり(アニメーター出身でない)の演出さんらに対して「原画教室、開こうか?」と声をかけてみたところ、「あ、受けたいです」と返ってきたので、近いうちにやってみようかなと思っています。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 129
大友克洋監督のアニメーション

 新文芸坐とアニメスタイルの共同企画によるオールナイトが、数ヶ月ぶりに開催されます。タイトルは「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 129 大友克洋監督のアニメーション」。
 『AKIRA』『スチームボーイ』は大友克洋さんが監督を務めた超大作。『AKIRA』は新文芸坐としては初めての4Kリマスター版での上映となります(4Kリマスター版を2Kで上映)。『MEMORIES』は「彼女の想いで」「最臭兵器」「大砲の街」の3本で構成されたオムニバス映画。大友さんは原作、制作総指揮などを兼任し、「大砲の街」では監督も務めています。
 トークコーナーのゲストは『スチームボーイ』でメカ・エフェクト作画監督を担当し、『MEMORIES』に原画として参加した橋本敬史さん。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長です。

 なお、新型コロナウイルス感染予防対策で、観客はマスクの着用が必要。入場時に検温・手指の消毒を行います。全席指定席で、前売券の発売は4月17日(土)から。前売り券の発売方法については、新文芸坐のサイトをご覧になってください。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 129
大友克洋監督のアニメーション

開催日

2021年4月24日(土)

開場

開場:22時10分/開演:22時30分 終了:翌朝6時15分(予定)

会場

新文芸坐

料金

一般3000円、友の会2800円

トーク出演

橋本敬史(アニメーター)、井上俊之(アニメーター)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)

上映タイトル

『AKIRA』4Kリマスター版(1988/124分/DCP・2K上映)
『MEMORIES』(1995/113分/35mm)
『スチームボーイ』(2003/126分/35mm)

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

アニメ様の『タイトル未定』
296 アニメ様日記 2021年1月24日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年1月24日(日)
散歩と原稿だけの日。星占いによれば、この日の牡牛座は「プールの水をおちょこでくみ始める」みたいな日。正しく今の原稿の状況だ。だけど、原稿だけやる日というのは、それはそれで楽しい。『GOSICK-ゴシック-』を流しながら作業をする。

2021年1月25日(月)
原稿に集中した日。先に1日のスケジュールを組んで、2時間作業をしたら散歩、2時間作業をしたら食事と、2時間単位で作業を進めた。原稿の参考にドラマ版「世界の中心で、愛をさけぶ」数話版を流す。その後、ドラマ版「白夜行」を観る。『美少女戦士セーラームーン』が放送されていた頃、原稿の参考にトレンディドラマを観ていたのを思い出す。
就寝前にKindle Unlimitedで「かしましハウス」の再読を開始。メチャクチャ面白い。昔の友人に再会したような楽しさ。ただし、今では長女のひとみですら、自分の娘くらいの年齢だ。

2021年1月26日(火)
引き続き原稿に集中した日。この日も2時間単位で作業を進めた。『血界戦線』を1話から最終回まで観て、その後は『血界戦線 & BEYOND』を観る。『血界戦線 & BEYOND』は本放送時よりも楽しめた。散歩中も『血界戦線』のサントラを聴く。

2021年1月27日(水)
数日続いた「川元利浩アニメーション画集」のキャプション原稿が一段落。『血界戦線 & BEYOND』を最終回まで観た後、TV『カウボーイビバップ』を再生。散歩中も『ビバップ』のサントラを聴く。『ビバップ』は音楽も、その使い方も印象的だけど、そもそも音響の考え方が他のアニメと違うんだなあ。
『新世紀エヴァンゲリオン』とコラボしたパンが発売になった。デニッシュがローソン限定、コアドーナツがファミリーマート限定と、店舗によって扱っている商品が違う。ワイフが食べたがっていたので、散歩の途中でコンビニとスーパーに寄って、全種類をゲット。自分が食べる分も購入した。これからしばらく、昼飯はエヴァパンだ。

2021年1月28日(木)
原稿が一段落したので、他の編集作業を進める。川元さんとの打ち合わせもあり。作業しながら『カウボーイビバップ』のTVシリーズ終盤と『COWBOY BEBOP 天国の扉』を流す。散歩中に『カウボーイビバップ』サントラの2枚目と3枚目を聴いた。

2021年1月29日(金)
午後は新文芸坐で映画を観るつもりだったのだけど、とてもそんな余裕はなかった。散歩時には『COWBOY BEBOP』からの流れで『WOLF’S RAIN』と『マクロスプラス』のサントラを聴く。「シン・ウルトラマン」の特報を観た勢いで「ウルトラマン」のサントラを聴きたくなったけど、自分のパソコンにもサブスクにもなく、AmazonでCDを注文した。事務所にいる間は、深夜アニメの未視聴分を流しながら作業。
「シン・ウルトラマン」のクライマックスがこうなるんじゃないか、というか、こうなるといいなという妄想が浮かんだ。「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」というキャッチコピーから膨らんだ妄想だ。

2021年1月30日(土)
朝と昼はデスクワークと散歩。新文芸坐の14時55分からの回で「ラストレター」(2019/120分/DCP)を観る。プログラム<#岩井俊二の世界 あるいは静謐な眼差しと人生の過酷さについて>の1本。これはロードショーで観るつもりで見逃してしまった映画だ。かなりよかった。演出も役者もよかった。物語中の情報の扱いについて非常に巧みな映画だった。ヒロインの夫を演じているのが庵野さんで、出番は多くはないのだけれど、いい味を出していた。就寝前にKindleで「ラストレター」の原作小説に目を通す。映画で気になった部分があり、原作だとどう書かれているかを確認したかったのだ。
DVD BOXで『WOLF’S RAIN』の再々鑑賞をスタート。いや、再々々鑑賞かもしれない。冬に観る『WOLF’S RAIN』もいいな。

第204回 夢と希望は色あせない 〜Yes!プリキュア5&Yes!プリキュア5GoGo!〜

 腹巻猫です。4月7日に2枚組CD「Yes!プリキュア5&Yes!プリキュア5GoGo! メモリアルアルバム」がマーベラスから発売されました。3月に公開された『映画 ヒーリングっど・プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』でプリキュア5が共演したことから企画された歌と音楽集です。選曲・構成・解説を担当しました。初収録音源もありますので、ぜひお聴きください!
https://www.amazon.co.jp/dp/B08TQ9KMT6/


 過去に発売されたサントラ盤を新たな構成で発売しなおす機会はそうそうない。よほど人気作品でなければかなわないことだ。
 いっぽうで構成者の立場からすると、「あの曲も入れておけばよかった」とか「最後はこうなるとわかっていたら、別の曲順にしたのになあ」と、一度リリースしたサントラ盤に悔いが残ることがある。いや「悔い」とはちょっと違うな。そのときはベストの構成と考えていたのだから。「チャンスがあれば別の構成に挑戦してみたい」という野望である。
 「Yes!プリキュア5&Yes!プリキュア5GoGo! メモリアルアルバム」は筆者にとってそんな野望がかなったアルバムになった。
 今回はこのアルバムについて書いてみたい。

