1月23日に 「モバマス」こと「アイドルマスター シンデレラガールズ」のCD第3弾が発売された。十時愛梨、小日向美穂、多田李衣菜、川島瑞樹、本田未央という5人のキャラクター名を冠したCDが、それぞれオリコン週間ランキング(2月4日付)の5~9位を占め、全CDがトップ10入りの快挙となった。昨年4月にリリースされた第1弾の5作もすべてトップ10入りしており、「モバマス」人気はいよいよ高まるばかりだ。
いわゆるオタク層の中にはコアなゲーマーが多数存在し(僕もその1人だ)、どちらかと言えばPC、PS3、Xbox360などのハイエンドな据置ハードを愛し、ソーシャルゲームをやや下風に見る傾向があったように思う。それだけに元々Xbox360ユーザーを中心にブレイクした「アイドルマスター」が、すんなりとソーシャル化に成功した事は驚きだった。僕も遅まきながら昨年12月よりプレイを始めたのだが、なるほどこれはヒットするのも頷けるという作り。キャラクターのカードは可愛いし、ユーザーを飽きさせないようなイベントが休みなく開催されている。
ちなみに上記のCD全てには、それぞれのキャラクターカードがついてくる。しかもCDを2枚買って同じカードを合成すると、より強力なカードになるという仕組みだ。なんという商売上手(笑)。
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 013 十時愛梨(原田ひとみ)
COCC-16685/700円/日本コロムビア
発売中
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さて、今期のTVアニメも色々と話題作が揃っているが、個人的に注目しているのが『gdgd妖精s』『ヤマノススメ』『琴浦さん』の3本だ。『gdgd妖精s』はご存じのとおり全編3D作品で、フリーソフト「MikuMikuDance」で制作されている。メインの3キャラクターの3Dモデルを公開して、ニコニコ動画上でエンディング映像の制作を公募するという試みも行われている。キャラクターのポリゴンデータ、ダンスのモーションデータ、実際に番組で使った背景データ、そして楽曲のWAVファイルまで公開してしまうという太っ腹。クリエイターとファンの垣根が低い、ニコニコ動画の視聴者を直撃するようなプロモーションである。
『ヤマノススメ』は、ここ数年友人・知人の中で登山やトレッキングにハマる者が多く、個人的にも山に興味が生じてきたため。内容も登山のチュートリアルのようで、入門者にはぴったりだ(ちなみにアニメスタイル編集部のある池袋は、登山グッズの宝庫。大手ショップが5軒ほどあるのだ)。『ヤマノススメ』は5分、『gdgd妖精s』は15分。忙しい現代人に適応するべく、今後は短時間の作品が増えてくるのかもしれない。
そしてもう1本が『琴浦さん』だ。毎回が最終話のように盛り上がるストーリー展開と、シリアスとラブコメの間を振り子のように揺れる作風が新鮮。原作がWEBコミックということで、事前の注目度はそれほど高くなかったように思うのだが、今期のダークホースと言えるだろう。
そんな『琴浦さん』のオープニング主題歌は、中島愛が歌う「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」で、エンディング主題歌は千菅春香の「希望の花」だ。千菅春香は「ミス・マクロス30コンテスト」の歌手部門グランプリ受賞者で、今月27日にPS3ソフト「マクロス30~銀河を繋ぐ歌声~」の主題歌「プラネット・クレイドル」(作詞作曲:kz)でCDデビューする事が決定している。『マクロスF』のランカ・リー役に選ばれて世に出た中島愛と、よく似た道を歩もうとしているわけだ。
PS3「マクロス30~銀河を繋ぐ歌声~」
主題歌「プラネット・クレイドル/ワンダーリング」/千菅春香
VTCL-35147/1,155円/フライングドッグ
2月27日発売予定
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「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」はシングル盤が1月23日に発売済み。初回限定盤にはPVとそのメイキング映像を収録したDVDが付属。アナザージャケットもついてくる。PVは中島愛が魔女や女教師に扮した、これまでよりもアイドル性を押し出したコケティッシュなものだ。
『琴浦さん』の本編をご覧になった方ならお分かりのとおり、この曲が第1話のひたすら哀しく重苦しい前半パートから、コミカルで華やかな後半パートへの切り替えスイッチになっており、実に効果的に使用されていた。歌詞も「コシコシコシ!」という擬音、「ハイ!」といった合いの手を多用するなど、声優が歌う今どきのアニソンらしいもの。後半ではアニメよろしく切ないパートもあるので、ぜひフルコーラスで聴いていただきたい。これまでの中島愛は、同じフライングドッグの先輩・坂本真綾のようにアーティスト性の高い楽曲、つまりアニメと切り離しても通用するようなポップスを曲調の中心に据えており、ここまでアニメ本編に寄せた作りは珍しい。彼女のキャリアにとっても転機となる1曲だろう。
