アニメ様の『タイトル未定』
194 アニメ様日記 2019年2月10日(日)

2019年2月10日(日)
TOHOシネマズ新宿で『劇場版CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYES』を観る。TOHOシネマズ新宿を選んだのは、新宿が舞台だろうから、くらいの軽い理由だったのだけど、映画冒頭にTOHOシネマズ新宿そのものが登場。お客さんも沸いていた。今回の劇場版は『CITY HUNTER』のリブートでありつつ集大成のような内容。レギュラーキャラそれぞれに見せ場があるし、歴代主題歌がかかりまくる。「Get Wild」が始まるタイミングと、エンディングの最初の映像も百点満点。エンディングのアニメ歴代名場面のリメイクも相当よかった。冴羽リョウ(「リョウ」の文字は正しくは「犭」に「尞」)と槇村香の物語としても、これが完結編でよいのではないかと思ったくらいだ。ただし、画作りに粗がないわけではない。また、演出が今ふうでないのだが、それが狙ったものなのかどうかが気になる。今回は盛り沢山な内容であったけれど、もしも次があるのなら、まるで違った作りにしてもいいと思う。

2019年2月11日(月)
三連休の3日目。最近、Huluで「ロボコップ」などの有名アクション映画をながらで観ている。あまり大きな声で言えないが、今日まで「スピード」と「ワイルド・スピード」をごっちゃにしていた。「スピード2」が「スピード」っぽくないのも初めて知った。
引き続き『名探偵コナン』の原作を読み進めている。88巻FILE10「ガールズバンド」は、アニメ化された時に冒頭の『けいおん!』ネタが気になっていたのだけど、その部分のセリフは原作のママのようだ。園子は『映画 けいおん!』をTV放映で観たと思われるが、「アニメ映画」ではなく「映画」と言っていた。『名探偵コナン』世界では『けいおん!』は実写映画なのだろう。園子達が自分達をマンガキャラ(アニメキャラ)と意識している可能性もあるけど。

2019年2月12日(火)
「アニメスタイル014」の編集作業が一段落した。お世話になった方々、ありがとうございました。読者の皆さま、よろしくお願いします。そして、「アニメスタイル014」が一段落した日に「アニメスタイル015」の特集がひとつ決まった。
Eテレを流しっぱなしにして作業をしていたら、『ガラピコぷ~』という番組のオープニングアニメーションがいい感じで、見知らぬアニメ作家かと思って検索したら、久野遥子さんの仕事だった。知りませんでした。すいません。ちなみに『ガラピコぷ~』は独立した番組ではなくて「おかあさんといっしょ」のコーナーだった。

2019年2月13日(水)
「アニメスタイル015」の記事の企画書を2本、書く。それから、3月イベントのタイトルが決まった。「第155回アニメスタイルイベント 平松禎史 デザインの話・彼氏と彼女の話」だ。

2019年2月14日(木)
郷里から戻ったワイフに付き合って、TOHOシネマズ新宿で『劇場版CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYES』を鑑賞。まさか1週間のうちに同じ映画を同じ劇場で2度も観ることになるとは思わなかった(席もほぼ同じ席)。そして、2度目の方が楽しめた。事務所で『抱かれたい男1位に脅されています。』を1話から観た。『【俗・】さよなら絶望先生』でお世話になった龍輪直征さんの監督作品なので、落ち着いて観られる時に観ようと思っていたら、放映終了後になってしまった。原作は知らないけれど、おそらく龍輪さんは原作をリスペクトして、変にアレンジしたりせずに、ナチュラルに作っているのではないだろうか。その印象も含めて、彼らしい作品だと思った。

2019年2月15日(金)
平松禎史さんのイベントの告知をし、『若おかみは小学生!』コンテ本の告知の準備を進める。

2019年2月16日(土)
スケジュールの確認をしたり、テキストを書く前の準備をしたり。Amazonから雑誌のバックナンバーが何冊か届く。「ダ・ヴィンチ」とか「オトナファミ」とか。いずれも取材の予習に使うものだ。「2019/02/23にプライムの閲覧期間が終了します」とのことだったので、Amazon Prime Videoで『惑星ロボ ダンガードA 宇宙大海戦』を視聴。印象は前に観たときと変わらない。シリーズ中の1エピソードという感じ。『惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団』の方は有料レンタルなのね。

第601回 幸せにやっとります!

早朝出勤は気持ちいいです! 朝、セブン○レブンでホットコーヒー(Lサイズ)を買って、人気のない会社(スタジオ)でコンテ切るのは最高!

です。新しい作品のコンテを切ってはカッティング(編集)の繰り返し、本当面白い! いちばん幸せなルーチンかもしれません。板垣は幸せ者です。近々次回作のPV発表! そして来月からは、さらに次の作品のホン読み開始で、頑張ります! 短い! ゴメンナサイ!!

アニメ様の『タイトル未定』
193 アニメ様日記 2019年2月3日(日)

2019年2月3日(日)
「アニメスタイル014」の追い込み。『スター☆トゥインクルプリキュア』の1話を観る。テレビマンガっぽいところがあって、ちょっと驚く。『HUGっと!プリキュア』最終回からの飛躍が大きくて、それがよい。

2019年2月4日(月)
「アニメスタイル014」の追い込みは続く。NHKオンデマンドで、噂になっていた1月25日の「あさイチ」の「プレミアムトーク 富田靖子」を視聴。ああ、確かにシャア・アズナブルの話をしている。デビュー時に好きなマンガの登場人物の主人公と同じ、惣領麻実という名前をつけたいと言って、却下になったという話から、マンガとアニメが好きという話に。シャアが好きで画面の写真撮りをしていたとか。シャアがマスクを外したときの、キャスバル兄さんではないちょっと冷酷な顔が好きだとか。一番好きなのは最終回でアムロと対決した後の、額から血が流れているシャアのアップだそうだ。台本があったのかもしれないが、博多華丸さんの「シャアが好きなの? それとも、キャスバル兄さんではなく?」(発言ママ)という質問もナイス。博多大吉さんの「ア・バオア・クーでね」という相づちも効いていた。
ケーブルテレビの受信が不調。いや、受信ではなくて、配信が不調なのか。とにかく不調。

2019年2月5日(火)
「アニメスタイル014」の追い込みは続く。作業をしながら、WOWOWで録画した実写映画「ちはやふる -上の句-」「ちはやふる -下の句-」を観る。「ちはやふる -結び-」も録画してあるのだけれど、初見がながら見なのは勿体ないので、後回しに。他にはAmazon Prime Videoで『ボス・ベイビー』を観る。ケーブルテレビは昼には通常の状態に戻った。

2019年2月6日(水)
「アニメスタイル014」の追い込みは続く。「アニメスタイル014」のカラーページ抜粋の色校正(試し刷り)が出る。メインマシンのMac miniに外付けのスピーカーをつけた。安いやつなんだけど、臨場感が倍増。Amazon Prime Videoで「マイティ・ソー バトルロイヤル」を観た。楽しめた。

2019年2月7日(木)
「アニメスタイル014」の追い込みは続く。Amazon Prime Videoで「インターステラー」と「最強のふたり」を観る。「インターステラー」は観ていないのに、何故か観たつもりになっていた。これは映画館で観ればよかった。「最強のふたり」は面白かったし、吹き替えもよかった。映画館で予告を観ているはずなのにアクション映画だと思っていた。編集作業の大詰めでドタバタしている時期だけど、自宅にいなくてはいけない用事があって、自宅でPDFをチェックをしたり、原稿を書いたり。
「BEASTARS」がTVアニメになることを知る。原作は面白そうで、たまに連載を目に通しているんだけど、きちんと頭から読んだわけではない。アニメが始まる前に読むか、アニメの放映が一段落してから読むかちょっと悩む。

2019年2月8日(金)
「アニメスタイル014」の追い込みは続く。

2019年2月9日(土)
連休1日目。スケジュールの整理など。今日は「アニメージュ」2019年3月号(vol.489)の発売日だ。「この人に話を聞きたい」第二百二回は長峯達也さんの[前編]。「設定資料FILE」vol.240は『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』。
最近、『名探偵コナン』の原作を読んでいる。アニメで同エピソードが放映された時も思ったけれど「蘭GIRL」「新一BOY」の構成は、氷室冴子さんの小説「なぎさボーイ」「多恵子ガール」を下敷きにしているはず。パロディではなくて、同じスタイルで作ったエピソードととらえるべきか。

第600回 作画と気分

 なんと600回ですが知らん顔して作画の話。

「気分が出てる」っちゅーのはアニメーションでは大事なんですよ!

 遡ること20数年前のテレコム時代、大塚康生さんが俺の描いた炎(研修課題)を見て仰った一言でした。

 さらに遡って専門学校時代、恩師・小田部羊一先生が次のような課題を出されました。

小田部先生独特の可愛くデフォルメされたベートーベンもどきのキャラにポーズをつけると。たしか先生は「イメージで描いてもいいです」と仰いました。当時(1993年)はケータイなどはまだ学生まで普及しておらず、その場でネット検索をする人もいなかったでしょうが、調べるのも大事だけどこの課題のように

自らの記憶を総動員して「指揮者」と聞いてイメージするポーズを自由に描ける!

のも大事ということでしょう。

 上の図のようなハッキリとシルエットの違うポーズを10枚ほど描いて提出。小田部先生より4重マルをいただいた上、「プロの現場でもいい仕事をもらえることでしょう!」と一言が添えられており、とてつもなく嬉しかったので、いまだに保管してあります(が、先生の許諾なしにここで勝手に見せるわけにはいきません)。まあ、この時の課題「指揮者のポーズ」と前述の大塚さんの「炎の気分」、お二人の巨匠が仰ってることには共通項があると思います。要は

何事も描き手(アニメーター)の記憶にあるイメージが重要だということ! 現代よりもはるかに記録ツールの乏しい世代の先達らは、画像だ動画だ検索だと安易に頼らないのです!

 小田部先生は「『アルプスの少女ハイジ』のロケハンの時、宮(崎駿)さんは写真撮るより触って覚えてたよ」と教えてくださいました。
 もちろん現代のハイテクを使って作画のレベルを上げることも重要です。スマホやネット検索を否定しても始まりません。ポンポンとネットに上がる写真やムービーを参考にしつつも、それらプラス「記憶による誇張」で原画を描くように後輩には教えています! 実写や3DCGをまんまトレスするだけでもダメで、ちゃんとそれらを「外回りする誇張」を加えて、初めて魅力あるアニメーションになるんです。そしてその「誇張」は手描きアニメーターの修練が手っ取り早いと。
 あ、ちなみに『Wake Up, Girls! 新章』のモーションキャプチャーのダンスも、ちゃんとカットごとに所々誇張してるしコマもいじってるんです。『ベルセルク』も同様でした。てとこで、

頼まれたイラスト入り色紙7枚描かなきゃっ!

