COLUMN

第777回 インタビューと人海戦術

先日、とある雑誌のインタビュー取材をお受けし、楽しくお話させていただきました!

アニメ誌ではありません(写真もなし)。依頼のメールを見た時、「あ、コンビニで見たことある~」と言った感じの雑誌です。まだ、詳細は伏せますが、単純に“俺が大好きな某漫画について語ってください”のインタビューで、それは当たり前にテンションが上がりました!
 で、「なぜ、俺に?」と取材に来た方々に尋ねると、このWEBアニメスタイルの連載で何回かその某漫画について語ってたのを目にしたかららしいのです。(777回も続けてて良かった! ありがとうアニメ様)イラストも描かせていただきましたが、その件に関しては雑誌発売時、もう一度話題にさせてください。
 で、つい先程(リアルにこの原稿に手をつける2時間前)、数年前に家庭の事情でウチ(ミルパンセ)を辞めた人から電話がきました。訊けば「実家に帰って地元にある小さなアニメ会社で、またアニメーターを始めた」とのこと。「おお、それは良かった!」と返し、要件は? と訊くと「作監を手伝ってくださる方いませんか?」とのHELP要請でした。俺は、

ごめん、ウチも作監が全然追いつかない状態で(汗)!

と、返さざるを得なかったのは言うまでもありません。「手伝ってあげたいけど、今は逆にこっちが手伝って欲しいくらいで」と続けて。ここで何度も繰り返し言ってる“現状アニメ業界全体の人手不足”。“今の段階での”自分の答えは、

まずは、会社内でできるだけ何とかすることを考える!

です。とにかく当たり前な話、その仕事が元請けだグロスだ関係なく、“現場で受けたんだから、現場でこなす”少なくとも“こなそうとする”のところまではスタッフを鼓舞して、その上でもちろんできない分は次の手を考える。例えば作監の修正をラフまでにして、清書をその作監の指導の下、社内の新人にやってもらうとか。昨今は制作進行・デスク・制作プロデューサーが100人に電話しても10人アニメーターが摑まるかどうかな上、よしんば摑まったとてそれは、いつ手を付けてくれるかも分からないフリーの方々。しかも、言い値の請求に応えなければならないので赤字必至。だから自分、ここ何年とかは、先輩を含めキャリアのある知り合いのアニメーターさんらにも声を掛けていません(それどころか、飲みにも行っていないし電話もしていないという……ごめんなさい)。なぜなら自分の先輩は皆さん巧い方々なので、どうせ手が埋まってて電話するだけでも時間がもったいないという。でも、そうは言っても、以前はダメもとで電話を掛けては、お互い情報交換みたいなことをしていましたが、それもここ7〜8年は社内の新人との交友がほぼ9割(この連載で見ても、ろくに友人・知人に会えてないのが分かりますよね?)。そんな訳で、社内の若手を指導しての人海戦術。幸い毎年新人は入ってくれるし、捕まらないアニメーターに電話しまくって仕事した気になるよりも、自ら手を動かし、若手に教えて何とかする方がよっぽど早いのです。よって、ウチのスタッフは脚本や演出やキャラデザといった要職に就くのも早い訳です。

 さて、現在制作中のシリーズを年内で作り終えての、さらに来年以降制作する作品らの打ち合わせが次々始まっています。この先2年程の予定が埋まり、それらに自分がどう関われるか? がこれからの問題。制作プロデューサーかまた総監督・シリーズ構成? なるべく現場の若手にメインを任せつつ、ちょっと距離を置いて監修して、自分の監督作のほうも準備しようと思っています。