第646回 アニメの作り方の工夫

毎日、退社前に社内全スタッフで
「本日の上がり分」をすべてチェックしてます!


 去年の12月から、また自分の発案で始めました。もちろん社内スタッフからの理解を得た上でです。ちなみに作業途中分も含めてです。「実はデジタル化の目的はペーパーレス化なんかではなく、作業内容の管理である!」ともう10数年前に説明会などで発表されてるのは、アニメ会社社長や制作プロデューサーの人なら皆さんご存知だと思います。デジタル作業は社内のサーバーでやりとりできるので「今日の作業分、上げてください!」の一声でサッと上げられて、即会議室の大モニタで俺と演出・作監・制作が一緒に見ます。一方「こりゃマズい」原画、ハッキリ言って原画として受け取れないものは、次の日板垣からマンツーマンで説明・解説して各原画マンにリテイクで戻します(もちろん演出・作監にも「どこがどうダメなのか」を教えもします)。こうすることで監督チェックで止まるのを防ぎます。さらにここ20年当たり前になっている、演出と作監での原画の全描き直しも防げます! 特に昨今の作監の増員に次ぐ増員による大赤字も減らせます。作業途中なものも、つまりは「このまま明日作業しても、どうせリテイクになるよ」の時点で軌道修正したほうが効率的ということ。
 そして、各スタッフの実力査定(日々の生産量+内容を見ること)で、昔のテレコムみたいに全員を固定給にします。

今のアニメ業界を憂いてるよりも、
自分のできる範囲でまずやってみること!

だと思います。

アニメ様の『タイトル未定』
238 アニメ様日記 2019年12月15日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。

2019年12月15日(日)
土曜に続いて、基本的におやすみの日。作業をしたのは朝だけ。午前中からワイフと散歩。王子まで歩いて、飛鳥山公園で缶ビールを飲んで、回転寿司で昼飯。都電で戻って、自宅で休む。夕方から吉松さん、ワイフと食事。土曜と日曜はたっぷり休んだ。クリスマスもまだなのに正月気分だった。

2019年12月16日(月)
デスクワークを色々。AmazonからEcho Show 5が届いた。届いた途端に配達完了のメールと「Echo Show 5を使ってみましょう」のメールが送られてきて、ちょっと驚く。Echo Show 5は事務所で作業中に使う予定。夕方からBONESで打ち合わせ。

2019年12月17日(火)
『バビロン』7話を観た。話題になっていたのはそういうことか。午前中は雨天のため、散歩には行かずデスクワーク。散歩は午後に。自分で組んだスケジュールを自分で間違えて、夕方からの打ち合わせがピンチになったのだけど、スタッフの協力のおかげで、なんとか打ち合わせに間に合う。

2019年12月18日(水)
08:55から、グランドシネマサンシャインで『アナと雪の女王2』【IMAXレーザーGT吹替版】を鑑賞。映像はとても豪華。物語に関しては、1作目と観客に対して誠実に作っていると思った。色んなバランスをとった結果がこの内容なのだろう。そして、自分が1作目が好きだったことが分かった。少しだけ不満があるのだけど、3作目が作られてその不満が解消されると嬉しい。午後はデスクワーク。早めに作業が終わったら、夕方から別の映画を観にいくつもりだったけれど、そんなに上手くはいかなかった。

2019年12月19日(木)
来年出す書籍についての打ち合わせ。他はのんびりデスクワーク。『BEASTARS』11話を視聴。面白かった。

2019年12月20日(金)
午前中に、ワイフと『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を鑑賞。分かりづらい言い方になるけれど「ようやく『この世界の片隅に』を観ることができた」感じだ。きちんとした感想は半年後くらいに。
その後、打ち合わせ4本立てになるはずが諸般の事情で3本立てに。夕方から業界の方と忘年会的に軽く呑む。

2019年12月21日(土)
昼間はオールナイトの予習と準備等。床屋にも行った。アニメイトの前の焼き鳥屋で昼飯。以下は『機動警察パトレイバー[劇場版]』を予習で再見して思ったこと。当時は「後藤の掌の上で踊らされていた遊馬(達)」のことをちょっと情けないと感じていたのだけど、今の僕の目で観ると「よく頑張っている若者」だ。自分で考えて動くし、野明に対してフォローもしているし。後藤隊長は「頼りないように見えて、実は有能な大人」だと思っていたけど、今では「有能な大人」だ。野明は当時よりも、声が可愛い(冨永みーなさんが可愛く演じている)と思えた。
オールナイトのトークのゲストは黄瀬和哉さんと神山健治さん。トークで、現在の黄瀬さんが『機動警察パトレイバー2 the Movie』の柘植行人に外見が似ていることが話題となった。

第11回 まるで別物

この車、ちょっとイジったロータス・ヨーロッパに見えますが、中身は別物です。
ヨーロッパ・シリーズ1をベースにしたレース仕様がロータス 47GTです。
グループ4カテゴリーの出走を目的としたこのモデルは、FRP製ボディカウルが更に軽量化され、リアサスペンションは大きく構造を変更し、当時のロータスF1にほぼ準ずる4リンク式に改められるなど、レースで勝つことに焦点を絞っていました。
個人的にヨーロッパシリーズで一番好きなモデルです。

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第645回 それでもやっぱり監督はコンテ!

アニメにおけるコンテはかなり重要な役職! 監督がそこを他人に任せっきり(無修正で使用)で手柄は監督って虫がよすぎだと思う!

って話の続きから。これを言うと「監督は打ち合わせを密にしてコンテを人に任せるべきでしょ!」と仰る方もいると思います。もちろんそれも賛成です。ただその「監督なら人に描いてもらう努力をするべき! 己で描いたら監督じゃない!」理論を詭弁として使い、ろくに自前のコンテを出さず、ろくにチェック(修正・調整)せずに監督作品を掛け持ちして、荒稼ぎするのはどうかと思います。例えば第1話と最終話だけ自分でコンテを切る監督作を年間5〜6シリーズ掛け持ちするくらいなら、1シリーズのコンテを半分以上切り、それこそ「密」に1作品を監督するべきだと思います。それが創作に対する誠意のはずだし、プロデューサーもそういう密な監督作品を作らせて初めて、その作品が売れた時の評価を返すべきなのではないでしょうか? まあ最近は監督の人数も増えたので、1人の監督に一極集中みたいなことはだいぶ減ったように思いますし、掛け持ちしてない上で1〜2話分しかコンテが切れない不器用で一点集中・一所懸命型の監督は応援しますし、コンテでも原画でもお手伝いします、俺。逆にアニメーター(下手でも己が原画マン)出身のくせに掛け持ちし過ぎでパンク中のバブリー監督に、何が悲しくて単価仕事のコンテや原画を提供しなきゃならんのか? だから原画依頼の電話が来ると必ず訊くんです「監督だれ?」と。で、掛け持ちバブル監督だったら絶対受けません。以前、「板垣さんにオープニングをお願いしたい」と制作を通じて言ってきたバブリー監督がいたのですが、その名前を聞いて「何本も掛け持ちする腕のある監督様を手伝うなんてできません。そうお伝えください」とお断りしたくらいです。もちろん多少の例外もあります。例えば以前お世話になった制作さんやプロデューサーに頼まれた場合には描いたりしましたが、その方らには「俺は本来、薄い監督作を年何本も掛け持ちする人のお手伝いはしない主義」の旨を伝えた上で「今回限り」と言ってお受けしました。やはり恩返しに自分の主義・主張は関係ありませんから。
 以前も説明したと思うのですが、俺の場合、それぞれの監督作品のコンテ期間は重ねないようにしてます。仕事をお受けする際も「○月いっぱいで今やってる監督作のコンテが終わるので、そこからコンテINでよければお受けします」と。だから今のところ毎年1本監督をやり続けていられるわけで、自分なんかが売れっ子監督のマネして、全体の1〜2割しかコンテを切らず年間何シリーズも監督する不誠実な掛け持ちワークスタイルでやってたら、即干されてたとこです。不誠実なワーク……すみません、板垣にはそう見えます。何年も前に「え? 何であのアニメもこのアニメもそのアニメも!?」と周りのスタッフ誰もが首を傾げる売れっ子監督が「ついにアフレコもバックレた」「制作と連絡もつかない」云々の話が紛れ込んできたんです。そりゃあそうです。1週間は誰にとっても7日間しかないのです! そこだけは世界全人類平等なはず。なのに編集・音響(アフレコ&ダビング)・その他打ち合わせ類を引っ掻き集めてまる1日と計算したって、1作品につき最低まる3日はかかるってのに、週3本掛け持ちではハッキリ言って勘定が合いません(2日はみ出る)。そうまでしてその人に「ろくにコンテを切ることもできない監督」をさせたかったプロデューサーの真意を俺は知りたいですし、そこまでその監督をボロ稼ぎさせるために名乗りを上げる助(副)監督の気も知れません。ちなみに同時期、たまたま受けた某アニメ誌のインタビュー取材にて、「その売れっ子監督がつかまらなくて制作が困ってる」と話題にしたところ、編集の方が持ってきてたその某アニメ誌の最新号に、売れっ子監督がドヤ顔Vサインで写真入りインタビュー記事になってて心底呆れました。「雑誌インタビューにはつかまってんじゃん!」と。さらに、某アニメ制作会社社長から「○○(売れっ子)監督の作品、ウチにもきたけど断った! メーカーからは(売れっ子監督の)名前が上がっても、スタジオがどこも受けてくれなくて困ってるらしい(笑)」なんて話もありました。その売れっ子監督さん、俺とはまったく接点がない方なので、今は何をされてるのか分かりませんし、調べるつもりもありませんが、要するにフリーランス・作家系アニメ監督があちこちのスタジオをかしずかせて稼ぎまわるのが、昨今キツくなってきたみたいですって話でした。

第167回アニメスタイルイベント
川元利浩・ファンミーティング

 川元利浩さんによるキャラクターデザイン初期稿をまとめた書籍「川元利浩 SketchBook」の刊行を記念して、イベントを開催する。タイトルは「第167回アニメスタイルイベント 川元利浩・ファンミーティング」だ。開催は2020年3月7日(土)。会場は阿佐ヶ谷ロフトAだ。

 「ファンミーティング」のタイトルどおり、トークとファンとの交流を目的としたイベントだ。来場したファンに質問をしてもらい、それに川元さんが答えるかたちでイベントが進行する。質問ではなく、ラブコールを川元さんさんにぶつけていただいても構わない。ゆったりとした肩の凝らないイベントになる予定だ。

 イベント会場で質問をするのが難しい方(恥ずかしいなどの理由で)はWEBアニメスタイルの[CONTACT]から質問を送ってほしい。質問と一緒に川元さんの作品や画のどんなところが好きなのかもメールに書いてもらいたい。

 なお、今回のイベントは「アニメスタイルチャンネル」での配信はない。前売り券は2020年2月8日(土)に発売を開始。詳しくは以下にリンクした阿佐ヶ谷ロフトAのページをどうぞ。
 また、会場では「川元利浩 SketchBook」のサイン本を販売する予定だ。

 この度の新型コロナウイルス感染症の拡大防止とお客さまの安全を考慮し、イベントの中止を決定致しました。楽しみにして頂いた皆さま、申し訳ございません。
 払い戻しの対応は後日改めて会場である阿佐ヶ谷ロフトAより発表がございます。
 何卒ご理解賜りますようお願いいたします。(03/02追記)

■関連リンク
阿佐ヶ谷ロフトA
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/140375

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http://animestyle.jp/news/2019/12/12/16758/

第167回アニメスタイルイベント
川元利浩・ファンミーティング

開催日

2020年3月7日(土)
開場12時00分 開演13時00分

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

川元利浩、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第175回 Gの遺伝子 〜ガンダム Gのレコンギスタ〜

 腹巻猫です。菅野祐悟さんの「PSYCHO-PASS IN CONCERT」へ行ってきました。ストリングスとピアノとシンセサイザーを中心にした独特の編成、声優の台詞を曲の合間に挟む趣向など、工夫を凝らした演出と演奏に大満足。アニメ音楽コンサートの新しいスタイルを示したステージでした。特に印象に残ったのは、ピアノ、キーボード、シンセドラム、指揮、DJ、MCと八面六臂の活躍をした菅野さんのエネルギッシュな姿。3月には「菅野祐悟スプリングコンサート2020」も予定されているので、ファンはお聴き逃しなく。
https://one-music.jp/images/information/2020springchirashi.pdf


 今回は菅野祐悟が『PSYCHO-PASS|2』と同時期に手がけた『ガンダム Gのレコンギスタ』の音楽を取り上げたい。
 『PSYCHO-PASS』は昨年10月からTVシリーズ第3期『PSYCHO-PASS|3』が放送され、『Gのレコンギスタ』も昨年11月から劇場版全5部作の公開が始まった。その音楽は対照的だ。『PSYCHO-PASS』は電子サウンドと生音をブレンドした緊張感に富んだ音楽。いっぽう、『Gのレコンギスタ』は生楽器中心のオーソドックスなスタイルの音楽である。『PSYCHO-PASS』は新作が作られるたびに音楽をアップデートしているのに対し、『Gのレコンギスタ』は最初のTVシリーズで作られた音楽をそのまま使い続けている。しかし、それが全然古くなく、今聴いても瑞々しく聴こえる。

