第189回 闘う夏 〜サマーウォーズ〜

 腹巻猫です。梅雨明けからの猛暑続きで、いささかダウン気味。そんな中、8月15日(土)に開催された「資料性博覧会13」にたくさんのご来場ありがとうございました。対面イベントは約半年ぶり。時節柄、いろいろ気も遣いましたが、新しい出会いもあり、有意義でした。また機会がありますように。


 新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、今年もさまざまなサントラ系コンサートが開催される見込みだった。そのひとつに、6月に開催される予定だった「サマーウォーズ フィルムコンサート」がある。
 劇場作品『サマーウォーズ』公開10周年記念イベントのフィナーレを飾るものとして企画されたコンサートである。内容はいわゆる「シネマコンサート」。作品を上映しながら、劇中音楽を生演奏で聴かせるコンサートだ。近年、盛んに開催されており、洋画では「スター・ウォーズ」「タイタニック」「ニュー・シネマ・パラダイス」など、邦画では「ゴジラ」「砂の器」「八甲田山」などが上演されている。アニメでは、昨年(2019年)、劇場版『機動戦士ガンダム』が上演されたのが記憶に新しい。
 『サマーウォーズ』の公演は残念ながら中止になってしまったが、開催されていれば、興味深いコンサートになったと思う。というのも、『サマーウォーズ』の音楽は、電子音楽とオーケストラ楽曲が混在する、ハイブリッドな構成になっているからだ。
 今回は、コンサートを想像しながら、『サマーウォーズ』の音楽を紹介しよう。

 『サマーウォーズ』は2009年8月に公開された劇場アニメ。『時をかける少女』に続いて細田守が監督したオリジナル作品だ。
 数学が得意な高校生の健二は、憧れの先輩・夏希の頼みで長野県上田市にある夏希の実家・陣内家を訪れる。広壮な大邸宅とぞくぞくと集まる陣内家の一族に圧倒される健二。一夜明けると、世界中の人々が利用するインターネット上の仮想世界「OZ」がハッキングされ、現実世界に大混乱が広がっていた。健二は陣内家の人々と協力しあって、OZを乗っ取ったAI「ラブマシーン」に闘いを挑む。
 デジタルワールドの危機というSF的な題材と戦国時代から続く旧家の大家族のドラマを組み合わせた着想がユニークだ。夏の日差しの下、自然に囲まれた屋敷で電脳世界の闘いが繰り広げられるさまは、アーサー・ランサムの少年小説とサイバーSFが合体したような味わいがある。
 音楽を手がけたのは松本晃彦。TVドラマ「踊る大捜査線」などの音楽を手がけた作曲家である。
 サックス奏者の松本英彦を叔父に持ち、父親もヤマハで音楽教室に関わる音楽一家。幼少時から音楽に親しんだ。早稲田大学在学中にバンドでプロデビュー。そのまま音楽家になる道を選んだ。
 80年代後半から、作・編曲家、プロデューサーとして、吉川晃司、サザンオールスターズ、中森明菜、CHAGE&ASKAら、さまざまなアーティストの楽曲を手がけ、また、ステージサポート・ミュージシャンとしてコンサートツアーに参加。
 1997年に手がけたTVドラマ「踊る大捜査線」の音楽が評判となり、映像音楽の分野でも活躍を始める。映像音楽の代表作に、TVドラマ「甦る金狼」(1999)、「恋人はスナイパー」(2001)、「課長島耕作」(2008)、「学校のカイダン」(2015)、映画「踊る大捜査線THE MOVIE」(1998)、「スペーストラベラーズ」(2000)、「リターナー」(2002)、TVアニメ『ブラック・ジャック』(2004)、『ONE OUTS』(2008)などがある。
 サウンドトラック・アルバムのライナーノーツに寄せられた音楽プロデューサー・岡田こずえのコメントによれば、本作の音楽について細田監督から発せられたキーワードは「アクション」と「オーケストラ」だった。オーケストラはバラバラな方向を向く人々がひとつにまとまっていくことの象徴でもあった。
 本作の音楽に求められた要素は多岐にわたる。デジタルワールドOZを描写する曲、AIラブマシーンとの闘いを描写するアクション曲、陣内家の大家族を描写する曲、健二や夏希の思いを描写する曲……などなど。デジタル音楽からオーケストラ音楽まで、歌ものから現代音楽まで、さまざまなジャンルや曲調が要求された。ものすごい量のリサーチを経て選ばれた作曲家が松本晃彦だった。
 松本晃彦は、本作のために最初に3つのデモを書いた。「健二のテーマ」「田舎町の大家族の温かい曲」「電脳世界の音楽」の3曲である。ファースト・インプレッションで音楽の方向性は決まった。「健二のテーマ」は本作の音楽の核=メインテーマとなり、さまざまな場面にアレンジされて使用されている。また、「大家族の曲」はオープニングの序曲とエンディング曲に使われた。
 松本晃彦は、本作の音楽を「上田市の大家族と健二のそばにずっと一緒にいてもらいたい」と思いながら作曲したという。
 劇中では華やかなオーケストラ曲やアクション曲の印象が強い。が、音楽に込められた想いは繊細だ。どの曲も周到な計算と監督とのディスカッションを経て作られている。
 本作のサウンドトラック・アルバムは2009年7月末に「サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック」のタイトルでバップから発売された。収録曲は以下のとおり。

  1. 仮想都市OZ
  2. Overture of the Summer Wars
  3. 陣内家
  4. 侘助
  5. 2056
  6. 愉快犯
  7. KING KAZMA
  8. 健二
  9. 栄の活躍
  10. 陣内家の団結
  11. 戦闘ふたたび
  12. 崩壊
  13. 手紙
  14. みんなの勇気
  15. 1億5千万の奇跡
  16. 最後の危機
  17. The Summer Wars
  18. Happy End

 劇中曲を使用順に並べたオーソドックスな構成。
 トータルで18曲、収録時間は49分。2時間の劇場アニメの音楽としては少ない曲数と尺数である。
 しかし、未収録曲が格別多いわけではない。
 2015年に発売された「細田守監督トリロジー Blu-ray BOX 2006-2012」には、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』のBlu-rayディスクとともに、各作品の「コンプリート・スコア」を収録した特典CDが同梱されている。「コンプリート・スコア」とは、映画本編で流れるBGMを使用尺も順番もそのままに再現した完全版サントラのこと。これで音楽の全体像がわかる。
 「コンプリート・スコア」によれば、本作の劇中音楽のキューはM1からM25まで。うちM4が欠番になっているので、全24曲である(おそらく、M4は挿入歌の「上田わっしょい」、M26が主題歌の「僕らの夏の夢」なのだろう)。総尺数は62分。つまり、「オリジナル・サウンドトラック」に大半の楽曲が収録されているのだ。
 実は、本作で音楽が流れるシーンは意外に少ない。説明的な音楽をつけないことで、観客は映像に集中し、想像力を働かせる。また、音楽を流さないことは、映像にドキュメンタリーのような真実味と臨場感を与える効果もある。それだけに、厳選された場面に流れる音楽の役割は重要である。
 1曲目の「仮想都市OZ」は、冒頭のOZの世界の描写に流れるエレクトロニカ系の電子音楽。映画は時計のクリック音から始まるが、そのクリック音も音楽の一部として作りこまれているのが特徴だ。時計の音から始まるのは細田監督のオーダーだったという。時計の音と音楽のリズムが微妙にずれながら重なり、ポリリズムのような展開になる。現実から電脳世界へ入っていく感覚が音楽で表現されている。
 トラック2の「Overture of the Summer Wars」は、映画のオープニングを飾る序曲。メインタイトルから、健二と夏希が電車で上田市へ向かう描写とメインスタッフのクレジットが交互に映し出されるモンタージュの場面に流れ続ける。本編の始まりと旅の高揚感を表現する軽快で華やかなオーケストラ曲だ。たたみかけるようなリズムと金管のきらびやかな音は、ハリウッドのミュージカル作品を思わせる。コンサートなら、序盤から盛り上がり必至のナンバーである。
 曲の躍動感に耳を奪われてしまうが、オープニング映像を注意深く観ると、セリフのある場面ではメロディを抑えめにし、クレジットが表示される場面には曲のフレーズの切れ目を合わせて、映像と音楽を絶妙にシンクロさせていることがわかる。
 トラック3「陣内家」は、陣内家に一族がぞくぞくと集まって来る場面に流れるオーケストラ曲。弦楽器中心に奏でられる軽やかな舞曲風の曲である。にぎやかで、ちょっとユーモラスな香りもある。これも、コンサートなら楽しく盛り上がる曲だ。
 次の「侘助」は、陣内一族の中で孤立している青年・侘助の登場場面に流れる、静かな緊張感ただよう曲。何か起こりそうな予感をはらんだ曲だ。劇中ではうっすらと、ほとんど聴こえないくらいの音量で流れている。音楽というより、空気感を演出するSE的な楽曲である。
 健二が携帯電話に送られてきた暗号を解く場面の淡々としたピアノとシンセの曲「2056」、一夜明けて、OZの異変に健二たちが気づく場面のリズム主体のエレクトロニカ「愉快犯」。どちらも明快なメロディを持たず、サウンドで不安感や焦燥感を表現する。盛り上げすぎず、説明しすぎない音楽が、何が起こっているのかわからないとまどいと混乱をうまく表現している。
 トラック7「KING KAZMA」は、OZの世界のバトルを描写するデジタルミュージック。前半はハウスミュージック、後半はデジロック風。OZの格闘ゲーム・チャンピオン、キングカズマが陣内一族の少年・佳主馬(かずま)のアバター(分身)であることが明らかになる場面だ。コンサートだと、打ち込みのシンセの音とバンド演奏で再現することになるだろうか。
 トラック9「栄の活躍」は中盤のクライマックスの曲。夏希の祖母であり、陣内家の当主である栄が、現実世界の混乱を収集しようと、古くからの知り合いに連絡して奮闘する場面に流れる。ピアノと弦のピチカートを主体にしたメインテーマのアレンジ曲である。モチーフは、もともと健二のがんばりをイメージして作られたメロディ。それが、音楽を作るうちに、陣内家全体、人類全体のがんばりを表現するテーマになっていった。このモチーフが、このあと、さまざまに形を変えて登場し、クライマックスになだれこんでいくのが本作の音楽の聴きどころである。
 トラック10「陣内家の団結」は、ラブマシーンとの対決の準備が進む場面に流れるミニマル・ミュージック風の曲。ミニマル・ミュージックは監督からのオーダーだったという。「いざ合戦!」という場面だから、もっとメロディアスで盛り上がる曲でもおかしくないところだが、ここではメロディのない、リズム主体の音楽が採用されている。
 シンセのパーカッションで「合戦」の雰囲気をかもしだしつつ、ユーモラスな香りもただよわせる。ずっと同じ曲調のようでいて、次々と参戦するキャラクターに合わせて音色を変化させる凝ったアレンジ。異なる音色がしだいにひとつに重なることで、健二と陣内家の人々が力を合わせていくさまを表現している。
 この場面、健二たちの合戦準備の裏では、急死した栄の通夜の準備が進められている。音楽をニュートラルな曲調にしたのは、ひとつの感情に寄せない意図があるはずだ。
 トラック11「戦闘ふたたび」は、OZの世界でのラブマシーンとキングカズマの死闘を彩るバトル曲。重厚なリズムと緊迫感に富んだメロディ。ここは、正統派のバトル音楽でスリルとサスペンスを盛り上げていく。松本晃彦の持ち味がよく出た楽曲だ。コンサートで演奏されたら客席が熱くなるに違いない。
 次の「崩壊」はラブマシーンの反撃による危機を描写する不気味な曲。ムソルグスキー「はげ山の一夜」のような音型が現れて恐怖感をあおる。
 トラック13の「手紙」は、栄の遺した手紙が読み上げられる場面に流れるピアノ曲。松本晃彦によれば、どういうふうに作るか、もっとも悩んだのがこの曲だったそうだ。悲しみにはさまざまな深さがあり、それを描写する音楽にもさまざまなスタイルがある。結果、採用したのが淡々としたピアノの曲。悲しみを受け止めきれない心の揺れ、じわじわと込み上げる切なさがうまく表現されている。コンサートでは、ピアノの独奏で観客の心をつかむハイライトになりそうな曲である。
 「手紙」の場面を受けて流れ始めるトラック14「陣内家の団結」はメインテーマの弦合奏を主体にしたアレンジ曲だ。ラブマシーンとの決戦を前に、健二と陣内家の人々がそろって食事をする印象深い場面。もともとは、このアレンジを「栄の活躍」の場面のために用意していたが、細田監督が曲を入れ替えた。映画がクライマックスに近づくにしたがって、メインテーマのアレンジも大きくなっていく。映画全体の音楽設計を考えての采配である。
 トラック15「1億5千万の奇跡」は、序曲、メインテーマと並ぶ、本作の音楽の聴きどころ。夏希のアバターが世界中の人々の協力を得てパワーアップし、変身する場面に流れる、児童合唱がフィーチャーされた美しい曲である。
 松本晃彦が最初の打ち合わせで「この映画の中でいちばん大事な曲がかかる場所は?」とたずねたところ、細田監督から「このシーンです」と答えが返ってきた。「声」を使った曲というのも細田監督からの希望だったそうだ。
 松本晃彦は最初、変身のカットに細かく合わせたシンクロ・スコアを書いたが、監督からNGが出て作り直すことに。細かい画合わせにこだわらず、大きなゆったりしたメロディの曲にすることで、シーン全体がひとつにまとまった。本編の中でも、ひときわ感動的な見せ場である。
 個人的には、コーラスを担当しているのが、『海のトリトン』や『銀河鉄道999』の主題歌に参加している杉並児童合唱団(もちろんメンバーは異なるが)であるのがツボだった。『サマーウォーズ』の音楽がアニメソングの歴史を受け継いでいるようで、ちょっとうれしい。コンサートでも杉並児童合唱団の生歌が聴けたら最高だ。
 小惑星探査機「あらわし」落下のサスペンスを描写する「最後の危機」をはさんで、トラック17「The Summer Wars」が登場。健二の最後の奮闘を描写するメインテーマである。劇中に登場するメインテーマの変奏の中でも最大規模のオーケストラで演奏される。音楽的クライマックスと映画のクライマックスが重なり、もっとも盛り上がるところだ。コンサートでも最大の盛り上がりになるナンバーだろう。
 アルバムの最後を飾る「Happy End」はラストシーンに流れる曲。観客が幸福な気持ちで映画館を出られるように、音楽的にも最大限のサービスをして送り出したい。そんな気持ちが詰まった大団円の曲だ。
 この曲と同じメロディが、序曲「Overture of the Summer Wars」の終盤にも使われている。「大家族の曲」として書かれたモチーフである。序曲が流れる場面では大家族の一員ではなかった健二が、終曲が流れるときには家族として迎えられている。音楽を対比することで、関係性の変化が意識される。これも、周到な音楽設計と呼べるだろう。
 作品では、このあと山下達郎の歌が流れて終幕となる。コンサートではどういう趣向になる予定だったか定かでないが、オーケストラの生演奏で締めくくっても十分、満足できる内容だったと思う。

