第114回 地平線のかなたへ 〜トム・ソーヤーの冒険〜

 腹巻猫です。9月17日(日)に『超時空要塞マクロス』35周年、羽田健太郎没後10年を記念したコンサート「超時空管弦楽」が東京国際フォーラムで開催されます。『超時空要塞マクロス』に的を絞った本格的なコンサートはこれが初めて。リン・ミンメイ役の飯島真理やオリジナル・レコーディング・メンバーの直居隆雄(ベース)も参加するとあって、マクロスファンならずとも聴き逃せません。詳細は下記を参照ください!
http://macross.jp/special/orchestra2017/

 服部隆之(前回)を取り上げて、父上の服部克久を忘れるわけにはいかない。作曲家・服部良一の長男として生まれた服部克久は、作・編曲家、音楽プロデューサーとして現在も第一線で活躍する日本ポップス界の大御所のひとりである。
 服部克久は1936年、東京生まれ(誕生日は昭和11年11月1日と1並び)。6歳でピアノを始め、高校卒業後パリ国立高等音楽院に留学。1958年秋に帰国し、日本テレビの「ハニー・タイム」で作編曲家としてデビューした。以来、TV・劇場作品の音楽やポップスの作編曲、ステージ音楽、オリジナル・アルバム等で活躍。宮川泰や前田憲男らとともに日本のポピュラー音楽の発展期を支えた。売れっ子の頃は年間3000曲を手がけ、これまで書いたスコアは6万曲にもなるという。
 父・服部良一は「別れのブルース」「蘇州夜曲」「湖畔の宿」「東京ブギウギ」「青い山脈」などを作曲した昭和を代表する作曲家。しかし、服部克久は流行歌の作曲家になろうとは思わなかった。歌づくりよりもサウンドに魅力を感じて、ポップスオーケストラに境地を拓いた。1993年には国内唯一のプロのスタジオ・ミュージシャンによるオーケストラ「東京ポップスオーケストラ」を結成し、国内外で演奏活動を行っている。
 代表作に「新世界紀行」(1987-1992)テーマ曲「自由の大地」、「ザ・ベストテン」(1978-1989)テーマ曲、TVドラマ「光速エスパー」(1967)、「江戸の旋風II」(1976)、NHK連続テレビ小説「わかば」(2004)、劇場作品「連合艦隊」(1981)の音楽など。1983年からスタートしたオリジナルアルバム「音楽畑」のシリーズは2014年に21作目を数え、ライフワークとなっている。
 アニメでは、『トム・ソーヤーの冒険』(1980)を皮切りに、TVアニメ『愛の学校クオレ物語』(1981)、『ワンワン三銃士』(1981)、『家なき子レミ』(1996)、『星界の紋章』(1999)、『無限のリヴァイアス』(1999/M.I.D.と共作)、『アルジェントソーマ』(2000/DJ K. HASEGAWAと共作)、劇場版『北斗の拳』(1986)などの音楽を担当。
 今回は、服部克久が初めて手がけたTVアニメ作品『トム・ソーヤーの冒険』を取り上げよう。

 『トム・ソーヤーの冒険』は、「世界名作劇場」第6作として1980年1月から12月まで放映された日本アニメーション制作のTVアニメ作品。マーク・トウェインの同名小説をもとに『あらいぐまラスカル』『ペリーヌ物語』の斎藤博監督が映像化した。
 本作以前の「世界名作劇場」の主人公はいわゆる“いい子”が多かった。それに対し、トム・ソーヤーはいたずら好きで学校を抜け出したりするわんぱくなキャラクター。関修一によるキャラクターデザインも表情豊かで親しみやすく、「これまでの世界名作劇場となんか変わったな」という印象を受けた。
 音楽も新鮮だった。渡辺岳夫、坂田晃一、三善晃、毛利蔵人らが手がけた過去のシリーズの音楽は文芸路線とも呼べる落ち着いた雰囲気のもの。本作の音楽は動的で軽快、ぐっとポップス寄りになっている。本作からレコードの発売メーカーが日本コロムビアからキャニオンレコード(現・ポニーキャニオン)に移ったこともサウンドの変化を後押ししていた。キャニオンレコードは本作から10年間にわたって「世界名作劇場」の音楽商品をリリースしていくことになる。
 服部克久はカントリー&ウェスタンやジャズの要素を取り入れて、舞台となる19世紀アメリカの雰囲気を表現。当時はなかったロックンロールやオールディーズ風のサウンドも加えて、現代的な音楽を創り出した。「世界名作劇場」の新たな音楽イメージを打ち立てた作品である。
 本作の音楽アルバムは1980年4月に『トム・ソーヤーの冒険』のタイトルで発売された。このアルバムはオリジナルのままの内容ではCD化されたことはない。1999年に東芝EMIから「懐かしのミュージッククリップ トム・ソーヤーの冒険」が発売されたが、レコードサイズの歌4曲以外は収録内容は異なっていた。
 今回は放映当時発売されたアナログレコード盤を紹介しよう。キャニオンレコードがアニメ音楽に本格参入するきっかけになった記念すべきアルバムである。収録内容は以下のとおり。

  1. 誰よりも遠くへ(歌:日下まろん)
  2. セントピーターズバーグの夜明け
  3. ぐうたらマン・ハック(歌:スラップスティック、日下まろん)
  4. トム・ソーヤーはよんでいる
  5. 恋するベッキー(歌:潘恵子)
  6. 星の恋人
  7. はるかなる蒸気船
  8. 行こうぜ兄弟!(歌:日下まろん)
  9. いたずら行進曲(マーチ)
  10. 地獄のジョー(歌:若子内悦郎)
  11. 冒険と友情
  12. ぼくのミシシッピー(歌:日下まろん)

 レコードではトラック6までがA面、以降がB面になる。作編曲は全曲、服部克久が担当している。
 歌6曲とBGM6曲を収録した歌と音楽集。歌とBGMを交互に配した構成は日本コロムビアやキングレコードの商品と異なる独特のスタイルだった。同時期にビクターから発売された『ニルスのふしぎな旅』も同様の構成で、以降、この形式はアニメ音楽アルバムのフォーマットのひとつとして定着していく。
 BGMはすべてステレオ録音。短い曲を1トラックに編集したものではなく、アルバム用に2分〜4分ほどの長尺の曲を録音したものである。のちの「懐かしのミュージッククリップ」には放映用のモノラル音源が収録されたので、このレコードのみで聴けるステレオ音源は貴重だ。
 オープニング主題歌「誰よりも遠くへ」とエンディング主題歌「ぼくのミシシッピー」の作詞を手がけたのは、今年7月に亡くなった作詞家・山川啓介。山川はTVアニメ『キャプテン・フューチャー』の主題歌「夢の舟乗り」や劇場版『銀河鉄道999』の主題歌「銀河鉄道999(Galaxy Express 999)」(奈良橋陽子と共作)で少年の心の成長をテーマにしたすばらしい詩を提供している。
 本作の歌詞もみごとだ。オープニングでは少年のまだ見ぬ世界へのあこがれを強く打ち出し、エンディングではこれから人生に漕ぎ出していく少年たちの希望と勇気を歌い上げる。どちらの歌も、ただやみくもに夢を語るのではなく、少年が心に秘めたさびしさ(トムの実の両親は亡くなっている)、今はかなわないけれどいつか……という切ない心情が歌いこまれているのが胸にしみる。
 オープニング曲「誰よりも遠くへ」は浮遊感のある飛び跳ねるようなイントロからスタート。どこか懐かしいカントリー風の曲調でトムの冒険心を描き出す。途中、ふとさみしい心情が顔を出す部分にペーソスただようメロディと伴奏を配して絶妙のアクセントにしている。最後はウェスタン調の元気なコーダで締めくくる。「世界名作劇場」主題歌の中でも根強い人気を誇る名曲である。
 歌手の日下まろんはレコーディング当時14歳の中学生。当時の月刊アニメージュには4人の候補からオーディションで選ばれてこの歌でデビューを飾ったと顔写真入りで紹介されている。本作のあと『ワンワン三銃士』でも主題歌を歌っているが、その後の活躍は確認できていない。まだ色のついていない真っ白で飾り気のない歌声が『トム・ソーヤー』という題材にぴったりだった。
 トラック2「セントピーターズバーグの夜明け」は「懐かしのミュージッククリップ」に収録されたBGM「M-33」のロングバージョン。地平線に差す光をイメージさせるギターとシンセによる導入部からポップスオーケストラによる美しい情景描写曲に展開する。第1話冒頭の場面など、タイトル通りに夜明けのシーンにたびたび選曲されている。
 トラック3「ぐうたらマン・ハック」はトムの親友ハックルベリー・フィンのテーマ。ハックの声は『未来少年コナン』のジムシー役で好評を得た青木和代が担当しているが、本曲は青木ではなくスラップスティックと日下まろんが歌っている。
 エレキギターのリフに続いてサックスが軽快に歌い出すイントロに心をつかまれる。ブギウギ調のリズムが楽しいロックンロール風の曲である。
 スラップスティックは70年代後半にデビューした5人の声優で結成されたバンド。本作当時は曽我部和行、古川登志夫、野島昭生、古谷徹、三ツ矢雄二がメンバーだった。スラップスティックのアルバムはすべてキャニオンレコードから発売されており、本曲への参加もその流れだろう。
 トラック4「トム・ソーヤーはよんでいる」は「誰よりも遠くへ」をディキシーランド・ジャズ風にアレンジした曲。BGM「M-8」のロングバージョンである。第1話でトムが学校から脱走してハックと遊びに行く場面など、2人の愉快な活躍シーンによく選曲されている。アドリブをまじえたはじけた演奏がトムとハックの破天荒なキャラクターにぴったりだ。
 トラック5「恋するベッキー」はトムのガールフレンド・ベッキーのテーマ。ベッキー役の潘恵子が歌う、本アルバムのハイライトともいうべき曲である。
 女声コーラスがふんだんに入ったオールディーズ風のノリのよい曲調。お嬢様だけど失敗したり、やきもちを焼いたりするベッキーの愛くるしいキャラクターがみごとに曲で表現されている。そこに潘恵子のチャーミングな歌声が合体したとき、なんともキュートな、それまでのアニメソングにない破壊力を持った歌が生まれた。「演じて歌えるアイドル声優」の誕生を告げる歌である。
 1977年に『サザエさん』でアニメ声優デビューした潘恵子は、『超人戦隊バラタック』(1977)のヒロイン・ユリ、『女王陛下のプティアンジェ』(1977)の主人公アンジェなどを演じたあと、『機動戦士ガンダム』(1979)のララァ役で注目を浴び、本作放映当時は人気が急上昇していた。
 歌手経験のない潘恵子に「歌ってみて」と声をかけたのは服部克久だった。レコーディング時、隣のスタジオには同じ年の6月に「哀愁でいと」でレコードデビューする田原俊彦がいたという。潘恵子の歌声に可能性を感じたキャニオンレコードは「恋するベッキー」はシングルカットして発売。これが潘恵子の歌手デビューになった。  潘恵子はこのあと、『新竹取物語 1000年女王』イメージソング「星空のメッセージ」、『ふしぎな島のフローネ』主題歌、『アルプス物語わたしのアンネット』主題歌などをキャニオンレコードから相次いでリリース。ソロアルバムも4枚リリースし、歌手としても活躍の場を広げていく。アイドル声優の登場は1990年代という説もあるが、筆者は潘恵子こそアイドル声優第一号だと思っている。
 余談ですが、筆者も1981年当時、潘恵子のデビューアルバムを買いました。タイトルがずばり「潘恵子」。それまで歌謡曲やアイドル歌手のレコードを買ったことがなかったので、アイドルのアルバム風に作られたこのレコードは、聴くたびにちょっとこそばゆかったのを覚えています。
 トラック6「星の恋人」はいかにも服部克久らしい、上質のイージーニスリング風のロマンティックな楽曲。キラキラしたサウンドとムードのあるサックスの響き。曲の後半ではストリングスが豊かに歌い、恋人たちの語らいを見守るかのよう。本編ではこういう大人びた雰囲気の曲は活躍の機会がなかったが、トムとベッキー、メアリーとアーサーなど、恋人たちの姿を思い浮かべながら聴いてみたい曲である。
 エルマー・バーンスタイン風のダイナミックな導入部から始まるトラック7「はるかなる蒸気船」はBGM「M-37」のロングバージョン。ウェスタン調のAパートから流麗なストリングスによるBパートを経て、エレキギターがソロを聴かせるクロスオーバー・サウンド風のCパートへと展開。変化に富んで飽きさせない。
 タイトルは「はるかなる蒸気船」だが、セントピーターズバーグに気球が飛んでくる第34〜37話のエピソードで使用されたのが印象深い。ミシシッピー川の上空に気球が現れるシーンをはじめ、トムが夢の中で気球に乗って空を飛ぶシーン、技師のアーサーが気球に乗ってセントピーターズバーグを去るシーンなど、気球がらみの場面に繰り返し使用されている。地平線の向こうへの旅をイメージさせる雄大な曲である。
 日下まろんが歌う「行こうぜ兄弟!」も山川啓介の作詞。トムやハックの何ものにも縛られない自由な心をテーマにした明るい曲調の歌だ。
 次の「いたずら行進曲」はタイトルどおりのユーモラスなマーチ。BGM「M-9」のロングバージョンで、第3話でトムが仲間たちとロビン・フッドごっこに興じる場面などに使用されている。「トム・ソーヤーはよんでいる」とともに、本作のユーモラスな面を代表する楽曲のひとつ。
 トラック10「地獄のジョー」は悪漢インジャン・ジョーをテーマにしたマカロニウェスタン調の曲。歌手の若子内悦郎は1960年代にGSバンド、ザ・バロンのメンバーとしてデビュー。「ヤング101」を経て、芹澤廣明とのデュオ、ワカ&ヒロを結成して活躍した。その後、スタジオワークを中心に活動。アニメソング関連では「謎の円盤UFO」(1970)のイメージソングや若木ヒロシ名義で歌った「サンダーマスク」(1972)の主題歌、ちのはじめ名義で歌った『はじめ人間ギャートルズ』(1974)エンディング主題歌「やつらの足音のバラード」などで知られている。
 本曲は第三者の視点からインジャン・ジョーを歌った歌で、劇中では得体の知れない恐ろしい人物として描かれているジョーを、妙にカッコいい曲調の歌に仕上げているのが面白い。
 トラック11「冒険と友情」はクロスオーバー風のポップなナンバー。未知の世界へ歩み行っていくようなファンタジックな導入部に続いて、ストリングスのスマートなメロディがリズムに乗って登場する。木管とミュートした金管によるしゃれた間奏を挟んで2コーラスめに突入。コーダはエレキギターのアドリブが入って大人びた雰囲気で締めくくられる。
 3分を超える聴きごたえのある演奏だが、「星の恋人」同様に劇中では活躍の場面がなかったのが残念。トム・ソーヤーの世界を広げる音楽アルバムならではの聴きどころである。
 最後はエンディング主題歌「ぼくのミシシッピー」。郷愁を誘うメロディと味わい深い歌詞。蒸気船を追いかけて川岸を走るトムとハックの映像が目に浮かぶ。主題歌とともに人気の高い名曲である。

 服部克久は2009年にリリースしたデビュー50周年記念アルバム「服部克久」に「誰よりも遠くへ」を新録音して収録している。数多い仕事の中でも思い出の作品のひとつなのだろう。
 ジャズからカントリー&ウェスタン、オールディーズ、クロスオーバーまで、さまざまな音楽スタイルを聴かせる「トム・ソーヤーの冒険」は、子どもたちにポップスオーケストラの魅力を伝える好アルバムである。アルバムそのままの復刻、そして、「懐かしのミュージッククリップ」に未収録のBGMを含めた完全版サントラの発売が待望される作品だ。
 キャニオンレコードは本作のあと、『うる星やつら』『パタリロ』『北斗の拳』『タッチ』『ハイスクール!鬼面組』『めぞん一刻』など、人気作・話題作の音楽アルバムを次々リリースして、日本コロムビアともキングレコードともビクターとも異なる路線でアニメ音楽の地平を切り開いていく。アニメ音楽史の転換期を知る上でも、忘れてはならない1枚である。

懐かしのミュージッククリップ トム・ソーヤーの冒険
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日本アニメーション 世界名作劇場 主題歌・挿入歌大全集I
※本作の主題歌・挿入歌全曲を収録。
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服部克久
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117 アニメ様日記 2017年8月20日(日)~