 『ガンダム Gのレコンギスタ』は2014年10月より2015年3月まで放送されたTVアニメ作品。富野由悠季監督が『∀ガンダム』(1999)以来15年ぶりに手がけるTVシリーズの『ガンダム』として話題になった。
 舞台は宇宙世紀が終焉して1000年後の未来、リギルド・センチュリー(R.C.)1014年。軌道エレベータを守る防衛隊キャピタル・ガードの候補生ベルリ・ゼナムは、初めての実習中に謎のモビルスーツ・G‐セルフとそのパイロットの少女アイーダを捕獲する。アイーダに運命的な絆を感じたベルリは、やがてG‐セルフのパイロットとなり、アイーダとともに、地上と宇宙に散らばる勢力が入り乱れる宇宙戦争に巻き込まれていく。
 全26話のシリーズに収まりきらないほどのドラマと設定が盛り込まれた作品だ。放送当時は「わかりにくい」という声もあった。ちょっとした描写やセリフにも意味があり、ボーッとながら見していると置いていかれる。しかし、筆者はかなり好きである。高密度のドラマと映像が独特のドライブ感を生んで、それに身をまかせているだけでも心地よい。次世代のガンダムを作り出そうという意欲が画面から伝わってくる。
 音楽の菅野祐悟は、これが初のガンダムシリーズへの参加。富野由悠季監督とも初仕事である。『Gのレコンギスタ』が放送された2014年、菅野祐悟は『PSYCHO-PASS|2』以外にも『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』といったビッグタイトルを手がけている。2004年にTVドラマ『ラストクリスマス』で本格的に映像音楽デビューしてから10年。サウンドトラックの作曲家として脂が乗り、大きな成長を遂げた記念すべき年だ。
 富野監督によれば、『Gのレコンギスタ』は「脱ガンダム」をめざした作品。その音楽を書く作曲家として「次の方向性を探している作家」を探した結果、見つけたのが菅野祐悟だった。実際、菅野祐悟は常に最先端のサントラを模索し続けている作曲家。その人選に間違いはなかった。
 菅野祐悟の音楽作りは富野監督への取材から始まったという。メニュー表の1曲1曲に対して「根掘り葉掘り取材をした」(サントラ盤解説書所収の対談より)。しかし、そこは富野監督のこと。ストレートな答えが返ってくるとは限らない(実際、富野監督は「はじめのメニューなんてダミーでしかない」と発言している)。菅野祐悟が全曲デモを作って提出すると、監督から1曲ずつ丁寧な直筆の手紙が返ってきた。
 初回メニューで作った曲数はおよそ70曲。さらに追加で20曲ほどが作られている。26話のTVシリーズの音楽としてはそうとう多い曲数だ。それは『Gのレコンギスタ』が内包するドラマの多面性の反映であり、音楽に託された期待の反映でもある。
 本作の音楽、宇宙戦争を扱ったガンダムシリーズの音楽としてはちょっと異色の印象を受ける。ロボットアニメに必須の戦闘曲やサスペンス曲も作られているが、そうした曲よりも、日常曲や心情曲が印象的なのだ。敵・味方の図式に染まらず、どこかエレガントで、聴いていて元気が出る音楽である。そこも『PSYCHO-PASS』とは対照的で、『Gのレコンギスタ』の音楽は同時代性よりも普遍性を意識した音楽だと筆者は感じた。

 本作のサウンドトラック・アルバムは放送終了後の2015年4月に「ガンダム Gのレコンギスタ オリジナルサウンドトラック」のタイトルでランティス(現バンダイナムコアーツ)から発売された。3枚組全85曲入りの充実盤である。
 収録曲は下記(ランティス商品ページ)参照。

https://www.lantis.jp/release-item/LACA-9390.html

 1枚目と2枚目のディスクが初回録音分。3枚目が追加録音分。続けて聴くと、初回録音と追加録音とで音楽が変化しているのがわかる。
 富野監督が付けた楽曲タイトルも注目だ。「虚空からこぼれる」「スコード教の高みよ」「マスクの下に顔をあるのか?」など、ひねりの効いたタイトルが満載。曲リストを見ているだけでイメージがふくらむ。
 1枚目の1曲目は番組タイトルと同じ「ガンダム Gのレコンギスタ」と名づけられた曲。本作のメインテーマである。ティンパニとシンバルの轟きから始まり、弦と金管の響きが新たなガンダムの物語の幕を開ける。ミステリアスな静寂を挟んで、躍動的なリズムと管弦楽によるメロディに展開。さらに弦が奏でる雄大な曲に転じる。コーダが「ジャン」と鳴ったあとに弦の後奏が続く余韻のある終わり方。大河ドラマのテーマ曲のようなドラマティックな構成と堂々たるサウンドの曲だが、これから何かが起こりそうな予感が胸に残る。
 第1話「謎のモビルスーツ」でベルリがG‐セルフを捕獲しようとする場面に流れるのがこの曲。戦闘の緊迫感よりも、ここから始まる出会いと未来を感じさせる演出である。メインテーマは第1話のラストにも流れて、新たな物語の始まりを印象づけている。
 1枚目のトラック3「虚空からこぼれる」は、第1話の冒頭、G‐セルフが宇宙から地球に飛来する場面に流れた曲。上下動する弦と金管のフレーズが緊迫感を高めるロボットアニメらしい曲だ。
 トラック5「ただ心のままに」、トラック6「キャンパスなんて」はベルリたちの日常を彩る曲。「キャンパスなんて」は転がるようなピアノの調べが特徴的だ。快活な曲想はよい意味でガンダムぽくなく、本作に明るい色彩を加えている。
 次の曲「躍動する色」は、スネアドラムとティンパニの上で弦合奏が躍るような旋律を描く華やかな曲。これもガンダムぽくない曲だ。第1話でベルリたちが宇宙実習に挑むシーンで使用。初めてモビルスーツで宇宙に出るベルリの胸の高まりを表現する。緊迫感のある曲が流れてもおかしくない場面だが、そこに明るく高揚感のある曲が流れるのが本作らしいところ。こういうところにも、「脱ガンダム」の意欲が感じられる。
 第1話で宇宙に出たベルリたちが宇宙海賊と遭遇する場面に流れたのがトラック8の「宇宙海賊」。重厚でクラシカルな表現で緊迫感を盛り上げる、映画音楽的な曲だ。続く戦闘シーンでは、トラック14の「三つ巴」が流れて虚空の闘いをスリリングに描写する。本作の代表的な戦闘曲として記憶に残る曲である。
 しかしながら、こうした効用音楽的な曲は本作の真骨頂ではない。「『Gレコ』らしいなあ」と感じるのは、サスペンス曲や戦闘曲よりも、明るく軽快な曲や小粋な日常描写曲なのだ。
 その代表が1枚目のトラック15「G‐セルフの青い空」。ファンファーレ風に始まり、管弦楽が爽やかで力強いメロディを奏でていく。G‐セルフはただの戦闘兵器ではなく、希望のメカだと音楽が主張している。トラック27「コア・ファイターと共に」も同じ方向性の曲である。
 トラック19に収録された「天気晴朗なり」はサックスのアドリブをフィーチャーしたジャジーで軽快な曲。第3話で宇宙海賊クリム・ニックが出撃するシーンに流れていた。先に登場した「宇宙海賊」よりもこちらの曲のほうが宇宙海賊のキャラクターをよく表している。
 日常曲では2枚目に収録された「我が家が呼んでいる」「鉢のチュチュミィ」「パパイヤは転がった」「軽やかに見せて」などが秀逸。ベルリたちのテンポのよい会話が聞こえてくるようだ。
 同じく2枚目に収録されている「巡り巡って」はエキゾティックな旋律とサウンドがユーモラスにも聴こえて印象に残る。
 アルバムの構成に目を向けると、2枚目の最後にアイキャッチの曲がまとめて収録されているのがうれしいところ。本作のアイキャッチはキャラクターが1人で躍る映像になっていて、キャラクター違いで8種類ある。それぞれ踊りの振り付けと曲が違う。手のかかった趣向である。
 アルバムの3枚目は追加録音曲。
 菅野祐悟によれば、1回目に書いた曲は肩に力が入りすぎてガチガチの音楽、言い換えれば振り幅の狭い音楽になってしまっていたという(それでも十分に魅力的なのだが)。
 追加録音では曲調もサウンドも初回録音とは色が変わり、世界観が広がった。宇宙、スペースコロニーと物語の舞台が拡大するのにも呼応している。
 アコースティックギター、ピアノなどのシンプルな編成で奏でられる「語り尽くされた事」「歩み寄る刻の長さ」「眠りはまだ?」、現代音楽的な手法を取り入れたサスペンス曲「宇宙に翼を」「偉大なる脅威」「大気層」、シンフォニックジャズ風の「ジット団」など、さまざまなスタイルが聴かれる。「語り尽くされた事」「遠い旅路」といったメインテーマをアレンジした曲が作られているのも特徴だ。
 ピアノがエレガントに奏でる小品「部屋数の多い家」は、筆者のお気に入りの曲のひとつ。また、ピアノと木管のアンサンブルから始まる「一緒に旅をしませんか?」は第22話のラスト、マスク大尉とマニィの再会の場面で流れた曲で、映画のエンディングに似合いそうな感動的な曲だ。もし、『Gのレコンギスタ』のコンサートが開催されるなら、大編成オーケストラによるダイナミックな曲だけでなく、小編成の心情曲や日常曲も手厚く演奏してもらいたい。

 さて、本作の音楽でもうひとつ忘れてはならない大きなポイントがある。菅野祐悟が主題歌の作曲を手がけたことである。
 菅野祐悟が歌モノを作曲するのは珍しい。過去の作品では、劇中音楽を菅野祐悟が担当しても、主題歌は別の作曲家が担当することがほとんどだった。
 本作では、全話を通して使用されたエンディングテーマ「Gの閃光」と第14話から流れる2代目オープニングテーマ「ふたりのまほう」の2曲を菅野祐悟が作・編曲している。これが、どちらもいい曲なのだ。
 「Gの閃光」は「元気」がキーワードになった明るく軽快な曲。富野監督(=井荻麟)の詩をもらった菅野祐悟は、読んですぐにメロディが浮かび、詩を一字一句変えることなく15分くらいで書き上げたという。本作に込められたメッセージをストレートに表現した名曲で、筆者は聴いて一発で好きになった。『Gのレコンギスタ』の最終話のラストもこの歌で締めくくられている。
 「ふたりのまほう」は、『アナと雪の女王』の日本語版主題歌など多彩なジャンルで活躍する歌姫May J.が歌唱する曲。May J.が歌うことは決まっていて、菅野祐悟は「どんな曲を書けば正解なのか?」と悩んだという。結局、自分なりの曲を書くしかないと覚悟を決めてできたのが今の曲だった。
 ピアノだけのイントロ、ミュージカルナンバーのような華のある曲調。初めて聴いたときは意表を突かれた。が、『Gのレコンギスタ』のオープニングとしてはありだ。聴くほどに味わい深くなる、魅力の尽きない曲である。菅野祐悟自身、この曲は「刷り込み型の曲」と語っている。サントラ盤にはバイオリンが旋律を奏でるインストゥルメンタル・バージョンも収録されていて、そちらを聴くとよりいっそう、作品への親和性を感じることができる。

 『ガンダム Gのレコンギスタ』の音楽は、作曲家・菅野祐悟が富野監督とガンダムと出会い、化学反応を起こして生まれたような作品だ。
 シリアスなサスペンス曲や戦闘曲がロボットアニメ的な見せ場を盛り上げるいっぽうで、人間のぬくもりを感じさせるシンプルな音楽がドラマに厚みを与える。この構造はファーストガンダム=『機動戦士ガンダム』の渡辺岳夫・松山祐士の音楽と同じである。実は渡辺岳夫は『機動戦士ガンダム』で『アルプスの少女ハイジ』みたいなやさしい曲調の日常音楽も書いている。が、本編では使用されずに終わった。『Gのレコンギスタ』なら、その使われなかった曲にも出番があっただろう。
 そう考えると、『Gのレコンギスタ』はまぎれもなく『機動戦士ガンダム』の後継、ファーストガンダムでできなかったことを音楽面でも実現した作品なのである。菅野祐悟の音楽には、たしかにガンダムの遺伝子が受け継がれている。

ガンダム Gのレコンギスタ オリジナルサウンドトラック
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アニメ様の『タイトル未定』
237 アニメ様日記 2019年12月8日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。

2019年12月8日(日)
午前中か昼に映画に行きたかったのだけれど、観たい映画はチケット完売だったり、時間があわなかったりで断念。15時に原稿の回収。

2019年12月9日(月)
午前中にグランドシネマサンシャインで『冴えない彼女の育てかた Fine』を観る。僕は原作を読んでいないし、TVシリーズに関しても熱心な視聴者ではなかったので、自信をもって発言することができないのだが、これ以上ないくらいに完結編らしい完結編だったと思う。構成がかなり異色で、終盤で「この映画はいったいどこまで続くんだ」と思った。これは作品の仕掛けにひっかかったということだろう。エンディング直後のあの部分は、作り手の誠意なのではないかと思ったけれど、これは僕の勘違いかもしれない。
映画の後は、年末に出す書籍の進行。夕方はある人との食事の予定があったのだけど、諸般の事情で延期に。

