COLUMN

第410回 主題歌バンザイ

喜んでください! 『てーきゅう(第4期)』と『高宮なすのです!』
それぞれ素晴らしい主題歌になりました!!

 両作とも主題歌収録に立ち会いましたが、詞も曲もカッコよすぎ! 詳しい内容は放映開始までのお楽しみなんですが、皆つい口ずさんでしまうようなノリノリの曲で、ライブやイベントで盛り上がる事は請け合いだと思います。収録中、

でした。「こんな凄い主題歌でアニメ作れるんだ!」という喜びです、監督としては。もちろん先にもらったデモですでにコンテは終わり作画中ですが、収録を聴いてさらに修正の筆に力が入ってきました! 音楽の力は本当に偉大で、本編作業中に主題歌や劇伴(BGM)などが届くやいなやテンションMAXで「鋭意制作中」に拍車がかかります。今までの作品でもそうでした。
 でも、こーゆー時よく思うのが

アニメの監督なんて
アニメファンの方々が思ってるほど作家などではない!

という事。本当の作家とは、世界観やキャラクターを作ってる原作者や目に見えないメロディーを作る音楽家などがそうであって、原作のコマや脚本をコンテのフレームに置き換えただけのコンテをチェックする(微調整)くらいのアニメ監督が作家だなんてちゃんちゃらオカシイです。だから、アニメファンの方々のツイートなどで、何本も掛け持ちしまくってる監督を指して、たまたま面白い原作を扱ってるからににすぎないにも関わらず「さすが○○監督の作品!」と絶賛してるのを目にすると、実態を知らないファンの人たちは、果たして幸せなのか? 不幸せなのか? と思ってしまいます。ついでなので一般の方々はあまり知らないでしょう、アニメ監督の仕事内容(と所要時間)はというと、ザックリ

・シナリオチェック
 (ホン読み前日、じっくり読んで赤入れて、1話あたり1〜2時間×毎週3〜4話分)
・ホン読み(議題に上げるシナリオ数にもよりますが、平均2〜3時間)
・演出・作監・美術・色彩・撮影、各種打ち合わせ類(各1〜3時間)
・コンテチェック(内容により大差ありますが、平均2~3日)
・編集(毎週1話あたり4〜6時間)
・アフレコ・ダビング(3〜4時間、ほぼ1日仕事)
・リテイク出し(内容にもよりますが、1話あたり2〜4時間)
・V編(内容が良ければ監督不在も可)
・その他、最近では全カットのレイアウトチェック
 (助監督を動員する場合もありますが、1日フルで30カット出れば良い方?)

 さて、これらを計算すると1人の監督が1作品に対して誠実に仕事していたら、何本掛け持ちできるのでしょうか? 俺自身で言うと、2本で血ヘドが出ます、たぶん。えっ!? 同時に4本(シリーズ)!? 恐らくその中の1本がたまたま面白かったとして、それは

監督の手柄ではあり得ないという事だけは確かです(断言)!

 だから、アニメ監督の作家扱いはどうかと思うのです。