COLUMN

第776回 コンテ清書と原画

現在、オープニングのコンテ清書中(ラフは済)!

あ、もちろん現在、シリーズ構成・総監督で携わってるシリーズの、です。因みにエンディングの方も、コンテプランのサムネイルはできています。本来は監督に任せるはずだったのですが、現場スケジュール的に慣れてる自分がコンテ切った(描いた)ほうが早いだろう、という話で引き取ることにしました。
 今回は本編の内容的に“優しさ”がテーマなので、OP映像も比較的アクション要素よりは、キャラクターを丁寧に魅せるカット割りを心掛けています。
 以前にもここで語った(書いた)かと思いますが、俺のOP・ED場合「さあ、これから1週間OPコンテのことだけを考えるぞ!」と、他の仕事を止めてそれだけやる体制で取り組んだことがほとんどありません。必ず何かと同時進行。それは『化物語』OPや『はなまる幼稚園』ED・『妖狐×SS』EDなど、他者の監督作品のOP・EDのみお手伝いパターンも例外ではありません。なぜなら、

(総製作費から逆算した)OP・EDのコンテ・演出料では1ヶ月食えるかどうか?

程度ですから。同時にシリーズ本編のコンテからレイアウト・チェック──時には原画や作監等もやりつつ、頭の片隅でOP・EDの構成を日々考えるものです。『化物語』や『はなまる幼稚園』の時も、さらに別作品のコンテや次の監督作品の脚本などを片手でやりつつでした。
 今作のOP・EDも本編作業をやりつつ、ヘッドホンで主題歌を繰り返し聴きつつ、ふと思いついたところで、

 と、傍らのメモ用紙(フレーズ毎に2~3行ずつ空けた歌詞カードをPDFで書き出したモノ)にサムネでメモっていくのです。「このフレーズに、あの画を~」と部分部分バラバラ、90秒がパズルのように埋まっていく場合もあれば、頭からまるでドラマの如く順番に描かれる時もあります。『化物語』OPはパズル的に、『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』OPはドラマ的に画が埋まっていった記憶があります。
 特に今回は(も?)作画スタッフの労力軽減のため、コンテの段階でややラフ原画にできるくらいの精度で清書しています。本来は自分「過度なコンテ清書は不要」派です。それは若い頃、

コンテの意図をくんで、より良くなるよう考えて描くのが原画の仕事である!

との教えを受けて育ったし、他人のコンテで俺自身が原画を描く際でも、余りに細かく決めこまれたコンテだと逆に動きもレイアウトも巧く繋がらなかったりもするからです。
 でも、自分の主義・主張なんかより、ここ数回分の内容でも触れているとおり“業界全体の人手不足”を補う方が最優先。不本意ながらも、ある程度細かく描き込んであった方が、新人に原画を振ることもできて現場が助かるので、時と場合、必要とあらば、今は粛々と清書をすることにしています。その代わり、自らが既に原画を描いているつもりでのコンテ清書です。それくらいのワガママは許してください。

 てとこで、明日はワクチン接種に行ってきます。