2019年12月10日(火)
14時45分までデスクワーク。年末に出す「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の編集作業の追い込み。15時45分から、ワイフとTOHOシネマズ 新宿で「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」を観る。『シティハンター』的でない要素が山盛りなんだけど、しっかり『シティハンター』になっていると思えるところが凄い。「ピンクパンサー」シリーズを思い出した。アニメではなくて、実写映画の方の。
ファンの方に「アニメスタイル015」の『モブサイコ100 II』特集が好評なようだ。よかった。あるマンガ家さんが、Twitterで本編カットのセレクトをほめてくれてそれも嬉しい。

2019年12月11日(水)
「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の追い込み。「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」自体はまだ校正紙は出ていないが、特典になる複製原画の校正紙が出た。紙を変えてもう一度、校正を出し直すことになった。並行して来年出す書籍が動く。
午後に新宿ピカデリーで『Gのレコンギスタ Ⅰ 行け!コア・ファイター』を観る。富野セリフをたっぷりと浴びる。TVシリーズよりも分かりやすくなるかと思ったら、そんなことはなかった。むしろ、TVシリーズのほうが劇中の時間の流れを受けとめやすかったかもしれない(『行け!コア・ファイター』の作劇のポイントが時間の表現であるのだろうということは分かるのだが)。そして、富野監督らしいエキセントリックさはTVシリーズよりも強まった印象。『Gのレコンギスタ』をこういったかたちで劇場で上映する企画については、1作目だけでは判断できない。その点は保留。

2019年12月12日(木)
月、火、水と連続して映画に行ったけど、今日はおやすみ。「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の校正作業。馬越さんの『キャシャーンSins』の画は凄みがある。「川元利浩 SketchBook」の告知を開始する。

2019年12月13日(金)
午前11時から、上野のアメ横で軽く昼吞み。少しアメ横を歩いてから事務所に戻る。午後はデスクワーク。編集スタッフは「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の校正。新文芸坐で来年のオールナイトの打ち合わせ。
自分の作業に関して「要領よくやる」と「自分で抱え込まない」と「生産性を上げる」がこの数年の目標で、今年、ある程度はそれが達成できた。だけど「ある程度」なので、まだまだ足りない。それから、書籍の企画を動かす力、そして、本をかたちにする力はついてきたかもしれないけれど、企画についての発想力はもっとあってもいい気がする。これは自分自身の話として。

2019年12月14日(土)
基本的におやすみの日。午前中は渋谷の「魔神英雄伝ワタル&魔動王グランゾート展」に。

第10回 伝説のバイク

なんですよねえ。
ブリッテンは、ニュージーランドのエンジニア、ジョン・ブリッテンが開発、製造した伝説のバイクです。
兎に角その構造から部品の材質に至るまで独特です。
『ああっ女神さまっ 劇場版』
にもちょっとだけ出てきます。
本当にちょっとだけ。

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第644回 歳とった……


 昨年末からちょくちょく話題にしている次の作品、まだタイトルは明かせませんが、ただ今コンテ中。ホン読み(脚本打ち)は後半戦、キャラは続々あがってきてます。『コップクラフト』制作中にきたお仕事で、どうやら今年も新作が発表できそうです。またコンテをたくさん切ろう(描こう)と思ってます。てことでまたコンテの話を少々。まず、この連載もすでに丸13年。今年で14年目に突入(ちなみに祝日または年末年始以外は1週も落さず)。話の被りは多少大目に見てください(汗)。
 板垣は初監督作『BLACK CAT』(2005年/制作GONZO)以来、監督した全シリーズの全話数中、半分以上のコンテを自分で切ってます。理由その1は簡単な話、

コンテを切るのが好きだから!

です。だって、フィルムの完成形を描く仕事が面白くない訳がありません。これは単なる「出崎統憧れ」ではなく、元々自分のマンガ家志望崩れからくるものだと思います。俺の出た小学校は、卒業式で卒業証書授与の際、前もって撮影・録音された本人のスライドと「将来の夢コメント」が傍らで流されるという演出があり、板垣は「い」なので出席番号1番かつ6年1組。校長先生から証書を読み上げられ、手渡される間「僕は将来、手塚治虫のようなマンガ家になりたいです!」という音声が流れ、同級生らの印象に残ってたらしいです。ただ、そーは言ってみたものの、その後の中学・高校とマンガを描いてて、ネームやラフ(下描き)は楽しくても、「ペン入れが苦痛」という理由で徐々に興味を失っていきました。昨今のようなデジタル作画ツールが当時あったら「ベタがはみ出た!」だ「ホワイトで修正」だの作品のオモシロ基準じゃない部分での苦痛から何割か解放されて、売れないマンガ家になってたのかもしれません。で、ちょうどその頃『エースをねらえ!2』などの出崎監督OVAバブルで、出崎アニメの豊かな表現力と迫力に魅了されてた俺。「アニメってこんなに凄くて面白いんだ!」と思い「アニメやりたい!」と。高2の頃には「将来はアニメ監督!」と決めてました。「月刊アニメージュ」での出崎特集に載っていたザザッとラフに描かれた出崎監督のコンテに、「こんなラフなコンテで動きも音も役者さんの芝居もつけられるなんて、マンガよりずっと贅沢だ! 絶対コンテを描く!」な感じで、それ以来マンガを描くのをやめて自前でコンテ用紙を作り、好きなマンガをコンテにしたりしてました。それこそ90年代に目覚めた映像インテリな方々を怒らせるのを覚悟してハッキリ言いますが、板垣のコンテはマンガのような自由自在な楽しさを優先して切られ(描かれ)ております。「それは違う!」と思う方は、教本でも読んで高尚にどうぞ。少なくとも自分は「ナントカの映画術」だの「映像のナンチャラ」だのの、やや本格的にみえるものから「役立つホームビデオ術」的なファミリー向けのものまで何冊も読みましたが、イマジナリーラインやカメラワークや用語的な説明ばかりで、どれもピンときませんでした(この件に関してはまたいつか)。
 話を戻して、板垣が監督作品のコンテをなるべくたくさんやりたい理由その2。

アニメ監督の仕事の最優先はコンテを切ることだと思っているからです!

 こちらはこの連載で何回も語ったと思うのですが、もう13年越えなので多少考え方が成長したかもしれません(てゆーか何年前に何を書いたかなんて憶えてない)。何しろ監督はコンテです! TVシリーズの場合、そうは言っても作画スケジュールから逆算して全話コンテなんて難しいわけで、それは監督が積極的にバシバシ修正しまくればいいんです。たまに「監督の仕事とはコンテを描くことではない」と仰る監督に出くわすんですけど、少なくとも自分はそう思いませんし、俺の監督作品にコンテで入ってくださる演出さんには「いろいろイジるかもしれないけど、気にしないでください」と言いますし、社内の後輩にコンテを切ってもらう際にも同じことを言ったうえで、さらに「本当に好きにコンテを切りたいなら監督になってからだ」と付け加えます。だってアニメの場合、何事もコンテで7割決まってしまいます。実写における「カメラマンにプランを伝えるためのコンテ」と違い、アニメのコンテは明確に完成予想図で、キャラの芝居、表情、カメラワーク、尺、現在では声優さんの演技にまで影響を及ぼすのですから! そんな大事な役目、他人に委ねっぱなし(つまり無修正)で「監督(手柄)は僕!」なんて虫がいいってもんでしょう? うん、コンテの話はまだあるので次回。

アニメ様の『タイトル未定』
236 アニメ様日記 2019年12月1日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。

2019年12月1日(日)
早朝に新文芸坐へ。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 121 『海獣の子供』とSTUDIO4℃」の最後を見届ける。その後は散歩とデスクワーク。今朝の『ONE PIECE』は絵コンテが大地丙太郎さん。演出的なメリハリが効いていて、かなりよかった。
夕方、事務所で仕事をしながらヘッドホンで「ダンバインとぶ」を聴いて、「目を凝らし」から「とびこめばいい」の部分が泣けた。誇張ではなくて本当に泣けた。「疾風ザブングル」は「俺とお前の」 から「今はないけど」までが泣ける。猛烈に泣ける。やっぱり井荻麟はすごい。そして、僕は疲れている。

2019年12月2日(月)
一日、デスクワーク。主には年末にコミケで先行販売する「川元利浩 SketchBook」と「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の入稿やテキスト作業。昼ぐらいまで雨だったので、ウォーキングは夕方以降に。やらなくてはいけない作業はまだまだあるけど、嵐のような日々は過ぎ去った。Netflixの「ボクらを作ったオモチャたち」を1話分だけ観た。かなり面白い。面白すぎて、ながら観向きではない。
この二月ぐらい、自分は川元利浩さんにどんな作品をやってもらいたいのかを考えていた(考えたからといってやってもらえるわけではないけど)。やってもらいたいのは『新機動戦記ガンダムW』みたいな作品だな。あるいはガチガチにリアルな作品。

2019年12月3日(火)
外での打ち合わせが2件。入稿数日前の「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」で、新たな資料が出てきた。さすがに今から構成を変えるわけにはいかないので、大半は次の機会にまわす。睡眠をとっているのでヘロヘロにはなっていないのだが、心身ともに疲弊気味。自分のせいだけど。
Netflixにて『レビウス』を視聴。偶然だとは思うけれど、『メガロボクス』にいろいろなところが似ている。先に『メガロボクス』を観ているので、その別バージョンのように感じられてそれも面白い。

2019年12月4日(水)
この日もデスクワーク。早朝に事務所に入ったら、「アニメスタイル015」が二階のテーブルに置いてあった(事務所に届いたのは火曜)。「015」も自信作ではあるけれど、このスタイルの雑誌「アニメスタイル」はこれが最後かもしれない。「川元利浩 SketchBook」と「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の編集が同時進行。「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」は先行入稿分の校正紙が出た。夕方からの打ち合わせは、事務所スタッフに行ってもらうことになった。

2019年12月5日(木)
9時半までデスクワークで、その後、時間に余裕があったのでワイフと散歩。山手線で上野駅まで行って、アメ横に。絶好の散歩日和だった。10時半ぐらいに、よく見かけていたアメ横の通りの中華料理屋で早すぎる昼飯。2人で缶ビール、料理二品で1000円の激安。しかも、僕の好みの感じの料理だった。その後は上野公園を歩いて、また、アメ横に。二木の菓子で事務所打ち合わせ用のチョコ菓子を買う。考えてみたら、二木の菓子の店内に入ったのは初めてかも。13時半に事務所に戻って、その後はデスクワーク。「川元利浩 SketchBook」の校正紙が出る。いやあ、これはいい。これは「アニメの本」だ。「アニメ」が載っている本ではなくて、「アニメの本」だ。意味が分からないかもしれないけれど、達成感がある。18時半から声優博士と打ち合わせ。
「なつぞら」を再視聴中。序盤の話数に関して、本放送時は「いつになったら、アニメの話になるの?」と思っていた。構成が分かっている再視聴のほうが素直に鑑賞できる。第四週の番長登場シーン、めちゃめちゃ面白い。

2019年12月6日(金)
昼にワイフと、しゃぶ辰 西巣鴨店に。ドラマ「孤独のグルメ」にも登場したひとりすき焼きの店だ。帰りに手作りパンの店でパンを買う。午後はデスクワーク。その後、外部で打ち合わせ。「川元利浩 SketchBook」の校了。
「なつぞら」再視聴の続き。ちゃんと「なつが空いた時間に画を描いている描写」があるじゃない。演劇終了後の番長のプロボーズもめちゃめちゃ面白かった。31話で、東洋動画に吸収される前のスタジオが舞台になり、仲努、下山克己が登場。モデルがいるかどうかは別にしたとしても、人物造形はかなりいい。
36話で、泰樹(草刈正雄)がなつを可愛いと思うがあまり、孫の照男と結婚させようとし、なつを傷つけてしまう。なつが「そんなふうに照男兄ちゃんに、そう思われていたかと思うと、恥ずかしいよ。恥ずかしくてたまんないよ」「そんなこと、一度でも思ったら、もう家族でおられんよ」と言う辺りが、おそらくこの作品で一番生々しいところ。泰樹はあまりに愚かなのだけど、非常に人間的であり、悪くない。それから、このシークエンスのなつは頭がいい。
泰樹の行為が印象に残るのは、溺愛している孫のような存在であるなつを、愛するがゆえに女性として扱ってしまい、なつに「恥ずかしくてたまんないよ」と言わせてしまったから。結果的に泰樹の愛情も生々しいものと感じられてしまったのではないか。

2019年12月7日(土)
トークイベント「第164回アニメスタイルイベント 『エウレカセブン』を語ろう!2」の開催日。駅前の本屋で「アニメスタイル015」が売っているのを確認してから阿佐ヶ谷ロフトAに。トークでは、前回の「『エウレカセブン』を語ろう!」で予定していた内容を話していただくことができた。その意味でも満足。

第9回 イタ車って

よく壊れるので有名ですが、それを補って余りある魅力があります。
アルファはそのエンジンですかねえ。
兎に角レッドゾーンまで使える官能的な代物で、一度乗れば気分はレーサー
サイズもコンパクトで、日本の道路事情にも合ってますね。

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【アニメスタイルの書籍】アニメーター・村田峻治による車輌デザイン集を刊行!
http://animestyle.jp/news/2019/10/03/16389/

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第643回 同窓会〜想像力を育む

 年始で名古屋に帰ったのに、1月18日(土)風邪引きが少々残る中、再び帰省し行ってきました、愛知県立惟信高等学校の同窓会(?)というか新年会。昨年の秋、台風で新幹線が止まり参加できず、今回こそは! と参加。小学校のも中学校のも同窓会にはできるだけ出席したいと思う板垣です。ただの郷愁の類いとは言い切れない感慨があるのです、同窓生に会うのは。もちろん、現在のアニメ監督という仕事とも無関係ではありません。この連載の中でも何回か触れたかもしれませんが、俺が我を忘れて夢中で楽しめるのは

コンテ切って(描いて)画を作ってる時!

