COLUMN

第789回 アニメは宇宙!

飛雄馬の右腕が大暴投の唸りを上げている
今週(TMS公式の『新・巨人の星』より)、
1月28日——49歳を迎える板垣です!

 毎年言ってる、同日誕生日を迎える「水島精二監督、西見祥示郎先輩! お誕生日おめでとうございます!」ってことで、いよいよ俺も40代最後に突入。相変わらずのめちゃくちゃな忙しさですが、精神的には年々穏やかになっていってる気がします。
 当然、腹の立つことはありますが、原画描いたり修正してたりすると、なんとなく忘れていきます。

なんでしょう? 30年近く続けてきたアニメーターという仕事、最近ますます面白がっている自分がいることに気付かされているのです!

 原作かオリジナルか? マンガ原作かラノベ原作か? はたまた脚本だコンテだキャラ表だと、前提としてどんな素材があろうとも、そこには“動き”がありません。ところが白紙から原画を描き、動画にして、声が入るとたちまち“生命”が宿ります。このある種“宇宙の誕生”的な感覚——アニメーターをやったことある方なら少なからず一度は感じた喜びではないでしょうか。個人差はあると思いますが、その喜び・快感をいつまでも忘れられない方々が、アニメーターを続けられているのだと信じています。
 この歳になった俺も、自分で描いたカット、もしくは修正したカットのラッシュ(撮影上り)チェックする毎日がいまだに楽しみです。特に今ウチの会社はLO・原画を含む全てがデジタル素材。

ラッシュを見て気に入らないところは、作画・美術問わず自分で直せる!

訳で「あ、これ俺直すから!」と。そういった意味でも49歳になってもまだまだ「楽しく」描けそうです。後はスタジオ(会社)を育て、かつ体力を付けて“企画”を考えたいと思っています。
 これ考え方次第だと思うのですが、自分の場合は“面白いオリジナル企画”を持って各会社を回るには歳が行き過ぎているし、“実績がない”と自覚しています。よしんば何処かの会社が企画を買ってくれたとして、他所(よそ)様の会社・スタッフを統率するのにも、やはり実績がない“監督”という肩書きだけでは、必ずしも現場は言うことを聞いてくれないし、聞く義理すらもある筈もないのです。なぜならそのお借りする会社にもれっきとした“若手監督候補”が在籍している訳で。現実、ファンに知られず表沙汰にならないように、クレジットの“監督”は残したまま、現場で“実質監督”に挿げ替えてなんとか事なきを得たアニメ作品って結構あり、業界人なら大抵そんなタイトルの10本や20本挙げられます。知りたい方は、例えばシリーズで言うならWikipediaなどで各話スタッフ・リストを調べてください。途中から監督自身のコンテ回が消えたり、同スタジオの次作以降、コンテのお手伝いすらしていない場合は「何かがあった?」と想像するに難しくありません。勿論、例外はいくつもある前提の話ですが。

 まあそんな訳で、今は

いただいた企画を丁寧に作り込める現場を育てる!

ことこそが自分の仕事だと思い、頑張っています。で、50歳を迎えるころには自分たちから企画が提案出来る会社になって——いるといいな……(遠い目)。何にしてもまだまだアニメの宇宙は続きそうです。