片渕須直監督が制作中の次回作のタイトルは『つるばみ色のなぎ子たち』。平安時代を舞台にした作品のようです。
『つるばみ色のなぎ子たち』の制作にあたって、片渕監督はスタッフと共に平安時代の生活などについての調査研究を進めています。その調査研究の結果を披露していただくのが、トークイベント「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』」シリーズです(以前は「ここまで調べた片渕須直監督次回作」のタイトルで開催していました)。
7月19日(土)昼に「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』13」を開催します。サブタイトルは「女房名からぎりぎりまで可能性を煮詰めて出身家系を探る 編」です。片渕監督によれば、女房の名前から出身家系について探っていくと、思いもよらなかった可能性に出会ってしまうとか。今回はそういった考察を中心にトークを進めていきます。興味深い話題が飛び出すことでしょう。
出演は今回も片渕監督、前野秀俊さん。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長が務めます。会場は阿佐ヶ谷ロフトA。今回のイベントも「メインパート」の後に、短めの「アフタートーク」をやるという構成になります。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。アフタートークは会場にいらしたお客様のみが見ることができます。
配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。また、今までの「ここまで調べた~」イベントもアニメスタイルチャンネルで視聴できます。
チケットは2025年6月21日(土)正午12時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。
■関連リンク
告知(LOFT) https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/322769
会場&配信チケット https://t.livepocket.jp/e/5tg3a
配信チケット(ツイキャス) https://twitcasting.tv/asagayalofta/shopcart/381187
なお、会場では「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」上巻、下巻を片渕監督のサイン入りで販売する予定です。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」についてはこちらの記事をどうぞ→ https://x.gd/57ICr
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第242回アニメスタイルイベント | |
開催日 |
2025年7月19日(土) |
会場 |
阿佐ヶ谷ロフトA | 出演 |
片渕須直、前野秀俊、小黒祐一郎 |
チケット |
会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,800円、当日 2000円(税込·飲食代別) |
アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。
第544回 今日も今日とて成田空港へ
第906回 『沖ツラ』制作話~OPコンテ撮ムービー
前回の続きで5話をやろうと思ったのですが、新作『キミと越えて恋になる』鋭意制作中で本日バタバタ! 公式で発表されているとおり、今回は木村(博美)さんと共同監督なのですが、相変わらず自分もアニメーターなため、「作画以降は全部お任せ!」とは行かずまた作画修正をやっています。
さらに、今回は『異世界でチート能力(スキル)を手にした俺は、現実世界をも無双する』同様、音響監督も兼任(こちらも納谷僚介さんと共同)故、選曲やら音響用ムービーのチェックなど、大忙し……。
それらが重なった訳で、本日はちょっと寄り道。
『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』
オープニング・コンテ撮ムービー公開!
ということでご勘弁を(汗)。
第543回 8月27日に還暦を迎えるのです
第306回 ミステリーサウンドの継承 〜天久鷹央の推理カルテ〜
腹巻猫です。犯罪捜査を題材にしたミステリーものの音楽にジャズやロックが使われるようになったのはいつからでしょう? 劇場作品では50年代の犯罪サスペンス「死刑台のエレベーター」あたりが原点で、60年代の「夜の大捜査線」や70年代の「黒いジャガー」「ダーティハリー」などでイメージが固まったと思います。
日本では、60年代のTVドラマ「七人の刑事」で山下毅雄が渋いジャズを聴かせ、同じ作曲家によるTVアニメ『わんぱく探偵団』(1968)がそのサウンドを継承しました。70年代に入ると、TVドラマ「太陽にほえろ!」のロックサウンドが刑事ドラマ音楽のイメージを一新。こちらも同じ作曲家(大野克夫)によるTVアニメ『名探偵コナン』がサウンドを受け継いでいます。今回は、そんなミステリーサウンドの系譜につながる作品、『天久鷹央の推理カルテ』を取り上げます。
『天久鷹央の推理カルテ』は2025年1月から3月まで放映されたTVアニメ。知念実希人による人気ミステリー小説を、監督・いわたかずや、アニメーション制作・project No.9のスタッフで映像化した作品である。4月からは橋本環奈主演によるTVドラマ版も放映されている。
天医会総合病院の統括診断部部長を務める天久鷹央は、超人的な記憶力と知性を持つ天才医師。小柄で童顔のため少女に間違えられることもあるが、ほかの医師が診断困難とした患者の病因をつきとめ、警察も手に負えない事件の真相を暴いていく。いっぽうで鷹央には他人の感情を理解できない欠点があり、そのせいで人に嫌われたり、もめごとを起こしたりすることもしばしば。そんな鷹央のもとに、今日も不可解な患者や事件が持ち込まれる。
診断に特化した医師が探偵役の医療ミステリーである。医院の屋上に家を建てて暮している主人公・天久鷹央のキャラクターが強烈で、多少展開に無理があっても許してしまう。
音楽は3人組のジャズロックバンド、fox capture planが担当。以前当コラムで取り上げた『青春ブタ野郎』シリーズでは青春ものらしいリリカルな曲が多かったが、本作では本領発揮とも言えるジャズ&ロックスタイルの曲をたくさん提供している。fox capture planが音楽を手がけたドラマ「ブラッシュアップライフ」や「コンフィデンスマンJP」などのサウンドが好きな人にはたまらない音楽だ。
fox capture planのピアニスト・岸本亮は本作の音楽について、「鷹央が推理しているときの脳内を音楽でどう表現するか」にこだわったとコメントしている(アニメ公式サイトより)。鷹央は感情をあらわにするキャラではないから、何を考えているのか、映像だけではわかりづらい。鷹央のキャラクター描写を助けているのが音楽だ。たとえば、鷹央が謎を解き、真相にたどりつくシーンによく使われた曲「Q.E.D.」は、鷹央の頭の中でなにが起こっているかを視聴者に想像させる音楽になっている。
サウンドトラック・アルバムの解説書に掲載されたfox capture planのインタビューによれば、本作ではエレキギターを使った曲があるのが特徴だとのこと。fox capture planにはギタリストがいないので、ふだんギターを使う曲はあまり書かないのだそうだ。エレキギターはメインテーマ「天久鷹央」でもフィーチャーされていて、鷹央のキャラクターを印象づけるサウンドになっている。
ほかには、探偵ものらしいオーソドックスなジャズの曲が聴けるのも楽しいところ。ミステリーにはやっぱりジャズだろう。そう考えるサントラファンの期待を裏切らない音楽である。
本作の音楽の大きな特徴のひとつに、曲数の少なさがある。
サウンドトラック・アルバムに収録された音楽は全28曲。筆者がチェックしたところ、劇中で流れた曲はほぼすべてアルバムに収録されている。昨今は1クールの作品でも40曲くらい劇伴を作るのがふつうだが、おそらく本作では30曲程度しか作っていないのではないか。少ない曲数での音楽演出を可能にしたのが、音楽の作り方と使い方である。
まず音楽の作り方について。本作の音楽では、たとえば同じメロディを2回くり返す場合、ジャズの演奏でよくあるように2コーラスめのメロディをくずしたり、アドリブを入れたりして変化をつけている。その特徴を生かして、劇中では前半と後半を使い分けて別の曲のように聴かせている。また、同じ楽曲のミックス違いを用意することでバリエーションを増やし、音楽演出の幅を広げている。
次に音楽の使い方について。本作では1回の話数で使用される劇伴の曲数が少ない。だいたい1話あたり10曲程度で、エピソードによっては5、6曲の場合もある。べったりと音楽を流さず、映像をじっくり見せ、セリフを聴かせる、実写のドラマを思わせる演出になっている(TVドラマ版は逆に音楽が多すぎるくらい)。また、本作のストーリーは1〜3話でひとつの事件が解決するスタイル。基本的なフォーマットが決まっているので、「こういう場面にはこの音楽」という定番の音楽演出がある。その代表が先に上げた、鷹央が真相をつかむシーンに流れる「Q.E.D.」である。定番の音楽演出には、聴きなじみのある曲で視聴者の心を高揚させる効果もある。おそらくスタッフは、この作品なら、いたずらに曲数を増やす必要はないと考えたのだろう。少し話がずれるが、『機動戦士ガンダム』(1979)だって劇中でよく使われた音楽は30曲くらいしかないのである。それがかえって1曲1曲の印象を強めることになった。劇伴って、そういうものでよいのではないか、と思う。
本作のサウンドトラック・アルバムは「『天久鷹央の推理カルテ』Original Soundtrack」のタイトルで、2025年3月26日にアニプレックスから発売された。CDの解説書にはfox capture planのインタビューが掲載されている。
収録曲は以下のとおり。
- 天久鷹央
- My mood
- 1年目の研修医
- 捜査
- 原因
- 救急要請
- 懐疑心
- 緊迫
- Q.E.D.
- Dr. Sherlock
- 鷹と小鳥
- 一件落着
- 蘆屋炎蔵
- 呪いの墓
- 不可解
- 医師として
- 致命的問題
- 終幕
- 正体
- 逃がすな!