だけなんです。正直、マンガや小説を読んでも、映画を観ても、ゲームをやっても、嫌いってほどでもないのですが、他の人ほど楽しんではいないはず。俺が物語の主人公になりきって遊べるエンタテインメントは、マンガやゲームとかではなく「コンテを切る(描く)こと」。
 で、その次の楽しみが、これまた映画や小説などではなく「人に会うこと」。それは相手が有名無名に関わらずです。これも以前から語っているとおり、実写のように半分以上の役作りを演者さんに委ねることなどできない——原作や脚本などを手がかりに、白紙から人物を描かなければならないアニメのコンテは、各キャラクターのバックグラウンドを想像しつつ掘り下げていかなければなりません。そもそもアニメーターの仕事がそうで、新人の頃、大塚康生さんからも「フレームの外を考えて描くように」と言われました。一事が万事! その時思ったのです。

フィルム(映画・アニメ)作りは、ざっくり言って「トリミングの連続体」! 画作りに限らず、キャラクターの性格も芝居もセリフも物語も、さらに時間もすべて「部分」である!

と。つまり極端に言うと、主人公の画ヅラが出なくても話が進められるのがフィルムってものです(そこが分かってないとコンテはおろか演出処理すらできないでしょう、本来)。これ実社会の人付き合いでも言えると思います。

自分の目の前にいる相手は、自分と会ってない時間の方が多く、その相手は自分のことを考えてない時間の方が長い。ということは自分が「知っている、分かっている」と思い込んでるその相手は2割程度のトリミングでしかない!

「俺は奴のことならすべて分かってる」などと絶対に言えるはずありません。まあ人間とか人生とかそんなもんだと思っています。だからこそなんの波風も立たない普通の日常をおくる人生でも、編集(トリミング)をして繋げば、なんでもドラマにすることができるわけです! とまた話が飛びました(汗)。あ、以前「電車に乗っても乗客それぞれのバックグラウンドを想像する板垣」の話をしたと思います。その訓練(?)を楽しむ(遊ぶ)のに似てます、俺にとっての同窓会は。10代の頃に3年間(6年間の場合もありますが)一緒にいた学友らに30年振りに会う。皆、姿形は多少変わってもすぐ打ち解けます。で、お互いの話の断片から、会っていなかった30年間(正確には20数年)を想像するんです。家庭を築いてたり、社長になってたり、バンドやってる人とかも概ね皆幸せそうで何よりでした。高校の時、自分がどれだけ色恋に疎かったのかも思い知らされました。「惟信(高校)楽しかったもんなぁ〜!」と思いふける人も。参加した人の数だけドラマがありそうでした。

「皆に観てもらえるアニメを作りたい!」と素直に思って、「早く東京に戻ってコンテ切ろう!」と奮起させられました! とても楽しいひとときをありがとうございました!

 KさんFさん、また誘ってください。

ササユリカフェで「『この世界の片隅に』ができるまで展2」が開催中

 『この世界の片隅に』に多くの新作シーンを加えた新たな劇場アニメーション『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が好評公開中だ。東京のササユリカフェでは『この世界の片隅に』及び、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の企画展が開催されている。

 展示物は制作に使われた絵コンテ、脚本、本編パートの原画、レイアウト、未使用絵コンテなどだ。絵コンテは、各パートの初稿から最終稿までの全てを展示。原画やレイアウトについてはコピーではなく、鉛筆で描かれたオリジナルの素材を手に取れるかたちでファイルに収めた。『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の第2エンディングも、生の原画をパネルで展示している。

 会場では「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」上巻・下巻をはじめ、「川元利浩 SketchBook」「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」「アニメスタイル015」「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」などのアニメスタイル関連書籍も販売している。

(03/04追記)開催期間が3月16日(月)まで延長となりました。

■イベント詳細
イベント名/『この世界の片隅に』ができるまで展2in ササユリカフェ
会場/ササユリカフェ http://sasayuricafe.com
期間/2020年1月17日(金)~3月2日(月) 3月16日(月)(火曜・水曜定休、その他短縮営業や貸切営業などあり)
営業時間/11:30~20:00ラストオーダー
入場料/ワンオーダーをお願いしております(カフェは通常営業の予定ですが、来場者数が多く見込まれる日には展示専用・立ち見に変更されることもございます。詳しくはササユリカフェtwitterアカウント@sasayuricafeで最新情報をご確認ください)

主催/ササユリカフェ
協力/アニメスタイル

■関連リンク
この世界の(さらにいくつもの)片隅に【映画】
https://ikutsumono-katasumini.jp

『この世界の片隅に』絵コンテの決定版 [長尺版]よりも長い[最長版]で刊行!
http://animestyle.jp/news/2019/11/11/16619/

第174回 音楽もキラやば〜☆ 〜スター☆トゥインクル プリキュア〜

 腹巻猫です。1月11日に赤坂・草月ホールで開催された林ゆうきさんの初ソロ・コンサート「林ゆうき10th Anniversary Concert〜劇伴食堂はやし屋〜」に足を運びました。2部構成で、前半はドラマ音楽、後半はアニメ音楽を演奏。林ゆうきの世界が凝縮されたステージを堪能しました。クリックを聴きながらの演奏、電子ドラムの使用、シンセ打ち込み音源との同期など、スタジオワークを思わせるステージは現代のサウンドトラック・コンサートならでは。いっぽうで、生のストリングスやサックス、トランペット、アコーディオン、ウッドベースなども入って、生音感も充実。YouTubeでのライブ配信も話題になりました。YouTubeにアーカイブが残っているようなので、未体験の方もぜひ視聴ください。

 来週は菅野祐悟さんの「PSYCHO-PASS サイコパス IN CONCERT」。こちらもデジタルサウンドがどう再現されるか、めちゃ楽しみです。
https://psycho-pass-concert.com


 筆者が林ゆうきの名を意識したのはTVドラマ「トライアングル」(2009)。テーマ曲がジャズピアニストの上原ひろみ。劇中音楽は澤野弘之と林ゆうきの共作という、今思えばすごい作品だった。筆者はこの作品がきっかけで上原ひろみのライブを何度か聴きに行った。
 林ゆうきは「トライアングル」が映像音楽デビュー作。劇中音楽のメインテーマ「Cocoon」は林ゆうきの曲だ。サントラ盤を買った筆者は「なに? このカッコいい曲」と衝撃を受けて林ゆうきの名を覚えたのである。
 2011年に放送されたTVドラマ「DOCTORS〜最強の名医〜」のサントラ盤の仕事で林ゆうきに初めてインタビューする機会があった。そのときは、まだアニメ音楽はほとんど手がけてなくて、「アニメもやりたいんです」と話してくれたのだが、すぐに状況は一変。『ガンダムビルドファイターズ』(2013)、『ハイキュー!!』(2014)、『僕のヒーローアカデミア』(2016)、『ボールルームへようこそ』(2017)、『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』(2018)、『からくりサーカス』(2018)、そして、『ポケットモンスター』(2019)と、話題作、人気作を次々手がけるアニメ音楽の人気作家になってしまった。ほかにも多くのアニメ作品を手がけている。
 京都出身の林ゆうきは新体操選手出身という変わった経歴の持ち主。選手として活躍する中で新体操の演技のバックに流れる音楽を作るようになり、しだいに音楽が本業になっていった。
 爽やかな感動を生む青春ものやスポーツものから、サスペンス、スリラー、SFアクション、『ポケットモンスター』みたいなキッズ向けアニメまで幅広いジャンルを手がける。しかし、ジャンルによって器用に書き分けるタイプではなく、どの作品にも林ゆうきらしい個性が刻印されている。とりわけ、躍動感に富んだ曲やスピード感のある曲は、これぞ林ゆうきサウンド! と思わせる魅力的なものだ。
 そんな林ゆうきの作品の中でも異彩を放つのが『プリキュア』シリーズの音楽である。林ゆうきが手がけるアニメ作品は「少年もの」が多いイメージがある。可愛い、キラキラよりは、カッコいい、爽やか、ときどきダークの感じ。だからこそ、林ゆうきが作る『プリキュア』の音楽は新鮮だった。
 今回はまもなく最終回を迎える『スター☆トゥインクル プリキュア』の音楽を取り上げよう。

 『スター☆トゥインクル プリキュア』は2019年2月から放映されている『プリキュア』シリーズ第16作目となるTVアニメ作品。星空観測が好きな中学生・星奈ひかるがプリキュアに変身する力を得て、仲間とともに、宇宙から襲来する敵・ノットレイダーと戦う物語である。
 ひかるがプリキュアに変身するきっかけとなったのは、宇宙生物のフワとプルンス、宇宙人のララとの遭遇。プリキュアの仲間に宇宙人が加わり、ひかるたちはロケットで宇宙の星々を訪問する。これまでの『プリキュア』シリーズにない新機軸だ。冒険の舞台となる宇宙がポップでカラフルな世界に描かれているのも面白い。50〜60年代の宇宙冒険もののセンスに80年代ポップカルチャーをブレンドしたような世界観である。
 音楽もユニークだ。本作の前期エンディング主題歌「パペピプ☆ロマンチック」は80年代テクノポップ風サウンドを取り入れて話題を呼んだが、劇中音楽(BGM)も同様のコンセプトで作られている。
 現代的なデジタルシンセとは異なるアナログっぽいシンセサウンド。『プリキュア』を観ている子どもたちには新鮮で、お父さん・お母さん世代には懐かしく響く音である。『スター☆トゥインクル プリキュア』のポップな宇宙には、この音がぴったりマッチしていた。
 林ゆうきにとっては本作が3作目の『プリキュア』シリーズ。初参加となった『キラキラ☆ プリキュア アラモード』(2017)では明るく元気な音楽、2作目となった『HUGっと! プリキュア』(2018)では豊かな情感をたたえた音楽が印象的だった。3作目はプリキュアサウンドの集大成、となりそうなところを、まったく違う方向性で挑戦してきたことに驚いた。
 『スター☆トゥインクル プリキュア』の音楽には、林ゆうきとともに橘麻美が参加している。橘麻美は林ゆうきと多くの作品で共作している作曲家で、数々のTVドラマのほか、アニメ『ガンダムビルドファイターズトライ』(2014)、『ソウルイーターノット!』(2014)などにも参加。ダークなサスペンスから軽快なアクション、爽やかな日常曲まで書ける才能を生かして、本作の音楽世界を広げている。

 『スター☆トゥインクル プリキュア』のサウンドトラック・アルバムはマーベラスから2枚発売されている。1枚目は「スター☆トゥインクルプリキュア オリジナル・サウンドトラック1 プリキュア・トゥインクル・サウンド!!」のタイトルで2019年5月に発売。2枚目は「同2 プリキュア・サウンド・イマジネーション!!」のタイトルで2019年12月に発売された(一部のサイトでタイトルが「プリキュア・スタートゥインクル・イマジネーション!!」と表記されているのは誤り)。
 今回は2枚目の「プリキュア・サウンド・イマジネーション!!」を紹介しよう。
 収録曲は以下のとおり。

  1. スターカラーペンダント!カラーチャージ!(キュアコスモ・ヴァージョン)
  2. プリキュア・レインボースプラッシュ!
  3. キラリ☆彡スター☆トゥインクル プリキュア(TVサイズ)(歌:北川理恵)
  4. 宇宙航路異状なし
  5. 不思議な力だフワ
  6. ララの里帰り
  7. 惑星サマーンの憂鬱
  8. 星空連合の使命
  9. 対立する正義
  10. ダークネスト
  11. 宇宙を絶望に染めよ
  12. 灼熱の攻防
  13. 悲劇の星
  14. コズミック☆ミステリー☆ガール(氷柱ヴァージョン)
  15. 星に想いを
  16. 星空ティータイム(ギター&ヴァイオリン・ヴァージョン)
  17. 宇宙は大混乱
  18. オヨ〜
  19. 観星町星まつり
  20. この胸に星は輝く(ピアノ・ソロ・ヴァージョン)
  21. トゥインクル・イマジネーション
  22. 星を追われし者
  23. 消えた星座からの挑戦
  24. 激突!大宇宙
  25. 大いなる闇
  26. 闇に沈む心
  27. 滅びに立ち向かう戦士たち
  28. スターカラーペンダント!カラーチャージ!(クインテット・ヴァージョン)
  29. プリキュア・流星のごとく
  30. プリキュア・スタートゥインクル・イマジネーション!
  31. ずっと忘れない
  32. この胸に星は輝く
  33. 宇宙に架ける虹
  34. 教えて…!トゥインクル☆(TVサイズ)(歌:吉武千颯)
    〈ボーナストラック〉
  35. スターカラーペンダント!カラーチャージ!(インストゥルメンタル・ショートサイズ)

