『蜘蛛ですが、なにか?』最終話の納品を終えて
本来ならば今までもっと『蜘蛛』について書くべきだったのですが、ここ半年間、毎週の納品に追われる中、気づくと木曜日(原稿の締め切り)! 話がまとまらずお茶濁しの連続。単純な話、とても忙しくて書けませんでした。あと、『蜘蛛』はネタバレしたら全てが台なしな話なので、下手なことは語れなかったってのもあります。
ま、そんな感じで思いつく順にアニメ『蜘蛛ですが、なにか?』について。制作現場はミルパンセ。これは何ヶ月か前にもここで書いたかと思いますが、『コップクラフト』をやってる最中、会社にではなく自分の方にオファーがきて、全体の半分をミルパンセが手伝う話から始まり、紆余曲折を経て全体を受けるかたちになりました。もちろんグロスには出しますが、制作元請けがミルパンセに決まったのは、自分が監督に決まってしばらく後でした。
シリーズ構成に関しては、自分が入った時、すでに百瀬祐一郎さんのものが12話分まであり、それに沿ってホン読み(脚本作り)を始め、後半12本の構成案が原作者の馬場(翁)先生から上がってきて、後半からはそちらに沿うかたちで最終回、ラストの締めは——観てください。
コンテはいつもどおり基本自分。社内に入って演出処理もしくは作画などの参加が望める方であれば振りますが、コンテオンリーの方、つまりコンテの稼ぎのみで生計を立ててる量産コンテマンさんには振らないようにしています。そういうコンテマンの存在を否定する気は毛頭ありません。量産コンテマンがいると助かると言ってる監督さんも知ってますし、その方が直して使いやすいシリーズがあるのも分かります。しかし「少しでも変わった画作りを」とか「前よりも面白いカット割りを!」などと常日頃考えてる板垣にとっては、結局直すほうが時間がかかってしまうことになる場合が多いのです。よって全部白紙から自分で、と。「アニメはひとりで作るものじゃない」とか当たり前のことを言う人は後を絶ちませんが、コンテを切る(描く)ことだけは基本的に傲慢な仕事だし、そうでなきゃ本来面白いフィルムは作れないと思います。自分にとって都合のいいコンテが上がってくるのを待っていられる性格じゃないだけかも。
キャラクターデザインの田中紀衣さん、助監督・上田慎一郎氏は櫻井(崇)・制作Pからの紹介。制作開始時はお二人のおかげでスムーズに制作が進みありがたかったです。サブキャラや衣装デザイン、メインアニメーターは社内で。海外撒き分の直し(修正)も社内。
音響面では共同で音響監督にクレジットされている今泉雄一さんがメインで、ちょっといつもの監督より多めに口を出すといったかたちの俺でした。後半からは画作りが忙しくなり、キャスティングや選曲は今泉さんにお任せにはなってしまったものの、板垣の好みは汲み取ってくださり、選曲プランなども送っていただき、前もってチェックさせてもらうなどしました。特にキャスティングは近藤隆さんや森川智之さんら、初期の自分の監督作品で主役をやられた方々も呼んでいただき嬉しい限りでした。