COLUMN

第839回 面接と採用と『沖ツラ』

2月。毎年この時期、ウチの会社ではまだまだ採用のための面接やってます!

 そして相変わらず、未だに実技試験はやっていません。ポートフォリオと面接のみ。ミルパンセの新入社員採用までの手順は至って簡単。

• ポートフォリオを送る。→作品と履歴書を見てOKなら面接、NGなら不採用通知を送る。
• 板垣が面接。→後ほど合否の通知を送る(電話かメール)。

これだけです。
 繰り返しますが実技試験は一度もやったことがありません。なぜなら動画の中割りや原画のトレスのような露骨に“即戦力求む!”的試験で合否を決めるとなると、アニメ専門学校卒が圧倒的に有利で高・大卒は不利だし、そもそも入社してからプロの作画を指導するのが当たり前だと板垣は考えているからです。少なくとも自分を育ててくれたテレコム(・アニメーションフィルム)はそうでしたから。そして、ただの“絵心の有無”を見極めるだけならポートフォリオで十分かと。
 あと、ちゃんとした試験課題を作って「合格!」と太鼓判を押したとて辞める人は辞めていくもので、残留率には何にも寄与しません。それは今まで自分が渡り歩いた幾つかの会社(スタジオ)における新人採用試験と結果を見てきて知っていますから。それこそ「○○○に入れれば一生幸せ!」とか「スタジオ●●●に入社できて辞めていく人の気持ちが分からない!?」くらいのことを言ってた新人が1~2年で「原画になったのでフリーになりました~」と簡単に退社——何人いたことか……。
 で、じゃあ「ポートフォリオで何(どこ)を見るか?」を、あくまで俺基準で言うと、まず申し訳ないのですが「模写」は何枚描いてあっても、採点対象にはなりません。むしろ自前の画(皆さんが“オリジナル”と表記してくる画)との“落差”を計る基準になるかと思います。そして、その自前の画が、

楽しそうに描かれているか? そして、描くのを面倒臭がっていないか?

を、見ていると思います。もちろん、巧い・下手も重要ですが、個人的な実感としては、パース・デッサンは理解してても画を描くこと自体が苦痛・面倒臭いという方は、少なくとも作画(手描き)のアニメーターには不向きかと。昔、大塚(康生)さんに教わっていた頃、宮﨑駿監督についてこう仰ったのを覚えています。

僕が宮﨑(の画)を初めて見た時、「あ、僕よりたくさん画を描いてる!」と思った!

と。巧い・下手ではなく、自分より10歳若いのに“自分以上の量、画をすでに描いてきている”ことのほうを重視していたのです。実際、メイキング映像などで宮﨑監督が喋りながら、その瞬間脳内に思い浮かぶモノを、恐ろしいほどの速さで画にしていく様が観られますよね? 「あ、大塚さんが言ってたのはコレか!」と。アニメーターにとって「画を描く」とは「語る」こと! つまり、「語る」のが面倒な人はアニメーターにはなれない思う訳です(あくまで私見)。
 で、さらに面接はと言うと、履歴書とポートフォリオを再度見直しつつ、質疑応答。それと、ウチ(ミルパンセ)の就業規則。その後、アニメ業界に関する疑問・質問(時事ネタも含む)などに、自分の知る限りお答えするくらい?
 それに対し、控えめに会社概要を確認するだけでお帰りになる人もいらっしゃれば、ざっくばらんに“歓談”のようになる人、中には「企画書見てください!」と本題と関係ないことを持ち込んで来られる方も10年間で1~2人。

 こんな感じで、今年も新入社員がやって来ます!

 お、そろそろ時間なので締めは『沖ツラ』!

『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』、ティザーPVが公開されました!

是非、観てください。追って続報をお待ちください!
鬼頭明里さんもファイルーズあいさんも、前作『いせれべ』から引き続き。お二人共、沖縄方言巧い!!