 本作の音楽について、松本晃彦はこうふりかえっている。歌モノ出身の作家としては1曲1曲に強いインパクトを求めてしまいがちだが、本作では、監督の采配のおかげで、作品の中の楽曲の構成のしかた、音楽の印象を、これまでと変えることができた。音楽家としての新しい切り口が見いだせた、と。
 本作の音楽をフィルムコンサート(シネマコンサート)で再現できれば、個々の楽曲の魅力とともに、全体の音楽設計の妙も伝えられたのではないか。作品の中では聴き取りづらい楽器の音色やメロディも、コンサートならくっきりと聴こえるはずだから。幻に終わったコンサートが、いつか実現することを願いたい。

サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック
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細田守監督 トリロジー Blu-ray BOX 2006-2012
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アニメ様の『タイトル未定』
265 アニメ様日記 2020年6月21日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年6月21日(日)
散歩以外はデスクワーク。原画ページの作業がほとんど終わっている「劇場版 若おかみは小学生! 原画集」の台割りを作り直す。
『イエスタデイをうたって』『波よ聞いてくれ』『かくしごと』をそれぞれ最終回まで配信で観た。3作とも原作を読みたくなる作品だった。『イエスタデイをうたって』『かくしごと』はまとめ観ではなくて、週イチで観たほうがよかったかもしれない。『波よ聞いてくれ』は色んな意味で、現代の深夜アニメ的ではなくて、それがよかった。続編も作れるのだろうけど、ここで終わっても満足。
『イエスタデイをうたって』の配信限定エピソードを観ていないことに気づいて観てみる。dアニメストアだと全6話のうち、5話が配信中。時間は各話が1分~2分くらい。番外編ではなくて、本編からこぼれた1シーンという印象。scene 01ex、scene 02exとサブタイトルがついていて、それぞれが本編の1話、2話に対応。Bパートとエンディングの間に入る内容と思われる。これから配信されるエピソードは最終回のBパートの後になるのだろうか(なお、この日記がアップされた時点で配信限定エピソードの配信は終了している)。

2020年6月22日(月)
ワイフとの早朝散歩で大塚に。24時間やっている山下書店で書籍や雑誌を買い込む。その後は事務所でデスクワーク。新文芸坐の15時45分の回で「コマンドー」を観た。「筋肉モリモリ、マッチョマンの戦場だ! ランボー 最後の戦場 | コマンドー〈4Kニューマスター/字幕&吹替〉」の1本。1980年代に「コマンドー」のTV放映を録画して「TeLePAL」の付録のラベルをビデオに貼って、ビデオラックに並べていたのは覚えている。ちなみに「TeLePAL」というのは当時愛読していたテレビ雑誌である。そんなわけで、録画したビデオテープを持っていたのは間違いないのだけど、実は本編を観たのは初めてだったようだ。なんということだ。当時は録画して綺麗なラベルを貼ってラックに並べたところで満足していたのだろう。初めて観た「コマンドー」は娯楽性重視の痛快アクションもので、人気作になるのも納得。僕としては、映画前半のほうがアイデアが豊富で楽しめた。
配信で「街角ピアノ」のシンガポールの回を観ていたら、アルゼンチンからの旅行者が「名探偵コナン」のメインテーマを弾き始めてなんだかよかった。

2020年6月23日(火)
雨天のためワイフとの早朝散歩はおやすみ。午前2時から10時までデスクワーク。散歩をはさんで、またデスクワーク。仕事をしながら配信の「月曜日のユカ」「家族ゲーム」「青春の殺人者」を流す。京都アニメーション版の『CLANNAD』の再見を開始。

以下はメモ。現在、グランドシネマサンシャインでやっている映画は「ドクター・ドリトル」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」「ハリエット」「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」「アイアンマン3」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ブラックパンサー」「マトリックス」「パシフィック・リム」「レディ・プレイヤー1」「天気の子」「パラサイト 半地下の家族」「AKIRA」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」「ねらわれた学園」「時をかける少女」「ボヘミアン・ラプソディ」「君の名は。」「シン・ゴジラ」「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」。半分以上が旧作で、旧作はチケット料金が安くなっている。一時的なことだと思うが「シネコンが名画座化している」のである。

2020年6月24日(水)
グランドシネマサンシャインの13時5分からの回で「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語【字幕版】」を観る。印象としては「映画好きのための映画」。構成が凝っていて、凝りすぎているために笑ってしまうところがあった。作り手もその部分で観客をニヤリとさせるつもりだったはずだ。その後、昼吞みを始めた焼き鳥屋の母屋で、早めの晩飯。30年近く前から何度も店の前を通り過ぎたけれど、吞んだのは初めて。その後、事務所に戻ってデスクワーク。「吉成曜画集 ラクガキ編[手塚治虫キャラクター]」の見本が上がってきた。
『CLANNAD』を再視聴は続く。僕が「京都アニメーションという会社はとんでもないなあ」と思ったのは『涼宮ハルヒの憂鬱』でもなければ『けいおん!』でもなく、『CLANNAD』だった。

2020年6月25日(木)
雨天のためワイフとの早朝散歩はおやすみ。午前1時に事務所へ入って、午前10時くらいまでデスクワーク。その後、銀行と事務所を2往復。Zoom打ち合わせの後、移動してササユリカフェで打ち合わせ。西荻窪から上井草まで歩いて、上井草から井荻から電車で移動。井荻で打ち合わせ2本立て。高田馬場で晩飯を食べて事務所に。20時くらいまで事務所に。長い1日だった。

2020年6月26日(金)
午前中は主にページ構成。昼はワイフと近所のバーガーショップへ。少し前まで行列店だったけど、今はコロナの影響か空席が目立つ。
『CLANNAD』第1シリーズを視聴終了。続けて、番外編「夏休みの出来事」「もうひとつの世界 智代編」を観る。第1シリーズは本放送時よりもずっと面白かった。本放送時に、自分は朋也や渚に気持ちを乗せきれなかったのだと思うけど、今回は親目線で観た。主には秋生の目線で観た。19話で朋也が実家を出るところでは、朋也の父親に感情移入した。別に「今回は親目線で観よう」と思ったわけではなく、自然とそういう見方になった。親目線だと、朋也や渚を愛おしく感じることができた。

2020年6月27日(土)
ワイフとの早朝散歩は鬼子母神方面。猫がいそうなルートを歩いているのだけど、それにしてもやたらと沢山の猫に会った。30匹? いや、40匹? デスクワークの後、ワイフと早めの晩飯。帰りに池袋マルイに行って「アニメ『ガンバの冒険』45周年展」をのぞく。制作資料の数は決して多くはないが、旧作でこういったイベントが開催されるのはとてもよいことだと思う。

第671回 忙しい……

面白い人になってくださいね! 付き合ってつまんない人にはなってほしくないですね!

