COLUMN

アニメ様の『タイトル未定』
400 アニメ様日記 2023年1月22日(日)

2023年1月22日(日)
「第200回アニメスタイルイベント ANIMATOR TALK 今石洋之&吉成曜」を開催。第200回に相応しい充実したイベントになった。配信しないパートでのトピックスのひとつが、吉成さんがTRIGGER作品で使い回すために描き溜めたエフェクト原画、新人教育をするのにあたり練習のために描いた走りや歩きの原画の公開だった。昨年12月の「作画を語る上で重要なこと」で「作画論壇の作画史」について話をして、それを踏まえて「ANIMATOR TALK 今石洋之&吉成曜」をやるはずだっただけど、僕が緊急入院で「作画を語る上で重要なこと」に参加できなかったので、「ANIMATOR TALK 今石洋之&吉成曜」を先にやることになってしまった。

解説書で確認したいことがあって『タイガーマスク』DVD BOX 2を中古で購入。解説書は僕が構成・編集をやっているのだけれど、DVD BOX 2の解説書だけが事務所で見つからなかったのだ。自分でも言うのもなんだけれど、『タイガーマスク』DVD BOXの解説書はよくできている。LD BOXライナーに主要スタッフのインタビュー、寄稿があり(LD BOXの編集は僕でない)。それをDVD BOX 2解説書で全て再録。さらに足りないと思った内容について、新たに取材してDVD BOX2とDVD BOX 3の解説書に収録した。それから、DVD BOX 3解説書の読みどころのひとつが『タイガーマスク』キャスト一覧だ。あの頃の作品だから『タイガーマスク』のエンディングでクレジットされているキャストはほんの僅かなのだけれど、斎藤侑プロデューサーが各話のキャストのメモを残しており、それをベースにメイン&各話ゲストのキャスト表を作成して掲載した。キャスト表を作成したのは小川びい君だったはず。バラ売りDVDの解説書も僕が構成・編集をやっていて、最近になって読み返したのだけれど、これはこれで読み応えがある。

2023年1月23日(月)
『名探偵ホームズ』を配信で視聴。TVシリーズ1話に関してはU-NEXTよりもAmazon prime videoのほうが綺麗。YouTubeに公式でTVシリーズ1話が上がっていて、こちらはAmazon prime videoより綺麗。YouTubeの映像はキャラクターがセルに近い印象で、これが最新のマスターかな。劇場版はU-NEXTもAmazon prime videoも綺麗だけれど、「ミセス・ハドソン人質事件の巻/ドーバー海峡の大空中戦の巻」よりも「青い紅玉(ルビー)の巻/海底の財宝の巻」のほうが少し鮮明だった。勘違いかもしれないけど。
新文芸坐で「トットチャンネル」(1987/97分/35mm)を観る。プログラム「インディーズからメジャーへ 大森一樹の仕事」の1本だ。主人公達がNHKで経験を積んでいくところの積み重ねの構成は巧いし、柴柳徹子(斉藤由貴)が収録で失敗を繰り返すところは面白かったけど、全体にTVドラマ的。一番よかったのは中盤の、皆で別荘に行く場面での青春っぼさ。僕はそれを1980年代的だと思った。斉藤由貴は初々しかった。渡辺典子が綺麗だった。
「トットチャンネル」の上映前にたっぷりと予告編の上映があった。「ザ・メニュー」「線は、僕を描く」「名優ポール・ニューマン特集」「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」だったかな。古今東西新旧の予告編が観られるのが、新文芸坐の醍醐味だと思っていて、その意味で満足だった。

2023年1月24日(火)
新文芸坐で「ヒポクラテスたち」を観るつもりだったのだけど、金曜までにやらなくてはいけない作業が発生したので、色々と前通しすることにして映画は中止。晩飯はワイフと、アジフライで有名な酒肴 新屋敷に。「アジフライのコース」をいただく。「入院前に行きたい店に行っておこう」シリーズの第1弾だった。
パナソニックが録画用ブルーレイディスク生産を完了するとのことで、SNSで話題になる。

