COLUMN

第352回 新人育成と謎のマンガ家

 今、うちの会社(ミルパンセ)で作画1人、演出1人を面倒みてます。以前、他の会社でも何人か教えてたんですけど、毎度思うのは「人に技術を教えるというのは本当に奥が深い!」って事。

 単純に「悪いところを指摘する」だけなら業界で何年も飯食ってれば誰でもできます。しかし本当は

何度も直させて「この仕事の厳しさ」を教えると同時に「君らの選んだこの仕事は少々日常生活を犠牲にしてでもやるに値する素晴らしい仕事なんだよ!」と仕事の楽しさ・面白さも教えるべき!

と思うんです。そりゃ向き不向きはあるので、せっかく教えたのに、原画を1〜2年描いただけで業界自体から去る人もいます。でも、たとえ1〜2年でも「アニメをやった事があるだけで、その人の人生は必ず豊かなものになる」と信じています。そのくらい

アニメ作りは面白い!

んです。それに「自分が普段考えてる由無し事など」を人に(教え子に)口で説明するというのは、逆に自分にとっても勉強になります。また、今年も新人が入ってくるといいなあ、と。
 で、話は飛んで、こないだやっと買って読みました

「謎のマンガ家・酒井七馬伝」!(中野晴行・著/筑摩書房刊)

 戦後、手塚治虫(以下敬称略)の単行本デビュー作「新宝島」の共作者・酒井七馬——「手塚神話の陰に消えた男」の真実、というノンフィクションで、ずっと以前、小学館クリエイティブ発行の「新宝島」完全復刻版を買ってから、読みたい読みたいと思いつつも、仕事の忙しさで後回しになってた本で、発売から何年も経ってようやく読みました。

いや、もう本当に感動しました!

どのくらい感動したのかは、また次回。短くてすみません。