COLUMN

アニメ様の『タイトル未定』
418 アニメ様日記 2023年5月28日(日)

2023年5月28日(日)
新文芸坐で「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を観るつもりだったが、片づけなくてはいけない用事が沢山あって、映画に行くと翌日がヤバいと判断してあきらめる。
朝の散歩では、サブスクで「TVアニメ『ヒーラー・ガール』オリジナルサウンドトラック」と、同作の劇中歌アルバム「Singin’ in a Tender Tone」を聴いた。

今までの『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズの流れを確認する。
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2012~2013年/PSYCHO-PASS サイコパス
2014年/PSYCHO-PASS サイコパス 新編集版
2014年/PSYCHO-PASS サイコパス 2
2015年/劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス
2019年/PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System「Case.1 罪と罰」
2019年/PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System「Case.2 First Guardian」
2019年/PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System「Case.3 恩讐の彼方に__」
2019年/PSYCHO-PASS サイコパス 3
2020年/PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR
2023年/劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE
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劇中の時系列を確認すると『Sinners of the System』の「Case.1」と『PROVIDENCE』以外は制作順と劇中の時系列が合っていて、「Case.1」は第1期の前の話。『PROVIDENCE』が「Case.3」と『サイコパス 3』の間なのね。自分が観てないのがどれなのかも分かった。と言いつつ、第1期の記憶も淡くなっているなあ。

2023年5月29日(月)
仕事の合間に、グランドシネマサンシャインで「雄獅少年/ライオン少年」【吹替版】 を観る。SNSでやたらと評判がよかった映画だ。現時点でのCGアニメーション映画としては物量が凄い。特に背景部分。通常の劇映画のように、ガンガンとカットを割って、背景を見せるロングショットも作る。ロングショットで感心したところもあった。CGアニメーション映画で「映画らしい映画」を作れるようになったのだと思った。この映画のドラマについては誉めることもできるし、文句も言える感じ。ビジュアルがリアル寄りで、話もアニメーション映画としてはわりとリアルで、そんな作品でどんな面白さを提供していくのかが難しいとも思った。しかし、この「難しい」というのは10年も経てば「あの頃はそんなことを考えていた」と思うようなことかもしれない。
『トニカクカワイイ』8話が面白かった。特に他の客が帰った銭湯で、夫婦二人で女湯に入るシチュエーションがよかった。原作由来の面白さなんだろうけど。実写だと成り立たないラブコメだ。

2023年5月30日(火)
『PSYCHO-PASS』シリーズを観直すことにして、第1シリーズから観るか、新編集版から観るかでちょっと悩んで、第1シリーズを観ることに。1話を観て「この子(常守朱)があんなに立派になって」と思ったり。16話の途中まで流し観。『PSYCHO-PASS サイコパス』ってどの層に受けているんだろうと思っていたら、事務所の女性スタッフが、モニターに『PSYCHO-PASS』が映っているのに気づいて「きゃあ」と声を上げた。最近『PSYCHO-PASS』にハマってAmazon prime videoで繰り返し観ているのだそうだ。やっばり狡噛のファンであるらしい。今、タイプしていて気がついたけど、ATOKの変換候補に「狡噛」があった。
仕事の合間にグランドシネマサンシャインで「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」を観る。ワイフが観たがっていて、付き合いで観た。TVドラマの番外編としては豪華な作品で、1本の映画としては少し物足りない感じ。かなりゆったりと物語を進めていて、それ自体はいいんだけど、ここはテンポアップしてもいいかなと思うところもあり。映像については、バストアップやアップカットが多くて、普通なら「映画的でない」と思うところだけど、不思議とスクリーン映えした。一部のカットを別とすれば「こういう撮り方の映画もあり」と思えた。ルーヴルが舞台になっている部分よりも、露伴が若かった頃の回想のほうが力が入っていて、そのシークエンスは楽しめた。回想に出てくる女性が官能的なのもよかった。平日の昼間の回だったが、意外とお客は入っていて、若い女性が多かった。姿は見ていないけど、お年を召した女性もいたようだ。役者のファンだろうか。