- 救った命
- 胸の内
- 空虚
- Silent Night -Ameku Takao’s Detective Karte Ver.-
- 願い
- Good night emotional wounds
- SCOPE -Anime Instrumental Ver.-
- will be fine feat.Anly -Anime Instrumental Ver.-
歌は未収録で、すべて劇伴音楽で構成されている。
曲順は、本編使用順にこだわらず、本作の全体的なイメージを音楽で再現した印象だ。
トラック1「天久鷹央」は本作のメインテーマ。ドラムのリズムを導入にエレキギターがワイルドなフレーズを奏でる。オルガンが加わって、ロック調のノリのよい演奏が展開する。天久鷹央のキャラクターを表現した勢いのある曲だ。劇中では第1話の鷹央の登場シーンなどに使用されている。
トラック2〜トラック12は、よく使われるおなじみの曲を並べた構成。
トラック2「My mood」は「鷹央が自分の部屋で聴いている音楽」という設定の曲。ピアノトリオによる軽快なジャズだ。fox capture planのコメントによれば、自分たちの本来のスタイルは抑えて、作品世界の中のジャズトリオが演奏した曲というイメージで演奏したとのこと。
トラック3「1年目の研修医」は鷹央にあこがれる研修医・鴻ノ池舞のテーマ。ユーモラスなシンセの音を使ったほのぼのした曲だ。
トラック4「捜査」とトラック5「原因」は、不可解な事件が起こって警察や鷹央が捜査を進める場面によく使われた曲。緊張感と不安感ただよう曲調がミステリーの雰囲気を盛り上げている。
トラック6「救急要請」は歯切れのよいフレーズの連続で緊迫感と焦燥感をあおる曲。医療ドラマ「救命病棟24時」などを思わせる曲調がカッコいい。
トラック7「懐疑心」とトラック8「緊迫」は毎回のように使用された不安曲。じりじりと心を圧迫するような曲調が、謎が深まる場面や事態が急展開する場面などに効果を上げていた。
トラック9「Q.E.D.」は、すでに紹介したように、鷹央が事件の真相に気づく場面に流れた定番曲。鷹央の頭の中で脳のシナプスが発火し、推理がフル回転する。そんなイメージをスリリングなピアノとエレキギターのアンサンブルで表現し、謎が解ける瞬間をドラマティックに演出している。
次のトラック10「Dr. Sherlock」は、鷹央が関係者を集めて事件の謎解きをする場面によく流れた曲。ピアノとストリングスを主体にした軽快な曲調で真相が明らかになっていくカタルシスを表現している。「Q.E.D.」とセットで使われる印象だ。
トラック11「鷹と小鳥」は鷹央の下に配属された医師・小鳥遊(たかなし)優の登場シーンによく流れた日常曲。エフェクターを効かせたギターのフレーズとのんびりしたリズムが緊張感をほぐしてくれる。続くトラック12「一件落着」も、事件が終わったあとの平和なひとときを描写する、リラックスしたジャズの曲である。
トラック13「蘆屋炎蔵」とトラック14「呪いの墓」は、陰陽師の墓にまつわる奇怪な事件を描いたエピソード第4〜6話で使用された和風の曲。三味線や笙の音が歴史を感じさせるとともに、不穏な雰囲気もかもしだす。fox capture planには珍しいタイプの音楽である。
トラック15〜21は、特定のエピソードにフォーカスしたというよりも、ふたたび本作全体の雰囲気を再現した構成。
ギターを使ったミステリアスな曲「不可解」(トラック15)に続いて、ピアノとストリングスによる沈んだ曲調の「医師として」(トラック16)が、鷹央と小鳥遊が感じる無力感や苦い思いを描写する。
トラック17の「致命的問題」は、鷹央と対立する院長・天久大鷲をイメージした曲で、第7話で大鷲が統括診断部の廃止を決めようとする場面に使用された。
メランコリックな曲想のトラック18「終幕」はすっきりしない幕切れを思わせる曲。まだ事件は終わらず、軽快な曲調で鷹央の謎解きを描写する「正体」(トラック19)とアップテンポの追跡曲「逃がすな!」(トラック20)が、アルバムの終盤を盛り上げる。
ストリングスがやさしく奏でる「救った命」(トラック21)は、ようやく訪れた大団円に流れる曲だ。
これでアルバムが終わってもおかしくない。が、まだ聴きどころが残っている。
トラック22〜26は、第8話と第9話で描かれた「天使の舞い降りる夜(前編・後編)」で使用された曲で構成されている。小児科病棟に入院した少年たちに起きた事件と彼らの友情を描くエピソードである。本アルバムの中でもとりわけエモーショナルな曲が並んだブロックだ。
鷹央と難病の少年・健太との回想シーンに流れる「胸の内」(トラック22)、鷹央の健太への複雑な想いを描写する「空虚」(トラック23)。いずれも繊細なピアノソロの演奏で、鷹央にも人間的な弱さがあることを伝える重要な曲である。
トラック24の「Silent Night -Ameku Takao’s Detective Karte Ver.-」は、「きよしこの夜」をfox capture plan流にアレンジした曲。劇中で流れる現実音楽であると同時に、鷹央が表に出さない心情を表現する役割も果たしている。
トラック25「願い」は鷹央と健太の交流のシーンに流れたピアノソロ。しみじみとした、あたたかい曲調が心にしみる。
トラック26「Good night emotional wounds」は、トラック2の「My mood」と同じく、鷹央が自分の部屋で聴いている音楽という設定で書かれたジャズの曲。第9話のラストシーンに使用された。
本編ではこのあと、第10〜12話で描かれる最後のエピソードが続くのだが、アルバムとしては、ここでエンディングになる。第8・9話の印象を残して終わるのは後味がよいので、いい構成だ。
トラック27と28は、それぞれオープニング主題歌とエンディング主題歌のインストルメンタル・バージョン。ボーナストラック的な配置だが、劇中でもしっかり使われている。
トラック27「SCOPE -Anime Instrumental Ver.-」は第1話をはじめ、鷹央の部屋のBGMとしてたびたび使用されていた。トラック28「will be fine feat.Anly -Anime Instrumental Ver.-」は最終回(第12話)で使用されているから、アルバムの締めくくりとしてはぴったりだ。
『天久鷹央の推理カルテ』のサントラ盤は、ジャズ・ロックを使ったミステリーサウンドの系譜を現代に受け継ぐ好アルバムである。ピアノ、ベース、ドラムスというピアノトリオの編成で結成されたfox capture planは、このスタイルの音楽にぴったりのバンドだと思う。この路線はぜひ続けてもらいたいし、せっかくバンドなのだから、劇伴のライブもやってほしいなあ〜。
「天久鷹央の推理カルテ」Original Soundtrack
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第905回 『沖ツラ』制作話~訂正と4話~5話へ
いきなりですが、ご本人より指摘していただいたため、最初に訂正させてください!
以前『沖ツラ』作画スタッフ・市川真琴さんを「キャリア3年」と解説してしまいましたが、正確には「5年」でした! 大変失礼しました!
もう少し細かく言うと、市川さんは『沖ツラ』制作期間中では5年目、今年春から6年目に突入! になります。と言うのも、『蜘蛛ですが、なにか?』から参加しているのを憶えていて、その後『いせれべ』『沖ツラ』——“3作目”というのが頭にあったことによる勘違いでした。毎年監督していたけど、全てが1年で作り終えていないわけですから、3作で3年と結びつけるのは安直でした。本当に申し訳ありませんでした。
まあ……あと、それなりに歳を取って、
自分の体感より現実に流れる時間の方が遥かに早い現象!
ってヤツで……。
そして続き、4話Cパート(ED開け) “指笛講座”編。構成(ラフ脚本)では最初、Bパート本編の“比嘉さんが指笛をすず・なおや・てーるーに教える”件の後に入っていたパートでした。それを「内容が重なるから」とCパートにまわしました。指笛お手本に比嘉さんがもう一度登場するところ5も可笑しくて良いですね。Cパート比嘉さんは前述の市川さんによる作監でした。
で、5話“~しようね問題、前振り”編のアバン。こちらはメインアニメーター篠(衿花)さんによる作監。オフィス・イメージの喜屋武さんや、ファミレス・イメージの比嘉さん、非常に良い感じにしていただけました!
今回も短くてすみません!また、『キミ越え』へ!
第542回 台湾のホテルからお届け
【新文芸坐×アニメスタイル vol.190】
平田敏夫の珠玉のアニメーション
6月の【新文芸坐×アニメスタイル】では故・平田敏夫監督が手がけた『グリム童話 金の鳥』『ボビーに首ったけ』を上映します。両作とも「珠玉」という言葉が相応しい、アニメーションの魅力が詰め込まれた傑作です。
『グリム童話 金の鳥』(1987年)は「東映まんがまつり」の1本として公開された劇場アニメーション。飄々とした登場人物、ポップなキャラデザイン、絵本の1ページのような背景美術。ドラマに関しても映像に関しても、楽しさいっぱいの作品です。
『ボビーに首ったけ』(1985年)は片岡義男の同名小説を原作とした劇場アニメーション。写真のコラージュ、線画による背景動画など、様々な手法を駆使した尖鋭的な作品です。1980年代の空気が濃厚な青春ドラマでもあり、その意味でも魅力的なフイルム。
トークのゲストは両作を手がけた丸山正雄プロデューサーです。作品について、平田敏夫監督について、参加した他のクリエイターについて語っていただきたいと思います。
チケットは6月21日(土)から発売。チケットの購入方法については新文芸坐のサイトで確認してください。
●関連リンク
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/
新文芸坐オフィシャルサイト(「平田敏夫の珠玉のアニメーション」情報ページ)
https://www.shin-bungeiza.com/schedule#d2025-06-28-1
TVアニメ『あずきちゃん』のエピローグイラストを収録した画集が刊行!
http://animestyle.jp/news/2017/09/07/11936/
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【新文芸坐×アニメスタイル vol.190】 |
開催日 |
2025年6月28日(土)14時05分~17時00分予定(トーク込みの時間となります) |
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会場 |
新文芸坐 |
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料金 |
2800円均一 |
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上映タイトル |
『グリム童話 金の鳥』(1987/52分) |
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トーク出演 |
丸山正雄(プロデューサー)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長) |
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備考 |
※トークショーの撮影・録音は禁止 |
第904回 『沖ツラ』制作話~4話、指笛と幼少期
う~ん、改めてコンテを見直すと、この4話も結構手を入れて(修正して)ますね……
という訳で “指笛”編。喜屋武さん・なおや・すずが「教えて、教えて~」と比嘉さんの周りをグルグル回るところ、市川(真琴)さんの原画で、“角度変化のある走り”という高難易度な原画を巧くこなしてくれていたので、そのまま通した気がします。同じく市川作画で印象的なのは“舌の裏をを見せて説明~てーるーに見られてて赤面する”比嘉さんのアップ。こちらも可愛くて良い画だったのでそのまま流しました。レイアウト的に弱い部分はこちらでフォローしましたが、基本市川さんは手が早いほうなので、俺のほうでラフを入れて「これ清書して~」と渡せばなんとかしてくれるので、とても助かりました。キャリア3年では上出来と言えるでしょう!
指笛教えて~からの流れでそのまま、Bパート“幼少期・指笛の想い出”編へ。『沖ツラ』は幼少期エピソードも秀逸で、これは空(えぐみ)先生の原作を読んだ時から「良い話だ~!」と思っていました。
ひーなーと指笛吹き合いっこしだがっだのぉー!!