 これ、テレコム時代に大塚康生さんが何回か開いてくださった社内講演界にて、何回目(たぶん2回目?)かで仰られた言葉で、なぜかよく憶えてます。「面白い人に」というのが大塚さんらしいと思ったからだと。
 ま、面白い人になれてるかどうかは自信ありませんが、「ただただ忙しい人」にはなれたと自負しております。

アニメスタイルTALK アニメをもっと楽しむための撮影講座2020

 8月も、無観客配信のトークイベントをお届けします。タイトルは「アニメスタイルTALK アニメをもっと楽しむための撮影講座2020」。ゲストは撮影監督、ビジュアルエフェクトとして活動している泉津井陽一さん。
 泉津井さんには何度かアニメスタイルイベントで撮影について語っていただいています。今回のイベントは今までのおさらいをしつつ、新しい話題に触れていくかたちとなります。トークには実際のアニメーションの制作素材を使います。

 デジタルによるアニメーション制作が成熟する中、撮影というセクションの存在感はますます大きくなっています。アニメーションの撮影とはどんな仕事なのか、どのように映像を作り上げているのか。それを知れば、より作品が楽しめるようになるはずです。

 開催日時は2020年8月22日(土)。11時からAsagaya/Loft Aツイキャスでリアルタイムで配信し、その後、Asagaya/Loft Aツイキャスで8月24日(月)23時59分までアーカイブ配信を行います。アニメスタイルチャンネルでは、8月26日(水)からアーカイブ配信を始める予定です。

 Asagaya/Loft Aツイキャスの配信チケットについては、以下のリンクをご覧になってください(TwitCastingのロゴをクリックしてください)。

Asagaya/Loft(イベントページ)
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/152397

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

アニメ様の『タイトル未定』
264 アニメ様日記 2020年6月14日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年6月14日(日)
トークイベントの予習で『涼宮ハルヒの消失』を途中まで観る。観るのはかなり久しぶり。予想以上に面白かった。作画もいい。ワイフに髪を刈ってもらってから新宿のロフトプラスワンに。新宿もロフトプラスワンもひさしぶりだ。無観客配信トークイベント「アニメスタイルTALK 002 沓名健一と語るアニメ作画の20年」を開催。3時間で20年分の作画を語る予定が、5時間かけて7年分(2000年から2006年)しか進まなかった。それはそれとして、やっぱりイベント形式のほうが話しやすいなあ。無観客と言っても、関係者はある程度人数がいたので、どこかの店で打ち上げをするわけにもいかず、その場で解散。

2020年6月15日(月)
ワイフとの早朝散歩は続いている。早朝散歩の後は基本的にデスクワーク。ラフをまとめて送ったり、チェックが戻ってきた原稿の再チェックをしたり。『涼宮ハルヒの消失』を最後まで観て、その後、TVシリーズ『涼宮ハルヒの憂鬱』2009年版を1話から観る。本放送時と随分と印象が違う。これは本当に個人的な話だけれど、本放送時にはハルヒのことをやや冷めた目線で(もっと言うと、上から目線で)見ているキョンに気持ちがのせられなかった。むしろ、面白いことをやりたくて、活発に動くハルヒにシンパシーを感じていた。今はキョンに気持ちを重ねて観られる。年齢のせいで見方が変わったのか、ある種のフィクションに自分が慣れてきたせいなのか。

2020年6月16日(火)
ある媒体の取材を受ける。取材の最後に「このインタビューは掲載しないでください」とお願いして終了。たとえると「映画というものをほとんど観たことのない人が、下調べもせず、専門家に映画の魅力について語ってもらう」とか、そんな取材だった。せめてテーマについて下調べはしてほしいし、最低限の資料には目を通してほしい。質問状をもらった時点で「これはマズいかも」と感じていて、先に「原稿チェックで全面的に書き直すかもしれない」と伝えていたのだが、書き直しでどうこうできる取材ではなかった。取材を受けるのが上手な人なら、相手がどんなに分かっていなくても、上手に取材を転がすんだろうけど、僕には無理だった。

2020年6月17日(水)
午前中からデスクワークとSkype打ち合わせ。12時から14時まで近所の居酒屋で、業界のある方と昼吞み。夕方から飲むつもりで時間調整をしていたら、昼飲みになってしまった。その後もデスクワーク。急に『イエスタデイをうたって』の原作を読む必要が生じてKindleで数冊を購入。
『涼宮ハルヒの憂鬱』2009年版を最終回まで視聴。今だと、堀口悠紀子さんの画も分かる。西屋大志さんの仕事もある程度は分かる。作品中の時系列は別にして、2006年に作られたエピソードより、2009年に作られたエピソードのほうが、やはり「後のエピソード」という印象。2006年に作られたエピソードを観た後で、2009年の新作を観るのも正しい見方だろうと思う。
『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』をBlu-rayで視聴。馬鹿アニメでしかも燃える。キャラ愛が徹底しているところも素晴らしい。クライマックスの爆裂魔法の撮影(CG)が最高。
諏訪道彦さんのnoteの「企画のスタート11」と「企画のスタート12」と「企画のスタート13」で、『シティーハンター』の企画とプリプロダクションが日本サンライズ(サンライズ)以外の制作会社で進められていたことに触れている。今までも噂話としては聞いてたけれど、記事になったのは初めてかもしれない。

企画のスタート11(note/すわっちわ~)
https://note.com/suwacchi2/n/n5c8b8c3026d3

企画のスタート12(note/すわっちわ~)
https://note.com/suwacchi2/n/naefc973a5005

企画のスタート13(note/すわっちわ~)
https://note.com/suwacchi2/n/n1e7c91869c14

2020年6月18日(木)
ページ構成を進めている書籍はアニメスタイルの歴史の中で、いちばんマニアックなものなのではないか。自分で「これはマニアックだなあ」と思うくらいにマニアック。

2020年6月19日(金)
雨天のため早朝散歩はお休み。Netflixで『泣きたい私は猫をかぶる』 を観る。劇場作品として作られたが、新型コロナのために劇場での公開をせず、ネットで公開された作品だ。Netflixを観ている人達の年齢は知らないけれど、作品の対象年齢を考えると、やはり、配信で公開になったのは勿体なかったかもしれない。佐藤順一監督らしいバランス感覚で作られた作品であり、それから久しぶりに佐藤さんが「劇場作品」を意識して絵コンテを描いた作品であるはず。
1話だけ観ていた『グレイプニル』を改めて観始める。濃くていいなあ。昼までデスクワークで、12時から新文芸坐で「野ゆき山ゆき海べゆき〈カラー版〉」を観る。「追悼・大林宣彦 ~永遠の魔法~(1)」の1本だ(正確には(1)は丸数字)。「野ゆき山ゆき海べゆき」はタイトルだけ知っていた。しっとりした映画だと思っていたら、ヤンチャな映画だった。ヒロインのお昌ちゃんを演じる鷲尾いさ子さんがとても魅力的なんだけど、彼女の高身長のためにいろいろとギクシャクしているような気がする(後でWikipediaを読んだら、ヒロインは富田靖子さんが演じることで準備が進んでいたが、急遽、鷲尾さんに決まったのだそうだ。ただし、僕が感じた違和感がその交代に起因するのかどうかは分からない)。お昌ちゃんの弟は、学校に入るのが2年遅れて他の生徒より年長ということになっているんだけど、2年どころか5歳くらい年上に見える。それから、鷲尾さんの入浴シーンがあって、かなりの「ありがたおっぱい」だった。

2020年6月20日(土)
深夜から昼にかけてデスクワーク。13時45分からある方と居酒屋で昼吞み。世間話と仕事の相談。定例の吉松さんとのSkype飲みは今週もなし。来週は吉松さんと居酒屋で呑むかもしれない。「楽しい自粛生活が終わったね」とワイフ。
「それでも歩は寄せてくる」4巻、「衛府の七忍」9巻を読む。どちらも面白かった。

第670回 大塚さんの画集

「大塚康生画集『ルパン三世』と車と機関車と」(玄光社刊)が発売中です!


 メモリーバンク・綿引様、本贈っていただきありがとうございます。これは大変よい本です! 以前ここで話題にした色紙の寄稿依頼の件がこの本でした。自分の他に色紙の寄稿に参加されたメンバーが凄い! ホントいちいち書き出すとキリがないくらい豪華な方々の中、自分1人が浮いてる状態(オレンジ色の帯の裏表紙側参照)なので、興味が湧いた方は是非購入し、確認してください。
 中身はタイトルどおり、ルパンとジープと機関車でいっぱい。その中のいくつかは、俺がテレコム時代に実物を見た画でとても懐かしいです。「おもちゃ箱」関連の画、侍とかジープとかは、大塚さんが描いている最中、我々スタッフに「最近こんなの描いてるんだよ〜」とニコニコして見せてくださったのをよく憶えています。あの頃の大塚さんは、鉛筆で描いた画を一度手差しコピーで画用紙に転写して、それに水彩で着色してたと思います。だから似た画が何枚もでき上がってたんです。それが社内で流行ったのか、友永和秀師匠も『姿三四郎』のDVDパッケージイラストを同様の手法で描かれてました。『姿三四郎』のDVDをお持ちの方はご確認ください。ジャケットの表イラストと、中のブックレットの表紙が同じ線画の色違いなのは、前述の手法で描かれたからです。ま、大塚さんの話に戻します。
 何しろ大塚さんの描かれる車やメカは、すべてキャラと同じく感情でもあるかのように感じられるのはなぜでしょうか? もちろんご自身が車・メカ好きだからなのは間違いないでしょうが、車1台描くにも「誰がどこで何年乗った車なのか?」つまりそのメカの歴史まで表現されてるからこそ、生きて見えるのではないか? CGでいくらサビ・汚れなどのテクスチャーを貼っても出せない”味”が大塚さんの画からは未だに感じられるのです。そのことが再確認できた素敵な本ですよ!

皆さん、是非お買い求めください!!

「アニメスタイル20周年展」を開催中
第3弾は「『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ができるまで」

 「アニメスタイル」の20周年を記念して、ササユリカフェで「アニメスタイル20周年展」を開催しています。開催は9月末までの予定で、開催期間内に展示内容が変わっていきます。

 「アニメスタイル20周年展」の第3弾は「『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ができるまで」。「この世界の片隅に」及び、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の制作資料の展示となります。期間は8月13日(木)から8月31日(月)まで。
 展示内容は脚本、絵コンテ、本編パートの原画、レイアウトなどで、絵コンテは各パートの初稿から最終稿までの全てを展示。今年1月に開催された「『この世界の片隅に』ができるまで展2」と重複しますが、原画は改めてセレクトしたカットをご覧いただきます。

 開催期間中のササユリカフェは終日立ち見営業となります。入場料はいただきませんが、入場時に持ち帰りドリンクのオーダーが必要です。営業時間は11時30分から18時で、火曜と水曜が定休日。
 また「アニメスタイル20周年展」のササユリカフェでは「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」上巻、下巻をはじめ、アニメスタイルの書籍を販売しています。

■関連リンク
ササユリカフェ
http://sasayuricafe.com

「アニメスタイル20周年展」を開催中 第2弾は吉成曜さんのラクガキの展示です
http://animestyle.jp/2020/07/16/17792/

『この世界の片隅に』絵コンテの決定版 [長尺版]よりも長い[最長版]で刊行!
http://animestyle.jp/news/2019/11/11/16619/

第188回 音楽と映像のラリー 〜ピンポン THE ANIMATION〜

 腹巻猫です。8月15日(土)開催予定の「資料性博覧会13」に参加します。TVアニメ『赤毛のアン』の音楽研究本(既刊)ほかを頒布予定。ご縁がありましたら会場でお会いしましょう。
 詳細、一般参加方法等は下記を参照ください。