 『Yes!プリキュア5』と『Yes!プリキュア5GoGo!』は2007年2月から2009年1月まで連続して放映されたプリキュアシリーズ第4作目と第5作目にあたる作品である。
 サンクルミエール学園に通う女子中学生、夢原のぞみ、夏木りん、春日野うらら、秋元こまち、水無月かれんの5人は異世界から来た妖精ココとナッツと出逢い、伝説の戦士プリキュアに変身する力を手に入れた。彼女たちは襲い来る邪悪な敵(『Yes!プリキュア5』ではナイトメア、『Yes!プリキュア5GoGo!』ではエターナル)から平和な世界を守るため、壮絶な戦いをくり広げる。
 それまでのプリキュアシリーズではプリキュアは2人が基本だったのに対し、『Yes!プリキュア5』はプリキュアが5人に増え、群像劇とチームアクションで見せる作品になった。生まれ育った環境も個性もバラバラの5人が、ときに対立したりしながらも力を合わせてひとつの目標に向かっていく。その姿が幅広い層に支持され、続編『Yes!プリキュア5GoGo!』が制作されるほどの人気を得た。プリキュアシリーズで同じキャラクターで2年にわたって放映された作品は現在のところ本作が最後である。
 放映から10年以上を経ても本作の人気は根強く、2019年にNHK BSプレミアムで放送された「発表!全プリキュア大投票」では、作品部門の第3位に『Yes!プリキュア5GoGo!』が、第6位に『Yes!プリキュア5』が選ばれている。また、プリキュア部門では本作から3人のプリキュアが10位以内にランクイン。歌部門では『Yes!プリキュア5GoGo!』のオープニング主題歌が堂々の第2位、『Yes!プリキュア5』のオープニング主題歌が第4位という結果だった。
 本放映当時に発売されたサウンドトラック盤の構成・解説は筆者が手がけた。筆者はシリーズ第2作『ふたりはプリキュア Max Heart』(2005)からプリキュアのサントラ盤の仕事をしているが、この頃は毎回の音楽録音に立ち合い、録音が終わったあとのスタジオで作曲家インタビューもしていたので、たいへんに思い出深い作品である。
 劇中音楽(BGM)は、シリーズ第1作『ふたりはプリキュア』(2004)から音楽を手がけている佐藤直紀が2作とも担当。舞台となる学園や街並みがヨーロッパ風に描写されているのに合わせて、ヨーロッパの香りがするしゃれたサウンドで書かれた曲が耳に残る。プリキュアの変身曲や活躍曲は佐藤直紀ならではのキャッチーなメロディとダイナミックなオーケストレーションで仕上げられ、シリーズの集大成という印象だ。この2作品が佐藤直紀が音楽を担当したプリキュアTVシリーズ最後の作品になった。
 当時発売されたサントラ盤は、『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア5GoGo!』それぞれで2枚ずつ。『Yes!プリキュア5』のために作られたBGMはバージョン違いも含め70曲あまり。『Yes!プリキュア5GoGo!』では同じく50曲あまり。これまで発売されたアルバムに大半の楽曲が収録されている。
 また歌ものに関しては、放映当時、それぞれにソングアルバムが2枚、ベストアルバム1枚が発売されている。主題歌とキャラクターソングは、のちに発売された「プリキュア ボーカルベストBOX」やコンピレーションアルバムに再収録される機会も多かった。

 歌のアルバムもサントラ・アルバムも熱心な『プリキュア5』ファンはすでに持っているだろう。そこで、今回の「メモリアルアルバム」はこれまでにないコンセプトで作ってみた。歌とBGMをひとつのアルバムにまとめてプリキュア5の世界を表現しようと考えたのだ。2013年発売の10周年記念CDセット「プリキュア ボーカルベストBOX」でもソングアルバムのラストにBGMパートを設けて同じようなことを試みたが、今回の構成はそれとは違う。歌とBGMを区別せずに並べて、ひとつの流れの中で聴いてもらうことをめざした。イメージは「歌とオーケストラサウンドによるプリキュア5のコンサート」である。
 同時に選曲にあたっても、過去のアルバムへの再挑戦として、蔵出し音源や近年発売されたアルバムに収録されていない曲をフォローしたいと思った。
 歌ものについては、「プリキュア ボーカルベストBOX」の発売前に「メモリアルボーカルセレクション」というシリーズが各作品で発売されていて、BOXはそちらと内容が同じにならないように選曲した経緯がある。なので、「ボーカルベストBOX」に収録されなかった重要曲がいくつかあるのだ。『ふたりはプリキュア』の劇中で流れた「☆SHINING STAR☆」「Heart to Heart」などはその一部である。
 いっぽう、BGMはほぼ全曲がCDに収録されているが、劇中に使用されていて、まだ商品化されていないバージョン違いの楽曲が何曲か残っている。今回はその中のいくつかを収録することにした。
 ディスク1「Yes!プリキュア5」編の内容を紹介しよう。収録曲は下記のとおり。

  1. メタモルフォーゼ!〈V-4A〉
  2. プリキュア5、スマイル go go!(歌:工藤真由)
  3. メタモルフォーゼ〜青春乙女LOVE&DREAM〜(歌:ぷりきゅあ5)
  4. 5つの心!プリキュア5!!〈V-16〉
  5. 乙女の力、受けてみなさい!〈V-15〉
  6. もん!太陽ドリーム(歌:夢原のぞみ/キュアドリーム[CV:三瓶由布子])
  7. リバーシブル(歌:夏木りん/キュアルージュ[CV:竹内順子])
  8. とびっきり!勇気の扉(歌:春日野うらら/キュアレモネード[CV:伊瀬茉莉也])
  9. サブタイトル〈V-1〉
  10. 私の夢、けってーい!!〈V-32〉
  11. Yes!〈V-38〉
  12. イケメン登場!〈V-24〉
  13. キラキラしちゃってMy True Love!(歌:宮本佳那子)
  14. 見て見て見てね!! ★
  15. プリキュアキャッチ!〈V-2〉
  16. プリキュアキャッチ2!〈V-3〉
  17. 信頼(歌:秋元こまち[CV:永野 愛])
  18. Heavenly Blue(歌:水無月かれん/キュアアクア[CV:前田 愛])
  19. 星の冠(歌:コージ&夏[CV:草尾 毅&入野自由])
  20. 闇からの使者〈V-47〉
  21. コワイナー出現!(Alternate version) 〈V-29B Perc & Pf & Strings ver.〉★
  22. プリキュアの敗北(Alternate version) 〈V-103 Brass,Horn Cut〉★
  23. 女帝デスパライア(Strings version) 〈V-105 Strings Only〉★
  24. プリキュアfly(歌:工藤真由)
  25. 1、2、シュート!〜Five Explosion〜(歌:夢原のぞみ[CV:三瓶由布子]&ぷりきゅあ5)
  26. 信じる仲間とともに〈V-46〉
  27. プリキュア・ファイブ・エクスプロージョン!〈V-101〉
  28. 希望の絆〈V-9B〉
  29. 思いは空を超えて〈V-109〉
  30. ガンバランス de ダンス〜夢みる奇跡たち〜(歌:宮本佳那子 with ぷりきゅあ5)

