前回解説したとおり、”コンテ描きたがり板垣”のルーツはやはり出崎統監督のコンテにあります。もっとド直球に
コンテが描きたくて(切りたくて)アニメを始めたし、出崎アニメ以外のアニメがなくなっても俺は全然困らない(こちらはややオーバー)!
とも言えます。そのくらい「コンテ」と言えば「さきまくら」、「アニメ」とは俺にとっての「出崎統」なのです(意味不明)!
そんな構えでテレコム・アニメーションフィルムに入ったものだから、もうアウェー感が半端なかった新人時代。そりゃあ「止め! 劇画! ケレン味!」な出崎アニメ狂が、真逆の大塚康生さんや古くは宮崎駿さんらを中心に「動かせるアニメーターを」と育成を標榜したアニメ会社に入社して、「出崎! 出崎!」と連呼するわけだから、周りの先輩方からは「お前誰に何を習いに来たんだ?」「テレコムに来て出崎アニメ作る気か?」とよく攻撃されましたよ! ほぼ隠れキリシタン状態です。そのテレコム時代に板垣が「好きなアニメ」として挙げていたのが
『あしたのジョー』『宝島』を始めとする
出崎アニメと『未来少年コナン』!
でした。自分としては出崎作品と宮崎作品が並ぶのはごく自然なのですが、当時の先輩方からは奇異の目で見られていたんです、なぜか。
もうお分かりでしょう? 俺の作画方面は小田部羊一先生から大塚・友永テレコムの、昔の言い方ではいわゆる”東映派”で、コンテ・演出方面は出崎監督に代表される”虫プロ派”の映像主義の両輪で成り立っているということが。動きに関しては大塚・友永両師匠よりたくさん教わって、コンテ(カット割り)は独学。ただ『キャプテン翼』(2002年版)の時、杉井ギサブロー監督(東映出身の虫プロ派)より、
アニメーター出身とはいえ演出家になったんだから、動き(作画)以外の”演出”で作る見せ場を考えるといいですよ!
との教えがあり、そこは常に意識するクセがつきました。よって今回の『コップクラフト』に限らずアニメの現場では大抵はつきまとう「1話あたりのカット数・動画枚数制限」内にちゃんと収まるコンテを上げるようにしています。
で、もちろん『コップクラフト』のオープニングも例外ではありません。そして、枚数を使うトコと止めるトコ、作画と演出のメリハリがいつものテーマ。以下、カット内容についてザッ! と。カットナンバーはコンテムービーを確認してみてください。
C-1A〜2Bの4カットはベタな割り。特に新しいことをやってるつもりはありません。
C-3 夜景の横PAN→。なんとなくエンディングとリンクする感じとか。
C-4 ミニ・クーパーのキーを回す位置、コンテの画が間違ってます。
C-5 車庫から発進するミニ・クーパー。BG(背景)は2枚の置き換え。カット尻で撃ち抜かれるのは、メインタイトルのグラフィティーに使用したであろうラッカー。ラフ原は自分。
C-6 メインタイトル。
てとこで、いつもの時間切れ。