と、幼少期の比嘉さんが大泣きするシーンなどは、子供の頃“泣き虫”で通っていた自分からすると、かなり感情移入ポイントでした。いや、子供の頃って虐められた時だけでなく、周りの人から受ける“情”に対してどう応えたらいいのか分からず、感情だけが溢れて大泣きするもんです。俺はそうでしたから。で、泣いて訴える比嘉さんを受けるかたちで次カット“それを聞いて嬉しい喜屋武さん”のアップを入れました。喜屋武さんのほうも喜ぶはずだ! と。
さらに言うと不用意に女の子を傷つけるようなことを言ってしまう男の子側の気持ちも分かるし──と、沖縄だ、指笛だ関係なく、心揺さぶれる話で、本当に大好きなエピソードです。
アフレコでキャストさんの声が入った時、ゾクッとしましたから!
で、今回も短くてすみません! 鋭意制作中の『キミ越え』に戻ります!
第305回 一緒にキラッキランラン〜♪ 〜キミとアイドルプリキュア♪〜
腹巻猫です。ついに、ついに、ついに! 5月28日、『キミとアイドルプリキュア♪』のサウンドトラック・アルバムが発売されます! プリキュアとアイドルものをミックスした作品として、これまでにない意表をついた展開を見せている本作。それを盛り上げているのがキラキラした魅力がいっぱいの音楽です。サントラ発売日はこのコラムがアップされる翌日ですが、もうフラゲ(フライングゲット)したという方もいるでしょう。今回はその内容を最速でチェックしましょう。
『キミとアイドルプリキュア♪』は2025年2月から放映中のTVアニメ。東映アニメーション制作のプリキュアシリーズ第22作目となる作品である。
アイドルプリキュア、それは世界中を真っ暗闇にしようとするダークイーネから世界を救う伝説の救世主。ある日、歌うことが大好きな中学生の咲良うたは、ふしぎな妖精プリルンと出会い、キュアアイドルに変身する力を手に入れる。同じ中学に通う蒼風ななと紫雨こころも、それぞれキュアウインク、キュアキュンキュンに変身した。アイドルプリキュアとなった3人は、力を合わせてダークイーネとその手下チョッキリ団の野望に立ち向かっていく。
そのいっぽうで、プリルンがプリキュアの動画をSNSにアップしたため、アイドルプリキュアは世間の注目を集め、ついに本当のアイドルとしてデビューすることになってしまった。アイドルプリキュアの3人は、CM出演、CDデビュー、握手会など、アイドルとしても活動の場を広げていく。
過去に素顔で歌手活動やアイドル活動をするプリキュアはいたが、変身してアイドル活動をするプリキュアは初めて。アイドルプリキュアがモンスターを倒す(本作では「キラッキランランにする」と表現される)ときの決め技は歌(「ステージ曲」と呼ばれる)。その曲がアイドルとして活動するときの持ち歌にもなっていて、リアルに(視聴者が買える)CDとしても発売される。本作の設定のユニークな点であり、フィクションと現実をリンクさせるしくみとして「うまいなあ」と感心する点だ。
また、本作では、うたたちがアイドル活動をするためだけにプリキュアに変身するシーンが日常的に描かれる。これも過去のプリキュアシリーズにない趣向である。アイドルの要素は予想していた以上に本作の根幹になっているのだ。
音楽は深澤恵梨香と馬瀬みさきが共同で担当。深澤恵梨香は『ひろがるスカイ! プリキュア』『わんだふるぷりきゅあ!』に続いて、プリキュアシリーズ3作目の音楽担当。馬瀬みさきはプリキュアシリーズの劇伴を担当するのは初めてだが、過去にキャラクターソングや挿入歌の作・編曲でシリーズに参加しているし、当コラムで以前取り上げた『変人のサラダボウル』などの劇伴を手がけた実績がある。2人のアイドル観が反映された音楽が劇中に流れるのが楽しいところだ。
音楽作りは、深澤がメインテーマやプリキュアの変身曲、バトル曲、敵側のテーマなどを担当し、馬瀬が主に日常曲や心情曲とステージ曲を担当する分担で行われている。
「千と千尋の神隠し」等の舞台の音楽監督を務めたことがある深澤恵梨香は、華やかなステージで活躍するアイドルの姿をイメージしたようだ。メインテーマはビッグバンドジャズ風の躍動的なサウンドに女声コーラスを加え、ブロードウェイ・ミュージカルを思わせる華麗な楽曲に仕上げた。プリキュアの変身テーマやメインの活躍テーマも同様の曲想で作られている。
いっぽう、馬瀬みさきの担当曲で重要なのがプリキュアが歌うステージ曲。3人のプリキュアそれぞれがソロで歌う曲と3人一緒に歌う曲の作曲・編曲を担当している。キャラクターソングでありつつ、劇中のアイドルソングであり、プリキュアの決め技でもあるという難しい要求に苦心しながら、一度聴いたら耳に残るポップでキャッチーな楽曲を作り出した。劇伴の日常曲のほうも、アイドル的な可愛らしさと親しみやすさを現代的なサウンドで奏でた楽曲になっている。実は馬瀬自身が子どもの頃からプリキュアシリーズを観ていたというプリキュア世代。それゆえにプリキュアらしい楽曲のツボみたいなものが自然に身についているらしい。
本作のサウンドトラック・アルバムは「キミとアイドルプリキュア♪ オリジナル・サウンドトラック プリキュア・キラキラ・サウンド!!」のタイトルでマーベラスから2025年5月28日に発売。CDと配信があるが、CDのほうは深澤恵梨香と馬瀬みさきのインタビューが掲載されたブックレットつきなので、熱心なファンにはCDがお奨めだ。
収録曲は以下の通り。
- キミとキラッキランラン♪
- キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!(TVサイズ) (歌:石井あみ・熊田茜音・吉武千颯)
- 陽だまりのパレット
- サブタイトル
- さくら色のティータイム
- チョッキリ団
- 闇を照らす救世主
- プリキュア!ライトアップ!(Short version)
- 笑顔のユニゾン♪〜プリキュア!アイドルスマイリング! (歌:キュアアイドル(CV:松岡美里))
- うわさの人気者
- 思い出に沈むとき
- 勇気のドアをあけて
- まばたきの五線譜〜プリキュア!ウインククレッシェンド! (歌:キュアウインク(CV:高橋ミナミ))
- あこがれがとまらない
- アイドルプリキュアをさがせ!
- ココロレボリューション〜プリキュア!キュンキュンビート! (歌:キュアキュンキュン(CV:高森奈津美))
- はなみちタウンで会いましょう
- アイドルキャッチ♪
- 光あふれる世界
- 私はピカリーネ
- あの子のひみつ
- すれちがいデュエット
- プリプリルンルン〜♪
- キラキラをふりまいて
- 闇の気配
- 世界をクラクラの真っ暗闇にせよ
- キラッキランランにしちゃうよ
- プリキュア!ライトアップ!
- 激闘のプレリュード
- 白熱のバトルステージ
- 歌って踊ってファンサして【ハート】
- Trio Dreams〜プリキュア!ハイエモーション!〜 (歌:キュアアイドル(CV:松岡美里)&キュアウインク(CV:高橋ミナミ)&キュアキュンキュン(CV:高森奈津美))
- 夢色のときめき
- 川沿いの道を走ろう
- キミと一緒に
- Trio Dreams(TVサイズ) (歌:キュアアイドル(CV:松岡美里)&キュアウインク(CV:高橋ミナミ)&キュアキュンキュン(CV:高森奈津美))
- 今日もキミと!キラッキランラン〜♪
主題歌2曲とステージ曲4曲、劇伴30曲と予告用音楽を収録した内容。構成は筆者が担当した。
アルバムの大まかな流れは、前半がプリキュアが1人ずつ増えていき、アイドルプリキュアが3人そろうまでのイメージ。後半は、パワーアップして襲い来る敵に3人が協力して立ち向かい、勝利するまでのイメージ。その中に日常曲や心情曲、キャラクターテーマなどをちりばめた構成にしてみた。
本アルバムの聴きどころを紹介しよう。
1曲目「キミとキラッキランラン♪」は本作のメインテーマ。思わず体が動いてしまうような躍動感のある曲だ。サックスの音色が少し大人びた雰囲気をかもし出している。サックスを入れるのは音楽プロデューサーの注文だったそうだ。あとで出てくる「勇気のドアをあけて」(トラック12)、「はなみちタウンで会いましょう」(トラック17)、「歌って踊ってファンサして【ハート】」(トラック31)、「キミと一緒に」(トラック35)の4曲はメインテーマのアレンジ曲である。
オープニング主題歌を挟んで、「陽だまりのパレット」(トラック3)と「さくら色のティータイム」(トラック5)は、うたたちの日常をイメージした選曲。明るく軽やかな曲調が本作のムードに合っている。本作では、劇伴の曲名もこれまでと趣を変えて、アイドルソングっぽいタイトルにしてみた。
チョッキリ団のアジトのシーンに必ず流れるジャズ風の曲「チョッキリ団」(トラック6)に続いて、第1話でプリルンがうたにプリキュアのことを説明する場面に流れた「闇を照らす救世主」(トラック7)。壮大なファンタジーの世界を思わせる曲だ。
トラック8「プリキュア!ライトアップ!(Short version)」はプリキュアの変身テーマの1人変身用バージョン。アイドルがステージに出て行くときのわくわく感や意気込みをイメージさせる本作ならではの曲想。変身テーマは1人用、2人用、3人用……と何種類か作られている。
トラック9「笑顔のユニゾン♪〜プリキュア!アイドルスマイリング!」はキュアアイドルのステージ曲である。フルサイズの「笑顔のユニゾン♪」を40秒に短縮した劇中バージョンだ。
トラック11〜トラック16は、キュアウインク、キュアキュンキュンが1人ずつプリキュアになっていく姿をイメージした構成にした。
「思い出に沈むとき」(トラック11)は第3話のななの回想シーンに流れたしんみりした曲。次の「勇気のドアをあけて」(トラック12)も第3話でなながプリキュアになる直前に使用されていた曲だ。プリキュアシリーズに欠かせない、勇気や決意を描写する曲で、ななだけでなく、うたとこころがそれぞれ初めて変身するときにも使われていた。
トラック14の「あこがれがとまらない」は夢みる気持ちをロマンティックな曲調で少し大げさに表現した曲。こころのイメージで選曲したが、実際には第12話から本格的に登場する妖精メロロンのシーンによく流れている。
次の「アイドルプリキュアをさがせ!」(トラック15)は第1話でプリルンとうたが街でアイドルプリキュアを探す場面に流れ、以降もイベントのシーンなどに使われている軽快なファンク風の曲。本編の明るくはじけた雰囲気が伝わってくる。
トラック13とトラック16に収録したキュアウインクとキュアキュンキュンのステージ曲が、それぞれのキャラクターを反映した曲調とアレンジになっているところもポイント。
メインテーマアレンジの日常曲「はなみちタウンで会いましょう」(トラック17)とアイキャッチ曲「アイドルキャッチ♪」(トラック18)を挟んで後半へ。
後半は、ファンタジックな曲とユーモラスな曲から始まる。
トラック19「光あふれる世界」はキラキラした音色を使った美しい曲。第10話でキュアキュンキュンがファンの女の子と握手する場面など、胸を打つ温かいシーンに使用されている。
トラック20「私はピカリーネ」はプリルンがいた妖精の国キラキランドの女王ピカリーネのテーマ。フルートとハープ、ストリングスなどによる神秘的なムードの曲である。
トラック21「あの子のひみつ」からトラック23「プリプリルンルン〜♪」までは特徴的なリズムや音色を使ったコミカルな曲を集めた。いずれもプリルンやうたのシーンによく選曲されている。
トラック24「キラキラをふりまいて」はプリルンやメロロンの登場場面にたびたび使用。弦のピチカートと木管が奏でる可愛い曲だ。
トラック25からは一転して不穏な気配がただよい始める。
ストリングスやハープの合奏が徐々に盛り上がっていく「闇の気配」(トラック25)は「緊張をはらんで後半に続く!」といった雰囲気のサスペンス曲。
敵のモンスター登場シーンに流れる危機感に富んだ「世界をクラクラの真っ暗闇にせよ」(トラック26)、それに対抗するプリキュアの決意を力強い曲調で描写する「キラッキランランにしちゃうよ」(トラック27)と2曲続いたあと、3人そろっての変身テーマ「プリキュア!ライトアップ!」(トラック28)がアイドルプリキュアの登場を描写する。
トラック29〜トラック32まではプリキュアのバトルを怒涛の選曲で再現してみた。
トラック29「激闘のプレリュード」とトラック30「白熱のバトルステージ」はプリキュア対モンスターの戦闘シーンに流れる定番曲。アイドルのイメージは希薄で、スピード感と緊迫感とカッコよさが強調されている。前作『わんだふるぷりきゅあ!』が「攻撃しないプリキュア」だったので、今年は久々に熱いバトル曲が復活した印象だ。
トラック31「歌って踊ってファンサして【ハート】」はメインテーマアレンジのプリキュア活躍曲。ビッグバンドサウンドと女声コーラスが組み合わさり、華麗で爽快で躍動感にあふれたアクション音楽になっている。いきなり女声コーラスから始まるのが最高!