2023年5月31日(水)
新文芸坐で「モリコーネ 映画が恋した音楽家」(2021・伊/157分/DCP/ドキュメンタリー)を鑑賞。エンニオ・モリコーネについてはほとんど知らなかったのだけど、映画が観ながら「ああ、この曲は知っている」「この曲も聴いたことがある」と思って感心する。ドキュメンタリーとしての構成は巧みで、集めた映像の量も凄い。それから音がいい。どんな魔法を使っているのか分からないけど、昔の録音も音がクリアで立体感がある。映画としては長めだけれど、この長さも作品の主張の内だと受け止めたい。
事務所では引き続き『PSYCHO-PASS』を流し観。この日は1期の17話から『2』の3話まで。朝の散歩ではサブスクで『PSYCHO-PASS』のサントラを聴いた。

2023年6月1日(木)
午前中でこの日の作業を終えて、ワイフと日比谷に。TOHOシネマズ日比谷で「TAR/ター」を鑑賞する。TOHOシネマズ日比谷のスクリーン12はスクリーンも大きくて、音響もよくて、非常に贅沢な鑑賞だった。これで通常料金でいいの? と思ったくらいだ。「TAR/ター」は物語そのものはシンプルで、雰囲気を楽しむ映画だと思った。映画としての満足度は高い。ワイフの希望で日比谷から新橋まで歩いて、路に置かれたテーブルで呑める居酒屋で呑んだ。風があったのでなかなか快適だった。

2023年6月2日(金)
仕事の合間に新文芸坐で「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版」【4K上映】(1999/伊=米/121分/DCP)を鑑賞。プログラムタイトルは「オノ セイゲン presents「オーディオルーム 新文芸坐」vol. 3」。プログラム「映画音楽の巨人 モリコーネの遺産」との連携企画だ(後日追記。このあたりは毎日映画館に行っていて、自分で読み返して驚く。「アニメスタイル017」の編集作業が一山越えて、安心して映画館に行ってるのだろう)。「海の上のピアニスト」はタイトルと物語の概略だけ知っていて、観るのは初めて。主人公のピアニストは繊細で、運命に弄ばれているような青年なのだろうと勝手に思っていたけれど、ピアニストはグイグイいくタイプの変わり者だった。それから、想像してたよりも年齢が上だった。映画全体としてはエンタメ寄りで、これも予想と違った。人物とシチュエーションは面白いんだけど、ラストの展開は納得できなかった。ただ、自分が若い頃に観たら、あの展開に納得したかもしれない。「海の上のピアニスト」は170分版と121分版があるらしいけれど、「4Kデジタル修復版」は121分版。確かに設定や描写に対して物語の量が少ない感じはある。船のセットは素晴らしい。終盤のピアニストと友人が会話するシーンで、1カットだけ背景がセットではなく、セットの写真を使ったものになっていた(はず)。何かの理由で後から撮り直したカットか。背景が写真であるのは「4Kデジタル修復版」の4K上映でなければ気がつかなかったかもしれない。新文芸坐での上映は特に音響を調整したもので、全体に聴き応えあり。序盤で登場人物の1人が楽器屋でトランペットを吹くのだけれど、その音がびっくりするくらいよく響いていた。
SNSで映画「20世紀ノスタルジア」が話題になっていて、配信にあったので観てみる。主演の広末涼子さんは猛烈に可愛いし、ほぼ全編出ずっぱり。しかも、僕っ子だ。広末さんを楽しむという意味では100点満点のフィルム。ただし、公開時に出来に不満を持った人がいるのも分かる。Wikipediaには「広末涼子がブレイクする前の1995年8月に撮影が開始されたものの、制作は一時中断。広末がブレイクした後の1997年1月に撮影を再開した。それに合わせてシナリオも改変され、1995年撮影分の多くが夏休みのシーンとなり、1997年には主に2学期のシーンが撮影された。」とある。1995年8月なら広末さんは15歳、1997年1月なら16歳。劇中で広末さんがかなり若く見えるところがあるけど、それは15歳の時の撮影とか、そういうことだろうか。

