第943回 本日、格闘中!

昨日、今日でレイアウトの出し切りです!!

 レイアウトというのは背景原図のこと。基本原画マンが描いたものを演出がチェックするのが通例。演出が画描き(アニメーター出身)じゃない場合、アタリを入れて作監に負荷を掛ける時もありましたが、今は人手不足・働き方改革のせいもあって、画が描けない演出でも無理やり拙い修正を入れてる場合がほとんどじゃないでしょうか。で、ウチの場合は、ほぼほぼ俺が修正するわけで、

 一昨日の時点で残り110~120カット。それを昨日、今日で全部出し切る! この原稿を描いてる現在、残り10カット!

 んな訳で、原図出しに行きます(汗)。次回頑張ります故、今回ごめんなさい。

第942回 『沖ツラ』『キミ越え』と『怪物くん』

 『沖ツラ』は10話途中でしたっけ。いや、色々寄り道を挟んだ挙句『キミ越え』話も始まってややこしくなって御免なさい。でも、皆さんが興味を失ってもマイペースにやらせていただく主義です、自分は。
 で、マジムンの後、

“妖怪ちょっかい女”(貞●風)に扮した安慶名さん~パーントゥ登場!~比嘉さんの手を引っ張って逃げるてーるー!

の辺り。今、コンテを見直してみると、かなりノッてますね。元のコンテを無視してほぼ全修、我ながらその筆に迷いがないのが分かります。今までの人生、プライベートでは無視し続けたジャンル——ラブコメ。俺は子供の頃からマンガもアニメも恋愛やらラブコメやらは嫌いでした。しかし、アニメを生業にして脚本・コンテを自分で描くようになってからは結構、照れずに楽しんで描いてる節があります。仕事というのは案外そういことうものなのかと。
 肝試し都合で作った森を抜けた事にして、実在する“浜千鳥の歌碑”へ繋いでいます。比嘉さんに抱きついて「帰ろう帰ろう」と首を振る喜屋武さんが、人体構造的にあり得ない角度まで首を振ってたラッシュ(撮影上がり)を見て、「こんなとこまで首が回るはずないだろ!」と作監に怒って、画を抜いたのを記憶しています。それ以降は概ね元のコンテを活かしましたが、“※ちなみに下地は宮古島出身によくある性”のスーパーがのるポン寄りカットはこちらで足しました。

原作にある沖縄うんちくを何故入れようとしない!1カット数秒で済むでしょ!

とこれもコンテ・演出に檄を飛ばして、自分で足しました。
 ちょっと戻って、“沖縄MEMO.53パーントゥ”の解説画面。中島楽人君の原画がめっちゃ楽しくて良かったです! もちろん作監は入っているけど、元の原画のニュアンスは拾われたはず。

 そして、本来は苦手な恋愛モノ『キミ越え』の話、とは言うモノの、こちらは作り方改革の話の途中だったかと思います。まず、演出不在の理由は何週か前の第938・939回の方で。
 次に作画。これは『沖ツラ』でもやっていましたが、ウチのやり方は新人~中堅~ベテランまで、フル稼働。

誰が原画で動画か? を決めるのはカット内容に応じて臨機応変に動かす!

のです。例えば、止め口パク・目パチ程度のカットだったら、コンテ拡大を基準に、新人動画マンに原画を描かせて、作監修正をのせ、本人に戻して直接動画~仕上げまでやってもらいます。
 つまり、今だ世間で横行している

ラフ原画→ラフ作監→第二原画→原画作監、の無駄な多重チェックの流れをショートカット!

するのです。“横行”とか“無駄”とか言って大変申し訳ありません。だって、ただでさえ人手不足が叫ばれる業界で、会社同士が制作デスク・進行に電話掛けさせまくってアニメーター獲得合戦やるくらいなら、カット単位ででも無駄な修正工程を省いて、その人手を別のかたちで使うほうが賢いでしょう。
 カットというのは動き回る動画枚数何十~何百の“◎”大作カットから、ワンアクションの“○”普通のカット、そして前述の止め口パク・目パチの“△”簡単カットまで波があるのです。そのどれも2回ずつ修正を入れなければならない理由はありませんから。(※ちなみに『キミ越え』1話分約280前後カット中、“◎”カットは30~40カット、残りが“○”と“△”でそれぞれ半々くらいだったでしょうか?)
 「そんなやり方じゃ、良いアニメーターが育たないじゃないか?」「動画でもなく簡単な原画ばかり描かせるなんて、新人は何から学ぶんだ!?」的な当たり前のご意見をお持ちの方、次回改めて説明します。

 さらに追加。この間アフレコの時、トムス・エンタテインメントのプロデューサーさんから、

『怪物くん〈1968年版〉』のBlu-rayをいただきました!!

藤子不二雄(A)先生の名作で、我々世代は1980年のカラー版の方がお馴染みですが、今回いただいたのは俺が生まれる前のモノクロ版。すでに初老の俺らから見てもさらに古い昔の作品。ぶっちゃけ、ストーリーも作画も今基準で比べたら手放しで「すっげー面白えぇっ!」てことにはなりません。古典ってそーゆーモノですよね。『あしたのジョー』(旧作)だって、『ジョー2』ほどのキレはなくて正直タルい部分が多々あります。なので、自分は古典を観る時は、

“作り手の魂”みたいなモノを探るように観る!

のです。それは、話・画が古い~云々より、「当時、アニメは何を描こうとしていたのか?」とか「これは現在のあの表現に繋がっているのではないか?」などに重きを置いて視聴するということです。
 よって、この『怪物くん〈1968年版〉』も仕事合間の休憩時間、頭から一話一話楽しく丁寧に観させていただいています!

 てとこで、また次週。

第323回 伝統の中の冒険 〜クスノキの番人〜

 腹巻猫です。3月11日に阿佐ヶ谷ロフトAで新書「劇伴音楽入門」発売記念イベント「劇伴音楽大進撃(仮)」を開催します。樋口真嗣監督と氷川竜介さんと一緒に劇伴音楽の魅力を語ります。ぜひご来場ください! 配信もあります(会場での音楽再生中は音声が配信されません。ご了承ください)。
 詳細・予約は下記を参照。
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/346677


 最近の劇場作品、特に洋画は、本編の中で魅力的なメロディを流すことをあまり好まない傾向にある。映画音楽の役割が変化してきたことの表れだろう。サウンドトラック・アルバムを聴いても印象に残る曲が少なく、サントラファンとしては少しさびしい。
 邦画はどうだろうか。映画音楽としての役割を果たしながら印象に残るような曲を書く作曲家が、日本にはまだ多い気がする。今回取り上げる作品を手がけた菅野祐悟も、そんな作曲家の1人である。
 今回の作品は、2026年1月に公開された劇場アニメ『クスノキの番人』。ミステリー作家・東野圭吾の同名小説を原作に、監督・伊藤智彦、アニメーション制作・A-1 Pictures、Psyde Kick Studioのスタッフで制作された作品だ。
 本作公開のニュースを聞き、スタッフを知ったとき、筆者はぜひ観たいと思った。音楽担当が菅野祐悟だったからである。
 2010年代から放映された東野圭吾原作のTVドラマ「ガリレオ」「新参者」のシリーズを筆者は面白く観ていた。いずれも音楽は菅野祐悟が担当(「ガリレオ」は福山雅治と共作)。ドラマと同じキャストで作られた劇場版の音楽も菅野祐悟が手がけている。メインテーマが耳に残る魅力的な音楽だった。
 その菅野祐悟が『クスノキの番人』の音楽を担当する。「ガリレオ」「新参者」が実写だったのに対し、『クスノキの番人』はアニメだ。東野圭吾の原作をどうアニメ化するかも興味があったし、菅野祐悟がどんな音楽をつけるかも気になった。
 『クスノキの番人』はこんな物語である。
 職場を理不尽に解雇され、自暴自棄になったあげく警察に逮捕された青年・直井玲斗は、伯母を名乗る女性・柳澤千舟に救われる。千舟は玲斗に「クスノキの番人」の務めるように命じた。月郷神社にある巨大なクスノキには不思議な力があり、さまざまな人がその力を頼って祈念に訪れる。クスノキの番人となった玲斗は、クスノキに祈念する人々の案内役を務めるうちに、しだいに前向きな気持ちを取り戻していく。しかし玲斗は、クスノキが持つ力がどんなものなのか、まだ知らなかった。
 ファンタジックな設定を使ったヒューマンドラマ、といった趣である。ファンタジーの部分に主眼はなく、あくまで人間ドラマがメインだ。実写でも映像化できそうだが、現実には存在しない巨大で神秘的なクスノキを違和感なく表現するにはアニメが適していたのだろう。アニメならではの映像表現も随所に見られる。派手さはないが、見ごたえのある作品である。