そしてトラック32「Trio Dreams〜プリキュア!ハイエモーション!〜」はプリキュア3人で歌うステージ曲。エンディング主題歌と同じ曲だというのがニクい。ステージ曲はどれもそうなのだが、この曲も視聴者がコール&レスポンスで参加できる趣向。TVを観ながら声を出して応援してほしい。
トラック33〜トラック35の3曲は、エピローグのイメージで選曲した。うた、なな、こころ、3人の心情の流れを大切に構成を考えてみた。
「夢色のときめき」(トラック33)はタイトルどおり、ときめく気持ちを表現する曲。第3話でうたとなながステージに歩き出すラストシーンや第14話でこころが誕生日を祝ってもらうシーンなど、うたたちの心が通い合う感動的な場面に使われている。
「川沿いの道を走ろう」(トラック34)は軽快なリズムの上でバイオリンやピアノ、ギターがメロディを奏でる解放感のある曲。さわやかな青春の一場面のイメージだ。
「キミと一緒に」(トラック35)はメインテーマのしっとりとしたアレンジ曲。ピアノとストリングスのやさしい音色が友情や家族の愛情を表現する。曲は必要以上に盛り上がることなく、そっと終わる。しみじみとした余韻が残る曲である。おだやかな曲調と次のエンディング曲(トラック36)のダンサブルなサウンドとの対比もねらってみた。
最後のトラック37「今日もキミと!キラッキランラン〜♪」はオープニング主題歌のカラオケを編集した次回予告音楽。曲タイトルは毎回予告の締めに使われるフレーズである。
今回のアルバムは、アイドルムービーみたいな、明るく楽しく、けれど最後はじんわりと心に沁みるものが残るようなイメージで構成してみた。難しいことは考えなくていい。深刻にならなくてもいい。でも大切な何かが、心に残ってほしい。本作における大切な何かとは、たぶんキラッキランランになること。キラッキランランとは「キラキラして、ランランして、ニコニコって感じ」だそうだ(第1話のうたのセリフより)。周囲の人も、敵も、そして自分も、みんなキラッキランランにしてあげたくて、プリキュアは活躍しているのだ。このサントラを聴いた人がキラッキランランになってくれたら、筆者も本望(キラッキランラン)である。さあ、キミも一緒に! キラッキランラン〜♪
キミとアイドルプリキュア♪ オリジナル・サウンドトラック プリキュア・キラキラ・サウンド!!
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第541回 「HUNTER×HUNTER」の舞台を観ました!
第903回 『沖ツラ』制作話~3話エイサーCG祭り~4話
3話“エイサー祭り”編。前回説明したように、今さら自分「ダンス・踊りを作画で描くことに意義がある」とは考えていないので、最初からCGでと決めていました。「手描き最高!」とか「作画でやるからこそ~」云々言われるかも知れないのですが、CGを作るにしても、
スタッフが実際、沖縄に出向いて本当の具志川青年会の方々に演奏していただき、さらに踊りのモーションキャプチャーも本物を撮って作ったCGです!
から、作画とは別の手間がそれなりに掛かってはいるので、その辺を見ていただけると嬉しいです。
あと、クライアント(製作委員会)リテイクに対して、板垣がどんな感じで直していたか? の一例。
すずに促されてチョンダラー喜屋武さんを見、てーるー(OFF)「本当だ。よく見ると色々してる」
のシーン。これ“TAKE 1”では、太鼓隊を引き連れている画(現行カットの前半)しかなかったのです。ダラダラと。当然クライアントから“てーるーのOFF台詞通りに「色々」してください!”と、ごもっともなチェックが入り、演出・作監(その時点ではいた)たちに
これ、委員会による贅沢リテイクでもなんでもない、当然のご指摘だよ! 何やってんの?
みたいな軽い説教を入れて、「ま、俺が描くから、見て勉強して」と後半の“あっちこっちに指示している喜屋武さん”の動きをババ―! とラフ原描いて、篠(衿花)さんに清書してもらって現行の“色々しているチョンダラー喜屋武さん”になった訳です。教えながら作るってこういうこと! つまり“実演”できないとなんにも説得力がないんです。
そして、3・4話は
沖縄のバーチャルタレント・根間ういさん、ご出演ありがとうございました!
で、4話。エイサー祭りの締め、“カチャーシー”編。こちらはメインキャラの踊りなので、作画メイン。オリジナルの原画を担当した塩澤(枢)さん、修正を手伝ってくれた森(亮太)君、お疲れ様でした。
てーるー相手に空回りする比嘉さん、可愛いですよね。その表情・ポーズ・芝居、全て森君担当で、キャラ修以外はすべてそのまま使用しています。あ、「ど・ど・ど・どこに!?」「全部!?」とパ二くる比嘉さんの心情を“稲妻フラッシュ”内に描き足したのは、自分です。どことなく『てーきゅう』ムード? てか、元々ここも自分がコンテで描いた部分なので、原画が上手く上がってこなかった場合は“俺・責任カット”として引き取るつもりだったので思惑どおり。表面はドギマギでも“心の中では小躍り♡”な比嘉さんの幸せ感を出せたらな~と。ちなみに、作業的には俺が1枚描いては社内の新人動仕スタッフにピストンするやり方で、原画と動仕を同時進行という超ショートカットで、なんとか納品完了に漕ぎ着けたのでした。
最後に一緒に踊るてーる―と比嘉さんは、篠さんの作監修正でした。こちらも動き共々直してくれて非常に良かったです。
さぁ、『キミ越え』に戻ります(汗)。
第540回 ついに還暦を迎えるのですが……
第902回 『沖ツラ』制作話~3話、レイアウト・演出・踊り!
3話“教室でカチャーシー”の原画は森(亮太)。彼の緻密さが冴えわたっています。カチャーシーの動きだけでなく、「唐船ドーイ」を聴いて発作づくクラスメイトたちや、「俺は何を想像して……!!」とブンブン頭を振るてーる―の風圧を受ける喜屋武さんのカットなども秀逸。最低限のキャラ修正を入れたくらいでほぼそのまま使用できて幸せなシーンでした。あと、「ご…ごめん。止められなくて……」と踊り続ける比嘉さんの両手の動きをスライドで処理したのは、“気持ちと言う事を聞かない身体との不一致”を表現しようとした演出。もちろん、費用対効果も乗っかっていますが……。
“皆でパーラー”編も、最初上がったフィルム(TAKE 1)がユル過ぎで「これ、全部直すよ」と演出に。「演出のせいじゃない、作画・美術の問題で~」的な言い分があるのは分かった上で、
その駄目な作画・美術にさせたのはプランニングの甘いレイアウト! それを通した演出の責任!
であると。
そうなんです。たとえ出来の悪いレイアウトが“画描きじゃない演出家”の手に届こうと、それが「駄目」な上りであると見抜くことさえできれば、原画マン本人に“指示”してリテイクできるでしょう。ウチは全員社員なのでリテイクを出せます! 最悪、俺や周りのアニメーターらに「SOS!」要請すれば、出来の悪いフィルムまで到達する前に止められるはずなんです。それなのに結局は「駄目」な部分を見抜けず、そのまま流して責任が取れなかっただけ。“俺、画描きじゃない”は言い訳になりません。演出に必要不可欠な“目利き”ができていないわけですから。
つまり、その管理不行き届きの責任を取るのが俺の仕事!