2017年8月20日(日)
早朝、新文芸坐に。着いた時には「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 96 片渕須直 長編アニメーション16年の歩み」の最後のプログラム『この世界の片隅に』の終盤だった。今回のオールナイトでは、何度もお客さんにお礼を言われた。帰り道でもお客さんに呼び止められて、ずっと前からこのプログラムを予告し、それを公言していたことについてお礼を言われた。照れくさいなあ。その後、池袋HUMAXシネマズで『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を観る。

2017年8月21日(月)
今までお付き合いのなかった取次に行って話をうかがう。零細出版社の社長らしいお仕事。

2017年8月22日(火)
午前11時から新文芸坐で打ち合わせ。その後、事務所で打ち合わせが2本。移動して阿佐ヶ谷で打ち合わせ。次は西荻窪で打ち合わせ。さらに西荻窪で別の打ち合わせ。平田敏夫さんの小冊子のために探していた絵コンテ(制作会社に残っていなかったもの)を借りることができた。

2017年8月23日(水)
原稿作業をまとめてやらなくてはいけないので、8月22日(火)の22時に起きて、23時半に事務所へ。リアルタイムで「ルパン三世ベストセレクション」17位を確認。『旧ルパン』13話「タイムマシンに気をつけろ!」だった。このエピソードがベストに入るのは納得。途中にウォーキングと食事をはさんで、昼までキーボードを叩く。

2017年8月24日(木)
TOKYO MXの『母をたずねて三千里』が最終回。今回の再放送では、ながらではあるけれど、全話を観た。まとめて観るよりも1日1本を観た方が「旅している感」がある。週に1本の本放送時はそれがもっと強かったはずだ。『ペリーヌ物語』の再放送でも感じたが、少なくとも一部の名作劇場の作品においては、放送と放送の間の1週間も「作品の一部」だったのだ。今回の視聴で感じたのは、大人の描写がしっかりしているということ。過度に美化されているわけではない。だが、信頼できる大人が大勢出てくる。マルコの「素晴らしかったんだ、僕の旅」というセリフが全てを物語る。

2017年8月25日(金)
TOKYO MXの『母をたずねて三千里』の後番組は『あらいぐまラスカル』の再放送。引き続き視聴する予定。『あらいぐまラスカル』は観ていないエピソードもあるはず。

2017年8月26日(土)
「銀魂」実写版を観る。公開から随分経ってからの鑑賞となった。『銀魂』の実写化としては100点満点で120点の仕上がりだと思う。原作、アニメ版をリスペクトしたうえで、なおかつ面白い。コント風のダラっとしたところを含めて、テンポ感がいい。登場人物の再現度も高い。「きちんとお客さんの方を向いている作品」であり、その方向で作り切っている。素晴らしい。映画を観た後、dTVで配信されている同監督、同キャストによるドラマ「銀魂 -ミツバ篇-」を視聴した。

第528回 アニメに惚れた!

 大塚康生さんのお話をもう少し。といっても前回、前々回での大塚さんからいただいたお話は、この連載のかなり前の回で何度も紹介したものをギュッとまとめただけだったのですが、まあ何しろ10年も書かせてもらってるコラムなので、多少の重複はご容赦ください。
 とにかく小学3年生の頃に観た再放送から俺は

『未来少年コナン』が大好き!!

で、テレコムに入社した際の研修課題が『コナン』だった時はもう歓喜でした。しかもコピーでなく生原画! 1978年当時の生原画をトレスして中割りの練習をするんです。コナンがラナを抱いて三角塔から飛び降りて、ズシーン! と足が痺れる。小学生の自分が胸躍らせたあの名シーンで実際に使われた生の原画が目の前にあるのです! それを『コナン』の作監・大塚さんご自身が

と解説してくださるんです。パラパラめくりながら「ここの着地に1枚入れたくなるでしょう? 実は要らないんですよ! INを見せたら中無しで画ブレを入れた方が気持ちいいんス!」と。大塚さんは劇場スケールの作画だけでなく、大量生産のリミテッドTVアニメでも動きを限定する面白さを追求された巨匠なので、中ヌキ(中割り無し)のドタバタアクションも「要はポーズの変化だよ」と。アニメのド新人だった自分に「アニメーション(作画)の面白さ」を本当に惜し気もなく教えてくださったのです。思えばもともと、出崎統監督に憧れて演出志望だった俺が、いまだにアニメーターをやってるのは、この頃の体験が影響してると言えるでしょう。富野由悠季監督も著書「だから僕は…」の中で、大塚さんに接して「この人はアニメに惚れている」と感じられたそうですが、自分もそう思いました。もしかすると「おもちゃ」かな? そう、大塚さんにとってアニメは「おもちゃ」かもしれません。後に俺が原画になった時もちょくちょく見てくださっては「あ、面白い!」とか「ここ気持ちいいネ〜」ととてもシンプルに楽しまれるんです。いつぞや『ルパン三世』のことも「おもちゃ」と表現してたのを聞きましたし、昔出された大塚さんの同人誌のタイトルも「大塚康生のおもちゃ箱」でした。よく、

アニメーターは遊び心が大事!

ともおっしゃってました。で、また途中ですみません。打ち合わせの時間です。

116 アニメ様日記 2017年8月13日(日)~

2017年8月13日(日)
コミックマーケット92最終日。「平松禎史 SketchBook」 も「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.1」も搬入分をほとんど売り切って終了。皆さま、ご来場、ありがとうございました。
 事務所に戻って、用事を片づけてから居酒屋に。隣のテーブルのお客さん達がコミケ帰りの男性数名のグループで、買ってきた同人誌を片手にトークを展開。聞くつもりはないんだけど、話が耳に入ってくる。うわっ、コミケが終わった気がしないよ。

2017年8月14日(月)
池袋HUMAXシネマズの11時30分からの回で、実写映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」を観る。力作。ロケ地をスペインにしたのはよいアイデアだ。原作キャラクターの再現度も高い。康一は背が高すぎるのではないかとか、承太郎は渋すぎるのではないとか気になるところもあるけれど、そういうツッコミどころを含めて面白かった。
 特によかったのが、終盤における仗助の「少年マンガの主人公っぽさ」。そして、仗助と億泰とのやりとり(億泰が借りを返すあたり)。あの演出力で色んなマンガの実写化が観たいと思ったくらいだ。それと、形兆と億泰の父親が出たあたりから、ちょっとカルトな味わいが出ていた。最後のバトルが終わってからがたっぷりしていた印象で、それが演出の狙いだということは分かっているけど、あそこがもっとテキパキと進んでいたら、僕にとってもっと好きな映画になった。
 1日休みの日にするつもりだったのだけど、片づける用事があって事務所に。

2017年8月15日(火)
コミケで出した新刊の送本、2刷りの準備、流通とのやりとりなどで、目が回るほど忙しい。
 8月12日(土)、8月13日(日)に放映された『終物語』2時間スペシャル2本をまとめて観る。戦場ヶ原さんが出てくると落ち着くなあ。実は今、ガハラさんと書くか、戦場ヶ原さんと書くかで、ちょっと悩みました。悩んで戦場ヶ原さんと書きました。原作は『終物語』の後も続いているわけだけど、アニメは続くのだろうか。公式サイトを見に行ったら「阿良々木暦の高校生活――完結。」とあるから、完結したのは高校時代であって、アニメ「〈物語〉シリーズ」が完結したわけではないのか。

2017年8月16日(水)
TOKYO MXの『母をたずねて三千里』再放送は46話「牛車の旅」。ドライな感じが富野さんっぽいなあ、と思ったら富野喜幸(由悠季)さんのコンテ回。といっても、このあたりは2回に1回は富野さんのコンテなので、当てても自慢にはならない。画作りは直されているかもしれないけど、ドラマの流れは富野さんのコンテの感じが残っているのではないかなあ。
 昨夜の「ルパン三世ベストセレクション」では18位を放映。『新ルパン』137話「華麗なるチームプレー作戦」だった。『新ルパン』を代表する傑作のひとつだ。同じく『新ルパン』における傑作の148話「ターゲットは555M」はもっと上位にくるかな。しかし、ここまで驚くくらい『旧ルパン』が少ない。以下が現在までの順位。

24位『旧ルパン』第3話「さらば愛しき魔女」
23位『PARTIII』第44話「ボクたちのパパは泥棒」
22位『新ルパン』第26話「バラとピストル」
21位『新ルパン』第69話「とっつあんの惚れた女」
20位『PARTIII』第37話「父っつぁん大いに怒る」
19位『PARTIII』第50話「原潜イワノフの抹殺指令」
18位『新ルパン』第137話「華麗なるチームプレー作戦」

 Amazonで「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.1」「平松禎史 SketchBook」の予約が始まる。

2017年8月17日(木)
『NEW GAME!』原作5巻、最新刊の6巻前半に目を通し、アニメ2期の5話と最新の6話を観る。6話「あぁ……すごいなあ……」のラスト(エンディングの前)がとてもよかった。その場面自体もいいし、そこにもっていくまでの構成もいい。キャラクターの芝居も猛烈にいい。誤解をまねく言い方かもしれないけれど「あ、青葉が人間になった」と思った。今まで人間でないと思っていたわけではない。ただ、リアルな感情を持った存在として感じられることができたのだ。スタッフに拍手!

2017年8月18日(金)
TOKYO MXの『母をたずねて三千里』再放送は48話「ロバよ死なないで」。最終回がどうなるのか分かっているのに、マルコが早くお母さんに会えるといいなあと思ってしまう。

 アニメーターの椛島義夫さんが亡くなられた。『ガンバの冒険』、劇場版『ルパン三世』、『さすらいの少女ネル』等、印象的なお仕事がいくつもある。僕は『ガンバの冒険』LDBOX解説書でお世話になった。心よりご冥福をお祈り致します。

2017年8月19日(土)
オールナイトの予習で久しぶりに『アリーテ姫』を観る。改めてボックスのセリフは味わいがあっていいなあと思って、気になって確認したところ、ボックスを演じた小山剛志さんは『マイマイ新子と千年の魔法』『この世界の片隅に』にも出演していた。今晩上映する3作品の全てに出演しているのは小山剛志さんだけのはずだ。小山さんを起用し続けている理由があるはずなので、トークで話題にすることにした。
 夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 96 片渕須直 長編アニメーション16年の歩み」。ようやく実現した片渕須直監督長編だけのオールナイト。チケットは早々に完売。新文芸坐スタッフの方が個人的に集めていたらしい『この世界の片隅に』関連記事の展示もあり。初めて『アリーテ姫』を観るお客さんが多いのも嬉しかった。それから、トークの前に片渕監督ではなく、僕がお客さんから花束をいただいてしまった。いただいたお手紙を読むと、今回のオールナイト企画に対するお礼であるらしい。ありがたいけど、いいのかな。

第527回 巧くなるには、の続き

 前回の「遮二無二描く」云々同様、大塚康生さんからいただいたお話。

皆、今持ってる巧い先輩の描いた原画のコピーとか有名なアニメーターの原画集なんかは、箱に詰めて押し入れの中にしまいなさい! そして2〜3年開けなかったモノは、どーせ必要ないんだから捨てなさい! そーいったモノは「持ってるだけで自分が巧くなったと勘違いする」から! 結局自分が描けるようにならなきゃ意味ないんですよ!

 これは思い当たる人、多いのでは? 俺の場合、もともと友達から貰うことはあっても、自ら欲しがってコレクションする趣味がなかったので捨てるモノもなかったんですが、この話を同期のアニメーターにしたら「耳が痛い」と言ってました。「アニメーターはまずどんな物でも自ら描き出せる技術を持っていなければならない」ってこと! 「水? ああ、僕いい原画のコピー持ってるよ!」「爆発? それなら○○様の原画集を見るべきだ!」と誰かの参考がないと描けないってアニメーター、結構いるんです。もちろん誰でも最初は模倣から入るわけで、大塚さんだってそんなことは百も承知のハズです。大塚さんが仰りたいのは「巧い人の画を見るのもほどほどに!」ってだけで、原画集をめくっただけで描きもしない、アニメ教養主義に警鐘を鳴らしているのだと思います。「アニメーターは描いてナンボだからね」ともよく仰ってました。

宮崎(駿監督)は僕より10若いけど、会った時点で
「あ、この人は僕より(画を)描いてる!」とすぐ分かった!

 大塚さんは自分らの前では宮崎駿監督のことを、雑誌などのコメントによくある「宮さん」とかではなく、先輩らしく「宮崎」と呼び捨てにされてましたが、敬意は感じました。ま、この言葉も「描いている量」ですね、つまりは。あと、

月10カットしか描けない人と、月100カット描く人とでは、
10倍の経験値の差ができる!

とも。話される度に100が300になったり数字は異なりましたが、これも大塚さんがいかに「仕事とは量である」ということに拘ってらしたのか、な言葉でしょう。俺個人はもっとダイレクトにこう言われました。

 当時、手が遅かった自分に今でも突き刺さっている言葉です。これ何回か言われました、たしか。恐らく「板垣は遅ぇ遅ぇ」と社長から大塚さんに伝わってたんでしょう。

3秒のカット(動き)は3秒で描くつもりで!
3秒はオーバーでもね(笑)、せめて3時間! 3日、3週間と
延びれば延びるほど、何か違った動きになる!

って話もありました。つまり「実際目で見えるスピード感を大事にしなさい」ってこと。そういえば大塚さんはよく「この秒数ではそんなとこ見えないよ」と仰ってました。別に大塚さんは手抜きを推奨してるのではなく、「視聴者に見せたいところをハッキリさせるため、見えない部分はほどほどに引きなさい!」という意味のことだと思います。これは俺も演出をやって何百カットもチェックするようになった時、本当に実感しました! 本編全体で見ても「カットの尺に合わせた情報量の操作」は究極のテーマなんです。かと思うと大塚さんは、

アニメーションは妥協の産物だ!

と誤解を招きかねないことを言ったりもします。実はこれも深い言葉で、「アニメは”ほどほどに拘って作る”べき!」ってことかと。これは板垣が後輩によく言う、

現在50点の自分を自ら認めた上、65点ぐらいまで頑張って直し、
「まだ巧く描けてない」と分かってても作業を先へ進めなきゃ作品は完成しない!!

てのとよく似てると思います。大塚さんご自身も「僕でも10カット中1〜2カットですよ、巧くいったと思えるカットは」と。ね? あのキャリアの大師匠・アニメ業界の最重鎮をして「ある程度の妥協は必要である」と提唱してるんですよ。深い。

第113回 ただよう『風格』 ~機動戦艦ナデシコ~

 腹巻猫です。9月2日(土)13時より、神保町・楽器カフェにて「テレビまんがソノシート大放談!」なるトークイベントを開催します。タツミムック『日本懐かしソノシート大全』(水落隆行著/辰巳出版)が9月5日に発売されることを記念してのイベント。著者の水落隆行さんと早川優さん、腹巻猫が出演し、ソノシートよもやま話のほか、珍しいソノシートの現物も紹介する予定です。お時間ありましたら、ぜひご来場ください!

