COLUMN

アニメ様の『タイトル未定』
293 アニメ様日記 2021年1月3日(日)

編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年1月3日(日)
ワイフと新文芸坐で「七人の侍」を観る。プログラム「黒澤明生誕111年 三船敏郎生誕101年 銀幕に甦れ! 黒澤&三船 日本映画最高のコンビ〈東宝編〉」の1本だ。ワイフはこれが初見で、僕は劇場で観るのは二度目。初見時の没入感はないけれど、やはり面白い。その後、事務所に戻ってデスクワーク。山積みになった資料の中から目当ての雑誌を探さなくていけない。これは半日かかるかな、と思っていたら3分くらいで見つかった。こんなに簡単に見つかるなら、段取りとか考えないですぐに探せばよかった。17時から吉松さんとSkype飲み。減酒中なので、僕は缶ハイボール1本だけで、あとはノンアルコールビール。イベントの予習で「枕草子」関係の本を読み始めた。
「七人の侍」と『ガンバの冒険』について考える。『ガンバの冒険』の7匹が「七人の侍」の7人を意識したものとすると、リーダーのヨイショに相当するのが島田勘兵衛、その幼なじみ(昔なじみ)で相棒のガクシャが七郎次、クールで頼れるイカサマが久蔵、人当たりがよくて飄々としたシジンが林田平八、年少の忠太が岡本勝四郎。で、若くて元気なガンバが菊千代。ボーボに相当する登場人物はなしかな。参謀役という意味では片山五郎兵衛の役回りもガクシャが引き受けている感じだ。また、登場人物全体を考えると、忠太の立ち位置は岡本勝四郎よりも、侍を探すために街に出た農民(利吉)に近い。『ガンバの冒険』が「菊千代が主人公で、仲間が死なない『七人の侍』だ」と思うと色々と納得できる。

2021年1月4日(月)
散歩とデスクワークの後、新文芸坐で「どん底」を観る。これも「黒澤明生誕111年 三船敏郎生誕101年(以下略)」の1本。前売りチケットを購入した時には、これが時代劇だということも知らなかった。タイトルだけ知っていたけど、こんな映画だったのか。事務所に戻って、文庫「黒澤明作品解題」引っぱり出して「どん底」の項に目を通す。その後、軽い晩飯をはさんで19時半までデスクワーク。
「佐藤順一の昔から今まで」で『もーれつア太郎』辺りの取材は終わっているのだけど、確認することがあってAmazon prime videoで『もーれつア太郎』の佐藤順一さんの演出回を視聴。

2021年1月5日(火)
午前中に散歩をして、その以外は用事を片づける。やっぱり仕事はじめの日は忙しい。16時にからBONESで打ち合わせ。

2021年1月6日(水)
昼飯の後に三省堂へ。単行本、文庫の辺りを見る。久しぶりに「本屋に来た」という感じで刺激になった。最近はネット書店ばかりだった。もっとリアル書店に行かなくては。ワイフと新文芸坐で「用心棒」を観る。これも「黒澤明生誕111年 三船敏郎生誕101年(以下略)」の1本。自分は二度目の鑑賞。今回はDCP上映で、とにかく音がよかった。イベントの予習で「100分de名著」の「枕草子」の回を配信で視聴。これはかなり参考になった。

2021年1月7日(木)
「川元利浩アニメーション画集」の編集作業、同書の告知の準備でとにかく忙しかった日。「佐藤順一の昔から今まで」で確認することがあって『きんぎょ注意報!』『美少女戦士セーラームーン』を流し観。ぼんやりと観ていても、『きんぎょ注意報!』の入好さとるさんの作監回が分かるようになった。
ネットで「SLAM DUNK」の映画化が発表になる。『SLAM DUNK』の大ファンで、再映像化するならやりたいと言っていた監督がいたけれど、今、彼は自身のオリジナル企画を転がしているはずで、原作ものをやっている場合ではないよなあ。

2021年1月8日(金)
仕事の合間に、東京ドームシティ Gallery AaMoで開催中の「画業40周年記念企画 ゆうきまさみ展」へ行く。ゆうきさんの作品を再読したくなった。確認することがあって『クレヨンしんちゃん』の「アクション仮面に再会だゾ」を再見。この話でいちばん凄いのは「セーラー・ムフ~~ン、セーラー・イヤ~~ン、セーラー・バカ~~ン」の3人でも、幾原邦彦さんっぽい伊藤一彦さんが同人誌即売会でサイン会をやっていることでもなく、みさえの「アニメにも監督なんているの」のセリフだ。これは「アニメファンではない人にとっての、アニメスタッフに対する認識ってこんなものだ」という自虐ギャグだろう。

2021年1月9日(土)
トークイベント「第172回アニメスタイルイベント ここまで調べた片渕須直監督次回作」の開催日。朝は事務所でデスクワーク。イベント前にしては作業が進んだ。池袋から新宿まで歩いて、LOFT/PLUS ONEに到着。片渕さんの提案で何度も休憩を入れてトークを展開。片渕さんの調査と資料は今回も圧巻。平安時代の個々の日の天気まで分かるのだ。お客さんに声を出さないようにお願いしていたので客席の温度が分からず、それだけは残念。声を出さないことを含めて、コロナ対策を徹底したイベントとなった。僕の枕草子の予習はなんとか足りていた模様。イベント終了後は歩いて池袋に戻る。