『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』は面白い作品だった。最初はあまり入れ込んでなかったのだが、観ているうちに目が離せなくなった。演出のキレもよく、大沼心監督の代表作になるだろうと思う。
主人公のもこっちは他人とコミュニケーションをとるのが苦手であり、友達はほとんどいない。高校に入ってからの2ヶ月間で、一度も同級生と話をしなかったくらいだ。自意識が強く、思い込みが激しい。アニメやゲームも好きだ。『ワタモテ』はもこっちの痛さを執拗に描きこむ作品だった。
他の視聴者はどんな想いで『ワタモテ』を観ていたのだろうか。「痛くて観ていられない」という人もいるだろう。その気持ちもよくわかる。僕はあそこまでコミュニケーション下手ではなかったし、あそこまでネガティブでもなかったが、もこっちに自分の学生時代の痛かった記憶を重ねて観ていた。そして、もこっちの痛さを観ることには、不思議なカタルシスがあった。そのカタルシスが僕にとっての『ワタモテ』の魅力だった。僕が一番好きだったのは、もこっちが理想の部活を妄想するパートで、あれは特に痛くて、切なくて、それがよかった。
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