「テレビまんがソノシート大放談!」
http://gakki-cafe.com/events/event/『日本懐かしソノシート大全』発売記念-テレビま/
予約はこちらから。
https://airrsv.net/gakki-cafe/calendar/menuDetail/?schdlId=T0007A6733

 9月2日に『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の第5話「激突 ルウム会戦」が劇場公開される。今回は、その音楽を担当している服部隆之の作品を紹介したい。
 服部隆之といえば、昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」や大きな評判を呼んだTVドラマ「下町ロケット」の音楽も記憶に新しい、劇場作品・TVドラマ音楽の第一人者である。ダイナミックで明るく、胸がスカッとする音楽を書かせたら右に出るものはいない。日本を代表する映像音楽作曲家のひとりだ。
 服部隆之は1965年生まれ。祖父は服部良一、父は服部克久という音楽一家。幼少時から音楽教育を受けて育った。ピアノの練習は嫌いだったそうだが、少年時代はブラスバンドや洋楽系のバンドで活動。高校を2年で中退し、パリ国立高等音楽院に5年間留学する。パリで音楽を学びながら、各国の本物の音楽や文化に触れて感性を磨いた。
 帰国後、さだまさしのアルバムアレンジで編曲家としてデビュー。ポップス、ゲーム音楽等のアレンジやTV、ステージの音楽などでキャリアを積んだ。1990年、TVドラマ「代表取締役刑事」で映像音楽デビュー(矢野立美、米光亮と共作)。1994年にはTVドラマ「お金がない!」、劇場作品「ゴジラvsスペースゴジラ」で音楽を担当し、サントラファンの注目を集めた。
 以降、音楽を担当したTVドラマ・劇場作品はサントラファンならずともご存知のものばかり。TVドラマでは、「王様のレストラン」(1995)、「正義は勝つ」(1995)、「総理と呼ばないで」(1997)、「HERO」(2001)、「新選組!」(2004)、「のだめカンタービレ」(2006)、「華麗なる一族」(2007)、「半沢直樹」(2013)、「下町ロケット」(2015)、「真田丸」(2016)、劇場作品では、「ラヂオの時間」(1997)、「ゴジラ2000 ミレニアム」(2000)、「みんなのいえ」(2001)、「電車男」(2005)、「宇宙兄弟」(2012)など、話題作、ヒット作を挙げればきりがない。アニメでは、劇場版『スレイヤーズ』(1995)、『機動戦艦ナデシコ Martian Successor NADESICO』(1996)、『シスター・プリンセス』(2001)、『キャプテンハーロック』(2003)、『大正野球娘。』(2009)、『CODE:BREAKER』(2012)といった作品を手がけている。
 今回は、服部隆之が手がけた初のTVアニメ『機動戦艦ナデシコ』を紹介しよう。

 『機動戦士ナデシコ』は1996年10月から1997年3月まで放送されたTVアニメ作品。『飛べ!イサミ』(1995)の監督を務め、のちに『学園戦記ムリョウ』(2001)、『宇宙のステルヴィア』(2003)などを手がける佐藤竜雄が監督。アニメ制作はXEBECが担当した。
 ナノテクノロジーや重力制御技術の発達で人類が地球以外の惑星に進出するようになった22世紀末。謎の敵が来襲し、人類の拠点を次々と制圧していく。木星蜥蜴と名づけられた敵の圧倒的な戦力に地球連合軍は苦戦し、反撃の機がつかめない。そんなとき、火星に残された住民を救うべく、地球の民間企業が建造した宇宙戦艦ナデシコが発進した。ミスマル・ユリカ艦長以下、個性的なクルーを乗せたナデシコの波乱に満ちた航海が始まる。

 設定はシリアスながら、キャラクターや物語展開は破天荒でギャグも多い。SFとラブコメ、メカと美少女という80~90年代SFアニメ王道の要素を盛り込んだにぎやかな作品である。
 服部隆之の音楽は、スケール豊かなオーケストラ編成の曲から、室内楽風の小品、ラウンジ音楽風、ポップス風と多彩。コミカルな要素はほとんどなく、じっくり聴かせる音楽になっている。巧みなオーケストレーション、耳に残る旋律、それらを包みこむように、大らかで品のよい風格のようなものが感じられる。祖父・服部良一から受け継がれてきた音楽性だろうか。
 当時の服部隆之は、大作「ゴジラvsスペースゴジラ」でその力量を示し、「王様のレストラン」で高い評価を得て、まさに勢いに乗っていた時期。『機動戦艦ナデシコ』の音楽からは、そんな服部の意気込みが伝わってくる。
 サウンドトラック・アルバムは1996年12月に第1弾「機動戦艦ナデシコ CD-001」がキングレコードから発売された。「CD-001」は劇中のナデシコの機体番号「ND-001」のもじりで、「CD-002」「CD-003」と続くわけではない。三方背スリーブケース入り、CDブックレットとは別に作品の設定やキャラクター&メカニック紹介をまとめた24ページ・フルカラーブックレットが同梱されている。『BLUE SEED』や『新世紀エヴァンゲリオン』のサントラ盤の仕様を引き継いだスタイルで、本作への力の入れようがうかがえる。
 サントラ盤2枚目は「機動戦艦ナデシコ~これがホントの『三枚目』?」のタイトルで1997年6月に発売された。これもスリーブケース入り。放送終了後の発売となったことで、2枚目には最終話までの音楽使用状況が反映されている。ファンにとっては理想的な発売スケジュールと言えるのではないだろうか。
 今回は1枚目「機動戦艦ナデシコ CD-001」から紹介しよう。収録曲は以下のとおり。

  1. YOU GET TO BURNING(歌:松澤由実)
  2. スキャパレリ・プロジェクト
  3. Enemy from Jupiter
  4. ナデシコのワルツ
  5. YURIKA
  6. 強襲
  7. ナデシコ発進す!
  8. いまはおやすみを…
  9. チェンジ!ゲキ・ガンガー1.2.3!!
  10. 必殺パワー!ゲキガンパンチ
  11. キョアック星人の野望
  12. 戦いの野に夕陽が沈む
  13. レッツゴー・ゲキ・ガンガー3(歌:金田めろん[タフ・ラフ])
  14. アイキャッチ
  15. Three Angels
  16. ゴート・ホーリー
  17. 哀しい記憶
  18. 戦闘領域突入
  19. アキト、起つ
  20. Go! エステバリス
  21. 虚空のトライアングル
  22. 勇荘なるナデシコ
  23. 新たなる航海
  24. 私らしく(歌:桑島法子)
  25. 次回もみんなでみよう!

 オープニング主題歌に始まり、エンディング主題歌と次回予告音楽で終わる構成。トラック9~13は劇中アニメ『ゲキ・ガンガー3』のBGM集。本編と同じくバラエティに富んだ内容で飽きさせない。
 構成・解説は早川優。ツボを押さえた曲順と文字数オーバーに違いない濃厚な楽曲解説で繰り返し楽しめるアルバムだ。
 オープニング曲「YOU GET TO BURNING」は、『GS美神』(1994)主題歌「GHOST SWEEPER」の作曲や『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)主題歌「残酷な天使のテーゼ」のアレンジなどを手がけた大森俊之の作・編曲。
 TV版はミステリアスなアバンタイトル曲から始まり、トランペットのハイトーンで一気に曲の色彩が変わったあと歌がスタートするのが印象的。本アルバムにはアバンタイトル部分のないフルサイズが収録されている。ここはTVサイズのほうが雰囲気が出たと思うが、サントラ盤の1枚目には主題歌のフルサイズを収録するのが『機動戦士ガンダム』以来のキングレコードの伝統だった。TVサイズは2枚目のアルバム「機動戦艦ナデシコ~明日の艦長はキミだ!」(ソングアルバム)に収録されている。
 トラック2「スキャパレリ・プロジェクト」はアルバム全体のプロローグとなるトラック。曲名はナデシコの初期任務につけられたプロジェクト名。「スキャパレリ」は火星の地図を作ったイタリアの天文学者の名前である。本トラックは2曲を1トラックに編集。1曲目はポップス・オーケストラ風の地球連合司令部のテーマ。雄大で温かみのあるオーケストレーションが服部隆之らしい。2曲目はナデシコの勇姿をイメージしたエモーショナルなテーマだ。
 トラック3「Enemy from Jupiter」は謎の侵略者を描写するミステリー曲。豪快な音楽の印象が強い服部隆之だが、インタビューによれば、「HERO」のような曲は本来の好みではなく、実はすごく暗い世界観が好きなのだそうだ。侵略SFものならではのダークな曲に、「華麗なる一族」などにつながる服部隆之音楽の奥深い面が表れている。
 続く2曲は雰囲気を変えて、優雅な「ナデシコのワルツ」とラウンジ音楽風の「YURIKA」。「王様のレストラン」にも通じる、しゃれたヨーロッパ音楽の味わいがあるナンバーだ。単なるSFアクションものでない『機動戦艦ナデシコ』の音楽設計の妙を感じさせる楽曲である。アルバムの序盤にこの2曲を置いた構成もうまい。
 次のトラック6「強襲」は『ナデシコ』のロボットアニメとしての一面を代表するスリリングな楽曲。2曲を1トラックに編集している。1曲目は木星蜥蜴の出現を描写する曲で、複雑にからみあうオーケストラが得体の知れない敵の襲来を表現する。緊迫感の中に聴こえる軽妙な音の動きに、服部隆之が学んだフランス音楽の香りがただよう。2曲目はナデシコ劣勢を描写する緊迫曲。激しいリズムとかけあいを演じる弦のフレーズは主題歌「YOU GET TO BURNING」のモティーフを崩したもの。ナデシコ危機の場面をたびたび盛り上げた、全編を通して印象深い曲である。筆者お気に入りの1曲だ。
 トラック7「ナデシコ発進す!」はM-1のMナンバーが付された本作のメインテーマ。主題歌のオーケストラによるアレンジ曲である。金管群のファンファーレに始まる堂々たるアレンジでオーケストラが主題を奏していく。演奏時間は3分を超え、聴きごたえ満点。ポップスのアレンジやステージ音楽を手がけてきた服部隆之の手腕が発揮された、まさにメインテーマと呼ぶにふさわしい仕上がりである。
 バンドスタイルによる主題歌の瀟洒なアレンジ「いまはおやすみを……」でアルバムの3分の1が終了。
 トラック9から5曲は『ゲキ・ガンガー3』BGMコレクションになる。
 「テレビ・BGMコレクション ゲキ・ガンガー3」という設定で設けられたこのブロック、早川氏の解説も暴走気味で、『ナデシコ』という作品にふさわしい。
 楽曲は70年代ロボットアニメの典型的スタイルを踏襲。あえてチープな音作りで「100年前のロボットアニメ」の空気感を演出している。
 アイキャッチを挟んで、アルバムは終盤へ。
 服部隆之節全開の軽快なトラック15「Three Angels」から、ブルージーな「ゴート・ホーリー」、ピアノが奏でる悲哀曲「哀しい記憶」とメリハリの効いた曲順でつないでいく構成がいい。
 トラック18「戦闘領域突入」から危機感が盛り上がり、主人公テンカワ・アキトの決意を表現する悲壮な「アキト、起つ」、人型機動ロボット・エステバリスのクールな活躍テーマ「Go! エステバリス」、弦合奏による主題歌のメランコリックな変奏曲「虚空のトライアングル」とドラマティックに展開。SFメカ戦を描くダイナミックな音楽とキャラクターの心情を描く繊細な音楽が対比され、戦場の人間ドラマが際立つ。起伏に富んだ人間ドラマで真価を発揮する服部隆之音楽の魅力が存分に味わえるトラック構成である。
 トラック22「勇壮なるナデシコ」は4分30秒を超える大曲。まるで大河ドラマのテーマ曲のような、本アルバム中の白眉とも呼べる曲である。雄大な曲想の中、ピアノとホルンの音色が深く胸に響く。本作の時点では服部隆之はまだ大河ドラマを手がけていないが、8年後の「新選組!」、20年後の「真田丸」での活躍を予感させるトラックだ。
 サウンドトラック・パートの締めくくりは、大団円を思わせる主題歌のロマンティックな変奏曲「新たなる航海」。これも4分50秒に及ぶ長い曲で、オーケストラ音楽の醍醐味をたっぷり味わうことができる。

 音楽、パッケージ、解説と三拍子がそろったアルバムである。服部隆之の初期作品としても、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』へとつながる音楽性がすでに表れていて聴き逃せない。90年代アニメ音楽を代表する名盤のひとつと呼んでよいだろう。何より、悠々たるサウンドを聴かせる服部隆之の音楽に名盤の「風格」がただよっている。サントラ2枚目「これがホントの『三枚目』?」には、追加録音曲やエキストラ曲もフォローされているので、ぜひ、2枚セットで聴いていただきたい。

機動戦艦ナデシコ CD-001
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機動戦艦ナデシコ~これがホントの『三枚目』?
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※サントラ、ソングアルバム、ドラマ盤などをセットにした10枚組
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第135回アニメスタイルイベント
磯光雄の作画を語る!

 『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『BLOOD THE LAST VAMPIRE』『新世紀エヴァンゲリオン』等における超絶作画で、業界内外で高く評価されている磯光雄。彼の仕事にスポットをあてたトークイベントを開催する。
 今回のイベントでは磯光雄自身は出演せず、彼の仕事をリスペクトする業界の方々が会場に集い、トークを展開する。現在決まっている出演者は、エフェクト作画のエキスパートとして知られる橋本敬史、『天元突破グレンラガン』『キルラキル』で監督を務めた今石洋之。他の出演者が決まった場合は改めてお伝えする。会場ではアニメスタイルの新刊「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.1」を販売する予定だ。

 今回のイベントもトークのメイン部分を「アニメスタイルチャンネル」で配信する。会場は阿佐ヶ谷ロフトA。開催日は2017年9月10日(日)。前売りチケットは発売中。詳しくは阿佐ヶ谷ロフトAの公式サイトを見ていただきたい。

■関連リンク
アニメスタイルチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/animestyle

阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/72737

第135回アニメスタイルイベント
磯光雄の作画を語る!

開催日

2017年9月10日(日)
開場12時 開演13時 終演16時予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

橋本敬史、今石洋之、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)

チケット

前売1500円 当日1800円(共に飲食別・要1オーダー)

■アニメスタイルのトークイベントについて

 会場となる阿佐ヶ谷ロフトAはトークライブができる居酒屋。入場料(今回は前売1500円、当日1800円)とは別に飲食(最低でもドリンク1杯)をお願いしている。ソフトドリンクもあるので、未成年の方でも大丈夫。 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものだ。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていないし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれない。その点は、あらかじめお断りしておく。

115 アニメ様日記 2017年8月6日(日)~

2017年8月6日(日)
「第134回アニメスタイルイベント公開30周年 山賀博之が『王立宇宙軍 オネアミスの翼』を語る」開催日。公開前にガイナックスで購入したスタッフ同人誌を持って会場に。第一部は山賀博之監督にたっぷりと語っていただき、第二部では貞本義行さんにも登壇していただいた。第一部、第二部まとめてひとつのインタビューとしてとらえると、充実したものになったのではないかと思う。こういった過去作品についてのトークイベントも面白い。可能ならまたやりたい。

2017年8月7日(月)
取材の企画のためにある作品をひたすら観る。たっぷり観たうえで出した結論は「今はこの企画はやめておいたほうがいいかな」だった。たまにはそんなこともある。
 昨日のイベントで参考にするために注文した『王立宇宙軍 オネアミスの翼』LDBOXが届く。ああ、やっぱりLDBOXの解説書に山賀さんのラフコンテと完成コンテの比較が載っていた。もう1日早く届いていれば使えたのに。惜しい。
 仕事の合間に「イントゥ•アニメーション7」へ。着いた時には最後のプログラムの終盤だった。小冊子「日本アニメーション100年史 ~なまくら刀からこの世界の片隅に…~」をいただく。個人作家のアニメーション側から見た「100年史」といった内容で、僕にとっては新鮮だった。『なまくら刀』から始めるなら、商業アニメ中心の「100年史」よりもまとまりがいいかもしれない。

2017年8月8日(火)
『NEW GAME!!』を1話から最新話まで観る。2話で藤原佳幸監督が演出処理を担当していて、それがよかった。絵コンテでなく、演出処理を担当したのがよかったのだ。
 コミックマーケットでアニメスタイルの販売スタッフが着るTシャツが届いた。絵柄は「平松禎史 SketchBook」で収録したイラストの1枚を使わせていただいた。これはいいな。単独商品として売り物にしてもいいくらい。

2017年8月9日(水)
早朝に24時間営業の書店に行って、何冊か雑誌を購入する。1冊が「ユリイカ」の幾原邦彦特集。
 昨夜の「ルパン三世ベストセレクション」では19位を放映。『PARTIII』50話(最終話)「原潜イワノフの抹殺指令」だった。ここまで発表された19位から24位の6本の中で『PARTIII』が3本。『PARTIII』はほとんど入らないのではないかと思っていたので意外。

2017年8月10日(木)
午前中に『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』の試写に。大胆な物語構成、大胆な画面構成。観終わって思ったことは「ここで終わり? 早く『2』を観せて」だった。
 製本された「平松禎史のうすい本 2017夏」と「磯光雄 Flip Book」が編集部に届く。「磯光雄 Flip Book」は製本的にも豪華な仕上がりに。

2017年8月11日(金)
コミックマーケト92第1日目。今回の新刊は「平松禎史 SketchBook」と「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.1」。それぞれコミケ特典の「平松禎史のうすい本 2017夏」「磯光雄 Flip Book」付き。Twitterを見ると、購入された方達に好評のようだ。よかった。誤算は販売スタッフが首にタオルを巻いているので、平松さんの画を使った販売スタッフ用Tシャツの画がよく見えないということ。

2017年8月12日(土)
コミックマーケット92第2日目。事務所に戻ったら日本映画専門チャンネルで『たまこラブストーリー』をやっていた。あれ、この作品の撮影ってこんな感じだったっけ。面白いなあ。機会を見つけて観直そう。

第526回 巧くなるということ

 先週はアニメスタイル様よりお盆休みをいただいたのですが、自分の仕事にお盆休みはありませんでした。で、唐突に

遮二無二描く!
画が巧くなりたいならこれしかない!

