第3話 顔が2つたぁナマイキな!!
●宿敵ヴィラルの初登場編。前半ではカミナと水辺で接近戦を繰り広げ、後半ではガンメン「エンキ」に乗ってグレンと対決する。グレンとラガンが合体して「グレンラガン」となるのも今回が初。初合体シーンの間抜けな画が素晴らしい。絵コンテは副監督の大塚雅彦が担当。制作協力はXEBECで、原画スタッフの顔ぶれにも注目だ。
脚本/中島かずき|絵コンテ/大塚雅彦|演出/孫承希|作画監督/近岡直、石原満|原画/江面久、羽原信義、高見明男、福元敬子、平牧大輔、岡勇一、浅賀和行、石川健朝、北田勝彦、乘田拓茂、遠藤栄一、中村悟、世良悠子、沓澤洋子、小林千鶴、押山清高、菊田幸一、森久司|アニメーション協力/XEBEC
取材日/2007年11月9日、2007年12月11日、2008年1月16日、2008年2月20日 | 取材場所/GAINAX | 取材/小黒祐一郎、岡本敦史 | 構成/岡本敦史
初出掲載/2008年1月8日
今石 3話はXEBEC回ですね。
大塚 結構、ポイントの回がグロスに出ている気がするけど、要はポイントの回が凄く多いんだよね。
今石 うん。どれも大事な回だし、難しさで言ったら2話の方が難しいんですよ。2話は初出のものもたくさんあるし、設定のあやふやなリットナーの村もちゃんと描かなきゃいけない(笑)。それに人間対ガンメンの話だから、レイアウトを押さえるのが大変なんですよね。大きさの対比が分かってないと描けない。それに比べれば3話の方が外に撒きやすいだろう、と。3話はヴィラルがかっこよければOKだし、バトルがかっこよければOKっていう、一直線の話だから。監督チェックと総作監チェックを入れて、なんとかする方向にして……と思ってましたけど、実際にはXEBECの方達が凄くいい仕事をしてくれたので、楽させてもらいました。
大塚 3話は助かったねえ。
今石 うん。ありがたいですよ、あんなにちゃんとやっていただいて。
── 大塚さんはコンテを書かれていかがでしたか?
大塚 『グレンラガン』の中では、これが初コンテになるのか。3話はヨーコ視点の話なのかなと思っていたので、それを意識してやっておこうと考えていました。アクションとかは監督が直すだろうから、手を抜いたわけじゃないですけど、わりとあっさり流した気がします。ドンパチが始まったら今石君に任せて(笑)、自分はキャラだけ押さえておけばいいかなと思ってました。
今石 大雑把な感じだけど、1話はシモンの話で、2話はカミナの話で、3話はヨーコの話にしよう、というふうに捉えてたんですよね。
大塚 後半、グレンとラガンが合体する時、最初に頭をガン! って突っ込むところで、「ちょっと間抜けな感じにしてくれ」というリクエストがあって、一応そういうふうに描いたんです。そしたら監督にそのままスルーされちゃって。自分の画の下手な感じが、そのまま画面に残ってる(苦笑)。
今石 そこはスルーです(笑)。
大塚 まあ、面白いからいいんですけど、ちょっとフクザツな気持ちです。
今石 なんというか、なまじっか画で商売している人間には、ああいう感じは狙っても描けないんですよ(笑)。
大塚 あと、画面分割を入れたいと思っていて。ロボットアニメというと、画面分割するイメージがあって。
今石 そうか、3話は結構多いんですよね。
大塚 あそこで初めて通信が使えるようになるから、それがあると画面分割がやりやすい。
── 3話は作監の方が2人いますね。
今石 最初は『グレンラガン』のモットーのひとつとして、若手育成という使命もあったんです。だんだんうやむやになっていったけど(苦笑)。XEBECにもそういう事を言っていたんですね。だからBパートはベテランの石原(満)さんが押さえつつ、Aパートは近岡(直)さんという新人の方がやっています。ほぼ初作監だったんじゃないかな。あと、コンテもA・Bパート両方にアクションが入っている無謀きわまりない内容だったので(笑)、それも考慮に入っていたのかな。
── XEBECの作画陣はいかがでしたか。
今石 『フリクリ』でプロデューサーをやっていた、元Production I.Gで今はXEBECにいる西沢(正智)さんという方が、3話で進行をやってくれたんですよ。だから作画メンバーが妙に豪華なんです(笑)。高見明男さん、石原満さんがいて、江面久さんが60カットぐらいやってくれたんだっけ。制作さんが「今日は全体で何カット上がりました」という進行表を持ってくるんですけど、作打ちするにつれて原画マンの名前が増えていくんです。で、ある日そこに「羽原」と書いてあって。
大塚 ハハハ(笑)。
今石 「オイッ! この人の下の名前を教えろ!」と制作に詰め寄ったら、「信義」だと判って「ああっ……最高です」と(笑)。残念ながら1原のみでしたけど。
── 葦プロファンとしては、自分の監督してるロボットアニメに羽原さんが参加してくれるなんて! みたいな。
今石 そりゃもう。で、「カット番号を教えろ!」ってまた詰め寄ったら、ちゃんと合体直後のところだったので「バッチリです!」と(笑)。普通の会話シーンなんか振ってたら、今から変えなきゃ! って思ってましたからね。
一同 (笑)
今石 ちょうど画面分割のところですよ。僕、羽原さんの描く画面分割がまた好きで(笑)。1枚白いのがピカッと入ってから、パパパパッと画面分割になるというのを、ちゃんとやっていてくれて嬉しかったです。羽原さんの描くグレンラガンは、首のところが異常に長いんですよ(笑)。「こんなパーツねーよ」みたいなパーツが描いてあって。さすが『マシンロボ(クロノスの大逆襲)』の人だ、ないパーツ描いてきたぞ、と(笑)。
大塚 グレンラガン初登場シーンからそれだものね(笑)。
今石 江面さんも巧かったですしね。
── 江面さんはやっぱりエフェクトの絡むところを主に描かれてるんですか?
今石 そうですね。何ヶ所かに分かれて、アクションシーンばっかりやってもらいました。Bパートのエンキが落ちてくるあたりとか、羽原さんのあとの、技が決まって大爆発のあたりとか。江面さんがリットナーの村人を描くと、全員が骨太なオッサンになるのが面白かったですね(笑)。
── カミナとヴィラルが戦う時に、カミナがやたら長い刀を抜くんだけど全然抜き終わらないというのは、どなたのアイディアなんですか?
今石 あれは僕が最初にこだわっていたところなんですよ。すっごく長い刀にしよう、と。キャラ表を作っている時も「とにかく長く、抜けないぐらい長く」と言っていて。
大塚 あの場面はレイアウトチェックで足したんだっけ?
今石 いや、コンテで足したんじゃなかったかな。あれだけ長い尺を使って抜いてるのに、そのカットの中で抜き終わらないという(笑)。でも、それがやれたのはこの場面だけなんですよね。本当は1話で村長から刀を奪う時も、もっと長く見せたかったんだけど、それやってると話が全然進まなくなるから(笑)。極端に長い武器を持っている男というイメージでしたね、カミナは。
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●関連リンク
『天元突破グレンラガン』ポータルサイト
http://www.gurren-lagann.net/