僕は和太鼓とシンセによる音楽グループを主宰している。先週18日に箱根の仙石原に赴き、第40回芸能発表会に参加してきた。現地の太鼓チームと共演するためだ。大涌谷の火山活動の影響はやはり大きいのか、観光適期の日曜日でありながら人出は例年よりも少ない。相対的に白人や中国人など、外国人が多いのが目立っていた。箱根は観光産業で成り立っている町だけに、観光客の多寡はダイレクトに経済へと影響する。地元の太鼓奏者からも「なんとか箱根を元気にしたい」という声があり、我々の演奏もその一助になればと思った。
　「箱根を元気にする」という点で期待されているのが、『温泉幼精ハコネちゃん』のアニメ化だろう。僕が注目しているのはpetit miladyによる主題歌で、どことなく『みつどもえ』の関連楽曲を思わせるハイテンションな作風が好みだ。作曲担当の俊龍は最近だと小倉唯や田所あずさへの楽曲提供で知られていると思うが、『みつどもえ』のラジオ主題歌「まさか三卵性!?」の作者でもある。同曲については2010年11月の記事で紹介している。

ＴＶアニメ『温泉幼精ハコネちゃん』オープニング主題歌「ハコネハコイリムスメ」

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　さて今回は、10月７日にアニプレックスからリリースされたＴＶアニメ『Classroom☆Crisis』のサントラ盤を紹介したい。ＣＤは２枚組で全45曲収録。オープニング主題歌・エンディング主題歌は収録していない。音楽担当の林ゆうきはドラマ「リーガルハイ」の作曲家として、あるいはTVアニメ『ガンダム　ビルドファイターズ』の作曲家として幅広い層に認知されている売れっ子だ。新体操出身という異色の経歴を持つ作曲家で、現在はＮＨＫの連続テレビ小説「あさが来た」の音楽も担当している。ちなみに「リーガルハイ」サントラについては2013年10月の記事、『ガンダム　ビルドファイターズ』サントラについては2014年３月の記事にて触れているので、そちらも参照していただけたら幸いだ。林ゆうきのＢＧＭというと、多くの作品で巧みなブラス使いが印象的なのだが、本盤ではそれに加えて木管楽器やストリングス、さらにはラップやシンセ、エレキギターも加えてバラエティ豊かなサウンドが楽しめる。生楽器の奏者を23名（ストリングスを除く）も起用した贅沢な編成で、林ゆうきワールドをたっぷりと堪能できるＣＤだ。
　それでは収録曲について見ていこう。まずディスク１の１曲目は番組タイトルを冠した「Classroom☆Crisis」だ。３分55秒の尺の中に、ジャズあり、ラップあり、ＥＤＭありとカラフルで飽きさせない。本編では第４話で、予算を減らされたA-TECが復活を果たすシーンなどに使用された。いわば本作における「勝利のＢＧＭ」であり、各話の盛り上がる場面で使用されてカタルシスを高めてくれるナンバーだ。
　４曲目の「熱情大地」は、言うまでもなく某ドキュメンタリー番組テーマ曲のパロディ。サンバ風のリズムとバイオリン独奏によるメロディが本家そっくりだ。第２話は全編でその番組の作りを模しており、ナレーションもそれらしい仕上がりで大いに笑わせてくれた。
　22曲目「ナギサｖｓカイト」はタイトルどおり第１話ラストでナギサとカイトが初めて対峙するシーンに使用され、最終話でもクライマックスのプレゼン場面の後に流されたものだ。ブラスセクションをフィーチャーした曲調で、軽妙なリズムと洒落たメロディは「これぞ林ゆうき」という印象。「リーガルハイ」などドラマ音楽のファンにも受け入れやすい曲調だろう。
　ディスク２の１曲目「A-ATTACK」はシンセによる導入部からアップテンポのドラムとオーケストラが雪崩れ込み、バイオリンのソロにつながるナンバー。４分ちょうどの尺があるため、ドラマティックな楽曲構成をたっぷりと楽しめるナンバーだ。アニメ本編では第１話で白崎イリスが試作機で出撃するシーンなどに用いられた。
　ちなみにサントラ付属のブックレットに記載された作曲者コメントによると、本人のお気に入りは「Classroom☆Crisis」「A-ATTACK」「熱情大地」の３曲だという。特に「Classroom☆Crisis」「A-ATTACK」は、大胆なシンセ使いとブラスセクションの融合が林ゆうきの新境地を見せてくれるナンバーであり、本作を象徴する楽曲と言えるのではないか。本作はテラフォーミングされた惑星を舞台にするなど設定にＳＦ色が強いのだが、その一方でストーリーは「熱血企業もの」の部分もある。そのあたりを自然にＢＧＭで表現した結果、これらの楽曲が生まれたのだろう。さすがは売れっ子作曲家らしく、感性の確かさを感じさせるＣＤである。（和田穣）

Classroom☆Crisis Original Soundtrack（音楽：林ゆうき）

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