 音楽の菅野祐悟は、2022年からこの作品に参加していたという。曲作りは、玲斗が知り合う女子大学生・優美が劇中で演奏するピアノ曲から始まった。このピアノ曲(Melody of Memories)は、劇中のクライマックスで流れる重要な楽曲である。
 翌2023年から劇中音楽(劇伴)の制作に入り、菅野はメインテーマとなる「クスノキのテーマ」を作曲。それを中心に全体の音楽を構成した。作品全体に「クスノキのテーマ」の変奏がちりばめられ、玲斗やクスノキにかかわる人々の心情を表現する音楽設計である。映画音楽の伝統にのっとったオーソドックスな手法だが、それだけにうまくいったときの効果は大きい。作品を観たあと、本編の感動とともにピアノ曲「Melody of Memories」と「クスノキのテーマ」が記憶に残る。
 月刊Newtype2026年2月号に掲載された菅野祐悟インタビューによれば、伊藤監督からは音楽に「ある程度のキャッチーさ」がほしいというオーダーがあったという。背景音楽ではあるが、記憶に残らないような無個性の音楽ではなく、魅力的な音楽であってほしいということだ。菅野祐悟はこのオーダーに応え、シンプルだが耳に残るメロディを生み出している。うまいなあと思うところだ。
 菅野祐悟のうまさは、「クスノキのテーマ」以外の楽曲にも表れている。心情や状況を描写する音楽の中に「おっ」と思わせる個性的なメロディやサウンドが含まれているのだ。観客が音楽に気を取られすぎてもいけないが、音楽が記憶に残らないのもさびしい。映像のじゃまをしないようにしながらキャッチーさも忘れない。そのさじ加減が絶妙だ。
 筆者が特に印象に残ったのは、千舟が玲斗に高価な服や靴を買ってやる場面に流れるボーカル入りの曲(It’s time for you)。洋画「プリティ・ウーマン」(1990)を思い出させるような、楽しいシーンである。こういうとき、タイアップで既成のポップスを流す手もあるが、菅野祐悟はオリジナルのボーカル曲を作ってしまう。そういうところが、やはりうまい。
 実写とアニメで音楽の作り方に違いがあったのか? 菅野祐悟はインタビューでこう答えている。
 「特にないですね。最近のアニメは情報量がかなり多いので。(中略)アニメだからといって、音楽で情報量を足す必要がまったくないんです」
 音楽に実写とアニメの区別はなく、作品によって違うだけだという。『クスノキの番人』の音楽は、「ガリレオ」や「新参者」と同じスタンスで作られたわけだ。
 本作のサウンドトラック・アルバムは、公開日と同じ2026年1月30日に「クスノキの番人 Original Soundtrack」のタイトルでアニプレックスからリリースされた。収録曲は以下のとおり。

  1. クスノキのテーマ 〜祈念〜
  2. 転落の夜
  3. 威圧感
  4. クスノキの番人
  5. 無理難題
  6. クスノキのテーマ 〜幻想〜
  7. 番人のお仕事
  8. 闖入者
  9. それぞれの朝
  10. 日月逾邁
  11. 好奇心と猜疑心
  12. Melody of Faint Crush
  13. 漠とした謎
  14. 得意気
  15. It’s time for you(歌:Laco)
  16. Melody of Dignity
  17. 豪奢な世界
  18. 聳立する壁
  19. Melody of Crush
  20. 立ち籠める暗雲
  21. 苦く甘い追憶
  22. クスノキのテーマ 〜継承〜
  23. 決意の朝
  24. クスノキのテーマ 〜懸命〜
  25. 彷徨う謎
  26. 交錯する苦悩
  27. かわっていく(歌:狐火)
  28. 信じればこそ
  29. クスノキの力とは
  30. Melody of Entrusted Thoughts
  31. クスノキのテーマ 〜受念〜
  32. 刻は動き始めた
  33. クスノキのテーマ 〜信託〜
  34. 巨壁に挑む
  35. クスノキのテーマ 〜真実〜
  36. Melody of Memories
  37. クスノキのテーマ 〜浄化〜

 作品の中で流れる曲を使用順に収録した構成。トラック27の「かわっていく」は玲斗が大失敗して落ち込んだ場面に流れる挿入歌(ラップ)で、この曲のみ狐火が作詞・作曲している。
 注目はメインテーマ「クスノキのテーマ」である。その変奏曲が作品内でどのように配置されているか、曲名でわかるようになっている。終盤になると「クスノキのテーマ」が流れる場面が増えてくる。メインテーマが物語を語る上で重要な役割を果たしていることが、モチーフの使い方からもわかる。
 「クスノキのテーマ」の変奏曲はピアノやストリングスなどのアコースティック楽器で演奏されるものが大半だが、いくつかの曲にはシンセサイザーの音が重ねられている。シンセサウンドがクスノキの神秘性や物語のファンタジー的な世界観を表現しているのだ。それだけではなく、パンフレットに掲載された菅野祐悟インタビューによれば、若い玲斗の不安や焦りもシンセサウンドで表現しようとしたのだそうだ。
 トラック15「It’s time for you」は、先に紹介したショッピングシーンに流れるボーカル曲。同じく菅野祐悟インタビューによると、この曲は2〜3年かけて少しずつ形にしたのだという。監督にヒアリングを重ね、80年代の洋楽のようなテイストに落ち着いた。こういう場面に既成曲でなく、ちゃんとサウンドトラックの作曲家が書いた曲が流れるのは、サントラファンとしてはうれしいポイントだ。
 トラック36「Melody of Memories」は先に紹介した優美が弾くピアノの曲。このメロディはトラック12「Melody of Faint Crush」とトラック19「Melody of Crush」にも使われている。いずれも優美と玲斗のシーンに流れる曲である。この2曲が先行して劇中に流れることで、優美とその家族がこのメロディに結びついていることが暗示される。うまい音楽演出だ。
 「Melody of Memories」は劇中で演奏されるピアノ曲だが、途中からストリングスによるしっとりした演奏に展開し、女声コーラスをともなって盛り上がったあと、またピアノのメロディに戻ってくる。曲の流れるシーンでさまざまな人々の想いが交錯し、それを描写する映像に合わせて曲調も変化するのである。フィルムスコアリングならではの味わいであるが、作中のままのサウンドトラックとは別に、単独のピアノ曲を別に録音してボーナストラック的に収録してもよかったと思う。作品を観て、この曲が記憶に残った人は、独立したピアノ曲としての演奏も聴きたいのではないだろうか。菅野祐悟コンサートでは、そんな演奏が聴けそうな気がする。
 ほかに印象深い曲をいくつか挙げてみよう。
 玲斗が番人の仕事を覚えていく場面の「番人のお仕事」(トラック7)や玲斗が優美に呼び出されて駆けつける場面の「日月逾邁」(トラック10)、玲斗が千舟のために行動を起こす場面の「刻は動き始めた」(トラック32)などは、軽快なテンポのポップス風、フュージョン風に書かれている。しっとりした曲の中にこういう曲が混じることで、作品が華やかになり、観客の気分も高揚する。
 千舟の凛としたカッコよさを描写する「Melody of Dignity」(トラック16)もいい。1分10秒ほどの長さの中に「クスノキのテーマ」が短く現れ、千舟の芯の強さを表現するモチーフに展開していく。千舟のキャラクターが音楽とともに印象づけられるシーンである。
 トラック14「得意気」は、タイトルどおり得意げな玲斗の場面に流れる短い曲。ピアノでシンプルなフレーズをくり返すアドリブ演奏のような曲である。バンドスタイルのユーモラスな曲にしてもよさそうなところだが、ほぼピアノのみにしたところが気が利いている。同様の演奏はトラック29「クスノキの力とは」でも聴くことができる。

 こんなふうに、『クスノキの番人』の音楽は「クスノキのテーマ」と「Melody of Memories」を中心に据えつつ、全編にバラエティ豊かな曲を配置して構成されている。それらがしっかりと劇伴の役割を果たしつつ、魅力的な楽曲に仕上がっているのがみごとだ。メインテーマの使い方やフィルムスコアリングの楽曲の仕上げ方などは、映画音楽のお手本になりそうである。
 筆者が2月6日に上梓した『劇伴音楽入門』(インターナショナル新書)では、後世に影響を与えた作品や新機軸を打ち出した作品を中心に紹介したため、本作のようにオーソドックスな手法で作られた作品はあまり取り上げられなかった。しかし、作品の面白さを支えてきたのはこうした音楽であり、その手法は今でも有効である。菅野祐悟は前衛的な音楽も書ける作曲家だが、本作のようなオーソドックスな音楽にもうまさを感じさせる。伝統的な手法にのっとった音楽は型にはまったものになりそうだが、型があるからこそ、その中でいくらでも新しい試みをしたり、冒険したりすることが可能だ。それが映画音楽(劇伴音楽)の魅力であり、面白さである。本作の音楽は、そのことをあらためて認識させてくれる。

クスノキの番人 Original Soundtrack
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第941回 唐突に想い出話

 前回、サブタイに『沖ツラ』『キミ越え』を掲げながら、時間がなくてそこまで届かず、かつサブタイもそのまま放置で申し訳ありませんでした(汗)。
 その上で今回も別件で、とある想い出話を少々。

テレコム・アニメーションフィルム時代は、
自分にとって青春そのものでした!

