COLUMN

第642回 令和も働きます!

 今年も監督作品を発表できそうで、風邪を引いてても朝6時起きでコンテ中。こんなサイクルを何年続けてるんだか、と思って気づけばもう10数年間、1年と空けず毎年作品が発表できてるのは幸せなことだと思いつつ机にしがみついています。ま、でも自分小学生の頃から早起き(たいがい5〜6時起き、夢中な時は3〜4時起き)でマンガ描いたり、パソコンでゲーム作ったり(元祖パソコン少年世代)してました。なので両親が今のワークスタイルを見たら、たぶん「昔から変わっとらんな」と言うに違いありません。ここ数年はご存知のとおりデジタル作画・コンテなので、なんの因果か一回りして、また小学生の頃のパソコン少年に戻った気分だったりもしてます。子どもの頃、気づいたら好きになってた絵を描くこと・何かを作ることが、いつの間にか遊びから仕事にオーバーラップしてそれで食えてる今、自分は最近よく父親のことを考えます。父親は自分に「あーしろこーしろ! 何々するな! 勉強しろ!」とか一度も言ったこともなく、無干渉で放任主義。小・中・高校生の間、通知表(通信簿?)的なものすら一度も見たことがなかったと記憶しています。父自身中卒で、山形から名古屋に就労に来た出稼ぎ組だったようで、やりたい仕事云々とかより、何も考えず「労働=食うための時間の切り売り」と思った人なので、今の俺の仕事にもまったく興味がないはず。だけど自分のほうは、朝6時に家を出て夜8時過ぎまで週休半日(日曜の午後だけ休み)、40年以上無遅刻無欠勤で働き続けた父親を、今は素直に感謝・尊敬しております。だって、どう考えても朝から晩まで工場でセメントこねてコンクリートを作る肉体労働が、子どもの頃からの夢が叶って就いた職とは思えないし、「ただただ家族を食わせなきゃ」の昭和的義務感で働き続けたのだと思うから。それに比べて、仮にも自分は好きな仕事で食えてるだけでも幸せ者だと思って、「しっかり毎日働く!」で令和もやっていきます。企画やスタッフを選ぶより(そもそも自分にはそんな資格もないですが)「ありがたくやらせていただきます!」と。出崎統監督も昔のインタビューで「仕事選ぶなんて10年早い! 来た仕事は全部やれ!」と仰ってました。逆上上等! 現状以上の贅沢を望んだら将来必ずバチが当たりますから。というわけで、今年もSNSとかやる時間もやる気もありません。