第151回 危険な街のブルース 〜CITY HUNTER〜

 腹巻猫です。『劇場版 CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYES』を観ました。旧作の復活というと現代的なリブート版が多い中、当時のままのテイストで作られていることに驚きつつ満足。音楽は『CITY HUNTER』のスピンオフとも呼べる『Angel Heart』の音楽を手がけた岩崎琢が担当していますが、オリジナル版の音楽も多数使われているのがうれしい。声優陣もオリジナルキャストが集結。個人的にはエンディングクレジットの「In Memory of 藤田淑子」に泣きました。


 『劇場版 CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYES』の公開を記念して、オリジナルのTVアニメ『CITY HUNTER』のサウンドトラック・アルバム5タイトルがリマスターされて2月27日に再リリースされる。
 今回はTVアニメ『CITY HUNTER』のサントラ盤の話。

 『CITY HUNTER』は、新宿を拠点に活動するプロのスイーパー(殺し屋)・冴羽リョウ(けものへんに尞)の活躍を描くアクション作品。『CAT’S・EYE』で知られる北条司の原作マンガをサンライズがアニメ化した。TVアニメは1987年4月から放映開始し、『CITY HUNTER2』(1988)、『CITY HUNTER3』(1989)、『CITY HUNTER’91』とタイトル、放映時間を変えながら、1990年1月まで放映された(途中、中断あり)。TVシリーズ終了後もTVスペシャルが制作・放映されている人気作品である。
 今回再リリースされるのはTVシリーズのサントラ5タイトル。発売はいずれもソニー・ミュージックエンタテインメントだ(発売当時のレーベルはEPIC・ソニー)。

「CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック」
「CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.2」
「CITY HUNTER 2 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.1」
「CITY HUNTER 2 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.2」
「CITY HUNTER 3 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック」

 『CITY HUNTER』のサントラの再リリースはなんと放映当時以来約30年ぶり。2005年に「City Hunter Sound Collection」と題した2枚組ベストアルバムが3タイトル、アニプレックスとソニーミュージック・ダイレクトから発売されたが、オリジナル盤のリイシューはなかったのだ。
 『CITY HUNTER』のサウンドトラック・アルバム、実は発売当時はそれほど注目していなかった。サントラファンとしてはちょっと食指が動かない……というか、とまどう内容だったからだ。
 というのも、このアルバム、「サウンドトラック」とタイトルがついているにもかかわらず、収録内容の大半がボーカル曲なのである。
 筆者のような古いサントラファンには、サウンドトラック=劇中で流れたインスト曲(BGM)という刷り込みがある。
 しかし、80年代半ばから、「サウンドトラック・アルバム」の定義は拡大した。劇中で使用されたボーカル曲(多くは有名アーティストの曲)を集めたコンピレーション・アルバムも「サウンドトラック・アルバム」と呼ばれるようになったのだ。いわゆる「音楽映画」のジャンルに入らない作品——「ゴーストバスターズ」(1984)、「ビバリーヒルズ・コップ」(1985)、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)、「グーニーズ」(1985)、「トップガン」(1986)——などのサウンドトラック・アルバムが、そういう作り方でヒットした。
 1980〜90年代に青春時代を送った映画ファン・音楽ファンの中には、「サウンドトラック・アルバム」=「ボーカル・アルバム」という印象を持っている人が多いのではないか。実際、「サントラなのにインスト曲ばかりでボーカル曲が入ってない」という意見を目にしたことがある。
 実際のところ、サウンドトラックの本来の意味(映像フィルムに記録された音声トラックのこと)を考えれば、サントラ=インストと限定する理由はない。ボーカル曲も、作中で流れる曲である以上はサントラに含まれてしかるべきだ。
 80年代後半は、サウンドトラック・アルバムがポップス・アルバムのように聴かれる時代の始まりだった。高揚感のある曲やおしゃれな曲を集めたサントラ(=ボーカル)・アルバムが人気になり、ヒットした。『CITY HUNTER』のサウンドトラックは、そんな流行のスタイルをいち早く取り入れたアルバムだったのである。
 発売元のEPIC・ソニーは、小比類巻かほる、TM NETWORKなど、J-POPシーンで活躍するアーティストをたくさん擁していたレーベル。多彩なアーティストが『CITY HUNTER』のサウンドトラック・アルバムに参加した。結果、アニメサントラのイメージを覆す、ぜいたくなアルバムが作られることになった。

 さて、『CITY HUNTER』の音楽といえば、矢野立美である。東映スーパー戦隊シリーズやウルトラマンシリーズ、SFロボットアニメなどのダイナミックかつシャープな音楽でファンを魅了する作曲家だ。『CITY HUNTER』では、独特のキラキラサウンドをまぶしたスタイリッシュな音楽を提供して本編を鮮やかに盛り上げている。
 が、今回は、矢野立美が参加していない1枚目のアルバム「CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック」を取り上げたい(矢野立美LOVEのみなさん、お許しを)。
 収録曲は以下のとおり。

  1. CITY HUNTER〜愛よ消えないで〜(歌:小比類巻かほる)
  2. COOL CITY(歌:The City Crackers)
  3. MR.PRIVATE EYE(歌:大滝裕子)
  4. MIDNIGHT LIGHTING(Instrumental)
  5. BLUE AIR MESSAGE(歌:大内義昭)
  6. Get Wild(歌:TM NETWORK)
  7. THE BALLAD OF SILVER BULLET(Instrumental)
  8. WHAT’S GOIN’ON(歌:小比類巻かほる)
  9. BLOOD ON THE MOON(Instrumental)
  10. GIVE ME YOUR LOVE TONIGHT(歌:鈴木聖美)

 全10曲のうち、7曲がボーカル曲。インストが3曲。大滝裕子、大内義昭、鈴木聖美、いずれもEPIC・ソニーで活躍していたボーカリストである。
 ボーカル曲が7〜8割を占める構成は、以降の『CITY HUNTER』のサウンドトラック・アルバムでも踏襲されている。ただし、ビクターと東芝EMIから発売された劇場版とTVスペシャルのサントラはインスト曲中心の一般的なサウンドトラック・アルバムのスタイル。それだけに、EPIC・ソニーのアルバム作りのユニークさが際立つ。
 小比類巻かほるが歌うオープニングテーマ「CITY HUNTER〜愛よ消えないで〜」とTM NETWORKが歌うエンディングテーマ「GET WILD」は、いずれも大ヒットを記録した。番組とアーティストの人気の相乗効果でヒットをねらうタイアップ路線を推し進め、決定づけた楽曲として印象深い。
 正直に言うと、筆者は、この2曲がそんなに好きではなかった。タイアップのヒット曲という印象が強く、当時は「安易にアーティストの曲を持ってきて〜」みたいに思っていたのだ。
 ところが最近、小比類巻かほるがTV番組で本作の思い出話をしているのを観て、印象を改めた。小比類巻かほるは、原作者の北条司とも打ち合わせをし、『CITY HUNTER』の世界観の中の女性の気持ちを大事にして歌ったという。また、ヒロイン・香役での出演もオファーされたものの、「声優なんて無理……」と辞退したそうだ。安易に持ってきた曲じゃなかったのだ。ファンのみなさん、ごめんなさい。ちなみに小比類巻かほるがアニメの歌を歌うのは、OVA『GALL FORCE』のエンディングテーマ「両手いっぱいのジョニー」に続いて2曲目だった。
 「Get Wild」も番組を観ていたファンには忘れがたい楽曲だ。本編のラストからイントロが流れ始め、そのままエンディングに突入する使い方が鮮烈である。これも、物語の終わりからフェードインさせたいからと、わざわざイントロを長く手直ししたのだという。物語の余韻にひたる気持ちをさらに高揚させるように疾走感のあるイントロが聴こえてくる演出は、ぞくぞくするほどカッコいい。スタッフはこの演出を「火曜サスペンス劇場」にならって「マドンナたちのララバイ方式」と呼んでいたそうだ。よみうりテレビのプロデューサー・諏訪道彦は、当時のアニメ雑誌のコメントで、この方法は「テレビシリーズとしては初めて」と語っている。TM NETWORKは本作以前にOVA『吸血鬼ハンター“D”』(1985)の主題歌を歌っていて、小比類巻かほる同様、アニメの歌は2曲目だった。

 劇中音楽の話に戻ろう。
 『CITY HUNTER』の音楽は、初期は国吉良一が担当している。矢野立美の名前がクレジットされるのは第7話から。第26話までは国吉良一と矢野立美が連名でクレジットされ、第27話から矢野立美の単独クレジットになる。『CITY HUNTER』の初期エピソードの雰囲気を固めたのが国吉良一のサウンドだったのだ。
 国吉良一は山口県出身。青山学院大学在学中よりプロのキーボーディストとして活動を始めた。数々のバンドやセッション、レコーディングに参加したのち、1975年からソロ活動を開始。作曲家、アレンジャー、キーボーディストとしても活躍の場を広げた。1980年にデイビッド・マシューズの助言を得てフロリダ州マイアミ大学音楽科に入学。帰国後、オリジナルアルバム「Asia Dream」をリリースするとともに、映像音楽の分野にも進出した。映像音楽の代表作に、劇場作品「幕末純情伝」(1991)、「鉄道員(ぽっぽや)」(1999)、「ホタル」(2001)などがある。アニメでは、眉村卓原作、真崎守監督の劇場アニメ『時空(とき)の旅人』(1986)の音楽を担当している。
 「CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック」の収録曲のうち、国吉良一は6曲を作・編曲、1曲を編曲している。残る3曲はオープニング&エンディングテーマと小比類巻かほるの主題歌シングルのB面曲「WHAT’S GOIN’ON」だ。国吉サウンドの色濃いアルバムなのである。
 トラック2「COOL CITY」はコーラスが「COOL CITY」とくり返すソウル風のナンバー。第1話でリョウが歌舞伎町の店で依頼人・菜摘と会う場面で使用されている。ちょっと退廃の香りがただようような新宿のテーマだ。作詞も国吉良一が担当。
 トラック3、大滝裕子が歌う「MR.PRIVATE EYE」は、リンダ・ヘンリックの作詞、国吉良一の作・編曲による軽快なポップス風の挿入歌。リョウが孤独な少女・道子のために依頼を引き受ける第7話などで使われた。
 「PRIVATE EYE」とは私立探偵のこと。助けを求める依頼人が冴羽リョウに呼びかけるイメージの歌詞になっている。この曲は『劇場版 CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYES』にも挿入されていて、『CITY HUNTER』の世界を象徴する曲のひとつと言ってよいだろう。
 同じくリンダ・ヘンリック作詞、国吉良一作・編曲のトラック10「GIVE ME YOUR LOVE TONIGHT」は第1話でリョウが菜摘の部屋に泊まろうとする場面や第2話のワクチン開発シーンに流れていたボーカル曲。ミディアムテンポの、これもソウルっぽい大人びたナンバーだ。
 トラック4「MIDNIGHT LIGHTNING」は淡々としたシンセのリズムの上でシンプルなフレーズがくり返されるインスト曲。夜の新宿の闇を映し出すような、軽いサスペンスタッチの曲だ。
 トラック7「THE BALLAD OF SILVER BULLET」はシンセのリズムとPAD音にサックスのメランコリックな演奏が重なるバラード調のインスト曲。バラードといっても情感を抑えたストイックな曲調になっている。
 トラック9「BLOOD ON THE MOON」はシンセのベース音をバックにトランペットがジャジーな演奏を聴かせるブルース・スタイルのインスト曲。軽快な曲調ながら、明るくはじけるわけではなく、トランペットやピアノのアドリブが渋く展開される。聴きごたえのある1曲である。
 あらためて聴いても、アニメのサントラらしくないアルバムだ。
 国吉良一のインスト曲は、感情移入を拒む抽象画のようなトーンで書かれていて、2枚目のアルバムから登場する矢野立美のメロディアスな楽曲とは対照的である。

 『CITY HUNTER』のサントラ・アルバムで国吉良一の音楽が中心になっているのは1枚目だけだ。2枚目以降は矢野立美の音楽がメインになる。本編でも、第7話以降、矢野立美の楽曲の使用頻度が高くなっていく。
 けれど、国吉良一の音楽が『CITY HUNTER』の世界に合わなかった、と考えるのは違うと思う。その証拠に、『劇場版 CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYES』では、国吉良一の楽曲が3曲も使われているのだ。
 国吉良一の音楽からは、大人のムードがただよう。サスペンスを内包した淡々とした曲や感情を抑えたバラード曲は、危険な街「新宿」の負の面を表現しているように感じられる。ニューヨークの闇を描いたマーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」のバーナード・ハーマンのスコアに通じるような音楽だ(音楽スタイルは違うけれど)。『CITY HUNTER』のスタッフが最初に求めたのは、そのような緊張感に満ちた音楽だったのではないだろうか。
 冴羽リョウが活躍する80年代末の新宿。その大都会のカオス、闇をすくいとっていたのが国吉良一の音楽だと思うのだ。今にもバランスを崩しそうな、不安定な世界を表現した音楽。『CITY HUNTER』の世界が立ち上がるために、国吉良一の音楽は欠かせないものだったのである。
 今回のリマスター再リリース5枚の中では唯一、矢野立美が参加していなくて、サウンドの印象が違う1枚目のアルバム。しかし、『CITY HUNTER』の原点に触れる意味でも、また、80年代後半に現れたサントラ・アルバムの新潮流を知る意味でも、ぜひ聴いてもらいたい1枚なのである。

CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック
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CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.2
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CITY HUNTER 2 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.1
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CITY HUNTER 2 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.2
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CITY HUNTER 3 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック
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アニメ様の『タイトル未定』
192 アニメ様日記 2019年1月27日(日)

2019年1月27日(日)
早朝、新文芸坐に。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 111 押井守映画祭2019 第二夜《天使のたまご&御先祖様》編」の終盤に立ち合う。その後、ひたすら「この人に話を聞きたい」の原稿作業。確認しなくてはいけないことがあって、新宿TSUTAYAに『デジモンセイバーズ THE MOVIE 究極パワー! バーストモード発動!』のDVDを借りに行く。この二日間は、土日の割には作業が進んだ。

