COLUMN

60 『劇場版 響け!ユーフォニアム』を観た

 『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』が公開された。そして、劇場版の公開とともに、今年の10月からTVシリーズ第2期がスタートする事が発表になった。

 今回の劇場版はTVシリーズ第1期の内容を巧みにまとめた作品で、総集編ではあるが、ひとつの物語として破綻のないものとしてまとめられている。むしろ、顧問となった滝昇の指導により、サンフェスに向けて北宇治高校吹奏楽部の演奏が上達していく過程はTVシリーズよりも分かりやすくなったくらいだ。新作パートもあり、その最大の見どころは、演奏が増量されたサンフェスだろう。
 1本の劇場作品としてまとめるためには仕方がないのだが、物足りないと感じたところもあった。3年生で、久美子の幼なじみの斎藤葵関連のドラマがなくなった事もあり、群像劇としての色が薄まっている。久美子と麗奈の関係もあっさりとしたものになった印象だ。劇場版を観て、改めてTVシリーズを観返したいと思った。また、TVシリーズの再編集ではなく、同じスタッフが原作を一から映像化したらどんな作品になっただろうかという妄想もした。同じ流れでまるで違った映画になっただろうと思う。
 
 TVシリーズ未見の観客でも楽しめる構成で、今までのファンが「もっと観たい」と思う内容となったのは、これからTVシリーズ第2期が始まるタイトルの劇場版としては成功だと言えるはずだ。
 僕からTVシリーズ未見の方達に伝えたいのは、この劇場版に関しては、予習等をしないで劇場に足を運んでも大丈夫だという事。劇場版を観て気に入ったなら、是非TVシリーズも鑑賞してもらいたいという事だ。TVシリーズには、TVシリーズだけの見どころがたっぷりとある。

 映像についても触れておこう。『響け!ユーフォニアム』の見どころのひとつが撮影である。「アニメスタイル007」の特集でも撮影について、たっぷりとページを割いた。TVシリーズではやりすぎなくらいだった撮影が、スクリーンでの鑑賞では意外と普通に感じられた。自然に観られたという事は『響け!ユーフォニアム』がTVシリーズで、劇場レベルの作り込みをしていたという事なのかもしれない。

(2016/04/25)

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