COLUMN

第678回 絵(画)コンテを発注するということ

 絵(画)コンテの話。前々回放りっぱなしだった「様々なコンテ打ち(合わせ)」のガチタイプの次、

ポンと脚本を放って「君の好きなように描いていいよ」タイプ!

 前述の「ガチ脚本めくりながら綿密にやるタイプ」がアニメーター出身ではない監督に多いのに対して、「ポンと脚本」タイプはアニメーター出身の監督に多く見られる気がします、板垣の経験則的には。その代表格の監督は——ま、内緒にしときます。じゃあなぜアニメーター監督は「ポン脚」になりやすいのか? 要は

元々アニメーターなんだから、画を描くストレスは制作あがりの監督よりも圧倒的に低いわけで、「他人から上がってきたコンテ、良くなきゃ全部描き直すだけ!」

だからでしょう。実を言うと、俺のタイプはこの「ポン脚」に近いと思います。「この脚本、要はここが見せ場で、とにかく好きに描いてくれていいけど、何か質問ある?」と。制作サイドはどう計算してるか分かりませんが、自分の脳内では「自分のコンテも他人のコンテをチェックするのも、スケジュールは同じ1週間」と思ってますから。念のために断っておきますが、最初から全修する(全部描き直す)つもりで他人にコンテを振ったことは一度もありません。元のコンテの面白いところやカッコいいところは画ヅラを全修しても段取りやカット割りは残してたり、ケースバイケースです。ただ前にも語ったとおり、コンテを切り(描き)たくて監督を目指した自分なので、初監督作『BLACK CAT』を受けた際も制作プロデューサーに

第1話の処理(演出)をやるより、コンテを多く、できたら(24本中)10本は切り(描き)たい!

と進言したくらい「アニメ監督=絵(画)コンテ」と思っています。結果、半分以上自分でやったほうが早いは早いかも。じゃあなぜ他人に振るのか? と問われれば、制作的には(板垣が)躓いた時の保険(?)だと思います。俺自身の理由はというと——すみません。また次回!