COLUMN

第831回 コンテという仕事

現在、社内スタッフの画(絵)コンテの面倒を見ています!

 前作『いせれべ』に続き、社内に於ける“コンテマンの育成”です。つまり、『蜘蛛ですが、なにか?』までのように自分が率先して全話のコンテを切る(描く)のではなく、社内の演出志望者に先ずコンテを走らせて、後でチェック(という名の全面的修正)を俺の方がする。「あ、ここはこのまま使える!」とか「こっちのシーンは描き直すか」とか、時には「ほぼ1本丸々描き直しじゃ——!」と格闘中。
 ただ、“自分好みに直す”のではありません。「貴方のカット割りだと、視聴者に上手く伝わらないよ」てな箇所を分かりやすく、さらに“面白くなるように”描き直すのです。
 勿論チェック後、作業者に“修正した理由”をちゃんと説明して戻します。それは自分の主義として、

いくら監督だからと言って、ただ“気に入らなかった”から~だけで、作業者の仕事に手を加えるのは卑怯だ!

という考えがあるからです。それだったら最初から己で描けって話だし、もし俺の方がそんな適当に修正される側だったら、到底納得できないと思うからです。ちなみにコンテに限らず、原画チェックの際も同様の理由から、原画マンに対して“何処がおかしい?”“直した理由”“アドバイス”をちゃんと説明するよう心掛けています。
 逆の話で、コンテをただ無修正で通すだけなら、「監督」を名乗ってはいけない! とも思っています。だから、個人的な理想としては全体の2~3割手を入れたくらいで使える画コンテを上げて頂けるのがベストかと! そのコンテ戻し説明の際、“演出処理”の打ち合わせを兼ねます。
 あ! あと、画コンテに関して現状自分は、

費用対効果の高いカット割りと、原画マンが描きやすいアングルを優先——“止める所はバシッと止めて”、動くところは丁寧に動かす!

ことを必須にしてチェック・修正しており、コンテマンたちにも「取り敢えず、今は!」と説得。

つまり、
働き方改革・8時間勤務・社員雇用・時給換算による固定給、諸々の理由で、今は“社内”且つ“予算内”で作り切れる内容にするため、画コンテ段階で徹底的に計算し尽くす!

わけです。ミルパンセ以前の演出・監督作品みたいに「俺がやるなら7~8000枚使って動かしまくる!」はハッキリやめたんです! それで「板垣は手抜きコンテ」と言うなら、勝手に言えばいいでしょう。こちとら、制作現場の総合監督として、

まず、現状の戦力・予算で戦いに挑み、各セクション・役職のギャラ見直しが何より必須! 非難したい人はすればいい! 批判も悪評も全て俺が受ける!

覚悟を持って取り組んでおります。前作『いせれべ(異世界でチート能力[スキル]を手にした俺は、現実世界をも無双する)』もその考えでコンテ切ってて、それはある一定の効果はあったかと。故に“新アニメ化”も決定したのですから。

この際、ハッキリ言っておきます!今の板垣はフリーや他社の巨匠監督・演出家にゲスト的位置でコンテを依頼するつもり、金輪際ありません!

結局、今現在のウチの作画リソースに合ったコンテを社内で作って、クオリティーを安定させることが最優先。そして、皆が巧くなってきたら、それから各スタッフの給料から計算して、徐々に“動きまくる”本来のアニメーションらしいアニメーションを目指せばいい、と。
そして、この後も(現状決まっている仕事3~4本は)こんな感じで原画マンだけでなく、“新人演出家・監督”も育成しつつ、板垣は総監督に徹する予定です! その間に、“面白いコンテが切れる演出家”や“動きが描けるアニメーター”が育って行くことを祈りつつ。

 で、明日はまたアフレコです!