COLUMN

第703回 原画描けると便利

 現在放送中の監督作品『蜘蛛ですが、なにか?』について書き(語り)たいのですが、あまりの忙しさに内容的に触れていいのか悪いのかを確認する時間がなくて、基本に返って(?)アニメに関する駄話を少々続けさせてください。『蜘蛛』の話はもう少し落ち着いたらってことで(実は次の別作品の準備も始まり、落ち着くのはいつになることやら)。

とは言いつつも、ここ最近はひたすら『蜘蛛』の原画直し! 結局少しは『蜘蛛』絡み!

 アニメーター不足の昨今、海外に撒いた原画を社内のスタッフでひたすら直す! もちろん社内班は育てたスタッフで丁寧に、がモットーなのですが、それだけでは賄いきれないのでグロス・外撒きをした上で、上がりを確認し、自分もしくは演出の方から説明して社内の若手で修正しまくるわけです。それはそれで出来悪な原画でも真っ白から描くよりはマシ。

下手な原画でも下敷きにし、それを「負の道標」として違うラフを素早く入れて後輩へ! 直接一発原画にする場合もよくあります!

 自分、ヒット作はなくても、有り難いことにアニメーターと監督の場数だけはそれこそ1週と空けずに踏み続けさせてもらってます、現在まで。なので悪い原画のどこをどう直せばよくなるのか? は割と見た瞬間に分かります。原画キャリアをもうかれこれ25年積んでて本当によかった! いや、以前アニメータ上がりじゃない演出・監督のチェックを多数見た時期があったのですが、拙い画で一所懸命描かれた演出修正指示が、アニメーターにとってとてもやりづらいものだったりして、いたたまれなかったことがしょっちゅうあり、少なくともアニメで演出をする際「己がアニメーターである」ことの利便性は計り知れません! だから最近、制作上がり(アニメーター出身でない)の演出さんらに対して「原画教室、開こうか?」と声をかけてみたところ、「あ、受けたいです」と返ってきたので、近いうちにやってみようかなと思っています。