 ★=初収録音源
 〈〉内はMナンバー
 ※歌手のコーラス表記は省略しました。

 1曲目は5人共通の変身BGM。『Yes!プリキュア5』を象徴する楽曲であり、アルバムの開幕を飾るにふさわしい曲だ。
 続いて、オープニング主題歌「プリキュア5、スマイル go go!」とプリキュア5人が歌うイメージソング「メタモルフォーゼ〜青春LOVE&DREAM〜」を収録。「メタモルフォーゼ〜青春LOVE&DREAM〜」はキャラクター名や技名を織り込んだ、70年代アニメソングみたいな燃えるキャラクターソング。「プリキュア ボーカルベストBOX」から漏れた1曲である。
 トラック4〜5にはプリキュア登場&活躍シーンに流れるBGM「5つの心!プリキュア5!!」「乙女の力、受けてみなさい!」を収録した。いずれも使用頻度の高い、代表的なアクションBGMである。躍動感みなぎる佐藤直紀のプリキュアサウンドに「来た来た!」と気持ちが高揚する。
 ここまではコンサートの序盤のイメージで、「最初からクライマックス」を意識して盛り上がる曲を詰め込んだ。これまでのサントラ盤にはなかった構成である。
 トラック6〜8は、のぞみ、りん、うららのキャラクターソング。「とびっきり!勇気の扉」はシングルバージョンとアルバムバージョンがあるが、ここでは第20話の劇中で流れた、のぞみたちがコーラスを務めるバージョンを収録した。
 トラック9〜12はサブタイトル音楽と日常場面でよく流れた軽快なBGM。聴けば「そうそう! 『プリキュア5』ってこんな感じ!」と想い出がよみがえるファンも多いだろう。それだけ耳になじんだ曲である。「イケメン登場!」は妖精ココとナッツが人間に変身した姿、コージと夏のテーマ曲。
 前期エンディング主題歌「キラキラしちゃってMy True Love!」に続いて、トラック14は次回予告用音楽「見て見て見てね!!」。放映当時発売されたサントラ盤には収録されなかった初商品化音源だ。
 アイキャッチ音楽2曲をはさみ、トラック17〜19は、こまちとかれん、ココ&ナッツのキャラクターソングを収録。
 トラック20〜23はプリキュアの敵ナイトメアの脅威を表現するBGM。アルバムの中でがらっと雰囲気が変わるところだ。トラック21〜23の3曲が初収録になる。「コワイナー出現!(Alternate version)」はよく使われた怪物出現曲のパーカッションとピアノ、ストリングスのみで演奏されるバージョン。「プリキュアの敗北(Alternate version)」はプリキュアの敗北場面に流れた悲愴な曲のブラスとホルンを抜いたバージョン。第48話でプリキュア5が絶望の闇に襲われる場面などに使用されている。「女帝デスパライア(Strings version)」はナイトメアの首領デスパライアのテーマのストリングスのみのバージョン。同じく第48話でなどで使われた。
 強敵出現の重苦しいムードを吹き飛ばすようにトラック24「プリキュアfly」が流れて空気を変える。主題歌歌手・工藤真由が歌うテンションの高いロックナンバーだ。これも「プリキュア ボーカルベストBOX」から漏れた名曲の1つ。次の、のぞみとプリキュアたちが歌う「1、2、シュート!〜Five Explosion〜」とともに最終決戦突入のイメージで選曲した。
 トラック26〜29には物語の大詰めとなる第48話と第49話(最終回)で使用された曲を集めた。
 放映時に発売されるサントラ盤は、放映期間中にリリースする都合上、最終回の展開や、そこでどんな曲が使用されるかを知らないまま構成しないといけない。最終回を音楽で再現するサントラが作れたら……という思いがずっとあった。本アルバムでは、その思いを実現してみた。
 「信じる仲間とともに」と「プリキュア・ファイブ・エクスプロージョン!」は第48話のプリキュア5対ナイトメアの決戦を盛り上げたアクション曲。「希望の絆」と「思いは空を超えて」は、第49話で最後の戦いが終わったあとの、のぞみたちとココたちとの別れの場面をしっとりと彩った曲である。最終回を思い出しながら聴くと胸に迫るものがある。
 アルバムのラストは後期エンディング主題歌「ガンバランス de ダンス〜夢みる奇跡たち〜」で締めくくった。
 ディスク2「Yes!プリキュア5GoGo!」編の内容にも少し触れておこう。
 歌ものでは「プリキュア ボーカルベストBOX」未収録の「プリキュアからの招待状」「プリキュアモードにSWITCH ON!」に注目。どちらも聴けば勇気がわいてくるような熱い曲だ。「プリキュアモードにSWITCH ON!」はプリキュアシリーズ5周年を記念して作られたメモリアルソングである。
 BGMは『映画 ヒーリングっど・プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』の中でもアレンジされて流れたプリキュア5活躍曲「勇躍!プリキュア5!」を筆頭に、代表的なアクション曲、日常曲などを収録。初収録音源では、エターナルの首領の過去を描く「館長の秘密」の別演奏によるバージョン違いと、苦悩する心を表現する「折れた心」の第47話などに使用された別バージョンを収録している。

 この「Yes!プリキュア5&Yes!プリキュア5GoGo! メモリアルアルバム」、自分で言うのもなんだが、すごくいいアルバムになったと思う。なにせマスタリングのときにエンジニアさんが「いいのできた!」と言ってくれたくらい、音楽アルバムとして聴きごたえがあるのだ。
 古くからのプリキュア5ファンは当時を思い出して懐かしく、また感動を新たに聴いてもらえるように、新しくプリキュア5を知ったファンにはプリキュア5の魅力が伝わるように、そんなアルバムをめざして選曲・構成してみた。手元に置いて愛聴していただければ幸せである。
 そして、これが好評なら、プリキュアシリーズのほかの作品も新たな選曲・構成で「メモリアルアルバム」を世に出せるのではないかと野望をふくらませている。『プリキュア5』は夢と希望を拓いてくれる作品なのだ。

Yes!プリキュア5&Yes!プリキュア5GoGo! メモリアルアルバム
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佐藤順一の昔から今まで (16)子育てとアシカ曲芸のゴムマリオくん