 高校卒業後上京~専門学校2年。そして卒業後~テレコム入社。アルバイトで食い繋ぐとかもしたことない自分の初めての職場だったテレコム。ここで学んだ6年と10ヶ月間は、後に退社してから現在までのアニメ人生20数年に匹敵するかそれ以上の位置を占めています。
 「板垣君なら、大塚さんのトコがいいんじゃない?」とテレコムを勧めて下さった学生時代の恩師・小田部羊一先生の一言で、テレコム受験~合格~入社。大塚康生さん直々の研修。その後当時のテレコム名物~海外合作にて本番動画。続いて劇場『ルパン』とジブリ作品の動画。原画試験に合格、田中敦子・友永和秀両師匠の指導を受け、原画の仕事の面白さ、そして厳しさも教わりました。
 仕事以外でも先輩・後輩らとの飲み会、社内のバレーボール対抗戦や、社長とバイク乗りの先輩方のツーリングにドライブ組で連れてってもらったり、そして、少しだけの色恋など。
 社会人になって最初の楽しみ苦しみの全てがそこにありました。

願わくば、当時のスタッフらともう一度お仕事御一緒したいと思いつつ、今はミルパンセ!

前回とも話が被りますが、現在自分が社内の若手に指導できているのも、テレコム時代のお陰です。それがないと、教える・面倒を見る以前に、新人育成の重要さ自体に気付かなかったと思います。俺自身が会社に育てられたからこそ、後進を育てなければならない! という義務感に駆られているわけです。そんな気持ちにさせてくれた会社がテレコム・アニメーションフィルム!

 で、来週こそは本題に戻します。

第253回アニメスタイルイベント
ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』17 片渕須直アニメーション業45周年その1

 片渕須直監督が制作中の次回作のタイトルは『つるばみ色のなぎ子たち』。平安時代を舞台にした作品のようです。
 『つるばみ色のなぎ子たち』の制作にあたって、片渕監督はスタッフと共に平安時代の生活などについての調査研究を進めています。その調査研究の結果を披露していただくのが、トークイベント「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』」シリーズです(以前は「ここまで調べた片渕須直監督次回作」のタイトルで開催していました)。

 3月7日(土)昼に「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』17」を開催します。片渕監督は2026年でアニメーション業界歴が45周年。さらに『名犬ラッシー』が放送30周年、『アリーテ姫』が公開25周年、『この世界の片隅に』が公開10周年と、今年は「周年」が幾つも重なりました。
 それを記念して、このイベントシリーズは特別編に突入。平安時代の話題から少し離れて、片渕監督の今までの仕事を振り返るプログラムを展開します。今回は『アリーテ姫』が主な話題となる予定です。

 出演は今回も片渕監督、前野秀俊さん。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長が務めます。会場は阿佐ヶ谷ロフトA。今回のイベントも「メインパート」の後に、短めの「アフタートーク」をやるという構成になります。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。アフタートークは会場にいらしたお客様のみが見ることができます。

 配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。また、今までの「ここまで調べた~」イベントもアニメスタイルチャンネルで視聴できます。

 チケットは2026年2月14日(土)正午12時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。

■関連リンク
告知(LOFT) https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/347054
会場&配信チケット https://livepocket.jp/e/vj33v
配信チケット(ツイキャス) https://premier.twitcasting.tv/asagayalofta/shopcart/419999

 なお、会場では「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」上巻、下巻を片渕監督のサイン入りで販売する予定です。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」についてはこちらの記事をどうぞ→ https://x.gd/57ICr

第253回アニメスタイルイベント
ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』17 片渕須直アニメーション業45周年その1

開催日

2026年3月7日(土)
開場12時30分/開演13時 終演15時~16時頃予定

会場

阿佐ヶ谷ロフトA

出演

片渕須直、前野秀俊、小黒祐一郎

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,800円、当日 2,000円(税込・飲食代別)
ツイキャス配信チケット/1,500円

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

第940回 『沖ツラ』と『キミ越え』の続き

 前々回の“各話演出をなくす”作り方は「取り敢えず『キミ越え』の時はそうやってみました」ってだけです。現在制作中の作品では「今度はこうしよう」と新しい改革をまだまだやってみています。
 今年に入ってからは、各打ち合わせ類だけでなく、自分の作画講義も録画、それを編集して社内ライブラリーとしてスタッフが観れるようにしています。レイアウトや原画の描き方など、チェック中に気になったことがあった際、当事者——場合によっては同キャリアのスタッフも数名同席させて、会議室モニターに向かって実演しながら解説を加えます。
 やっぱり、“実演”が重要! 口で言うだけ、文句つけるだけではダメ。実際自分自身手が速いほうではないのですが、その俺から見ても今の若手は描くの遅過ぎ! もちろん、働き方改革による労働時間の短縮だ~ハイビジョンに耐え得る作画だ~も理解した上で、です。下手すると原画2~3枚程度のカットが1日1カット上がってこない日があるくらい。なので一応キャリア30年以上(我ながら驚き!)の自分が、皆の目の前で描いて見せるのです!

友永(和秀)師匠が若き日の板垣にしてくれたように!

 そして、友永さん・富沢(信雄)さん・田中(敦子)さんらテレコム・アニメーションフィルムの先輩方から教わったこと、それとプラスしてフリーの間にあちこちの達人から学び取った知恵・技術を全て後輩に残すつもりで、描きまくって喋りまくって、録画しています。もちろん、閲覧できるのは社内スタッフのみ、の門外不出案件(恥ずかしいし)。
 で、その解説・実演の撮りが何本かあって、今回も時間が取れず短くて申し訳ありません。

 また次回。

第322回 無敵の合わせ技 〜大草原の小さな天使 ブッシュベイビー〜

 腹巻猫です。2月6日に著書『劇伴音楽入門』(インターナショナル新書)を上梓しました!
https://www.amazon.co.jp/dp/4797681705

 購入くださった方、読んでくださった方、ありがとうございます! 劇伴を聴いてみたいと思う人が少しでも増えてくれたら、うれしいです。
 2月11日開催の「レッツゴー!サントラさんVII」(下記)に続き、3月以降も関連イベントを予定していますので、続報をお待ちください!
https://www.soundtrackpub.com/event/2026/02/20260211.html