資料性博覧会13
https://www.mandarake.co.jp/information/event/siryosei_expo/


 Netflixで配信中のアニメ『日本沈没2020』が話題になっている。70年代の「沈没ブーム」直撃世代である筆者は、小松左京が原作で提示した「日本人とはなにか?」「日本人はどこへ行くのか?」という問いに現代的な視点と解釈で回答を示した快作と受け止めた。
 その『日本沈没2020』の音楽を担当しているのが牛尾憲輔。筆者が最近注目している作曲家である。
 今回は牛尾憲輔が初めて単独で音楽を手がけたアニメ作品『ピンポン THE ANIMATION』を取り上げよう。
 『ピンポン THE ANIMATION』は2014年4月から6月まで放送されたTVアニメ。松本大洋の原作マンガを湯浅政明監督が映像化した。
 主人公は片瀬高校卓球部に所属するペコこと星野裕とスマイルと呼ばれる月本誠。子どもの頃から一緒に卓球をしてきた2人だが、今は2人とも心に屈託を抱え、全力で卓球に打ち込んでいない。その2人がライバルやコーチとの出会いを通して卓球への情熱を取り戻していく。見た目はクールだったり、へらへらしたりしているが、心中には熱い思いを持つ少年たちの闘いを描く、現代的なスポーツ(根性)アニメである。
 松本大洋の個性の強い絵が湯浅監督ならではのダイナミックなアニメーションで動く。それだけでも感動的だ。その映像に独特の香りを添えているのが牛尾憲輔による音楽である。

 牛尾憲輔は本作以前にTVアニメ『スペース☆ダンディ』(2014)の音楽に参加している。が、そのときは「スペース☆ダンディバンド」の一員としての参加。アニメ全編の音楽をひとりで担当するのは本作が初めてだった。
 牛尾憲輔は2003年よりテクニカル・エンジニアとして石野卓球、電気グルーヴらの音源制作やライブをサポート。2008年から「agraph」名義でソロ活動を開始した。また、ナカコー、フルカワミキ、田渕ひさ子とともに結成したバンド「LAMA」や、ミト(クラムボン)とのアニソンDJユニット「2 ANIMEny DJs」でも活躍。CMやアニメ作品への楽曲提供など多彩な活動を展開する音楽家だ。
 映像音楽では『ピンポン THE ANIMATION』を皮切りに、アニメ『映画 聲の形』(2016)、『リズと青い鳥』(2018)、『DEVILMAN crybaby』(2018)、『ブギーポップは笑わない』(2019)、実写映画「モリのいる場所」(2018)、「麻雀放浪記2020」(2019)、TVドラマ「フェイクニュース」(2018)などを手がけている。
 牛尾憲輔がソロでクリエイトしている楽曲は、本人曰く「ダンスミュージックではない電子音楽」。ひとりぼっちで聴くような音楽だという。いわば「内省的な電子音楽」が『ピンポン』という作品の方向性にマッチした。
 『ピンポン』の登場人物たちは、みなどこか屈折している。昭和のスポ根マンガのように、ストレートに感情を表したりしない。自分の気持ちがわかっていなかったり、わかっていてもあからさまに表に出すのは恥ずかしいと思っている。
 その現代的な青春の屈折が無機質なリズムを刻む電子音楽によって浮かび上がってくる。海の底から浮かんでくる泡のように。
 たぶん、生楽器によるリズムや音色だと生々しすぎて、この屈折はうまく伝わらない。といって、チープな電子音楽だとだいなしだ。牛尾憲輔が作り出す緻密なサウンドだからこそ表現できた心の機微である。
 といっても、『ピンポン THE ANIMATION』の音楽は難しいものではない。試合場面を盛り上げる音楽、クセの強いキャラクターを描写する音楽、本作のキーワードである「ヒーロー」をテーマにした音楽など、「劇伴」として必要な楽曲が用意されている。
 選曲担当の合田麻衣子の証言によれば、音楽発注にあたっては複雑なメニューは作らず、キャラクターごとのテーマやそのアレンジなど、35曲ほどのオーダーをしたという。牛尾憲輔は自分から音楽のアイデアを出し、曲を追加していった。「勝手にいろんな曲を作った結果」、納品した曲数は50曲以上になった。
 本作の音楽を象徴する楽曲が「Ping Pong Phase」と題された曲である。
 ピンポン球が跳ねるラリーの音から始まり、それがしだいにリズムを形作っていく。ミニマル・ミュージックの先駆者として知られる現代音楽家・スティーブ・ライヒの楽曲を思わせる実験的な(あるいは遊び心に富んだ)楽曲だ。
 この曲を聴いた湯浅監督は、「頭の卓球ラリーの音を何秒にして、何秒目からパーカッションのリズムが入るようにして」と注文をつけてきた。牛尾がそのとおりに作り直した曲が第3話のインターハイ予選会場の場面で使われている。卓球選手がピンポン球を打ちあって練習している。その音がいつの間にか音楽になっていく。「SEではなく音楽だったのか!?」と観ていて驚く場面だ。いわゆるフィルムスコアリングとはちょっと違う。音楽と映像が触発しあって生まれた名場面だ。
 『ピンポン THE ANIMATION』では、こんなふうに、音楽サイドと映像サイドがアイデアを出し合い、影響しあいながら作品が作り上げられている。まるでラリーをするように。とてもスリリングで刺激的だ。

 本作のサウンドトラック・アルバムはアニプレックスから2種類がリリースされている。ひとつは2014年8月に発売されたBlu-ray BOX「ピンポンCOMPLETE BOX」完全生産限定盤の特典CD「EXTRA SOUNDTRACK」(2枚組完全収録盤)。もうひとつは、2014年11月に配信開始された配信版アルバム「ピンポンSOUNDTRACK Standard Edition」(ハイレゾ版と通常音源版)。「EXTRA SOUNDTRACK」のほうが曲数が多いが、入手しやすい「Standard Edition」から紹介しよう。
 収録曲は以下のとおり。

  1. Hero Appears
  2. Hero Theme
  3. Moon Base
  4. A Day of Peco
  5. Katase High School Ping Pong Club
  6. Obaba Tamura
  7. China
  8. Like A Dance
  9. Old Joe
  10. Butterfly Joe
  11. Game Analyst
  12. Smile Monster
  13. Ping Pong Phase
  14. Four-Eyes Attacks
  15. Rivals
  16. In Mirrors
  17. Akuma
  18. Out of Control
  19. Dragon
  20. Nothing Happens
  21. Yurie
  22. Poseidon CF
  23. The Melancholy of Dragon
  24. Wish Upon A Star
  25. His Noise
  26. Tenderness
  27. A Recipe of Hero
  28. China’s Kitchen
  29. Sweet Pain
  30. Night Crusing
  31. The Heat
  32. Sanada
  33. Say My Name
  34. My Home,China
  35. Childhood
  36. The Other Side of Dragon
  37. Peco
  38. Ping Pong Phase2
  39. 手のひらを太陽に
  40. Tenderness(5years after)
  41. Farewell Song
  42. Hero Appears(Reprise)

 音楽を携帯プレーヤーに入れてランダムに聴くことが多くなった昨今、もはやアルバムを曲順どおりに聴くことは稀なのかもしれない。が、本アルバムはぜひ一度は曲順どおりに聴いてもらいたい。
 よく考えられた曲順だ。頭にメインテーマ的な楽曲を置き、以降は、ほぼストーリーを追う形で曲を並べている。終盤のトラック38からの5曲は、最終話で流れた楽曲を使用順に収録。物語のクライマックスとエピローグを音楽で再現する。ファンにはこたえられない構成である。
 1曲目の「Hero Appears」と2曲目の「Hero Theme」はともに「ヒーロー」をテーマにした曲。「Hero Appears」は劇中印象的な「ヒーロー見参!」の場面に流れる。「Hero Theme」はタイトルどおりヒーローのテーマだ。どちらも高揚感のある曲だが、昭和的な「燃える曲」とはひと味違う。クールなリズムとサウンドが「熱狂」の一歩手前で踏みとどまらせる。冷めた視線を内包した現代的なヒーローのテーマである。
 続く「Moon Base」「A Day of Peco」「Katase High School Ping Pong Club」は日常場面を彩る楽曲。日常曲ではあるが生活感はなく、抽象度が高い。こういう曲も実に『ピンポン THE ANIMATION』らしい。「Katase High School Ping Pong Club」は、やる気なさそうな卓球部員の日常がユーモラスに伝わるナンバー。
 キャラクターのテーマは、それぞれに特徴的な楽器編成やスタイルで書かれている。第1話でペコに圧勝する中国人留学生チャイナのテーマ「China」は疾走感のあるテクノ、スマイルを鍛えようとする卓球部コーチ・小泉のテーマ「Old Joe」はアコーディオンの音色による哀愁ただようワルツ、本気を出したスマイルのテーマ「Smile Monster」はノイズミュージック風、ペコに対抗心を燃やす選手・アクマのテーマ「Akuma」はわかりやすいヘビーメタル、最大の強敵・ドラゴンのテーマ「Dragon」は重いリズムとボイスを使ったモンスター音楽風という具合だ。
 ドラゴンが所属する海王学園卓球部の描写によく使われた「Rivals」も面白い。民謡調のリズムとかけ声がからみ、笑ってしまうくらいの「強豪感」を表現している。
 試合場面でよく流れたのが「In Mirrors」だ。四つ打ちのテクノサウンドでラリーの緊張感を表現。70年代の『エースをねらえ!』なんかだと、躍動感のあるリズムにトランペットのメロディを使って息詰まる熱戦を表現するのだが、本作の試合BGMはぐっとクールだ。心理戦の一面もある卓球の試合を、あえて高揚感を抑えた曲調で描く。現代的であるし、本作らしい。対戦スタイルを分析する場面に流れる「Game Analyst」や熱戦を描写する「The Heat」も同様のコンセプトで作られている。
 試合の曲については牛尾憲輔がインタビューで興味深いことを語っている。卓球はパッと見、どっちが優勢なのかわかりにくいスポーツなので、それを音楽で表現してほしいと言われ、実際の卓球のラリーを観てBPM(Beats Per Minute=1分間の拍数)を割り出し、そのBPMでさまざまなテクノの曲を作ったのだそうだ。さらにその曲の音源をドラムだけ、ベースだけ、上モノだけといったセクションごとにバラして納品。音響監督が試合の局面や展開に応じて、自由に組み合わせて使えるようにしたという。
 同じ試合の曲でも、第1話のペコ対チャイナの場面に流れた「Like A Dance」は、よりスピード感のある曲に作られている。チャイナの圧倒的な強さを表現するためだろう。その同じ曲が、第8話でペコがチャイナを逆に追い詰める場面に流れるのが爽快だ。選曲の妙である。
 心情曲では、ドラゴンの孤独を表現する曲としてよく使われた「The Melancholy of Dragon」が耳に残る。「Melancholy」というタイトルであるが、憂鬱な曲ではない。特定の心情を表現するというより、「どう感じる?」と問いかけてくるような曲だ。このニュートラルな感触はほかの曲にも共通する。友情のテーマとも呼べる「Tenderness」、苦い傷心の曲「Sweet Pain」、チャイナの郷愁を表現する「My Home,China」、ペコとスマイルの子ども時代の回想場面に流れた「Childhood」など、いずれも感情を押し付けず、聴く者に解釈をゆだねるような曲調だ。その距離感が心地よい。
 37曲目の「Peco」は、第10話でペコがドラゴンに反撃を始める場面に流れるペコのテーマ。この曲は牛尾憲輔ではなくオオルタイチ(TVアニメ『映像研には手を出すな!』の音楽を担当)が作曲している。明るくユーモラスな曲調はアルバムの中でも特異。ペコの中にある純粋に卓球を楽しむ気持ちを象徴する曲だ。
 「Ping Pong Phase2」は最終話(第11話)前半のペコとスマイルの回想シーンに流れる。第3話で使われた「Ping Pong Phase」をリアレンジした曲である。決勝戦でのペコ対スマイルの場面に流れた「手のひらを太陽に」を経て、エピローグに使われた3曲「Tenderness(5years after)」「Farewell Song」「Hero Appears(Reprise)」が続く。ラストの3曲は本編尺を聞いた上で、その尺に合わせてアレンジしたという。アルバム全体が「Hero Appears」で始まり、「Hero Appears(Reprise)」で終わる構成が美しい。
 テクニカル・エンジニアとしての顔も持ち、さまざまな電子音楽や実験的な音楽を作ってきた牛尾憲輔ならではのアイデアと手法が、『ピンポン THE ANIMATION』の音楽には詰め込まれている。さらに、映像制作と並走しながら、映像に合わせて音楽を追加したり編集したりして、映像と音楽の密着度を上げている。作品への愛情とこだわりが生んだ斬新で意欲的な音楽である。

