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第8話 あばよ、ダチ公

第8話 あばよ、ダチ公

●『天元突破グレンラガン』第1部ラストを飾る、最重要エピソードのひとつ。7話に続き、大グレン団とダイガンザンの決戦が描かれ、カミナが凄絶な死を遂げるという衝撃の展開が話題を呼んだ。脚本・絵コンテ・演出・作画監督に1話と同じ顔ぶれが集結し、渾身のクライマックスを作り出している。ダイガンザン制圧からカミナとシモン最後の合体、そして必殺技ギガドリルブレイクが炸裂するまでの終盤の展開は、涙なくしては見られない。ドラマ的にも映像的にも見応え十分の1本。

脚本/中島かずき|絵コンテ/今石洋之|演出/大塚雅彦|作画監督/錦織敦史|原画/渡部圭祐、野崎真一、松田寛、赤井俊文、山下祐、すしお、雨宮哲、林明美、平田雄三、阿部慎吾、鶴巻和哉、中村章子、山口智、久保田誓、平松禎史、榎本花子、貞方希久子、長谷川ひとみ、森久司、吉成曜、今石洋之

取材日/2007年11月9日、2007年12月11日、2008年1月16日、2008年2月20日 | 取材場所/GAINAX | 取材/小黒祐一郎、岡本敦史 | 構成/岡本敦史
初出掲載/2008年1月16日

── さて、衝撃の8話ですが。1話以来となる監督コンテ回ですね。

今石 そうですね。いやあ、1話はちょこちょことシナリオをいじった覚えがあるんだけど、8話はびっくりするぐらい、いじってない気がしますね。中島さんも慣れてきた感があったし、あまりいじりようのない内容だったというか。あの頃から、だんだんといじって足していく事の危険性に気づき始めたと思うんですよ。

大塚 確かにオーソドックスだよね、今石君にしては。

今石 そこは凄く目指していたところかもしれないですね。普通に描くというか、奇をてらいすぎない。シナリオを変えないという意味でもそうだし、そんなにシーンの順番を入れ替えたりもしていない。いわば葬式の回ですからね、気分的には喪服を着てたかも(笑)。そんな気分でコンテを書いていたのかもしれんなあ、と。

大塚 ほとんど最終回気分だもんね。

今石 もう完全に最終回。やっぱり個人的な目標として、そういうオーソドックスな仕事をちゃんとするという課題があったから。8話はもしかしたら、3話の大塚さんのコンテがクッションになっているのかもしれないと思うんですよね。

大塚 ほう。

今石 シーンに対して、ちゃんと素直にカットを割ってあげて、それでもちゃんと見せられるというのが、(自分の中での)大塚さんのイメージなんですよ。僕はとにかく「奇をてらって、外していかないと成立しないぞ」と思っているんだけど、大塚さんはちゃんと正攻法でやって、ちゃんと面白いものを作ろうとする人じゃないですか。

大塚 それは自分が画を描けないから、というのもあると思うよ。

今石 でも、それは「普通にやっても全然いける」という視点を持っているから描けるのであって、僕はもう「普通にやったら負けだ!」とか思い込んでいるんですよ。

大塚 ハハハ(笑)。

今石 それでいつも歪なものができ上がってしまって「困ったなあ」とか思ってた(笑)。それで3話の大塚さんのコンテを見て、「ちゃんとやりたいな」と思ったのかもしれないですね。普通にやってもちゃんとできるんだ、という感覚を8話に流し込んだ。

大塚 そういう意味では、自分はあまり凝った画が描けないから、画に頼れないという部分があって。だからオーソドックスに丁寧にやって成立させる事をまず考えるんです。そういう時は、キャラの感情をちゃんと追えればなんとかなるんだ、と思ってやっている。ただ、やっぱりたまに欲しくなるんですけどね。画が描ける人の描くような、ちゃんとした画が。特に引きの画では敵わないな、と思うところがある。実写だとカメラマンの力量に頼るようなところだから、そういうところではちょっと悔しいなと思うよ。