 前回の当コラムで予告したとおり、今回は『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』の音楽を紹介しよう。日本アニメーションの音楽配信レーベル「NICHI-ANI Classics」から1月20日に配信音楽集がリリースされている。
 『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』は1992年1月から12月まで全40話が放送されたTVアニメ。日本アニメーション制作の「世界名作劇場」第18作である。ウィリアム・スティーブンソンによる原作小説を、監督・鈴木孝義、脚本・宮崎晃のスタッフでアニメ化した。
 舞台は1960年代初頭のケニア。家族とともにケニアの街で暮らすイギリス人の少女ジャッキーは、親をなくしたブッシュベイビーの赤ん坊を「マーフィ」と名づけて育て始めた。好奇心旺盛なマーフィのいたずらに悩まされながらも、ジャッキーはマーフィと仲よくなっていく。しかし、野生動物保護官であった父の任期が終わり、ジャッキー一家がイギリスへ帰る日がやってきた。
 ところが、ジャッキーは思わぬトラブルで帰国の船に乗り遅れ、マーフィとともにアフリカに取り残されてしまう。父の助手をしていたケニア人の青年・テンボに助けられたジャッキーは、両親と再会するため、そしてマーフィを野生の仲間のもとに返すために、アフリカの原野を旅することになった。
 実は筆者は、本放送当時、本作をあまり観ていなかった(理由は覚えていない)。今回、音楽集の構成を手がけることになり、DVDを入手して一気に観たが、期待した以上に面白かった。
 全40話の前半は、ジャッキーと家族、友人たちとの日常を中心にした内容。象やサイ、ライオンなど、野生動物がふんだんに登場するのが本作ならではの魅力だ。野生動物をねらう密猟団が現れ、ジャッキーが密猟者の行動を調べるうちに危機に陥るエピソードが、前半のクライマックスになっている。
 後半はがらっと雰囲気が変わり、アフリカの広大な原野を旅する冒険ものになる。密猟者に襲われたり、警官に追われたり、大火事に巻き込まれたりと、波乱に富んだ物語が展開する。「世界名作劇場」の中でもアクションやサスペンスの要素が多い、(本作以前に『ピーターパンの冒険』があるとはいえ)異彩を放つ作品である。

 音楽は宮川彬良が担当。リメイク版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズをはじめ、さまざまなアニメ・ドラマ・舞台の音楽を手がける作曲家だが、本作当時は、まだ映像音楽の仕事の経験が浅かった。本作は、宮川彬良が音楽を単独で担当した初のTVアニメ作品である。
 ただ、彬良は本作より前に、ミュージカルなどの舞台音楽やテーマパークのアトラクション用音楽などを多く手がけている。彬良が作曲家として活躍を始めたのは80年代。右上がりに景気がよくなっていく時代で、大編成のオーケストラを使った音楽を大量に書くことができた(書かされた)。その経験が、本作の音楽に生かされている。
 『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』の音楽は、生楽器をぜいたくに使ったシンフォニックサウンドを基調に作られている。大編成オーケストラとともに土俗的なリズムを刻む民族打楽器が使われているのが特徴だ。野趣に富んだ民族打楽器の音色はアフリカの大地や野生動物をイメージさせ、視聴者を物語の世界へ誘い込む。歴代「世界名作劇場」の音楽の中でも、とび抜けて壮大なスケールを感じさせる音楽である。
 筆者の想像だが、宮川彬良は本作の音楽を書くとき、同じくアフリカを舞台にしたTVアニメ『ジャングル大帝』の音楽を意識したのではないだろうか。彬良は1961年生まれ。1965年から(続編の『ジャングル大帝 進めレオ!』まで含めると)1967年まで放送された『ジャングル大帝』を観ていた可能性は高い。観ていなくても、冨田勲が作曲した音楽は知っていただろう。
 なぜそう思うのかというと、宮川彬良の音楽が非常に力が入っているからだ。今回リリースされた音楽集の2曲目「アフリカの大地」を聴くだけでも、本作の音楽の雄大さがわかる。「『ジャングル大帝』のような大きな音楽が書けるぞ!」とはりきってスコアに向かう宮川彬良の姿が目に浮かぶようだ。本作の音楽が『ジャングル大帝』の音楽に似ているわけではない。『ジャングル大帝』に挑もう、という気概を感じるのである(あくまで個人の感想です)。
 いっぽうで、本作の音楽の中心になっているのは「ジャッキーのテーマ」と題された主人公ジャッキーのモチーフである。宮川彬良は本作の音楽作りを、このメロディから始めたという。劇中にジャッキーのテーマをアレンジした曲が流れることで、視聴者はなじみの薄いアフリカの情景にもジャッキーの心情を感じ、共感することができる。ストーリーが冒険ものに転じても、本作を「世界名作劇場」らしい作品にしているのが、「ジャッキーのテーマ」の存在である。
 本作の音楽は、1992年5月に日本コロムビアから発売されたCD「大草原の小さな天使 ブッシュベイビー 音楽集」で、一度商品化されている(配信版音楽集とタイトルが同じなので、以下、CD版を「音楽集CD」と呼ぶ)。ただし、発売時期の都合で、音楽集CDに収録された楽曲は前半で使用されたもののみ。後半の冒険ものになってから使われ始めた楽曲は収録されていなかった。
 今回リリースされた配信アルバム「大草原の小さな天使 ブッシュベイビー 音楽集」は、後半の展開のために追加された楽曲も含め、劇中使用曲をほぼ網羅した決定版である。構成は筆者が担当した。ファンなら「この曲が聴きたかった!」と思う曲がきっと入っているはずだ。
 収録曲は「NICHI-ANI Classics」Webサイトの下記ページを参照。
https://x.gd/lqVDl

 前回紹介した「トラップ一家物語 音楽集」と同様に、本アルバムも「NICHI-ANI Classics」のサイトに楽曲解説が掲載されている。詳しい解説はそちらにゆずり、ここからは筆者のお気に入りの楽曲を選んで紹介していこう。
 まず取り上げるのはトラック10「サバンナの追跡」。アフリカ的なリズムに始まり、ブラス、ドラムス、弦合奏などが加わって、軽快なビッグバンドジャズ風に展開する。トランペットのアドリブが最高! 本作の音楽の中でも、とびきりグルーヴ感のある、気分のアガる曲である。前半エピソードではよく使われており、「『ブッシュベイビー』の音楽といえばこの曲」と印象に残っている人も多いのではないだろうか。音楽集CDでは「咆哮」という曲の後半部分に収録され、アルバムのクライマックスを飾っていた。演奏時間が1分30秒しかないのが惜しい。
 民族打楽器を使った雄大な曲「アフリカの大地」(トラック2)はすでに紹介したが、同様の曲想の楽曲はほかにもある。
 トラック11「大渓谷」は、瑞々しい渓谷や大河の流れを連想させる曲。ホルンの大らかな響きと木管の透明感のある音色の組み合わせが水煙の立つ渓谷を描写しているようだ。
 トラック25〜27の3曲——「サバンナの夜明け」「はるかなるキリマンジャロ」「夕暮れの地平線」も、色彩感豊かな情景描写曲。この3曲は「アフリカの雄大な自然をたっぷり感じてほしい」という意図で並べてみた。
 続いて、トラック3「ジャッキー登場」に代表される「ジャッキーのテーマ」のバリエーションを紹介しよう。
 トラック4「こんにちはマーフィ」はフルートやファゴットによるユーモラスなアレンジ曲。マーフィやジャッキーのコミカルな場面によく使われた。
 トラック12「アフリカはわが故郷」は、ストリングスを主体にしたメロディックなアレンジ。宮川彬良が生み出した旋律の美しさが、ストリングスの流麗な演奏で引き立てられている。
 トラック24「ジャッキーはりきる」は、ミュートしたトランペットの音色が楽しい変奏曲。ユーモラスなシーンにも、やや緊張したシーンにも合う、使い勝手のよいアレンジである。
 トラック42「ジャッキーの想い」とトラック59「さびしいジャッキー」は、同じモチーフを使った、しっとりとした心情描写曲。「ジャッキーのテーマ」が軽快なアレンジにも抒情的なアレンジにも似合う旋律であることがわかる。
 アルバムのラストに収録した「ジャッキーのテーマ」(トラック63)は、この曲の基本形となる演奏。音楽集CDにも「ジャッキーのテーマ(リフレイン)」のタイトルで収録されていた。本作のメインテーマである。
 こうして並べて聴くと、宮川彬良のアレンジの巧みさにあらためて感心する。父の宮川泰も名アレンジャーだった。血は争えない。
 次に紹介したいのは、後半のエピソードのために追加された楽曲群。
 なんといってもトラック34「冒険者たち」とトラック35「明日への前進」の2曲である。「冒険者たち」は、躍動的なリズムに、ストリングス、ブラス、木管などのオーケストラが重なり、力強く勇壮な曲想へと発展する曲。「明日への前進」は、同じモチーフを軽快なジャズコンボ風にアレンジにした変奏曲。2曲ともジャッキーたちの冒険の旅を彩る曲として使用されている。
 この2曲と同じのモチーフの曲が、ほかに2曲ある。トラック46「危険な道」とトラック54「原野を越えて」である。「危険な道」はピアノのリズムをバックにメロディが重々しく奏でられるサスペンス調アレンジ。「原野を越えて」はシンプルな構成の中に目的地に向かうジャッキーたちの決意が感じられる情感豊かなアレンジ。2曲とも、ジャッキーたちの旅の苦難を描写する曲として、たびたび使用された。
 以上の4曲は、後半用の追加録音を代表する印象深い楽曲である。筆者はこの4曲に共通するモチーフを、勝手に「冒険のテーマ」と呼んでいる。
 冒険映画っぽい曲としては、トラック56「大災害」も忘れてはいけない。宮川彬良は大編成オーケストラが生み出す重厚なサウンドを生かし、ディザスター映画音楽のような緊迫感と危機感のある曲を書き上げている。聴いていると「これ『宇宙戦艦ヤマト』の曲?」と言いたくなるような迫力である。
 最終回ラストに使用された「大自然の呼び声」(トラック61)と「元気でねマーフィ」(トラック62)の2曲も初収録。2曲とも最終回を想定して書かれたような曲で、雄大な物語を締めくくるのにふさわしい凝った構成とアレンジになっている。この2曲も「フルで聴きたかった」と言ってくれるファンが多いだろう。