小黒 作品歴から話が外れますが、佐藤さんにお子さんができたのはいつぐらいですか。

佐藤 31歳の時ですね。『ユンカース(・カム・ヒア)』をやってる時に「シナリオの完成と長女の誕生とどっちが早いか競争ですね」みたいなことを言ってたんだよね。

小黒 ということは1991年ですね。前にもうかがいましたけど、「よいお父さん」になろうと思われたわけですよね。

佐藤 まあね。できる限りそうしたいなとは思ってた。

小黒 やっぱり、子供ができると生活パターンが変わりますか。

佐藤 変わるね。生まれたのが『ユンカース』の絵コンテ期間なんですよ。TVの仕事をスパッと止めて、絵コンテ作業の時間をもらってた。子供の世話をする時間があったから、公園に行って遊んだりしていて。そういうふうに遊びながら、コンテの内容を考えたりもしていましたね。

小黒 お子さんができたことが仕事にも影響しているわけですね。

佐藤 しているよね。実際に近所の子供達の様子を見ていたわけだし。机に張り付いてガリガリとやっていたんじゃなくって、外に出て色々考え、思索する時間がちゃんとあったな、というふうに思う。

小黒 これも以前にうかがいましたが、お子さんが生まれてからは、東映で仕事していても、晩ごはんの時間には車で自宅に帰って、家族と一緒にご飯を食べて、またスタジオに戻るような暮らしをしていたんですよね。

佐藤 そこまでじゃなかったかもしれない。でも、子供が小さい時は、なるべく生活を優先で考えてたね。小学校に上がってからもね、授業参観が何日かあったら必ず一日は行く、と決めていて。だから、例えばお父さんがアニメの仕事やってることで、子供が何かつらい思いをするんだったら辞めようと思ってたからね。

小黒 凄い。

佐藤 で、辞めた場合はどんな仕事ができるかなって考えてたからね。

小黒 そこまで。

佐藤 うん、そうそう。

小黒 実際にそういうことがあったんですか。

佐藤 ないです。そんなに気にされてなかった(笑)。

小黒 作品歴に沿った話に戻ります。まず『美少女戦士セーラームーンSuperS』(TV・1995年)と、『美少女戦士セーラームーン セーラースターズ』(TV・1996年)ですが、この2作品は『S』ほどは気負ってないですよね。

佐藤 『SuperS』は、タイガーズアイが出てくるやつですね。

小黒 そうですそうです。「アシカ曲芸のゴムマリオくん」が出てるやつですよ。

佐藤 そうそう。球体シリーズみたいなものを勝手にやってるやつだ。

小黒 読者に説明すると、佐藤さんが演出した回だけ、出てくる敵モンスターのレムレスが親戚なんですね。

佐藤 そうそうそう。

小黒 「玉乗りゾウ使い エレファン子さん」と「アシカ曲芸のゴムマリオくん」。あと「風船女 プー子ちゃん」とかね。ゴムマリオは「いつぞやは、僕のまたいとこの風船女プー子ちゃんがお世話になったぜ!」なんて言うんですよね(140話「ミニが大好き! おしゃれな戦士達」)。

佐藤 勝手にアドリブで作って楽しんでた頃だね。

小黒 『SuperS』の頃は、脚本打ち合わせには出られてるんですか。

佐藤 どうだったかなあ。出れてないんじゃないかなあ。

小黒 レムレスをどういうものにするかは、演出権限で決められたんですね。

佐藤 そこは自由度高かったんだろうね。だから、気負うっていうよりも、遊んだほうが勝ちみたいな感じでやってたのかもね。

小黒 なるほど。『SuperS』で、佐藤さんが最初にやられたのが132話「お似合いの2人! うさぎと衛の愛」という、衛の後輩が出てくる話なんですけど、覚えてないですか。

佐藤 覚えてないんすよ。

小黒 始まり方が斬新で、ファーストカットは歩いてる2人の後ろ姿を、30秒ぐらいの長回しで見せているんですよ。

佐藤 マジか(笑)。

小黒 後半の風船女プー子ちゃんのアクションで枚数を使うので、その分、止めたのかと思ったんですが、覚えてないですか。

佐藤 (笑)。覚えてないですが、当時だったらやっぱり枚数の意識はしてたんじゃないかな。

小黒 『メモル』の「忘れ草」の時でも、最後にメモルが自宅に帰ったところを、背景だけ見せていましたよね。

佐藤 そういう手はよく使っていますね。画で表情を動かすと、役者さんの芝居が縛られてしまうんだけど、ここは自由に演じてもらいたいというところもあるんです。そういう時に、画ではあんまり描かないようにして、キャストが演技を自由にできるようにすることは、よくあるよね。その場面だったら、画でコントロールする以外のやり方で、その2人の関係性みたいなものを出そうと思ってるんじゃないかな。

小黒 『セーラースターズ』の話になってしまうんですけど、「セイヤとうさぎのドキドキデート」(181話)という話があって、ムーンが決めゼリフを言っている間、ムーンでなくセーラーアイアンマウスをずっと見せているんです。これは単純にアイアンマウスを描きたくてそうしているのかと思うのですが、覚えていますか。

佐藤 覚えてはいないけど、そういう外しはやりそうだよね。

小黒 やりそうですね。

佐藤 『セーラームーン』もシリーズ長いから、色々外したくなるんだよね。

小黒 「ドキドキデート」自体は艶っぽくてよい話でした。

佐藤 うさぎとセイヤ君がいい感じになりそうなやつでしょ。ちゃんとロマンチックにやろうとした記憶があるなあ。もしかしたら、うさぎが浮気をしそうな感じもありつつみたいな。

小黒 そうです。観返すと「本当に衛はうさぎのことが好きなのか」「この2人、大丈夫か!?」とか、ハラハラしますね (笑)。

佐藤 その時じゃないかもしんないけど、少女マンガの編集をしてる人と、色々話す機会があったんだよね。その時に「少女マンガの鉄則」について聞いて、なるほど! と思ったんですよ。その鉄則とは「主人公のターゲットの男の子は、どんなことがあっても主人公を一途に好きでいなくてはいけないけれど、主人公は誰を好きになっても構わない」ということなんです(笑)。だから、主人公は浮気をし放題なのである、それが少女マンガである。そう思ってやってるかもしんないな。

小黒 『SuperS』に話を戻すと、フィッシュアイが、セーラームーンとちびムーンに「いつもそんな短いスカートで飛んだり跳ねたりして、恥ずかしいと思ったことないの?」って聞くんですよ(140話「ミニが大好き! おしゃれな戦士達」)。