 本作以降の牛尾憲輔の活躍はめざましい。
 音楽メニューのない白紙の状態から音楽作りに挑んだ『映画 聲の形』、フィールドレコーディング(屋外録音)を採り入れ、現実音と音楽との融合を試みた『リズと青い鳥』、テクノで描く黙示録の世界『DEVILMAN crybaby』、自身も影響を受けたと語る先行作品『ブギーポップは笑わない〜Boogiepop Phantom』(2000)へのオマージュを込めた『ブギーポップは笑わない』、そして、カタストロフィに抗うような温かく静かなサウンドで綴る『日本沈没2020』。1作ごとに工夫をこらし、新しい音楽を作り出していて目が離せない。
 2020年5月の劇場公開が予定されていたフライングドッグレーベル設立10周年記念作品『サイダーのように言葉が湧き上がる』の音楽も牛尾憲輔が担当している。残念ながら公開が延期されているが、劇場で観られる日が楽しみだ。

ピンポン SOUNDTRACK Standard Edition
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ピンポン COMPLETE BOX(完全生産限定版)[Blu-ray]
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アニメ様の『タイトル未定』
263 アニメ様日記 2020年6月7日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年6月7日(日)
早朝散歩と午前中の散歩で散歩2本立て。午前中の散歩はワイフと飛鳥山公園に。「ぐるぐるてくてく」3巻で話題になっていた飛鳥山公園の紫陽花も見る。ワイフは帰り道に花屋で紫陽花の鉢植えを買う。陽射しは強めで、日光が苦手なワイフはくたくた。ぐるぐるくたくた。午後、事務所に入って「設定資料FILE」の素材の読み込みなど。

2020年6月8日(月)
早朝散歩は大塚公園に。ここは昭和3年に開園した公園だそうで、施設も充実。ラジオ体操発祥の地とも言われているらしい(後で知人に教えてもらったのだが、この公園は『ユリ熊嵐』の舞台にもなっているのだそうだ)。大塚公園に行ったのも「ぐるぐるてくてく」3巻がきっかけだった。事務所に入って「設定資料FILE」の構成。他は事務的な作業とか。
YouTubeで配信中の『美少女セーラームーンR』を24話まで視聴。あまり意識したことがなかったけれど、第1シリーズに比べて展開が遅い。

2020年6月9日(火)
Zoom打ち合わせの後、BONESで打ち合わせ2本立て。電車に乗ったのは2ヶ月ぶりか3ヶ月ぶり。久しぶりの高田馬場、久しぶりの井荻。皆がマスクをしている以外は何かが大きく変わったわけではない。この3ヶ月くらいはのんびりしていたなあ。色々とスピードアップさせなくては。

2020年6月10日(水)
諸般の事情で、事務作業が急増しており、書籍編集の実作業の時間がなかなかとれない。土曜に予定していた無観客配信イベントが延期に。他にも色々と。
ある女性声優のイベントについて、参加者の人数を絞り、チケット価格を倍近くの金額にすると告知されていた。現在の状況では、会場に以前と同じ人数を入れることはできないだろうし、それでイベントを成立させるにはチケット価格を上げるしかない。今後はこういうことも増えていくんだろうなあ。
午前中にNetflixで『GREAT PRETENDER』CASE2(全5話)を観た。

2020年6月11日(木)
「今石洋之アニメ画集 スペシャルセット」の初回生産分の発送が終わる。このところ、事務所二階は在庫でいっぱいだったが、床が見えるようになった。
Disney+のサービスが始まったので「アバター」を観てみる。その後、Twitterの【 #ネットで観られるお勧めアニメ 】を書くために、Amazon Prime Videoで『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』『雲のむこう、約束の場所』を視聴する。例によってながら観だけど。『秒速5センチメートル』の映像が記憶にあるほどはみっちりしていなかった。単純に画の密度だけでいったら、『君の名は。』のほうが上かもしれない。ではあるが『秒速』はいい構図が沢山ある。物語よりも表現に力を入れた作品であるのも間違いない。その後、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』を観る。

2020年6月12日(金)
早朝散歩の黒猫スポットで子猫を発見。あのスポットには黒猫が8匹もいたのか。デスクワークとデスクワークの間に、新文芸坐で「大人は判ってくれない」(1959/99分)を観る。特集「世界の映画作家Vol. 213 フランソワ・トリュフォー」の1本だ。新文芸坐で映画を観るのも久しぶり。仕事の合間にふらりと新文芸坐に行くのはもっと久しぶり。それから、仕事をお休みしていた支配人の矢田庸一郎さんが復帰されていた。
「大人は判ってくれない」は前にオールナイトで観ているはずなんだけど、かなり忘れていた。長回しのカットは、今の目でも大変なことをやっていると思う。最後のストップモーションは鮮烈。

2020年6月13日(土)
無観客トークイベントの準備で『鉄腕バーディー DECODE:02』を観る。そして、事務作業の引き継ぎ。引き継ぎが夕方までかかることは分かっていたので、定例となっていた土曜の吉松さんとのSkype飲みはおやすみ。

第669回 リモート会議ってゆーの?

 最近はもっぱらリモート会議! ホン読み(脚本打ち)も作打ちも。移動時間のロスがないぶん、他にできる仕事が増えました。大変良いことです!

こないだは、サンジゲンの松浦裕暁社長とリモート会議! 
いい景色を背負った松浦さんと!

 ウチの若手にCGと撮影を教えてくださる松浦さんとサンジゲンさんには、本当に感謝です。板垣個人的松浦さんとの初仕事は『砂ぼうず』(2004年/GONZO制作)。俺がコンテ切ったホバー戦車のCGを松浦さんが作ってくださいました(土煙込みで)。当時は自分も若かったので「ああして欲しい」「ここは直して」とズバズバ言ったような気がするのですが、数年後に再会した際はウルトラ・スーパー・ピクチャーズの偉い社長になっていました(汗)。
 今思えば、松浦さんに限らず20代終わり〜30代はフリーであちこちのスタッフと知り合い・友達になり、一緒に仕事をし、結果「人脈作り」の時期でした。そして40代は「後輩を育てる」時期! で、50代になったら、その育てた現場で後輩らが作品を作る中、隙間で自分の作品を作らせてもらえたらと思ってます。

アニメ様の『タイトル未定』
262 アニメ様日記 2020年5月31日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年5月31日(日)
ワイフとの早朝散歩は、頑張って巣鴨まで。Twitterの【 #ネットで観られるお勧めアニメ 】を書くために、Amazon Prime Videoで『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を観直す。

2020年6月1日(月)
午前中はツイキャスの「佐藤家が関わったアニメ雑談」を聴きながらキーボードを叩く。佐藤順一夫妻のトークである。印刷会社からの提案で、先週金曜に入稿した書籍の製本方法を変えることになった。アジロからPURに。僕とスタッフ4人の計5人でZoom打ち合わせをする予定だったのだけれど、通販用在庫の搬入手伝いで4人中3人が出社してしまったので、Zoom打ち合わせは延期に。

2020年年6月2日(火)
仕事は原稿やラフ描きではなく、事務作業を優先。午前中はNetflixで『GREAT PRETENDER』を視聴。それと作業をしながら、iTunesとAmazon Musicで山口百恵さんの歌を聴いた。年齢を重ねてから聴くと、おじさん達の「この子にこんな歌を(Hな歌とか不良っぽい歌とかを)歌わせたい」というスタンスがあからさまで凄いと感じる。それを本人が受けとめて歌唱しているところを含めて楽しむべきなのか。当時のことが知りたくて、Amazonで「蒼い時」の古本を注文する。
年末にコミケがあるかどうかは分からないが、あってもなくても、準備中のある書籍を今年の12月末発売目標で進めることを決める。

2020年年6月3日(水)
グランドシネマサンシャインの10:30からの回で『AKIRA【IMAXレーザーGT版】』を鑑賞。劇場で映画を観たのは2月27日の『劇場版 Gのレコンギスタ II ベルリ撃進』以来かな。とにかくひさしぶりの映画館だ。『AKIRA』の内容は知っているので、冷静に画や音を確認しながら観た。「ああ、スクリーンがデカいなあ」と思った。リマスター画面が鮮明になっているため、場面によっては「目の前に巨大なセルがあるような感覚」になる。それから、鮮明さのため動画の粗いカットのきびしさが増す。勿論、リマスターで印象がよくなった部分もある。
「吉成曜画集 ラクガキ編[手塚治虫キャラクター]」の校正紙が出る。自宅作業のスタッフが出勤して校正紙を確認する。

2020年年6月4日(木)
仕事は事務的な作業がメイン。「吉成曜画集 ラクガキ編[手塚治虫キャラクター]」が校了。Amazon Prime Videoで「ここは退屈迎えに来て」を視聴した後、『イエスタデイをうたって』の未視聴分を観る。「ここは退屈迎えに来て」と『イエスタデイをうたって』で「何者かになりたい」というセリフを続けて聞く。その後、『アバター 伝説の少年アン』を1話から数本観る。海外の作品で、作画に元気がある。
Amazonから届いた「蒼い時」に目を通す。最後の山口百恵さん自身の手書きパートが圧巻。際どい歌詞についての言及もあった。

