COLUMN

89 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』に泣いた

 先日、サムシング吉松君がネット配信で『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を観ているという話を聞いた。「最終回まで観たら泣くよ」と予言したところ、数日後に「最終回を観た。泣いた!」というSNSのメッセージが届いた。

 そう。『あの花』は泣くのである。自慢ではないけれど、僕も泣いた。本放映でも泣いた。「月刊アニメスタイル」第6号で『あの花』の特集があり、取材の前に1話から観直したのだけれど、また最終回で泣いた。その後、特集の原稿執筆のためにポイントをメモしながら、1話から観た。鑑賞モードではなく、仕事モードで観たのにラス前くらいからジワジワしはじめた。「まさか、仕事モードで観ているのに!」と思ったけれど、やっぱり最終回で泣いた。

 今までの人生で山のようにアニメを観て、映画やマンガにも沢山触れてきて、すっかりスレているはずの自分が、こんなに泣くとは思わなかった。多感な思春期に観た『さらば宇宙戦艦ヤマト ―愛の戦士たち―』や劇場版『銀河鉄道999』よりも泣いた回数が多い。つまり、僕の人生で一番泣いたアニメなのである。

 『あの花』が泣けるのは、作劇がよくできているからではあるのだが、それだけではない。前のめりになって作っているスタッフの想いに巻き込まれている感覚がある。
 さらに説明すると、現代のごく当たり前の若者の感覚で、登場人物と彼等の暮らしが描かれているのが『あの花』の魅力に繋がっている。深夜アニメ発の作品ではあるが、ポピュラリティを持った作品なのだ。キャラクターが華やかさと存在感を併せ持っているのも大きい。
 そして、現代的な感覚、存在感のあるキャラクターが「泣けるドラマ」を支えるファクターになっている。

 『君の名は。』が好きになった人に次に勧めるアニメは何が相応しいか、という話題をネットで目にした。『君の名は。』と同じく田中将賀がキャラクターデザインを務め、同じようにポピュラリティを備えた『あの花』を勧めるのもいいかもしれない。

 すでに『君の名は。』を観ている吉松君には、『あの花』を手がけた長井龍雪、岡田麿里、田中将賀トリオによる青春アニメの傑作『とらドラ!』を勧めたい。

●サムシング吉松のコラムinコラム

[関連リンク]
「月刊アニメスタイル」第6号[アニメスタイル ONLINE SHOP]
http://animestyle.jp/shop/archives/160

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 Blu-ray BOX(完全生産限定版)[Amazon]
https://www.amazon.co.jp/dp/B00D381J0G/style0b-22/ref=nosim