佐藤 ああ、はいはい。

小黒 それに対して、2人が「ないわ!!」と自信満々に答えるんです。これは佐藤さんが入れたんですかね。

佐藤 いや、それはシナリオにあったと思う。シナリオのセリフを覚えてるよ。

小黒 なるほど。『セーラームーン』としては、きわどいとこを突いてますよね。

佐藤 そうだよね。『セーラームーン』で、そのセリフを言うのは面白いなと思って入れた記憶があるかな。

小黒 マーキュリーがいたらきっとショックを受けるとこですよ。「みんなも恥ずかしいと思っていたのに」みたいな。

佐藤 「え、恥ずかしくなかったんだ」って(笑)。

小黒 そんなこんなで、『セーラームーン』は少しずつお付き合いが薄くなっていくわけですね。

佐藤 そうだね。

小黒 なぜかというと、ひとつには同時期に『ゲゲゲの鬼太郎』(4期)(TV・1996年)があると。

佐藤 そっか、『鬼太郎』がその頃か。

小黒 『セーラースターズ』と同じ年なんですよ。

佐藤 確かに。もらってるリストがすげえ役に立つね。

小黒 『鬼太郎』はどのような意気込みで取り組まれたのでしょうか。

佐藤 やりたくてやったんだよね。「やりたい」と言って入れてもらったのか、やりたいと思ってたら呼んでもらえたのかは覚えてないけど。『鬼太郎』は、多くの演出さんがそうだと思うけど、やってみたいんだよね、やっぱり。

小黒 なるほど。

佐藤 歴史の中で何度も作られていくんだけど「自分の『鬼太郎』」をちょっとやってみたいんだよね。

小黒 細田(守)さんも「同じ原作を色んな演出家がやっているから、作り甲斐がある」と言ってましたね。

佐藤 それもそうだし、やっぱり水木先生の作品の独特な空気感をトレースしたい。原作からアレンジされてアニメっぽくなってはいるんだけど、「『鬼太郎』はこうではないか。水木作品はこうではないか」という試みが、それぞれのシリーズにある。4期は特に水木しげるテイストが強めに出てるシリーズでもあったしね。

小黒 3期が原作から離れたので、今度は原作に近いところに戻ろうという意識があったんでしょうね。

佐藤 (シリーズディレクターの)西尾大介の意志もでかいと思うし、東映の清水(慎治)さんも『鬼太郎』が好きで、なんなら最初の「墓場鬼太郎」をやりたい、ぐらいのことをその頃から話してたから。自分も水木さんのテイストを活かしてやりたいな、とは思っていたので、そういう意味では前のめりになって取り組んでいるシリーズかな。


●佐藤順一の昔から今まで(17) 『ゲゲゲの鬼太郎(4期)』と『地獄堂霊界通信』に続く


●イントロダクション&目次

第702回 無垢にアニメーター

 今、原画直しをやってます。昔、「PLUS MADHOUSE 2」で川尻善昭監督が自身の監督作品で自ら原画を描くことについて、「原画は好きな音楽を聴きながら手を動かすだけだから、なんのストレスもない」的なことを仰られてましたが、俺これ分かります。本当に原画描くだけでいい仕事なら、こんなに気楽で面白いことはないです。

だって、誰でも教科書やノートの端っこに描いて遊んだいわゆる”パラパラマンガ”の延長ですから!

 自分も中学・高校の頃はよく描いてました。当時、文房具店で何用か分からない、やや厚手の事務カード的な用紙に、行き当たりバッタリのアクションを——『あしたのジョー2』ばりのカメラ回り込みは不可避なヤツばかりパラパラ〜と。ちなみに先輩アニメーターに訊いたところ、「僕は金田(伊功)爆発を真似して描いた」とか「俺はメカの変形」など各々好きなアニメを模したパラパラマンガで遊んでいたようです。逆に言うと、

無垢に画を動かして遊んできた人たちだからこそ、アニメーターになったんでしょう!

 俺の場合、パラパラマンガという遊びに、理屈とコツをご教示くださって、プロのアニメーターにしてくれたのが小田部羊一先生・田中敦子さん・友永和秀師匠——そして大塚康生さまでした。

アニメ様の『タイトル未定』
295 アニメ様日記 2021年1月17日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年1月17日(日)
日曜から月曜にかけて、仕事で疲労が溜まったワイフの心身を休めるため、近くのホテルに泊まった。朝9時にチェックインして、翌日の昼12時にチェックアウトするプランで、僕はホテルから出社し、ホテルから散歩に行ったりと、普段とあまり変わらない生活だった。ただ、ホテルから出かけると、見慣れた街の見え方が変わって新鮮だった。
「佐藤順一の昔から今まで」で確認することがあり、20数年ぶりに「EVA友」を読み直す。インタビューで、佐藤順一さんが『エヴァ』に対して分析的なことを言っている。これはこれで「時代の気分」が出ている。他には『魔法使いTai!』を観たり、『新世紀エヴァンゲリオン』の第弐拾壱話、『DEATH』のコンテを確認したり。

2021年は1月18日(月)
午前2時50分に事務所に入って、みっちりと原稿作業。ホテルに戻ってから、ワイフと公園に行ってラジオ体操。朝の散歩の後、チェックアウト。その後はデスクワーク。いつものことだけど、月曜は忙しい。

2021年は1月19日(火)
散歩以外はデスクワーク。作業をしながら『進撃の巨人』第1期を再生する。やっぱりよくできてるなあ。ランチで池袋の風というお店に入ったのだが、店内に田村ゆかりさんのサインやグッズが置かれていた。店員さんによれば、店内で田村さんの曲がずっとかかっていることもあるとか。オーナーが田村さんのファンなのだそうだ。知り合いのアニメーターが田村さんのファンなので、彼と池袋で食事をすることがあったら、ここに行くことにしよう。

2021年は1月20日(水)
昼過ぎまでデスクワークと散歩。15時からBONESで打ち合わせ2本立て。打ち合わせに出る前に、熱があるかと思って計ったが、平熱だった。こんなに頻繁に熱を計る日々が訪れるとは思わなかった。
『進撃の巨人』視聴は第1期が終わって『Season 2』に突入。本放送時にも思ったけれど『Season 2』で映像の作り方を変えているなあ。この違いについてはいつか言語化したい。
就寝前に「よふかしのうた」最新6巻を読む。今度はそちらに展開するのか。僕の場合、七草ナズナのセリフは読んでいる間、新谷真弓さんの声で脳内再生される。もしも、アニメになったしたら、どんなキャスティングになるのだろうか。

2021年は1月21日(木)
IMAXの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観に行くつもりだったのだけど、ワイフの体調がいまひとつでとりやめに。その後で、IMAX上映が22日(金)までだと知る。なんてこったい。
「川元利浩アニメーション画集」のキャプション作業を始める。正確にはキャプション中のコメント部分の執筆だ。画集のキャブションを書くのは10ヶ月ぶりくらい。キャプション作業が本調子になるのは2日後くらいか。