 選曲・構成は筆者が担当した。サントラ盤のタイトルも筆者がつけている。
 『プリキュア』TVシリーズのサントラは年に2枚出るのが通例で、1枚目は番組のオーソドックスなフォーマットに沿った内容、2枚目は追加録音分を中心に、シリーズ中盤から終盤の展開をイメージした内容でまとめている。先日放送されたばかりの第48話「想いを重ねて! 闇を照らす希望の星☆」では、大半のBGMが2枚目のアルバムから選曲されていた。
 以下、第48話の内容に触れる部分があるので、ネタバレは見たくないという未見の方は、ご覧になってから読んでください。
 それにしても、第48話は驚いた。オープニングなし、サブタイトルもアイキャッチもなし。オープニングが省略されるのは昨今のアニメでは珍しくはないが、『プリキュア』シリーズでは初。『宇宙戦艦ヤマト』へのオマージュかと思っちゃいましたよ。本編は最終決戦から別れまでをぎゅっと詰め込んだ、実質的最終回と呼べる内容。音楽的にも聴きどころ満載だった。
 アルバムの話に戻ろう。
 1曲目に収録した「スターカラーペンダント!カラーチャージ!(キュアコスモ・ヴァージョン)」は第20話から加わった新しいプリキュア=キュアコスモの変身テーマ。次の「プリキュア・レインボースプラッシュ!」はキュアコスモの浄化技(ヒーローもので言うところの必殺技)の曲だ。サントラ2枚目の開幕の曲として2曲続けて収録した。
 プリキュアたちが歌いながら変身するのが本作のユニークな趣向である。『プリキュア』シリーズでは、これまでもコーラスが入った変身BGMはあったが、ずばり「歌」入りの変身BGMは初めて。音楽演出としての「歌入りBGM」ではなく、劇中でキャラクターが実際に歌っている設定なのだ。番組スタート当初は「歌って変身!?」ととまどう声もあったが、放映が進むにつれ、変身の歌を子どもたちが遊びに取り入れるなど、すっかり定着した。
 本作の変身BGMは、変身するキャラクターとその組み合わせよって、さまざまなバージョンがある。1枚目のサントラ盤には4人変身バージョンと、キュアスター、キュアミルキー、キュアソレイユ、キュアセレーネ、それぞれの1人変身バージョンを収録。2枚目にはキュアコスモの1人変身バージョンと5人変身バージョンを収録した。1枚目にはインスト・バージョン(カラオケ)も収録しているので、自分で歌ってプリキュアになりきることも可能だ。
 トラック4「宇宙航路異状なし」は、本作のメインテーマの変奏曲。本作は主題歌とは別にBGMにおけるメインテーマが設定されており、そのアレンジ曲が全編に散りばめられている。中でもこの曲は、本作の音楽の特徴がよく出た80年代テクノポップ風のアレンジ。ひかるたちの日常シーンやロケットで宇宙を旅する場面によく流れていた。
 トラック5「不思議な力だフワ」は宇宙妖精フワが不思議なパワーを使ってロケットをワープさせる場面などに流れていた曲。サントラ1枚目に収録した「フワのテーマ」のアレンジである。
 続く「ララの里帰り」「惑星サマーンの憂鬱」「星空連合の使命」は追加録音分からの選曲。ララが故郷の星に帰るエピソードで流れた曲を集めた。
 トラック9の「対立する正義」は、ひかるたちと宇宙人とが価値観や主張の違いから対立してしまう場面にたびたび流れた曲。本作のテーマのひとつである「多様性」が生む確執を表現する曲である。
 トラック10からの3曲はノットレイダーとの戦いをイメージ。「ダークネスト」「宇宙を絶望に染めよ」は第1回録音の曲だが、第21話で敵の首領・ダークネストがよみがえってからは、もっぱらダークネストの脅威を描写する曲として選曲されている。トラック12「灼熱の攻防」は追加録音で収録された激しい戦いを描写するアクション曲。第46話のスターパレスの攻防などに流れている。
 トラック13「悲劇の星」はキュアコスモ=ユニの過去が明らかになる第20話、21話で印象的に使われた悲しみの曲。
 次の「コズミック☆ミステリー☆ガール(氷柱ヴァージョン)」はユニが変身したアイドル・マオが歌う挿入歌をアレンジしたエキストラ曲。第24話でひかるたちとユニの心が通う重要な場面で流れていた。
 トラック15に収録したメインテーマアレンジの曲「星に想いを」は、ひかるたちの友情をイメージしての選曲。この曲は第48話でも、闇に呑み込まれたひかるたちが互いの無事を確認する場面に使用されている。
 トラック16から19まではひかるたちの日常に流れる曲。穏やかな曲やコミカルな曲を集めた。「星空ティータイム(ギター&ヴァイオリン・ヴァージョン)」はサントラ1枚目にフルバージョンを収録しているが、劇中ではこちらのバージョンがよく使われているので2枚目に収録した次第。
 トラック20と21は終盤の展開のカギとなる「トゥインクル・イマジネーション」をテーマにした曲。ひかるたちの心から生まれるイマジネーションの力を表現する曲だ。
 「この胸に星は輝く」のピアノ・ソロはひかるたちの繊細な心情が描かれる場面で使用。オーケストラが壮大に奏でる「トゥインクル・イマジネーション」はトゥインクル・イマジネーションが覚醒する場面で使用されていた。第48話では、変身する力を失ったひかるたちが、自らの心からあふれ出たイマジネーションの力で変身を遂げるシーンに流れている。
 トラック22「星を追われし者」はノットレイダーたちの過去をイメージした曲。虐げられた者の悲しみや理不尽な正義への怒りを表現するシリアスな曲である。こういう曲が用意されているのが、『スター☆トゥインクル プリキュア』の奥深いところだ。
 トラック23「消えた星座からの挑戦」は敵の首領・ダークネストの正体であるへび使い座のプリンセスのテーマ。音楽メニューにも「へび使い座のプリンセス」と書かれているのだが、サントラが発売される12月の時点ではまだ正体が明かされていないので、曲名や解説書のテキストではそこを伏せて表記している。
 実はこの曲、サントラ1枚目に収録した「スターパレス」という曲をダークなイメージにアレンジした曲調・構成になっている。スターパレスは12星座のプリンセスが集う聖域。その曲と共通性を持たせることで、敵も星座のプリンセスのひとりであることを暗示しているのだ。
 トラック24からは最終決戦をイメージした構成である。宇宙規模の総力戦と巨大な闇の力、その闇に呑まれた絶望感を表現する曲を続けた。「激突!大宇宙」と「闇に沈む心」は第47話で、「大いなる闇」は第48話で使用されている。
 トラック27「滅びに立ち向かう戦士たち」は絶望から立ち上がるプリキュアたちのイメージ。第1回録音の曲であるが使用回数は少なく、第30話でララのロケットのAIが復活する場面など、ここぞという見せ場でしか使われない重要曲である。第48話では、復活したプリキュアたちがへび使い座のプリンセスの攻撃を押し戻し、全宇宙から集まる想いを重ねた浄化技を放つクライマックスに流れている。
 トラック28からの3曲は、5人バージョンの変身BGM、スピード感みなぎるプリキュア活躍曲「プリキュア・流星のごとく」、5人合体技の曲「プリキュア・スタートゥインクル・イマジネーション!」と続けて、アルバムのクライマックスにした。

 以降はエピローグ。ひかるたちを待つ別れと友情をイメージした構成である。
 トラック31「ずっと忘れない」はメインテーマの悲しいアレンジ。第12話で、映画撮影に参加していたひかるとララが別れの演技をするうちに真情があふれ出し、「ずっと一緒にいたい」と泣き出してしまう場面があまりにも印象的。
 トラック32「この胸に星は輝く」はトゥインクル・イマジネーションの曲。ひかるたちが悩んだ末に自分の道を見出す場面によく流れていた。第48話では、戦いを終えたひかるたちがフワを復活させるためにプリキュアの力を注ぐ場面に使用されている。
 そして「宇宙に架ける虹」は大団円をイメージしたオープニング主題歌アレンジ。第48話では上記の場面に続くひかるたちの別れの場面にたっぷりと流れて、ラストシーンを飾る曲となった。この曲自体は第20話や第31話にも流れているので、これが初出というわけではない。しかし、第48話ではオープニング主題歌が流れなかったぶん、主題歌のメロディを使ったこの曲が深く印象に残る。秀逸な選曲である。
 なお、第47話ではオープニング主題歌をアップテンポにアレンジしたBGMが流れるが、これは『映画 スター☆トゥインクル プリキュア 星のうたに想いをこめて』の音楽の流用。TV版のサントラには収録されていない。
 アルバムのボーナストラックには変身BGMのインスト・バージョンのショートサイズを収録した。1人変身用に用意されたバージョンである。
 第48話では、復活したプリキュアがへび使い座のプリンセスに向かっていく場面に変身BGMのインストが流れる。変身BGMが変身以外のシーンに流れるのは異例で、この演出は驚きだった。この回は変身シーンにいつものBGMが流れないので、インスト版を戦闘シーンに持ってきたのだろう。これも神がかった選曲というほかない。

 以上でサントラ2枚目の紹介は終わり。これで第48話に流れた曲はほぼそろった。しかし、まだ大事な曲が残っている。
 第48話のハイライトは、プリキュアに変身する力を失ったひかるたちが、変身BGMの歌をアカペラ(途中からピアノ伴奏入り)で歌って変身するシーン。「歌って変身」の設定が生かされた感動の名場面である。
 このアカペラ変身の曲はサントラ盤には収録されていない。しかし、1月22日発売のアルバム「スター☆トゥインクルプリキュア ボーカルベスト」に「スターカラーペンダント!カラーチャージ!(スペシャル・ヴァージョン)」のタイトルで収録されているのだ。第48話で感動にむせび泣いたファンのための、うれしいプレゼントである。
 キラやば〜☆な音楽とともに1年間楽しませてくれた『スター☆トゥインクル プリキュア』。放送はあと1回残っている。最終話ではどんなドラマが描かれ、どんな音楽が流れるのか? サントラ盤を手元に置いて、お楽しみいただきたい。

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アニメ様の『タイトル未定』
235 アニメ様日記 2019年11月24日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。

2019年11月24日(日)
早朝の新文芸坐に。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 120 スクリーンで観る『モブサイコ100 II』」の最後を見届ける。その後は、散歩とデスクワーク。「アニメスタイル015」と「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の追い込み。
オールナイトでお客さんにいただいたプレゼントを開けたら、中に立川譲監督、亀田祥倫さん、僕の人形が入っていた。僕の人形はちゃんとアニメスタイルのTシャツを着ていた。これは凝っているなあ。ありがとうございます。立川監督と亀田さんも同じものをもらっているはず。

2019年11月25日(月)
早朝から編集作業と原稿。12時から中央線方面で打ち合わせ。事務所に戻って「アニメスタイル015」の校了作業など。『AKIRA』『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』等をながら観する。『パプリカ』が面白かった。何度目かの視聴かわからないくらいだけど、今までで一番面白い。公開時はこの作品に対して、色々と不満があった。なんて贅沢だったんだろう。

2019年11月26日(火)
嵐のような忙しさ。月曜の23時半に起きて、風呂に入って午前1時に事務所。10時までデスクワークで、11時から平賀スクエアで「川元利浩 SketchBook」表紙のための撮影。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」用の未使用コンテの再撮影もやってもらう。13時に事務所に戻って、原稿とラフ描き。14時半から事務所で打ち合わせ。16時から中央線方面で打ち合わせ。事務所に戻ってまたデスクワーク。この日、「アニメスタイル015」の編集作業が終了した。

2019年11月27日(水)
「アニメスタイル015」の編集作業は終わったし、取材や外での打ち合わせはないし、のんびり仕事ができるかと思ったら、やっぱり嵐のような忙しさ。「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」の見本が届く。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の校正紙が出る。
いつでもレンタルで観られると思って、DVDを買っていなかったある劇場アニメ(僕の認識では有名なタイトル)が、池袋、新宿のTSUTAYAでレンタルがなくなっていることが判明。検索すると、渋谷TSUTAYAにもないんだけど、同店舗は同シリーズ別作品はあるみたいなので、店まで足を運んだら、意外とあったりするのかもしれない。ネットレンタルはあるはずなので、いよいよとなったら、それに頼ればいいんだけど「いつでも観られると思ったものが観られなくなる」は今後も増えるのかもしれないとは思った。

