前回からの続き。
出崎統監督作品『おにいさまへ…』は傑作です!!
また第1話〜最終話まで観返した話。やっぱり何度観ても「出崎さん凄えっ!」と。だってボクシングもテニスも旅も冒険もサイコガンもなしで、お題は人間の「情念」のみ。しかも、池田理代子先生の
原作は短っ!!
おそらく普通の単行本サイズで2巻分くらいしかなかったはず。それをTVシリーズ全39話に膨らましてるんです。当時のインタビューで、確か
オリジナルを足すというより
原作で描かれていない部分を描く!
と仰ってました。でも実際シリーズを通して観てください。これでもか! というくらい原作に描かれていない名シーンの目白押しですから! マリ子の父親の件や宮さまのラストミーティング、本当に大人がマジで泣けます!(ま、そのあたりは今までいくらでも語られてきましたが)
あと、自分にとって『おにいさまへ…』はアニメにおける「演出とは何か?」を考え直すキッカケになった作品でもありました。実は恥ずかしい話、この作品を観るまでの自分は、出崎作品を「アクション目当て」で観ていたんです。出崎アクションは3回リピートや止め絵の巧い使い方で、フィルム全編の呼吸・テンポ・リズム感が抜群過ぎて、当時高校生だった俺は「出崎監督はアクションの名手なんだ!」とか思ってました。ところが、出崎監督はアクション要素のない『おにいさまへ…』でもテンポ! でリズム! だったんです。それは3回云々止め絵どうこうの目に見える画面効果ではなく、むしろ
目に見えないキャラクターの感情の流れと
時間を描く事こそが演出なのでは!?
と。出崎監督は、迫力ある画よりキャラの感情をリズムにのせてたんですね。だから素材はなんでも出崎アニメになるし、本当に優れた「演出」は素材がなんだろうと通用するものだと思い知ったわけです。で、自分はアニメの「演出」がさらに好きになりましたとさ。
て、とこで忘れてました!