2019年1月28日(月)
「この人に話を聞きたい」の原稿を終える前に、『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』の内容を確認。実はこの作品は、自分の中では『戦え!!イクサー1』に近い。キャラクターの作画に気持ちが入っている感じで、それもよい。王子の駅近くに書店があり、たまにのぞいている。その店頭のワゴンセールで『A-Girl』のビデオソフトを購入した。高坂希太郎さんの初監督作品で、未開封の新品が100円だった。『A-Girl』はこの数年ずっと店頭にあって、いつか購入しようと思っていたのだ。

2019年1月29日(火)
「アニメスタイル014」のロングインタビューで、ご本人のチェックが入った原稿を読み直す。チェックが入ったおかげで90点取っていた原稿が110点くらいになっている。これはこれで(記事の作り手としては)理想のかたちだ。

2019年1月30日(水)
早朝から「アニメスタイル014」の原稿作業。たっぷり寝て、頭がすっきりした状態で書いて、1時間40分で原稿終了。ぼんやりした頭で書いたら4時間はかかったであろう。そして、「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」を校了。

2019年1月31日(木)
編集作業がほぼ終わった書籍Aのあれこれ、雑誌Bのデザインの進行とテキスト作業、書籍Cのための資料スキャン、イベントの準備が同時進行。今日の事務所は編集部らしい慌ただしさだった。僕は、朝の暗いうちに事務所に入るので、20時くらいには帰宅するようにしているのだけれど、今日は深夜まで事務所に。

2019年2月1日(金)
気になることがあって、「アニメスタイル004」の『ヤマノススメ』の記事を見たら、いい原画が沢山載っていた。充実した特集だと思った。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 112 SPECIAL PROGRAM 幻魔・妖獣・迷宮・AKIRA!!」のチケットが完売した。よかったよかった。今日も0時過ぎまで事務所に。

2019年2月2日(土)
今日で僕は「生誕20000日」らしい。自分で数えたわけではなく、ネットのサービス(複数)に教えてもらった。今まで生きてきた年月を日数に換算すると、2万日なのか。感覚的にはピンとこないけれど、めでたいのだろうなあ。昼から、トークイベント「第154回アニメスタイルイベント 谷口淳一郎の仕事」を開催。谷口さんに相応しい和やかなイベントになった。谷口淳一郎さんと田中将賀さんによる「画描きの話」も興味深かったし、山﨑みつえさんのテンション高めのトークも楽しかった。イベント全体の情報量は多すぎることもなく、少なすぎることもなく、いい感じだったと思う。

第155回アニメスタイルイベント
平松禎史 デザインの話・彼氏と彼女の話

 『彼氏彼女の事情』『新世紀エヴァンゲリオン』『ユーリ!!! on ICE』など、多くの作品を手がけ、常に一線で活躍しているアニメーター&キャラクターデザイナーの平松禎史。2019年3月17日(日)に、彼のトークイベント「第155回アニメスタイルイベント 平松禎史 デザインの話・彼氏と彼女の話」を開催する。彼に仕事に対するこだわり、作品についての思い出などを語ってもらう。現在のところ、決まっている出演者は平松禎史とアニメスタイル編集長の小黒祐一郎。追加のゲストについては改めてお伝えする。

 今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。前売り券は2月16日(土)から発売開始。詳しくは、以下のリンクのLOFT/PLUS ONEのページを見てもらいたい。また、イベント会場では平松の作品集「平松禎史 アニメーション画集」 「平松禎史 SketchBook」を販売する。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

LOFT/PLUS ONE
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/111799

平松禎史 アニメーション画集[アニメスタイル ONLINE SHOP]
http://animestyle.jp/shop/archives/980

平松禎史の鉛筆イラスト&ラフ画集 いよいよ一般発売開始!!
http://animestyle.jp/news/2017/08/28/11865/

第155回アニメスタイルイベント
平松禎史 デザインの話・彼氏と彼女の話

開催日

2019年3月17日(日)
開場18時00分 開演19時00分 

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

平松禎史、小黒祐一郎(司会)、他

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となるLOFT/PLUS ONEはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

第599回 新宿のイベント!

前回イラストを描き損ねたので、今回は最初にはい! 去る2月5日、新宿ロフトプラスワンでの『ユリシーズ』トークイベントの風景から!

 新宿ロフトは久しぶりで楽しかったです。大野柚布子さんも全快したようで何よりでした! 最後に喋れるだけ喋ったので、あとは

また一緒に仕事しましょう、大野さん!

てことでした。
 さて次回作の発表がいよいよ来月。今はコンテコンテの毎日。その他某コンテ集の表紙を描いて、色紙描いたり。諸々忙しいので今週はここまでですみません。来週もう少し作画について書きたいと思ってます。

アニメ様の『タイトル未定』
191 アニメ様日記 2019年1月20日(日)

2019年1月20日(日)
午後は「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」のテキスト作業。「アニメスタイル014」の作業も続ける。

2019年1月21日(月)
「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」の本文とカバーまわりを印刷会社に入稿する。嵐のような一日。ちなみにこの書籍は色などを確認するため、先に絵コンテ全体から抜粋したものを仮入稿して、すでに色校正をとっている。今回のは本番の入稿だ。

2019年1月22日(火)
Netflixで『revisions』を視聴する。始まってから「あれれ」と思ったのだけど、この作品はNetflixだと最初から全話の視聴ができるのね。続けて観たほうが面白いようだ。編集スタッフに書いてもらった原稿があんまりにも「アニメ力(ぢから)」が弱いので、書き直しを命じる。「この原稿はアニメ力が足りない」と言うわけにもいかないので「このキャラクターの魅力はこうでしょ」とか「ファンはこういうふうにこの作品を認知しているわけでしょ」とか細かく説明する。

2019年1月23日(水)
このところウォーキングを控えていたのだけれど、風邪が治ったので再開。池袋の事務所から、北区の飛鳥山公園まで行って戻る。午後は、上京していたガイナックス京都の佐藤裕紀さんと食事。

2019年1月24日(木)
「アニメスタイル014」の作業を進める。いや、この日だけでなく、毎日進めているんだけど。「この人に話を聞きたい」の長峯達也さんのテープ起こしに目を通して、今回の記事を前後編にしたほうがいいと判断した。1回でまとめられないことはないのだけれど、細部がポイントの取材なので、1回でまとめると面白さが半減してしまう。いや、半減どころか10分の1くらいになってしまう。アニメージュ編集部に前後編になることを伝える。今日も飛鳥山公園まで行って戻る。途中で、王子駅近くの立ち食いおでん屋に寄る。「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」の色校正紙が出る。バイク便が都内を走る。

2019年1月25日(金)
「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」の色校正紙の残りが出る。唐突に話は変わるけれど、最近のお気に入りのマンガが「カラスのいとし京都めし」だ。内容は「京都」「ごはん」で、ちょっと「妖怪」。キャラクターに魅力があって、出てくる料理も美味しそうだ。ものすごく手間をかけてアニメにしたら楽しいだろうなあ。実写ドラマでもイケるかもしれない。

2019年1月26日(土)
「この人に話を聞きたい」の原稿を進める。書きながら『聖闘士星矢 冥王ハーデス十二宮編』のテロップを確認。『ゲゲゲの鬼太郎[第4期]』のテロップを確認。さらに『ドラゴンボールZ 龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』のテロップを確認。ちなみに『冥王 ハーデス十二宮編』はU-NEXTで観た。このシリーズはDVDソフトを買っていたんだけど、DVDで観たのは各話一度だけだなあ。作品が悪いわけではないんだけど、観返す機会がなかった。
夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 111 押井守映画祭2019 第二夜《天使のたまご&御先祖様》編」を開催。オールナイト前に、新文芸坐が入っているビルのエレベーターが故障で止まってしまう。押井さん達がエレベーターに乗っていたら大変だぞと思ったけれど、止まったのは押井さん達が乗り込む前だったようだ。後で故障したときに中に人はいなかったことが判明。よかった。開演前に西尾鉄也さんに、販売用の「西尾鉄也画集」にサインを入れてもらう。トークは今回も内容の濃いものとなった。トークの途中で、予定通りの時間に終わるかと思ったけれど、そんなことはなかった(すいません。汗)。それにしても、『御先祖様万々歳!』で満員になるとは。素晴らしい。

第598回 哲学の友人

作画は理念・思想・哲学などではなく、完全に実務の世界です! とことん!

 以前(何年も前)からちょくちょく学生の頃からの友人の話をしていたと思います。その友人は大学を出た後、専門学校に入ってきたので、自分と会った時はすでに4つ年上で、どちらかというと兄貴分のような友人でした。彼との会話は当時本当にショックで、理屈・議論・哲学、そしてまた理屈の応酬! 子どもの頃から「伸は理屈っぽい!」「口から先に生まれた」だのと親からも言われていた俺の目の前に、本物の理屈・哲学の塊が現れたのです! それはもう毎日彼と話すのが楽しくて、卒業した後も隔週末泊まりに行ってたくらい。で、朝まで飲んで哲学を語って、クラシック音楽を聴かせてくれました。某6大学・哲学科卒の彼との付き合いは、勉強勉強の毎日で、今でも非常に感謝してます。そのくらい、板垣の20代を形成するのに重要な人物でした。
 その友人との交遊は数年前突如絶えた——というか自分の方から「もう話すつもりはない」と言って切ってしまったのです。そのきっかけは、一緒にアニメ業界入りし、自分は作画、彼は制作進行からスタートし、10年後、こちらが先に監督になり、彼の方は制作から演出に転向し、奇しくも俺の監督作品を手伝うかたちになった時です。彼は理屈が先行して仕事が進まない。作監からも苦情が爆発したため、彼の演出指示を見たところ、ボロボロな画に分りづらい理屈が付け加えられ、終いには音楽オタクの面目躍如のつもりか五線に音符を描いて「〜なリズムで」とか書いてある(汗)。さすがに作監が気の毒になり、俺が彼に「この修正指示はなんだ? こんなのアニメーターに伝わるわけないでしょ!」と詰め寄ると「そうかなぁ〜。これ分かんないかぁ?」って悪びれることもなし。机に100カット以上積まれた際「なぜ出せないの?」と尋ねても屁理屈だらけ! その後、監督・演出の関係が数年続くも、同様なことが他にもいろいろあって、ついにこちらから「もういい! こちらから貴方に話すことはもうありません!」と。
 遡ると彼は学生制作で一緒だった時から、高畑勲・宮崎駿両監督の作品とそのお言葉にかぶれており、特に高畑監督の発言に傾倒し、よく引用して理論やらを連ねていたのですが、確かに高畑監督の言葉は面白いし興味深いにしても、だからといってプロの現場に来てまで

ここにあるカットが(チェックして)出せない理由に、高畑監督の高尚な演出論を被せられても何も解決しません!

 プロになっても直らなかった理屈先行型。哲学の濫用(インテリさんは他のインテリさんらが全員自分の味方だとでも思っているのでしょうか?)。自分が学生の頃ならともかく、卒業後、テレコム・アニメーションフィルムにてアニメーター修業——つまりそれこそ高畑・宮崎両監督にアニメーションを教えた巨人・大塚康生様、そしてそのアニメ映画を支えた先輩方と7年間一緒に仕事をした俺が、その後フリーになって、その哲学の友人と一緒に仕事をしてみた時、口ばかりで実務が伴っていなかった人と30代も学生時代と同じ付き合いをしたいと思えなかったのです(ゴメンナサイ……)。
 大塚さんの作画は確かに理屈が前提。でもそれはアニメの動きを作る際に用いる物理法則の方で、むしろ実務を行うための理屈であって、その友人のように自身が「画を描けない」のを「あえて描かないのだ!」と正当化するために引用する哲学的な理屈とかではないのです。もちろん、いくつになっても哲学は必要だと思います。でも、

それぞれの職人が仕事をこなす姿勢にこそ、本当の哲学に繋がる部分があるのではないでしょうか? 哲学の友人様、多感な20代に哲学や音楽を教えてくれたこと、心から重ね重ね感謝してます! だからこそ、自分の不出来を哲学語って正当化するような、哲学の濫用はやめてほしい。そして程よい哲学を持ち、皆の記憶に残る仕事がお互いできるようになった時、再会しまた酒を酌み交わしましょう! 10〜20年くらいなら待てますから!

