COLUMN

001 さよなら、セルアニメ(2013年9月30日)

 アニメ業界のほとんど全てがデジタル制作に移行しても、『サザエさん』だけはセル画とフィルムを使って制作されていた。その『サザエさん』も、セル画とフィルムを使ったエピソードは、昨日の放映分が最後であったらしい。次回からデジタル制作に移行する。つまり、昨日で日本のセルアニメが終わったわけだ。
 僕だってデジタル制作のアニメの視聴に慣れていて、その鮮明な映像を楽しんでいるわけで、今さら「アナログ時代の方がよかった」などとは言わない。「アニメはセル画の頃の方が、映像に暖かみがあった」という意見もある。それを完全に否定はしないが、その暖かみの半分くらいは観る側の思い込みかもしれない。『サザエさん』にしても、スペシャル番組はずいぶん前からデジタル化されていたし、最近は通常放映の中にもデジタル制作のエピソードがあった。デジタル制作のエピソードが放映された際に、色や質感の変化が気になった視聴者は決して多くはなかったはずで、デジタル制作に完全移行しても、きっとすぐに慣れてしまうだろう。
 それでも、セルのアニメがなくなることについては、一抹の寂しさを感じる。子供の頃から慣れ親しんできたものであるのだから、当然だろう。ハイビジョン制作になってから、『サザエさん』はセルゴミが目立つようになっていた。大きなTVで観ると、ゴミが確認できた。僕はそれを観るたびに「ああ、まだセル画を撮影している」と思って、ホッとしていた。何に対してホッとしていたのかは自分でもよく分からない。ただ、その「ホッとする感じ」がなくなるのだ。さよなら、セルアニメ。

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