2019年11月28日(木)
またまた嵐のような一日。雨が降っていたこともあり、まとまった散歩もできず。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」表紙カバーの校正紙が届く。午後はシルフィルWOWOW「世界がふり向くアニメ術」での、『うる星やつら2 ★ビューティフル・ドリーマー★』のコメンタリー収録。出演は押井守監督、上坂すみれさん、そして、僕。シルフィルWOWOWで戦争映画をコメンタリー付きで放映する企画があり、それで上坂さんが『★ビューティフル・ドリーマー★』のファンだということが分かり、このコメンタリーの企画に繋がったのだそうだ。
僕にとっての今回の収録の目的のひとつが、面堂の台詞「大笑い海水浴場」が「喜劇新思想体系」からの引用なのかどうかを、押井さんに確認することだった。それについてだけは、コメンタリーが始まる前に押井さんに「聞きますね」と言っておいた。おかげで、収録で押井さんが自分から話してくれた。他にも確認したいことをいくつも話してもらえた。ただし、話の流れで聞けなかったこともある。それはまた別の機会で。収録後、事務所に。
以下はコメンタリーとは別の話。コメンタリーの前に『★ビューティフル・ドリーマー★』を観直して思ったことだ。メガネ達に対して、僕は今でも「俺達の仲間」だと思える。より具体的に書くと、当時は自分達と同年輩の仲間で、今となっては「思い出の中の仲間」だ。
あの映画で自分が憧れを感じていたのは、学園祭の前日が延々に続くという状況よりも、あたるの家での共同生活だった。劇中のモラトリアムの塊のような日々は、心地よいだけでなく、観ている自分達を映画が肯定してくれていると思えた。それが重要だったのではないか。

2019年11月29日(金)
やっぱり嵐のような一日。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」校正作業と、「川元利浩 SketchBook」と「馬越嘉彦 仕事集 第一巻」の進行。16時から某スタジオで打ち合わせ。事務所に戻ってまた作業。Netflixの『ケンガンアシュラ』の第2期を観始める。面白い。映像もよくできている。
忙しいけれど、馬越嘉彦さんに描きおろしのラフを依頼したら2時間で超ステキなラフがあがったり、デザイナーさんから予想以上にいいデザインが届いたり、編集部スタッフがきちんと資料を読み込んで校正をしてくれたり、嬉しいことがいくつもあった。

2019年11月30日(土)
「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」の発売日で、オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 121 『海獣の子供』とSTUDIO4℃」開催日であり、さらにトークイベント「第165回アニメスタイルイベント 『この世界の片隅に』に至る道(4)」とオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 122 Rexamination of PATLABOR the Movies」の前売り開始日だった。
昼間は年末進行で後まわしにしていた用事を片づける。その後は原稿作業。日曜いっぱいかかるかと思っていた原稿がだいたい終わる。事務所で『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』『僕のヒーローアカデミア』『名探偵コナン』をリアルタイム視聴した。夜は新文芸坐に。

第8回 カースタントマンが映画を撮ると

こんなんなっちゃいました(笑)ていう感じの作品『バニシングイン60(邦題)』。
とにかく尺の殆どがカーチェイスで、パトカーを壊す壊す。
エレノアと呼ばれる1973年式マスタングもボッコボコ。
当時スーパーカーブームの日本でもTV放送された今作品を観た自分はいたく衝撃を受けまして、
アメ車好きになりました。
とにかくマスタングサイコーwな人間になりました。

■関連リンク
【アニメスタイルの書籍】アニメーター・村田峻治による車輌デザイン集を刊行!
http://animestyle.jp/news/2019/10/03/16389/

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https://amzn.to/2pusZlW

第642回 令和も働きます!

 今年も監督作品を発表できそうで、風邪を引いてても朝6時起きでコンテ中。こんなサイクルを何年続けてるんだか、と思って気づけばもう10数年間、1年と空けず毎年作品が発表できてるのは幸せなことだと思いつつ机にしがみついています。ま、でも自分小学生の頃から早起き(たいがい5〜6時起き、夢中な時は3〜4時起き)でマンガ描いたり、パソコンでゲーム作ったり(元祖パソコン少年世代)してました。なので両親が今のワークスタイルを見たら、たぶん「昔から変わっとらんな」と言うに違いありません。ここ数年はご存知のとおりデジタル作画・コンテなので、なんの因果か一回りして、また小学生の頃のパソコン少年に戻った気分だったりもしてます。子どもの頃、気づいたら好きになってた絵を描くこと・何かを作ることが、いつの間にか遊びから仕事にオーバーラップしてそれで食えてる今、自分は最近よく父親のことを考えます。父親は自分に「あーしろこーしろ! 何々するな! 勉強しろ!」とか一度も言ったこともなく、無干渉で放任主義。小・中・高校生の間、通知表(通信簿?)的なものすら一度も見たことがなかったと記憶しています。父自身中卒で、山形から名古屋に就労に来た出稼ぎ組だったようで、やりたい仕事云々とかより、何も考えず「労働=食うための時間の切り売り」と思った人なので、今の俺の仕事にもまったく興味がないはず。だけど自分のほうは、朝6時に家を出て夜8時過ぎまで週休半日(日曜の午後だけ休み)、40年以上無遅刻無欠勤で働き続けた父親を、今は素直に感謝・尊敬しております。だって、どう考えても朝から晩まで工場でセメントこねてコンクリートを作る肉体労働が、子どもの頃からの夢が叶って就いた職とは思えないし、「ただただ家族を食わせなきゃ」の昭和的義務感で働き続けたのだと思うから。それに比べて、仮にも自分は好きな仕事で食えてるだけでも幸せ者だと思って、「しっかり毎日働く!」で令和もやっていきます。企画やスタッフを選ぶより(そもそも自分にはそんな資格もないですが)「ありがたくやらせていただきます!」と。出崎統監督も昔のインタビューで「仕事選ぶなんて10年早い! 来た仕事は全部やれ!」と仰ってました。逆上上等! 現状以上の贅沢を望んだら将来必ずバチが当たりますから。というわけで、今年もSNSとかやる時間もやる気もありません。

アニメ様の『タイトル未定』
234 アニメ様日記 2019年11月17日(日)

2019年11月17日(日)
14時半までデスクワーク。原稿作業に集中できて嬉しかった。15時10分から、ワイフとグランドシネマサンシャインで「ターミネーター:ニュー・フェイト【IMAXレーザーGT字幕版】」を観る。映画館に行ったのは久しぶり。「映画を観た」という実感あり。娯楽作としては充分な仕上がりなのだけど、大ヒットしてないのも分かる。新しいビジュアルがないし、色気がない。こう書くと不満があるみたいだけど、そんなことはない。

2019年11月18日(月)
「アニメスタイル015」と「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の追い込み。午前1時半に事務所に入り、散歩や食事等をはさんで19時まで作業。たっぷりと仕事をした。夕方に風呂に入ってから、いきなり!ステーキで食事。ドーピングって感じだった。

2019年11月19日(火)
月曜に続いて「アニメスタイル015」と「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の追い込み。『∀ガンダム』を流しながら作業。1話から18話の途中まで観た。16話「ターンAのすべて」がなかなかのインパクト。総集編なんだけど、テロップの入り方がバラエティ番組みたい。「この時代ならではのもの」という気もする。

2019年11月20日(水)
「アニメスタイル015」と「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の追い込みは続く。散歩と食事以外はデスクワーク。気分を変えるために、ユニクロで普段は着ない色のセーターとシャツを買う。夜は磯丸水産で鯖カレー。鯖カレーは美味しかった。これはあり。
ネットで「パルプ・フィクション」の原案者であるロジャー・エイヴァリーさんが『映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』を絶賛していることを知る。「私のこれまでの映画体験のなかでも最高のひとつ。映画はこの作品のために発明されたと言っても過言ではない」 だそうだ。マジか。いや、さすが分かっていると言うべきか。

2019年11月21日(木)
水曜の23時半に起きて、風呂に入ってから午前1時に事務所へ。「アニメスタイル015」の追い込み。同時進行で別の作業も。昼飯は箱買いしたプロテインバー。仕事の追い込みが続いていて、変な時間に起きたりしているけど、毎日散歩して、ラジオ体操して、野菜ジュースを飲んで、養命酒を飲んで、なるべくいろんな食材をとって、ゆっくり風呂に入っているためか、やたらと体調がいい。

2019年11月22日(金)
「アニメスタイル015」と年末に出す書籍Aの打ち合わせ。書籍Aで宿題(僕の新しい作業)が増えた。増えたのだ。マンガ家の清野とおるさんとタレントの壇蜜さんが入籍したことを知る。これはおめでたい。僕は「壇蜜日記」が好きで一時期はよく読んでいた。今は「壇蜜DIARY」というタイトルなのかな。いずれ結婚のことも書かれるだろう。楽しみだ。

2019年11月23日(土)
「アニメスタイル015」の追い込み。校正作業のために助っ人に事務所へ入ってもらう。夕方に床屋。マンションで休んでから、夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 120 スクリーンで観る『モブサイコ100 II』」に。若い女性のお客さんが多いので、それを意識してトークのテーマを選ぶ。
『∀ガンダム』を最終回まで観たので、今度は『ガンダム Gのレコンギスタ』を1話から視聴。めちゃくちゃ面白い。『∀ガンダム』の放映が終わった頃、富野由悠季監督はこれから『∀ガンダム』の(世界観、作品の根底にある価値感、演出についての)発展形のものを作るのだろうと思ったんだけど、そうはならなかった。そうならなかったのも面白いところではあるけれど。『∀ガンダム』が富野作品の到達点だとして、『ガンダム Gのレコンギスタ』はどうなのか。別の進化ルートの作品なのか、『∀ガンダム』の次のステップなのか。それが分かるのはしばらく先なのだろうと思う。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 123
中村豊のスーパーアクション vol .1

 2020年最初のオールナイトは「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 123 中村豊のスーパーアクション vol .1」。多くの作品で素晴らしいアクションシーンを手がけ、ファンを魅了し続けているアニメーターの中村豊にスポットを当てる。本オールナイトは「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」刊行を記念して企画されたプログラムである。

 上映作品は中村豊がクライマックスの原画を担当した『ストレンヂア 無皇刃譚』、冒頭のアクションシーンを担当した『エスカフローネ[劇場版]』、そして、アクション絵コンテとアクション作画監督の役職で参加した『COWBOY BEBOP 天国の扉』だ。

 トークのゲストは中村豊と、『ストレンヂア 無皇刃譚』で監督を務めた安藤真裕。前売り券は新文芸坐窓口では既に発売中。チケットぴあでは1月15日(水)から発売となる。

 新文芸坐の売店では「中村豊 アニメーション原画集 vol.1」を発売している。オールナイト当日にも販売する予定だ。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 123
中村豊のスーパーアクション vol .1

開催日

2020年1月25日(土)

開場

開場:22時15分/開演:22時30分 終了:翌朝5時35分(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日・一般2800円、前売・友の会2600円

トーク出演

中村豊、安藤真裕、小黒祐一郎(司会・アニメスタイル編集長)

上映タイトル

ストレンヂア 無皇刃譚(2007/35mm)
エスカフローネ[劇場版](2000/BD)
COWBOY BEBOP 天国の扉(2001/DCP)

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第641回 帰省(名古屋)〜京都〜風邪

正月、実家に帰って風邪を引いて戻ってきました(汗)!

 年始は名古屋で過ごし、5日に風邪とともに名古屋を出て京都へ。6日、GAINAX京都を訪問するプランでしたが、板垣のほうはあえなくホテルでダウン。GAINAX京都への挨拶は白石(直子)に任せて部屋でじっとしてました。
 GAINAX京都・武田康廣さま、昨年『コップクラフト』での銃器関係の協力、本当にありがとうございました! また改めてご挨拶に伺います。

 そして現在もまだ風邪の真っ最中。仕事も激遅れのため、本日は短く失礼します。

アニメ様の『タイトル未定』
233 アニメ様日記 2019年11月10日(日)

2019年11月10日(日)
デスクワークの日。仕事が進んでないわけではないけど、予定ほどは進んでいない。いかんいかん。散歩は池袋と高田馬場の往復。

2019年11月11日(月)
デスクワークの日。来年出す本についての打ち合わせ。もしも、実現したらなかなか素敵なことになるのだけれど、どうなるだろうか。編集作業中の書籍については、いろいろと進むが、全体的には遅れ気味。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の編集作業だけはぐいぐいと進む。監修が異様に速いのがありがたい。『WOLF’S RAIN』のサントラが届いたので聴き始める。

2019年11月12日(火)
社内打ち合わせと外部での打ち合わせ。それ以外はデスクワーク。引き続きいくつもの仕事が同時進行で落ち着かない。『WOLF’S RAIN』のサントラを聴きながら作業。ランチは最近できたタイ料理屋で「ガパオライスとミニカレー」のセットを食べる。「ガパオライスとミニカレーとミニラーメンのセット」というメニューもあった。感想としてはやっぱりガパオライスだけで充分だった。

2019年11月13日(水)
散歩以外はデスクワーク。「アニメスタイル015」の写真選びでいちばん手間がかかるところが終わった。18時くらいに、マンションへ戻ってそのまま就寝。21時40分くらいに起きて、風呂に入ってから事務所に。

2019年11月14日(木)
夕方からの打ち合わせ以外はデスクワーク。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の束見本に、表紙カバーのプリントを巻いて見てもらうと、あまりにもの厚みに皆が驚いてくれる。仕事をしながら『ダンベル何キロ持てる?』の一気観をした。「ドラゴンクエストウォーク」はレベル45に。

2019年11月15日(金)
デスクワークの日。仕上がった「アニメスタイル015」のデザインを見て、自分は天才ではないかと思う。老後はひたすら、アニメの本編カットを並べるだけの仕事をやりたい(そんな老後はこない)。珍しく23時近くまで事務所に。色々とこなしたけれど、遅れ気味。やらなくてはいけないことが山盛りだ。と言いつつ「Renta!」を始めてみた。

