COLUMN

第868回 自分が病的に嫌うこと

 今さらな話題を。以前、社内のとあるスタッフから「僕は病的なまでに、人から嫌われたくないんですよ(苦笑)」と告白されたことがあります。それで言うなら今回の話、

板垣は、病的なまでに“勝負・競争・奪い合いが嫌い”!!!

ということになります。もしかするとこれ、以前も一度話題にしたかも?
 つまり、弊社——ミルパンセについてちょくちょくネット界隈で目にする「スタッフが足りて無くて大変そう」とか「原画だけでなく背景まで描いて、板垣無双」とか。まあ、例え揶揄の対象でも話題にされることはプラスに捉える性分なので、腹立ててるのではないのです。ただ、少々勘違いされてるかもしれないと思い、ここで改めてハッキリ言っておきますが、スタッフ(人手)が集まらないのではなくて、“無理に集めようとしていない”んです。ってとこまでは以前も語ったと思います。ただ、ここからは俺の“主義”の話。
 スタッフ不足を揶揄される方からすると、「フリーを連れてくれば~」や「グロス先探せば~」などと仰るのでしょうが、前述の俺の性分から、

業界全体が人手不足なのにそれを会社同士で奪い合う、スタッフ争奪戦が大嫌い!

なんです。どの会社(スタジオ)もスタッフ欲しがっているなら、俺はそれから離脱して、なるべく社内のみで作れる方法を編み出し、知恵で乗り切ることを考えます! 具体的には社内で全部回せるコンテに描き換えたり、ラフ原画と第2原画に2回も手を入れるのではなく、作監修正は俺が指示した部分にのみ! できるだけ1回で仕留める! とか。ま、それでも巧くいかなかったら、最悪「自分が描けばいいか」が、板垣だらけのスタッフロールになる訳~。
 “争い嫌い・勝負嫌い”はアニメに限らず、今までの板垣人生において大きな基軸(?)になっています。例えば、我々世代ならなんと言っても受験。第2次ベビーブームの団塊ジュニア世代、進学校だったせいか周りの同級生は血眼で勉強していました。半分以上の人が浪人するのが分かっていた、受験戦争! やりたい事こと(アニメ)がすでに見つかっていた自分は「席を空けた方がいいでしょ」と戦線離脱。芸大受験という方向も止めました。
 お金もそう。自分が金持ちになると、その反面誰かが貧乏になる──と。実際はそんなことないかも知れないけれど、そう想像してしまうのが俺……。

何事においても、自分が勝つということは、誰かが負ける訳で、それが嫌い!

 別にカッコイイとか優しいと思われたい訳ではありません! カッコつけてるどころか、自分ではただの意気地無しと思っていますから。ただ、会社の取締役としては己の主義どうこうは置いておいて、スタッフ皆を勝ちに導かなきゃならないと、最近は思っています。

 では、スタッフ育成に戻ります!