2021年1月22日(金)
ワイフとグランドシネマサンシャインで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ver.3.333【IMAXレーザーGT版】』を鑑賞する。映像についても音響についても満足。改めて観ると、ミサトがシンジに状況を説明しないことや、シンジがカヲルの言うことを聞かないことも、作品のテーマと関連しているのだろうと思える。『新劇場版』は『:序』『:破』『:Q』でそれぞれテーマが違うのだろうなあ。ランチをとってから事務所に戻り、Zoom打ち合わせと「川元利浩アニメーション画集」の作業。
Netflixで『進撃の巨人』の『Season 3』の後半と『The Final Season』の配信最新話までを観る。『進撃の巨人』のWIT STUDIO制作のシリーズは、とても区切りのいいところで終わっていた。
いつも行くスーパーマーケットの無人レジで、間もなく現金が使えなくなる。使えるのはクレジットカードと交通系ICカードのみで、現金で買い物をする場合は有人レジを使うことになる。自分はリアル店舗では滅多にクレジットカードを使わないので、交通系ICカードの頻度が高くなりそうだ。既に、コンビニやファーストフードでも、交通系ICカードで支払うことが多い。

2021年1月23日(土)
13時からアニメスタイルチャンネルの「アニメスタイルTALK 009 叶精二のアニメーション講義 第一回」を収録。元々は会場にお客さんを入れてのイベントになるはずだったのだが、非常事態宣言中ということもあり、ビデオ通話で収録。配信のみのイベントとなった。叶さんのお話は大変に面白かったのだけど、僕が調子に乗って喋り過ぎた。前にも思ったけど、配信のみのトークは勝手が違うなあ。

アニメ様の『タイトル未定』
294 アニメ様日記 2021年1月10日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年1月10日(日)
朝はデスクワーク。昼はワイフと散歩。その後、TOHOシネマズ池袋で『劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal』の〈前編〉を観る。事務所に戻って原稿作業。ワイフと新文芸坐のレイトショーで「レディ・マクベス」を観る。2016年のイギリスの映画で上映時間は89分。自分ではなくてワイフが観たがっていた作品だ。何回か新文芸坐で予告を観ていて、内容を分かっていたつもりだったのだけど、予想していたのとは随分と違った。話自体はあまり面白くないのだけど、映画としては楽しめた。撮影と美術とロケーションがいいのかな。あるいは俳優か。表面的な物語以外に、何かの文脈があるのかもしれないけれど、それは分からなかった。
新番組の深夜アニメを片っ端からチェック。『プレイタの傷』1話のビジュアルがかなりよかった。

2021年1月11日(月)
早朝から午前10時までデスクワーク。昼前後はワイフと散歩で北区に。音無親水公園から名主の滝公園に。王子駅近くの立ち飲みおでん屋で軽く飲み食い。13時に事務所に戻り、15時までデスクワーク。グランドシネマサンシャインで『銀魂 THE FINAL』を鑑賞。ファンムービーとして充実した仕上がり。色々な意味で、アニメの『銀魂』らしい作品だ。前にも書いたかもしれないけれど、これで終わりにしないで、年に一度くらいは万事屋のメンバーがダラダラと喋るだけの新作を作ってほしい。
dアニメストアで『ミームいろいろ夢の旅』の配信が始まっていた。116話「探訪!アリの不思議な国」終盤のアリジゴクとのバトルは、当時から高坂希太郎さんの原画だろうと思っているのだけど、裏はとっていない。
「佐藤順一の昔から今まで」関係で『きんぎょ注意報!』の映像をチェック。放送当時に吉成曜さんが、石浜真史さんの『きんぎょ注意報!』の作画に注目しており、初めて会った時に石浜さんの作画担当パートを全部言い当てたのだそうだ。今回『きんぎょ注意報!』を観返して「ここが石浜さんのパートかな」と思えるところがあったのだけど、確証はない。
『きんぎょ注意報!』の時点で佐藤順一演出回に「頭のところにギザギザ模様が出現」の漫符はあり。同漫符について「『もーれつア太郎』の佐藤順一回で、既にあるかも」という話も聞いたけど、まだ見つけていない。

2021年1月12日(火)
新文芸坐の黒澤&三船特集の最終日。進めなくていけない作業がいくつもあって、行くのをあきらめる。「川元利浩アニメーション画集」の編集作業を進行させつつ、「この人に話を聞きたい」の原稿を進める。
寝る前に「バキ道」の1巻から最新8巻までをKindleで読む。最初の数冊は再読。連載で「刃牙」シリーズを読んでいた頃のことを考えると、まとめ読みはかなりの贅沢だ。渋川剛気の活躍はこれが最後かもしれないと思ったり。いや、そんなことはないか。

2021年1月13日(水)
外出の予定があったが、原稿を優先させることにしてとりやめ。朝イチで『ワンダーエッグ・プライオリティ』1話を観る。映像がかなりいい。「川元利浩アニメーション画集[デザイン編]」の束見本が届く。B4変型(縦266mm×横364mm)だ。当たり前だけど、かなりデカい。
アニメスタイル編集部は年に一度は『フリクリ』絵コンテ本か『新世紀エヴァンゲリオン』絵コンテ本を仕事で使っているのだけど、この日は『新世紀エヴァンゲリオン』の絵コンテ本が見つからなかった。事務所3階と倉庫を探して、結局事務所2階の平積みになった資料の中から発見。絵コンテ本は分かるところにまとめておこう。

2021年1月14日(木)
映画に行く予定だったのだけど、原稿作業のために延期。13時からGoogle Meetで打ち合わせ。このプロジェクトでは初めてのビデオ通話による打ち合わせだ。機材のせいか互いの声がよく聞こえず、調整しつつ打ち合わせを進める。ビデオ通話で打ち合わせを始めた頃はいつもこんな感じだったなあ。午後の散歩は高田馬場の戸山公園まで歩いて、帰りは山手線。居酒屋の加賀屋がランチを始めていたので、食事とホッピーをいただいてから事務所に。新番組を数本チェック。

2021年1月15日(金)
午前3時頃に出社し、5時半まで「この人に話を聞きたい」の原稿作業。事務所が入っているビルが午前7時から8時まで停電だったので、ラジオ体操の後、そのまま散歩に。「この人に話を聞きたい」の本文を仕上げて、事務所スタッフのチェックにまわす。14時から中野ブロードウェイで打ち合わせ。本来ならアニメスタイル側から3人くらい行かなくてはいけないのだけど、三密を避けるために僕が一人でうかがった。打ち合わせの後、ブロードウェイ内を少し歩く。新しくできたセル画ショップで『王立宇宙軍 オネアミスの翼』のイメージボード数枚が、とんでもない価格で売りに出されていた。中野の飲食店の辺りを少し歩く。昼吞みをやっている店が増えた印象。事務所に戻って「この人に話を聞きたい」の原稿を終える。
Apple Musicに「らんま1/2格闘歌かるた」があったので、久しぶりに聴く。須賀正人さんの仕事は濃いなあ。早坂好恵さんと中嶋美智代さんの「主題歌ガールズのうた」という歌があるんだけど、このタイトルも、須賀さんならではのセンスだと思う。Apple Musicの「決定盤「らんま1/2」アニメ主題歌&キャラソン大全集」は何故か「じゃじゃ馬にさせないで」や「乱馬ダ★RANMA」が入っていない。CDには入っているのに。「らんま1/2歌暦(平成3年度版)」も聴く。これも聴いた記憶があるなあ。自分がかなり『らんま1/2』の曲を聴いていたことが分かった。『らんま1/2』が大好きだけど、CDは聴いていなかったワイフに勧めたら、Apple Musicで聴きまくって悶絶していた。