 ちなみに、自分が先生や先輩方から伝え聞く高畑監督って、ファンなら皆さんご存知のとおり「なんに関しても勉強好き」なんですが、それは単にインテリゲンチャではなく、大塚さんいわく「高畑は演助の時から原画に関する質問をよくしに来た」とか、友永師匠も「高畑さんはアニメーター以上に作画に詳しくて、その原画マンの120点を引き出そうとする」と。それは、ただ何度もリテイクを出すだけではなく、間違いなく大塚さんから学んだアニメ理論の成せる技だと思うんです(あくまで私見ですが)。ただ演出から見て「気に食わないから」で何度もリテイク出してるだけだったら、大塚さんも友永さんも高畑監督に付いていかなかったと思います。あと、自分のもう1人の原画の師匠・田中敦子さんも「高畑さんのラフコンテはマルチョンなんだけど、アイレベルも演出意図も一発で分かる! その辺のアニメーター上がりのコンテより、よっぽど上手い!」らしく、そのことを学生時代の先生・小田部羊一先生に伝えると「パクさんはあまり言わないけど、中学生くらいまでは好きで画を描いてたみたいで、画は分かる人だよ」と。多少記憶違いはあるかもしれませんが、そう聞きました。

第150回 鬼気迫る和の響き 〜どろろ〜

 腹巻猫です。阿佐ヶ谷のミニシアター・ユジク阿佐ヶ谷で上映中の劇場版『おはよう!スパンク』デジタルリマスター版を観ました。スクリーンで観るにふさわしい高画質。青春ドラマ的なストーリーもぐっときます。2月8日までの上映ですが、めったにない機会ですので、ご都合つく方はぜひ。3月は劇場版『エースをねらえ!』を上映するそうです。

https://www.yujikuasagaya.com/ohayo-spank


 TOKYO MXやBS11で放映中(Amazon Primeでも配信中)のリメイク版TVアニメ『どろろ』がなかなかいい。旧作の設定・雰囲気を継承しながら新しい解釈や表現に挑んで、現代的な作品に作り変えている。邦楽器やコーラスを取り入れた池頼広の音楽も、旧作の冨田勲の音楽へのリスペクトが感じられる、力の入ったものだ。
 今回は、旧作『どろろ』の音楽の話。

 旧作のTVアニメ『どろろ』は、手塚治虫の同名マンガを原作に虫プロダクションが制作した作品。1969年4月から9月まで全26話が放送された。のちに「世界名作劇場」を放送する「カルピスまんが劇場」枠の第1作である。
 多くのTV番組がカラー制作に移行した時代に、本作はモノクロで制作・放送されている。パイロット版はカラーで制作されたが、赤い血が飛び散る描写がお茶の間にふさわしくないとスポンサーが難色を示したために、思い切ってモノクロにしたそうだ(杉井ギサブロー監督のインタビューより)。これが逆に功を奏して、妖怪もの・時代ものにふさわしい迫力を生んでいる。冨田勲の音楽が、またモノクロの映像に合っていた。
 『どろろ』の音楽は、冨田勲がそれまでに手がけた虫プロ作品=『ジャングル大帝』『リボンの騎士』のような、各話ごとに音楽を作曲・録音する作り方ではなく、多くの音楽をあらかじめ録音しておく「溜め録り方式」が採用されている。編成は少人数のオーケストラに琵琶、鼓、尺八、男声コーラスなどを加えたスタイル。TVシリーズ用には少なくとも3回の録音が行われたことが判明している。
 『どろろ』の音楽をひとことで言うなら、「鬼気迫る」という表現がぴったりくる。無常感ただよう琵琶の音、夢幻的な男声コーラス。小編成ゆえに各楽器の音が冴え、張り詰めた緊迫感がある。冨田勲によれば、琵琶は「百鬼丸が呪いを打ち破る感じ」、男声コーラスは「魔物が迫ってくる感じ」を表現しようとしたものだそうだ。その音楽イメージは、1968年1月に完成したパイロット版の音楽ですでに固まっている。
 冨田勲は1969年1月から放送されたNHK大河ドラマ「天と地と」の音楽を担当している。この「天と地と」のテーマ音楽も、霧の中から聞こえてくるような琵琶の音と男声コーラスが印象的な曲(冨田勲は舞台となる越後地方を訪れたときに見た、雪に覆われた淡色の情景をイメージしたという)。『どろろ』の音楽は、その「天と地と」に通じるサウンドである。どちらが先に作曲されたかは定かでないが、冨田勲が同時期に大河ドラマとTVアニメで呼応するような音楽を書いていたことは興味深い。
 本作のテーマ曲としては、藤田淑子が歌う「どろろのうた」(「どろろの歌」表記もある)が有名だ。はずむリズムに乗せて言葉遊びのようなコミカルなフレーズから始まる歌は、バイタリティあふれるどろろのイメージ。中間部でシリアスな曲調に転じ、ふたたびコミカルに戻る構成がユニークだ。作詞を手がけた設定・脚本の鈴木良武によれば、原作にある権力への抵抗のメッセージを反映したものだという。シリアスな部分が権力(侍)を表現し、コミカルな部分はそれを笑い飛ばすどろろを表現しているのだろう。不思議な歌だと思っていたが、鈴木良武のコメントを読み、ようやく腑に落ちた。惜しくも昨年末に亡くなった藤田淑子の表情豊かな歌唱がすばらしい。
 現存するフィルムは、この「どろろのうた」がオープニングとエンディングに使われている。が、ファンの間では知られた話だが、もともと『どろろ』のオープニングには別の曲が使われていた。男声コーラスによるシリアスで重厚な(大河ドラマ風の)音楽が流れていたのだ。それが、パイロット版から使われている本作のメインテーマある。しかし、スポンサーからの要望等により、途中から「どろろのうた」に差し替えられたという。男声コーラス版のオープニング映像は見つかっていないが、DVDの特典映像でオリジナルBGMテープを使用して再現されている。
 『ジャングル大帝』『リボンの騎士』と同様に、本作の音楽もなかなか商品化に恵まれなかった。1979年に日本コロムビアから初の単独LPアルバムが発売されたが、これはA面にパイロット版の音声、B面に最終話の音声を収録した、いわゆるドラマ盤だった。
 その後、サウンドトラック盤の発売が企画され、発売間近まで制作が進んだこともあるが諸事情により中断。2016年、冨田勲の死後に日本コロムビアから発売された10枚組CD-BOX「冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集」の1枚として、初めて劇中音楽が商品化された。
 その収録内容は以下のとおり。

1〜4.百鬼丸誕生の章
 1M-21/1M-28/1M-44 T2/1M-55
5.『どろろ』オープニング
 メインテーマ1(百鬼丸のテーマ)〈2M-1 T2〉
6〜10.どろろの章
 1M-11T2/1M-61/1M-15 T2/1M-5′/1M-40
11〜14.百鬼丸の章
 1M-27/2M-62 T2/1M-34/琵琶法師の唄(歌:滝口順平)
15〜18.みおの章
 2M-60′/2M-78/2M-64/1M-5
19〜24.万代の章
 1M-24/2M-15/2M-37/2M-45 Test/1M-35/1M-39
25〜29.無残帖の章
 2M-90/1M-59/1M-51 T3/2M-63/2M-60
30〜42.ばんもんの章
 2M-29/1M-4/2M-23/2M-56/1M-58/2M-79/2M-85 T2/1M-30/2M-82/2M-52/1M-6/2M-48/1M-7
43〜45.「どろろのうた」ヴァリエーション
 2M-16/3M-27/3M-28 T2
46〜48.二人旅の章
 1M-31/3M-5 T5/3M-7 T2
49〜50.『どろろと百鬼丸』オープニング
 3M-24/どろろのうた(歌:藤田淑子)
51〜55.妖怪かじりんこんの章
 3M-9/3M-1/3M-3 T5/2M-88/3M-13
56〜57.妖馬みどろの章
 3M-10/3M-30 T2
58〜66.最後の妖怪の章
 2M-91/2M-70 T2/2M-25/2M-62′/1M-22 T4/3M-8/2M-42/1M-2/2M-17 T2
67.クロージング
 百鬼丸の歌(歌:葵公彦)

〈ボーナス・トラック〉
68.メインテーマ2(百鬼丸のテーマ)〈1M-1 T2〉
69.どろろのうた(2コーラス カラオケ)〈2M-13 2コーラス〉

 BGMは1曲1トラックで収録。構成・音楽解説は貴日ワタリ。エピソードごとに複数の曲をまとめたブロックを中心にして、全26話の物語の流れを追う構成である。
 最初の「百鬼丸誕生の章」は、第1話の百鬼丸誕生までを再現したブロック。闇の奥から響くような男声コーラス、弦楽器や木管、ピアノ、ティンパニなどが不気味なサウンドを構築して盛り上げる。恐怖映画音楽風の緊迫感あふれる曲が続く。
 そして、初期オープニングをイメージした「メインテーマ1(百鬼丸のテーマ)」。幻想的な中に運命の重さと哀しみを感じさせる、これぞ「『どろろ』の音楽」と呼びたくなる曲である。
 続く「どろろの章」は、第1話のどろろと百鬼丸の出会いまでを彩った曲を集めたブロック。低音の弦が奏でる2分を超えるメインテーマのバリエーション「1M-5′」が聴きごたえがある。
 「百鬼丸の章」「みおの章」は、百鬼丸の生い立ちが語られる第2話で使用された音楽を集めたブロック。やさしいメロディの「2M-78」、予告編にも使用されたサスペンスタッチのメインテーマのバリエーション「1M-5」が耳に残る。「琵琶法師の唄」は劇中で流れた琵琶法師が歌う曲だ。
 「万代の章」から、いよいよ、妖怪退治の音楽に突入。冨田勲は50〜60年代にサスペンス、怪談、時代劇、任侠ものなど、さまざまなジャンルの映画音楽を手がけているので、こういった効用音楽的表現もお手のものである。音にこだわる冨田勲らしく、電気的に加工したり、リバーブ(エコー)を加えたりしたサウンドも聴くことができる。
 そんな中、「無残帖の章」に収録された、幼いどろろに母親が粥を運ぶ回想場面の曲「2M-63」、オカリナが涼やかな「2M-60」などが心に残る。
 百鬼丸が自らを捨てた家族と邂逅するエピソードを描いた「ばんもんの章」はひときわドラマティックなブロック。メインテーマの琵琶によるスローアレンジ「1M-4」、同じくバイオリンによる物悲しい変奏「2M-79」、DVD特典の初期オープニング再現映像に使用されたメインテーマの力強いアレンジ「1M-6」などが聴きどころだ。
 明るめの道中物風の曲を集めた「「どろろのうた」ヴァリエーション」と「二人旅の章」のブロックを挟んで、『どろろと百鬼丸』とタイトルが改められてからの展開になる。
 「妖怪かじりんこんの章」の1曲目、軽快なリズムに乗ってストリングスが流れるようなメロディを奏でる「3M-3」が楽しい。第3回録音(Mナンバーの頭の数字が録音回数)の楽曲は初期の鬼気迫る感じが薄れて、ポップス風のモダンな音楽になった印象である。それはそれで魅力的だ。
 最後のブロック「最後の妖怪の章」には、最終話「最後の妖怪」で使用された曲が集められている。路線変更で明るい作風に変わった『どろろと百鬼丸』だが、最終話は百鬼丸の宿命に決着をつけるシリアスなエピソード。音楽も、第1回録音、第2回録音の楽曲がメインになっている。尺八による寂寥感ただようメインテーマの変奏「1M-2」、「どろろのうた」の希望的なアレンジ「2M-17」で物語は幕を閉じる。
 「クロージング」として収録されたのは、番組では使用されなかった挿入歌「百鬼丸の歌」。放送当時発売されたレコード等に収録されていたマカロニウエスタン調の名曲である。
 ボーナス・トラックはメインテーマのステレオ・バージョン、そして「どろろのうた」のカラオケ。どちらも冨田勲のすばらしいオーケストレーションが堪能できるトラックだ。