2020年6月5日(金)
事務所でデスクワーク。Netflixで『バキ 大擂台賽編』を最終回まで視聴。刑務所の話はマホメド・アライJr.との対決の後なのね。中国大擂台賽の次が刑務所の話かと思っていた。さらに言うと、刑務所の話は原作だと「範馬刃牙」ではなくて、次のシリーズの「バキ」だった。まあ、それとともかく、連載でもそういった展開になっているはずだけど、マホメド・アライJr.と刃牙が対決する前の積み重ねが数話分あるのに、試合そのものはあっという間に終わる。連載時よりも、アニメの一気観のほうが「もう終わりなの」という驚きがあった。原作「バキ」に相当する部分も映像化するなら、烈海王のボクシング編を膨らませてほしいなあ。
特に理由はないけれど、『地獄先生ぬ~べ~』劇場3本とOVA3本を視聴。歴代アニメ『地獄先生ぬ~べ~』を整理すると以下のかたちとなるはず。
…………
1996年4月13日~1997年6月21日 TVシリーズ『地獄先生ぬ~べ~』
1996年7月6日 劇場『地獄先生ぬ~べ~』
1997年3月8日 劇場『地獄先生ぬ~べ~ 午前0時 ぬ~べ~死す!』
1997年7月12日 劇場『地獄先生ぬ~べ~ 恐怖の夏休み!! 妖しの海の伝説!』
1998年9月21日 OVA『地獄先生ぬ~べ~ 決戦!陽神の術vs壁男』
1998年10月21日 OVA『地獄先生ぬ~べ~ なぞなぞ七不思議・ブキミちゃん』
1999年10月21日 OVA『地獄先生ぬ~べ~ 史上最大の激戦! 絶鬼来襲!!』
…………
面白かったのは『史上最大の激戦! 絶鬼来襲!!』。前にCSでたまたま観て、感心したのはこれだな。作画もいい。 『地獄先生ぬ~べ~ 午前0時 ぬ~べ~死す!』はファーストカットで監督が貝澤幸男さんだと分かった。他にも凝ったところが多かった。

2020年6月6日(土)
ほぼ休日。散歩、昼風呂、昼寝、昼読書。事務所に入って作業。夕方から吉松さんとSkype吞み。「ぐるぐるてくてく」3巻を読む。今回は毎朝行っている公園や、よく行く公園、ワイフが大好きな公園が舞台となっていて、ちょっと嬉しい。
【 #ネットで観られるお勧めアニメ 】を書くために『るろうに剣心 星霜編』を視聴。改めて確認したら『星霜編』は、クレジットではタイトルに「‐明治剣客浪漫譚‐」が入らないのね。

第187回 伝統を超えて 〜ULTRAMAN〜

 腹巻猫です。Netflixで配信されている劇場アニメ『泣きたい私は猫をかぶる』を観ました。音で織られたタペストリーのような窪田ミナさんの音楽が素敵。サウンドトラックは主要音楽配信サイトで配信中。CDアルバムはAmazon限定のようです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B089M61JJG/


 昨年(2019年)、Netflixで配信されたアニメ『ULTRAMAN』のサウンドトラック・アルバムが7月8日に発売された。発売を待ち望んでいただけに、うれしいリリースだ。
 『ULTRAMAN』のテーマ曲には格別の思い出がある。今年(2020年)2月下旬、新型コロナウイルスの影響でコンサートやライブが次々と中止や延期になる前に、最後に足を運んだコンサートで聴いたのが『ULTRAMAN』のメインテーマだったのだ。
 コンサートのタイトルは「SUPER HEROES」。FILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA(通称フィルフィル)の演奏による、国内外のヒーロー劇場作品、ヒーロー番組の音楽を集めたコンサートだった。このフィルフィルこそ、『ULTRAMAN』の音楽を手がけた戸田信子が代表・音楽監督を務めるオーケストラ。『ULTRAMAN』の音楽録音にも参加している。
 今回は、その『ULTRAMAN』の音楽を取り上げたい。

 『ULTRAMAN』は2019年4月にNetflixで全世界同時配信された3DCGアニメ。2020年4月から7月にかけて、TOKYO MXとBS11でTV放映もされた。
 原作は清水栄一と下口智裕による漫画。1966年から放送された特撮TVドラマ「ウルトラマン」の40年後の世界を描く作品だ。
 ウルトラマンが去った後の地球では、さまざまな異星人が地球を訪れ、地球人と共存していた。が、異星人が関わる凶悪犯罪が勃発。科学特捜隊がひそかに開発を進めていた強化服・ウルトラマンスーツを装着した若者たちが、新たな“ウルトラマン”として地球を守る任務につく。
 主人公は「ウルトラマン」に登場する早田(ハヤタ)隊員の息子・早田進次郎。諸星弾(ウルトラセブン)、北斗星司(ウルトラマンエース)といった、ウルトラシリーズでおなじみのキャラクターも、本作独自のアレンジで登場するのが見どころだ。本作のウルトラマンは「変身」するのではなく、強化服をまとって戦う。異星人との戦いだけでなく、ヒーローの力を身に付けた若者たちの葛藤や対立が物語の軸になっている。劇場作品「アベンジャーズ」を思わせる、新時代のウルトラマンの物語である。
 音楽を手がけたのは、戸田信子×陣内一真。東京とロサンゼルスを拠点に活躍する作曲家ユニットだ。代表作は、ゲーム「メタルギアソリッド」シリーズ、「Halo 5: Guardians」(2015)、劇場作品「太秦ライムライト」(2014)、TVドラマ「タイムスクープハンター」(2009〜2014)など。戸田信子は、TVアニメ『一週間フレンズ。』(2014)、『宝石商リチャード氏の謎鑑定』(2020)などの音楽も手がけている。
 先に紹介したFILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA(フィルフィル)は、サウンドトラックを専門に演奏するオーケストラとして戸田信子が2016年に創設した管弦楽団だ。筆者は何度かコンサートに足を運んだが、楽団員もみな映画音楽ファンで、サントラ愛にあふれた演奏に胸が熱くなった。また、戸田信子は映画音楽作曲家の貴重な証言を集めた劇場作品「すばらしき映画音楽たち」(2017)の製作総指揮も務めている(マット・シュレーダーと共同)。
 戸田信子と陣内一真は、バークリー音楽大学の映画音楽作曲科とコンテンポラリーライティング&プロダクション科を卒業した作曲家。現代のハリウッド映画音楽の技術とノウハウを本格的に学び、作品に昇華させている。『ULTRAMAN』の音楽も、21世紀のハリウッド映画音楽の香りがする。演奏にはフィルフィルだけでなく、数々の映画音楽の演奏で知られるプラハ・シティ・フィルハーモニー管弦楽団(The City of Prague Philharmonic Orchestra)も参加。ミックスをアラン・マイヤーソンが手がけるなど、音作りも国際的だ。
 本作の音楽制作については、『ULTRAMAN』公式サイトで公開されているインタビューで詳しく語られている。
 それによれば、2人は過去のウルトラマンシリーズの音楽を参考にはしなかったという。むしろ監督から「聴かなくていい」と言われていた。『ULTRAMAN』の音楽からは「過去にとらわれず、新しいウルトラマンの音楽を作ろう」という意気込みが伝わってくる。
 楽器編成はオーケストラとシンセサイザーのハイブリッド。どちらが主でも、どちらが従でもなく、生楽器と電子楽器が混然となって響き合う。3DCGで作られた映像にフィットし、強化スーツをまとった新たなウルトラマンのイメージにもマッチする現代的なサウンドだ。
 本作の音楽は、映像に合わせたフィルムスコアリングで制作された。同時に、主要キャラクターごとにテーマを設定するライトモチーフの手法も採用されている。
 ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンエース、それぞれに異なるテーマが用意されている。特徴は、メロディで差別化するだけでなく、音色から変えて色分けしていること。ウルトラマンは正統派のシンフォニックサウンド。ウルトラセブンはエレキギターとシンセがリードするクールな曲。ウルトラマンエースはシンセと弦楽器主体のロックバラード風。ヒーローそのものではなく、ヒーローになる(なろうとする)人間のキャラクターに合わせたサウンドが設定されている。そのため、音楽がドラマに直結している。
 また、異星人や怪獣にも、それぞれテーマが与えられている。キャラクターが異なるのだからあたりまえなのだが、溜め録り方式の音楽では、毎回登場する異星人や怪獣それぞれに異なるテーマを用意することは難しい。フィルムスコアリングならではのぜいたくな作り方である。

 本作のサウンドトラック・アルバムは2020年7月にバンダイナムコアーツ(ランティスレーベル)から発売された。CD2枚組。BGM53曲に加え、ボーナストラックとして主題歌・挿入歌4曲が収録されている。
 収録曲は下記を参照。
https://www.lantis.jp/release-item/LACA-9758.html
 完全収録ではなく、主要楽曲をセレクトし、ほぼ劇中使用順に沿って収録した構成である。ディスク1に第1話〜5話、ディスク2に第6話〜13話(最終話)の楽曲を収録している。
 印象深いトラックを紹介しよう。まずはディスク1から。
 1曲目は本作のメインテーマ「ULTRAMAN」。
 メインテーマは「変身」シーンをイメージして作られた。冒頭にキャッチーなフレーズを配し、1、2小節を聴いただけで印象に残る楽曲にしているのがさすがだ。この短いフレーズを聴いただけでウルトラマンのテーマであることがわかる。
 本編では、第2話で進次郎が初めてウルトラマンスーツを身に付ける場面をはじめ、必殺技スペシウム光線を放つ場面、ウルトラマンが初めて空を飛ぶ場面など、ここぞという見せ場に使用されている。まさしくメインテーマであり、ウルトラマンのテーマだ。
 第1話冒頭のプロローグ部分に流れるのがトラック2「光の巨人」。ホルンの響きが雄大なスケールを感じさせる曲で、ウルトラマンの世界への導入としてはこの上ない。冬木透らが作り上げた過去のウルトラマン音楽との共通性も感じられる。この曲を導入に、以降は本作独自のウルトラマン・サウンドが展開することになる。
 「科学特捜隊」(トラック4)は『ウルトラマン』に登場する地球防衛チーム・科学特捜隊のシーンに流れた曲。ウルトラマンが地球を去ったあと、科学特捜隊は解体されたが、記念館となった基地の地下には作戦室が設けられ、ひそかに活動を続けていた。高揚感を抑えたクールな曲調が本作の科学特捜隊像を示している。
 「早田進次郎」(トラック6)は主人公・進次郎の宿命を象徴する曲。高校生としてふつうの学園生活を送る進次郎は、自身がウルトラマンの因子を受け継いでいることをまだ知らない。本編では、進次郎の父・早田進が自分がウルトラマンであったことを思い出す場面から流れている。
 その早田進の戦いを描くのが「私がウルトラマンだ」(トラック11)と「ベムラー vs ウルトラマン」(トラック12)。弦の速いパッセージをバックに低音を強調したブラスセクションが重厚なフレーズを奏でる。危機感あふれるスリリングなバトル音楽である。
 そして、ついに進次郎がウルトラマンスーツをまとって戦うときが訪れる。「ウルトラマン・スーツ」(トラック13)は進次郎が父を助けるためにウルトラマンスーツを装着することを決意する場面の曲。進次郎の葛藤と決意を表現する弦楽器主体の曲だ。
 本編ではこのあとメインテーマが流れ、「ファースト・ミッション」(トラック14)が続く。
 「ファースト・ミッション」は4分近くに及ぶバトル曲。映像に沿った構成で進次郎=ウルトラマンの初めての戦いを描写する。スピード感と緊迫感に富んだ曲調は、強化スーツをまとった等身大のウルトラマンの戦いにふさわしい。
 初めての敵を倒したあと力尽きて倒れるウルトラマン(進次郎)のシーンに流れたのが「避けられない運命」(トラック15)。曲の後半にメインテーマのモティーフが引用され、新たなウルトラマンとなった進次郎を待つ苦闘が暗示される。
 ここまでが、いわば「ウルトラマン誕生編」。第1話と第2話で使用された楽曲である。
 第3話からは異星人が関係する事件と、それを捜査する科学特捜隊およびウルトラマンの活躍が物語の中心になる。本アルバムも、トラック16以降は不気味な異星人のテーマや事件発生シーンに流れるミステリアスな曲、進次郎の日常を彩るポップな曲などが登場。バラエティに富んだ構成になってくる。
 トラック29「ライバル」は、第5話で進次郎と諸星弾が科特隊基地の屋上で話をする場面の曲。2人の意見の違いが明らかになる場面で、音楽もメロディを抑えた不穏なサウンドで作られている。曲の後半に、メインテーマのモティーフがそっと顔を出す。進次郎の心に芽生える迷いを表現する巧妙なアレンジである。

