前回の続き、『コップクラフト』の各話。2話は1話の続き、当たり前です。マトバが自宅にティラナを連れていく〜マトバの「おやすみ」までのくだりが、自分的に描いて気に入ってたところだったりします。原作を読んだ時からティラナとマトバって、自分の初監督作『BLACK CAT』のイヴとスヴェンにダブってたんですが、『コップクラフト』2話は『BLACK CAT』とは違った角度から見た「オジサンと少女」の関係を楽しんで描きました。公園のベンチでマフラーを巻いて震えてる負けん気なティラナの表情と白い息、作画もいい感じに上がったと思います。マトバの家の玄関から自室までのくだりでの、1話の同ポジ(レイアウト・背景の兼用)の多用はもちろん意図的で、日常感を出すための常套でよくある演出。手抜きとかではありません。同ポジの繰り返しに一部分の変化(ティラナ)を加えることで、そこを立たせるのが目的ってヤツ。
3話、はっきり言って最初の作画外撒き話数。今、あらゆるアニメ制作現場で作画監督が足りてません。最初から先方より「作監が半分しか入れられません」と泣きが入っている場合も少なくありません。それでもこちらはお願いせざるをえないわけですから、今回も恨むどころか受けていただけただけでも感謝しかないのです。ただ「直させていただきます」と。その直しに社内のスタッフを駆り出して、自分も陣頭指揮に当たったり、原画を描いたり直したりとやり倒し、キャラデの木村(博美)さんにもティラナなどをガッツリ直してもらい、とにかくラストの動仕素材のデジタル修正に至るまで相当苦労した話数。あと、いわゆる「パンツを見せるかどうか問題」は賀東(招二)さん村田(蓮爾)さんと「無理に重力に逆らってまで隠すよりは、アクションの中で自然に見えるのはOK」とホン読みの時から決めてあったし、木村さんがその設定を描かれていたので、使わぬわけにはいかないので見せました。BD版ではもう少し見えるカットが増えてると思います。エルバジとのチャンバラはなんでもあり! な自由な作画で遊び心で描きました。
で、4話はまた社内話数。1、2話とこの4話あたりまでは、自分が別会社の『ユリシーズ』でボロボロになってた時で、ウチの社内の若手らが本当によく頑張ってくれて嬉しかったです! そう、観た方々が多少驚かれたであろう、A・Bパートで話を割ったくだり。ことの成り行きは賀東さんより「3話で収めるのは無理そうで、かと言って4話まるまるはもたない(汗)」の一言からです。ホン読みでそれを打ち明けられて誰からともなく「じゃ最初の章は3.5話で切りましょうか」と。俺も「そのほうがどこで話の区切りがつくか分からなくなって面白い! 残りのページ数からオチが先読みできちゃう間の抜けた推理小説みたいなのを回避できるし!」って感じで決まりました。じゃ、続きはまた次週。