2023年6月3日(土)
「第205回アニメスタイルイベント ANIMATOR TALK 亀田祥倫」を開催。アニメスタイルのイベントとしては、コロナ以降で初めてMaxまでお客さんを入れる設定だった。一般客席が90人で関係者席が10人。関係者席は少し余裕があったけれど、一般客席は完売。若い女性のお客さんが多いので、四半世紀前の話が中心で大丈夫かとも思ったが、気にしないで進める。第一部は亀田祥倫さんの自身のルーツについて。『新世紀エヴァンゲリオン』から『彼氏彼女の事情』。本田雄さんから今石洋之さん。そして、今石さん追っかけの日々。『フリクリ』。そして『るろうに剣心 星霜編』『幽★遊★白書』。当時の雑誌の切り抜きなどを見せながら話が進む。「この人に話を聞きたい」の今石さん回が亀田さんに影響を与えたことが判明。「金田伊功Special」の表紙が見える写真を使ってよかった。注で金田さんのことを書いておいてよかった。とにかく亀田さんが話が上手いので淀みなくトークが進む。配信のない第二部では亀田さんが作監修正に描いているラクガキを披露。直す必要のない原画で、何も描かないで戻すのが申し訳ないので、関係ないアニメやマンガのキャラを描いている場合、修正した原画の空いているところに関係ないアニメのキャラを描いている場合、さらにポーズや構図の直しを関係ないキャラで描く(例えば、Aという作品のBというキャラクターの修正を、Cという作品のDというキャラで描く)。その後はお客さんに書いてもらったアンケートの話題。僕が『王様ランキング 勇気の宝箱』の亀田演出回について話したり。ラクガキ披露が盛り上がったので、亀田さんが用意してくれたもうひとつのネタは次回のイベントに持ち越し。全体として楽しいイベントとなったはず。

以下は、この頃にSNSで書いた相米慎二監督作品の感想だ。
「翔んだカップル オリジナル版」の感想は「アニメ様の『タイトル未定』 415 アニメ様日記 2023年5月7日(日)」の文末に載せた。

(1)「セーラー服と機関銃 完璧版」(1982/131分/35mm)
相米慎二監督の第2作。「完璧版」でないほうの、最初のバージョンは公開時に劇場で観ている。同時上映が「燃える勇者」で真田広之ファンの女友達に付き合って観に行ったのだ。当時の自分は高校生で、相米慎二監督の演出に感心はしたのだけれど、「邦画ってこんな感じなんだ」とヌルい感想を抱いた。
再見すると、究極のアイドル映画なのではないか思えるほどの充実した仕上がり。実際には「大人目線」が強過ぎるので、通常の意味でのアイドル映画の枠からははみ出しているのかもしれない。公開時はその大人目線がちょっと嫌だった。今では大人目線で映画を作ったスタッフ達の気持ちが分かってしまう。この映画も長回しが多いのだけれど、長回しでもバストアップやアップを入れており、この前に撮った「翔んだカップル」と比べるとずっと観やすい。作家性と娯楽性の合致という意味でも成功作。
高校生トリオに対する言動がもっとも色濃いのだけど、星泉(薬師丸ひろ子)は「あの頃のマンガ、アニメによく登場していた独特の少女像そのもの」である。その少女像を言葉にすると「自意識が強くて、芝居がかった言動をとる」といった感じか。
いいシーンはいくつもあり、大仏の掌の上で、星泉が仏様みたいなポーズをとって、まわりでヤクザの子分達と高校生トリオが騒いでいる場面なんて、画を観ているだけでも楽しい。現場のアドリブでああいったシチュエーションになったのだろうけど、相米監督の才能の迸りを感じた。
そもそもが女子高校生がヤクザの組長になるというプロットであるから当然ではあるのだけど、リアルな話ではない。マンガ的と言ってもいい。その作り物っぽい物語とリアルさを追求する相米演出のバランスが意外と相性がいい。
この映画はクライマックスで星泉に(すなわち、薬師丸ひろ子に)「カイ、カン」と言わせるために、様々な描写を積んでいるのだということが今回の鑑賞で分かった(それが上に書いた「大人目線」と繋がっている)。最後にマリリン・モンローのパロディが入るのも意味があるのだ。このあたりのことは、もっと詳しく書いておきたいけれど、それはまた別の機会に。