と。これは自分がテレコム・アニメーションフィルム在籍中、大塚康生さんよりしょっちゅう聞かされた言葉です。以前よく周りの人たちから「板垣さんて”アニメ(業界で)の育ち”がいい方ですよね〜」と言われたりしました。確かに、だいぶ前にも説明したとおり、学生時代は小田部羊一先生、テレコム時代は大塚さん始め、友永和秀さん、田中敦子さんらに教わることができたという幸運! これで「そんなことぁありませんよぉ」と謙遜してたら、師匠方に失礼にあたると思うので、自慢に聞こえるのを覚悟の上「まぁ、そうかもしれませんね」と肯定するようにしています(現在進行形)。
 ただ俺にとっては、その「アニメの育ちのよさ」云々はコンプレックスでもあるんです。なぜなら、広く一般のアニメーター修行時期をいわゆる「動画1枚200円」の出来高制ではなく、社員制の固定給でいただいていたので、同期の友人たちからも「それでもアニメーターか」とか「卑怯者」だの、ま、冗談まじりにですが言われたりしました。つまり、こんな温室育ちでは「1日何十枚描いてギリギリ食える」くらい過酷な状況で鍛えられたであろう同年代のアニメーターに太刀打ちできるハズがない! と。テレコムの時はそればっかり考えていたのです。贅沢な話、テレコムを辞めて、出来高制のフリーになって背水の陣を敷かないと、自分は巧くなれないのではないか? と思ったりもしました。そんな時、大塚さんの「遮二無二描く」という言葉は、その後の板垣の道標になってくれて

巧くならないことを環境のせいにするんじゃない!
四の五の言う前にとにかく描くべし!

と。これは現在ウチ(ミルパンセ)の新人によく話してます! で、他にも大塚さんから聞いた「巧くなるには」の話……てとこでスミマセン、つづきは次回!

オールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 97
アニメファンなら観ておきたい200本 沖浦啓之と 『人狼 JIN-ROH』」


 9月23日(土)開催のオールナイトは、アニメーター&監督として活躍する沖浦啓之の特集だ。ずば抜けた画力で知られる彼の代表作を一挙上映するプログラムである。

 上映作品は彼がキャラクターデザイン、作画監督等の役職で参加した『走れメロス』、監督作品の『人狼 JIN-ROH』『ももへの手紙』(以上、いずれも劇場作品)。そして、原案・監督・脚本・作画監督等を務めた『日本アニメ(ーター)見本市』の短編「旅のロボから」。
 トークの出演は沖浦啓之と、アニメーターとして『人狼 JIN-ROH』『ももへの手紙』に参加している西尾鉄也。前売り券の発売日は決まり次第お伝えする。

 なお、「アニメファンなら観ておきたい200本」はアニメファン初心者にお勧めの作品を上映するオールナイトの連続企画である。勿論、初心者でない観客も大歓迎だ。

新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 97
アニメファンなら観ておきたい200本 沖浦啓之と 『人狼 JIN-ROH』

開催日

2017年9月23日(土)
開場:22時15分/開演:22時30分 終了:翌朝5時40分

会場

新文芸坐

料金

一般2800円、前売・友の会2600円

トーク出演

沖浦啓之、西尾鉄也、小黒祐一郎(司会・アニメスタイル編集長)

上映タイトル

『走れメロス』
『人狼 JIN-ROH』
『ももへの手紙』
『日本アニメ(ーター)見本市/旅のロボから』

備考

※オールナイト上映につき18歳未満の方は入場不可
※トークショーの撮影・録音は禁止

●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

114 アニメ様日記 2017年7月30日(日)~

2017年7月30日(日)
早朝、新文芸坐に。着いた時には「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 95 BONES NIGHT『アクションアニメ』はいいぞ!」の最後のプログラム『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』の終盤だった。前に上映した時よりもフィルムの状態がよかったんじゃないかな。
 去年の夏に中古ソフトで「スーパーロボット大戦A」を購入して、プレイしている。2001年にリリースされたゲームボーイアドバンスのソフトだ。どうして数ある「スパロボ」の中から「A」を選んだのかというと、『ファーストガンダム』や『マジンガーZ』等、「スパロボ」初期からのお馴染みのユニットが出てくるゲームをプレイしたかったのだ。1年と少しやって、今は四度目のプレイの途中だ。空き時間にたまにやるだけなのでなかなか進まない。二度目のプレイから攻略本を片手にやっていて、今回の目標は東方不敗を仲間にすることだった。東方不敗はいわゆる隠れキャラで、いくつかの条件を満たさないと味方にならないのだ。今日、ようやくその東方不敗が仲間になったのだが、これが篦棒に強い(ユニットとしてはマスターガンダム+風雲再起で使用している)。「あてる・よける」のうえに、長距離攻撃もできれば必殺技も強大。さらにEN消費ゼロで弾数制限なしで使える武装がある。ゲームバランスを崩しかねない強さだ。動かしていて楽しい。

2017年7月31日(月)
東武百貨店池袋店で開催中の「タツノコプロ55周年GO!GO!記念展」を見に行く。イラストやラフが沢山展示されていて、しかも、撮影がOK。昔から印刷物で何度も見たイラストの現物があるのが嬉しかった。
 「『君の名は。』Blu-rayコレクターズ・エディション 4K Ultra HD Blu-ray同梱5枚組」の特典ディスクを観た。ビデオコンテ、メイキングドキュメンタリー、 ビジュアルコメンタリー、新海誠監督講演映像、イベント記録映像集等々。特典のボリュームが凄まじいし、ひとつひとつのコンテンツの作りも丁寧。値段に見合った充実した内容だ。
 「週刊プレイボーイ web comic」の「キン肉マン」を楽しみにしている。今日の更新分ではウルフマンに加えて、ティーパックマン、カナディアンマンといった懐かしい面々が襲来した敵に立ち向かう。「おお、まだその手があったか」と思った。「週刊プレイボーイ web comic」の「キン肉マン」は話を練っているし、ファンの期待に応えようとしている感じがよい。

2017年8月1日(火)
「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.1」の告知開始。pixiv Zingaroの『リトルウィッチアカデミア』展をチラっとのぞきに行く。

2017年8月2日(水)
昨夜の「ルパン三世ベストセレクション」では20位を放映。『PARTIII』37話「父っつぁん大いに怒る」だった。先週放映の21位に続いて銭形メインのエピソードだ。出来が悪いわけではないし、見どころがないわけではないけれど、ベスト24に入ったのは少し意外だった。
 書店でアニメ本をごっそり買い込む。『メアリと魔女の花』絵コンテ本、「The Art of メアリと魔女の花」等々。「ありがとう、うちを見つけてくれて 『この世界の片隅に』公式ファンブック」は書き手の愛と熱意にあふれた1冊。

2017年8月3日(木)
「平松禎史のうすい本 2017夏」「磯光雄 Flip Book」の編集作業の大詰め。例によって大詰めで忙しいのは僕ではなくて、編集部のスタッフだ。
 発売からちょっと遅れて事務所に届いた「Megami MAGAZINE」2017年9月号に目を通す。これは18周年記念号で「エッチなアニメで振り返る メガミマガジンの18年」という記事が興味深かった。例えば、2004年6月~2006年6月の同誌についての記事の見出しは「誌面から乳首が消え、18禁OVAページも抹消」というもの。2014年4月~2017年7月についての記事の見出しは「メガミマガジンある限り エッチアニメを追い求める」。清々しい。

2017年8月4日(金)
『ガンダムビルドファイターズ バトローグ』の配信が始まったので、Amazonビデオで観る。リバーシブルガンダムのパイロットがリボンズ・アルマークからアムロ・レイに変わるという変化球パロディで、エンディングは古谷徹さんと蒼月昇の両方がクレジットされていた。さらに、シャア・アズナブル(=キャスバル・レム・ダイクン)を演じるのは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でシャア・アズナブル(=キャスバル・レム・ダイクンが入れ替わる前の本物のシャア)を演じた関俊彦さんというひねり技。

2017年8月5日(土)
仕事で必要な資料が見つからないので、入手のために、中野のまんだらけへ。まんだらけに入る前に昔からの知り合いのデザイナーさんに、まんだらけを出たところで学生時代からの知人にバッタリ。さすがは中野。さすがはブロードウェイ。

第112回 萌えるアクションサウンド 〜きらめき☆プロジェクト〜

 腹巻猫です。いよいよ今週末、8月11日(金)19時より阿佐ヶ谷ロフトで「渡辺宙明トークライブ Part11」を開催します。アニメ・特撮作品で活躍する脚本家・荒川稔久さんをゲストに迎え、荒川さん作詞×宙明先生作曲のアニメソングの制作秘話や宙明先生の最新動向をうかがう予定。その翌日12日は、コミックマーケット92に「劇伴倶楽部」で出展します。新刊はありませんが、『海のトリトン』『伝説巨神イデオン』の音楽研究本と委託で「サンダーマスク」のライブラリ音楽研究本を頒布する予定。両日とも、お時間ありましたらぜひお立ち寄りください!

「渡辺宙明トークライブ Part11 〜宙明音楽夜話 featuring 荒川稔久〜」
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/68971


 荒川稔久の代表作のひとつ「特捜戦隊デカレンジャー」(2004)は東映スーパー戦隊シリーズの中でも人気作のひとつだ。放送10周年となる2014年にはVシネマ「特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER」が公開され、今年2017年にはデカレンジャーが宇宙刑事ギャバンと共闘するVシネマ「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」が公開された。「スペース・スクワッド」のテーマソングは渡辺宙明の書き下ろし。劇中音楽は渡辺宙明と「デカレンジャー」の音楽を手がけた亀山耕一郎が連名でクレジットされている。
 亀山耕一郎はスーパー戦隊シリーズ「未来戦隊タイムレンジャー」(2000)、「動物戦隊ジュウオウジャー」(2016)でも音楽を手がけた作曲家。テクノとプログレの要素を取り入れた「タイムレンジャー」、刑事ドラマ風の「デカレンジャー」、生パーカッションを使ってワイルドな味を出した「ジュウオウジャー」と、それぞれに工夫を凝らした音楽が印象に残る。今回は、その亀山耕一郎の作品を紹介したい。

 亀山耕一郎は1962年生まれ、兵庫県神戸市出身。子どもの頃から音楽好きでミュージシャンになりたいと思っていた。小学生時代はピアノを習い、6年生になってバンドを始めた。中学、高校とバンドを続けるが、演奏ではうまいやつにかなわないとミュージシャンになる夢は挫折。作曲家を志す。  高校卒業後、浪人して東京藝術大学音楽学部作曲科に進学。前回紹介した三宅一徳や佐橋俊彦と同時期に東京藝大で学んだ。在学中からバンド仲間の紹介でCM音楽を作るようになり、作曲家としての道が開ける。
 いっぽうで大学時代からシンセサイザーに興味を持ち、自身で機材を買い、打ち込みに取り組んでいた。その知識と技術が認められて、『忍者戦士 飛影』(1985)などの作曲家・川村栄二のもとでシンセサイザーオペレーターとして2年ほど活動した。川村が手がけた「仮面ライダーBLACK」(1987)やスーパー戦隊シリーズの音楽に亀山が作った音が生かされている。
 TVのクイズ番組の音楽作りなどを経て、本格的な映像音楽デビューとなったのは1992年に制作されたイタリア=日本合作アニメ『冒険者』(日本では2002年放送)。以降、ドラマ、アニメを中心に活躍している。
 アニメの代表作は、イメージアルバムから手がけた『炎の蜃気楼』(2002)、『ポポロクロイス』(2003)、『ボボボーボ・ボーボボ』(2003)、『銀盤カレイドスコープ』(2005)、『BUZZER BEATER』(2005)、『コヨーテ ラグタイムショー』(2006)、『ぷるるんっ!しずくちゃん』(2006)、『ビーストサーガ』(20013)、『金色のコルダ Blue♪Sky』(2014)など。
 「タイムレンジャー」や「デカレンジャー」のクールでカッコいい音楽のイメージが強いが、ご本人は熱狂的な阪神タイガースファンという関西人。そのギャップが楽しい。趣味はトライアスロン。健康に気を遣ってスポーツをやる作曲家はいるが、トライアスロンにまで参加するツワモノは他に聞いたことがない。アクションものからギャグ、ファンタジー、美少女ものまで、幅広くこなす作曲家である。  しかし、ご本人が好きなのはどちらかといえばアクションものだという。「音楽とはカッコいいもの」という思いがあるのだそうだ。

 今回、アニメの代表作を取り上げようと思ってちょっと困った。ダークな『炎の蜃気楼』、RPG風ファンタジー『ポポロクロイス』、メルヘンタッチの『しずくちゃん』、クラシカルな『銀盤カレイドスコープ』、ギャグ満載の『ボボボーボ・ボーボボ』、高校の管弦楽部を舞台にした『金色のコルダ Blue♪Sky』等、どれも魅力的だが、特撮作品のような突き抜けたカッコよさとインパクトのある作品がなかなかない。今回は筆者の趣味で『きらめき☆プロジェクト』を取り上げよう。
 『きらめき☆プロジェクト』は、2005年から2006年にかけて発表されたOVA作品。
 『AIKa』(1997)、『ナジカ電撃作戦』(2001)、『ストラトス・フォー』(2003)などを手がけたスタジオ・ファンタジアの原作・制作によるオリジナル作品だ。美少女ゲームのようなタイトルだが、巨大ロボットが活躍するロボットアニメである。
 日本企業が作った巨大ロボット・ビッグマイティがヨーロッパの小国・ジュネス王国に現われ、ロボットバトルを挑む。迎え撃つのはジュネス王国の巨大ロボット・ファンシーロボ。ビッグマイティは渋いおじさんチームが操縦する無骨なロボット。いっぽうのファンシーロボはひきこもりがちなお姫様カナの指令で動く身長45メートルの美少女お人形ロボット。ロボットアニメの定番である少年パイロットが登場しないのがユニークだ。代わりに、ハイパースーツをまとって空を飛ぶカナの妹ネネや、美少年4人組の薔薇騎士団、変形自在な美少女アンドロイド・リンクルなど多彩なキャラクターが華をそえる。『AIKa』でおなじみのお色気シーンもあるが、ビッグマイティを操るおじさんたちの心意気と、王国を守ろうとする少女たちのけなげさが心に残る。3DCGによる重量感のある巨大ロボット表現も見応えがある。アクションとギャグと熱血と萌えが渾然一体となった娯楽作品だ。
 亀山耕一郎の音楽は、巨大ロボットのカッコよさ、重厚さ、美少女の可憐さ、お嬢様のほんわかした雰囲気、おじさんの哀愁など、さまざまな要素をイキのいいサウンドで演出する。クラシックからロック、演歌までカバーする亀山の音楽性が生かされた快作である。
 サウンドトラック・アルバムは2005年8月にコロムビアミュージックエンタテインメント(現・日本コロムビア)から発売された。収録曲は以下のとおり。

  1. キミノハートニコイシテル(ビデオ・サイズ)
  2. プロローグ・謎の怪ロボット
  3. ジュネス王城の朝
  4. ビッグマイティ出現
  5. ハイパー・ネネ
  6. ジュネス王国の危機
  7. ビッグマイティの脅威
  8. 出動!ファンシーロボ
  9. リンクルのテーマ
  10. カナのテーマ
  11. 最大の敵
  12. ロボット・バトル
  13. ファンシーロボの戦い
  14. オヤジの哀愁
  15. 栄光らしき脱出
  16. 薔薇騎士団のテーマ
  17. リンクルのテーマ2
  18. リンクルのフライヤー・チェンジ
  19. コミカル・サスペンス
  20. 大矢・出張のテーマ
  21. オヤジたちの挽歌
  22. 父の国・日本
  23. オヤジ大感動
  24. ザ・パーフェクト・バトル
  25. ファンシーロボ最後の戦い
  26. 大団円
  27. SETSUNASAコミュニケーション(ビデオ・サイズ)