 続いてディスク2。
 1曲目は「SEVEN」。諸星弾がウルトラセブンのスーツを装着し、異星人を退治する場面の曲だ。特撮ヒーロー版のウルトラセブンとはまったくイメージの異なる曲調で本作のセブンのキャラクターを明確にする。
 次の「怪獣レッド」(トラック2)は正統派怪獣映画音楽風で筆者の好きな曲だ。ブラスとパーカッションを主体にした重厚な曲調。市街地で暴れる怪獣とウルトラマン(進次郎)との戦いをたっぷり5分近くにわたって描写する。バトルの展開に応じて曲調が変化するフィルムスコアリングの醍醐味が味わえる。
 物語が進むにつれて重要な役割を担うキャラクターが、進次郎が親しくなるアイドル歌手・レナである。
 トラック8「出発」は第8話ラストで使用されたレナの心情を表現する曲。ギターとストリングスを主体にしたぬくもりのあるサウンドでレナのモティーフが奏でられる。
 第11話で進次郎とレナが心を通わせるシーンに流れる「そのままの君でいてね」(トラック11)では、ピアノが同じフレーズを奏でる。曲の終盤にはメインテーマのフレーズが現れ、レナの想いを察した進次郎の気持ちを表現する。2人のライトモチーフが絡み合う映画音楽的な構成が聴きどころだ。
 トラック16「罠」からは、全編のクライマックスに向けての曲が並ぶ。ウルトラマン抹殺をめざすエースキラーとウルトラマンの死闘を描く楽曲群だ。
 強敵エースキラーの脅威を描写する「エースキラー」(トラック17)は5分を超える曲。エースキラーとウルトラマンエースの戦いを描く「エースキラー vs ウルトラマン」も6分を超える。アルバムのクライマックスとしても聴きごたえ満点だ。
 「エースキラー vs ウルトラマン」では、エレクトロニカ風のサウンドとパーカッションによるリズムが主体となって、息詰まる激闘が描写される。ここでピンチ感が盛り上がるおかげで、次の曲、ウルトラマンとセブンが反撃に転じる場面の「ウルトラマンの戦い」(トラック19)が高揚感たっぷりに迫って来る。
 アルバムを締めくくるのは、伝説の光の巨人の再来を暗示する「光の戦士」とエピローグに流れる「光の中へ」の2曲。「光の戦士」(トラック20)はディスク1の「光の巨人」に通じるイメージ。シンセ主体の幻想的な曲調で謎めいたヒーローの姿を描く。「光の中へ」(トラック21)はメインテーマのモティーフを変奏しながら、進次郎の決意をイメージさせる力強い曲調でコーダへ。ヒーローものの終わり方はこうでなくては、と思わせる終曲だ。
 ボーナストラックでは、劇中でレナが歌うアイドルソング「星の欠片」がフルサイズで聴けるのがうれしいところ。ほかにNetflix版主題歌1曲(ショートサイズ)とTVアニメ版主題歌2曲(アニメサイズ)が収録されている。
 欲を言えば、最終話の楽曲をもう少し手厚く収録してほしかった気がする。が、全体のバランスと聴きやすさを考えての構成だろう。
 ウルトラマンの物語に新しい解釈で挑んだ『ULTRAMAN』の音楽。半世紀を超えるウルトラマン・サウンドの伝統に新たなページを加える意欲作である。

 戸田信子×陣内一真の最新作は、2020年4月からNetflixで配信されているアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』の音楽。こちらも、過去の『攻殻機動隊』の音楽とは異なるアプローチで新たなサウンドを紡ぎ出している。さらに、『ULTRAMAN』のシーズン2の特報も公開された。今後の展開に注目したい。

ULTRAMAN ORIGINAL SOUNDTRACK
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攻殻機動隊 SAC_2045 O.S.T.
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
261アニメ様日記 2020年5月24日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2020年5月24日(日)
ラジオ体操と散歩以外は原稿作業。日曜のわりには作業が進んだ。13時から「アニメスタイルTALK 001 沓名健一が語る 僕のアニメ人生」の収録。アニメスタイルチャンネルで配信するコンテンツだ。僕は事務所で、沓名さんは自宅で、ビデオ通話を使ってトークをした。やっぱり、顔を合わせてのトークとは勝手が違うなあ。会話のテンポがつかみづらい。単純に慣れの問題かもしれないけれど。
ちなみに編集部スタッフが色々と考えて、今回はビデオ通話と同時にビデオカメラを使って双方が録画をし、あとでビデオカメラの録画を編集して1本の映像にまとめるというかたちとなった。
夕方からワイフと外食。目当ての店は土日がお休みになっていた。今まで何度も通り過ぎていたけれど、中に入ったことがなかったお好み焼き屋に入る。この店も緊急事態宣言を受けて、昼間の営業に切り替えたのだろう。池袋の駅前は割と人がいて、マスクをしていない人も少なくなかった。

2020年5月25日(月)
非常事態宣言が解除されたことと関係あるのかどうか分からないけど、色々なことが動き出す。進行中の書籍でデザインのOKが出たり、随分前のある書籍に関しての振り込みがあったり。夕方は電話で打ち合わせ。事務所に「アニメスタイル ONLINE SHOP」用の在庫がどっさりと届く。
TwitterとFacebookでアニメーターのどなたかが亡くなったという話題が流れた。ひょっとして体調がよくないと聞いているあの方のことではないか。恐る恐るLINEでメッセージを送って様子をうかがう。結果としては、亡くなったのはその方ではないことが分かったのだが、他の病気をされている方のことも気になってしまい、ある監督にメッセージを送る。もうひとり具合がよくない方がいるのだけど、その方はメールもSNSもやっていないので、どこかのタイミングで電話を入れよう。
親戚の娘さんが小学校2年生で『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』と『私、能力は平均値でって言ったよね!』を観て、気に入ったのだそうだ。それで、Amazon Prime Videoで観られる他の異世界転生ものを教えてほしいという。そういう質問なら任せてよ。まずは『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』を勧める。『転生したらスライムだった件』もいいと思うんだけど、Amazon Prime Videoでは見放題ではないのね。他にも数本のタイトルを挙げる。続けて映画『クレヨンしんちゃん』のお勧めも聞かれる。『慎重勇者』が好きだったら、このあたりかなと探ってから答える。
また、別の話題。Twitterで知った「水戸黄門 助さん格さん大暴れ」をAmazon Prime Videoで観る。確かにこれはアイドル映画だ。おじさんの僕でも松方弘樹さん、北大路欣也さんを可愛いと思ってしまう。

2020年5月26日(火)
ワイフとの早朝の散歩コースに、黒猫が何匹もいるスポットがある。今までそこにいるのは6匹だと思っていたけど、7匹目がいることが判明。そこの猫は全部が黒猫なのである。仕事をしながら、Amazon Prime Videoで市川崑監督の「東京オリンピック」を流す。やっぱり凄いんだけど、劇場で鑑賞するのとは別作品だなあ。『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』を1期を改めて1話から視聴。

2020年5月27日(水)
早朝散歩の後はずっとデスクワーク。『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』1期を最終回まで観る。『魔動王グランゾート』のBlu-ray BOXを開封。まずは編集ビデオ『ノン・ストップ・ラビ』を観る。タイトルとパッケージイラストが洒落ていて、当時からなんとなく気になっていた。内容は普通の総集編だったけど、それが確認できただけでも満足。『魔動王グランゾート』Blu-ray BOXの本編は画質も良好。解説書はパラパラとめくっただけだけど、しっかりした出来のようだ。初回特典の「25周年お祝いぶっく」がこの作品らしい楽しい感じでよかった。

2020年5月28日(木)
午前中も午後もデスクワーク。ひとつひとつのプロジェクトはあまり進んでいないのに、なんでこんなに用事があるんだと思ったら、編集作業進行中の書籍が4タイトルで、それと別に編集初期段階の書籍が数点。さらに「今石洋之アニメ画集 スペシャルセット」増刷の作業があって、イベントの準備もあるのだった。
『天気の子』の「Blu-rayコレクターズ・エディション 4K Ultra HD Blu-ray同梱5枚組」を開封。本編を観てから、特典ディスク1のビデオコンテとメイキングドキュメンタリーを観る。今回も盛り沢山。特典ディスクの2と3はまた改めて。
緊急事態宣言の間は昼吞みができた店が、解除された途端に昼吞みができなくなってしまった。通常営業に近い状態になったということであり、店にとっては喜ばしいことなんだけど、ちょっと残念。

2020年5月29日(金)
ワイフとの早朝散歩は続けている。その途中で朝5時からやっている手作りパンの店で、出来たてのパンを買って食べる。午前中はこの20年くらい事務所スタッフに任せていた作業を自分でやった。これは大変だ。20年前と作業量がまるで違う。午後は例によって数冊の書籍の編集作業とイベントの準備。6月に出す「吉成曜画集 ラクガキ編[手塚治虫キャラクター]」の入稿が終わる。以前、Blu-ray Disc付きで出した書籍からBlu-ray Discをオミットしたものだ。収録したラフスケッチは同じだが、本の幅が少しだけ広がった。
YouTubeの『美少女セーラームーンR』の5~14話を観る。楽しかった。このあたりの話数はあまり観返していないのだけど、観てよかった。7話「衛とうさぎのベビーシッター騒動」はタイトル通り、衛とうさぎが赤ちゃんの面倒をみる話。当時はピンとこなかったけれど、今のほうが楽しめる。むしろ、大人目線の話だったのかもしれない。脚本は富田祐弘さん。

2020年5月30日(土)
Twitterの【 #ネットで観られるお勧めアニメ 】を書くために、ABEMAで『るろうに剣心 ‐明治剣客浪漫譚‐ 追憶編』を観る。夕方から吉松さんとSkype吞み。非常事態宣言が解除されてもSkype吞みは続く。

第668回 残念な話とおめでたい話

 コ●ナの影響により、現在制作中のシリーズの放映が来年(2021年)にズレ込んでしまいました。残念ですが現状の世の中的に仕方ありません。自分の記憶では2005年『BLACK CAT』(監督デビュー)以来、監督作の発表がなかった年は2008年に次いで2度目でしょうか? その分また絵コンテをたくさん切ろう(描こう)と思って、現在9話目。作画も随時打ち合わせして、今6・7・8話に入ったとこ。順調かどうかは分かりませんが、楽しくやってます!
 あ、『BLACK CAT』で思い出しましたが、矢吹健太朗先生の新連載「あやかしトライアングル」始まりましたね! こないだ応援メールしたところ、矢吹先生ご自身も楽しんで描かれてるようで何よりでした。「コ●ナ落ち着いたら、また飯でも!」というより「また一緒にアニメ作りましょう!」と。
 あ、そうだ! もひとつおめでたいの思い出した。『てーきゅう』シリーズでお世話になった花澤香菜さんがご結婚されたそうで、本当におめでとうございます! 『てーきゅう』5期主題歌「Qunka!」にコーラスで参加したのは今となっては楽しい思い出です。当時は正直イヤでした。自分は歌下手だし、まず声が汚いので、プロの花澤さんを邪魔するに決まってるし。従って、未だにあの曲フルで聴いてません。とあるスタッフより「監督の声、すぐ分かりますよ(笑)」と言われたこともあり、恥ずかしくて(汗)。

何しろ、色々おめでとうございます!
矢吹先生も花澤さんもまた一緒に仕事しましょう!

