COLUMN

第813回 『いせれべ』の話(5)~総監督

えっと、どこまで話したでしょう——『いせれべ』?

 ま、とりあえず先週は総監督についてだったと思いますが、手っ取り早く1話からやりますか? その際、スタッフ・キャスト絡みの話が自然と混ざってくるでしょうから。
 1話は、自分の脚本です。基本原作準拠ではありますが、気にしたのは“虐め(イジメ)”という言葉を使わないようにしたこと。
 中・高校生時、自分は集中的な虐めを受けた記憶はないけど、いわゆる不良らにはよく絡まれました。世代的に不良・非行ブームの学生時代だったので。
で、不良らに理不尽な絡まれ方・虐めを受けて、泣かされて帰宅した時とか、家族(両親・姉妹ら)に「虐められた」なんて絶対に言えなかったんです。言うと余計惨めになるから~とか心配させたくないから~とか、色々理由はありましたが、とにかく俺は“虐められて”とか、口にするのはおろか、例えモノローグ(心の声)でも考えたくないくらいでした。同情もされたくないし、解決してくれとも思わなかった、ということを覚えています。
 それについて思い出されるのが、昭和62年(?)のある日のこと、「伸が3年生に泣かされてた!」と、校内でたまたま耳にした姉(当時自分が中学1年、姉が3年)が、「ウチの伸が虐められた~」と担任の先生に報告。たまたま俺に絡んだ3年が姉の同級生だったこともあり、姉の担任がその虐めた3年生を連れて、自宅まで謝りに来るという話になってしまいました。その話を姉から聞いて、リアタイで虐められた時より“大泣き”してしまったのです。
その時の心境——“虐められた”ことすらも忘れ去りたいと考えてた自分は、姉なりの厚意から出た解決策に“感謝できない自分”が悲しくなっての号泣だったのです。
 ま、話は逸れましたが、とにかく昨今コンプライアンス的にやりづらくなってきた“虐め”を描かなきゃならない題材。

なるべく尺を短く、「虐め」という言葉は使わない! その残酷描写より、異世界へ行っての変身・逆転劇までを1話に入れて、できるだけ気持ちよく次週(2話以降)に繋ぐ!

が、目的の1話でした。作画他は次週また。