COLUMN

第815回 これからは…の話と、『いせれべ』の話(7)

さて、『いせれべ』の制作が終わったばかりなのに、なぜかもう忙しい~!

 なぜか次々企画がやってきて、すでに50代半ばくらいまでの仕事が決まりそうな勢い。でも、残りの人生から逆算して“自分発の企画”も考えたいので、お話をいただいた際それぞれの作り方は考えて受けるようにしています。ただ単に何も考えず「本来のアニメ作りはこうだから!」と我々世代がやってきた、保守的・旧態依然とした制作体制に固執した作り方では、増え続けるであろう需要に付いていけないからです。
 残念ながら未だに「ほら、制作会社が人手不足で番組落ちてんじゃん!」「だから、アニメ作りは終わりだ!」など、“ご自身が付いて行けない故のネガキャン”を垂れ流す業界の方々がいらっしゃいます。
安心してください。これからのエンターテイメント供給は、否が応でもAIなどの導入によって、回転・スピードは上がっていきます。例えば「人手不足で~」も、“手描きの動画”に固執しなければ……。
 もっとはっきり言うと

どんな手を使ってでも、“ムービー”にさえなっていれば、エンタメの供給は可能!

である訳だし、それを実現できるようにあれこれ考えるのが自分らの仕事のハズ。人手が何百人いなければ作れない前提というのは、アニメ業界人として怠慢以外の何物でもありません。

アニメは時代のニーズに応じて、どんなふうにも化けます!

 という訳で板垣は、来年1月28日から始まる50代も毎年毎年すし詰め状態に何某かの作品を作り続けられるように、作り方の試行錯誤をしている真っ最中。もちろん、社内スタッフらと新しい企画も考えています。
 で、これからの作り方を工夫——『いせれべ』でも一歩前進させました。それは、

各話の制作進行を無くした!

ということ。グロス(外注)話数はそれぞれの会社(スタジオ)の回し方にお任せしてましたが、社内班には制作進行のクレジットがありません。外のフリーアニメーターに振っていない以上、旧態依然の“車で外回り”も不要な訳。さらに社内のカット回しは、全カットカット袋を棚に並べて、自分らスタッフ各々で取りに行くシステムにしました。
 これが巧くいったかどうかは、次の作品でも続けてみて、微調整しつつってことで。まあ、他愛もない小さな一歩ですが、トライアル・アンド・エラーを繰り返すの——板垣は好きみたいです。