2019年11月16日(土)
デスクワークの日。『伝説巨神イデオン』TVシリーズを最終回まで観た。21世紀になってから、全話通して観たのは三度目のはず。本当にながら観だったせいか、前回や前々回ほどの没入感はなかった。キャラクターについてより深く分かるようにはなったけれど、作品自体の印象はあまり変わっていない。事務所の裏にシェラスコ食べ放題の店ができたことを知る。いったい行けるのはいつになるのか。

第173回 とっとこ楽しいサントラなのだ 〜劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険〜

 腹巻猫です。新年あけましておめでとうございます。ありがたいことに年末年始も仕事漬けでした。本年もよろしくお願いします。


 今年はねずみ年。ねずみのアニメといえば、誰もが思い浮かべる名作がある。出崎統監督の『ガンバの冒険』だ。
 しかし、今回は同じ出崎監督の別の作品を取り上げたい。劇場版『とっとこハム太郎』だ。ハムスター(キヌゲネズミ科)が主人公のアニメである。
 『とっとこハム太郎』は河井リツ子の同名マンガを原作にトムス・エンタテインメントが映像化したアニメ作品。TVアニメが2000年7月からスタートした。2期、3期と続く人気シリーズとなり、第5期が2013年3月まで放送されている。TVアニメ版の監督は鍋島修。劇場版が4作作られ、4作すべてを出崎統が監督した。
 筆者は第1作から第3作まで、公開当時劇場で観た。ゴジラと併映だったからだ。ハム太郎の劇場版を出崎統が監督する話も聞いていた。ゴジラと出崎アニメが一緒に劇場で観られるのか! とわくわくしたことを覚えている。
 劇場版『とっとこハム太郎』は期待にたがわぬ出来だった。『あしたのジョー』や『エースをねらえ!』のような作品を期待する出崎ファンには物足りなかったかもしれない。しかし、筆者はすごく満足した。その証拠に、DVDもサントラ盤も買ってしまったのだ。
 『とっとこハム太郎』は、ハム太郎を中心にハムスターたちの日常や小さな冒険を描くほのぼのアニメ。ハム太郎の飼い主は小学5年生の女の子・ロコちゃんだ。TVアニメではロコちゃんの日常も描かれている。
 しかし、劇場版は少し趣が違う。ハム太郎たちが日常を離れた世界でスケールの大きな冒険をするファンタジー作品になっている。といっても、楽しく可愛い冒険だ。
 その映像が、どこを切りとっても出崎アニメなのがたまらない。ハム太郎はガンバみたいな走り方をするし、随所に出崎統らしい絵作りや演出が観られる。子ども向きと思わず、ぜひ観てほしい作品なのだ(特に海賊ハムクックが登場する3作目がいい)。

 音楽はTV版、劇場版ともに岩崎元是が担当している。
 岩崎元是は1986年にポップバンド・岩崎元是&WINDYでデビューした音楽家。バンド解散後、作・編曲家、スタジオミュージシャンとして活動を開始した。音楽を担当したアニメ作品には、劇場版『キン肉マンII世』(2001)、『まめうしくん』(2007)、『そらのおとしもの』(2009)などがある。主題歌・挿入歌等の楽曲提供も多い。『機甲警察メタルジャック』(1991)、『勇者警察ジェイデッカー』(1994)等の音楽を手がけた作曲家・岩崎文紀は実兄である。
 今回は劇場版第1作『劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険』(2001)の音楽を紹介しよう。
 タイトルにある「ハムハムランド」とはハムスターだけが住む夢の国。ハムスターのユートピアだ。ハム太郎たちは偶然ハムハムランドにつながる扉を開いてしまい、大冒険を繰り広げることになる。
 劇場版の公開は2001年12月。サントラ盤は2002年3月に日本コロムビアから発売された。
 収録曲は以下のとおり。

  1. ハム太郎とっとこうた(歌:ハムちゃんず)
  2. ここは楽しいハムハムランド
  3. とっとこほじほじ、やけほじりなのだ!
  4. ハッピーロコちゃんバースデイ(歌:ロコちゃん、ハム太郎、パーティに来たみんな)
  5. おとめちっく!ロコちゃん
  6. ひまわりタネ寿司、ネタはタネ!(歌:板前ハム&すっし〜ず)
  7. 舞い降りた妖精
  8. ここでもさすらう?トンガリくん
  9. とっとこ参上、ニンハムず!
  10. 魔王ハムだハ〜ム〜!
  11. 幸せならハムスター(ラップ:DJハム/スクラッチ:ピストン西沢)
  12. とっとこ集合、ハムちゃんず
  13. タネはどこなのだ?(歌:ハム太郎)
  14. ハムハム大学へ進路を取れ!
  15. とっとこ授業だ、ハムハム大学
  16. 歓びの歌 〜向日葵交響曲第86番〜(コーラス:ジャンガリアン聖歌隊)
  17. 逃がすもんか、ドラゴン!
  18. 魔王さまはコレクター!?
  19. ハムハムランド、またあした
  20. 時空を越えろ、ドラゴンゴーン!
  21. 再会の時
  22. ロコちゃんの日記
  23. HAMUTARO THE MOVIE

 歌いっぱいの楽しいサントラだ。
 この劇場版自体が、全編歌に彩られた楽しい作品である。出崎アニメで、これほどたくさんの歌が流れる作品は珍しい。
 劇中には、ハロプロ(ハロー!プロジェクト)とのタイアップで「ミニハムず」なるハムスターのアイドルグループが登場する。演じたのはハロプロのアイドルグループ「ミニモニ。」の4人(矢口真里、辻希美、加護亜依、ミカ)。ミニハムずは劇中で「ミニハムず愛の唄」という歌も披露している(作詞・作曲はミニモニ。のプロデューサー・つんく♂が担当)。残念ながらミニモニ。の所属レーベルの関係でミニハムずの歌はサントラ盤には収録されなかった。代わりにマキシシングル盤がゼティマ(現・アップフロントワークス)から発売された。もちろん、筆者はそちらも買っている。
 劇場版らしく、音楽は絵に合わせたフィルムスコアリングで作られている。50分ほどの長さだが、サントラ盤は全曲収録ではない。曲順も劇中使用順ではなく、いくつかの曲の順序を入れ替え、モティーフが同じ複数の曲を1トラックにまとめたりしている。
 しかし、これはこれでよい構成である。おそらく、子どもたちが聴いても楽しめるようにと配慮した結果なのだろう。
 たとえば1曲目に収録された主題歌「ハム太郎とっとこうた」は、劇場版では冒頭には流れない。ハム太郎たちがハムハムランドへの扉を開くまでの導入部分——サントラ盤の曲目で言えば、トラック5「おとめちっくロコちゃん」のあとにタイトルが出て、主題歌が流れるのだ。けれど、1曲目に主題歌が流れるほうが、子どもたちには「ハム太郎のアルバムだ」とわかりやすい。
 また、2曲目の「ここは楽しいハムハムランド」は、いくつかの場面に登場するハムハムランドの曲を1トラックにまとめたものだ。これも、開幕の長い曲として収録ことで「ハムハムランドの劇場版(のアルバム)なんだよ」とアピールしている。
 アルバムの構成を担当したのは本作の音楽プロデューサーである吉田隆。作品と音楽を熟知したスタッフならではの構成である。劇中使用順と違っていても、通して聴けば「こういう作品なんだ」と伝わるアルバムになっている。
 それに曲名がいい。「とっとこほじほじ、やけほじりなのだ!」「ここでもさすらう?トンガリくん」など、本編の楽しさとキャラクターの魅力が表現された、すてきなタイトルなのだ。なかなかこういうタイトルは思いつかない。
 岩崎元是はTVシリーズのBGMのモティーフも散りばめながら、バラエティに富んだ音楽で劇場版をにぎやかに盛り上げている。耳に残るメロディが多く、聴いていて飽きない。飽きないどころか、思わず耳をそばだてたり、曲を口ずさんだりしてしまう。
 TVシリーズでも使われている主題歌「ハム太郎とっとこうた」は、原作者・河井リツ子が口ずさんだ歌をそのまま採用したもの。編曲を岩崎元是が手がけた。一度聴いたらぐるぐると脳内ループしてしまうメロディと歌詞もすごいが、岩崎元是のアレンジもワクワク感を2倍にも3倍にもする手練れの技である。
 トラック2「ここは楽しいハムハムランド」は、ハム太郎たちの冒険の舞台となるハムハムランドの曲。しっとりした曲調からスケールの大きなファンタジックな曲調、躍動的な曲調など、ひとつのモティーフをさまざまにアレンジし、組曲風にまとめたトラックになっている。
 トラック3の「とっとこほじほじ、やけほじりなのだ!」は、ロコちゃんの誕生日を祝おうとしたハム太郎が仲間はずれにされてすねてしまう場面の曲。主題歌「ハム太郎とっとこうた」のアレンジだ。オルガンの音色でバロック風に聞かせて、ハム太郎の悲嘆を強調する。
 トラック4「ハッピーロコちゃんバースデイ」はロコちゃんの誕生日を祝う歌。いくつかの場面で歌われた歌が1曲にまとめられている。最初からこういう構成の曲だったかのように自然に聞けてしまうのがすごい。曲はOVA『ハム太郎のおたんじょうび 〜ママをたずねて三千てちてち〜』の主題歌「ハッピーハムハムバースデイ」の流用だ。
 トラック5「おとめちっく!ロコちゃん」は、ボーイフレンドを気にするロコちゃんの乙女心を表現する曲。TVシリーズのBGM「ごきげんロコちゃん」を劇場用にアレンジした曲である。
 TVシリーズのBGMをアレンジした曲はほかにも見られる。トラック8の「ここでもさすらう?トンガリくん」は「さすらいの旅ハム、とんがりくん」という曲のアレンジ。トラック12の「とっとこ集合、ハムちゃんず」はTVシリーズの同じ曲名のBGMのアレンジである。TVで使われた曲と同じメロディが劇場に流れることで、TVシリーズのファンもスムーズに劇場版の世界に入っていくことができる。
 トラック6「ひまわりタネ寿司、ネタはタネ!」はハムハムランドの寿司屋の場面で歌われるラップ風の劇中歌。この曲とトラック11のラップ曲「幸せならハムスター」の作詞は出崎統監督が自ら手がけている。きっと、コンテを書きながら自然に言葉が出てきたのだろう。本作をはじめ、劇場版『とっとこハム太郎』4作品には出崎統作詞の劇中歌が必ず登場する。これも出崎統ファンには見逃せない(聴き逃せない)ポイントなのだ。
 トラック7「舞い降りた妖精」はハム太郎たちをハムハムランドに導いた妖精ハムのテーマ。ときには小さな空飛ぶハムスターの姿で、ときには美しいお姉さんの姿で登場する妖精ハムは、映画の中で重要な役割を担うキャラクターだ。やさしく美しいメロディがファンタジックな音色のシンセやピアノ、ストリングスなどで奏でられる。登場場面は少ないが、耳に残る旋律である。
 妖精ハムのテーマとともに重要なのが魔王ハムのテーマ。魔王ハムはハム太郎たちが探す魔法のタネをねらう憎めない仇役である。
 サントラではトラック10「魔王ハムだハ〜ム〜!」で初登場。重厚で恐怖感をあおる曲調だが、どこか愛嬌があり、本気で怖くはない。
 その魔王ハムの手先となって活動するのが4人組の忍者ハム、通称・ニンハムず。トラック9「とっとこ参上、ニンハムず!」はニンハムずのテーマだ。ミニハムずが歌う「ミニハムずの愛の唄」のメロディが引用されている。
 ミニハムずは4人組。ニンハムずも4人組。ニンハムずの行動場面にはたびたび「ミニハムずの愛の唄」のメロディが流れて、「ニンハムずの正体はミニハムずでは?」と思わせる。これは音楽によるミスリードで、最後まで観ていくと、ミニハムずとニンハムずは別人(別ハム)だとがわかる。ちょっと変わった音楽演出だ。
 中盤、ハム太郎たちは魔法のタネの情報を求めてハムハム大学へ行く。この描写が面白い。ハム太郎たちは大学の授業を受けることになり、ユニークな授業のようすが、クラシック風、ロック風、中国風など次々と曲調が変わる音楽とともに描かれる。授業は本筋と関係ないのだが、音楽も手伝って楽しめる場面になっている。その場面の曲がトラック15の「とっとこ授業だ、ハムハム大学」。
 きわめつきは次の「歓びの歌 〜向日葵交響曲第86番〜」。ハムハム大学の卒業式で歌われる混声合唱の曲である。ハム太郎たちはハムハム大学の卒業生になったのだ。タイショーくん(ハム太郎の仲間のハムスター)ならずとも、「え!? もう卒業?」と突っ込みたくなる展開である。その場面に「向日葵交響曲第86番」と副題がついた格調高い曲が流れて、ハム太郎たちを祝福する。これまた、頭の中でループしてしまいそうな中毒性のある曲。
 終盤は魔法のタネを奪った魔王ハム(ドラゴン)とハム太郎たちとの追っかけで盛り上がる。音楽もテンポの速い緊迫感のある曲が続く。サントラ盤では終盤の曲をいくつか省いて、よりテンポ感を出している。
 ハムハムランドを訪れたハムスターたちが元の世界に帰る時間がやってきた。トラック19「ハムハムランド、またあした」は、ハム太郎たちが妖精ハムたちに見守られて旅立つ場面に流れた、ちょっぴり切ない別れの曲である。短い曲だが、このメロディも心に残る。
 本当のクライマックスは、夜になってもハム太郎を探すロコちゃんとハムハムランドから帰還したハム太郎との再会のシーン。まさに出崎演出と呼びたくなる再会場面に、なんとも美しく感動的な「再会の時」が流れる。これも、ずっと聴いていたくなるようないい曲だ。
 劇場版は、TVシリーズにならって、ロコちゃんが日記を書く場面で締めくくられる。いなくなったハム太郎との再会を日記に綴るロコちゃん。その場面に流れるトラック22「ロコちゃんの日記」は、TVシリーズの同じ曲名のBGMのアレンジ曲。オルゴール風の音色でドリーミィに奏でられる、エピローグにふさわしいやさしい曲である。
 トラック22は2つの曲に分かれている。ラストシーンに使われたのは後半部分。前半にはピアノ・ソロによる「ロコちゃんの日記」のアレンジ曲が収録されている。これは本作の中盤、ハムハムランドに上がる花火を見たハム太郎がロコちゃんのことを思い出す切ない場面に流れた曲。2つの場面の曲がつながることで、ハム太郎とロコちゃんの心が通い合ったことが示唆される。サントラ盤でしか味わえない感動がじわじわと胸にこみ上げてくる。秀逸な構成だ。
 最後に収録された「HAMUTARO THE MOVIE」は「ハム太郎とっとこうた」をアレンジした短いファンファーレ風の曲。本編では流れていないと思う(違っていたらすみません)。エンディングには「ミニハムずの愛の唄」が流れるが、それは収録できない。「ロコちゃんの日記」で終わると少ししんみりしてしまう。サントラ盤は、元気なこの曲で終わるのが正解だろう。

