COLUMN

第677回 小田部先生と『三千里』

 すみません。本当は前回の続きで「絵(画)コンテという仕事」を書こうと思ったのですが時間的にまとめられず、

今回は高畑勳監督作品『母をたずねて三千里』の話!

 なんか最近、某動画配信サイトで配信されているのを見つけて、最終話まで観てしまい「やっぱり良い!」と。自分、確かに出崎統フリークで通ってますが、いわゆる「宮崎駿、高畑勳」両監督も大好きです。特に『三千里』はLD-BOXを定価で買ったくらいよく観てました。で、最近になってネットで見返したと。
 で、もちろん『三千里』は高畑アニメであることは間違いないのですが、板垣個人としては小田部羊一先生のキャラクターデザイン・作画監督作品であるのも重要ポイント。なぜなら自分の学生時代の先生で、当時(1993〜1994)その「動画構成」の授業で『三千里』のアメデオ(猿)のしっぽ振りなど、先生御自身も課題としてキャラクターで遊ばれたりしてた思い出深い作品だからです。他にも『アルプスの少女ハイジ』のキャラを使ったレイアウト講義などもありました。小田部先生はまさしく描かれるキャラクターまんまな方。とても純朴で優しい癒し系な雰囲気。ハイジやマルコのように素直でまっすぐなリアクションをお見せになります。例えば顔のある車(機関車で言うとトーマスのような)の「つけPAN」の課題で、自分が勝手に「太陽の熱で溶けてしまう」ように描いてみせた時の反応が今でも忘れられません。

 自分としては、ちょっとしたブラックユーモア風にまとめた感じだったんですが、小田部先生は素直に「溶けた」ことに驚かれ、見てくださった後、「溶ける寸前に太陽を憎らしそうに睨んだら?」と、これまたニッコリ笑ってアドバイスをしていただけました。小田部先生、楽しい学生生活をありがとうございました!