2023年1月25日(水)
また、病院Bに。2月末に入院するのとは別の病気で、2月前半に入院するかもしれないことになり、予想外の事態に当惑する。入院するかどうかは1月30日に分かるはず。病院の行き帰りと待ち時間に、紙の文庫本で「パルプ」(チャールズ・ブコウスキー)を読む。帯に「伝説の怪作解禁!」とあって、それをきっかけにして手に取った。確かに怪作ではあった。これは一日で読み切らないと、後で続きを読むことはないなと思って、猛スピードで最後まで読んだ。若い頃に読んだらもっと楽しめたかもしれない。
TOKYO MXの昨日の『マジンガーZ』は16話「兜甲児暗殺指令!!」。ラストで甲児が「それより、夕焼けを見てごらん」と言うと「まあ、綺麗だわ」とさやか。そして、マジンガー(甲児)とさやかが、夕陽を見て終わる。カット割りでカメラの回り込み風の表現にしているのも面白いんだけど、それまでの展開とあまり関係なく「それより、夕焼けを見てごらん」と言い出したことに驚いた。これをやれば、それまでがどんな話でも綺麗に終わるなあ。

2023年1月26日(木)
『名探偵ホームズ』の「ドーバー海峡の大空中戦!」を視聴。炸裂している。こんなセリフを言わせたい、こんなことをやらせたいという想いが詰まっている。今まで気にならなかったセル浮きとか気になってしまった。それから、ホームズの部屋とか下宿の外観の美術が凄い。
アニメを楽しむために『お兄ちゃんはおしまい!』の原作は目を通さないでいたんだけど、仕事の関係で1巻から3巻までにざっと目を通す。話は同じなのに、アニメは別物になっていると感じた。「設定資料FILE」の構成に着手する。

2023年1月27日(金)
『終末のワルキューレII』前編(1話~10話)を一気観した。面白かったけど、この辺りは前シリーズを視聴した直後に、原作を一気読みしてしまった部分なので、なんとなく再見している気分になってしまった。「設定資料FILE」の構成を終わらせる。
新文芸坐で「夏子と、長いお別れ(ロンググッドバイ)」(1978/25分/16mm)、「オレンジロード急行(エクスプレス)」(1978/86分/35mm)のセット上映を鑑賞。このセット上映はプログラム「インディーズからメジャーへ 大森一樹の仕事」のひとつ。「オレンジロード急行」は自分が「ぴあ」とか「シティロード」といった雑誌で映画の情報を仕入れるようになった頃によくタイトルを目にしていた作品で、どんな映画なのかはまるで分からず、なんとなく気になっていたのだが、45年経ってようやく観ることができた。当時としては翔んだ映画だったに違いないし、今観ても面白い。観る直前にあらすじに目を通して、自動車泥棒をやっている老人コンビと、海賊放送をやっている若者達の珍道中を描いたものだろうと思ったけれど、老人コンビと若者達が出会うのは映画が2/3を過ぎてから。しかも、すぐに別行動をとることになる。Wikipediaを読むと最初の構想では海賊放送局だけの話で、後から老人コンビを足したらしいけど、老人コンビがいないと、もっと1970年代的な若者のドラマになったのだろうなあ。一番よかったのはお爺さん(嵐寛寿郎)が旅の終わりに、ミカンの木の枝を折って盗んでしまうところ。劇中で本人がどうしてそんなことをしたのか分からないと言っていたと思うけど、確かに分からない。分からないけど面白かった。お婆さん(岡田嘉子)のアップでやたらと長いカットが数度あったのも印象的。海賊放送の若者達はあの時代の雰囲気があって、それにちょっと惹かれた。ヒロインのダンプ(中島ゆたか)は男性の観客にとって都合のいい「かっこいい女」なんだけど、それもよかった。主人公格の流(森本レオ)が海賊放送でDJをやっているのだけど、シロツグに聞こえるところが何ヶ所もあった。逆だ。海賊放送の若者達がクライマックスで警察を煙に巻くところは手並みが鮮やかで、船で海に脱出して、カリフォルニアに行くかもという流れは『ルパン三世』のようだった。タイトルの「オレンジロード急行」にちなんだのか、何度も映画の中でオレンジを出しているのがおかしかった。また、オレンジが出たって感じ。
「夏子と、長いお別れ(ロンググッドバイ)」は自主制作映画風で時代の気分がたっぷり。メインの女優さんの言動がいかにもあの頃の女性らしい。文芸坐第一回製作作品なんだけど、これが文芸坐の第一回製作作品でいいのかという気もするし、これでいいのだという気もする。

2023年1月28日(土)
吉松さんと人気店でとんかつを食べる予定だったのだけれど、行き違いがあって、吉松さんは遅れて到着。2人でイケ・サンパークまで歩いて、ビールなどをいただく。16時からZoomでイベントについての打ち合わせ。話が弾んで2時間も打ち合わせが続いた。珍しく人と沢山話をした土曜日だった。20時20分まで事務所に。疲れているのに「帰るまでにこれを終わらせよう」と思って、簡単な作業に時間をかけてしまうのはよろしくないな。