 構成と解説はミュージックファイルシリーズでおなじみの高島幹雄。Mナンバー入りの解説がサントラファン向けでうれしい。トラック1からトラック10までは第1巻の物語をベースにした構成、トラック11以降は最終巻までを想定したイメージアルバム的な構成となっている。
 1曲目と最後の曲はオープニングとエンディング主題歌。歌は実写ドラマ版「美少女戦士セーラームーン」の主題歌を歌った、当時19歳の歌手・小枝(さえ)。オープニング曲「キミノハートニコイシテル」は亀山耕一郎が作・編曲している。
 このオープニング主題歌、なかなかの名曲である。
 アイドルポップ風のさわやかで軽快な曲調。小枝の透明感のあるボーカルとあいまって、本作のキュートな一面を象徴する曲になっている。ハンドクラップを取り入れたアレンジも心地よい。亀山耕一郎は歌作りも巧みで、「タイムレンジャー」の正副主題歌を手がけたほか、多くの作品で挿入歌やキャラクターソングを担当。『キューティーハニーF』(1997)主題歌などアレンジのみを担当したアニメソングも多い。
 トラック2「謎の怪ロボット」は、ビッグマイティが他国の巨大ロボットにバトルを挑んで勝利するアバンタイトルに流れた曲。戦隊シリーズの巨大ロボ戦を彷彿させるダイナミックな曲調で、開幕からわくわくする。
 トラック3「ジュネス王城の朝」はチェンバロが奏でる優雅なジュネス王国のテーマ。よく聴くとオープニング主題歌の変奏になっている。後半は明るいワルツ。第1話のうららかな朝の場面をはじめ、ジュネス王国三王女の登場シーンにたびたび使用されている。ロック調の曲が印象的な亀山耕一郎だが、『銀盤カレイドスコープ』でも聴けるこうしたクラシック調の曲もうまい。
 トラック4はビッグマイティがジュネス王国に現れるシーンのサスペンス曲。ジュネス王国側の緊迫感を伝える曲調で、これも特撮作品の敵出現曲を思わせる。
 キーボードとエレキギターをメインにしたトラック5「ハイパー・ネネ」はハイパースーツをまとった美少女ネネの活躍をイメージした曲だ。ジュネス王国の三女ネネは好奇心旺盛で猪突猛進。スーパーヒロイン気取りで謎の敵に突進していく。亀山耕一郎の原点であるバンド音楽スタイルで作られた勢いのある曲である。
 上下動する弦の動きが危機感をあおるトラック6「ジュネス王国の危機」とトラック7「ビッグマイティの脅威」を挟んで、トラック8「出動!ファンシーロボ」でいよいよ美少女お人形ロボット・ファンシーロボが出動する。
 リコーダー風の素朴な笛の音がメロディを奏でるメルヘンタッチの可愛い曲調。ロボットの出動曲といえばブラスが鳴り響くアップテンポの曲、という常識を裏切る意表をついたテーマである。この曲が流れるシーンでは大爆笑してしまった。後半は「らららんらん」と可愛い女声ボーカルが同じメロディをくり返す。コミカルにも聴こえるが、それだけではない。『きらめき☆プロジェクト』という作品の雰囲気とファンシーロボのキャラクターを象徴するテーマであり、本作の音楽の聴きどころと言ってよいだろう。作品世界と遊び心がガッチリかみあった音楽設計だ。こういうセンスがとてもよい。  トラック9「リンクルのテーマ」はクラリネット、フルート、ファゴットなどを主体にしたユーモラスな曲。カナが作ったお友だちロボ・リンクルは飛行機、自動車、潜水艇など、さまざまな形態に変身できる美少女型アンドロイド。ご主人のカナを慕うあまり挙動不審のようなふるまいを見せるのが可愛く楽しい。
 そのカナを描写するトラック10「カナのテーマ」は同じく木管をメインに、ややミステリアスな曲調を聴かせる3拍子の曲。天才的科学者でありながら人づきあいは苦手、ロボットが友だちという風変わりなキャラクターと愛らしさを表現する曲である。
 弦がしみじみと歌うトラック14「オヤジの哀愁」は、マイティロボットをまかされた日本企業の課長・大矢の心情を表す曲だ。出張の多い大矢は家庭では妻と娘とすれ違い気味。現場では頑固な技術者と無理を押し付ける上司の板挟みになって苦労が絶えない。そんな大矢がジュネス王国でカナと出逢い心を通わす第4話のシーンで使用されたのが印象深い。後半部分は第5話でマイティロボがファンシーロボとリンクルを助けに現れる感動的な場面に使用されている。
 トラック20「大矢・出張のテーマ」やトラック21「オヤジたちの挽歌」も、同じく男の哀愁をただよわせる曲。ジュネス王国側のリリカルな曲調と対比して、おじさん側のドラマを象徴する曲になっている。
 最終話は大矢たちを見捨てた島田部長が、最強ロボ「ザ・パーフェクト」を操縦してジュネス王国に乗り込んでくる展開。アルバム終盤はクライマックスの激闘を演出する曲が続く。
 トラック24「ザ・パーフェクト・バトル」はザ・パーフェクトの脅威を描く曲。エレキギターが唸る激しい曲調は悪の憎々しさ全開で、対決への期待を盛り上げる。
 トラック25「ファンシーロボ最後の戦い」は、ジュネス王国の危機を察知したファンシーロボが自らの意思で出動する場面に流れた悲壮感あふれる曲。まるで60年代特撮ドラマ「ジャイアントロボ」(1967)のような展開で、ぐっとくる場面だ。
 曲順は前後するが、大矢たちが最後の意地を見せてザ・パーフェクトに挑む場面には、トラック23「オヤジ大感動」が使用された。ホルンと弦が奏でる哀愁を帯びたメロディが、おじさんチームの熱い気持ちを表現する。そうそう、ロボットアニメやヒーローものにはこういう曲がなくては!  サウンドトラック・パートを締めくくるのは、オーケストラがゆったりと演奏する平和曲「大団円」。最終話のラストシーンに流れた曲である。弦の大きなうねりと金管の大らかな響きが安らぎを表現する。
 カッコよさと可愛さと感動がパッケージされた満足度の高いサントラである。本編を観ていなくても、音楽を聴くだけで作品の楽しさが伝わってくる。翳りのないストレートな音楽は亀山耕一郎の人柄を反映しているようだ。

 昨年から今年にかけて、特撮作品「動物戦隊ジュウオウジャー」「スペース・スクワッド」で健在ぶりを示した亀山耕一郎。アニメでもキラキラしたイキのいいアクション作品での活躍を期待したい。

きらめき☆プロジェクト オリジナルサウンドトラック
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113 アニメ様日記 2017年7月23日(日)~

2017年7月23日(日) 
「この人に話を聞きたい」の原稿を進める。
 録画で『REFLECTION』1話を観る。予想以上にビジュアルが独特。他にはないものを作るという意味では長濵博史さんらしい。バンダイチャンネルで『生徒会役員共』を1話から観る。いやあ、楽しいなあ。メインの女の子は3人とも好きだなあ。数年前に観返した時よりも好きになっていた。
 15時30分からバルト9で『劇場版 生徒会役員共』を観る。観る前から、冒頭にカメラワークが凝ったシークエンスとやたらと動くモブシーンがあるだろうと思っていたのだけど、それについては予想通り。劇場公開されているけれど、『生徒会役員共*』シリーズの2話分という位置づけだったらしく、劇中で話数表示がある。冒頭と、終盤のオリジナルエピソードと思われる部分以外は、TVシリーズと同じノリ。だからと言って物足りないわけではない。これからも年に一度くらいのペースで新作を劇場にかけてくれたら観にいきたいと思う。ただ、オープニングは作り直してくれると嬉しい。

2017年7月24日(月) 
午前1時30分頃に事務所に入る。タイプミスではなく、午前1時30分である。1時50分から、テレビ東京で「アニメ『ポケットモンスター』プレミア10」が始まる。20周年を迎えたアニメ『ポケットモンスター』の中から、ポケモンに縁の深い10人が選んだ10エピソードを10週連続で放映するのだそうだ。一回目の今回は湯山邦彦監督が選んだ第1シリーズ1話「ポケモン!きみにきめた」。第1シリーズ72話の「ニャースのあいうえお」は10エピソードに入るんだろうなあ。
 午前中に「この人に話を聞きたい」の本文原稿を終える。「この人に話を聞きたい」の本文は1万2000文字が目安で、テープおこしは4万文字から6万文字くらい。つまり、4万文字から6万文字のおこしを1万2000文字に圧縮するわけだ。以前は2万文字くらいにまとめて、そこから削って1万2000文字にすることが多かったが、最近は頭からまとめていって最後までいくときれいに1万2000文字になっていることが多い。今回もそうだった。

2017年7月25日(火)
相変わらず慌ただしい日々。Twitterで「平松禎史 SketchBook」の告知開始。ムック「未来警察ウラシマン COMPLETE BOOK」をいただく。1983年に放映された『未来警察ウラシマン』のムックである。初期デザインなど、初めて見る資料がいくつも載っていた。イラストの再録も嬉しかった。

 アニメーターの増尾昭一さんが亡くなられた。素晴らしい仕事を沢山残してくださった方だ。僕は『ふしぎの海のナディア』のロマンアルバムと「月刊アニメスタイル」第2号の『ふしぎの海のナディア』特集でお世話になった。心よりご冥福をお祈り致します。

2017年7月26日(水)
昨夜の「ルパン三世ベストセレクション」では21位を放映。『新ルパン』第69話「とっつあんの惚れた女」だった。銭形メインの代表的なエピソードで、ここまで納得のエピソードばかりが入っていて嬉しい。1位から20位までに同じく銭形メインの『新ルパン』85話「ICPO(秘)指令」は入るのだろうか。

2017年7月27日(木)
「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.1」の校了日。同時進行で「磯光雄 Flip Book」「平松禎史のうすい本 2017夏」の作業も進む。平松さんと電話で打ち合わせをして、さらに「平松禎史のうすい本 2017夏」の掲載資料を増やすことになった。この時期に素材の追加。間に合うだろうか。ちょっとハラハラ。 
 編集スタッフDに事務所のロッカーを片づけてもらった。いらないもの、よくわからないもの、事務所では使い道のないものでいっぱいだったロッカーが随分と片付いた。15年~20年くらい前に取材で使っていたテープレコーダーがいくつも出てきた。それから、ゲキガンガー3のソフビのフィギアがでてきた。僕が持っている唯一のフィギュアだ。編集スタッフDに『ゲキガンガー3』でうちがやった仕事について説明する。編集スタッフDは『機動戦艦ナデシコ』放映時に一歳だったというから、知らなくても仕方がない。ついでに『ゲキガンガー3』のムック「ロマンアラスジ」を見せる。
 ロッカーの話をもう少し続ける。ロッカーの中から「A-kuei&Gatchinpo THE MOVIE」(「チェルシーの逆襲」「アークエと魔法のハンマー」)の先着プレゼントでもらった「アークエ オリジナルトイレットペーパー」が出てきた。自分のブログを検索したら、2005年5月7日にもらったもののようだ。あんまりにも面白いので、これは捨てずにロッカーに戻した。

2017年年7月28日(金)
慌ただしい日が続く。「設定資料FILE」と「この人に話を聞きたい」の大詰め。いや、アニメージュのこのふたつの記事で、この日に忙しかったのは僕ではなくて、他の編集スタッフです。

2017年年7月29日(土)
早朝に24時間営業の書店に行って、「月刊flowers」を購入する。本当に『少女革命ウテナ』の新作が載っていた。ウテナカフェも開催されるし、グッズも色々と出るみたいだし、20周年にふさわしい感じになっているのかな。次に『少女革命ウテナ』の書籍を自分で作るとしたら、25周年か30周年だろうか。午後はオールナイトの予習で『ストレンヂア 無皇刃譚』を観直す。
 夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 95 BONES NIGHT『アクションアニメ』はいいぞ!」。当日券も動いて、新文芸坐はほぼ満員。前に『ストレンヂア 無皇刃譚』や『COWBOY BEBOP 天国の扉』を上映した時よりも入りがいい。それを不思議に思ってトークの最初に質問をし、お客さんに挙手をしてもらったところ、中村豊さんのファンで、Twitterで彼をフォローしている方が大勢いた(印象としては4割くらい)。つまり、中村さんがTwitterで『ストレンヂア 無皇刃譚』についてずっと書き続けたことで、興味をもったファンが大勢いたということだ。凄いぞ、中村さん。その中村さんも会場に来ていたのだけれど、登壇はなし。出演の南雅彦プロデューサーと安藤真裕監督が、中村さんが聞いているのを承知で誉めまくるという、不思議なトークになった。

第525回 日曜日のコンテ

 7月30日、日曜日は幕張でワンフェスの「Wake Up, Girls! 新キャラお披露目会」に登壇し、終わって即帰社してコンテに戻りました。元来小心者で照れ屋な自分。しかし、オーディションで選ばれた3人をお祝いするのも現場の代表である監督の仕事、とばかりにつたないながらも人前に出たわけですが、やっぱり上手く喋れずどうもすみませんでした。劇場版『ヴァンガード』の舞台挨拶同様、周りの人たちに助けられっぱなし(汗)。ま、何はともあれ

「Wake Up, Girls!」ともども
「Run Girls, Run!」応援よろしくお願いします!!

 で、日曜日のコンテ作業、最高です! 誰はばかることなくとはこのことで、スタッフが休日の時に描くコンテは楽しくて楽しくてしょうがありません。自分にとってはどっかに旅行したり、美味い飯食いに行ったりするよりよっぽど面白いんです。ま、人それぞれですから。思えば俺は3〜4歳の幼少期から「モノを作る」ことが寝るより大好きで、朝早4〜5時に起きてラクガキ帳に絵ばっか描いてました。小学生の時などは、それに加えてゴルフクラブを作ったり、パソコン(当時はマイコン)でゲームのプログラム作ってたり、マンガを描いたり、空き箱を見つけては紙工作をしてました。「今日家で遊ぼー!」と自ら友達を誘っておきながら、遊んでる最中、面白いゲームのアイデアや描きたいマンガのアイデアを思いつくと

て、帰ってもらったりもしてました(酷い)。そのくらい、遊ぶより「何かを作る!」ことの方が喜びな板垣です。それが仕事になったんだから、これはもう(歓喜)!! ちょっと前にアニメ様が開いてくださったイベントで、俺が「まぁ何があっても、あと40年の辛抱ですから云々」と言ったのを、やけにネガティブに受け取られた方がいたみたいと後で聞きましたが、本当は

自分の今までの人生——43年は本当に、あっ! と言う間で、恐らく残りの40年もすぐ過ぎ去ってしまうはずだから、どんなに辛いことがあっても、それは同じくあっと言う間のはず! だったら小さいことを気にして喧嘩したり、落ち込んだりする暇があるなら、黙々と何かを作っていたい!!

と、至ってポジティブなニュアンスで言ったつもりでした。上手く伝わらないもんですね。つまり俺は

一生、呼吸するのと同じくらい自然に、
何か(アニメに限らず)モノを作り続けたい!!

