COLUMN

第466回 クリードと修正コンテ

「クリード チャンプを継ぐ男」が最高!!
(製作/シルベスター・スタローン 監督・脚本/ライアン・クーグラー 2015年製作)

 本当は劇場で観たかったんですが、コンテが忙しくて身動きがとれず、『ベルセルク』関係者まわりより「『クリード』良いんですよ!」「監督、『クリード』観てください!」と猛烈にオススメされる中、必死にコンテ用紙に向かってたら、いつの間にか上映が終了してしまい、Blu-rayで観るハメになってしまいました。でも皆さん仰るとおり「最高! 凄くカッコいい映画!!」でした。「ロッキー・ザ・ファイナル」(監督・脚本/シルベスター・スタローン 2006年製作)では無理矢理カムバックしたロッキーがカッコよかったのですが、今回は「若者を指導するジイサン」! こっちもやっぱりカッコいい!! 下手すると自身のファイトシーンより。そう! 今回トレーニング〜ラストファイトまでの演出が、今までの「ロッキー」シリーズの構成を踏まえつつ、まったく新しい画で素晴らしい! バイク軍団とランニングするシーン、特に階段(もしくは山)に上るわけでもないのにメチャクチャ高揚感あるし、ボクシングシーンもリングにカメラが入っていったと思うと、リングサイドにカメラを振るわ血が飛び散るわ、これも「ロッキー」シリーズとは違う撮り方なのに、同様の感動があるんです! そして映画の最後でちゃんと階段を「1歩ずつ、1歩ずつ!」上り、一貫したテーマを画で見せてて「あ、なるほど! ここで使うか〜」と。いやあ、これ劇場で観たらもっと感動するんだろうな。
 で、まあ自分も社内の新人・若手を指導してると(少々強引にアニメ話へ)、「クリード」におけるロッキーの方にも入り込めたりします。俺もこの歳になると、人間1人分の人生で成せる事なんてたかが知れてて、

自分の持ってる技術を伝えて、後進を育てる事が
作品を作るのと同じくらい大切である!

と心底思えるようになりました。だからウチの制作(デスク&進行)には、他社にありがちな「電話かけまくって少しでもいいアニメーターをつかまえてこい! それこそができる制作の第一条件だ」的な教え方はしてません。他所のアニメーターをあてにする前に「社内の新人をどう使うか?」を先に考えるように! と教えています(で、それで足りなければ外の人を頼る)。会社って

ハイクオリティな作品を作る事も重要だけど、
同時に「その作品で何人スタッフが育つか?」がもっと大事!

なんです、やっぱり。
 というわけで、現在放映中の『うさかめ』は、前に話した村田(チーフ演出)や菅原・宮村(キャラデ・作監)だけでなく、作画もコンテも新人ばかりでやってます。例えばコンテも『てーきゅう』同様自分で描くのもありだけど(実際は『ベルセルク』のコンテでカツカツなので今となっては現実味はなかった話かもですが)、ここは俺自身も

「新人のコンテをチェック(修正)して使えるものにする」
勉強をしよう!

と考え直し、「コンテ描きたい人、手挙げて〜」と全部一気にバババッ! と割り振ったんです。そして描いた本人に指差しで教えつつ直して完成コンテを作ってます。

これはこれで楽しく監督してます! 是非観てください!!