(2)「魚影の群れ」(1983/140分/35mm)
相米監督の第4作。フィルモグラフィとしては「セーラー服と機関銃」と「魚影の群れ」の間に「ションベン・ライダー」が入る。「ションベン・ライダー」は10数年前に新文芸坐で観ており、その時に感銘を受けた。「魚影の群れ」はここまでの作品と違い、主要登場人物を大人で固めており、アイドル映画でもない。物語の決着については共感できないが、説明不足で分からないような部分はほとんどなかった。今回も長回しが多いけれど、作品にとってプラスに働いている。
主人公の小浜房次郎(緒形拳)はマグロを捕らえるのに夢中になり、船上で血まみれになって倒れている娘の恋人の存在を忘れてしまう。そのマグロを捕らえるところが長回しなのだが、長回しのおかげで、房次郎の「やっちまった」という気持ちが観客にダイレクトに伝わったと思う。
房次郎の娘のトキ子(夏目雅子)は、房次郎と縁を切って、前述の恋人と所帯を持つ。映画のクライマックス直前で、トキ子は房次郎に海で行方不明になった夫を探して欲しいと頼み込むのだが、その時に房次郎がトキ子にズボンやセーターを着せてもらうのが凄く嫌だった。別の言い方をすると刺さった。映画の序盤でも、房次郎がトキ子に面倒を見てもらっている描写があって、ああ、男っぼくて無骨なのに、娘に服を着せてもらうのか。というか着せてもらいたいんだろうなあ。気持ちは分かるけど、と思った。そういえば「セーラー服と機関銃」でも、星泉が「言わせていただきますと、ママが死んでからってものは、私はパパの娘であり、妻であり、母親ですらあったんですから、一応は。最後の面倒までしっかり見ておきたかったわけ」と言っていたなあ。

(3)「雪の断章 ―情熱―」(1985/100分/35mm)
相米監督の第7作。フィルモグラフィとしては「魚影の群れ」と「雪の断章 ―情熱―」の間に「ラブホテル」と「台風クラブ」が入る。「台風クラブ」は随分前に新文芸坐で観た。言うまでもなく、感心した。「雪の断章 ―情熱―」は以前にざっと観たけれど、きちんと作品に向き合ったのは今回の鑑賞が初めて。
まず、冒頭で主人公3人の回想を「14分間の18シーン・1カット」で撮っているのがとんでもない。「1シーン・1カット」が18あるのではなく、「1カットで18シーン」を撮っているのである。映像が凄すぎて、物語が頭に入ってこなかった。
「14分間の18シーン・1カット」で出てきた謎の人形が、映画のラストでも出てくるのだけれど、これの意味が分からない(好意的に解釈すると、運命に翻弄されるヒロインの別の姿か)。中盤で出てくる謎の道化師(?)と謎の人形は関係しているのだろうけど、やっぱり分からない。
独身男性の広瀬雄一(榎木孝明)が、辛い日々を送っていた幼い少女(8歳くらい)である夏樹伊織を養女にする。雄一の親友である津島大介(世良公則)も伊織と親しくする。10年後、伊織は高校生になった(ここから斉藤由貴が演じる)。雄一は女性として伊織を見ており、伊織も雄一を愛していた。しかし、育ての親と育てられた子という関係ゆえ、二人は気持ちを示すことができない。その一方で、伊織が殺人事件に巻き込まれ、刑事が伊織を追いかける。さらに大介が伊織にプロポーズをし、伊織は彼と結婚することになる。
本編も長回しの嵐。そして、小鳥を助けるために伊織が川に入る場面と、伊織がテトラポッドを降りていく場面が相当な体当たり。どちらも長回しで、後者は観ていてハラハラした。よくもアイドルにこんな撮影をやらせたものだ。
「14分間の18シーン・1カット」をはじめ、演出的にもドラマ的にもコテコテの映画。無茶苦茶と言えば無茶苦茶なんだけど、愛おしい映画でもあった。雄一と大介の気持ちがよく分かった。瞬間風速的に伊織の感情が高まるところがあって、それもよかった。
「翔んだカップル」も「セーラー服と機関銃」も「雪の断章」も高校生が酒を吞む場面があるんだけど、「雪の断章」は伊織が吞むシーンが多くて、楽しそうに吞んでいた。

(4)まとめ
「ラブホテル」は観ていないので何とも言えないけど、相米監督ヒストリーとしては「翔んだカップル」で始まって「ションベン・ライダー」「台風クラブ」で高まって、「雪の断章 ―情熱―」で勢いがついてやり過ぎちゃったという感じなのだろうか。次は「ションベン・ライダー」「台風クラブ」を再見して「ラブホテル」も観たい。その次は「光る女」以降を。