てだけなんです。

112 アニメ様日記 2017年7月16日(日)~

2017年7月16日(日)
トークイベント「第133回アニメスタイルイベント元祖 ここまで調べた『この世界の片隅に』 平成29年夏編」を開催。珍しく打ち合わせをしたから、というわけではないだろうけど、このシリーズとしても内容がみっちり詰まったイベントとなった。新事実(しかも、まだ結論は出ていない)もあってそれも面白かった。
 最初の「ここまで調べた『この世界の片隅に』」がクラウドファンディングを応援するために企画したもので、だけど、その時にはクラウドファンディングが始まらず、そのままイベントを続けることになった、という経緯は今回のイベントで話題になるまで忘れていた。ちなみに第1回は2013年12月23日開催。

2017年7月17日(月)
世間では振替休日。僕は昼までデスクワーク。13時頃から新文芸坐で実写映画「彼らが本気で編むときは、」を観る。数日前まで同時上映の「湯を沸かすほどの熱い愛」を鑑賞するつもりだったのだけど、新文芸坐の花俟良王のお勧めでこちらを観ることに。小学生の女の子が、叔父、叔父の恋人と暮らすことになる。叔父の恋人は元男性だった。好きか嫌いかは別にして、印象に残りそうな映画。映画そのものよりも登場人物が僕の記憶に残るかもしれない。一目惚れした相手が元男性であることを知り、それを自然に受け入れた叔父さんが素敵だ。撮りっぷりもよく、長回しのいいカットがいくつもあった。劇中の食べ物や室内もよかった。

2017年7月18日(火)
入稿、チェック、連絡で大忙しの1日。
 午後ちょっと事務所を出たら、突然の雨と風。そして、雹。大粒の雹がガンガンと振ってきた。サンシャインシティで雨宿りしていたのだけど、外の景色はまるで特撮映画のようだった。すぐに雨も風も雹もやんだのだけど、地面のあちこちに大量の氷が残っていた。

2017年7月19日(水)
昨夜の「ルパン三世ベストセレクション」では22位を放映。『新ルパン』26話「バラとピストル」だった。次元にスポットが当たった話で、ゲスト美女との絡みもあり、次元とルパンとの対決もありというエピソード。この上の順位に次元主役の話、五右ェ門主役の話が入りそうだ。プロードウェイシリーズは入るだろうか。
 夕方からのある方と打ち合わせ。その席で『メアリと魔女の花』が話題になった。彼はラストでメアリが魔法を捨てたことについて「米林監督達が、これからスタジオジブリのスタイルを捨ててやっていく決意を示したものだ」と受けとめて感動したという。確かにインタビューやテレビの特番で、西村プロデューサーや米林監督は、スタジオジブリの存在を魔法に喩えた発言をしていた。米林監督達が『メアリと魔女の花』のラストにそういった意味を込めていたかどうかは分からないが、もしも、そうだとしたら面白い。

2017年7月20日(木)
夏に出す本(「平松禎史 SketchBook」ともう1冊)、その付録小冊子(「平松禎史のうすい本 2017夏」ともう1冊)、アニメージュの「設定資料FILE」「この人に話を聞きたい」が同時進行でてんやわんや。
 「平松禎史 SketchBook」の校正紙と束見本の作り直しが届いたが、今日から平松さんはイベントのためにマレーシアだ。帰国するまでに校了しなくてはいけないので、校正紙を見てもらう時間はとれない。校正紙の前に試し刷りを出して、平松さんに見てもらっておいてよかった。

2017年年7月21日(金)
引き続きてんやわんや。マレーシアにいる平松さんにメールを送って確認をしたり。夏に出す本の付録小冊子(「平松禎史のうすい本 2017夏」ではない方)の打ち合わせをしている時に、印刷会社の方が紙の見本を持ってきてくれた。打ち合わせに参加していた皆で紙を触って「この紙だと薄すぎるんじゃないですか」「上質紙にしましょうよ」「中とじではない方が」等と、その場で意見を出し合って、印刷会社の方に伝える。

2017年7月22日(土)
「この人に話を聞きたい」の原稿を進める。午後、TVをつけたらキッズステーションで『ミラクル☆ガールズ』をやっていた。ぼんやり観ていたのだけど、面白いなあ。僕は本放映当時には『ミラクル☆ガールズ』を「ちょっと薄味だ」と思ったはずだけど、その薄味なところすらも心地よい。これは1990年代的なノリなのかなあ。今日観たのは47話「傷だらけの天使」の途中からで、劇中劇のTVドラマ「ミラクル☆ガールズ」の撮影に絡んだ話のようだった(TVドラマ「ミラクル☆ガールズ」の主役の二人のキャスト三石琴乃さんと富沢美智恵さん)。脚本の愛知拳って誰だろう。
 キッズステーション繋がりで、続けてハードディスクレコーダーに残っていた『GATCHAMAN』を観る。『科学忍者隊ガッチャマン』のリメイクで、1994年のOVAである。リリース当時は新しいデザインに対する違和感が大きかったんだけど、今はまるで気にならない。キャストもいいですよ。特にベルク・カッツェ役の塩沢兼人さん。

第524回 幸せですか?

 現在作ってる作品が「幸せとは何か?」を問いかけるところから始まるので、唐突に思い立ち、今回タイトルにブチ込んでみました。昔、自分はある年上の友人から「幸せとは『やりたいこと』と『やらなくてはいけないこと』が一致している状態だ!」と言われたことがあります。当時学生だった俺は「なるほどな〜」とその友人の哲学に傾倒したもんだし、正直今でもこれは一理あると思ってるし、その範疇で言うなら、

自分は今、十分幸せです!

 やらなきゃいけない仕事が山のように机に積み上がっていて、そのすべてが「自分のやりたい仕事」なんですから。何々賞をとったり、何万本売ったなどの栄冠のない監督でも作品を作り続けさせてもらえてる——これ以上の幸せを望む人間がいるなら、その人は余程のお坊ちゃんだと思います。
 俺も20代の頃は人並みに野心に満ちてたと思うし、「自分には才能があるはず!」と信じてました。いや、正確に言うとそう思いたかったんでしょう。20代の終わりに監督をやらせてもらったとこまでは、そこそこまだ才能というものを信じてました。ところが30代に入って「おや? 雲行きが怪しいぞ?」となり、40前で

あ、俺の才能なんて大したことなかったんだ!

と分かった時、何かいろんなことが楽になった気がします。もう、ホンっとうに男ってしょうがないもんで

自分という人間が生まれてきたのは世界の必然。
自分は何かをするべくして生まれてきたはずだ!

と皆なんの根拠もない使命感を持って生まれてきてる、ような気がします。実はそれ自体は悪いことではなく、それを信じて全うし、それなりの評価をもらえた人たちだけが所謂「天才」なのでしょう。でも大半の人間は、その人生の途中で鼻をへし折られ、己の分をわきまえる。そして「上手に分をわきまえた人」は必ず幸せになれる、と思うんです! なぜなら、週休半日で働いて働いて働き尽くし、定年を迎えて退職し、実家で立派にTVの番人を勤め上げてる父親は、俺から見ると幸せそうに見えるからです。まぁでも、才能がなくても、それを自ら認める勇気もなく、トンガってツッパって喧嘩を売りまくって生きる人生ってのも、なかなかオツなものかも知れません(笑)。だって

人生は大したもんではなくても、素晴らしいもんですから!!

 だから板垣は楽しいアニメ、バカなアニメ、そしてたまに感動するアニメを、作って作って作り尽くして生を全うしたい、それが幸せです。「そんな意味のないアニメ作りたくない」って格調高き高尚アニメを作りたい監督様を否定する気はまったくありませんが、アニメ業界人全員が、同じ理想を掲げて作品を作らなきゃならない理由はないハズですよね。

第111回 何かが始まる予感 ~二十面相の娘~

 腹巻猫です。前回お知らせした横山菁児先生に続いて、「仮面の忍者 赤影」(1967)、『ピュンピュン丸』(1967)などの音楽を手がけた小川寛興先生、『宇宙海賊キャプテンハーロック』(1978)、『銀河鉄道999』(1978)、『サイボーグ009』(1979)などの主題歌・挿入歌を作曲した平尾昌晃先生の訃報が相次いで飛び込んできました。アニメ音楽史に残る名曲を遺した先生方が相次いで天に。寂しい夏です。


 8月2日と3日に池袋の東京芸術劇場で「セーラームーン クラシック コンサート」が開催される。『美少女戦士セーラームーン』誕生25周年を記念したオーケストラ・コンサートだ。『セーラームーン』とオーケストラといえば渡辺俊幸が編曲した「交響詩 美少女戦士セーラームーンR」があるが、今回はそれとは異なる構想による新アレンジ。『セーラームーン』の歴代アニメ、ミュージカル作品から選曲されているというから90年代アニメファンもセラミュファンも聴き逃せない。故・有澤孝紀さんのアニメBGMも演奏されるとか……。
 http://sailormoon-official.com/information/25th_classic_concert.php
 その「セーラームーン クラシック コンサート」にアレンジャーとして参加しているのが三宅一徳。アニメや東映特撮作品の音楽でも活躍する作・編曲家だ。今回は三宅一徳の仕事を紹介したい。

 1963年生まれの三宅一徳は沖縄出身。すぐに東京に引っ越したので東京育ちだ。幼少期からピアノ、オルガンを習って音楽教育を受けたが小学校2年で辞めてしまう。その後、ロック、ポップス、映画音楽、海外TVドラマの音楽など、さまざまな音楽を吸収して育った。少年時代は音楽家より飛行機のパイロットになりたかったという。高校生になり、航空大学を目指そうとしたが視力が低下して断念。小さいころからなじんでいた音楽の道に舵を切りなおした。
 少し回り道をしたが、晴れて東京藝術大学作曲科に入学。純音楽を勉強するいっぽうで商業音楽の世界に傾倒していった。本当は、アカデミックな純音楽よりも、ロックや映画音楽のような商業音楽がやりたかったのだ。
 この東京藝大時代に知り合ったのが、1年先輩にいた佐橋俊彦。『機動戦士ガンダムSEED』や「仮面ライダー電王」の作曲家である。趣味が一致した2人は意気投合して現在まで続く交友がスタートする。2人のエピソードは面白いのだが字数の都合もあるので割愛しよう。
 藝大卒業後、三宅は現代音楽と古典音楽のハイブリッドのようなユニークな音楽活動を始めた。シンセサイザーと邦楽器、クラシックとロック。邦楽器奏者ユニット・箏座のメンバーとして活動した時期もある。そんな中で徐々に映像音楽やオーケストラアレンジの仕事が増えていった。
 実は三宅は、1995年リリースのアルバム「美少女戦士セーラムーンSuperS in Paris」(日本コロムビア)で、一度『セーラームーン』の楽曲をアレンジしている。同じ年に手がけたのがTVアニメ『ぼのぼの』(1995)の音楽。そして、三宅一徳の名をサントラファンに知らしめたのが、2002年の東映スーパー戦隊シリーズ「忍風戦隊ハリケンジャー」の音楽だ。大編成オーケストラに邦楽器。三宅の指向にぴたりとあった編成で繰り出されるダイナミックな音楽は新時代のスーパー戦隊音楽の誕生を印象づけるものだった。
 その後も、「仮面ライダー剣」(2004)、「獣拳戦隊ゲキレンジャー」(2007)、「天装戦隊ゴセイジャー」(2010)と東映特撮作品の常連として活躍。アニメでは『ふたつのスピカ』(2003)、『エリア88』(2004)、『妖逆門』(2006)、『ライブオン CARDLIVER 翔』(2008)などを手がけている。
 オーケストラ、ロック、シンセサイザー、邦楽器。異なる音楽要素を自在に操る三宅一徳の音楽は、ひとつの枠では語りがたい。密林の中に多様な動物や植物が共生するように、多様な音楽が渾然となって自然に共存する現代のクロスオーバー音楽のような印象がある。

 そんな三宅一徳の作品から、今回は2008年に放送されたTVアニメ『二十面相の娘』を紹介しよう。
 『二十面相の娘』は2008年4月から9月まで、全22話が放送されたTVアニメ作品。小原愼司の同名マンガを原作に富沢信雄が監督。アニメ制作はボンズとテレコム・アニメーションフィルムが担当した。
 戦後復興期の日本を舞台に、怪人二十面相の仲間となった少女・美甘千津子(チコ)が二十面相の遺産をねらう怪人や博士を相手に活躍する冒険活劇。幾度も危機に陥りながらも二十面相を信じ、慕い続けるチコの心情が胸を打つ。チコ(声・平野綾)が二十面相を呼ぶ「おじさん」を聞いていると、『ルパン三世 カリオストロの城』のクラリスがルパンについていったらこんなふうだったのでは……と想像してしまうのは筆者だけではないだろう。
 三宅一徳の音楽は時代背景に沿ったレトロな雰囲気を醸し出しつつも、それにとらわれず、二十面相のキャラクターにふさわしい変幻自在な表情を見せる。カッコよさ、サスペンス、叙情。冒険活劇の要素を押さえながら現代的なサウンドに仕上げた意欲作だ。
 サウンドトラック・アルバムは2008年9月にランティスから発売された。2枚組63曲収録のボリュームがうれしい。曲数が多いため、収録曲は下記リンクを参照されたい。

 TVアニメ「二十面相の娘」オリジナルサウンドトラック
 https://www.amazon.co.jp/dp/B001DC6RIS

 ブックレットは見開き4ページのみのシンプルなものながら、作曲者のコメント入り。「二十面相号外」と題された投げ込みリーフレットで4人のプロデューサーのコメントも読むことができる。コストを抑えながら必要な情報がしっかり入っている。
 主題歌の収録はなく、全曲、三宅一徳作品で構成。サブタイトル音楽や同一テーマのバリエーションも網羅した、ファンにはうれしい内容である。
 曲順は劇中使用順とは関係なく、曲調重視で並べられているようだ。本編とは別の、サントラだけのアナザーストーリーを音楽で楽しむ構成になっている。
 Disc1の1曲目に配されたのは「華麗なる盗みのテーマ」。本作のメインテーマとも言うべき曲だ。サックスとブラスをフィーチャーした8分の6拍子のジャズ。バックはピアノ、ウッドベース、ドラムスという王道の編成にストリングスが加わる。レトロなビッグバンドの香りを漂わせつつ、演奏は現代風にスタイリッシュ。スリリングで優雅な雰囲気も感じさせるみごとなテーマだ。第1話アバンタイトルで二十面相が天使のオルゴールを盗み出す場面から使用。チコが二十面相の誘いに応じて外の世界へと飛び出していく名場面にも使用されて鮮烈な印象を遺した。
 Disc2の最後にはこの曲のバリエーション「華麗なる盗みのテーマ Not BRASS」が配されて、シンメトリーをなしている。しゃれた構成である。
 二十面相やその仲間たちが活躍する場面には「AcTionN」と題された「華麗なる盗みのテーマ」の変奏が流れる。サントラでは「AcTioN -動-」「AcTioN -動 02-」「AcTioN -迷-」「AcTioN -迷 02-」「AcTioN -静-」と5曲のバリエーションが収録されている。「動」はスマートに軽快に、「迷」はピアノでしっとりと、「静」はフルートとギターをメインにミステリアスに。メインテーマを印象づける巧みな音楽設計だ。
 その「AcTionN -静-」でDisc1が締めくくられ、Disc2は「スリルの風をきって」と題された軽快なジャズナンバーから開幕する。サックスとブラスが華麗に奏でるのはメインテーマとは異なる旋律による二十面相のテーマ。第1話でチコを乗せた二十面相の車がパトカーとカーチェイスを繰り広げる場面に使用された。
 「二十面相 SMOKY」はサックスが二十面相のテーマを奏でるジャズバラード。「二十面相 COOL」では、サックスの代わりにビブラフォンがフィーチャーされている。
 かと思うと、同じ「二十面相」のタイトルがついた曲でも「二十面相/Arranged B-type」はメインテーマのバリエーション、「二十面相 ~香りを残して~」は劇中歌「Bonne Justice」の変奏、「二十面相 Silence」はまた別の旋律と、二十の顔を持つ男のように音楽も変幻自在なのが面白い。
 メインテーマ、二十面相のテーマと並んで印象深いのが、チコのテーマである「チコ-二十面相の娘 one」だ。軽快なリズムに導かれて素朴な笛の音がフォークロア調のメロディを奏でる曲で、チコの活躍場面にたびたび使用された。
 この素朴なの笛の音――クレジットにはケーナ、パンフルート、リコーダーと書かれているが曲ごとにどの楽器かは特定しづらい――が出色で、本作に懐かしさと異国情緒をブレンドしたような独特の空気感を添えている。大団円によく使われた「東の空が光るころ」にも笛がフィーチャーされているし、チコと親友の春華、チコの世話をするメイドのトメさんらがガールズトークを繰り広げる心休まる場面にも、「イスを並べて」「風に吹かれて」「スープを囲んで」など、明るい雰囲気の笛の曲が流れる。
 ライナーノーツの三宅一徳のコメントによれば、自由を求めるものの象徴としてジャズとトラディショナルミュージックの要素を本作の音楽の核に置いたのだそうだ。そのトラディショナルミュージックの部分を代表しているのが、こうしたリコーダー系の笛の曲なのだろう。
 二十面相一味が盗みを働く場面のスリリングな曲も耳に残る。ピアノとパーカッションのリズムが緊迫感を生む「作戦開始 Code-A」、ウッドベースとラテンパーカッションの絡みが秘密の活動を暗示する「作戦開始 Code-B」、ピアノ、ギター、ストリングスだけのシンプルな編成の「合図とともに」など。抑えた曲調が効果を上げている。
 忘れてはならないのが「少女探偵団」と題された一連の曲。少女探偵団とは冒険に憧れる春華が自分とチコとトメさんの探偵活動を妄想して名づけたチーム名。ジャジーで遊び心満点の曲調に仕上がっている。スキャットこそフィーチャーされていないが、雰囲気はアルマンド・トロバヨーリの「黄金の七人」! 少女探偵団はエンディング映像にもメインで取り上げられているのに、劇中では第15話「少女探偵団」と最終話くらいしか活躍の場がなかったのが残念だ。この曲が流れる華やかな場面をもっと観たかった。
 世界大戦の遺産が悲劇を招くシリーズ中盤から後半にかけての展開では、超人的な能力を身につけた怪人やマッドサイエンティストが暗躍を始める。そうした場面に流れるのが「大戦の暗部」「人間タンク」「白髪鬼」「教授」といった楽曲。いずれも、ミステリアスな曲調の中に悲しみを宿しているのが特徴だ。彼らは大戦によって人生を変えられてしまった悲しい犠牲者でもあるのだ。
 本作の音楽の白眉は、実はアクション曲よりも、こうした哀感を帯びた曲ではないかと思う。チコの苦悩を表現するピアノ曲「心の瓦解」や淡々としたピアノの音色に静かな悲しみがにじむ「孤独(Sepia)」、世間の噂とは異なる二十面相の秘めた想いを暗示するメインテーマのアレンジ「巷間の噂」、チコや春華が悲壮な決意を固める場面に流れた「背に雨音が響き」、そして、第6話でのチコと仲間との別れや第14話でのチコと二十面相との別れの場面に流れた、ずばり「別れ」と題された弦合奏の曲。大人びた曲調でチコたちの複雑な心情を表現し、ドラマに深みを与えている。こうした曲が、本作を単なる冒険活劇にとどまらない人間ドラマに昇華させていると思うのだ。
 ボーナストラックに収録された「Bonne Justice」は物語の鍵となる重要な曲である。フランスの詩人ポール・エリュアールの詩「よき正義」に三宅一徳が曲をつけた。劇中では秘密の暗号を宿した歌として登場し、二十面相とチコが口ずさむシーンがある。サウンドトラックに収録されたのはMeriが歌うシャンソン風のバージョン。まるでミシェル・ルグランかフランシス・レイかと思うようなおしゃれでロマンティックなサウンドに仕上がっている。このバージョンは実質的な最終話となった第21話で二十面相とチコとの最後の別れの場面で使用され、フランス映画の一場面のような名シーンを創り出している。