であると、総直し。影落ち方向の統一、レイアウト修正し背景直し指示をし、キャラの芝居・ポーズが繋がってない箇所も回収。そのキャラクター周りの食べ物・缶ジュースも丁寧に描き直し。あ、「パーラーキングぬーやが」って店名好きです!
で、Bパート(CM開け)“エイサー祭り”編。ここは元々狙ったとおり、メインキャラの踊り以外CG(モーションキャプチャー)を使っています。 “ダンス・踊りを作画 or CG?”をいまだに議論している人ってまだ生存しているのかな(2025年現在)? 大手アニメ会社のように作画リソースが豊かにあっても、今さら自分「ダンス・踊りを作画で描くことに意義がある」なんて思っていません。ただ、アニメーター自身が「僕(私)がダンス(踊り)を全部作画で描きたい! いや、描くべき!」と進言してくるなら、やって貰ったほうがいいと思います。なぜなら、そこにある種の“やりたい熱”があり、必ず作品の“力”になるからです。しかし、最悪なのは“手前(てめえ)で描きたくない演出・監督が、描きたがっていないアニメーターに「あんたの仕事でしょ?」と言って見下すように描かせる作画ダンス(踊り)”の場合です。演出・監督の「作画の方が高尚だ」という思い込みを満足させるためだけに。
作画だろうがCGだろうがはたまたAIだろうが、担当者のやる気とポテンシャル、そして「こういう画面を作りたい」との拘りがあるか? が問題なのであって、逆にそれらがないなら作画で踊らせようがCGのそれだろうがどっちも無駄! 超絶見応えあるBG ONLY(背景のみ)にOFFで音楽鳴らすだけの方がまだマシ!
つまり、演出・監督が無駄な表現形態を“好み”というだけでスタッフに無理強いするなんて、もう時代遅れではないか? と。特に
映像表現などは視聴者が見慣れた時点で、何だって通用するもの! 問題は、それに慣れるまで視聴者も表現者も耐えられるかどうか?
だけのことで、現状皆、CGはとっくに見慣れている訳で。
さて、また『キミ越え』に戻る時間がきました! 失礼します(汗)。
第304回 青空の下で 〜空色ユーティリティ〜
腹巻猫です。初夏のさわやかな気候になってきました。こんな時期に聴くのがぴったりのサントラを紹介します。TVアニメ『空色ユーティリティ』の音楽です。
『空色ユーティリティ』は2025年1月から3月まで放送されたTVアニメ。監督・キャラクターデザイン・斉藤健吾、シリーズ構成・脚本・佐藤裕、アニメーション制作・Yostar Picturesのスタッフで制作されたオリジナル作品である。
青羽美波は、これといって得意なものがない平凡な高校1年生。自分が主人公になれる「スペシャルな特別」を探して街に出た美波は、ゴルフ練習場でアルバイトをする高校3年生・茜遥と出会う。美波は、遥に奨められて初めてゴルフクラブを握り、ボールを打つ爽快感を知る。ゴルフの面白さに目覚めた美波は、遥やゴルフ好きの大学生・星美彩花らと一緒に、自分だけの「スペシャルな特別」を探し始めた。
面白いのは、本作が複数のプレーヤーがスコアを競う「競技ゴルフ」を描く作品ではないところ。昨年放映されていた『オーイ!とんぼ』もそうだが、ゴルフを題材にした作品は競技ゴルフでライバルと闘う展開になりがちだ。そのほうがドラマチックになるのだから当然だが、本作はそういう方向には進まない。コースに出てスコアを競うエピソードもあるのだが、勝ち負けは重視されていない。純粋にゴルフを楽しむ姿を描くことに重点が置かれている。ドキドキハラハラはないが、ストレスがなく、気持ちよく観られる。観ていて「ゴルフって楽しそうだな」「やってみたいな」と思わせる作品である。
だから、音楽もとても気持ちがいい。TVアニメの溜め録りの音楽には、よろこび、悲しみ、怒り、不安、サスペンス、アクションといったお決まりのパターンがある。しかし、本作の音楽はパターンどおりに作られていない。たとえば、悲しみの曲やサスペンスの曲がないし、怒りや不安はコミカルな表現に置き換えられている。ネガティブな要素がなく、音楽を聴いていてストレスを感じない。
かといって、サウンドトラック・アルバムを聴いたときに単調に感じるわけではない。むしろ、くり返し聴きたくなるほど心地よいのだ。
音楽を担当したのは、本作の音響監督も担当しているdaisuke horita。音楽担当者が音響監督を兼任するのは珍しい。
ポニーキャニオンが運営するサイト「PONY CANYON NEWS」にdaisuke horitaが本作の音楽についてミュージシャンと対談する記事「TVアニメ『空色ユーティリティ』音楽対談」が連載されていた。それを参考に本作の音楽作りについて紹介しよう。
本作には2021年に発表された短編版が存在する。短編版の監督と音楽はTVシリーズと同じで、世界観や音楽の方向性は継承されている。ただ、短編版は約15分で美波たちのゴルフ場での一日を描くものだった。登場人物やエピソードが増えたTVシリーズの音楽では、使用する楽器や音楽ジャンルも少し違ってきたという。
本作の音楽についてhorita daisukeが考えた方針は「リッチなものを生音で構成したい」ということ。TVシリーズではジャズやロックやフュージョンのスタイルの曲も必要になる。それらをリッチな演奏で収録するため、腕利きのミュージシャンに参加してもらった。horita daisukeが用意したデモがあったが、録音ではミュージシャンたちに即興でアイデアを出してもらいながら、演奏で音楽をふくらませてもらった。本作の音楽がシンプルな構成ながら、とても豊かに心地よく聞こえるのは、ミュージシャンたちの演奏が生き生きしているためだろう。
また、本作の音楽の特徴として、大半の楽曲でひとつの曲に対してフルバージョンと別バージョンのふたつの音源が作られていることがある。楽器の数を減らした別MIXだけでなく、ソロ楽器のメロディが異なるバージョンも多く作られている。ほかのアニメではあまり見ない作り方である。
daisuke horitaの証言によれば、このアイデアは最初からあったのだという。同じ曲でもMIXやソロ楽器のメロディを変えれば雰囲気が変わり、場面の性格によって使い分けたり、まったく違う場面に使ったりすることができる。おそらく最初から別バージョンを作ることを想定してアレンジも行っているのだろう。daisuke horitaが音楽演出を担う音響監督も兼ねているからこその作り方である。
本作のサウンドトラック・アルバムは「『空色ユーティリティ』オリジナル・サウンドトラック」のタイトルで2025年3月26日にポニーキャニオンからリリースされた。CDは2枚組。全62曲が収録されている。
ディスク1の収録曲は以下のとおり。
- はじまりの風
- ぽこぽこ
- どったん
- ばったん
- いつもの景色
- いつもの景色(light ver.)
- エバーグリーン
- キープグリーン
- おじいちゃんず
- おじょうちゃんず
- 教えてください!
- 教えてください!(light ver.)
- また明日
- また明日(light ver.)
- 毎日がスペシャル
- 毎日がスペシャル(light ver.)
- アカリのテーマ
- エブリデイゴルフ
- エブリデイゴルフ(light ver.)
- ただいま
- ただいま(light ver.)
- はじまりの色
- フェアウェイ
- フェアウェイ(light ver.)
- スーピリア!
- スーピリア!(light ver.)
- みんなのうた
- みんなのうた(light ver.)
- 放課後
- 放課後(light ver.)
- Fly Connection(light ver.)