 冨田勲は60年代に「キャプテンウルトラ」「マイティジャック」「空中都市008」などのSF特撮作品を手がけ、70年代にはシンセサイザーを使った新しいサウンドを追求するなど、未来的、先進的な音楽を作る作曲家という印象が(筆者には)ある。
 しかし、ドキュメンタリー「新日本紀行」や大河ドラマ「新・平家物語」「天と地と」、映画「たそがれ清兵衛」「千年の恋 ひかる源氏物語」などでは、日本的なサウンドや旋律を前面に出した音楽を提供しているし、「大モンゴル」「アジア古都物語」といった大陸を舞台にしたドキュメンタリー作品ではエキゾティックな冨田サウンドを聴かせてくれる。「誰も聴いたことがない音」を追求し続けた冨田勲にとっては、SFも時代劇も現代劇も、西洋も東洋も、区別がなかったのだろう。晩年には宮沢賢治の童話を題材にした「イーハトーヴ交響曲」を発表するなど、むしろ、日本的なものに回帰していた。
 『どろろ』は、初期の和の冨田サウンドが堪能できる貴重なアニメ作品である。そのサウンドは「新日本紀行」などの情緒的な音楽とは異なる、鬼気迫るような緊張感に富んだもので、冨田勲作品の中でも異彩を放っている。シンセサイザーに傾倒する直前の作品としても重要である。
 「冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集」のディスク5には『どろろ』パイロット版の音楽と「百鬼丸の歌」の別バージョンも収録されている。他のディスクに収められた『ジャングル大帝』『リボンの騎士』『千夜一夜物語』などもサントラファン必聴のお宝音源。ぜひ一緒にお聴きいただきたい。

冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
190 アニメ様日記 2019年1月13日(日)

2019年1月13日(日)
三連休の2日目。午前中は「アニメスタイル014」と「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」の高坂希太郎さんのインタビューのテキスト作業。昼からトークイベント「第153回アニメスタイルイベント 『この世界の片隅に』に至る道(2)片渕さんイベント」を開催。今回は『NEMO』についての話題がトークの中心だった。夕方は国際展示場前まで行ってポケモンGOのEXレイド。

2019年1月14日(月)
三連休の3日目。大人しく事務所で仕事。

2019年1月15日(火)
届いていた『妖獣都市』のBlu-ray BOXをあける。封入特典の「妖獣都市 資料集」に、川尻さんのレイアウトが載っていて、それだけで満足。

2019年1月16日(水)
この日だけのことではないけれど、「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」と「アニメスタイル014」の作業が同時進行。WOWOWで放映された『劇場版 響け! ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』の録画を再生し始めたら、あんまりも面白いので途中で止められず、作業しながら最後まで観てしまった。

2019年1月17日(木)
16日(水)の23時半に起きて、23時50分に事務所へ。TOKYO MXの深夜アニメを観ながら「アニメスタイル014」の作業を進める。『バーチャルさんはみている』『シティーハンター スペシャルセレクション』『コミックBAR Renta!』『盾の勇者の成り上がり』『この素晴らしい世界に祝福を!(再)』の流れはバラエティに富んでいてよかった。『CITY HUNTER』は映像が鮮明だった。『このすば』の1話もいい感じに懐かしかった。やっはり、『このすば』の1話はAパートとBパートの間はCMが入ったほうがいいなあ。

2019年1月18日(金)
「劇場版『若おかみは小学生!』絵コンテ 高坂希太郎」入稿直前。折り返しの紙を選んだり、束厚をデザイナーさんに伝えたり、見積もりを見ながら印刷部数を決めたり。

2019年1月19日(土)
風邪気味。あまり仕事は進まず。2月23日開催のオールナイトのタイトルを今日中に決めることになった。「過激かつ濃密!!」とか「伝説の1980年代アニメ」とか色々考えたけれど、なかなか決まらない。悩んだ時は頭を切り替えて、シンプルなものにしたほうがいい。作品タイトルを並べることにして「SPECIAL PROGRAM 幻魔・妖獣・迷宮・AKIRA!!」に決めた。

第154回アニメスタイルイベント
谷口淳一郎の仕事

 キャラクターデザイナー・アニメーターとして活躍する谷口淳一郎のトークイベントを開催する。
 彼の初めての作品集「谷口淳一郎 アニメーション画集」の刊行を記念しての企画だ。今まで手がけた作品、仕事へのこだわりなどを語っていただこう。他の出演者は、彼の専門学校以来の友人であるアニメーターの田中将賀、『月刊少女野崎くん』『多田くんは恋をしない』の監督である山崎みつえを予定。

 チケットはすでに完売。今までのイベントと同様に、トークの一部を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。詳しくは、以下のリンクの阿佐ヶ谷ロフトAのページを見てもらいたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
https://ch.nicovideo.jp/animestyle

阿佐ヶ谷ロフトA
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/108376

【アニメスタイルの新刊】『魔法少女まどか☆マギカ』『刀剣乱舞-花丸-』の谷口淳一郎の初めての画集! 一般販売スタート!!
http://animestyle.jp/news/2019/01/07/14892/

第154回アニメスタイルイベント
谷口淳一郎の仕事

開催日

2019年2月2日(土)
開場12時00分 開演13時00分 

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

谷口淳一郎、田中将賀、山崎みつえ、小黒祐一郎(司会)

チケット

前売1500円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

アニメ様の『タイトル未定』
189 アニメ様日記 2019年1月6日(日)

2019年1月6日(日)
トークイベント「第152回アニメスタイルイベント 井上俊之の作画を語ろう・2019」を開催。当初は昨年12月にやるはずだったのだが、僕の単純ミスで1月にズレこんでしまった。それで1月はトークイベントを2回やることになったのである。イベントの企画はもっと慎重に進めなくては。反省しております。トークの前半は『電脳コイル』の話題がメイン。イベント自体は、今回も楽しいものになったと思う。僕も楽しかった。

2019年1月7日(月)
株式会社スタイルの仕事始め。引き続き取材の予習で『ハピネスチャージプリキュア!』を観る。

2019年1月8日(火)
取材の予習は『ハピネスチャージプリキュア!』を終えて、『ハートキャッチプリキュア!』に突入。同じ監督なのに、コンテの切り方が全然違うのが面白い。それにしても元気のいいアニメだなあ。『ONE PIECE ~ハートオブゴールド~』も観る。昼から「この人に話を聞きたい」取材。今回登場していただいたのは長峯達也さん。たっぶりと話をしてもらい、大変に有り難かったけれど、面白いエピソードが多すぎる。連載一回分で収まるだろうか。

2019年1月9日(水)
正月にある方から届いたお菓子の箱を開けたら、普通の洋菓子と一緒に「アニメ様クッキー」が入っていた。僕がtwitterのアイコンで使っているイラストがプリントされたクッキーだ。すっごくよくできているけど、自分では食べづらいなあ。『若おかみは小学生!』絵コンテ本を刊行することをネットで発表した。

2019年1月10日(木)
「Animage」2019年2月号(vol.488)が発売。「設定資料FILE」は『レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』だ。元々の線が非常に細いのだけれど、印刷でその線が綺麗に出ていた。構成的にも画を詰め込んだので、今までの「設定資料FILE」の中でも密度の高い誌面となった。アナログ編集、アナログデザインの時代だったら、この密度感は出なかっただろうなあ。今号の「Animage」は税込で1200円。雑誌「アニメスタイル」と価格が近づいてきた(ちなみに、創刊40周年の2018年7月号も税込で1200円だった)。そして、ネットで「MdN」が休刊することを知る。お疲れさまでした。
新番組の『どろろ』1話を観る。よくできている。想像していたよりも原作のテイストを活かしている。始まった途端に最終回の話をして申しわけないけど、どんなかたちで物語を終わらせるのかが楽しみだ。
どうやら風邪をひいたようだ。まだ熱もないのだけれど、年末も同じような風邪を放っておいて、結果としてなかなか治らなくて困ったので、今回はひき始めに病院へ。

2019年1月11日(金)
新番組をいくつかチェック。風邪のことがあるので、しばらくウォーキングはお休み。

2019年1月12日(土)
「設定資料FILE」の構成をする。作業をしながら、配信で『CITY HUNTER 2』1話~5話を観た。面白かった。時の流れが作品に味わいを加味している。前にも思ったけれど、いのまたさんは冴羽リョウ(「リョウ」の文字は正しくは「犭」に「尞」)の裸にきっちりと修正をいれているのではないかなあ。

新文芸坐×アニメスタイルVol. 112
SPECIAL PROGRAM 幻魔・妖獣・迷宮・AKIRA!!

 2019年2月23日(土)に開催するオールナイトは「新文芸坐×アニメスタイルVol. 112 SPECIAL PROGRAM 幻魔・妖獣・迷宮・AKIRA!!」。『妖獣都市』のBlu-ray BOX化を記念しての特別企画だ。上映作品は『幻魔大戦』『妖獣都市』『迷宮物語』『AKIRA』の4本。いずれも1980年代に公開された濃厚かつ刺激的な作品であり、作画を始め映像的な見どころも非常に多い。

 『幻魔大戦』はりんたろう監督の超大作であり、大友克洋がキャラクターデザインの役職で初めてアニメーション制作に参加。その大友克洋と、アニメーターとして腕を振るってきた川尻善昭が、りんたろうと共に監督を務めたのがオムニバス作品の『迷宮物語』。『迷宮物語』に続くかたちで川尻善昭は代表作となる『妖獣都市』を手がけ、大友克洋は自身の原作を映像化した『AKIRA』を発表。今回のプログラムは、そういった作品の関係性を踏まえて組んだものだ。

 トークコーナーの出演者は未定。前売り券は1月26日(土)から新文芸坐窓口とチケットぴあで発売となる。 (追記)トークコーナーに、りんたろう監督、丸山正雄プロデューサーの出演が決定した。なお、前売チケットは完売。当日券の販売は予定していない。

新文芸坐×アニメスタイルVol. 112
SPECIAL PROGRAM 幻魔・妖獣・迷宮・AKIRA!!

開催日

2019年2月23日(土)

開場

21時30分/開演:21時45分 終了:翌朝6:05(予定)

会場

新文芸坐

料金

当日一般2800円、前売・友の会2600円

トーク出演

りんたろう、丸山正雄、小黒祐一郎(司会)

上映タイトル

妖獣都市(1987/82分/BD)監督:川尻善昭
幻魔大戦(1983/135分/DCP)監督:りんたろう
迷宮物語(1987/50分/35mm)監督:りんたろう、川尻善昭、大友克洋
AKIRA(1988/124分/35mm)監督:大友克洋

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

第596回 集団のモノ作りって

 前回、アニメの本数を減らせば、アニメ業界あげてのアニメーター不足——主に作画監督(作監)不足問題が解決するような単純な話ではないって話の続き。これに関してはいろんな意見があって当然だし、各々の現場で対策を講じるのが第一。ウチなりに考えたやり方が、前からちょくちょく話題にしている「完全デジタル化」だということ。当たり前ですがそれだけですべて解決するなんて考えてません。そもそもデジタル化程度なこと、規模は違えど他社でも普通に進めてますから。制作費を上げる努力も、新人育成もすべて重要。自分の周りの制作会社の社長やプロデューサーらと情報交換をすると、やっぱり皆さん同じ話しをします。アニメ業界が「ピンチだ」「崩壊だ」とTwitterやらSNSで喚いてる人をちょくちょく目にしますが、その手の内容を信じる信じないは自由です。ただ仮に「アニメもうダメだ!」「そうだ、ダメだ!」「このままではアニメはダメに」とか言ってる人たちだけで「俺たち仲間!」と徒党を組んだって、業界を変えられるなんて絶対思えないのです。逆に「アニメ大好き!」「アニメ作り最高!」なテンションの人だらけで集った場合も同様だと言えるでしょう。俺は何事も同意見の者だけの集団で、何か大きなことができるとは思えないんです。友達みんなで同じ会社に集まった時も、仲良く楽しい飲み会が増えただけでした。だって飲み屋で業界の問題点を語らっているだけで、なぜか「今晩はアニメのためになることを言った!」と思えたんです。でもその実、振り返ってみると、それぞれがフリーでバラバラにやりたい仕事をやる空間がそこにあっただけで、皆でひとつの作品を作ることなぞできてませんでした。たぶん当時自分らが築いたものは「各々がただただ気持ちよい場所」だったのです。でもそれは20代で終わり(にしたつもり。個人的には)。
 ちなみに俺自身は「アニメ作り最高!」タイプだと自覚してます。だけどウチの採用基準として、自分と同じテンションの人でなければならないなんて微塵も思ってません。「仕事と割り切ってアニメやりたい」という人にも「じゃあとりあえずやってみる?」と合格にします。そのへんはかなり大雑把に集めます。月並みな話、

いろんな意見・考え方があるから人間なんだし、それが面白いから集団でアニメを作るんだ!

