COLUMN

第702回 無垢にアニメーター

 今、原画直しをやってます。昔、「PLUS MADHOUSE 2」で川尻善昭監督が自身の監督作品で自ら原画を描くことについて、「原画は好きな音楽を聴きながら手を動かすだけだから、なんのストレスもない」的なことを仰られてましたが、俺これ分かります。本当に原画描くだけでいい仕事なら、こんなに気楽で面白いことはないです。

だって、誰でも教科書やノートの端っこに描いて遊んだいわゆる”パラパラマンガ”の延長ですから!

 自分も中学・高校の頃はよく描いてました。当時、文房具店で何用か分からない、やや厚手の事務カード的な用紙に、行き当たりバッタリのアクションを——『あしたのジョー2』ばりのカメラ回り込みは不可避なヤツばかりパラパラ〜と。ちなみに先輩アニメーターに訊いたところ、「僕は金田(伊功)爆発を真似して描いた」とか「俺はメカの変形」など各々好きなアニメを模したパラパラマンガで遊んでいたようです。逆に言うと、

無垢に画を動かして遊んできた人たちだからこそ、アニメーターになったんでしょう!

 俺の場合、パラパラマンガという遊びに、理屈とコツをご教示くださって、プロのアニメーターにしてくれたのが小田部羊一先生・田中敦子さん・友永和秀師匠——そして大塚康生さまでした。