COLUMN

第490回 続・絵コンテの役割?

 前回の続きのつもりで書き始めますが、どーなるか分かりません。つまり、自分らが学生〜業界入り立てだった頃(20数年前)はいわゆる「アニメーター上がりではないアニメ演出家・監督」の丸チョン大ラフコンテがあたかも「本来のアニメのコンテ」であるかのように語られ、むしろ描き込んだコンテが悪! と解説してる巨匠もいらっしゃったと記憶してます。さらに自分は「演出家は絵を描くべきではない!」との力説を某監督から聞いた事があります。俺もそれを信じていたし、そもそも、

自分自身も演出家・監督になった時点で、アニメーターからは身を引くつもりでしたから!

 でも今は「演出は積極的に絵を描くべきだ! 描ける描けないに関わらず!!」と思ってます。その宗旨替えの最大の要因は、自分的に「デジタル化」だと考えています。演出家はコンテ用紙、作画はパラパラマンガ、美術は背景、仕上げは色塗りのみ、といった分業は、素材を作るための道具が各セクションバラバラのアナログ時代だから効果的だったのであって、現在のデジタル時代では

素材作りのすべてでPCを使用しているため、1人のスタッフができる職種を増やし、兼業して素材の受け渡し工程をより少なくした方が効率的!!

なんです。例えば動画と仕上げ、CGと背景、強引に編集と撮影ってのも全然あり。じゃあ作画とコンテ、レイアウトとコンテは? つまりこれこそが現在のアニメにおけるコンテの役割になるのではないか? 要は

絵がしっかり描ける人にPC上で拡大すればレイアウト(背景原図)にも使えるコンテを!

だから「演出は演出、絵描きではない!」といまだにおっしゃる演出の方々、覚悟しておいた方がいいですよ。もう何年もしないうちに、小学生のころからPCのアニメツールで遊び倒した作画もコンテも描ける恐ろしい新人が、今の演出家の仕事をドンドン奪っていきますから! いや、もう始まってるようですよ(汗)。