COLUMN

第675回 絵(画)コンテという仕事

 昔、何年も前に興味本位で手相を見てもらった際、易者さんに

あなた、二重生命線で人の倍生きるよ!

と言われました。信じる信じないは別として、悪い気はしない程度。本気で人の倍生きること前提の人生設計を組むハズもなく、今現在の自分は46歳、十分人生の折り返し地点を越えたと認識しております。で、その現時点では

生命を半分使い切ってなお、ひとつのやりたい仕事で食っていけることの幸せたるや!

と感慨。そう、絵(画)コンテという仕事がそれです! 大変辛い反面、こんなに面白い仕事はありません。何しろ単純な話、自分の思ったアングル・タイミング・カット割りに動きがつき色が塗られ、役者(声優)さんにより声が吹き込まれ、効果音や音楽までもつけてもらえる! こんな唯我独尊で勝手で楽しい仕事は他にあるでしょうか? ちなみに同じ内容のことを出崎統監督もインタビューで仰ってました、というか俺の方が出崎監督(のお言葉)の受け売りっぽい。でも自分もそう思ってるのは本当です。

 ま、ついでなのでもう少しコンテの話を続けます。まず自分がコンテを切る際、一番に考えるのは

いかにリミッターを外してフリーダムにイメージを広げられるか?

ということ。「アレやっちゃいけない!」「コレ描いちゃダメ!」から何か新しいモノが生まれた歴史などかつて一度もないはず。監督として人にコンテを振る際も、できるだけ「脚本読んで好きに描いてみてください」と言います。あ、さらについでなので

監督自ら切るコンテと他人に振る(任せる)コンテの違い!

について語っておこうと思います。通常アニメファンの方々は、その作品の面白さの手柄をなんでもかんでも監督に還元しがちですが、意外とそうでもないという話、はまた次回。