 『二十面相の娘』は、三宅音楽の大人カッコいい一面が聴ける渋い作品である。東映特撮作品のケレン味たっぷりのストレートな音楽や『ふたつのスピカ』のハートウォーミングな音楽とはひと味もふた味も異なる、アクの強い音楽を聴くことができる。ジャズに民族音楽にオーケストラ。異なる音楽の出逢いがダイナミズムを呼び、闇と光の間でもがく人間のドラマを陰影豊かに描き出す。劇中の二十面相とチコの台詞を引くなら「何かが始まりそうな」予感に満ちた、刺激的で心を動かされる音楽だ。

TVアニメ「二十面相の娘」オリジナルサウンドトラック
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111 アニメ様日記 2017年7月9日(日)~

2017年7月9日(日)
アニメイト池袋本店の前で「『世界一初恋 アニメイトの場合』はアニメにならないのかなあ」という話から、「『世界一初恋』の前にやっていたやつなんだっけ。『極悪エロティスト』みたいなタイトルの」「それは『純情ロマンチカ』だ! なんだ、エロティストって。エロいテロリストか!」と会話が展開。そんな日曜の昼。念のため書いておくけど、僕は『世界一初恋』も『純情ロマンチカ』も好きですよ。それから「世界一初恋 アニメイトの場合」はアニメイト池袋本店が舞台になっているらしいです。
 作業をしながら「午後のロードショー」の「シャークネード サメ台風2号」を観る。オンエアでは途中からの視聴だったけど、全編を観たら予想以上の馬鹿映画。しかも、男の馬鹿映画。ブラボー。

2017年7月10日(月)
アニメージュ発売日。今月は「この人に話を聞きたい」はお休み。「設定資料FILE」は『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』。この作品の設定は充実している。デザインそのものもいいし、設定の数も多い。特にニーナがいい。表情もいいし、ポーズもいい。スタッフの愛情が注がれている感じだ。ニーナのラフのポーズ集はどうしても載せたくて掲載した。
 作曲家の横山菁児さんが亡くなられた事を知る。iTunesに「交響組曲 宇宙海賊キャプテンハーロック」を入れてなかったので、改めてAmazonに発注する。

2017年7月11日(火)
SNSで知人に「小黒さん的には『宇宙戦艦ヤマト2199』『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』はどうなのよ」と聞かれたので「『2199』にあったオーラのようなものが『2202』はなくなっている。そのオーラがないから『2202』がつまらないというわけではない」と答えて、さらに「自分の中では、オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』との関係性という意味で『宇宙戦艦ヤマト2199』と『超時空要塞マクロス』の位置づけは近い」と話す。さらに『ヤマトよ永遠に』のアルフォン少尉と『2202』のキーマンの関係はどうなんだろうかと話が転がっていく。説明しておくと、アルフォン少尉の初期名がキーマンなのである。

2017年7月12日(水)
昨夜の「ルパン三世ベストセレクション」では23位を放映。『ルパン三世PARTIII』44話「ボクたちのパパは泥棒」だった。以下は過去に書いたコラムからの抜粋。
……………………
 これは僕が好きな話でもある。とある街でルパン、次元、五右ェ門のところに、彼らを父親と呼ぶ子どもが現れる。つまり、ルパン、次元、五右ェ門が過去に関係した女性が子どもを産み、その子が転がり込んできたわけだ。身に覚えのあるルパンは、彼らの存在を否定できない。女性に対して堅い次元や、超堅物の五右ェ門まで、指折り数えて、その子が本当に自分の子どもなのか考えるところが、無闇におかしい。劇中では描かれていないが、彼らもやる事はやっているわけだ。ルパン達の私生活の、生臭い面が垣間見えたエピソードだ。
 最初に隠し子が発覚したのはルパンで、その時の次元のハシャギっぷりが凄い。「きたー! きたきたきたきた、ついにきました。ルパンさーん!」と大喜び。俺はいつかこんな日がくると思っていたんだよ、というわけだ。長い事、独身貴族を気取って遊んできたけれど、ツケが回ったきた。彼らが長年遊んできたからこそ成立する話である。少なくとも、脚本の狙いとしては、この話の彼らは20代ではない。
……………………
 キャラクターとしてのルパンファミリー好きとしては、大変に楽しいエピソードだ。いい話がランクインしたなあ。ますます他の順位が楽しみだ。

2017年7月13日(木)
水曜の22時から23時のTOKYO MXはショート番組の密集地帯。『カイトアンサ』『イケメン戦国 時をかけるが恋ははじまらない』『アニュ研!秋葉原アニメ・アミューズメント研究所』『クリオネの灯り』『てーきゅう9期』『ノラと皇女と野良猫ハート』『ラファンドール国物語』の7本立て。録画をまとめて視聴したけど、なかなかカオス。静止画で話が進む『ラファンドール国物語』にはちょっと驚いた。

2017年7月14日(金)
ここ数日は編集作業の大わらわ。自分でページ構成をやっているわけでも、原稿を書いているわけでもないのに、ずっと忙しい。どうでもいいけど、大わらわって「大童」って書くんですね。

2017年7月15日(土)
池袋HUMAXシネマズで『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』を観る。サトシとピカチュウの出会いから描く内容で入りやすかった。僕的にはもっともっと話がシンプルでもよかった。副監督で、絵コンテでもクレジットされている矢嶋哲生さんのカラーも出ていたと思う。

第523回 基本、出たくありません

自分は出たがりではないのです!

 大前提として、TVに出たがりだったりSNSで出たがりな方々を非難する気はもーとーありません。むしろその度胸には敬服するばかりで、俺にはその度胸も度量もないだけ。かなり前にもここで説明したとおり、作品の宣伝だったり、その他自分だけ出ないわけにはいかないような場合を除き、基本写真取材もNGにさせていただいてます(海外とかで不意に撮られたりしましたが)。地元名古屋の友人なら、板垣がかなりの「照れ屋」なのを皆知ってると思います。小学生の頃、友人の何人かが「天○クイズ」(1967〜2004年/CBC)に出演したことがありました。それは小学生が何人かのグループで申し込む視聴者参加型クイズ番組で、当時そこに出た友人の1人から「伸くん、誘ってあげなくてゴメンね(笑)」と自慢げに言われたんですが、正直羨ましくもなんとも思わなかった記憶があります。
 でもまあ我々昭和生まれにとって、TVや雑誌は絶対権力! TVに出たことがあればタレント気取り。本や新聞で取り上げられたりすれば、それを自慢するためにそれを持ち歩く。そーゆー友人、何人もいました。度胸のない俺の場合、自分が関わった作品は「見て〜」と電話やメールしたりしますが、己自身が出演した番組とかは誰にも教えません、恥ずかしいから。以前某○HKで「ラノベのアニメ化」云々の特集(ホラ、特集タイトルすら憶えていない)に出ざるをえなかった時、それも親姉弟にすら伝えていなかったのに、山形の母方の従兄弟から「伸くん、TV出とった?」と。ぐぁ〜

見られたくなかった〜っ!!

と悶えたもんです(汗)。いや、本来仕事絡みでカメラを向けられるのは光栄なこと。それが分かってても苦手は苦手。というわけなので、監督としての責任感のみで、頑張ってしゃべりに出てきたとしても、けして「格好よい出で立ち」も「面白いお話」も期待しないでください。板垣より。

110 アニメ様日記 2017年7月2日(日)~

2017年7月2日(日)
事務所に篭もって「この人に話を聞きたい」取材の予習でDVDを観る。あれとかこれとか『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』とか。予習とはあまり関係ないけど、先日途中まで観た『僕だけがいない街』をラストまで観る。それで気がついたのだけど、僕は雛月加代が助かったところで満足して、その後の話数を観ていなかったようだ(最初の数話は二度か三度ずつ観ているのに)。誰に対して申し訳ないのかよくわからないけど、申し訳ない気持ちになった。主人公の藤沼悟が十数年眠り続けた後のシリーズ終盤は、それまでと手触りが違っていて新鮮だった。

2017年7月3日(月)
午前中は取材の予習の続き。昼から取材。「この人に話を聞きたい」の第百九十五回は音響監督の岩浪美和さん。どんな取材になったのかは「アニメージュ」9月号が発売されるまでのお楽しみ。

2017年7月4日(火)
録画で「ルパン三世ベストセレクション」の第1回を観る。第1シリーズ、第2シリーズ、第3シリーズから人気投票で選ばれたエピソードを放映するようだ。昨夜の放映は24位の第1シリーズ3話「さらば愛しき魔女」だった。これは渋い話がきたなあ。他の23本も渋めの話が多いのだろうか。楽しみだ。
 取材には間に合わなかったけれど、『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズリターンズ』DVDのコメンタリーを聞く。出演者は岩浪さんとキャストの方々。これが猛烈に面白かった。言いたい放題で「そんなことまで言って大丈夫か」と思うほど。アニメのコメンタリーの中でも傑作だろう。特に1話はコメンタリーを聞いてから本編を観たら面白さが倍増。

2017年7月5日(水)
中野で佐藤順一さんの取材。取材に向いている喫茶店が見つからなかったので、カラオケBOXで話をうかがった。何の作品についての取材なのかは、掲載される本がまだ発表になっていないのでここにも書けない。誰も観たことのないアニメについての取材である。取材の帰りに、まんだらけ中野店によってアニメ雑誌やアニメムックの古本をチェック。今は制作プロダクションが刊行して、イベントなどで販売する資料集も多いのだけど、まんだらけにはそういった書籍も置いてあった。つまり、一般書店で購入できない本を売っていたのだ。もう少しで数万円分をまとめて買ってしまうところだったけれど、計画を練ってから再び来ることにした。少しは僕も大人になった。事務所でボロボロになった「アニメージュ」を一冊だけ買い直す。

2017年7月6日(木)
夏に出す書籍の特典小冊子に、ある作品の制作資料を相当にマニアックなかたちで収録できることになった。自分でも楽しみ。それにしても今週は具体的なことが書けない話題が多い。ごめなさい。
 7月5日深夜の『天元突破グレンラガン』再放送の枠内で、錦織敦史監督、キャラクターデザイン&総作画監督・田中将賀さんの新作『ダーリン・イン・ザ・フランキス』が発表になった。TRIGGER&A-1 Pictures共同制作だそうだ。面白い顔ぶれだ。  そして、7月6日には岡田麿里さんの監督作品『さよならの朝に約束の花をかざろう』、山賀博之監督&キャラクターデザイン・貞本義行さんの『零世紀 エメラルダス』。それから『プリセンスチュチュ』のBlu-ray化も発表される。岡田麿里さんには「自分の作品」をやってほしいと思っていたので、監督作品は嬉しい。

2017年7月7日(金)
朝から新番組の1話をガンガン観る。『最遊記RELOAD BLAST』はなんだか懐かしい。『アクションヒロイン チアフルーツ』は丁寧な作画が好印象。午後、テレビをつけたら「午後のロードショー」で「シャークネード サメ台風2号」という映画をやっていた。腰が抜けるほど豪快な馬鹿映画で見入ってしまう。後日、改めて観よう。「午後のロードショー」は毎日録画しているのだ。

2017年7月8日(土)
夕方から、片渕須直監督と『この世界の片隅に』イベント打ち合わせ。アニメスタイルのトークイベントはほとんど事前の打ち合わせはしないし、『この世界の片隅に』イベントではこれが初めて。具体的なトークの内容ではなく、方向性の再確認をした感じ。

第522回 放映開始、9期!

『てーきゅう』第9期、放映スタート
今回エンディングがあります!

 曲を聴いた時「あ、面白い」と思って、どーせなら変なことやろーと絵柄をリアルにしてみました。実はいつぞやこの連載でだいぶ前(第386回?)に描いたリアル版イラストをスタッフに渡して描いてもらったんですが、作監・木村博美さん(まだ10代!)の手によりさらにリアルに(笑)! 『ベルセルク』でも十分に発揮されたデッサン力がここでも活かされてます。彼女は一旦任せると、とにかく考えて描いてくれるから安心。第8期のうどん子オープニングのラスト、まりもの頭上にのっかるかまぼこが両サイドがかじられたパンツ型になってたのは、木村さんのアドリブです。そしてOPや本編も演出・豊島英太くん、総作監・吉田智裕くんはじめ、スタッフは全体的に新人がメインにくり上げられてる感じでしょうか。この調子で板垣からコンテも奪っていく若手が現れるのもそんなに遠くない未来かもしれません。あ、念のため

EDが付いても本編尺(OP・ED抜き)は90秒と変わらず!

です。最悪、再放送などでEDをカットすることがあっても、ちゃんと今までどおり2分枠でいけますから。まあなんにしても第9期、でもって5周年の『てーきゅう』! ここまで来れたのはあくまで結果であって、計算してたわけではないんですが、少なくとも俺の場合単純な話で、

喜んでくださる方たちがいるなら
できる限り続けよう!

と思ってたのは確か。だって気取ったところゼロで気軽に観れる『てーきゅう』が好きだから、断る理由が皆無でしょ? 自分が作りたいのは何かの賞をとる高尚なアニメではなく

残業帰りのサラリーマンがシャワー浴びて
ビールに枝豆で観れるアニメ

ですから。あと『てーきゅう』って「人間が追求すべき幸せとは何か?」というやや哲学的なテーマを感じてます。これは冗談でもなんでもなく、ルーツ先生の原作を読んでると

結局、人間たいがいのことがどーでもいい!!

と思えてくるんです。たとえそれ程笑えないギャグであっても、それを読んでる己自身のくだらなさ、しょーもなさに笑いがこみ上げてきます。要は人間ってそんなに偉くないと。けして作者が読者を馬鹿にしてるのではなく、読者自身に「あ、俺(私)馬鹿でいいんだ!」と気づかせてくれ、

もっとリラックスして生きれば周りはそんなに敵ばかりじゃない!

