COLUMN

第528回 アニメに惚れた!

 大塚康生さんのお話をもう少し。といっても前回、前々回での大塚さんからいただいたお話は、この連載のかなり前の回で何度も紹介したものをギュッとまとめただけだったのですが、まあ何しろ10年も書かせてもらってるコラムなので、多少の重複はご容赦ください。
 とにかく小学3年生の頃に観た再放送から俺は

『未来少年コナン』が大好き!!

で、テレコムに入社した際の研修課題が『コナン』だった時はもう歓喜でした。しかもコピーでなく生原画! 1978年当時の生原画をトレスして中割りの練習をするんです。コナンがラナを抱いて三角塔から飛び降りて、ズシーン! と足が痺れる。小学生の自分が胸躍らせたあの名シーンで実際に使われた生の原画が目の前にあるのです! それを『コナン』の作監・大塚さんご自身が

と解説してくださるんです。パラパラめくりながら「ここの着地に1枚入れたくなるでしょう? 実は要らないんですよ! INを見せたら中無しで画ブレを入れた方が気持ちいいんス!」と。大塚さんは劇場スケールの作画だけでなく、大量生産のリミテッドTVアニメでも動きを限定する面白さを追求された巨匠なので、中ヌキ(中割り無し)のドタバタアクションも「要はポーズの変化だよ」と。アニメのド新人だった自分に「アニメーション(作画)の面白さ」を本当に惜し気もなく教えてくださったのです。思えばもともと、出崎統監督に憧れて演出志望だった俺が、いまだにアニメーターをやってるのは、この頃の体験が影響してると言えるでしょう。富野由悠季監督も著書「だから僕は…」の中で、大塚さんに接して「この人はアニメに惚れている」と感じられたそうですが、自分もそう思いました。もしかすると「おもちゃ」かな? そう、大塚さんにとってアニメは「おもちゃ」かもしれません。後に俺が原画になった時もちょくちょく見てくださっては「あ、面白い!」とか「ここ気持ちいいネ〜」ととてもシンプルに楽しまれるんです。いつぞや『ルパン三世』のことも「おもちゃ」と表現してたのを聞きましたし、昔出された大塚さんの同人誌のタイトルも「大塚康生のおもちゃ箱」でした。よく、

アニメーターは遊び心が大事!

ともおっしゃってました。で、また途中ですみません。打ち合わせの時間です。