COLUMN

71 それはユニクロTシャツに始まった

 今日「西尾鉄也画集」と「吉成曜画集 ラクガキ編」の一般発売が始まった。「西尾鉄也画集」の企画開始は随分前になる。

 2011年1月1日にユニクロと『NARUTO ‐ナルト‐』がコラボレーションしたTシャツが発売になった。『NARUTO ‐ナルト‐』のオリジナルDVDが付録になっていた商品だと言えば、ああ、あれかと思い出すファンもいるだろう。Tシャツは11種類で、そのうちの2枚は原作者の岸本斉史先生による描き下ろしイラストを使用。5枚はアニメスタッフの描き下ろしだと告知されていた。
 アニメスタッフの描きおろしなら、そのどれかが西尾さんの描き下ろしに違いないと僕は思った。当時、何かの用事で西尾さんに会った時に、どのTシャツが彼が描いたものなのかを聞いてみた。しかし、理由はよくわからないのだが、その時には教えてもらえなかった。誰がどれを描いたのかが公に告知されていないから、外部の人間に言ってはいけないと思ったのかもしれない。西尾さんには、そういうマジメなところがある。
 Tシャツのイラストについて話をした時に、西尾さんが「いつか画集が出れば、どれを描いたのか明らかにできるかもしれないですね」と言った。それを言った事を彼自身は覚えていないそうだが、僕はよく覚えている。なるほど、画集か、それはいいなあ。その時には、自分が編集して自分の会社で西尾さんの画集を出す事になるとは思わなかった。
 だけど、待てど暮らせど、西尾さんの画集が出るという噂は聞こえてこなかった。だったら、自分で企画・編集をやって出せばいいじゃないかと思いつき、西尾さんに画集の提案をしたのが、2013年か14年。それから企画が二転三転し、今回の「西尾鉄也画集」になったのである。

 画集の編集作業中に『NARUTOT ‐ナルト‐』のユニクロTシャツで、どれが西尾さんのイラストだったのかが判明した。僕の「これが西尾さんのイラストではないか」という読みは見事に外れていた。そのイラストは「西尾鉄也画集」に掲載されている。西尾さんはこのイラストを線画で納品しており、Tシャツにはそれを加工したものが使われている事も分かった。さらに複雑な事に、画集には元の線画をセルテイストに彩色したものを収録した。ユニクロTシャツをお持ちの方は、是非画集に掲載されたイラストと見比べてほしい。


●イラスト/吉松孝博

西尾鉄也の集大成「西尾鉄也画集」ネット書店、一般書店で9月26日発売!
http://animestyle.jp/news/2016/08/16/10363/

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(2016/09/26)