と思ってます。そこでテンションにバラつきのある俺らスタッフの中心に「作らなければならない作品」を置いて一気に作り上げる。黙々と文句ひとつ言わず描き続ける者から、絶えず思想・観念ばかり語ってるだけの者まで様々。そのバラバラの中でひとつの作品を作り上げ、「またやりたい!」と思うスタッフがまた次を作るし、「こんな作り方ゴメンだ!」と会社を去る。それらの繰り返しの中、それぞれの思い出に残る作品もあれば失敗作もできる。その1作で去ったスタッフも含めて一緒に名前が刻まれる。作品ごとの一期一会もまたこーゆー仕事の醍醐味。

「作らなければならない作品」とは
「やらなければならない仕事」と言い換えられます!

 まあ何が言いたいかというと、スタッフがいて作品があるのも間違いないけど、作品があるからスタッフが集まるというのも確かであるはず。自分の予想——これから作品(アニメ)が減ったらスタッフも減りますよ、たぶん。

スタッフ間で理念も観念も実務能力もテンションもバラバラ。それら諸々の条件の中でもがいて、どんなかたちであれ意地でも作品を作り続けることが、今の自分には向いてると思うし業界のためになると信じています!

第149回 大人にならない子どもたち 〜ピーターパンの冒険〜

 腹巻猫です。1月20日に開催された「プリキュア15周年 Anniversaryライブ」の最終公演に足を運びました。主題歌声優全員と主要キャストが勢ぞろいしたステージは圧巻。どのシリーズにも思い出があり、歌と音楽を覚えています。『プリキュア』シリーズのアルバム制作に初めて関わったのは、2年目の『ふたりはプリキュア Max Heart』からでした。シリーズが15年も続き、こんな日が来るとは、まさに夢のよう。作り続けてくれたスタッフ、キャストのみなさん、応援してくれたファンと子どもたちみんなに感謝です。


 30年続いた平成の時代が今年の4月で幕を下ろす。
 平成最初のアニメ作品はなんだろうか?
 平成の始まりは1989年1月8日。調べてみると、OVA『虚無戦史MIROKU』が1月10日に発売されている。TVアニメでは『おぼっちゃまくん』が1月14日にスタート。翌1月15日から「世界名作劇場」第15作『ピーターパンの冒険』が始まる。
 「世界名作劇場」は年明け早々から始まるのが通例だ。『ペリーヌ物語』など、1月1日からスタートしている。この『ピーターパンの冒険』も、1月8日からスタートしていてもおかしくない。が、初回は1月15日、1時間枠で放送された(元号が変わったためにずれたわけではないそうだ)。
 原作はディズニー劇場アニメにもなったジェームズ・M・バリのファンタジー。「世界名作劇場」の中でも異彩を放つ作品である。
 「世界名作劇場」は、世界各国の児童文学の中から少年少女がさまざまな経験をして成長する作品を取り上げてきた。現実の土地や歴史を背景にした作品ばかりだった。ところが『ピーターパンの冒険』の物語は、大半が架空の世界ネバーランドで展開する。そして、主人公・ピーターパンは、大人にならない少年。『ピーターパンの冒険』は成長を拒んだ子どもの物語なのだ。
 1989年の日本はバブル景気の真っ盛り。いつ終わるともしれない好景気に酔っていた。そんな時代の気分を反映したかのような原作のセレクトである。
 キャラクターデザインは、なかむらたかし。それまでの「世界名作劇場」にはないタイプのキャラクターが新鮮だった。
 ふり返ってみると、本作は「平成最初」というより、「80年代最後」と呼ぶ方がふさわしい気がする。
 というのも、「世界名作劇場」の音楽は本作を区切りに大きな転換を遂げるからである。
 「カルピスまんが劇場」から「世界名作劇場」へと続く日曜夜7時半の枠のTVアニメは、1973年の『山ねずみロッキーチャック』以来、1979年の『赤毛のアン』まで、日本コロムビアが主題歌や音楽アルバムをリリースしてきた。
 ところが、1980年の『トム・ソーヤーの冒険』から音楽商品の発売元がキャニオンレコード(1987年よりポニーキャニオン)に変わる。キャニオンレコード=ポニーキャニオン時代は、『ピーターパンの冒険』まで10年続いた。この間に、「世界名作劇場」の音楽は少しずつ変化している。
 特に主題歌の変化は顕著だ。
 『ふしぎな島のフローネ』(1981)で声優(潘恵子)が歌う主題歌が初めて登場。1984年の『牧場の少女カトリ』の主題歌は歌謡界のヒットメーカー・三木たかしが作曲し、キャニオンレコードでデビューしたアイドル歌手・小林千絵が歌った。『ポリアンナ物語』(1986)は工藤夕貴、『愛の若草物語』(1987)はおニャン子クラブの新田恵利、『小公子セディ』(1988)は西田ひかる、とアイドルが主題歌を歌う時代が続き、『ピーターパンの冒険』もおニャン子クラブの元メンバーゆうゆ(岩井由紀子)が歌っている。曲調もぐっとアイドルポップ風になった。作詞は秋元康、作曲はのちにAKB48の「Everyday、カチューシャ」などを手がける井上ヨシマサだ。
 アニメソングにアイドル歌手を起用するキャニオンレコード=ポニーキャニオンの戦略は、「キャッツ・アイ」のヒットに代表されるアニメソングのポップス化と連動して、アニメ音楽の多様性を大きく広げることになった。
 また、音楽商品の展開もずいぶん変わった。
 キャニオンレコード時代の初期は、コロムビア時代にならって、各作品ごとに「音楽編」と「ドラマ編」の2種類のアルバムが発売され、挿入歌も作られていた。
 しかし、『南の虹のルーシー』(1982)を最後に「ドラマ編」はラインナップからはずれ、以降「音楽編」だけが発売されるようになる。『牧場の少女カトリ』(1984)の年には挿入歌も作られなかった。
 『愛少女ポリアンナ物語』(1986)では、異例の事態が起こる。堀江美都子が主役ということで、日本コロムビアが堀江美都子が歌う挿入歌を「コロちゃんパック」というカセットテープのみの商品で発売したのだ。実は日本コロムビアは、レコードの発売元がキャニオンレコードになってからも、「コロちゃんパック」のシリーズで自社カバー主題歌を収録した「世界名作劇場」の音楽商品を発売し続けていたのである。
 コロムビア独自の挿入歌路線は『愛の若草物語』(1987)でも継続。橋本潮が歌う挿入歌6曲が作られた。『小公子セディ』(1988)と『ピーターパンの冒険』(1989)ではコロムビア版挿入歌は作られていないが、1990年の『私のあしながおじさん』で、主題歌と音楽集の発売元が再び日本コロムビアに戻ってくる。この作品でコロムビアは、ソング集、音楽集、ミュージカル版と3タイトルのアルバムを発売している。80年代の「失われた10年」を取り戻そうとするかのように。メディアはレコードからCDに変わっていた。
 メディアの話で言えば、キャニオンレコードの「世界名作劇場」の音楽アルバムは『愛の若草物語』までレコードとカセットテープで発売。『小公子セディ』のときにCDが加わり、『ピーターパンの冒険』ではレコードがなくなって、CDとカセットのみの発売になった(ただし、主題歌シングルは『ピーターパンの冒険』までレコードでも発売されている)。
 つまり、『ピーターパンの冒険』は、「世界名作劇場」のキャニオン時代最後の作品であると同時に、音楽アルバムがCD(とカセットテープ)のみで発売されるようになった最初の作品でもあるのだ。

 肝心のサウンドトラックの話をしよう。
 『ピーターパンの冒険』の劇中音楽の担当は渡辺俊幸。TVアニメ『銀河漂流バイファム』(1983)を皮切りに、TVアニメ『昭和アホ草紙 あかぬけ一番!』(1985)、『ボスコアドベンチャー』(1986)、『機甲戦記ドラグナー』(1987)、TVドラマ「オレゴンから愛」(1984)、朝の連続テレビ小説「ノンちゃんの夢」(1988)などを手がけ、映像音楽作曲家として着実にキャリアを重ねていた時期の仕事である。
 『ピーターパンの冒険』の音楽は、渡辺俊幸が得意とする、生楽器をふんだんに使ったオーケストラサウンドで作られている。
 それまでの「世界名作劇場」の音楽と異なるのは、陽性で明るい雰囲気である。「世界名作劇場」では主人公が辛い境遇に置かれることが多い。キャラクターの悲しみや悩みを表現するために、シリアスな音楽が要求されがちだ。しかし、本作の音楽は、どこまでも明るい。サスペンスやアクションの音楽はあっても、重くなり過ぎないように書かれている。それが大きな特徴であり魅力だ。
 想像であるが、渡辺俊幸はディズニーの劇場アニメ『ピーター・パン』(1953)を当然、意識していたと思う。『ピーター・パン』というより、ディズニー作品の音楽全体を意識したのではないか。「ディズニー作品の音楽に負けないような音楽を」。そんな気概が伝わってくる力の入ったスコアである。
 サウンドトラック盤は「ピーターパンの冒険 音楽編」のタイトルでポニーキャニオンから1989年5月に発売された。収録トラックは以下のとおり。

  1. もう一度ピーターパン(歌:ゆうゆ)
  2. 希望
  3. 海賊たちのテーマ
  4. 喜びにあふれて
  5. 戦闘開始!
  6. 危機迫る!!
  7. タイガー・リリー
  8. 夕ぐれ
  9. 美しいネバーランド
  10. ロンドンの空
  11. ピーターパンのテーマ1
  12. 思いやり
  13. 愛情
  14. ピーターパンのテーマ2
  15. 楽しく遊ぼう!
  16. ウェンディのテーマ
  17. フック船長
  18. とけいワニのテーマ
  19. 夢みるウェンディ
  20. 心のふれあい
  21. ゆかいな仲間たち
  22. いじわる
  23. ティンカー・ベル
  24. いたずら
  25. 無邪気
  26. 悲しくて…
  27. 静けさ
  28. ドキドキ、ワクワク
  29. 友情
  30. 夢よ開けゴマ!(歌:ゆうゆ)

 オープニング&エンディングテーマとBGM28曲を収録。
 過去の「世界名作劇場」のサントラと比べると、キャラクターテーマが多く作られている。ピーターパン、ウェンディ、ティンカー・ベル、タイガー・リリー、フック船長、とけいワニ。多彩なキャラクターが画面狭しと動き回る『ピーターパンの冒険』にふさわしい音楽設計だ。
 番組を観ていたファンなら印象に残っているのが「ピーターパンのテーマ」だろう。トランペットによるはつらつとしたメロディが、永遠の少年ピーターパンを描写する。本作のメインテーマとも呼べる曲である。
 お腹の中に時計を呑みこんでいるユーモラスな「とけいワニのテーマ」も耳に残る。とけいワニを恐れるフック船長のテーマは、クラリネットが奏でるガーシュウィン風のジャジーな曲。おしゃまでちょっとわがままな妖精ティンカー・ベルのテーマは、軽妙なリズムですばやく飛び回る姿を、チェレスタの音色で可愛さを表現している。
 本作のもう1人の主人公であるウェンディの曲「ウェンディのテーマ」は、フルートをメインにした涼やかな曲。夢見る少女だけれど、しっかりした現代っ子の一面もあるウェンディらしい、明るい日差しのような曲だ。「夢みるウェンディ」と名づけられた曲では、バイオリン・ソロがしっとりとメロディを歌い上げて、夢心地のウェンディの気持ちを表現している。このメロディの美しさは渡辺俊幸ならではだ。
 美しいメロディという点では、情景描写音楽や心情描写音楽のよさも特筆しておきたい。
 しみじみとした「夕ぐれ」、雄大でファンタジックな光景が広がる「美しいネバーランド」、第2話でウェンディたちがネバーランドに出発する場面にかかった「ロンドンの空」、優しく慈しみに満ちた「愛情」、繊細で切ない「悲しくて…」などなど。派手なサウンドではないけれども、大人にならない子どもたちの物語だからこその、ピュアな心情が胸にしみわたってくる。
 そして、なんといっても『ピーターパンの冒険』らしいのは、ネバーランドの冒険を彩る、楽しく高揚感あふれる曲だ。
 2曲目の「希望」から、明るいマーチ風の曲調に胸が踊る。細かく動く弦楽器のメロディが楽しい「喜びにあふれて」、威勢よくユーモラスな「戦闘開始!」、大ピンチでもどこか余裕の「危機迫る!」、子どもたちのウキウキ気分が伝わってくる「楽しく遊ぼう!」、ユーモラスなサスペンス「ドキドキ、ワクワク」。29曲目に置かれた「友情」も笛の音が軽やかに奏でる明るい曲で、ネバーランドでは明日もまた楽しい冒険が続くことを予感させる。聴き終って楽しい気分になるサントラ・アルバムである。
 平成最初であると同時に、80年代最後の「世界名作劇場」となった『ピーターパンの冒険』。「世界名作劇場」の中では異色作だが、永遠の子どもたちの物語は、キャニオンレコード=ポニーキャニオン時代を締めくくるにふさわしい題材だったと思う。
 音楽は奇をてらわず、「世界名作劇場」の伝統を継ぐ管弦楽を中心としたサウンドで作られているのがうれしい。ディズニー作品の音楽やハリウッド映画音楽へのあこがれとリスペクトが感じられる、センスのいい音楽である。