2021年1月16日(土)
午前5時に出社し、朝食とラジオ体操をはさんで9時半までデスクワーク。ワイフと散歩に。神田川沿いのウォーキングコース「いきいきウォーク新宿」を歩いて、新宿中央公園近くのレストランでランチ。事務所に戻ってZoom打ち合わせ。今まで対面でやっていたプロジェクトの打ち合わせが、今回からビデオ会議になった。念のために記しておくと、1月14日(木)で話題にしたのとは別のプロジェクトである。打ち合わせが対面の時よりもあっさりしたものになった気がするけど、世間話が減っただけかもしれない。その後、原稿作業を進めて、17時から吉松さんとSkype飲み。
原稿のために『新世紀エヴァンゲリオン』のLDの解説書を確認したら「LD&ビデオソフト版のために制作を進められていた新作パートのいくつがが『DEATH』編で先に公開されている」と書いてあった。いや、書いたのは僕のはずだけど。Wikipediaの記述を読んで『DEATH』編初出の新作パートについて、公式にはアナウンスされていないのかと思った。ちょっとひと安心。
ワイフの「高校の頃に観たかったけれど、観ることができなかったアニメ」が『魔法使いTai!』『シャーマニックプリンセス』『ジャングルDEいこう!』であることが判明。

第203回 逆転する時間 〜四月は君の嘘〜

 腹巻猫です。フジテレビのアニメ放映枠「ノイタミナ」の放映開始15周年を記念した「ノイタミナ presents シネマティックオーケストラコンサート」が5月29、30日に開催されます。ノイタミナの名を冠したオーケストラ・コンサートははじめて。『図書館戦争』『四月は君の嘘』『約束のネバーランド』の3作が取り上げられ、各作品の音楽を担当した作曲家も参加するそうなので期待が高まります。チケットは現在発売中。
https://www.noitamina-concert.jp


 音楽を題材にしたアニメの音楽作りは難しい。まず演奏シーンの音楽がある。昔のアニメだとレコードから選曲して使ったりしていたが、今はプロのミュージシャンに演奏してもらうケースがほとんどである。そして、演奏シーンの音楽が立派であれば、背景音楽、いわゆる劇伴のほうもそれなりのクオリティが期待される。シンセの打ち込みだけですますというわけにはいかないのだ。
 『四月は君の嘘』はクラシック音楽を演奏する中学生を主人公にしたアニメである。新川直司の漫画を原作に2014年10月から2015年3月まで放映された。
 少年時代から天才ピアニストと期待された有馬公生は、11歳の冬、母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまう。ピアノから遠ざかったまま14歳になった公正の前にバイオリンを弾く少女、宮園かをりが現れた。かをりは公正を強引に伴奏者に任命し、バイオリン・コンクールのステージに上げる。かをりにふりまわされるうちに、公正は音楽への想いを少しずつ取り戻していく。
 音楽がテーマといっても、ライバルと競ってコンサートで勝ち進む物語ではない。基本はボーイ・ミーツ・ガール。公正とかをり、公正の幼なじみの少女・澤部椿の3人の関係が主軸になる青春アニメだ。最終回でかをりの秘めていた想いが明らかになる。そこから第1話にさかのぼって観返すと、物語が違ったふうに見えてくる。心憎い構成の作品である。

 音楽を担当したのは横山克。幼い頃からピアノを習い、中学生2年生のときにシンセサイザーを買って作曲に興味を持つようになった。国立音楽大学作曲学科在学中の2005年から作曲家として活動。劇場作品、TVドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、CM、アーティストへの楽曲提供など幅広い分野の作品を手がけている。映像音楽の代表作に、NHK連続テレビ小説「わろてんか」(2017)、実写劇場作品「ちはやふる」3部作(2016〜2018)、TVアニメ『荒川アンダーザブリッジ』(2010)、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2015)、『空挺ドラゴンズ』(2020)などがある。
 横山克は「音楽モノの名作アニメに憧れて、この仕事を志した」という(サウンドトラック・アルバムの対談インタビューより)。本作の音楽を担当することにプレッシャーもあったが、やりがいも大きかった。
 『四月は君の嘘』では、キャラクターが演奏するピアノやバイオリンが心理描写にもなっている。こういうとき、背景音楽はピアノやバイオリンを使わないようにして劇中の演奏シーンと干渉しないようにする手もあるのだが、本作はそうではない。あえて、ピアノとバイオリンを音楽の中心に据えている。そして、劇中で演奏される音楽はエコーを深めにかけるなどして響きを変え、背景音楽と明確に区別している。
 イシグロキョウヘイ監督から提示された音楽のキーワードは「透明感」と「ボーイ・ミーツ・ガール」だった。音楽の軸となったのはメインテーマ「四月は君の嘘」と「私の嘘」と題された曲。この2曲のメロディがさまざまにアレンジされて、劇中の重要なシーンに使用されている。繊細だけどセンチメンタルにならず、青春ものらしい爽やかさが感じられる音楽である。
 ただ、これだけだと際だった特徴のない、よくある音楽になってしまう。そこで横山克はエレクトロの要素を混ぜるというひと工夫を加えた。このアイデアが効いている。「おや?」と思わせる、ひっかかりのある音楽になっているのだ。
 本作のサウンドトラック・アルバムは「四月は君の嘘 ORIGINAL SONG & SOUNDTRACK」のタイトルで2015年1月にアニプレックスから発売された。横谷克作曲の挿入歌4曲を含む65曲入りの2枚組。主要な楽曲はほぼ収録されている。
 ディスク1を聴いてみよう。収録曲は以下のとおり。

  1. 君は忘れられるの
  2. 四月は君の嘘
  3. 視界が紅い!?
  4. 夕暮れ時の下校
  5. 私の嘘〜PianoSolo
  6. 母の夢
  7. ゆるすまじ盗撮魔
  8. 女同士の“かわいい”
  9. 私、ヴァイオリニストなの
  10. For you〜月の光が降り注ぐテラス(歌:EMA)
  11. 彼女は美しい
  12. 今日のことは忘れられないよ
  13. まるで映画のワンシーンのように
  14. 春の香り
  15. 君は春の中にいる
  16. 暴力上等
  17. こういう気持ちを何て言ったかな
  18. 友人A君を私の伴奏者に任命します
  19. おとなしく伴奏しろー!!!
  20. バンソウバンソウバンソウバンソウ
  21. 弟みたいな存在〜PianoSolo
  22. 暗い海の底
  23. 挫けそうになる私を支えてください
  24. ぼくの住んでいる街はカラフルに色付いている
  25. My Truth〜ロンド・カプリチオーソ(歌:EMA)
  26. アゲイン
  27. 夏の日差し
  28. 季節が変わる
  29. 水面
  30. ウソとホント
  31. 君がいる
  32. 思ったより大きいな
  33. 友人A〜PianoSolo

