COLUMN

第514回 まだまだ半人前!

会議室にて、タブレットに描いて作画スタッフらに一気に説明する!
コレ、もはやウチ(ミルパンセ)のスタンダードです!

 自分の発案で始めたやり方で「もう、演出・作監の机で、指示書き・修正待ちのカットが何十何百も眠るのは御免だ!」と。一度の修正+説明+実演(?)で、担当の原画マン・演出・作監へ一気に戻す! デジタル作画だからこそできるやり方だと思ったのです。

「やり直し不可」なアナログの頃の作り方そのまんまを、ツール(道具)だけ変えたって、
「やり直し可能」のデジタルを本当の意味で効果的に使ってるとは言えませんから!

 2017年現在でも、「作監・総作監は選ばれし者! ゆえにその方の修正は何が何でもお待ちするべし!」とまるで作家の原稿でも待ってるかのように「アニメーター=作家」論を唱える業界人——俺の皮膚感覚ではだいぶ減ったように思いますが、そろそろ考え直す時期ではないでしょうか?
 ウチではまず「作家である前に職人たれ!」と教えてます。なぜなら、

「職人」からスタートしてもいずれ「作家」にはなれるけど、
「作家」気取りからスタートしてもけして「職人」にはなれない!

と思うからです。若い頃、テレコムで大塚康生さんや先輩たちから「宮さん(宮崎駿監督)は作家である前に職人としても超一流なんだ」と、そのアニメーターとしての宮崎監督の仕事量を聞かされて驚愕した自分。出崎統監督の場合でもそう。全話コンテだけではなく、アニメーター時代は非常に巧い作画マンだったと丸山正雄さんから聞きました——と言うまでもなくコンテがすでに神がかってますよね!

俺が好きなクリエイターは「作家である前に職人として一流」な人!

なんです。と多少話が逸れましたが、要するに言いたいのは、アナログ作画からデジタル作画への移行期たる現在、「昔はよかった」とか「もっと制作費持ってこい!」なんか言ってないで、

まず新しいツールによる新しい作り方、それに伴う「アニメーターという仕事」の見直し。その際、全スタッフの給料がそれぞれの働きに見合った正当なものか? の確認

をするべき時なのではないでしょうか? デジタル時代のアニメ職人をどう育てるか? その後、本当のデジタル時代の「作家」が生まれるべきなのだと。
 俺みたいな「動画3年、原画5年でやっと演出助手」と教えられた世代の人間が、「新しい作り方」というより、アニメ業界が何十年も信じて疑わなかった「動画3年云々」を壊そうと、これまた敵を作るかもしれない事を提唱しているんですが、そーゆー自分もまだまだ職人として半人前です。

早く腕のいい職人になりたい!!