今石 僕は『グレン』を始める前、『(Re:キューティー)ハニー』ぐらいの頃から、ちゃんと感情に乗せたコンテをきるべきだと思い始めたんですよ。それまでは技巧だけで、とにかく退屈させないコンテをきる事ばかりをひたすら考えていた気がする。こうだと思ったらこうじゃなかった、こうじゃないと思ったらこうだった、みたいな。だけど、それだけだと感情が乗らなくて、最後には何も残らない。その事をずっと気にしてたんです。

── そうなんですか。

今石 逆に、感情さえ乗ってくれば、それはもうノリだけで描けるわけですよ。マンガではよくそういう事が起きていて、ただひたすら大ゴマで叫んでるだけでも感動できたりするじゃないですか(笑)。その前でちゃんと状況説明ができていれば、大ゴマで「うおー!」とか叫んで効果線がドカーッと入ってるだけでも、それは表現として成立している。あまり迂闊にやりさえしなければ、「マンガだね」と笑われずにすむ、ひとつの表現になりうる。そういう事をなんとかやりたいなと思っていた。そんな時に『ハニー』の中島さんのホンを見て、「ああ、それってちゃんとやればできるんじゃないか」と思ったんですよ。だから8話のBパートとかは、ほとんど感情だけでコンテをきっているんですよね。

── 具体的には?

今石 中島さんのホンが、まさに感情そのもので書かれているんですよ。最後、カミナは死に至るまで、ほぼ何のアクションもしていない。何のシチュエーションもないし、攻撃に何の作戦もない。まあ作戦はいつもないんだけど、何も起こらない。ただ感情が昂ぶっているだけ。だから、なんとかそれをそのまま描こうと思ったんですよ。細かいシチュエーションを作って、こうしてああしてこうやったから勝ったんだ、という伝え方じゃなくて、カミナの感情と一体化したから勝った気分になれるんだ、という。多分、劇団☆新感線の芝居は常にそうだろうと思っていたので、それを何とか再現したかったんです。ひたすら見栄を切る瞬間が気持ちいいかどうか、その境地へいかに導けるか、その事だけが目標でした。「とにかく背景に火山を置いてくれ!」とか言ってましたね(笑)。繋がりとかよりも、そういう事ばっかり考えていた気がします。「最後は火山が噴火しないとダメだから!」みたいな。そこでいかに感情を流し込むか。

── 今現在の今石監督にとっては、感情本位の演出というのがスタンダードなわけですね。周囲の風潮はともかくとして。

今石 ええ。それこそ、言っていいのか分からないけれど、いわば出崎(統)コンテ的な演出ですよね。どんどんキャラの感情に視点が寄っていって、そのうち背景が見えなくなっても、それでも作品としてはどんどん高まっていく。そういうものを目指していたと思います。

大塚 『グレンラガン』に関しては、中島さんのシナリオに乗っかっちゃえばいい、というのもよかったね。普通はシナリオが上がっても、何か足していかないと成立しないな、と感じる事が多いけど、中島さんのシナリオは「そのままやっても行けるな」と思えたから。

今石 でも多分、普通に乗っかってもダメなんですよね。本気で乗っからないと。中島さんのホンって、意外な事とか、珍しい事とか、見た事もないような事とかそんなにあるわけじゃないんだけど、でもどういうわけか、ものスゲエ面白い。だからホントに信じて乗っかって、どんどん気持ちを上に乗せていかないと。サラッと流しちゃうと真価を発揮しない危険性を孕んでる。

大塚 こっちが同調しないとダメなんだよね。

今石 そう。乗っかってナンボだから。どれだけ、いい意味で恥ずかしいコンテをきれるかどうか。8話はもう、顔を赤らめてしまうぐらい恥ずかしいコンテを描こうと思ってましたね。