 曲順と曲名は、横山克自身が第1話から第6話ぐらいまでの音楽の使用順にもとづいて決めたそうである。ディスク1が、ほぼ第6話あたりまでの内容に相当する。本編を思い出しながら聴くと感動がよみがえる。
 1曲目の「君は忘れられるの」は、第1話のアバンタイトル、宮園かをりが登場するシーンに流れる曲。曲の冒頭、ふしぎな響きの音が入り、ピアノのメロディが続く。このふしぎな響きの音はシンセサイザーかと思いきや、ピアノの音を逆再生したものである。横山克の言うエレクトロの工夫だ。逆再生の音は、ほかの多くの曲にも使われていて、本作の音楽の特徴になっている。
 2曲目の「四月は君の嘘」は本作のメインテーマ。ピアノを中心にアコースティックギターやストリングスなどを重ねて、透明感と爽快感のある曲に仕上げている。このメインテーマのメロディをスローにアレンジした曲がトラック17の「こういう気持ちを何て言ったかな」。公正や椿の揺れる気持ちを表現する曲として使われた。
 トラック5の「私の嘘〜PianoSolo」は第1話で公正が母の遺影に語りかける場面に流れた曲。本作のシリアスな面を象徴するメロディである。
 続く、「ゆるすまじ盗撮魔」「女同士の“かわいい”」は第1話の曲タイトルそのままのシーンで使用されている。
 第1話のラストでかをりが公正に自己紹介する場面に流れたのがトラック9の「私、ヴァイオリニストなの」。キラキラしたピアノの音色とはずむリズム、シンセのアクセントなどで公正の高揚する気持ちを表現している。
 トラック12「今日のことは忘れられないよ」とトラック13「まるで映画のワンシーンのように」は第2話のバイオリン・コンクールの場面で続けて使用された。演奏を終えてロビーに現れたかをりが少女から花束をもらう。そして、公正たちに駆け寄って感想を求める。まぶしい光があふれるような「今日のことは忘れられないよ」がかをりのよろこびを、「まるで映画のワンシーンのように」が公正の複雑な心境を伝える。「まるで映画のワンシーンのように」は「私の嘘」の変奏だ。
 トラック14「春の香り」は第2話の楽譜に埋もれて眠る公正の場面に使用。まさに春のまどろみのような曲で、後半から聴こえてくるオーボエのメロディが美しい。次の「君は春の中にいる」は第2話で公正が桜の下でかをりと再開する場面の曲。余談だが本作のロケ地は筆者の家の近所が多く、この場面の背景もよく知っている場所である。
 そして、全編の中でも特に印象深い、第3話でかをりが公正を伴奏者に任命する場面。トラック18「友人A君を私の伴奏者に任命します」が流れる。ピアノの速いフレーズからストリングスの温かいメロディへ展開する、公正の気持ちの変化を代弁するような曲だ。メインテーマや「私の嘘」と並んで本作を象徴する楽曲で、以降のエピソードでも公正がステージに立つ場面などで使用されている。
 ユーモラスな「おとなしく伴奏しろー!!!」「バンソウバンソウバンソウバンソウ」は、第3話の曲タイトルそのままのシーンで使われた。こういう明るい曲も青春アニメらしい雰囲気を作る重要な要素である。
 トラック21の「弟みたいな存在〜PianoSolo」は椿の公正への気持ちを表現する曲。第3話で椿が公正のことを「ダメダメな弟って感じ」と話す場面に流れている。第20話の椿が公正と雨宿りしながら語らう場面では、この曲のフルバージョン(ディスク2に収録)が使用された。
 第3話でかをりが泣きながら公正に伴奏を頼むシーンに流れたトラック23「挫けそうになる私を支えてください」も「私の嘘」の変奏曲。青春のもどかしさや切なさが伝わるアレンジである。
 第3話のラスト、公正たちが自転車に相乗りしてコンクール会場に向かう場面に流れたのが、トラック24「ぼくの住んでいる街はカラフルに色付いている」。カラフルという形容がぴったりの明るくにぎやかなサウンドの曲。ここが、物語の上でも、アルバムの上でも、大きな盛り上がりになる。
 トラック26「アゲイン」は、第4話で演奏中にピアノが弾けなくなった公正に、かをりが「アゲイン」と言ってバイオリンを弾き始める場面に使用。迷うようなピアノのフレーズから、後半はリズムが加わり、華やかなサウンドに変わっていく。ドラマを感じさせるが盛り上げすぎない、絶妙なバランスの曲である。
 以降は劇中使用曲にこだわらず、物語をイメージした構成になっている。
 トラック30「ウソとホント」は、かをりの恋心をテーマにした曲で、ソロバイオリンがフィーチャーされている。優雅に聴こえるこの曲、実はバイオリンではすごく弾きにくいキーの曲なのだそうだ。かをりのちょっと屈折した心情が演奏にも反映されている。
 トラック31の「君がいる」は「私の嘘」のピアノソロによる切なく、はかない印象のアレンジ曲。第7話でかをりが公正の手のひらに自分の手のひらをあわせて公正を励ます場面に流れた。ほかにも、第15話で公正がかをりの見舞いに行く場面、第20話で椿が公正に告白する場面など、全編を通して重要な、感動的なシーンに使われている。
 アルバムのラストは「友人A〜PianoSolo」。おだやかでやさしいメロディのピアノ曲である。友人Aは公正のことだが、公正のテーマというより、椿もしくはかをりから見た公正を表現する曲なのだろう。

 『四月は君の嘘』の音楽は端正で美しい。が、それだけではなく、サウンドに工夫を凝らした個性的な音楽である。特に逆再生した楽器の音が効果的だ。特徴のある音で曲を印象付けると同時に、「逆から見れば(聴けば)違って見える(聴こえる)」という本作の物語の本質をついた工夫にもなっている。
 逆再生を取り入れたサウンドトラックというと、最近でも劇場作品「TENET」があったが、実は1937年公開の「舞踏会の手帳」ですでに試みられている。意外と古典的な手法である。これらの作品に共通するのは時間が重要なカギになっていること。『四月は君の嘘』の音楽は、過ぎゆく時間を押しとどめようとする想いの反映なのかもしれない。その想いはとても切ない。

四月は君の嘘 ORIGINAL SONG & SOUNDTRACK
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