COLUMN

第830回 どうやらどこも大変なようです(汗)!

早いもので、今年もあと1ヶ月!

 現在、『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』こと『沖ツラ』のコンテ作業が折り返し地点ほどで、アフレコが始まったくらいのトコです。音響も始まり、毎度お馴染みの1週間単位の監督ルーチンに突入。
 で、最近ますます業界全体が大変みたいです。と言うのは、今年も俺の個人ケータイ(スマホ)に原画やコンテ・演出の依頼が何件も来ていたからです。当然、時間があれば会社(ミルパンセ)を通した上でお受けするつもりなのですが、現状忙しく無理(汗)。その旨をお伝えして丁重にお断りしていました。
 気になったのは、その電話がごく一部の親しい制作プロデューサーさんらを除き、ほとんどが新人の制作進行からばかりなこと。無論、自分程度の無名なアニメーター演出、普通に進行さんからの電話で当たり前だし、それで問題ないのです。それより、どう話を聞いても会社で共有しているアニメーター連絡先リストに索引順で闇雲に電話を掛けまくってるだけなんです。だから、例えば原画なら俺から「コンテ・演出はどなたですか? 作監は?」と訊いても、「……ちょっと、まだコンテ作業中で、自分は聞かされていないんです」と。要するに先輩(上司)からリストを渡され「電話掛けてアニメーター捕まえなさい」と言われてるだけなのでしょう。それゆえ、同じ会社(スタジオ)の別作品から着信があったり、それどころか同じシリーズの話数違いの制作さんから依頼、とかもありました。
 時々俺は他社の社長や制作プロデューサーさんらと情報交換するようにしています。今や自分の同期や同年代は、社長や部長・プロデューサーと皆偉くなってて、その方らと話して会社や業界の流れ、そしてそれに対する自分の考えを定期的に纏める為に。で聞くと、近年の制作進行の離職率は中々大変らしいとのこと。一方アニメーターはアニメーターでインボイス制反対運動するは、社員雇用にしたらしたで、給料分の物量が全然上がらない、と。
 何処も「困ってるんだろうな~、何とかしてあげたい」気持ちはありつつも、自社の作品を優先しなければなりません。近年自分はそんな時、手は埋まってるので貸せないにしても、相談には乗ったり、現状の戦力で戦う知恵は提案するようにしています。例えば、

闇雲に作監探したって、どーせすぐにはつかまらないから、こんな電話する時間をまず半分にして、もう半分の時間を使って、コンテのアングルに近いキャラ表や他話数の総作監修正をラフ原の上に貼って下敷き作りを制作の方でしたら? それで作監が見つかるまでの時間稼ぎをして、もし作監をつかまえることができなかったとしても、その下敷きを基に社内の原画マンを作監に上げて、演出が付きっ切りで指示出し、でどう?

といった感じです。そして、

ごめんなさい、今の自分にできるのはこれくらいです!

と、心の中で謝罪しつつ「健闘を祈る!」しかありません。アニメ作りが好きならお互い頑張って乗り切りましょう!!