── 大塚さんは、演出処理としてはいかがでしたか。

大塚 実は8話って楽だったんですよ。原画がかなり豪華なメンツだから、コンテが上がってきたら、そのまま任すだけ。

今石 いやあ、あれは当時の最大戦力でしたね(笑)。

大塚 しかも適材適所。冒頭のしっとりしたところは中村章子と林(明美)さんが上手くやってくれたし、アクションではすしおも渡部(圭祐)さんも凄かった。作監は錦織君だし。僕は上がりを見て「おおー」とか思いながら流すだけだったので、あまり演出的には苦労していないんですよね。こちらから直したり、リクエストしたりはしていないですから。まあ、表情については細かく言ったかもしれないけど。中村章子からは、「まだ直すんですか?」みたいな事を言われたりしましたけどね(笑)。「もう大塚さんが描いてくださいよ」とか。

今石 ハハハ(笑)。

大塚 色の転換みたいなものは、ちょっと意識しました。螺旋の緑から、噴火の赤に変わるタイミングの設計とか。音楽のアイディアも、結構こっちで出した気がします。

今石 そうですね。Mラインは一回、大塚さんに全部出してもらってます。

── 普段の回ではどうしてるんですか?

今石 選曲の合田(麻衣子)さんという人がMラインを出して、それをこちらでチェックして、変えてほしいところがあれば言うみたいな感じでやってました。8話では、普段は彼女だけでやったりするところを、大塚さんにも見てもらったりして。社内で作る回の時は、演出の人にも選曲まで見てもらう事が多かったですね。佐伯君もそうだし。

大塚 8話は自分の好きな曲をどんどん入れ込んでしまって。ちょっと多いかな? とも思ったんですけど……。

今石 いや、やっぱり8話は真面目にやりたかったので、僕の意見よりは大塚さんの意見を採ろうとは思ってました(笑)。多分、僕の趣味でやるより、大塚さんの趣味でまとめた方がよくなるだろうと。合体の後の曲は、最後まで粘りましたけどね。

大塚 あそこは、どうしてもM2を使いたかった。合体して、ギガドリルブレイクが出るまでの曲はM2というんですけど、1話でシモン達が地上に出てくる時もあの曲を使ってるんです。わりと第1部を象徴している曲だなあ、と思っていて。凄く好きな曲だったので、それで締めたかったんです。

今石 僕はやっぱり、ロボットもののフォーマットにこだわっていたから、合体シーンにいつもかけてた曲を最後の合体にもかけたいと思ってたんです。だけど、やっぱり“感情”の方を取ったらM2なんですよね。それは確かに面白いと思いました。

大塚 上手くハマッてくれているし、あそこは観ていて気持ちよかった。

今石 僕も8話ぐらいから、ダビングで感動してましたからね。自分で作ってるのに「やべえよ、このアニメ!」とかって(笑)。ちょっと俺、頭おかしいんじゃないか? と思いましたけど。なんか様子が変でしたね、8話のダビングの時は。

── 当初のコンセプトとしては、この第1部までが70年代アニメのスタイルなんですよね。以降、80年代、90年代、現在へとシフトしていくという。

今石 まあ、当初の予定ではそうでしたね。

── 実際にはどうなんですか?

今石 僕はもう、途中からどうでもよかったんですよ(あっさり)。

── ぶっちゃけましたね(笑)。

今石 ええ、どうでもいいんです。そこにこだわっていると、パロディアニメになってしまうので。言ってみれば、カミナは70年代を象徴しているキャラクターだから、カミナが死ぬ事で70年代が終了する、ぐらいの感覚でしかないですけどね。またさっきの話に戻るけど、その整合性にこだわっていると、感情が乗らなくなると思ったんですよ。「いや、ここは70年代パートの最終回だから、70年代っぽいネタで最終回を収めないと」って、アクションの仕方とかまで考えるようになっちゃう。それはダメだと思った。『あしたのジョー』みたいにハマるところはやるけど、ハマらないところに無理にネタを入れるのは絶対にやめようと思ったんですよね。だから、途中からかなりどうでもよくなってます。

