東京・雑司ヶ谷の商店街で、古本のフリーマーケット「鬼子母神通り みちくさ市」が定期的に開催されている。昨日、そのみちくさ市で「テレビジョンエイジ」を８冊購入した。「テレビジョンエイジ」は海外テレビドラマの専門雑誌で、僕が購入したのは1971年から1972年の号だ。
20年前のことになる。僕は「Newtype」1995年５月号で「声優ブーム」についての特集記事を担当した。1960年の「第１次声優ブーム」、1970年代後半の「第２次声優ブーム」、当時の「第３次声優ブーム」を概観する記事で、それぞれのブームの関係者に話をうかがっている。
僕はコアな声優ファンではないが、第２次声優ブームの盛り上がりは、当時、肌で感じているので、自信をもって原稿を書くことができる。だが、第１次声優ブームは生まれた頃のことなので、少々心もとない。資料を探索している中で、何人かの方に「テレビジョンエイジに、定期的に声優の記事が載っていた」と教えていただいた。それは是非とも読んでみたい。古本屋にあたってみたが、残念なことに、その時には見つけることができなかった。インターネットが一般的なものとなる直前のことであり、ネットオークションはまだなかったのだ。「Newtype」のその記事を見直してみたところ、声優ブーム年表のところに「テレビジョンエイジ」の表紙が載っている。現物は手に入らなかったが、表紙の写真だけ見つかったのかもしれない。
記事は取材と他の資料をもとに書き上げることができたのだが、その後もずっと「テレビジョンエイジ」のことがひっかかっていた。積極的に探していたわけではないが、機会があったら読んでみたいと思い続けていた。みちくさ市で売られていた「テレビジョンエイジ」は各号300円だった。この金額なら、まとめ買いしても問題ない。売られていたものを全て購入した。20年めにして、ようやく目を通す機会がめぐってきたわけだ。
早速購入した「テレビジョンエイジ」をチェックしてみたところ、各号に２ページずつ、声優関連の連載コーナーがあった。1971年度分は「外画録音スタジオめぐりある記」のタイトルで、各作品のアテレコレポート。1972年度分は「声の履歴書」のタイトルで各号２人ずつの声優インタビューを掲載。登場しているのは若山弦蔵、水城蘭子、羽佐間道夫、池田昌子、山田康雄、武藤礼子といった方々だ。
連載コーナーにも声優記事があった。1972年１月号の巻頭特集は「新春彩外画立役者口上（スター＆声優の新春メッセージ）」だ。外画の俳優については、写真と彼らから読者へのコメントが、声優については、サイン色紙とコメントが掲載されている。声優記事のチェックが目的だったのだが、むしろ、大勢の外画スターから新春のコメントをとっているのに感心してしまった。
1972年７月号には「えーいらっしゃい 落狂寄席はこちらだよ！」のタイトルで俳協主催の「落狂寄席」のレポートを掲載。記事によれば、落狂寄席の中心メンバーは羽佐間道夫、近石真介、田中信夫らだそうだ。記事には落語家となった声優たちの写真も載っている。羽佐間さんの写真のキャプションは「プロデューサー、羽佐間のミッキー」だ。プロデューサーと書かれているのは、彼が落狂寄席で制作を担当していたから。ミッキーは羽佐間さんの愛称だ。
読者ページには、声優ファンからのお便りも掲載されていた。ああ、20年前にこれらの「テレビジョンエイジ」があれば、もっと自信たっぷりに原稿が書けたのになあ。第１次声優ブームの中心となった作品は、1966年から1970年に日本で放映された「0011ナポレオン・ソロ」である。その頃の記事も読んでみたい。
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