 かけ足で『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』の音楽の聴きどころを紹介した。これ以外にも、リリカルなメロディの心に沁みる曲や躍動感のあるアクション曲などが作られている。バラエティに富んでいて、演奏のクオリティも高い。聴いていて気持ちのいい音楽だ。初めて単独でTVアニメ音楽に挑んだ宮川彬良の意欲と情熱がびしびしと伝わってくる。ぜひ、お聴きいただきたい。
 さっき思わず『宇宙戦艦ヤマト』の名を出してしまったが、本作の音楽には宮川泰から宮川彬良に受け継がれ、『宇宙戦艦ヤマト2199』以降のリメイク版シリーズに継承されていく、ヤマトサウンドの香りもただよっている。「ルーツはここにあったのか!」という思いだ。『宇宙戦艦ヤマト』と『ジャングル大帝』の合わせ技。これは無敵というほかない。

大草原の小さな天使 ブッシュベイビー 音楽集
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第939回 ヤッバ!

いきなりですが、今日はヤバいです! もちろん、ヤバい意味でのヤバいです!!

 本日、片付けなければならない仕事がパツンパツンで大変です。先日52歳になった訳ですが、今のミルパンセではまだまだ自分が休む訳にはいかず、余裕のない毎日を送っております。
 「じゃ、もっと人を雇ったら?」と仰る方にご理解いただきたいのです。早い話、俺の代わりになる人となると、

脚本書いて、コンテ描いて、レイアウトチェックして、原画チェックして、作監を仕切る!

これができるアニメーター兼監督がいらっしゃたら是非紹介してください(切実)! ちなみにそれらの仕事をバラバラのフリーの人に振ったら何人分のギャラが必要か、各人最低賃金で計算したとしても、月々どれだけになるか想像つくと思います。しかも、脚本もコンテも

我社の作画リソースに合わせた仕上がり!

にしていただけなければ、結局後になって作画段階で躓き、赤字になるのが目に見えています。
 つまり、社内の若手を育てて俺の仕事を割り当てるしかない訳で、今は歯を食いしばって頑張るしかないのです、俺が!
 そんな訳で、前回の続き“各話演出なし”からの“作監振り分け”とかの話を解説しようと思ったのですが、如何せん時間が取れず。今回は申し訳ありません。

 また次週。

第938回 52歳! 続々『沖ツラ』と『キミ越え』

先日1月28日でまた一つ歳を取りました!
水島精二監督、西見祥示郎監督(先輩)、儀武ゆう子さん(喜屋武のおばあ役)、永野花さん(ミルパンセ・スタッフ)他、同日の方々、誕生日おめでとうございます!

という訳で、板垣伸(52)です。
 『沖ツラ』10話の“肝だめし”の件、続き。前回説明したように、ちゃんとレイアウト(原図)に闇部分を指定して、と言うかこの話数も俺のコンテ修正が結構入ってて、“闇”の指示してありました。
 ヤモリの鳴き声はダビング現場で、初めて聴きました。あれ、夜の森で聴いたらてーるーじゃなくてもかなり怖いと思います。沖メモシーサーの「ヤモリガ~ドォ~!」は、もちろん「ドラえ●ん」風~を小桜エツコさんにやっていただきました。
 「くるんちゅ」と振り返る比嘉さん、マンガっぽくするために敢えて振り向きの動きをなくして、最初っから“止め”に“髪の毛の持ち上げ”の動きのみ(もちろん口パクはありますが)。それをカット頭のQ.T.B(高速トラックバック)で振り向いたかのように見せる——て言うか、そう見せたい作画。そのほうがシャープに見えると思って。実は他の話数でもやってますが、自分はこういう“意図的な動きの省略”を手抜きだとは思いません。アニメだから止めは手抜き! なのではなくて、止めの呼吸・テンポが“狙い”な訳ですから。
 闇の中(懐中電灯に)照らされる膝まずいた牛マジムン・豚マジムンのシュールさは好き。原作のその面白さをアニメで再現したかったので、コンテ直しまくりました。

 原作マンガと脚本があった上でコンテ打ち合わせまでやってもなお、

監督の演出意図を各話演出に実現してもらうことは本当に難しい!

とつくづく思うのです。そのことを20年の監督生活で実感しつくしていた自分が、『キミ越え~』において出した答えが、

各話演出をなしで、一度やってみよう!

なのです。
 まず、コンテが既にあるとしての通常の(他社さんのやられている)各話演出の仕事を纏めると以下になります。

(1)監督との演出打ち合わせ(★作品の方向性の確認)。
(2)コンテを基に作画・美術・色彩・撮影打ち合わせ。
(3)レイアウト・作画のチェック。
(4)カッティング(編集)。
(5)アフレコ・ダビング~音響立ち合い。
(6)ラッシュ(撮影上り)チェック。
(7)リテイク出し~リテイク処理。
(8)V編(納品)。

…ってとこでしょうか。
 で、各話演出なしの『キミ越え』ではまず、(1)は両監督内(木村・板垣)でやって、(2)の打ち合わせは木村監督の方でこなします。これを全編録画! そのムービーを “監督助手(社員)”チーム他社内全体で共有し、アニメーターとの作画打ち合わせに使用したり、直接アニメーターが観て勝手に作画INしたりとか。こうすることで作打ちまでがスムーズに流れるし、(通常の)演出家さんの空きスケジュール待ちで作打ちができないなどの無駄時間がなくなります。だって、質問などは後からでも社内に常時いる監督2人に直接聞きに来てもらえれば、直ぐ答えますから。
 その後の(3)作画チェックは、

毎日、帰宅前に行われる定例チェック(社内全スタッフにリモートで公開)にて、木村・板垣両監督が“全セクションの本日上り分”を“OK”“NG”に選り分ける!

 それらを「この原図クミ線切っといて~」「これ、コンテと芝居が違う」「キャラ修宜しく!」「本人にリテイクで戻して~」などを監督助手チームに指示して渡すまでが木村・板垣両監督の演出チェックになります。つまり、監督2人による各カットの演出チェックを、助手達が実行して回す。その際、アクション・難しい芝居などは板垣、キャラ修行きは木村監督が持って行きます。この回しを全話・全カット(グロスの10話を除く)やった訳。
 早い話、これなら他人(各話演出)を介さない分、演出意図から外れづらいでしょう?

あちこちの処理を4~5本掛け持ちし、週2~3日・2~3時間ずつしかスタジオに入らないようなフリーの演出家さんに頼らないで済むやり方をこれからもアップデートしていくつもりです!