 『ピーターパンの冒険』の物語は、後半からオリジナルの「ダークネス編」になり、音楽も新曲が追加されている。追加音楽は前半と比べてアクション系の楽曲が多い。残念ながら、この後半の追加曲は一度も商品化されていない。CD「ピーターパンの冒険 音楽編」も放映当時発売されて以来、復刻されていないので、未収録曲を含めた完全版が熱望されるところだ。
 今年は放送30周年。ウェンディも、われわれも年を取ったけれど、ネバーランドのピーターパンは今も変わらない姿で冒険を続けているだろう。

ピーターパンの冒険 音楽編
Amazon

アニメ様の『タイトル未定』
188 アニメ様日記 2018年12月30日(日)

2018年12月30日(日)
コミックマーケット95の2日目。ただし、僕は片づけないといけないことが山積みなので、午前中は事務所で作業。午後からコミケ会場に。この数日、作業をしながら『ちはやふる』を観返している。第1シリーズの16話が新作を入れた総集編で、猛烈に切れ味がよくて面白い。いしづかあつこさんのコンテ回だった。さらに20話は山内重保さんが絵コンテで、いしづかあつこさんが演出という異色タッグ。こちらは山内さんの色が濃いようだ。山内さんの世界をきっちり映像として仕上げたいしづかさんが、さすがともいえる。

2018年12月31日(月)
コミックマーケット95の3日目。この日も午前中は事務所で、午後からコミケ会場に。2日目も3日目も谷口さんが来場し、ブースに立ってくださった。

今年作った本は、小冊子を含めると
「アニメスタイル013」
「黄瀬和哉 アニメーション画集」
「黄瀬和哉のうすい本」
「馬越嘉彦 アニメーション原画集 第一巻」
「馬越嘉彦 描き下ろし原画集」
「電脳コイル アーカイブス」
「谷口淳一郎 アニメーション画集」
「谷口淳一郎のうすい本」
 で全8冊。これと別に複製ミニ色紙を6枚を作った。秋から年末にかけて予定していた書籍6点の刊行が諸般の事情で来年にズレこんだこともあって、出版点数が少なかった。ズレこんだ6点があるので、アニメスタイル20年目となる2019年は、かつてない新刊ラッシュになるはずだ。

2019年1月1日(火)
元旦。午前中は、ワイフと上野で立ち飲みをした後(立ち飲み屋にお雑煮があったのでいただいた)、アメ横を歩いて、池袋の地下ショッピングセンターで買い物。午後は事務所で作業。TOKYO MXで途中から観た映画「セトウツミ」が気になって、その後、Amazon Prime Videoで同タイトルのドラマを観る。前にテレビで、ドラマ版をチラリと観ていたのを思い出した。夕方、自宅で『かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』を途中から観る。物語がよくできているのと、ヒロインであるゾロリーヌが魅力的であることに関しては、劇場での初見と感想は変わらず。どこからどこまでが脚本なのかが気になる。

2019年1月2日(水)
昼はワイフと、ホテルのビュッフェに。午後は事務所でテキスト作業を進める。

2019年1月3日(木)
取材の予習で『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』『映画 Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』を観る。『おジャ魔女どれみ』シリーズも目を通す。テキスト作業も進める。

2019年1月4日(金)
この日は事務所の半仕事始めで、15時から打ち合わせ。テキスト作業も進める。取材の予習も進める。

2019年1月5日(土)
MX4Dで『ドラゴンボール超 ブロリー』を観る。猛烈に椅子が揺れて(ずっと揺れていて)バトルを体感できた。入場料の金額分以上に楽しめた。ただし、僕の場合は、没入感はIMAXのほうが上だった。午後、ボケモンGOのフレンドとEXレイドに参加。取材の予習で『ハピネスチャージプリキュア!』を観始める。本放送時の3倍くらい面白い。

第595回 風邪全快と作監の話をまた

1人の作監が2人に。
3人、4人、5人、10人!

 こんな感じで昨今、アニメは作画監督(作監)の人数が増える一方。TVシリーズは言うに及ばず、劇場作品ですら作監補佐まで入れて10数人とか当たり前になって久しく、アニメ業界をあげて「作画監督不足!」が問題になっています。原画マンより作監です、どこのスタジオも欲しているのは。現状、自分の実感としては、海外撒きを視野に入れていれば「原画マンが埋まらない」という相談件数は以前より減っています。昨日も2件「作監で手を貸してほしい」との電話があったくらいです。1件は劇場のパート作監、もちろん次作品(春先にはPVの発売予定)のコンテ真っ最中の自分には無理なので、丁重にお断りしました。そしてもう1件は、ウチ(ミルパンセ)に「某TVシリーズのグロスを」とそれもウチの次作品とスケジュールまる被りで「難しい」と電話を切ろうとした寸前、やはりここでも先方の本音が伺えました。「じゃあせめて1〜2週間作監貸してもらえません?」と。やはりどこも作監が欲しいようです。
 自分は作監もやります。実は『ユリシーズ』でも作監が足りない時、ちょくちょく手伝い程度にはやってました。他所様のスタジオのスタッフを立てるため、自分はノンクレジットにしてたんです。ただ最近は上がってきた原画の8〜9割をほぼ演出と作監が血眼で描き直しするのが通例。

早い話、作監が描くものが原画で、制作さんがかき集めてる原画はその下描き! アニメの制作本数が増え過ぎた昨今、まともに原画教育がなされていない人を原画マンにするため、それを直す側が必死なのです!

 いわゆる最近の「作画崩壊」とは、制作さんがサボってるのではなく、コンテを引っ張ったからとかでもなく、大概は大手の制作会社との「作監争奪戦」に負けた中小制作会社によって起こるのです。つまり作監を入れてない酷い原画(下描き)のままで良ければ、番組を落とすことは減ると思います。でも現状ノー作監でフィルムを作っても、委員会から納品拒否を食らうことになるだけでしょう。
 だからといって「アニメの本数を減らせ」とか、単純なことではない——って話は次回(汗)!

アニメ様の『タイトル未定』
187 アニメ様日記 2018年12月23日(日)

2018年12月23日(日)
早朝、新文芸坐に。オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 110 〈聖夜の奇跡〉今 敏のアニメーション」の終盤に立ち合う。その後、作業をしながら『転生したらスライムだった件』を最新話まで観る。昼に散歩とポケモンGO。夏目漱石さんのお墓がジムになっていた。ここでバトルをする勇気はないなあ。

2018年平12月24日(月)
作業をしながら、ネット配信で『君の膵臓をたべたい』を観る。予想以上に作画がいい。これはBlu-rayが出たら購入しよう。他にも劇場で観ることができなかった作品を配信で観る。

2018年12月25日(火)
作業をしながら、Amazon Prime Videoで『空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』を観た。劇場では観ていないので、これが初見だ。アニメの世界と実写の世界を行き来する話なんだけど、劇中で「アニメの世界」「実写(現実)の世界」という言い方はしない。実写の世界だと人間に毛穴があるので、ケータは「毛穴世界」と呼んでいた。つまり、この映画だとアニメキャラは毛穴が省略されているわけではなくて、元々ないのだ。実写パートとアニメパートの混在については非常によくできていた。話は変わるが、学生アルバイトさんのおかげで、事務所の倉庫に通り道ができた。

2018年12月26日(水)
Amazon Prime Videoで配信が始まった『サザエさん』初期話数を4話まで観る。こういったレアなタイトルは、今後、DVD BOXやBlu-ray BOXではなく、配信になっていくのかもしれないなあ。それはそれでありがたい。ポケモンGOでレベル40に到達した。現在のシステムでは40以上はない。この後、僕のモチベーションは続くのだろうか。

2018年12月27日(木)
事務所に「谷口淳一郎 アニメーション画集」の見本が届く。今回も充実した仕上がりとなったと思う。個人的に達成感を感じた部分についてはまた別の機会に。「WEBアニメスタイル」で「サムシネ!」が突然の最終回。

2018年12月28日(金)
コミックマーケット95搬入日。編集部スタッフの大半が搬入のために東京ビッグサイトに。僕は事務所で編集作業や事務作業を進める。昼飯は「エヴァンゲリオン酒場」でランチ。摩砂雪さんが編集した『エヴァ』のPVが流れていて、同行したワイフにLD、VT、初期DVDにはあるけれど、その後の『エヴァ』で無くなってしまったカットについて説明する。我ながら面倒くさいファンだ。

2018年12月29日(土)
声優の藤田淑子さんが亡くなられたことを知る(ネットで報じられたのは12月28日のようだ)。様々な役をやられた方だが、僕にとっては『一休さん』の一休役が印象的だった。それから『新ビックリマン』の飲み会でお話させていただいたことも思い出深い。心よりご冥福をお祈り致します。

コミックマーケット95の1日目。今回、アニメスタイルが販売するのは「谷口淳一郎 アニメーション画集」。ご本人の提案で谷口さん自身が会場にいらっしゃり、ブースに立っていただくことになった。イベントらしい賑やかな感じになった。

第148回 昭和・平成を越えて 〜サザエさん〜

 腹巻猫です。あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。1月14日(月・祝)14時から、神保町・楽器カフェで開催されるイベント「サントラさんの逆襲〜ラジオみゅーらぼ出張篇〜」に出演します。昨年も開催したサントラ・トークイベントの続編です。出演者はほかに、貴日ワタリ、早川優、那瀬ひとみ他。ゲスト・麻宮騎亜。入場料は1000円+ドリンク代500円。お時間ありましたら、ぜひご来場ください!

 詳細・予約は下記から。

https://airrsv.net/gakki-cafe/calendar/menuDetail/?schdlId=T000AECE54


 2018年12月末、ネットをざわつかせる出来事があった。TVアニメ『サザエさん』の初期エピソードがデジタル化されて、Amazonプライム・ビデオなどで一挙に配信されたのだ。
 『サザエさん』は、長谷川町子のマンガを原作にエイケンが制作したTVアニメ。1969年10月から現在まで、途切れることなく放映されている長寿作品である。放映枠も日曜午後6時半という夕食時間帯に固定され、日本人なら観たことのない人はいないとも言われる国民的アニメだ。
 本作はこれまで映像パッケージとして発売されたことがなく、再放映以外で過去のエピソードを手軽に観る機会はなかった。それだけに、今回の初期エピソードの配信はちょっとした事件だったのだ。

 と書いておいてなんだが、実は筆者は子どもの頃に『サザエさん』を観た記憶がない。放映開始当時は生まれていたのに。
 調べてみると、筆者の生まれ育った地元では1990年代まで『サザエさん』を放映していなかったのである。筆者が『サザエさん』を観たのは、大学入学と同時に上京してからだった。だから、今回配信された初期エピソードは、どれも新鮮な気持ちで観た。
 初期の『サザエさん』は、今の『サザエさん』とずいぶん違った雰囲気である。キャラクターはひょろっとしていて、表情がめまぐるしく変わる。ドタバタあり、きわどいセリフありで、「テレビまんが」の香りが濃厚に漂う。現在のホームドラマっぽいおだやかな作風と比べると、『天才バカボン』か60年代のカートゥーン(海外アニメ)のような印象だ。今回の配信はTVアニメ史研究の上でも意義深い。

