COLUMN

106 アニメ様日記 2017年6月4日~

2017年6月4日(日)
国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017」に行く。お目当ては、なかむらたかし監督の新作『イリオンとカリシア』。なかむら監督としては初の3DCG作品で、7分ほどの短編だ。元々、セルルックの3DCG作品を作るテストとして作られたもので、本来は一般公開する予定ではなかったのだという。キャラクターを含めて、なかむら監督らしいビジュアル。アクションも「アニメ」的。この延長線上で作れば、なかむら監督作品として、見応えのある長編が3DCGで作れるのではないかという可能性を感じた。同イベントでは、他にも印象に残る作品があった。愉快だったのがドイツの「素晴らしきかな、自然!-カメレオン編」。韓国の「グリーン・ライト」は画作りにいいところがいくつも。
 夕方は池袋の家電量販店に。4Kのモニターで『君の名は。』のプロモーションを流していたのだけど、驚くくらいに映像が鮮明。というか驚いた。これは凄いなあ。モニターを買うのは少し後になると思うけど、『君の名は。』は4K Ultra HD Blu-ray同梱版を購入してもいいかもしれない。

2017年6月5日(月)
ネットで『響け!ユーフォニアム』の完全新作劇場作品が2本作られることを知る。山田尚子監督による「みぞれと希美の物語」と、石原立也監督による「2年生になった久美子たちの物語」だそうだ。これは楽しみだなあ。

2017年6月6日(火)
『ポッピンQ』のBlu-rayを流しながら作業。『ポッピンQ』は僕にとっては愛おしい作品だ。名作とか傑作とかではなくて、愛おしい。アニメーションとして丁寧に作られているし、作品全体にもキャラクターにも初々しさがある。作画に関しては、キャラクターデザイン・総作画監督の浦上貴之さんはかなり丁寧な仕事をしているに違いない。線の感じもよい。修正原画が見てみたい。それから、集団ヒーローものとしてもいいところが沢山ある。最初に主人公4人が能力を発現させたところは高揚感が素晴らしくて、観る度にワクワクする。最後の戦いで伊純(特殊能力が俊足)が、あさひ(柔道と合気道の遣い手)をおんぶして、ボスキャラがいるところまで駆け上がるんだけど、そういう「特殊能力以外の部分は普通の女の子」な感じもいい。客観的に見ると、作品としてツッコミどころもあるんだけど、それと愛おしさはあまり関係ない。
 それから『ポッピンQ』は、僕の「セーラームーンアンテナ」にビビっとくるものがあるのだ。ちなみに、セーラームーンアンテナとは、アニメ『美少女戦士セーラームーン』濃度の高いものに反応するアンテナで、『セーラームーン』ファンに備わっている機能である。そのビビっときたのが、作画監督として伊藤郁子さんが参加しているのと関係しているのかどうかは、まだ解明できていない。「この人に話を聞きたい」で宮原直樹監督に取材をして伊藤さんの仕事ぶりについて聞いたのだが、まだ確信はもてないのだ。

2017年6月7日(水)
ドラマ「怪獣倶楽部」1話を観た。僕よりも上の世代の特撮ファンの方々をモデルにした作品だ。世代が違うので、感覚がズレているかもしれないが、時代の気分がちゃんと出ていると思った。それでいて、カジュアルな作りになっているのもいい。
 「三つ目がとおる オリジナル版大全集」が刊行されるそうだ。その告知で、今までの単行本で写楽と和登さんの入浴シーンがカットされていたことを知る。ああ、なるほど。なんとなく単行本は淡白になっている印象だった。他にも連載と単行本の違いは多かったはず。オリジナル版の刊行は嬉しいなあ。
 平松禎史さんとの打ち合わせのために吉祥寺に。目的地の町を目指してウロウロしていると、同行した編集スタッフCが、あるお店を指さして「小黒さん、ウッドベリーズがあります!」と言ったのだった。おお、これが『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』でりょーたすが行きたがっていたウッドベリーズか。『オカルティック・ナイン』は吉祥寺が舞台だったものなあ。思わぬところで聖地巡礼。

2017年6月8日(木)
またまた吉祥寺。昼から駅前のルノアールである監督と打ち合わせ。何故かその監督とは縁もゆかりもない山田尚子監督の素晴らしさについて熱弁を振るってしまった気がするが、多分、気のせいではない。
 Amazonから事務所に「日本アニメ(ーター)見本市資料集Vol.3 カセットガール 全記録全集」が届く。表紙デザインはBetaのビデオケースをモチーフにしたもので、編集部の若いスタッフに「これ、分かる?」と聞いたところ「Betaってなんですか?」と返された。それはそうだよなあ。

2017年6月9日(金)
「カセットガール 全記録全集」をパラパラとめくる。巻頭言に「トラディショナルなアニメムックのスタイルをイメージしながら編集」とある。アニメムック的かどうかは分からないけど、確かに何だか懐かしい部分がある。スタッフ座談会の文字組みの感じとか。最初と最後の実写のページはSTUDIO VOICEあたりの雑誌っぽいと思ったり。
 11時から南阿佐ヶ谷で打ち合わせがあり、2時間ちょっとかけて池袋から歩いた。

2017年6月10日(土)
土曜だけど、事務所で作業。急いでやらなくてはいけない仕事もあるのだけど、あえて、急いでやらなくてもいい仕事に手をつける。やってみるとこれが難しい。作業をしながら、NHK-FMの「アニソン・アカデミー」を流す。ピンチヒッターパーソナリティが前川陽子さんで、ゲストが「ひょっこりひょうたん島」つながりで久里洋二さん、若山弦蔵さんという濃さ。若山弦蔵さん関連曲として『プロゴルファー猿』の「夢を勝ちとろう」が流れたんだけど、これはヒネり過ぎかな。若山さんがミスターXを演じたのは『プロゴルファー猿』のスペシャル版だけで、その時は「夢を勝ちとろう」は使われていないはず。