 『とっとこハム太郎』の音楽は、魅力的なメロディの宝庫。楽しく、幸せな気分になれるサントラである。お正月はこういうサントラを聴いて一年を始めたい。
 『とっとこハム太郎』は今もキャラクターグッズが売られ、公式サイトや公式Twitterアカウントも活動している。ねずみ年の今年は『とっとこハム太郎』の新作アニメも観られるのじゃないかとちょっと期待している。

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険 オリジナル・サウンドトラック
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ミニハムずの愛の唄[MAXI]
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第166回アニメスタイルイベント
スタッフが語る『海獣の子供』

 2019年に公開され、凄まじいクオリティで観客を圧倒した『海獣の子供』。そのスタッフによるトークイベントを開催する。開催日は同作Blu-ray & DVDソフト発売の3日後にあたる2020年2月1日。会場は新宿のLOFT/PLUS ONEだ。

 現在のところ、田中栄子(『海獣の子供』プロデューサー)、渡辺歩(監督)、小西賢一(キャラクターデザイン・総作画監督・演出)の出演が決定しており、他のスタッフの登壇もある予定だ。見どころの多いこの作品について、たっぷり語っていただこう。

(1/20追記)追加ゲストとして、秋本賢一郎(CGI監督)、平野浩太郎(CGI)の出演が決定した。

 これまでのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。前売り券は2019年12月26日(木)に発売が開始した。詳しくは以下のリンクLOFT/PLUS ONEのページを見てもらいたい。また、会場では『海獣の子供』を特集した「アニメスタイル015」等の物販を行う予定だ。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

LOFT/PLUS ONE
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/136121

【アニメスタイルの新刊】「アニメスタイル015」の巻頭特集は『モブサイコ100 II』!!
http://animestyle.jp/news/2019/11/15/16650/

第166回アニメスタイルイベント
スタッフが語る『海獣の子供』

開催日

2020年2月1日(土)
開場12時00分 開演13時00分

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

田中栄子(『海獣の子供』プロデューサー)、渡辺歩(監督)、小西賢一(キャラクターデザイン・総作画監督・演出)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 会場となるLOFT/PLUS ONEはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

アニメ様の『タイトル未定』
232 アニメ様日記 2019年11月3日(日)

2019年11月3日(日)
三連休2日目。知人とランチに行った以外はデスクワークで、主には「アニメスタイル015」の構成の詰め。
『WOLF’S RAIN』を最終回まで視聴。TV未放映分のラスト4話は、二度目の視聴かな。最終回ラストは覚えていたけど、その前の数話はほとんど覚えていなかった。最終回ラストシーンについては、シリーズ初期からのプランしていたものだろうと思うけど、そこまでの展開は作りながら考えていった感じかな。と思って、確認のため、岡村天斎さんの「この人に話を聞きたい」を読み返す。当然、そのことに触れていた(えらいな、自分)。最後が現代の東京になるのは、最初から決まっていたわけではない。オープニングに現代の東京が出てくるのは岡村さんのアドリブで、それを脚本で信本さんがリンクさせたとのこと。他にも「信本さんは、最初から現代の東京のような場所を舞台にしたいと考えていた」「岡村監督としては『狼』や『楽園』について象徴性や寓意は持たせていない」「脚本では、その場面で主人公達が狼の姿か、人間の姿かは書かれていない。文脈で判断して映像化している」等々。
「なつぞらSP 秋の大収穫祭」も観始める。

2019年11月4日(月)
三連休3日目。外食以外はデスクワーク。「なつぞらSP 秋の大収穫祭」後半を観て、「ちはやふる ー結びー」「ちはやふる-繋ぐ-」「ちはやふる-学び-」を観る。「-繋ぐ-」は実写劇場版第2作と3作の間のエピソードで、ネット配信オンリーのコンテンツ(後に映像特典としてソフトに入った)。全5話で、各話が新作ドラマとメイキングの2本立ての構成。新作ドラマは短いけれど、ファンサービスとしてはなかなかいい。屋台のラーメンの話はコントみたいだった。
午後はYouTubeで「東京国際映画祭のTIFF マスタークラス『アニメ映画史、最重要変化点を語る』」を流しつつ作業。話を分かりやすくするために大胆にまとめてはいるが、商業アニメの歴史について考えるきっかけとしては充分な内容だ。
この三連休は進んでいなかった作業が色々と進んだ。「自分だけで進める作業」が沢山できて、嬉しい。

2019年11月5日(火)
事務所で打ち合わせ2本、16時半から馬越嘉彦さんと打ち合わせ。他は進行中の「アニメスタイル015」、書籍、イベントの準備のあれやこれやで大騒ぎ。ボケモンGOは初日午前中にコバルオンをゲット。
イベントに向けて『おジャ魔女どれみ』を再見中。11話「早起き少女まりなと心の花たば」は『魔法使いサリー』の「ポニーの花園」を意識した話かも。いや、ハーフの女の子が出てくるわけではないけど。それから、『おジャ魔女どれみ』には意外と『ちびまる子ちゃん』の影響があるのではないか(影響を受けているとしたら、サトジュンさん自身)。脱力の描写とか、はづきちゃんの描写とか。6話「ウソつきは友情の始まり」。冒頭シーンで「あ、演出助手は長峯さん?」と思ったら、当たっていた。
20話「ライバル登場!MAHO堂大ピ~ンチ!!」はライバルの「元祖MAHO堂」ができる話。ぼんやりした記憶だと、この展開を、当時、サトジュンさんが「飛び出せ!青春」を意識したと言っていたはず。「飛び出せ!青春」だと、頭師佳孝(柴田良吉)が本家鶴亀堂の息子で、保積ペペ(山本大作)が元祖鶴亀堂の息子。 ちゃんと21話でネタとして「本家MAHO堂」が出てきた。
34話「お母ちゃんに逢いたい!」。来たなあ。ぐいぐいくる。今さらだけど、あいこ親子のモチーフは『じゃりン子チエ』なんだろうなあ。父親と娘が暮らしていて、母親は別に暮らしている。そして、母親は美人(劇中でどれみ達が指摘している)。さらに関西弁。それで「うちは日本一不幸な少女やねん」のセリフが、どれみの「世界一不幸な美少女」になるというかたちのはず(後日追記。『じゃりン子チエ』の件についてサトジュンさんに「それはどうだろうか」と言われた)。

2019年11月6日(水)
午後に「劇場版シティーハンター PRIVATE EXHIBITION」へ。それ以外はデスクワーク。午前中に「村田峻治 ANIMATION WORKS 車輌設定資料」の校正紙が出て、午後に「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」の束見本が出た。それから「中村豊描き下ろしエフェクトTシャツ」の完成品先行分が届く。

2019年11月7日(木)
12時半に社内打ち合わせ。14時に荻窪で打ち合わせ。打ち合わせ相手に『この世界の片隅に』の応援カードを渡す。その後、MAPPAに寄ってから事務所に。それ以外はデスクワーク。
『おジャ魔女どれみ』47話「お父ちゃんのお見合い」は新年のご挨拶から始まるのね(『ど根性ガエル』の正月回みたいなやつ)。本放送は1月2日。お見合いの席で、あいこが相手に嫌われそうなことを言うんだけど、妙にリアルでそれがいい。脚本がノリノリ。見合い相手もいい人で、なんだか邦画っぼいところもあった。ドラマ的にはクライマックスにもうひと押しほしいんだけど、ひと押しがないところが逆に大人の仕事っぽい。
48話「おんぷのメールはラブレター?」。先生がパソコンのメールを使えなかったり、パソコンが使える男子がちょっと尊敬されたり。その男子はリアル世界ではおんぷちゃんと口をきいたことがないのだけれど、おんぷちゃんの公式サイトにメールを送って、返信をもらってたことで友達になったつもりに(実際にはおんぷちゃんからの返信ではなかった)。「この時代」ならではの話ではある。モチーフがトンガっているけど、ギリギリで「痛い話」ではなくしている。いや、「これは痛い」と言う人もいるだろうけど。
49話「パパに会える!夢を乗せた寝台特急」。ぶっちぎりの山内重保演出。これこそ演出アニメ。当時はカット割りが凄いと思ったけど、今観ると感情線と音楽の使い方が凄い。前半の空気感は『花より男子』とか『キャシャーンSins』に近い。
『おジャ魔女どれみ♯』2話「赤ちゃん育ては、もう~たいへん!」は風呂場のシーン(回想含む)が濃くて大変よろしい。『♯』4話「どれみはママ失格!?」は五十嵐先輩のデートシーンがとても山内さん。どれみママのどれみへの平手打ちが素敵(風邪の音と洗濯物で、平手打ちの音と叩く瞬間は隠す)。その後、ハナちゃんの鼻水を、どれみが口ですする展開に。すごい、本気だ。話の本気を、演出が受けとめている。

2019年11月8日(金)
昼までデスクワークで、12時に事務所で打ち合わせ。13時半からSTUDIO4℃で取材。バスと電車で移動して16時からBONESで打ち合わせ。高田馬場で食事をして、事務所に。移動中に連絡をいくつか。自分は行けなかったけど、進行中の書籍に関するブツ撮りもあった。慌ただしい一日。
『おジャ魔女どれみ♯』15話「母の日とお母さんのにがお絵」は「母親のいない子の母の日」の話で、関先生も母子家庭で育っており、そのためにある学校で働くことができなかったというエピソードがメチャ重い。栗山緑脚本はまたまたグイグイいく。選曲もいい。『おジャ魔女どれみ』は旧『魔法使いサリー』や旧『アッコちゃん』を意識しているところがあると思う。スタッフの総意なのか、各スタッフの意図なのか。
『♯』40話「春風家にピアノがやってくる!」。どれみ達の父親は釣り雑誌のライターで、ぽっぷのピアノのために原稿料の前借りを頼むがそれは実現しなかった。次に思い出の竿を釣り雑誌の編集スタッフに売ろうする。アニメ雑誌ライターだったら、セルのコレクションをアニメ雑誌編集部で売るとかそんな感じだ。それはともかく、これも傑作。すしおさんが原画で参加したことも当時、話題になった。
ポイントの回のみ視聴だけど『おジャ魔女どれみ♯』を完走。『♯』の最終回は去年の今頃、確認したいことがあって、レンタルDVDで観た。レンタルDVDもdアニメストアも『♯』最終回に『も~っと!』1話の予告がついていない。

2019年11月9日(土)
トークイベント「第163回アニメスタイルイベント 馬越嘉彦の仕事を語る!3」を開催。床屋に行ってから、新宿に。トークのメインテーマは『おジャ魔女どれみ』。参加が難しいと言われていた五十嵐卓哉さんも出演してくれることになり、出演者は馬越嘉彦さん、佐藤順一さん、山内重保さん、五十嵐卓哉さん、長峯達也さん。豪華な顔ぶれとなり、トークも充実。どんなイベントも同じことを二度やることはできないのだけれど、これはまさしく二度はできないイベントになった。
以下は、イベント直前に観た『おジャ魔女どれみナ・イ・ショ』12話「7人目の魔女見習い~のんちゃんのないしょ~」について。『おジャ魔女どれみ』の作劇の方向を考えれば、あってもおかしくない「子供が死ぬ話」。あってもおかしくないけれど、通常のシリーズでやるのは難しいはずで『ナ・イ・ショ』でやったのは順当。あのエピローグ(別の子供がMAHO堂を訪れるのと、死んだ子のセリフ)を入れたのが正解かだったかどうかは難しい。エピローグについては楽屋でサトジュンさんに聞いたのだけど、その話はいずれどこかで。