面白い構成だ。
本作の大半の楽曲でひとつの曲に対してふたつの音源が作られていることをすでに紹介した。サウンドトラック・アルバムでは、フルバージョンと別バージョンが並べて収録されている。別バージョンは多くの場合「light ver.」と表記されているが、そうでない場合もある。たとえば「ばったん」は「どったん」の、「キープグリーン」は「エバ—グリーン」の、「おじょうちゃんず」は「おじいちゃんず」の別バージョンである。
サントラを構成するとき、フルバージョンと別バージョンを続けて収録するのは勇気がいる。聴く側に「また同じモチーフの曲か」と思われそうだからだ。フルバージョンを完成版と考えれば、別バージョンをすべて収録する必要はない。フルバージョンだけにすればCD1枚で入るかもしれない。そんなことも考えてしまう。
しかし、本アルバムはフルバージョンと別バージョンをセットで並べる構成をとった。これはすごくよかったと思う。
本作の音楽は生楽器の響きを大切にしたアコースティックサウンドで作られている。シンセで代用されることが多いドラムやベースも生。編成を薄くしても音に味わいがあり、聴きあきない。別バージョンも単独の楽曲として成立していて、オミットするには惜しい。
バージョン違いがセットで並ぶことがアルバムのリズムにもなっている。ゴルフは通常、同じホールを複数人で回る。スタートの位置は同じで、ゴールの位置(ホール)も同じ。しかし、アプローチの仕方は人それぞれに異なる。バージョン違いを聴くことは、同じホールでアプローチの異なるショットを見るのに似ている。急がず、ゆっくりと、ひとつひとつのショットを楽しむ。そんなゴルフの楽しみ方を音楽で再現しているように感じるのだ。
ディスク1の収録曲を紹介しよう。実はディスク1の大半は、第1話で使用された曲を使用順に並べる構成になっている。
第1話は美波が遥と出会い、ゴルフの魅力を知るエピソードである。
アバンタイトルで、はまっていたオンラインゲームの終了を知って美波が愕然とする場面に流れるのは、とぼけた曲調の「ぽこぽこ」(トラック2)。パーカッションとウッドベース、トロンボーンなどが奏でる、コミカルな場面によく使われた曲だ。
オープニング主題歌をはさんで、美波が学校でいろいろな部活を試すシークエンスには「どったん」(トラック3)。ギターとドラムス、ベース、トランペット、トロンボーン、ピアノなどがセッションする、タイトル通りの「どたばた」した曲。これと別バージョンの「ばったん」(トラック4)もコミカルな場面の定番曲。
美波が街に出て「スペシャルな特別」を探す場面には「いつもの景色(light ver.)」(トラック6)。ギターとピアノ、パーカッションなどによる軽快でさわやかな曲である。トラック5の「いつもの景色」からベース、フルート、バイオリンなどを抜いた別バージョンだ。
美波が街でうずくまっているおじいさん(マサ)に出会う場面に短く流れるのが「エバーグリーン」(トラック7)。フルートとギターなどによる牧歌的な曲で、ここではマサが美波を天使と勘違いするユーモラスな描写に使用されている。
マサにつきそって美波がおとずれたのがゴルフ練習場。美波はマサのゴルフ仲間のチョウとテツと対面する。そこに流れる「おじいちゃんず」(トラック9)はマサ、チョウ、テツの3人組のテーマである。ピアノとドラムスをバックにサックスとエレキギターがにぎやかにメロディを奏でる曲だ。この曲のリズムトラックを抜き出した別バージョンが美波、遥、彩花のヒロイン3人のテーマ「おじょうちゃんず」(トラック10)。まったく違うテイストの曲になっているのが面白い。
美波はゴルフ練習場にいた遥に声をかけられ、奨められてゴルフクラブを握る。美波が遥からボールの打ち方を教えてもらう場面に流れるのが、ずばり「教えてください!」(トラック11)という曲。ピアノ、フルート、弦楽器などがリズミカルなかけあいをする曲で、未知のことに出会ったときのとまどいや好奇心がうまく表現されている。
遥が美波にゴルフの魅力を話す場面にはしっとりとした曲調の「また明日」(トラック16)。ピアノとギター、ストリングス、パーカッションなどのアンサンブルが気持ちいい。
帰宅した美波がスマホでゴルフの動画を観る場面にピアノとギター、ベースによる「毎日がスペシャル(light ver.)」(トラック16)が流れ、高揚した気分を表現する。
ここまでがAパート。CM前後のアイキャッチは曲も絵も毎回変わるのが楽しい(アルバムには未収録)。
翌日、美波が学校で友人の泉美に「あれから街中を冒険していた」と話す場面に「アカリのテーマ」(トラック17)が短く流れる。この曲はほかのBGMと雰囲気が大きく異なり、壮大なオーケストラサウンド風になっている。美波がイメージするファンタジー世界を描写する音楽で、これも「エバーグリーン」と同様のユーモラスな使い方。なお、「アカリ」は第7話で美波が泉美から借りて読むライトノベル『異世界に転送された中学生プロゴルファー、魔王との18番勝負でホールインワン』のヒロインの名前である。「アカリのテーマ」は第7話でもっと長く聴くことができる。
放課後、美波がゴルフ練習場に駆けつける場面には「教えてください!」が再び流れる。練習場でゴルフ談義をしているマサたちの場面をファンキーな「エブリデイゴルフ」(トラック18)が愉快に演出する。
続いて、美波が遥のアドバイスを受けてボールを打ち、ゴルフの面白さを感じる大事な場面。「Fly Connection(light ver.)」(トラック31)が流れて、美波の心にわきあがる感動を表現する。この曲はディスク2に収録された歌「Fly Connection」のバックトラックの別バージョン。「Fly Connection」は本作のヒロイン3人が歌うテーマソング的楽曲である。だから別バージョンはディスク1のラストに収録しているのだろう。「Fly Connection(light ver.)」は第12話の終盤で美波がパーショットを決める場面にも選曲されている。
美波から「(自分が主人公になれる)特別を探している」と聞いた遥は、美波にゴルフを奨め、「一緒に特別を探そう」と言う。アコースティックギターのみによる「ただいま(light ver.)」(トラック21)が2人の心のふれあいを表現し、温かい気分になる。シンプルなサウンドが生かされた名場面だ。
遥は美波をショートコースに連れ出し、ゴルフ場でボールを打つ醍醐味を知ってもらおうとする。澄みきった青空の下、緑の芝生の上に立つ美波の場面を彩るのが「はじまりの色」(トラック22)。ギターとピアノ、パーカッション、フルートなどによる軽快なサウンドが「特別に出会うワクワク感」を伝えているようだ。ディスク1の1曲目に収録された「はじまりの風」はこの曲のフルバージョンである。
美波がゴルフ場で初めてボールを打つ場面に爽快感あふれる「フェアウェイ(light ver.)」(トラック24)が流れて第1話は終わる。
こうして聴いてみても、フルバージョンと別バージョンはどちらが正でどちらが副ということはなく、場面に応じて柔軟に使い分けられていることがわかる。
第2話では、ディスク1の残りの曲のうち「スーピリア!(light ver.)」(トラック26)、「みんなのうた(light ver.)」(トラック28)、「放課後(light ver.)」(トラック30)が使用されている。ディスク1は第1話と第2話で使用された曲を中心にした構成と考えてよいだろう。
ディスク2の収録曲も少し紹介しよう。
「空色の気持ち」(トラック1)と「空色の想い出」(トラック2)は回想シーンやしみじみとしたシーンに流れた曲で、透明感のあるピアノと弦楽器の音色が印象的。「空色の想い出」は第9話で彩花の想いを表現する曲として使われている。
第3話の彩花の登場シーンに流れたのが「キラキラな時間」(トラック5)。別バージョンの「キラキラな時間(light ver.)」(トラック6)も彩花と遥たちのシーンに選曲された。2曲とも軽やかなピアノソロがおしゃれな、タイトルどおりキラキラした曲である。
第4話で美波が3万円のゴルフクラブ(ユーティリティ)を買うことに迷う場面に流れたのが「ぐるぐるぐる」(トラック10)。別バージョンの「アリアリアリ」(トラック9)ともどもユーモラスな演出に使用されたジャズタッチの曲だ。
同じく第4話で美波たちがユーティリティの値引きを賭けてゴルフショップの店員と勝負をする場面に流れたのが、「バトルクライ」(トラック11)、「マッスルプライド」(トラック12)、「エンプレスプライド」(トラック13)、「子猫ちゃんお先にどうぞ」(トラック14)。このあたりはロック的な楽曲が続いて盛り上がる。
第10話では天才中学生ゴルファー・夜嵐日向(ひな)が登場。「ボルケーノガール」(トラック15)と「ボルケーノソウル」(トラック16)は日向のテーマ的に使用されたワイルドなロック調の曲だ。
第10話と第11話では、本作では珍しくゴルフコースでのスコア対決が描かれる。そこで流れたのが軽快なストリングスの曲「アルバトロス(light ver.)」(トラック22)とエレキギターとサックスが燃え上がる闘志を表現する「ファイトコール」(トラック27)。「アルバトロス」のフルバージョン(トラック21)は第7話のスクランブルゴルフのエピソードでくり返し使われていた。
使用回数は少なかったが、ストリングスとピアノが繊細に奏でる「私たちのゴルフ」(トラック23)もいい曲だ。第4話で美波がユーティリティを抱いて眠るシーンや第8話で遥がキャディのめぐみから「これからも全力で笑え」と勇気づけられるシーンなどに流れた心に沁みる曲である。第10話で日向が遥の想い出を回想するシーンにも流れていた。
余談になるが、美波が初めて遥と彩花と3人でコースに出てゴルフをする第6話では、使用された曲の半分くらいが短編アニメ版の音楽から選曲されている。このエピソード自体が短編アニメ版のリメイク的なお話なので、わかっている人にはぐっとくる選曲だ。ランチを食べるシーンに同じ曲が流れるなど、使用された場面も重なっている。それだけに、短編アニメ版の曲もサントラに収録してほしかったなぁと思う。配信限定でもいいのでリリースしてほしいものだ。
ディスク2では3曲収録されているボーカル曲も聴きどころである。
「Zubatto☆ショット 首ったけ!!!」(トラック18)は第7話の挿入歌。「魔訶不思議アドベンチャー!」の高橋洋樹が歌う、熱血アニメ主題歌風の曲だ。
「Fly Connection」(トラック30)はヒロイン3人を演じた声優がHAM(遥、彩花、美波のイニシャル)名義で歌うイメージソング。劇中では歌入りで流れたことはないが、名場面に使われた曲「Fly Connection(light ver.)」が実は歌ものだった! という驚きがある。
最終回のエンディングテーマとなった「群青 Love theory」(トラック31)は、もともと短編版の主題歌として1コーラスだけ作られた曲。監督やプロデューサーからTVシリーズでも使いたいという提案があり、2番以降の歌詞を追加してリメイクしたのがアルバムに収録された楽曲だ。こちらも歌唱はHAMが担当。作詞を手がけたぷるぽよのコメントによれば、1番の歌詞が青空のイメージだったのに対し、2番は夕焼けのイメージで書いて、3人の成長を暗示してみたとのこと。daisuke horitaのアレンジも短編版のときより音数が増えている。これはTVシリーズの美波がいろいろな人と出会って何かを発見していくストーリーを反映しているのだそうだ。
筆者はゴルフをしないが、このアルバムを聴くと、自然に囲まれたコースでプレイするゴルフって楽しいんだろうなと思ってしまう。散歩しながら聴くにはうってつけの音楽だろう。できれば青空の下で、木立の中や川のそばなど、自然を感じる道を歩きながら聴きたい。どこまでも歩いて行けそうな、気持ちいい音楽だ。
『空色ユーティリティ』オリジナル・サウンドトラック
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第539回 ついにシャーペンを導入!!
芝山努さんの仕事の話 第五回 本郷みつる(演出者)・追記
小黒さんから、私のインタビューがやや淡白だと指摘がありましたので、こんなエピソードを。
◯芝山さんの近くにいてなんでも聞いていた頃、「芝山さんは宮崎作品は観ないんですか」と聞いたら「観ないねー」と言われていたのですが、ある時、芝山さんが変わった夢を見たと話していて「どんな夢だったんですか」と聞いたら「宮崎さんの絵コンテが置いてあったんで、手に取ったら、絵コンテの画が動いていたんだ……」。それを聞いて、内心「やっぱり意識はしていたんだ」と思った本郷でした。
◯私が在籍していた頃の亜細亜堂は毎年社員旅行があり、大分お酒が入った芝山さんが「みんなで寄ってたかってオレの絵コンテをダメにしやがって!」と言っているのを聞いて、「やっぱりな……」と思った本郷でした。このふたつのエピソードは面白いので言って回っていたら、周囲の人はいつの間にか自分が芝山さんから直接聞いた話だと思い込んでいたようです。直接聞いたと記憶するくらいに腑に落ちるエピソードなのです。私が直接聞いたんですよ!