 次回は今年に入ってからの改革(アップデート)の話を。

第321回 名作へのアンサー 〜トラップ一家物語〜

 腹巻猫です。前回のコラムでもお知らせしましたが、2月6日に著書『劇伴音楽入門』(インターナショナル新書)を上梓します。
https://www.amazon.co.jp/dp/4797681705

 出版記念を兼ねたイベントを2月11日に神保町・ブックカフェ二十世紀で開催しますので、お時間ありましたら、ぜひご来場ください。出演は、貴日ワタリ、早川優、腹巻猫。懇親会も予定しています!
https://www.soundtrackpub.com/event/2026/02/20260211.html


 日本アニメーション制作の「世界名作劇場」の2作品、『トラップ一家物語』と『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』の音楽配信が1月20日から始まった。当コラムでも紹介した日本アニメーションの劇伴音楽配信レーベル「NICHI-ANI Classics」からのリリースだ(WEBサイトは下記)。
https://sites.google.com/view/nichi-aniclassics

 今回と次回の当コラムでは、この2作の音楽集を紹介したい。
 といっても、以前紹介した『みつばちマーヤの冒険』などと同様に、「NICHI-ANI Classics」のWEBサイトにけっこう詳しい音楽解説が掲載されている。そこで当コラムでは、WEBサイトで触れられていないことや筆者の個人的な考えを語っていきたいと思う。
 今回紹介するのは『トラップ一家物語』の音楽。1991年1月から12月にかけて全40話が放映されたTVアニメである。特定の原作はクレジットされていないが、実在したトラップ一家合唱団の物語(マリア・フォン・トラップの自叙伝など)を脚色してアニメ化した作品だ。
 舞台は1930年代のオーストリア。18歳のマリアは修道女にあこがれて、ザルツブルグ市のノンベルク修道院で修行を始める。しかし、堅苦しい規律が性に合わないマリアは失敗続き。見かねた修道院長がマリアに与えた任務が、妻を亡くしたトラップ男爵の屋敷で7人の子どもたちの家庭教師を務めることだった。
 トラップ家を訪れたマリアは、多感でいたずら盛りの子どもたちに悩まされる。が、子どもたちに真摯に向き合い、一緒に歌を歌ううちに、子どもたちの心をつかんでいった。やがてマリアはトラップ男爵に求婚され、子どもたちの新しい母親になる。歌を愛するトラップ一家は「トラップ一家合唱団」を結成して、各地で公演を開くまでになった。しかし1938年、ナチスドイツがオーストリア併合を強行したことで、トラップ一家は大きな転機を迎える。
 1965年公開の劇場版「サウンド・オブ・ミュージック」(およびその原作となった同題のミュージカル)は、本作と同じ実話をもとにした作品である。しかし、全話の脚本を手がけた、しろやあよは最初から劇場作品とは違う物語を作ろうと考えたという(DVDのリーフレット所収のインタビューより)。監督の楠葉宏三も「当時の時代とか生きていた人の考えとかを大事に正確に伝えられたらと思って作りました」と証言している(同じくリーフレットより)。これは本作を語る上で重要なポイントだ。
 『トラップ一家物語』の劇中には、劇場版で有名な「ドレミの歌」や「私のお気に入り(マイ・フェイバリット・シングス)」「エーデルワイス」などの歌は(そのアレンジBGMも含め)流れない。これらはみな「サウンド・オブ・ミュージック」のために作られた歌だからだ。
 本作でも、マリアと子どもたちが歌うシーンがふんだんに描かれる。そこで歌われるのは、オーストリアに伝わる民謡やシューベルトの歌曲など、当時実在した歌ばかり。セリフの代わりに心情を歌うようなミュージカル的なシーンはない。世界名作劇場の前作『私のあしながおじさん』がミュージカル的な演出を取り入れていたので、本作はあえて違う路線を選んだのかもしれない。いずれにせよ、そのおかげで本作は地に足のついた、ドラマ重視の、見ごたえのある作品になったと思う。人間ドラマの面白さという点では世界名作劇場屈指の作品のひとつである。

 音楽は風戸慎介が担当した。TVアニメでは『じゃりン子チエ』『キン肉マン』『うる星やつら』(安西史孝らと共作)などの音楽を手がけている作曲家である。
 風戸慎介には大編成オーケストラを使った「ウルトラマンG(グレート)」という作品もあるので、本作にハリウッド作品のようなゴージャスな音楽をつけることも可能だったはずだ。
 ところが、本作の音楽はギターやアコーディオンなどの素朴な音色を中心にしたサウンドで作られている。小編成の管弦楽器は使われているが、シンフォニック(交響曲的)な音楽ではない。舞台となった土地の空気感やマリアと子どもたちのキャラクターを考慮したものだろう。
 だから、サウンドトラックだけを聴くと少し地味というか、華やかさを抑えた、控えめな感じがする。だが、その控えめな感じがすごくいい。本作に合っている。そして控えめなぶん、メロディの魅力が際立っている。
 あまり語られていないが、風戸慎介は耳に残る、魅力的なメロディを書く作曲家である。『じゃりン子チエ』でも、しみじみしたシーンに流れる哀愁のあるハーモニカの曲がとてもよかった。『トラップ一家物語』のエンディング主題歌「両手を広げて」も風戸の作・編曲によるものだ。本作の音楽では、風戸の魅惑的なメロディをたっぷり聴くことができる。
 ここからは、今回リリースされた配信音楽集の内容に沿って語ろう。
 配信音楽集のタイトルは「トラップ一家物語 音楽集」。BGM79曲を63トラックに構成し、劇中で使用された曲はほぼ網羅されている。選曲と構成は筆者が担当した。
 収録曲は「NICHI-ANI Classics」WEBサイトの下記ページを参照。
https://sites.google.com/view/nichi-aniclassics/index/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E4%B8%80%E5%AE%B6%E7%89%A9%E8%AA%9E

 配信音楽集のポイントはふたつある。
 ひとつは、これまで商品化されていなかった曲を多数収録していることだ。
 本作は放送当時に日本コロムビアから音楽集CDが発売されている。タイトルは「トラップ一家物語 音楽集」。配信版の音楽集とタイトルが同じなので、以下「音楽集CD」と呼ぶことにする。
 音楽集CDは発売時期(1991年7月)の都合から、物語序盤のエピソードで使用された曲を中心に構成されていた。物語的には、マリアとトラップ家の子どもたちが出会い、しだいに打ち解けていくまでの展開をイメージした内容である。
 いっぽう今回の配信音楽集は、物語中盤のマリアと伯爵令嬢イヴォンヌのトラップ男爵をめぐる三角関係や、物語終盤のナチスドイツの脅威を逃れてトラップ一家が海外へ脱出するまでの展開も反映した構成でまとめた。
 イヴォンヌがトラップ男爵のもとを去る場面の「イヴォンヌ、恋の終わり」(トラック40)やマリアが修道院長に勇気づけられトラップ男爵との結婚を決意する場面の「神様の思し召し」(トラック44)などは、番組を観ていたファンには印象深い曲だろう。こうした曲を収録できたことで、音楽集CDに物足りなさを感じていたファンにも満足していただける内容になったと思う。
 ポイントのふたつめは、マリアと子どもたちが劇中で歌う曲の音源を可能な限り収録したこと。権利上の都合で声優が歌っている音源は収録できなかったが、歌が入っていない伴奏だけの音源やインストゥルメンタルを収録することができた。「のんきな日曜日」(トラック12)、「野ばら」(トラック50)、「山のごちそう」(トラック51)などである。歌声がないのは少しさびしいが、どの曲も本作にとって重要な要素。これらのトラックで本編の雰囲気を味わっていただきたい。
 ほかに筆者が気に入っている曲を挙げてみよう。
 まず、マリアや子どもたちの心情を描写する曲。マリアとトラップ家の次女マリアとが心を通わせる場面の「マリアとマリア」(トラック9)(トラック21「生きとし生けるもの」も同モチーフ)、トラップ男爵に求婚されたマリアの迷いを表現する「迷う気持ち」(トラック43)、マリアとトラップ一家の幸せを象徴する「新しい家族」(トラック47)(トラック62「新天地」も同モチーフ)など。いずれも風戸慎介の持ち味である魅力的なメロディが聴ける曲である。
 マリアや子どもたちをユーモラスに描写する曲もいい。「修道女志願」(トラック4)、「トラップ一家の子どもたち」(トラック6)、「どろんこ遊びは最高」(トラック15)などは、本作の陽気な一面を代表する楽しいナンバーだ。
 また、ナチスドイツ侵攻場面に流れたサスペンスタッチの曲も忘れがたい。「ナチス侵攻」(トラック56)や「危機を逃れて」(トラック61)は、軍事侵攻の脅威を連想させる重厚な曲。まるで別の番組の音楽のようだ。本作のシリアスな一面を代表する楽曲である。
 音楽集CDの解説書で風戸慎介はこうコメントしている。
「この話(※注:トラップ一家の物語)が、じつはミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の原作であることを聞いた時、作曲家として非常なプレッシャーを感じました。何故なら今や世界中で歌われている『ドレミのうた』も『エーデルワイス』もみんなこの物語から生まれた歌だからです」
 名作「サウンド・オブ・ミュージック」からのプレッシャー。風戸は明言していないが、その先には作曲家として「名作に負けない音楽を書こう」という気持ちがあったはずだ。上に引用したコメントに続いて、風戸はこう記している。
 「舞台はヨーロッパ、今から少し前の話。音楽の古都オーストリア、そこに息づく昔から歌い継がれているフォークミュージックと人々の生活、素晴らしいアルプスの景色からスタートする物語。作曲家としてはまさに腕の見せどころ、はりきりましたネー!」
 『サウンド・オブ・ミュージック』への風戸なりのアンサーが、小編成の素朴なサウンドで、親しみやすく心に響くメロディを奏でることだったのだろう。結果、全編に思わず口ずさんでしまうようなメロディがちりばめられた、音楽性の高い作品になった。
 ミュージカルではないのに、いや、ミュージカルではないからこそ、音楽が物語に溶け込み、キャラクターに寄り添っている。ぬくもりのある素朴な音色が奏でる音楽に浸ってほしい作品だ。