大塚 現場ではそんなに、年代分けとかは意識していないよね。

今石 うん。それに各年代のテイストを徹底的に意識して描くという事は、結局は「昔の画そっくりに描け」という事になっちゃうので、それを強制したくはなかったんですよ。なんとなくそのテイストが分かってて、それが好きだっていうパッションで描いてくれるのはありがたいんだけど、単なるコピーになったら、当時の「気分」を再現する事とは違ってくる。当時の人達はコピーして描いていたわけじゃないから。そこに陥るのが怖かったので、口ではそんなコンセプト的な事を言うけど、現場では「やりたかったらやって」みたいな。

大塚 「ロボットアニメの歴史を追おう」というのは、シリーズ構成上のアイディアとしてあったけど、実際に作画に入って以降は、あまり意識していない。

今石 逆に演出的には、いつまで経ってもハーモニー使ってたりしてましたからね(笑)。「いつまで70年代なんだ」という。

── 第2部から出てくる四天王は80年代的ですよね。

今石 そう、だからアイディアとしては入っていると思うんですよ。主人公がいじけ始めるのも80年代的かな、とか。でも『(新世紀)エヴァンゲリオン』も入ってるよな、とか(笑)。グチャグチャですね、実際。

大塚 そこにこだわってもしょうがない。

今石 そうなんです。それが終着点ではなかったですから。出発点ではあったけれど、別に目指していたわけじゃない。ただ、作品が大河ロマン的なスケールになった時、みんなの共通認識がズレるのが怖かったので、迷った時の指針として確保しておきたかった、というレベルですね。

── 8話は、作画についてはいかがですか?

今石 言わずもがなですけど、合体からのバトル原画はもう……あれを渡部さんに振れた時点で、僕はもう「この回の仕事は終わった」と(笑)。

── えっ、そこで終わるんですか!?

今石 やっぱり、あそこですね。「8話のここだけは、渡部圭祐じゃなきゃダメだ!」と。『グレン』で僕が自ら電話して連れてきた唯一の原画マンが、渡部さんなんです。

── なんで渡部さんじゃないとダメだったんですか?

今石 それはもう、最後のパース君だからですよ。70年代的と言っていいのかどうか分からないけれど、僕の中で渡部さんは、金田系作画の正当後継者なんです。余計な不純物を入れずに、ちゃんと金田調を出せる人。だからといって金田さん本人である必要はない。

── 今の金田さんでは、また作画スタイルが違うし。

今石 そうなんです。そういう意味で、渡部さんはそのシーンにおける僕の気持ちが100%分かっている人なんですよ。渡部さんがそのまま描いてくれれば、僕の気持ちが100%入るんです。そのあたりがもう、ダビングで観てるとヤバいんですよ(笑)。線撮り観るだけで「うわあー!! 渡部さんの原画キター!!」みたいな感じで、ホォーとか溜め息ついてると、そのあとすぐ「すしお祭り!!」さらに「吉成作画ァー!!」。もう大感動ですよ!!

一同 (爆笑)

今石 それまでもさんざん「中村! 林! うわー」「久保田! 平松! うっはー」みたいな状態になっていた挙げ句に、それですから。自分で作っておきながら、ただの作画オタとして感動してました(笑)。いやあ、マジで泣きそうになりましたよ。

── ダビング段階では線画だったんですか?

今石 ほぼ動撮でしたっけ。

大塚 動撮ですね。8話まで来て、動画も背景も上がっているのに、まだ色が決まらないという異常事態だったんです。僕は「なんで!?」って怒ってたんですけど。

今石 異常事態でしたねえ、あれは。

大塚 でもまあ、作画は線撮りの方がよく見えるかもしれないね(笑)。

今石 そうですね。撮影しちゃうと、エフェクトとか影色とか、いろいろ乗っかってきて線が見えなくなるから。実は、8話の渡部さんの原画って、結構ターニングポイントになったんですよ。僕としては、設定はユルめに作って、原画で遊んでほしいんです。さすが渡部さんは何にも言わなくても、全部ズラしてきたんですよね。

一同 (笑)