◯亜細亜堂を辞めた後、芝山さんの凄さにようやく気付いた私は「師匠を囲む会」を何度か開いたのですが、一度芝山さんに「本郷君の芸風はオレに似てるよ」(仕事ではなく、色んなものに対するスタンスの事だと思いますが)と言われて、ちょっと幸せになった本郷でした。
◯芝山努さんがアニメーションの現場から離れて、もう10年以上経ちました。気付くと、私も演出歴42年で所謂老境に入りました。そうなると日本のアニメーション史の中で芝山さんのやった功績について、実際に知っている人はもうすぐ現場には誰もいなくなってしまうのです。怖い怖い怖い怖い(笑)。他に誰も見当たらないので僭越ながら私がちょっと出しゃばってみました。多分、芝山さんは「また本郷君が余計な事をして」と言っていると思います。芝山さん、ごめんなさい。
◯亜細亜堂の社員旅行で余興のジェスチャーゲームがあり、芝山さんが作ったお題が「ノラネコを会社に連れ込んでエサをあげる本郷君」でした(汗)。
●プロフィール
本郷 みつる(ほんごう みつる)。アニメーション演出者。監督として『チンプイ』『クレヨンしんちゃん』『星方武侠アウトロースター』『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』『柚木さんちの四兄弟。』等、数多くの作品を手掛ける。
第901回 『沖ツラ』制作話~3話を解説
『沖ツラ』第3話は、カチャーシーあり、エイサー祭りありと高カロリー話数!
になります。今、コンテを見直してみると第3話もコンテから結構修正したようです(コンテに俺の画ばっかり)。ちなみに今作は総監督制で、設定発注以降は田辺(慎吾)監督に一度預けるかたちでしたが、コンテに関しては誰のモノでも、俺の方で直接手を入れてあります。これは以前にも軽く説明したと思いますが、つまり各話コンテマンの上がりを監督が一度手を入れてから総監督が調整程度にチェック~ではなく、監督のコンテも含めて全部、コンテを直す作業は板垣しかやっていません。傲慢に思われるかも知れませんが、ウチの会社(ミルパンセ)にはコンテに関してキャリア的にも技術的にも未熟な人しかいません故、俺が全面的に面倒見るしかないし、外(フリー)の量産コンテマンに撒くくらいなら、社内の若手スタッフにチャンスを上げて、コンテの経験値を詰んだほうが“会社力”も付きますから。前作『いせれべ(異世界でチート能力(スキル)を手にした俺は、現実世界をも無双する)』でも、その御祝儀的(?)意味合いで板垣~連名は載せていないものの、実質的には今作と同じで、
コンテは必要な限り俺のほうで直す(修正する)!!
スタイルでやっています。ただし、(これまた前述かと思いますが)修正箇所に関してはコンテ担当者本人に向かって直接「なぜ、こう修正したか?」「ここは費用対効果的にこうしたほうが作画しやすい」など、ちゃんと理屈で説明しています。これも持論ですが、作画でもコンテでも、
他者の上りを修正する立場の人間は、修正理由も必ず理屈で説明できるべき!
だと思っています。逆に理屈で説明できない感覚的・感性的な画の積み方をしたいなら、最初から自分で描くべきってことです。
で、3話“シーサー大好きなてーるー”編(?)。無邪気に「シーサー可愛い」言ってるてーるーは本当に純朴で良い奴ですよね。シーサーが“シーサー顔(ぢらー)”の解説文を怒りに任せて踏みつけ~ばら撒くカットは、前半CGで後半作画です。元々は全部CGで上がってきたのですが、そのラッシュ(撮影上り)を見ると、“踏むだけ踏んで、最後に一欠片拾って投げる~”でした。それだと「パンチが足りない!」訳で、監督(演出)とCG監督に「ごめん、後半作画で描き直すわ~」と奪って、俺の方で全部原画(動画の中割りは1~2枚だったハズ)にしたのが現状のモノになります。後、“画面手前からIN↖して、門に立つ雄(オス)シーサーをオーバーアクションで説明する喜屋武さん”の原画を全修したのは板垣で、“雌(メス)シーサーを説明する比嘉さん”の修正は、入社3年目のメインアニメーター市川(真琴)さん。
で、また『キミ越え』に戻る時間!(汗)。
第241回アニメスタイルイベント
杉井ギサブローとアニメーション
杉井ギサブロー監督と言えば『宮沢賢治 銀河鉄道の夜』『紫式部 源氏物語』『タッチ』『悟空の大冒険』等、素晴らしい作品を残してきた名監督です。
その杉井監督をゲストに迎えたトークイベントの第三弾を、2025年6月22日(日)に開催します。今回は作品上映付きのプログラムとなります。今回のトークのテーマは「アニメーション」です。トークの出演は杉井ギサブローさんとプロデューサーの丸山正雄さん。会場はLOFT/PLUS ONEです。
上映作品は川端康成の同名小説を映像化した短編アニメーション『片腕』です。監督は杉井ギサブローさんと山本暎一さんのお二人。アート的アニメーションとして高く評価されている『哀しみのベラドンナ』(劇場作品/1973年公開)の延長線上にある作品です。7年ほど前に制作されたものの、これまでに国内で上映されたのは数度のみ。今回の上映は貴重なものです。トークでは『片腕』の企画について、あるいは演出的な狙いについてうかがうことができるはず。さらに虫プロダクションが制作した『千夜一夜物語』(劇場作品/1969年公開)と『哀しみのベラドンナ』の予告編も上映します。
イベントの序盤で『片腕』と予告編2本を上映。その後、休憩を挟んでトークを開始します。
今回のイベントも配信がありますが、作品の上映部分の配信はありません。配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。
チケットは5月10日(土)13時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。
なお、前々回と前回の杉井さんのトークイベントは現在もアニメスタイルチャンネルで視聴できます。アニメスタイルチャンネルは会員向けのサービスです。
「第230回アニメスタイルイベント 杉井ギサブローとアニメとアニメーション」(アニメスタイルチャンネル)
https://www.nicovideo.jp/watch/so44334898
「第234回アニメスタイルイベント杉井ギサブローと映画とアニメとアニメーション」(アニメスタイルチャンネル)
https://www.nicovideo.jp/watch/so44697921
■関連リンク
LOFT(告知) https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/317804
会場&配信チケット https://t.livepocket.jp/e/a824q
配信チケット(ツイキャス) https://twitcasting.tv/loftplusone/shopcart/374423
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第241回アニメスタイルイベント | |
開催日 |
2025年6月22日(日) |
会場 |
LOFT/PLUS ONE( http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/access.html ) | 出演 |
杉井ギサブロー、丸山正雄、小黒祐一郎 |
チケット |
会場での観覧+ツイキャス配信/前売 3,300円、当日 3,500円(税込·飲食代別) |
アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。
第240回アニメスタイルイベント
山内重保監督 ゆったりトーク
『聖闘士星矢 神々の熱き戦い』『デジモンアドベンチャー02 前編 デジモンハリケーン上陸!! 後編 超絶進化!!黄金のデジメンタル』『も~っと!おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ』『キャシャーン Sins』等々、監督として、あるいは演出家として数々の素晴らしい作品を残してきた山内重保さん。
アニメスタイルはその山内さんのトークイベントシリーズをスタートさせます。今回は『デジモンアドベンチャー02 前編 デジモンハリケーン上陸!! 後編 超絶進化!!黄金のデジメンタル』から近年までの仕事について、思いつくままに語っていただきます。各話の絵コンテ、演出として大活躍した近作『戦国妖狐 千魔混沌編』についてもうかがう予定です。
追加のゲストがあるかもしれません。決まりましたら改めてお伝えします。
※追加情報
ゲストとして、相澤伽月(相澤昌弘)さんに出演していただけることになりました。相澤さんが監督した『戦国妖狐 千魔混沌編』に、山内重保さんが各話の絵コンテ、演出として参加し、大活躍をしました。そして、山内さんが監督した『デジモンアドベンチャー02 前編・デジモンハリケーン上陸!! 後編・超絶進化!! 黄金のデジメンタル』に相澤さんはキャラクターデザイン・総作画監督として参加。素晴らしい仕事をされています。お二人の仕事について色々とうかがうことができるはずです。相澤さんの出演はイベント後半(配信がないパート)となります。
また、メインパート(配信のあるパート)は会場に来たお客さまからの質問に答えつつトークを進めることになりました。当日、紙を配りますので、それに山内監督への質問を書いてください。質問だけでなく、感想や励ましの言葉を書いてくださっても結構です。あるいは前もって質問や感想を書いて、持ってきてくださってもよいです(その場合、紙はなんでもよいです)。よろしくお願いします。
開催日は2025年6月8日(日) 。会場は阿佐ヶ谷ロフトAです。
今回のイベントも「メインパート」の後に、短めの「アフタートーク」をやるという構成になります。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。アフタートークは会場にいらしたお客様のみが見ることができます。
配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。
チケットは5月10日(土)13時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。
■関連リンク
LOFT(告知) https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/317811
会場&配信チケット https://t.livepocket.jp/e/12xwa
配信チケット(ツイキャス) https://twitcasting.tv/asagayalofta/shopcart/374424
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第240回アニメスタイルイベント | |
開催日 |
2025年6月8日(日) |
会場 |
阿佐ヶ谷ロフトA | 出演 |
山内重保、小黒祐一郎 |
チケット |
会場での観覧+ツイキャス配信/前売 2,300円、当日 2,500円(税込·飲食代別) |
アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。
第538回 アニメ様の生誕イベントに参加
第900回 900回! で『沖ツラ』制作話~2話の続き
どうやら、こちらの数えでは今回“900回”らしいです!(間違いないでしょうか?)
それほどためになることなど語ってないのに、ここまで続けさせてくださったアニメ様こと小黒祐一郎様、そして毎回ギリギリの原稿を待っていて下さるアニメスタイルスタッフ様、誠に有り難うございます。できましたらこれからも宜しくお願いします。
で、前回からの続き。『沖ツラ』第2話、ビーチパーティー編。
これは贅沢言うともっと“間の遊び”で演出したかった、というのが本音です!