トラップ一家物語 音楽集
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第937回 『沖ツラ』と『キミ越え』~続々

 『沖ツラ』9話~10話、“肝だめし”の件。ここはまず、スタッフ間では“肝だめしの行われる場所はどこか?”が問題になっていました。実は、前述の“怪談”は具志川公民館——具志川地区コミュニティ共用施設という実在する場所。で、肝だめしを開催する森は創作、と原作から読み取れました。つまり、公民館と繋がった森は存在しない訳です。それをコンテ発注段階で公民館に実在しない森をくっ付ける話で進んでいてビックリ! すぐさまスタッフらに「ちょっと待って!」をかけて、

そんなの公民館で怪談をした後、“場所をポンと森の前に飛ばす”だけでいいでしょ!

と。コンテ(編集)で工夫して、巧く繋げれば余計な噓をつかなくて済みますから。実在の場所はできるだけデリケートに扱わないと駄目だと思いました。
 これに似た現場判断のズレは本当によくあります。森の描き方についても、なぜか全部隅々まで見える背景が発注されてたりして「い、いや! 先が見えない怖さを表現しなきゃ肝試しになんないでしょ! ちゃんと原図に“闇”を指定してよ!」とか。
 前作『いせれべ』以来、総監督という立ち位置でやや俯瞰で見るはずが、こういうズレ多発の結果、板垣指示の直しが多くなり、次第に演出・作画両方を修正。よって、

普段の監督業か、それ以上にグッタリ疲れました『沖ツラ』も!

そういう意味で、『キミ越え』の方は木村(博美)さんと共同監督でバランスは良かったと思います。
 『キミ越え』における木村監督との作業分担はと言うと、

脚本・コンテチェック・編集・音響・作監が板垣監督担当、キャラクターデザイン・総作監・コンテ清書・その他ビジュアルコーディネートが木村監督担当!

ということでやっていました。そして、一部で話題になっていた、

「各話演出クレジットがない!」「演出は誰!?」について!

です。実は『いせれべ』以来進めてきた板垣による“スタッフ編成改革”を、今作『キミ越え』ではまたさらに推し進めて「各話演出をなくそう!」と思い立ちました。理由は「まずアニメーターに演出処理を覚えてもらおう」ということでした。演出処理とは撮影指示やタイムシートのチェック、そして音響に必要な台詞・SEボールドの付け方など、いわゆる“コンテの後処理”のこと。演出業の中では雑務に値する部分です。
 それは、社内のアニメーターからしょっちゅう「撮影指定の書き方を知らない」だ「タイムシート・タイミングの付け方が分からない」だ言われて、俺は「10年前から何度も説明したし教えたはずでしょ」と返していました。結局、「後でそれらを演出の人がチェックしてくれるから」と高を括っている以上は俺がいくら教えても憶える気がないし、実践する気もないのでしょう、と。
 じゃあってことで、

「今作は演出置かないから貴方(アニメーター)のほうで全体見て!」が“作画チーフ”!

という役職になります。フィルム1話分全体を見る視点がないと、カット割りの意図からのレイアウトだったり、台詞の間尺の取り方、BG引きスピードとかは身に付きませんから。もちろん、俺の方でそれらを改めて指導しつつです。
 なので『キミ越え』の各話演出はと訊かれれば“作画チーフ”が半分と答えます。そして「じゃあ、もう半分」は、

板垣・木村両監督以下、“監督助手”チーム!

になります。そのやり方についてはまた次回!

【新文芸坐×アニメスタイル vol.199】
新文芸坐スクリーンで観るスコープサイズアニメ TVアニメ『小市民シリーズ』

 「新文芸坐スクリーンで観るスコープサイズアニメ」はスコープサイズで作られたアニメ作品を、スコープサイズの上映に最適な新文芸坐のスクリーンで上映していく企画です。その第二弾として、オールナイトでTVアニメ『小市民シリーズ』を上映します。開催日は2026年2月14日(土)。上映が終わるのは15日(日)の早朝となります。

 『小市民シリーズ』は米澤穂信さんによる連作小説を映像化したTVアニメです。地に足がついた推理ドラマとしての面白さ、個性的なキャラクターの魅力、そして、クールかつポイントを押さえた演出とリアルタッチの映像が素晴らしく、見応えのある作品となっていました。
 本作はTVアニメではありますが、本編がスコープサイズで制作されています。その映像を新文芸坐のスクリーンでお楽しみください。なお、今回のプログラムではスコープサイズでの上映となるため、エンディングが不完全な状態で映写されます。予めご了承ください。

 今回のプログラムで上映するのは『小市民シリーズ』第一期の「春期限定いちごタルト事件」と「夏期限定トロピカルパフェ事件」(計10話)となります。
 トークのゲストはヒロインの小佐内ゆきを演じた羊宮妃那さん、プロデューサーの遠藤一樹さん。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長が務めます。
 また、当日は新文芸坐のロビーで、アニメのスタイルの書籍「TVアニメ『小市民シリーズ』資料集」を特典小冊子付きで販売します。

 チケットは2月7日(土)から発売。チケットの発売方法については新文芸坐のサイトで確認してください。 


●関連リンク
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

新文芸坐オフィシャルサイト(本プログラム チケット販売ページ)
https://www.shin-bungeiza.com/schedule#d2026-02-14-1

【新刊情報】TVアニメ『小市民シリーズ』の魅力を詰めこんだ資料集を刊行 イベントと通販の特典は「神戸守監督 絵コンテ集」!!
https://animestyle.jp/news/2025/12/19/30337/

【新文芸坐×アニメスタイル vol.199】
新文芸坐スクリーンで観るスコープサイズアニメ TVアニメ『小市民シリーズ』

開催日

2026年2月14日(土)22時40分~4時55分予定

会場

新文芸坐

料金

2800円均一(特別興行)

上映タイトル

『小市民シリーズ』(TVアニメ/2024年〜25年)「春期限定いちごタルト事件」「夏期限定トロピカルパフェ事件」(計10話)

トーク出演

羊宮妃那(出演/小佐内ゆき役)、遠藤一樹(プロデューサー)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)

備考

※トークショーの撮影・録音は禁止

第252回アニメスタイルイベント
アニメ様がひたすら話をするイベント

 2月1日(日)昼に開催するトークイベントは「アニメ様がひたすら話をするイベント」。アニメスタイル編集長の小黒祐一郎(アニメ様は彼のニックネームです)が一人で話をするだけ、というシンプルなイベントです。
 今回のトークの内容は小黒が考えていること、語りたいこと。メインのパートでは「1970年代の宮﨑駿のアニメーション表現がいかに進んでいたか」「それがいかに語られていないか」「そもそもアニメーションの表現は語られていないのではないか」等について、ざっくばらんに話す予定です。
 他にもアニメ関連で小黒が考えていることについて、思いつくままに語ります。全体としてはユルい感じのトークになるはずです。

 今回のイベントもトークの一部を配信します。普段のイベントよりも配信しないパートが長めになるかもしれません。配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。

 会場は新宿のLOFT/PLUS ONEです。チケットは1月22日(木)18時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。

■関連リンク
告知(LOFT)  https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/344222
会場&配信チケット(LivePocket)  https://livepocket.jp/e/3_r38
配信チケット(ツイキャス)  https://premier.twitcasting.tv/loftplusone/shopcart/415829

第252回アニメスタイルイベント
アニメ様がひたすら話をするイベント

開催日

2026年2月1日(日)
開場12時30分/開演13時 終演15時~16時頃予定

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

小黒祐一郎

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信/前売・当日 2,000円(税込·飲食代別)
ツイキャス配信チケット/1,500円(税込)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。

第936回 『沖ツラ』と『キミ越え』~続き

 まずは9話の続き。あ、『沖ツラ』ね。もちろん、着ぐるみ解説シリーズ(?)はそれ用のキャラデ(キャラ表)を作っています。が、前回(7話ハブとマングース編)のものと頭身が違っていて「なんで合わせないの?」と注意し7話・9話両方、キャラ表直させました。あと、

これは“動物の擬人化”じゃなく、ちゃんとデフォルメ頭身に“着ぐるみを被せた”状態で描いて!