楽曲は10秒近くにも及ぶ怒濤のスネアドラム連打で始まり、Aメロはロカビリーのリズム、サビはタテノリに変化するなどドラムが大活躍の楽曲だ。バックトラックは基本的に打ち込みだが、ドラムだけはあえて生演奏を用いているところがポイント。ミキシングでも心持ちドラムが大きめに収録されているようだ。ドラムスは元SADSで、近年はベッキー♪♯やYUI、土屋アンナ等のサポートを務めている牟田昌広が担当している。
カップリング曲「Mamegu A Go! Go!」は、『輪廻のラグランジェ』のエンディング主題歌「Hello!」でもタッグを組んだ北川勝利によるもので、元気なブラスロック風の楽曲だ。「素直」はピアノとストリングスを用いた正統派バラード。たっぷりと情感を湛えたボーカルと、華麗なコード進行が聴きどころだ。編曲とピアノ演奏で窪田ミナが参加している。中島愛本人によるメッセージカードも添えられており、テーマは「あなたと出逢って世界が変わった」というもの。『琴浦さん』の内容ともマッチしており、いずれ番組中に挿入歌として登場する機会があるかもしれない。
TV『琴浦さん』オープニング主題歌「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」/中島愛
【初回限定盤】 VTZL-53/1,890円/フライングドッグ
発売中
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TV『琴浦さん』オープニング主題歌「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」/中島愛
【通常盤】VTCL-35144/1,365円/フライングドッグ
発売中
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エンディング主題歌「希望の花」を歌うのは千菅春香。先述のとおり「ミス・マクロス30コンテスト」の受賞者だ。まだ彼女についての情報は少ないが、岩手県出身の21歳で現在大学生とのこと。僕はすでに「プラネット・クレイドル」「希望の花」ともにフルコーラス版を試聴しているが、新人ながら歌唱力は堂々たるもので、声質も明るく華やかでアニメファンにも受け入れられるのではないか。時折、歌い回しや声の響きに坂本真綾やMay’nの影響が感じられ、フライングドッグのレーベルカラーに合うアーティストだと思う。
『琴浦さん』1話のエンディング映像では曲名のみが表示され、歌手や作曲者の名前はなし。2話では「春香」とだけクレジット。3話でようやく正規のアーティスト表記がなされるという演出が行われた。もちろん「琴浦春香役の金元寿子が歌っているのか?」というミスリードを誘い、視聴者に興味を抱かせる狙いもあったのだろう。作詞作曲はシンガーソングライターの川嶋あいの手によるもの。曲調はピアノとストリングを軸にしたラブバラードで、「あなたに出逢って私は救われた」という直球のメッセージは、先述の「素直」と同じく琴浦春香のキャラクター性をそのまま体現している。
この記事が掲載される時点でアニメ本編は第4話まで放映されている。いまのところ「つるぺた」「ESP研のテーマ」は使用されていないが、今後の話数でエンディング主題歌として用いられる事が決まっているそうだ。ただ、「つるぺた」は楽曲タイトルからおおよその内容は察しがつく(琴浦春香は胸が小さいことがコンプレックスなのだ)。「ESP研のテーマ」は、歌唱者が金元寿子、福島潤、花澤香菜、下野紘、久保ユリカという、ESP研フルメンバーになると公表されている。そしてCDの最後には「ESP研究会~定例ミーティング~」と題した、出演者による座談会が収録される予定だ。ED3種とトーク入りなのだから、シングル盤としては実に盛りだくさんの内容である。
そして初回限定盤に付属するDVDには「希望の花」オリジナルアニメPVと共に、スペシャルショートアニメ「春香の部屋」(全6話)が収録される。これは本編に先行して、昨年12月からYouTubeで配信された映像だ。現在でも視聴は可能だが、まとめてディスクで持っておきたいのがファン心理というもの。嬉しい特典と言えるのではないだろうか。(和田穣)
TV『琴浦さん』エンディングテーマ集「希望の花とつるぺたとESP研のテーマ」
/千菅春香と琴浦春香(CV:金元寿子)とESP研究会
【初回限定盤】 VTZL-61/1,890円/フライングドッグ
3月20日発売予定
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TV『琴浦さん』エンディングテーマ集「希望の花とつるぺたとESP研のテーマ」
/千菅春香と琴浦春香(CV:金元寿子)とESP研究会
【通常盤】VTCL-35148/1,365円/フライングドッグ
3月20日発売予定
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