だってネタは“うちなータイム”でしょう? ビーチの人々や波・船・ヤドカリなど、もっともっと“間”を作ったり、それこそ“カット内に遅刻して入ってくるキャラ”がいたりとか、あの手この手でのんびり流れる沖縄の時間とそれに慣れたうちなーんちゅの方々が描けたら~と思っていました。時間の流れはマンガよりアニメのほうが得意技なので、その特性を活かしたアニメならではのうちなータイム表現ができたはずなのですが、俺の力不足でした、すみません。
雨でも傘ささない編、自分は小心者なので、「鞄の中の教科書やらが濡れたら返って面倒なのに、沖縄の方々は大らかなんだな~」てことばかりが頭にありました。“濡れる”ことが気になっていた分、上がってきたラッシュ(撮影上り)を見て“キャラの濡れ度合”がカット毎でバラバラだったのが事の他気になり、作画リテイクが重かったパートになります、この件も。
てーるーと比嘉さんの出会い編も苦労しました。比嘉さんの帽子が飛ばされるカットは担当原画マンの目の前で、「この画で“風”が体に当たり~、次の画で体堪えて~、帽子が浮き上がり~、手で押さえようとするも~、間に合わず~」と、原画一枚一枚を重ねて、加わる力とポーズの変化を実演・説明しながら、俺の方でラフを入れたカットです。てーるーが手を伸ばして帽子を救う止め画、その後結局バランスを崩して倒れるてーるー+水飛沫も、同じく自分の方でラフ修正して、修正の清書を若手に任せたカットです。時間ギリギリで細かいところの“詰め”は、巧くいっていないところありますね……、すみません。
で、Cパート(ED開け)の可愛い比嘉さんも、また篠(衿花)さん作画でした。
はい、『キミ越え』に戻る時間です(汗)。今後ともどうかよろしくお願いいたします。
第537回 《短期集中連載 アニメーター飯》南阿佐ヶ谷のタイ料理屋さん
芝山努さんの仕事の話
第四回 本郷みつる(演出者)
―― よろしくお願いします。
本郷 はい、よろしくお願いします。
―― 芝山努さんの事はいつからご存じでしたか。
本郷 子供の頃にTVアニメの『元祖天才バカボン』『ど根性ガエル』『ガンバの冒険』等が好きで、それらの作品のオープニングに芝山さんの名前が出ていて、なんとなく記憶していたと思います。
―― それで芝山さんが主催していたスタジオ、亜細亜堂に入ったのでしょうか。
本郷 そうですね。アニメ雑誌に亜細亜堂の動画募集があったんです。芝山努さん、小林治さんの名前だけは知っていましたので。
―― そこで芝山さんとお会いになったのですか。
本郷 そうだと思いますが、21歳から始めた動画の時は接する機会がほとんどなくて、記憶に残るエピソードはありませんね。
―― それでは亜細亜堂で演出を始めてから?
本郷 はい、そうです。機会があって23歳で演出助手として『まんが日本昔ばなし』で作画打ち合わせに立ち合い、上がった原画を見て、撮出しを担当しました。私が初めてTVシリーズで演出を担当した『伊賀野カバ丸』も、前の話数は芝山さんが担当していて、それを引き継ぐかたちで仕事を始めました。最初の何本かの絵コンテもチェックしてもらいました。
―― 間近で見た芝山さんの仕事ぶりはいかがでしたか。
本郷 時期的には芝山さんが『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(編注:芝山努が最初に監督を務めた映画『ドラえもん』。1983年公開)の監督を務められてから10年弱、間近で見ていました。私は完全な素人から亜細亜堂に入ったのですが、入社してからしばらくの間、亜細亜堂では芝山さん、小林治さん、河内日出夫さん、山田みちしろさん、須田裕美子さんの5人だけが経験豊富な人達で、それ以外のスタッフは先輩も含めて私と歳の近い人達だったんですよ。5人は全員アニメーターで絵コンテ、演出もやり、キャラクターデザインもやる人達だったので、アニメーターとはそういう人達だと思っていたのです(笑)。
―― それは凄い勘違いですね(笑)。
本郷 その後、演出として沢山のアニメーターと会い、全員がそうではない事を知りました。
―― なるほど(笑)。
本郷 私は10年弱、亜細亜堂に在籍した後フリーになったのですが、芝山さんの凄さを理解したのは会社を辞めてしばらく経ってからでしたね。
―― それはどういう事ですか。
本郷 私が亜細亜堂にいた頃、芝山さんは毎年、映画『ドラえもん』を監督し、TVシリーズの『ドラえもん』の監督をやりつつ、それと並行して『ちびまる子ちゃん』の監督や『忍たま乱太郎』の総監督等を務めていたんです。あまりに身近だったので「沢山監督をやっているなぁ~」ぐらいの感覚でいました。
『伊賀野カバ丸』の後は、各話の絵コンテで『ドラえもん』を手伝うぐらいで、『まる子』や『乱太郎』と関わる事はなく、その当時は芝山さんの仕事量を具体的にイメージできていなかったんです。
―― なるほど。
本郷 フリーになって『クレヨンしんちゃん』のシリーズを4年半やって、その間に4本の映画を作って改めて芝山さんの仕事量が超人的なものだった事を思い知りました。
―― 芝山さんは日本のTVアニメの歴史の中でも特異な存在かもしれませんね。
本郷 さっき挙げた『ドラえもん』『まる子』『乱太郎』は、今現在も新作が放送されていますし、私が亜細亜堂に在籍していた頃は他に『らんま1/2』の監督、『おねがい!サミアどん』のキャラクターデザイン、『まんが日本昔ばなし』の絵コンテ、演出等もやっていたんですよ。
―― 本当に凄い仕事量ですね。
本郷 私くらいしか知らない芝山さんの仕事もあります。1985年から3年間で、ディズニーとの合作で東京ムービーが作った『The Wuzzles』『わんぱくダック夢冒険』『新くまのプーさん』で、日本側のチーフディレクターを芝山さんがやっていたんです。多分記録は残っていませんが、私は亜細亜堂班の演出として3年間参加しました。
―― 本郷さんがいた10年だけでも信じられないくらいの量ですね。
本郷 『サミアどん』の亜細亜堂回は新人アニメーターばかりだったので、芝山さん、小林さん、山田さんがローテーションで全カットのレイアウトを切っていました。だから、今見ても画面の完成度が高いですよ。
―― 亜細亜堂の社長として裏方の仕事もやっていたんですね。
本郷 はい。私が各話演出をやっていた『エスパー魔美』でも新人アニメーターが参加する最初の回は、芝山さんがレイアウトを切ってくれました。西村博之君、藤森雅也君、玉川真人君は芝山さんの恩恵を受けた筈です。
―― そこまでやっていたのですか!?
本郷 1人の人間の仕業とは思えませんね(笑)。
―― 所謂「手が早い」とは違う異次元の仕事ぶりですね。
本郷 そうなんです。ひとつひとつのレイアウトや絵コンテや演出のクオリティが高いのは勿論ですが、並行して様々な仕事をマルチタスクで平然とこなしていたんです。さっきも言った事と重複しますが、後に監督をいくつか経験してみてその凄さを実感しました。
―― 本郷さんから見た芝山さんの演出、監督としての凄いところってどんなところなんでしょうか。
本郷 『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『忍たま乱太郎』に関して言うと、原作をかみ砕いて誰にでも愛される分かりやすいアニメ作品に仕上げる手腕ですね。『ずっと続く作品』は狙って作れるものではないのですが、芝山さんはその本質を掴んでいたのだと思います。
―― 一見すると、誰でもできそうな作品ですが。
本郷 作家性を前面に出すのではなく、その作品を芝山さん以外の人も作れるような方法論が、あらかじめ用意してある感じでしょうか。もし野心的な各話演出がいれば、そこで遊べるような余地も用意してある……。
―― そういったタイプのアニメ演出は他にもいますか。
本郷 芝山さん以外見た事ありませんね。元々、アニメーターとして大活躍した後に監督業を長くやって絵コンテ、演出も手掛けていて感心するのは、画にこだわらないところなんです。
―― と言うと?
本郷 上手いアニメーターが絵コンテや演出をやると、大抵の場合、自分より上手くない原画は耐えられないんですよ。
―― その場合はどうするんですか。
本郷 原画やタイミングを徹底して直すわけです。
―― 自然な流れですね。
本郷 芝山さんはそれを一切やらないんです。映画『ドラえもん』だと絵コンテ、作画打ち合わせまでやって演出処理は任せるやり方でした。
―― 上手いアニメーター出身では珍しいわけですね。
本郷 実はそれについて芝山さんに聞いた事があるんです。
―― 大胆ですね(笑)。
本郷 当時はなんでもずけずけ聞いていました。おかげで今でも演出をやれています。
―― それでどんな答えだったんですか。
本郷 単純なんですが、「監督になってから、画に口出しするのはやめた」という返答でした。
―― え、監督が画に口出ししない?
本郷 当時はその意味がよく分からなかったのですが、それから10年以上経って、ボンヤリ分かったんです。
―― と言うと?
本郷 例えば私が画の事をとやかく言っても、そんなに優れた絵描きではないのでアニメーターも「分かってない奴の戯言」で済みますが、芝山さんが画やタイミングをいじったら大抵のアニメーターはその人の仕事が意味を失ったり、あるいは自信を喪失すると思うのです。それに芝山さんがやった仕事全てにそれをやるのはいかに驚異的な仕事のスピードでも難しい筈です。
―― 大局的な判断で自分の関わり方を決めたという事ですね。
本郷 私はそう考えています。自分が作品と関わって、どういうかたちがベターかを考えて実践していたのだと考えています。「沢山仕事をする」事は評論家やマニアには評価されにくいですが、芝山さんが手掛けた作品達が無かったら、今より少し寂しいアニメ界になっていましたね。
―― 最後にうかがいますが、芝山さんは、本郷さんの「師匠」なんですね?
本郷 そうですね。望月智充、荒川真嗣、もりたけし、湯浅政明、浜名孝行、藤森雅也、佐藤竜雄(敬称略)、本郷みつる、他にも沢山の芝山チルドレンを生み出したと思います。
―― 人材育成ですね。
本郷 芝山さんがそれを意識していたのではなく、芝山さんの仕事の方法論が人材育成に適していたのだと思います。私が長くこの仕事ができたのも、演出になって最初に出会った監督が芝山さんだった事が大きいです。
2024年 取材・構成/本郷みつる(一人二役)
●プロフィール
本郷 みつる(ほんごう みつる)。アニメーション演出者。監督として『チンプイ』『クレヨンしんちゃん』『星方武侠アウトロースター』『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』『柚木さんちの四兄弟。』等、数多くの作品を手掛ける。