と教えてくれる。それが「てーきゅう」です。アニメもそれを目指して10期、11期と続けていきたいと考えてます。

第110回 凛々しく、たおやかに 〜機動戦士ガンダム MS IGLOO〜

 腹巻猫です。『宇宙海賊キャプテンハーロック』『聖闘士星矢』等の音楽で活躍された横山菁児先生が7月8日に亡くなりました。2014年に広島のご自宅にうかがってお話を聞いたのが、お会いした最後になりました。残念です。心より哀悼の意を表します。


 2003年に東映スーパー戦隊シリーズ『爆竜戦隊アバレンジャー』の音楽を羽田健太郎が担当したとき、4人の作曲家からなる作曲家チーム「ヘルシー・ウィングス」を編成して共同で作曲にあたった。そのとき、東京音楽大学出身の若手作曲家3人をチームメンバーに抜擢している。1人は前回紹介した山下康介。もう1人は『侍戦隊シンケンジャー』や『魔法つかいプリキュア!』などで活躍する高木洋(本連載の第58回で紹介)。3人目が大橋恵である。  今回は大橋恵が手がけた『機動戦士ガンダム MS IGLOO』の音楽を紹介したい。

 『機動戦士ガンダム MS IGLOO』は2004年から2006年にかけて発表されたサンライズ制作のフルCGアニメ作品。1話30分のフォーマットで作られたミニシリーズである。2004年に第1期「1年戦争秘録」全3話がバンダイミュージアムで限定上映され、2006年に第2期「黙示録0079」全3話がOVAとして発売された。2008年には続編『機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 重力戦線』全3話がOVAとして発売されている。
 『機動戦士ガンダム』(1979)と同じ1年戦争の時代を背景に、新兵器開発に携わるジオン公国の軍人たちを描いた異色の作品だ。「ガンダム」のタイトルがついているのにガンダムは1カットしか登場しない。戦争の前線ではなく、兵器開発の現場に焦点を当てた発想がうまい。ジオン公国側に立って描かれるドラマも新鮮で、観ているとついジオンに肩入れしてしまう。
 各話で描かれる兵器は、歴史の表舞台には登場しない試作機や大量生産が見送られた失敗作ばかり。技術者とテストパイロットを中心に描かれる、苦い挫折と報いのない闘いの物語なのだ。今西隆志監督は本作を「挫折する『プロジェクトX』」と表現したそうだが、むしろ、松本零士の「戦場まんがシリーズ」のような味わいがある。

 本作の音楽を手がけたのは大橋恵。1975年生まれの女性作曲家である。
 大橋恵は広島県呉市出身。実家はレコード店。レコードは試聴ができるので、子供の頃から音楽は聴き放題だった。エレクトーンを学び、中学生時代から自分で曲をアレンジするようになる。作曲家を志して東京音楽大学に進学。東京音大で映像音楽の作曲家をめざす学生は作曲指揮専攻の「映画放送音楽コース」を選ぶことが多いが、大橋は「芸術音楽コース」を選択。池辺晋一郎に師事した。もともと映画音楽に興味があったが、高校時代の恩師から「純音楽を学んでおいたほうが勉強になる」とアドバイスされたためだという。とはいえ池辺信一郎も映画音楽をたくさん手がけているので、映画音楽の考え方や現場も教えてもらうことができた。
 大橋の師匠にあたる作曲家がもう1人いる。『GS美神』『機動戦士ガンダムSEED』『仮面ライダー電王』などの音楽で知られる佐橋俊彦である。エレクトーンの先生が佐橋俊彦と知り合いで、その縁で佐橋のアシスタントを5年ほど務めた。池辺信一郎と佐橋俊彦。映像音楽の最高の師のもとで学んだことが大橋恵の財産になった。
 その大橋が初めて単独で1本の作品を手がけたのが『機動戦士ガンダム MS IGLOO』である。いわゆる「本格的デビュー作」。しかし、デビュー作にありがちなぎこちなさや硬さはみじんもない。もう第1作から傑作。歴代ガンダム音楽の伝統を継ぐ、堂々たるスコアを書いている。
 大橋恵の作風を評する言葉でよく聞くのが「男性以上に男らしい」というフレーズ。豪快でダイナミックなオーケストレーションに誰もが驚く。筆者も『MS IGLOO』の音楽を聴いたとき、サントラファンのツボをつく音づくりに一発で魅せられてしまった。
 しかし、その感触はやはり男性作曲家のものとは微妙に違う。宝塚歌劇の男役が発する、女性が演じる男性ならではの凛々しさ、清々しさのようなものが、大橋恵の音楽にはあると思うのだ。
 『機動戦士ガンダム MS IGLOO』のサウンドトラック・アルバムは、公開時に19曲入りのものがバンダイミュージアムで限定販売されていた。2005年4月に、31曲入りの拡大盤がビクターエンタテインメントより発売され、全国で買えるようになった。2008年には「重力戦線」用の追加録音を収録したサウンドトラックも発売。「重力戦線」のサントラは通常版と特装盤の2種類があり、特装盤には1作目のサントラが同梱されている。これから買おうという方は、「重力戦線」特装盤がだんぜんお得である。
 今回は、31曲入りの「機動戦士ガンダム MS IGLOO ORIGINAL SOUNDTRACK」から紹介しよう。収録曲は以下のとおり。

  1. 「603」 のボレロ
  2. 新月の中
  3. 宇宙の進軍
  4. 輔(かまち) 其ノ弐
  5. 堅忍不抜
  6. 激突警報
  7. ターニングポイント
  8. 進出ス!
  9. まだか?
  10. 降ろし方始め!
  11. 舫解ケ
  12. Z.w.P.A
  13. 哀しみの鉄槌
  14. 死守セヨ!
  15. 機動戦
  16. 失探
  17. 決戦兵器
  18. 感度かすかに
  19. 上陸の夢
  20. 重い夕陽
  21. 柵越えのメリーさん
  22. 遭遇
  23. オン タイム
  24. 蜃気楼
  25. ある技術士官
  26. 続航セヨ
  27. 「帰航ヲ祝ス」
  28. 記載事項なし
  29. 流星
  30. 半旗たなびく
  31. 時空(そら)のたもと 〜 Full Ver.-MS IGLOO 主題歌-(歌:Taja)

 本アルバムの初回盤は、透明プラケースではなく、モスグリーン(ザク・カラー)の不透明のプラケース入り。ケースの表面には黄色いジオンのマーク。裏面は劇中の一場面を捉えたCGイラストのステッカーが貼られている(もしかしたらこっちが表なのだろうか)。曲目は帯に表記。ジオン軍の兵器の装甲をイメージしたような凝ったパッケージである。
 曲名のつけ方もユニークだ。「進出ス!」などの電信文風表記や「降ろし方始め!」などの命令形のタイトル。曲名だけで場面が目に浮かぶようなインパクトがある。
 トラック1「「603」 のボレロ」は本作のメインテーマ。「603」とは新兵器の試験を任務とするジオン軍の部隊、603技術試験部隊のこと。物語はこの603部隊を中心に展開する。
 曲調はボレロ。「ラテン民族的なスピリットを表現したい」という今西監督のリクエストに応えたものだ。ベースとスネアドラムのリズムの上に金管と弦のメロディ。勇壮さよりも静かな決意や悲壮感を感じさせる曲調である。
 ガンダムの歴史上でジオン軍が連邦軍に敗れることは決まっている。しかし、音楽は敗戦に向かっていく暗さよりも逆境の中で努力する人間の姿を描こうとしたという。ひとつの目標に向けて力を尽くす人間の意地が伝わってくるような胸にしみるテーマだ。
 トラック2「新月の中」は弦楽器を中心にした不安な曲。第1期第1話「大蛇はルウムに消えた」のアバンタイトルで宇宙空間に603部隊の試験支援艦ヨーツンヘイムが登場する場面に流れている。  トラック3「宇宙の進軍」はジオン軍の快進撃を表現するかのような明るいマーチ。
 続くトラック4は「輔 (かまち) 其ノ弐」と題された弦楽器による沈痛な曲。1曲前のマーチと対照的で、期待とは異なる戦場の現実を突き付けられたような哀感がただよう。
 トラック5「堅忍不抜」では重いリズムと上下動する弦に重なる金管群のメロディが苦しい闘いを描写する。リズムとカウンターメロディの使い方がうまい。第1期第1話のクライマックスで使用された印象深い曲だ。
 トラック6「激突警報」は、緊迫した状況を描写する短いサスペンス曲。第1期第2話「遠吠えは落日に染まった」で地上に降りた603部隊が連邦軍と遭遇する場面に流れている。
 トラック7「ターニングポイント」はメインテーマのアレンジ曲。第1期第1話でジオン艦隊と連邦艦隊が交戦する場面に流れた。悲壮感を帯びた曲調が兵士たちの勇壮さとともに戦争の虚しさを描き出す。大橋恵の持ち味が発揮された秀逸な曲だ。
 次のトラック8「進出ス!」は、第2期第1話「ジャブロー上空に海原を見た」のクライマックスなどで使用された燃える曲。打ち込みを交えたスタイルながら、流麗なメロディと緊迫したリズムで宇宙世紀時代の接近戦を鮮やかに描き出す。ここでも、勇壮さだけでなく哀しみの感触が胸に刺さる。
 後続の楽曲も聴きごたえがある。ピアノの淡々としたリズムが焦燥感をあおるトラック9「まだか?」、モビルタンク・ヒルドルブと連邦軍との死闘場面に使用されたトラック14「死守セヨ!」、モビルスーツ・ヅダの決死の宇宙戦シーンに流れたトラック15「機動戦」、哀感を帯びた美しいメロディのトラック18「感度かすかに」など。劇中のニュース映画のBGMなどを挟んでメリハリをつけた構成も巧みで、飽きずに聴けるアルバムになっている。
 アルバムの白眉はラスト前に置かれたトラック30「半旗たなびく」。毎回のエピローグで、603部隊のオリヴァー・マイ中尉が技術試験観測の結果を報告書にまとめる場面に流れた曲だ。試験結果は失敗だったり、テストパイロットの死を伴っていたりと、いつも苦い余韻を残す。メインテーマの哀しみを湛えた変奏がオリヴァーの気持ちを代弁している。本作を象徴する曲である。最後に主題歌「時空のたもと」で締めくくる流れもいい。
 『機動戦士ガンダム MS IGLOO』の音楽は、戦場の人間ドラマにフォーカスした音楽である。愁いを帯びたメロディが兵士たちの苦悩を、緊迫した曲調が激戦の中の感情の高ぶりを表現する。情感とスケール感は、そうそうたる作曲家が手がけた歴代ガンダム音楽と比べてもひけをとらない。

 本作で実力を認められた大橋恵は、TVアニメ『うた∽かた』(2004)、『トランスフォーマー ギャラクシーフォース』(2005)、『ザ・サード 蒼い瞳の少女』(2006)、『BLUE DRAGON』(2007)などを立て続けに担当。スーパー戦隊シリーズでも『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)、『特命戦隊ゴーバスターズ』(2011)を担当して“凱旋帰国”を果たした。ほかにも『夢色パティシエール』(2009)、『ドラゴンコレクション』(2014)などの作品がある。
 アクションものを多く手がけ、ダイナミックな作風が注目される大橋恵だが、自身は『うた∽かた』のような日常性のある作品のほうが書きやすいそうだ。女性らしい目線と男性的カッコよさをあわせ持った、凛々しくたおやかな音楽が大橋恵作品の魅力。もっともっと活躍し、評価されてほしい作家である。

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109 アニメ様日記 2017年6月25日(日) ~

2017年6月25日(日)
トークイベント「第132回アニメスタイルイベント アニメをもっと楽しむための撮影講座2」を開催。今回のイベントでは、こちらから泉津井さんに「基本中の基本」から話してもらうようにお願いしており、実際にアニメの撮影の基本についてきっちりとお話ししてもらえたので、その意味では成功。ただ、「応用編」については時間が足りず、泉津井さんが話したかったことを全て話してもらうことはできなかった。それについては次の機会に。それにしても、客席に業界の方が多かったなあ。

2017年6月26日(月)
3月に始まった深夜アニメが次々と終了。片っ端から最終回を観る。
 午後は外出。30年以上もお世話になった方が定年になったと聞き、中野の東映アニメーションに。90分ほど世間話。長いお付き合いだけど、こんなにたっぷりと話をしたのは初めてかもしれない。ササユリカフェさんに行って、 「小池健監督作品『LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五ェ門』テレコムスタッフの手仕事展」をチラと覗いてから、吉松君との打ち合わせに。

2017年6月27日(火)
立川シネマシティで『BLAME!』の【極上爆音上映】を鑑賞。ちなみに劇場で『BLAME!』を観るのはこれで二度目。前回はお話が気になって途中から音響に気持ちが行かなかったのだけれど、今回は音を体感するのが目的だった。で、当たり前すぎるくらい当たり前の感想になってしまうけれど、爆発関係の音が凄かった。ストーリーの印象が変わってしまうくらい凄い。例えば、あるシーンにおける主人公が放つ銃の威力が、通常の音響の5倍くらいに感じられた。3DCGの質感と音響が合っているのもいい。

2017年6月28日(水)
『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』をバルト9で観る。確か午前8時30分からの回だったはず。こんな時間なのにお客さんはそこそこ入っていた。皆さん、映画を観てから出勤するのかな。ライバル的な立ち位置でアンジェリーナ゠クドウ゠シールズという少女が出てきて「あれ? このキャラクターはTVシリーズにいたっけ?」と思って映画を観た後で確認した。TVシリーズ『魔法科高校の劣等生』は原作7巻「 横浜騒乱編〈下〉」までの映像化で、今回の『星を呼ぶ少女』は原作11巻「来訪者編〈下〉」の後の話。そして、アンジェリーナは原作では9巻「来訪者編〈上〉」で初登場しているらしい。アニメで登場したのは『星を呼ぶ少女』が初めてだったのだろう。原作ファン向け作品らしい思い切った作りだ。むしろ、アンジェリーナを「今までも出ていたキャラクター」としてきちんと描けているところが面白いと言うべきか。パンフレットは完売しており、購入できなかったのだけど、そのあたりにも触れられていたのだろうか。アンジェリーナ以外についても「あれ?」と思ったところがあった。機会があったら確認したい。

2017年6月29日(木)
午前1時に事務所へ入って(タイプミスではなく、本当に午前1時)、昼までデスクワーク。午後は三鷹の森ジブリ美術館に。目当ての企画展示「食べるを描く。」では、ジブリ作品の劇中の食事シーンを原画とともに紹介。改めて宮崎駿作品の「セルの塗り分けによる表現」の巧みさに感心した。土星座の上映は『ちゅうずもう』。大変に出来がよくて感心。お客さんの反応もいい。カフェ「麦わらぼうし」では企画展示に合わせた新メニューがあり、その中から、お城のベーコンエッグ(パン付き)をいたただく。美味しかったんだけど、『ハウルの動く城』劇中のベーコンエッグのようにベーコンが分厚いわけではなかった。あれをお店でだすのは現実的でないのかもしれない。そのうち、自分でやってみよう。

2017年6月30日(金)
仕事の合間に、新文芸坐でスウェーデンの実写映画「幸せなひとりぼっち」を観る。Twitterで本郷みつるさんが「激しくオススメ」していたのがきっかけで観る気になった。長年勤めた会社を突然解雇されて、自殺しようとする老人の物語。回想で描かれた亡き妻との出逢いがよい。本郷さんは「観終わると、ちょっといい人になります」と言っていたけれど、その通りの映画だった。

2017年7月1日(土)
試写会で『メアリと魔女の花』を観る。スタジオジブリ出身のスタッフが、ジブリのスタイルで制作した作品である。どうしても、ジブリ作品や宮崎駿監督作品と比べられるはずで、その意味において不利な作品である。僕もちょっと厳しめの感想を抱いてしまった。スタジオジブリ出身のスタッフが作ったと思わなければ「大変な力作だ」と素直に思ったはずだ。
 試写会は上映の後で、背景美術会社「でほぎゃらりー」の株主である川上量生さん、庵野秀明さん、西村義明さんの鼎談があった。鼎談の内容はでほぎゃらりーの成り立ち、アニメの背景美術について等。