と。最近の若手スタッフはなぜ、適当にキャラ発注をして、それが上がったこと“だけ”を確認したことを監督チェックOKとか呼ぶのか? こんなんで作ったものは、作った“だけ”のモノになっちゃいますよ。そして、フォークを握るすずのカット、もっと広角パースを巧く描きたかったのです。

ま、修正が間に合わなかったのは、俺の力不足ですが!

 でも、ビーチボール持って「行くー」と飛び跳ねているすずは、丁寧に原画が積まれてて嬉しかったです。
 はい次、9話ラスト怪談パート。これも作画・演出の指示が大変でした。何が辛いって「これコンテ通りです」との主張だけ伝わってくるんです、不備のある原画からは。「カメラワークからキャラのサイズまでコンテのままなのに他に何が?」と言われるかもしれないけど、あるのですよ! 原画マンの方で計算しなければならないことが。少なくともテレコム(・アニメーションフィルム)では「原画時にもう一工夫を!」と、自分は習いましたから。特にここは“怪談”話。1カット1カットが単なる説明ではなく、“視聴者を怖がらせる”を念頭に作画・演出しなければなりません。
 例えば、頭を上げるのに付けてPAN UP↑すると、すでにオバケがいるというカットがあったとします。この場合、頭上げの動きを数コマ遅れて“後から追い掛けるように付けPAN”した方が主観的な臨場感が作れる訳です。で、そのタイミングを計算するのは、まず“アニメーターの仕事”ですから! 演出の仕事はそれの確認・調整であると。
 あと、バスに乗って来たオバケのカットも時間ギリギリで俺が作画しました。誰も手が出せなくて仕方なしの突貫原画は、必要最小限の内容をこなすのが精いっぱい。前述の“すずの~広角”と同様の心残りが付き纏います。

 そして、『沖ツラ』制作と同時に進めていました『キミ越え』話の続き。監督クレジット確定より少し時間を巻き戻して、脚本(シナリオ)開発から。これはもう、製作委員会のご要望でもあるでしょうし、自分も木村(博美)さんも同意で「基本“原作準拠”でしょう!」と。
 ただ、一つだけ

“文乃・小説執筆”話は1話分かけて丁寧に描いた方が良いと思います!

と進言。原作を読ませていただいた際、小説家志望~文乃の件が30分(本編21分)のアニメに置き換えるとやや短かったのです。親友の将来について主人公たちが真剣に関わる話が、前半の半パートで決着では軽いので、オリジナル追加ではなく、“描写を足す”べきです、と(この完成度の高い原作に、アニメスタッフ側のご都合主義オリジナルを足しても浮くだけですから)。それ以外は完全に原作準拠の全12話で、構成を組みました。
 企画当初、集英社DNAさんから提案されたのは「“花火とランタン祭り”で最終回~でしょうか?」でした(※つまり現行の8話までの内容)。自分も木村さんもそれで納得していました。
 ところが、集英社DNAさんの何方かから「5巻の頭まで行けないか?」と提案がありました。5巻の頭というのは、現行のラスト、万理と繋が付き合うまでです。
 集英社DNAの足立聡史プロデューサー(当時)から「ちょっと全12話で纏めるにはキツいんじゃないかなと思ったんですが、ここまでできます?」と相談され、原作を読み返してみた俺が「確かにここまで入れた方が良さそうですね」と同意しました。そこから脚本IN。
 同時に木村さんにキャラクターデザイン発注。

 続きは次回!

【新文芸坐×アニメスタイル vol.198】
岩井澤健治のアニメーション

 2026年2月11日(水・祝)に開催する上映イベントは岩井澤健治監督にスポットを当てたプログラムです。上映するのは『音楽』と『ひゃくえむ。』。『音楽』は岩井澤監督が7年もの歳月をかけて完成させた作品で、独創的でありつつ普遍的な魅力のある作品。『ひゃくえむ。』はロトスコープを積極的に使った意欲作であり、ドラマも充実。多くの観客に支持されている話題作です。
 トークのゲストは岩井澤監督と、アニメーターであり、現在は監督として作品を手がけている沓名健一さん。沓名さんは『ひゃくえむ。』を高く評価しており、今回のトークは主に沓名さんが岩井澤監督に質問をするかたちで進行することになるはずです。トークにはアニメスタイル編集長の小黒も参加します。

 『音楽』と『ひゃくえむ。』は2月11日に前後して上映しますが、2本立てではなく、それぞれが独立したプログラムです。トークコーナーは『ひゃくえむ。』の後にあります。トークコーナーを観覧するには『ひゃくえむ。』のチケットが必要となります。

 タイムスケジュールは現在調整中。また、トーク無しの『ひゃくえむ。』の上映を12日、13日、14日に開催します。詳しくは新文芸坐の公式サイトをご覧になってください。

●関連リンク
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/

新文芸坐オフィシャルサイト(本プログラム チケット販売ページ)
https://www.shin-bungeiza.com/schedule#d2026-02-11-1

【新文芸坐×アニメスタイル vol.198】
岩井澤健治のアニメーション

開催日

2026年2月11日(水・祝) ~14日(土)(『音楽』、トーク付きの『ひゃくえむ。』は2月11日(水・祝) のみ。タイムスケジュールは調整中)

会場

新文芸坐

料金

2月11日(水・祝):『音楽』一般1500円、各種割引1100円(特別興行・クーポン利用可)
2月11日(水・祝):『ひゃくえむ。』(トーク付き) 2200円均一(特別興行・クーポン利用不可)
2月12日(木)、13日(金)、14日(土):一般1900円、各種割引1500円(特別興行・クーポン利用可)

上映タイトル

『音楽』(2019/71分/PG12) 監督:岩井澤健治
『ひゃくえむ。』(2025/106分) 監督:岩井澤健治

トーク出演

岩井澤健治(監督)、沓名健一(監督、アニメーター)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長)

備考

※トークショーの撮影・録音は禁止

第251回アニメスタイルイベント
『データ原口とその著作』

 2026年1月25日(日)に開催するトークイベントは『データ原口とその著作』。アニメーション史研究家であるデータ原口こと原口正宏さんにスポットを当てたイベントです。
 トークの第1部と第2部では原口さん自身のこと、そのアニメーション史研究のアプローチについて、今まで手がけた著作、そして、1月8日に発売になった最新の著作「ゲゲゲのアニメ 『鬼太郎』60年史と70人の言霊」(徳間書店・刊)について語っていただきます。第1部と第2部が、今回のイベントのメインパートとなります。
 トークの第3部は配信無しのアフタートークです。原口さんが興味があること、これからやりたいことなどについてざっくばらんに話していただきます。

 出演は原口さん、聞き手はアニメスタイルの小黒編集長と、『サマーウォーズ』や『花とアリス殺人事件』等のプロデューサーであり、元アニメ雑誌編集者であった高橋望さんです。また、原口さんのお友達、仕事でお世話になった方に来場していただき、トークの途中でコメントをいただく予定です。

 配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。

 会場では「ゲゲゲのアニメ 『鬼太郎』60年史と70人の言霊」を販売します。また、トーク終了後に原口さんのサイン会を予定しています。サインは「ゲゲゲのアニメ 『鬼太郎』60年史と70人の言霊」に入れてもらいます。この日に購入されたものでなくても大丈夫です。
 会場は新宿のLOFT/PLUS ONEです。チケットは1月15日(木)19時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。

■関連リンク
告知(LOFT)  https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/343188
会場&配信チケット(LivePocket)  https://livepocket.jp/e/r45n9
配信チケット(ツイキャス)   https://premier.twitcasting.tv/loftplusone/shopcart/413883

第251回アニメスタイルイベント
『データ原口とその著作』

開催日

2026年1月25日(日)
開場11時30分/開演12時 終演15時~16時頃予定

会場

LOFT/PLUS ONE

出演

原口正宏、小黒祐一郎、高橋望

チケット

会場での観覧+ツイキャス配信/前売 2,000円、当日 2,300円(税込·飲食代別)
ツイキャス配信チケット/1,500円(税込)

■アニメスタイルのトークイベントについて
 アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。