ANIME NEWS

アニメ音楽丸かじり(100)ついに100回達成!皆さんのおかげです!

 2009年1月に開始したこの連載も、今回で遂に100回! 足掛け4年での達成となった。アニメスタイル編集部の皆様、いつも協力してくださるレコード会社の関係各位、そして今これを読んでくださっている読者の方々に御礼申し上げたい。連載開始時にはまさかこれほど長く続くとは思っていなかったので、筆者が一番驚いている。

 さて、100回だからと言って特に肩肘は張らずに、いつもどおり新譜の情報を中心にお伝えしていこうと思う。2013年、僕が最初に買ったのは1月9日リリースのこのCD。StylipSの結成1周年を記念した「StylipS Anniversary Disc Step One!!」である。CDの内容は、先ごろついにAT-Xとネット配信で公開された『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』第13話の主題歌「TSU・BA・SA」と、既存曲のリミックスおよびソロバージョンで構成されている。呼びものは同梱されたBD・DVDで、昨年9月にZepp Tokyoで行われた無料ライブイベント「Crazy Romance!!」の全曲を収録している。激しいダンスパフォーマンスが売り物のユニットだけに、ずっと映像作品を待ち望んでいたのだ。
 2012年のアニソン界隈を振り返ると、ゆいかおり、StylipS、三澤紗千香らスタイルキューブ勢の活躍を挙げぬわけにはいかない。揃って「Animelo Summer Live2012 -INFINITY∞-」に出演を果たしたのも象徴的な出来事だった(その「アニサマ2012」のBlu-ray&DVDが3月27日に発売決定。詳細は今後の記事で追っていきたい)。過去にも様々なタイプのアイドル声優が現れたが、StylipSのようにダンスパフォーマンスを売りにしたユニットが成功したのは初めてではないだろうか。彼女たちが出演するイベントに行くと、高校生から大学生くらいの若い世代(つまりメンバーと同年代)を中心に、熱狂的な支持を集めているのが分かる。恐らくは今後のシーンの潮流を変えていく存在になるだろう。具体的に言うと、J-POPと同様に「踊れない者は不利になる」という現象がアニソン界でも起きていくはずだ。

StylipS Anniversary Disc Step One!!

【初回限定盤】LACA-35267/4,800円/ランティス
発売中
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StylipS Anniversary Disc Step One!!

【通常盤】LACA-15267/3,500円/ランティス
発売中
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 1月23日の『少女革命ウテナ』Blu-ray BOX上巻の発売に合わせて、2008年8月にリリースされた10枚組CD-BOXが再プレスされる。しばらく入手困難になっていたので、ファンにとっては嬉しいニュースだ。再プレス盤のリリースも同じく1月23日の予定。あくまで再プレスであり、内容面での変更はないと思われるので、すでに入手済みの方は注意していただきたい。
 CD-BOXの内容は、TVシリーズのサントラ盤「絶対進化革命前夜」「バーチャルスター発生学」「体内時計都市オルロイ」の3枚(しかし改めて見ると凄いネーミングセンスだ)、J・A・シーザーの合唱アルバム「天地創造すなわち光」、劇場版サウンドトラック「アドゥレセンス・ラッシュ」、ドラマCD+ボーカル曲+未発表BGMをまとめた2枚セット「さあ、私とエンゲージして…」、劇場化記念CD「麗人ニルヴァーナ来駕~ボクのアンドロギュヌス~」「薔薇卵蘇生録ソフィア~中世よ甦れ!~」の2作、そして特典ディスク「絶対運命舞踏会-UTENA in the CLUB-」による計10枚組のボリュームだ。いずれも2008年のBOX発売時にリマスターされている。
 特筆すべきは120ページにのぼる解説書で、充実した本編カット集はもちろんのこと、幾原監督と音楽担当の光宗信吉のインタビュー、楽曲解説、そして音楽発注用のメニューまで載っている。『ウテナ』マニアにはたまらない仕様となっているのだ。
 価格は1万円を超え決して安い買い物ではないが、今回の再プレスは数量限定とアナウンスされている。興味のある方は早めにチェックしておくべきだろう。

少女革命ウテナ コンプリートCD-BOX

KICA-920~928/12,600円/キングレコード
発売中(1月23日再発)
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 いよいよ2月1日から、黄金時代篇の完結となる『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』 が劇場公開される。当初の2012年内に3部作公開という予定からは遅れたものの、第1作『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』公開から1年以内には間に合った。これだけ密度の濃い映画3本を1年強で送り出したスタッフには、賞賛が与えられるべきだろう。これまでの2作で描かれてきたガッツと「鷹の団」の英雄譚は、この第3作での絶望と死をより鮮やかにするためのもの。ここまで作品を追いかけてきたファンなら、見逃す手はないだろう。
 さて、劇場公開の2日前となる1月30日には早くもサントラ盤が登場する。音楽は引き続き鷺巣詩郎が担当。全21曲収録予定で76分の内容だ。いまのところ残念ながらサンプル盤を入手できていないのだが、予告編を見る限りでは今回も怒濤の大音響。咆吼する合唱隊も健在だ。ティンパニをフィーチャーした劇場作品らしい派手な音づくりと、レクイエムのような終末感あふれるコーラスの響きは近年の鷺巣詩郎が得意とするスタイル。黄金時代篇の壮絶なクライマックス「蝕」を描き出すのにふさわしい。
 ちなみに、昨年公開されて大ヒットした『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』でも比較的近い手法が随所に用いられているので、聞き比べてみるのもいいだろう。昨年末の『エヴァQ』サントラの紹介記事でも書いたのだが、両作とも収録はロンドンAir StudioのLyndhurst Hallで行われており、制作時期も近い。いわば兄弟作のような関係なのだ。(和田穣)

映画『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』オリジナル・サウンドトラック(音楽:鷺巣詩郎)

VPCG-84937/2,800円/バップ
1月30日発売予定
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