COLUMN

136 アニメ様日記 2017年12月31日(日)~

2017年12月31日(日)
3日間のコミックマーケットが終了。今年も1年を振り返る余裕がないまま、年が暮れる。
 Kindleで森見登美彦さんの小説「ペンギン・ハイウェイ」を読了。登場人物と作品世界が素敵だった。どこかがそっくりというわけではないのだけど、読んでいて『電脳コイル』を思い出した。  

2018年1月1日(月)
新文芸坐で実写映画「駅馬車」を観る。1939年公開のアメリカの映画である。僕にとって「タイトルは知っているけれど、きちんと観たことのない映画」のひとつだった。99分の中にみっちりと内容が詰め込まれており、見どころがいくつもある。名画と呼ばれるのが納得できる仕上がりだ。駅馬車に乗り込んだ人達の人間模様が中心で、アパッチ族とのアクションは時間としては短いのだが、迫力満点で見応えがあった。よく撮ったものだと驚くカットがいくつもあった。駅馬車が目的地についてから、もう一山あって、そちらが本当のクライマックス。観客をハラハラさせる、あるいは驚かせる演出で、どこかで見たようなものがあったのだけれど、当時は斬新なものであったに違いないし、この映画がルーツなのかもしれない。登場人物としては飲んだくれ医者のブーンと、賭博師のハットフィールドがよかった。  

2018年1月2日(火)
新文芸坐で実写映画「荒野のガンマン」を観る。1961年のアメリカの映画。これも「タイトルは知っているけれど、きちんと観たことのない映画」のひとつ。ああ、なるほど、こういう内容だったのか。
 Kindleで喜国雅彦さん、国樹由香さんの「本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド」を読了。いくつかのパートで構成されている書籍で、その中の「H-1グランプリ」が楽しかった。本格ミステリについて研究している博士と女子高生のかけあいのかたちで、推理小説について熱く語りあうというもの。読み物としても面白かったし、濃い人の濃い世界に触れられたのもよかった。  

2018年1月3日(水)
新文芸坐で実写映画「戦争のはらわた」を観る。1977年のアメリカの映画。これも「タイトルは知っているけれど、きちんと観たことのない映画」だ。当時の観客が感じたであろう衝撃については想像するしかない。公開当時に観ていたら、かなり違った感想を抱いただろう。
 新番組『宇宙よりも遠い場所』を観る(1話の放映は1月2日(火))。監督/いしづかあつこ、シリーズ構成・脚本/花田十輝、キャラクターデザイン・総作画監督/吉松孝博のオリジナル作品だ。予想よりもリアル寄りの作品で、そして、初々しさがある。これからの展開が楽しみだ。  

2018年1月4日(木)
TOHOシネマズ新宿で「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」を観る。よい意味で観客の予想を裏切り続ける物語構成に感心。レジスタンスのメンバーが頼りない人物や小物ばかりだったりするのは、次回作で彼らを大活躍させるためだと思ったのだけれど、どうだろうか。  

2018年1月5日(金)
仕事はじめの日。テレビ放映版『君の名は。』の録画を流しつつ、キーボードを叩く。
散々話題になったのだろうと思うけど、『君の名は。』本編からSoftBankのCMへの流れに驚いた。板垣伸さんから電話があり、「『空手バカ一代』のパイロットフィルムの作画は大塚さんですか?」と訊かれる。Blu-ray BOXの映像特典を観て気になったらしい。検索をしたら、過去の「WEBアニメスタイル」に「大塚康生さんが描いた『空手バカ一代』のパイロットフィルムがあるらしい」という情報があったので、それを彼に伝える。濃いネタを振られて悔しいので「『ハッスルパンチ』の宮崎駿さんの仕事」の話で返す。
 Netflixで配信が始まった『DEVILMAN crybaby』を視聴。言うまでもなく、湯浅政明監督の新作である。1話から3話は試写で観ているので、4話から最終回までを一気観する。原作通りではないが、原作の魅力を伝える映像化になっている。なによりも湯浅さんの「どんなものでも描けるんだ、描けば表現できるんだ」という姿勢が素晴らしい。  

2018年1月6日(土)
三連休の1日目。これからの仕事のための資料の読み込み。それとは別に、購入した書籍「政岡憲三『人魚姫の冠』絵コンテ集」に目を通す。日本動画の父・政岡憲三が温めていた企画『人魚姫の冠』の絵コンテ、スケッチを収録した書籍である。驚いたのは主人公である人魚姫が、劇中のかなり場面において裸であるということだ。そして、人魚姫はなまめかしい。収録されたスケッチもヌードが多い。「ええっ、これは?」と思って、巻末の高畑勲さんによる解説を読むと、そこには僕の疑問に対する答えがあった。そして、同じく高畑さんの解説にあるとおり、この書籍は画期的な出版物である。