今石 (グレンラガンの胸の)サングラスとか、ぐにょんぐにょんに柔らかく軟体動物みたいになってるし。兜の角は丸いはずなのに、カッ! カッ! と鋭角的に曲がってて(笑)。腕にも筋肉が柔らかい感じで、つきたいようについている。いい感じに全部ズラしてきた。ある意味、理想的でしたね。作画は8話の方が先だったので、7話やってる雨宮に「お前これ見ろ。こう描け!」と(笑)。だから7話の雨宮が描いたグレンラガンの角は、カッキューンと曲がってるんです。

── なるほど。

今石 渡部さんの原画上がりは、いちばん興奮したなあ。「渡部さんの全カット、いいからすぐカラーコピーして!」って(笑)。

大塚 制作進行をやったデスクの舛本(和也)君も興奮してたよ。彼、作画が凄く好きだから。

今石 渡部さんの原画が上がると、各原画マンに見せて回るんですよ。「どうですか?」とか言って(笑)。

大塚 見せなきゃいけない! って感じで回ってたよね。

今石 そうそう。「仕事止めさせてどうするんだよ!」とか思いましたけど(笑)。そういう意味では、8話は相当なお祭りでしたね。多分、観ている人はそうでもないと思うんですよ。わりとすんなり観られるはずなので。錦織もちゃんと抑えていたし、みんながわりと空気をちゃんと読む人だったし(笑)。

大塚 だから、話と作画がちゃんとマッチしている、という事だと思うんですよ。作画だけが目立つのではなくてね。それはやっぱりいい事だなあと思いますよ。

今石 だから、理想の作画アニメからはどんどん遠ざかっていくんですよね(笑)。

── 「作画アニメは、お話がよくてはならない」という掟からは外れてるわけですね。

今石 ええ。最終的に『グレンラガン』は作画アニメになれなかったですねえ。もの凄く作画のクオリティが高いのに、一歩も話が進んでねえ! みたいなのが理想なんですけど(笑)。面白い作品を作ろうと思ったら、作画アニメはやるな、という事ですからね。そこが茨の道であると。

── 今後の課題ですね(笑)。次に手がけるとしたら、今度こそ純・作画アニメなんですか?

今石 うーん……いや、作画アニメは監督が求めるものではない、という結論に達しました。監督が「作画アニメにしてくれ」と言ったら、それは作画アニメにはならないんですよ。まず監督が「おい、何描いてんだお前!」って怒らなきゃダメ。で、原画マンが「うっせーバカ!」って描いちゃうのが作画アニメなんですよ(笑)。「知るかこの野郎」つって、ヤバイものを描くという。(注:これは今石の超個人的妄想です)

── 7話でカミナがダイガンザンにウンコの落書きをしていれば、作画アニメになったのに。

今石 いや、それは演出の領域じゃないですか。そうじゃなくて、バキッと殴られた拍子にウンコがブリッと出るとか(笑)。それを描いちゃうのが作画アニメ。(注:今石の妄想です。真似をしてはいけません)

── なるほど。

今石 作画アニメをやりたいんだったら、僕は監督をやっちゃいけないんですよ。やったとしても、そうなる事を望んでいる以上、それは作画アニメにはならない。

── 難しいロジックですね。

今石 単純に言えば、演出家脳とアニメーター脳の違いになっちゃうんですけどね。作画アニメにしたかったら、演出家脳を使ってはいけない。

── 逆に、アニメーター脳を捨て去って演出家脳だけで監督して、さんざんアニメーターに勝手放題されて「実は、お前達のその反逆を求めていたのだ!」と言ってバッタリ事切れる、とか。

今石 いやー、それは……だって、自分も描きたいじゃない!

一同 (爆笑)

今石 それを我慢するのはつらいですよ! 「俺もそっちに入れてくれ!」って言いますよ(笑)。

── ロージェノムのように、心の奥底で作画アニメを求めながら、わざと人類を抑え込んで、そのパワーが爆発する瞬間を待っている。

今石 人類の作画力を炸裂させるために(笑)。

大塚 相当、我慢しなきゃダメだよ。

今石 つらいですねえ。

── やられた瞬間、ニヤッと笑ったり。

今石 「これを待っていたのだ……!」みたいな。完全に変態ですね、ウハハハ(笑)。

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