 長らく映像商品に恵まれなかった『サザエさん』だが、主題歌・挿入歌についてはレコード、CDが流通していた。
 オープニング、エンディングは放映開始当初から変わっていない。林春生作詞、筒美京平作・編曲による「サザエさん」と「サザエさん一家」である。1969年に東芝レコードから発売されたシングル盤の音源は、1989〜90年にかけて、コンピレーションアルバム「ぼくらのテレビ探偵団」のシリーズでCD化されている。同じく作・編曲を筒美京平が手がけた挿入歌「カツオくん(空を見上げて)」と「レッツ・ゴー・サザエさん」も同様だ。
 1975年から1997年まで続いた再放映『まんが名作劇場 サザエさん』(通称「火曜日サザエさん」)の主題歌はオープニング、エンディング各4種類、計8曲。作曲は渡辺宙明、宇野誠一郎、小林亜星、松山祐士というアニメソングのヒットメーカーが手がけている。こちらは日本コロムビアと東芝EMIからレコードがリリースされ、90年代からCD化が進んだ。ただし、水森亜土が歌った「愛しすぎてるサザエさん」「サザエさんの出発進行」の2曲はいまだCD化されていない(一説には原作者から「イメージに合わない」と苦情が出たためとか)。
 いっぽう、『サザエさん』の劇中音楽(BGM)については、商品化を待望する声はあったものの、なかなか実現しなかった。筆者の周囲からも、企画を出しても通らない、頓挫した、という声を何度か聞いた。
 その難関を突破してリリースされたのが、CD「サザエさん 音楽大全」だ。東芝EMIの音源を受け継ぐユニバーサルミュージックから2013年に発売されたアルバムである。放映開始から実に40年以上経ってからの発売だった。
 『サザエさん』の音楽を担当したのは、当コラムの『ジェッターマルス』の回でも取り上げた越部信義。1998年には河野土洋作曲によるBGMの追加録音が行われたが、越部の作った音楽は今でも使用されている。
 「サザエさん 音楽大全」の解説書によれば、『サザエさん』の選曲は、放映初期を除いて、録音演出の岡本知(グロービジョン)が担当していたという。2003年に岡本知が亡くなった後は、放映開始から効果を担当している柏原満が選曲も務めている。柏原満は『宇宙戦艦ヤマト』の効果音を作った人物。タラちゃんの走る音など、『サザエさん』の印象的な効果音は『ヤマト』と同じスタッフが作っているのだ。柏原満は解説書のインタビューで「特徴的な音はあえて作っていない」と語っているが、十分特徴的だと思う。
 話がそれたが、「サザエさん 音楽大全」には柏原満監修のもと、30曲以上のBGMが初めて収録された。さらに、「タマの鳴き声」や「タラちゃんの足音」といった効果音も収録。「大全」の名にふさわしいバラエティに富んだ内容である。
 収録トラックは以下のとおり。

  1. サザエさん(歌:宇野ゆう子)
  2. 楽しい磯野家
  3. 明るい磯野家
  4. 磯野家の団欒1
  5. 磯野家の団欒2
  6. 磯野家の団欒3
  7. 磯野家のおでかけ
  8. タマの鳴き声1(ノーマル)
  9. レッツ・ゴー・サザエさん(歌:加藤みどり)
  10. サブタイトル1
  11. サブタイトル2
  12. サブタイトル3
  13. サブタイトル4
  14. サブタイトル5
  15. カツオくん(星を見上げて)/(歌:高橋和枝)
  16. スケッチ1
  17. スケッチ2
  18. スケッチ3
  19. スケッチ4
  20. タマの鳴き声2(どうして?)
  21. サザエさんのうた(歌:堀江美都子、サニー・シンガーズ、コロムビアゆりかご会)
  22. エンディング1
  23. エンディング2
  24. エンディング3
  25. エンディング4
  26. あかるいサザエさん(歌:堀江美都子)
  27. サザエのテーマ1
  28. サザエのテーマ2
  29. サザエのテーマ3
  30. サザエのテーマ4
  31. タマの鳴き声3(甘え声)
  32. ウンミィの歌(歌:古賀ひとみ、ヤング・フレッシュ)
  33. カツオのテーマ1
  34. カツオのテーマ2
  35. カツオのテーマ3
  36. カツオのテーマ4
  37. カツオのテーマ5
  38. タマの鳴き声4(戸外から「開けてよー」)
  39. 天気予報(歌:猪股裕子、ヤング・フレッシュ)
  40. 波平のテーマ1
  41. 波平のテーマ2
  42. タラちゃんの足音A
  43. タラのテーマ1
  44. タラのテーマ2
  45. タラのテーマ3
  46. タラちゃんの足音B
  47. ハッピーデイ・サザエさん(歌:松尾香)
  48. テーマアレンジA
  49. テーマアレンジB
  50. テーマアレンジC
  51. テーマアレンジD
  52. ひまわりみたいなサザエさん(歌:松尾香)
  53. サザエさん<カラオケ>
  54. 星を見上げて<カラオケ>
  55. レッツ・ゴー・サザエさん<カラオケ>
  56. サザエさん一家(歌:宇野ゆう子)
  57. 予告用BGM

 CDに収録されたBGMは番組でよく流れるおなじみのものがほとんどだ。
 昨年末に配信された初期の『サザエさん』を観ると、このCDに収録されていない曲がたくさん流れていることに気がつく。作風の変遷とともに、使われるBGMも変わっているのである。今ではなかなか聴けない『トムとジェリー』風のスラップスティック曲や、サスペンスタッチの曲、主題歌のディキシーランドジャズ風アレンジやチンドン屋風アレンジなどが流れているのが興味深い。
 そんなふうに音楽演出の変遷をたどりながら、初期の『サザエさん』を観るのも楽しいものである。筆者は冨田勲っぽい音楽が流れる「サザエ万博へ行く」のエピソードが印象に残った。
 「サザエさん 音楽大全」はホームドラマ的になった現在の『サザエさん』のイメージで編まれてるために、あまりとんがった音楽は選曲されていない。
 しかし聴けば、「あ、聴いたことある」と思う曲が現れるのが楽しい。それほど熱心に『サザエさん』を観ていない筆者でもそう思うのだから、毎週観ているファンならなおさらだろう。
 トラック2の「楽しい磯野家」から「聴いたことある」感いっぱいである。軽快なテンポでメロディを奏でる楽器はクラビネットとチェンバロのようだ。
 次のトラック3「明るい磯野家」は「楽しい磯野家」と同じコード進行による変奏。トラック4「磯野家の団欒1」にも同じメロディが使われている。まさに「磯野家のテーマ」という曲。
 トラック6「磯野家の団欒3」はビブラフォン(風のエレピかも?)とピアノとギターのアンサンブルによるしゃれた雰囲気の曲。フランス映画で流れていても違和感のない曲調である。
 昭和の懐かし音楽の代表のように聴かれる『サザエさん』の音楽だが、放映が始まった当時は、むしろ、モダンでおしゃれな音楽だったのだ。
 音楽制作は「音楽企画センター」。三木鶏郎が主宰する「冗談工房」が分裂して生まれた事務所のひとつで、越部を中心に複数の作曲家が所属していたという(CD「マッハGoGoGo ミュージックファイル Round-1」の越部信義インタビューより)。
 今回の配信で、初期は「演奏 スクリーンミュージック」のクレジット表記があることが確認できた。スクリーンミュージックは、特撮TVドラマ「人造人間キカイダー」(1972)にもクレジットされている演奏家コーディネート(いわゆるインペク)会社である。
 アルバムの内容に戻ろう。「サブタイトル」「スケッチ」「エンディング」と汎用の日常曲が続く。「サブタイトル」と曲名がついているが、どれも1分近い長さがあり、一般的に「サブタイトル」として作られる5秒〜10秒ほどの短い曲とは大きく印象が違う。『サザエさん』の場合、サブタイトル前の短いコント風シーンから、サブタイトルを挟んで本編に入るまで、途切れずに音楽が流れていることが多い。だから、こういう曲になっているのだろう。
 そのあとは、「サザエのテーマ」「カツオのテーマ」「波平のテーマ」「タラのテーマ」とキャラクターテーマが並ぶ。フルートやシロフォン、バイオリン、クラリネット、エレピなど、楽器の音色を生かした小粋なアレンジが楽しい。それぞれが同じモチーフの変奏ではなく、違ったメロディを持っているのが特徴的だ。

 アルバムの構成は、カテゴリごとに数曲のBGMをまとめ、その合間に挿入歌とSEを収録するスタイル。
 サウンドトラック・アルバムは、本編の基本フォーマットやストーリー展開に合わせて構成されることが多い。同じく日常系のTVアニメ『ちびまる子ちゃん』や『ドラえもん』のサントラも、大まかな物語の流れや印象的なエピソードを意識した曲順で構成されていた。
 「サザエさん 音楽大全」はまったく違うコンセプトである。時系列よりも全体を俯瞰する図鑑的な構成になっている。2次元のパノラマを見るような印象だ。
 『サザエさん』の本編は30分・3エピソードの構成。劇中に四季は訪れ、磯野家の周囲に多少の変化はあるものの、大きな意味では時間は止まっている。どこから観てもよいし、順番を入れ替えてもかまわない。そんな『サザエさん』の世界には、こうした図鑑的な構成がフィットする。「音楽大全」というタイトルも象徴的である。
 筆者がとりわけ印象に残ったのは、最後の方に収録された4曲の「テーマアレンジ」。
 どれも女声スキャットをフィーチャーした軽快な曲で、華やかさの中にちょっぴり哀愁がただよう大人びた曲に仕上がっている。リズムとペーソスの作家・越部信義らしい、胸の奥をツンと刺激するようなアレンジである。
 昭和から平成を経て、おそらく次の元号の時代も放映が続いていくに違いない『サザエさん』。その歴史が「サザエさん 音楽大全」には凝縮されている。
 本アルバムを水先案内に、配信された初期エピソードと現行放映を、音楽に注目しながら見比べてみてはいかがだろう。

サザエさん 音楽大全
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アニメ様の『タイトル未定』
186 アニメ様日記 2018年12月16日(日)

2018年12月16日(日)
Amazon Prime Videoで「レディプレイヤー1」再見の続き。やっぱり、ジェームズ・ハリデーに感情移入してしまう。僕はあそこまで自己愛が強くはないけど、彼の想いは理解できる。いや、理解できているつもりだ。『ヤマノススメ』第一シリーズをまとめて観る。あまりにも本編が短くて、こちらの気持ちが入ったところでエンディングが始まってしまう。それは当時の印象と同じ。

2018年12月17日(月)
「アニメスタイル014」のテキスト作業。『ヤマノススメ』再視聴は『サードシーズン』から『セカンドシーズン』に。夕方から新文芸坐打ち合わせ。『バキ』最新話まで3話分を観た。これは全4クールのシリーズなのかな。録画を2018年分のハードディスクに保存するか、2019年分のハードディスクに保存するかで悩む(後日追記。12月末放映分で最終回を迎えた。この後も作られるのかもしれないけれど、今回のシリーズは2クールだった。2018年のハードディスクに保存した)。

2018年12月18日(火)
「アニメスタイル014」のテキスト作業。Twitterでアニメスタイルの新刊「谷口淳一郎 アニメーション画集」について告知する。

2018年12月19日(水)
池袋マルイで開催中の「機動警察パトレイバー30周年記念展」を見に行く。初期デザインが興味深かった。それから高田明美さんのイラストの迫力が凄い。

WEBで音楽プロデューサーの須賀正人さんが亡くなられたことが公になった。須賀さんとは『ああっ女神さまっ』の前後に少しだけ接点があった。その仕事について詳しく知っているわけではないが、大変に濃厚な仕事をされた方であるのは間違いない。『らんま1/2』や『ああっ女神さまっ』に関しては音楽だけにとどまらず、作品自体の印象に、須賀さんの仕事が影響を与えているはずだ。心よりご冥福をお祈り致します。

2018年12月20日(木)
『ドラゴンボール超 ブロリー』をIMAXで観る。『ドラゴンボール』ファンのための娯楽作。超ハイカロリーなアクション作画が延々と、本当に延々と続く。思い切りのよい展開で、娯楽に徹している点に価値がある。その娯楽性の高さゆえに「一線を越えた作品」だと思った。僕個人としては、千葉繁さんのちびラディッツと、久川綾さんのブルマもポイントが高かった。

2018年12月21日(金)
取材の予習で『宇宙よりも遠い場所』を数話分観る。もう何度も観ているから、と思って観始めたのだが、改めて観ても新鮮で、楽しむことができた。夕方から取材。

2018年12月22日(土)
オールナイトの予習で『東京ゴッドファーザーズ』を観る。やっぱりよくできているし、面白い。病院の長回しの部分で、登場人物が作画の凄さに驚いているように見えた。いや、そんなわけはないんだけど。夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 110 〈聖夜の奇跡〉今 敏のアニメーション」。今回のトークのゲストは井上俊之さん、本田雄さん。盛り沢山で楽しいトークになったと思う。楽屋でもお酒を飲んでいた本田さんが、トークの終盤でトイレに行き、トークが延長になるというハプニングがあり、それも楽しかった。