「アニメスタイル20周年展」を開催中
第2弾は吉成曜さんのラクガキの展示です

 「アニメスタイル」の20周年を記念して、ササユリカフェで「アニメスタイル20周年展」を開催しています。開催は9月末までの予定で、開催期間内に展示内容は変わっていきます。第1弾は川元利浩さんがキャラクターデザインの初期稿を描いたスケッチブックの現物の展示で、7月20日(月)まで開催。

 第2弾では、アニメーター、監督として活躍する吉成曜さんが、プライベートで描いてきたラフスケッチを展示します。開催期間は7月23日(木・海の日)から8月3日(月)※8月10日(月)まで展示の期間を延長することになりました 。展示するラフスケッチは1000枚以上。2016年に開催した「吉成曜展~ラクガキ編~」にはなかった手塚治虫キャラクターのラフスケッチも展示します。なお、展示物は全て生の原画ではなく、コピーとなります。

 「アニメスタイル20周年展」では「吉成曜画集 イラストレーション編」「吉成曜画集 ラクガキ編」「吉成曜画集 ラクガキ編[手塚治虫キャラクター]」をはじめ、アニメスタイルの書籍を販売。吉成さんのラクガキを使ったポストカードも販売します。

 なお、開催期間中のササユリカフェは終日立ち見営業となります。入場料はいただきません。入場時に持ち帰りドリンクのオーダーが必要です。営業時間は11時30分から18時。火曜と水曜が定休日です。

■関連リンク
ササユリカフェ
http://sasayuricafe.com

「アニメスタイル20周年展」を開催 展示第1弾は川元利浩さんのスケッチブック
http://animestyle.jp/2020/06/24/17630/

【アニメスタイル ONLINE SHOP】「吉成曜画集 ラクガキ編」
http://animestyle.jp/shop/archives/964

「吉成曜画集 ラクガキ編[手塚治虫キャラクター]」新バージョンで再刊行
http://animestyle.jp/news/2020/06/19/17576/

アニメ様の『タイトル未定』
260 アニメ様日記 2020年5月17日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。

2020年5月17日(日)
13時からZOOMを使ったトークのテスト。他はデスクワーク。ところで、ゼロ年代の深夜アニメで「主人公達のクラスの担任で、若くて美人なんだけど、独身であることをやたらと気にしている(あるいは生徒達が意識している)女性教師」が何度か登場した。ルーツはどの作品なのだろうか。深夜アニメじゃないけど、『美少女セーラームーン』の春田先生もちょっとだけそのニュアンスがあった。

2020年5月18日(月)
仕事の遅れを取り戻すため、午前中の散歩は休んで、デスクワーク。Amazonから荷物が4つも届く。その前に届いたものも空けてない。仕事は色々ときびしいけれど、嬉しい提案があった。実現できるか。

2020年5月19日(火)
午前1時に事務所に入り、食事をはさんで18時までデスクワーク。雨天のため早朝の散歩と午前中の散歩はおやすみ。
U-NEXTで「金田一耕助の冒険」を観る。前にも観たはずなんだけど、ほとんど覚えていなかった。その後はAmazon Prime Videoで「ドキュメント72時間(NHKオンデマンド)」を流す。27.「囲碁の魔力に囚(とら)われて」が面白かった。24時間営業の碁会所に取材した回で、色々な客が登場する。20時間連続で打ち続けている人とか、「エンジェル鈴木」というニックネームの常連さんとか。登場した人達の時間の感覚(人生の使い方)が羨ましい。今、どうなっているか気になって検索したら、やはりコロナでお休み中だった。
同じく34. 「大都会 モンスターに沸く公園で」。2016年10月の放送分で、テーマは「ポケモンGO」。番組はゲームに興じる人達を撮っている。「ポケモンGO」が始まった頃、それは「事件」だったんだなあ。ドキュメンタリーとして残す意味があったと思う。
『邪神ちゃんドロップキック』の画像がTwitterやブログで使用できるようになったのを知る(Twitterでそれが告知されたのは5月18日)。広報用に用意した本編カットを、ファンが使えるようにしたのだろう。これは新しい。一般化したら、色々と変わるはず。

2020年5月20日(水)
「今石洋之アニメ画集」の一般販売が始まる。6月の新刊の編集作業が進む。「アニメスタイル ONLINE SHOP」の発送スタッフがひとり増えて、毎日4人体制に。
「天気の子 新海誠絵コンテ集 6」って定価6,050円(本体5,500円+税)なのね。ちなみに「君の名は。 新海誠絵コンテ集 2」は定価3,740円(本体3,400円+税)。ページ数は前者が784ページで、後者が640ページ。「天気の子 新海誠絵コンテ集」のほうが適正価格なのだろう。アニメスタイルで販路を絞って出したとしても、フルカラー600ページ越えの絵コンテ本を3400円では出せない。ちなみに、アニメスタイルの「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」は、フルカラー488ページで3500円+税。これでもかなり頑張った値付けだった。

2020年5月21日(木)
昼飯は福しんへ。外食でラーメンを食べるのは久しぶり。ラーメンも半チャーハンも旨い。事務所近くの人気のやきとん屋で昼間の営業とテイクアウトが始まっていたので、やきとん丼を買って晩飯にする。これも美味しい。

2020年5月22日(金)
早朝の散歩は続いている。大塚駅前にある24時間営業の山下書店で文藝別冊の「総特集 星野之宣冊」を購入。社内の打ち合わせをZoomにしてみた。昨日のやきとん屋で明るいうちに早めの晩飯。この店に昼間に入るのも、店内がガラガラなのも新鮮だった。お店の方はコロナで苦労されているので、暢気に喜ぶのも申しわけないけど。YouTubeで『美少女セーラームーン』41話から46話、『美少女セーラームーンR』1話と2話を視聴。
安達祐実さん写真集「私生活」をKindleで購入。これはよかった。撮っているのは安達さんの夫の桑島智輝さんで、夫が撮った妻の写真のよさがある。この前に「我我」という写真集も買ったのだけど、「私生活」のほうがよかった。

2020年5月23日(土)
アニメスタイルチャンネル用のトークの録画のためのセッティング。背景があまりに殺風景なので、アニメスタイル関連書籍の背表紙が見えるようにする。夕方は定例となった吉松さんとのSkype吞み。吞みながらアニメスタイル20周年記念関連の打ち合わせをする。
YouTubeで『美少女セーラームーンR』3話と4話を視聴。その後は『メダロット』を観る。

第667回 短いけど続き

 ま、前回のような理由で、我々世代ではかなり重要な位置を占めるはずの受験は、自分にとって不要なものでした。大学受験を「しない」と決めてからは、成績下がりましたよ〜、というより「下げました」よ。それこそ担任の先生に「何かあったのか?」と心配されたくらい。その時、俺「受験しない自分より、大学行きたい人が良い成績とるべきでしょう?」って返したのを今でも憶えています。呆れたような、ガッカリしたような担任の先生の顔も。前回も言ったように、受験が必要だと思って勉強した人たちをとやかく言うつもりはありません。目的を持って努力することは何においても報われるべきだし、素晴らしいことだと思っています。要は、自分——板垣伸にとって必要かどうか? の話。世間で「大学受験が当たり前」という風潮だからとか、どっかの権威ある方がそれぞれの家庭の事情など無視して、公共の電波で発した「大学くらい行っとけ」の一言に影響されたとかの理由でなく、「自分で判断する」ことこそが重要なんだと思うんです。
 ミルパンセに見学に来たアニメーター志望の高校生に「大学や専門学校に行ったほうがいいのでしょうか? 高卒じゃダメですか?」と訊かれたことがあります。この比較的業界ではポピュラーな質問に対して俺が答えるのは、

自分で出す答えならば、高卒だろうが大卒だろうがどちらでも正解! 要は己の将来を切り開くため、なんでも一所懸命にやる覚悟があるなら、後になって「大学行っときゃよかった〜」なんて後悔はしないはずだから!

です。その人にとって必要かそうでないか? はその人個人の決断に「他人のせいには絶対にしないという覚悟」が伴ってさえいれば、どれをとっても正解なんです。そういう意味では、自分、生まれて46年、幾度となく反省はしましたが、後悔した憶えはほとんどありません。

アニメスタイルTALK 続・沓名健一と語るアニメ作画の20年

 7月19日(日)11時から開催する無観客トークイベントは「続・沓名健一と語るアニメ作画の20年」。アニメーター、演出として活躍し、さらに作画研究家でもある沓名健一さんに、この20年間のアニメ作画を振り返ってもらう企画の第2弾です。

 第1弾「沓名健一と語るアニメ作画の20年」もアニメスタイルチャンネルでアーカイブ配信中です。併せてお楽しみください。なお、このトークの内容は後に加筆・修正し、雑誌「アニメスタイル」に掲載する予定です。

 今回のトークも、リアルタイムで中継したうえに、1週間配信。その後、アーカイブとしてしばらく視聴できるかたちとする予定です。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 125
『この世界の片隅に』四度目の夏

 新文芸坐とアニメスタイルは2017年、2018年、2019年に続き、本年の夏も片渕須直監督の作品を集めたオールナイトを開催する。上映タイトルは『この世界の片隅に』『マイマイ新子と千年の魔法』『アリーテ姫』。片渕監督の作品をまとめて鑑賞するチャンスだ。

 トークのゲストは片渕監督。会場では片渕監督のサイン入り「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」を販売する予定だ。

 新型コロナウイルス感染予防対策で、観客はマスクの着用が必要であり、入場時に検温・手指の消毒を行う。前売り券の発売方法を含めて、詳しくは新文芸坐のサイトを見ていただきたい。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 125
『この世界の片隅に』四度目の夏

開催日

2020年8月15日(土)

開場

開場:22時10分/開演:22時30分 終了:翌朝6時00分(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日・一般3000円、友の会2800円(オンライン購入は+50円)

トーク出演

片渕須直、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

『この世界の片隅に』(2016/126分/DCP)声:のん
『マイマイ新子と千年の魔法』(2009/93分)声:福田麻由子
『アリーテ姫』(2001/99分/35mm)声:桑島法子

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

●関連記事
『この世界の片隅に』絵コンテの決定版 [長尺版]よりも長い [最長版]で刊行!
http://animestyle.jp/news/2019/11/11/16619/