小黒 『ケロロ』って、メディアミックスが多かったじゃないですか。
佐藤 最初っからありましたっけ?
小黒 徐々に増えていったんですかね。挿入歌の数も多くて、CDも沢山出ていましたね。
佐藤 確かに挿入歌は凄く多いですね。
小黒 歌に関して言うと、弾けた歌が多いと思ったんですが、これはフライングドッグさんが頑張ったっていう事でしょうか。
佐藤 そうでしょうね。「歌を多めにほしい」と言ったかもしんないですけど、福田(正夫)さんが、色々とアイデアを思いつくらしくてね。
小黒 フライングドッグの福田正夫さんですね?
佐藤 そうです。「どすこい軍曹」みたいに、よく分からないんだけど、福田さんが思いついちゃった事、やりたい事を、こちらが暖かく受け止めるみたいな感じです(笑)。
小黒 佐藤さんが福田さんと一緒に仕事をしたのは『ケロロ』が最初なんですか。
佐藤 『ARIA』って、その後?
小黒 『ARIA』が後ですね。
佐藤 じゃあ、『ケロロ』が最初かな。
小黒 『ケロロ』も最初の1年のクレジットでは、佐々木史朗さんの名前が上で、2番目が福田さんなんです。実際に動いてるのは、福田さんなんですね?
佐藤 そうです。鈴木さえ子さんにオファーしたのは、福田さんですから。そもそも、福田さんが鈴木さえ子さんのファンだったっていう事があったんですよね。
小黒 なるほど。
佐藤 「アフロ軍曹」のダンス☆マンも福田さんのアイデアだったかな。
小黒 「アフロ軍曹」が「なんでアフロだったのか?」という事は福田さんに聞かないと分からない?
佐藤 そうですね。ただ、本編の中でドカーンと爆発すると髪の毛が急にアフロになる事は、本編の中でもちょいちょいあったので、そこで思いついたんじゃないですか。「ケロロとアフロは似てるな」みたいな(笑)。
小黒 「ケロッ!とマーチ」の歌詞はかなり個性的ですが、作詞さんの方にお任せだったんですか。
佐藤 こちらからもアイデアは出していますね。「主題歌どうします?」という話の時に、ちょっとマーチっぽいものがいいんだけど、歌詞に関しては「あるある集みたいなものでは、どうだろう?」とアイデアを出して……。
小黒 それは佐藤さんが?
佐藤 そうですね。「内容はなくてもいいので、あるあるみたいなのどうだろう?」っていう話をして。「参考になんかありますか?」と言われたので、「机に足の小指を当てる」とか「おかずは材料から作るより、惣菜買ったほうが安く上がるよね?」って、いくつかアイデアを出したのをまとめてもらっています(笑)。
小黒 まさか、この事について訊ける日がくるとは思わなかったという質問になります。「社員旅行はケロン」って意味が、全く分からないんですが。
佐藤 そこは作詞のもり(ちよこ)さんに聞いていただかないと(笑)。分かんなくても分かんないままでいいかな、と思って。
小黒 (笑)。(編注:「社員旅行でどこかの星にいけるかと思ったら、生まれ育ったケロン星だった」という意味だという説があるそうだ)
佐藤 「それじゃーソルジャー……」とかも、もりさんのアイデアです。
小黒 ああ、素晴らしいですね。
佐藤 そうです、そうです。途中で訳が分からないような事になってるのは、それはそれでありかな、と思って。
小黒 いやいや、名曲ですよ。
佐藤 そうですね(笑)。
小黒 『ケロロ』は、歌のおかげでずいぶんと弾んだ印象のアニメになってますよ。
佐藤 よかったです。確かに、主題歌が思った以上に作品の顔になってくれたなという感じはありますね。
小黒 さらに些末な事を聞くんですけれども、アイキャッチが『ど根性ガエル』のパロディだったのは、誰がやってるんですか。
佐藤 「わたくし」ですね(笑)。
小黒 あっ、そうなんですね(笑)。何故『ど根性ガエル』なんですか。
佐藤 『ケロロ』の原作はパロディ色強めで、みんなそこを楽しんでる感があったじゃないですか。色んなパロディが入ってる事が作品の特色として捉えられていたんだけど、「パロディだから面白い」にしちゃうと、子供が分かんないじゃないですか。だから、「パロディだと分かんないと面白くない」はNGだけど、「知らなくても面白い」はありだなというくくりでトライしていますよね。
小黒 なるほど。
佐藤 『ど根性ガエル』に関してもそうで、「分かる人が分かればいいかな」ぐらいの感じにしてますね。
小黒 カエル繋がりですね(笑)。
佐藤 そうなんです。分かる人が観たら、「ああ、『ど根性ガエル』ですね」って思うけど、ほとんどの子供達は初見でしょ?
小黒 子供達はそうですね。
佐藤 あの感じは、インパクトありますからね。
小黒 看板ひっくり返すのとか。
佐藤 看板ひっくり返してサブタイトルが書いてあるっていうのは、トピック感あると思いますね(笑)。
小黒 ああ、なるほど。
佐藤 『ど根性ガエル』を当時観ていた自分的にも、記憶に残ってるからね。