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第38回 2000年(平成12年)多チャンネル化と作品激増時代の始まり

 2000年は、CS放送が整理統合され、多チャンネル化と作品激増時代が本格的にスタートした年である。
 90年代後半はCS(通信衛星)の基幹放送事業をめぐり、日本デジタル放送サービス、ジェイ・スカイ・ビー、ディレクTVの3勢力が覇権を争う数年間が続いた。だが、98年5月に前2者が合併、00年9月にディレクTVが撤退したことで、全CS局は“スカイパーフェクTV!”に統合され、戦国時代は決着。それに呼応するように、各アニメ専門局は、オリジナル作品を放送することで新規加入者を募り始める。キッズステーション(93年開局)は紺野直幸キャラデザ・総作監のもと、石ノ森章太郎原作のテイストを忠実に映像化した『人造人間キカイダー THE ANIMATION』を放送。アニマックス(98年開局)は元・大関の小錦をモデルに『ドッと KONI ちゃん』を送り出し、AT‐X(97年開局)も翌01年に『フィギュア17 つばさ&ヒカル』で追随していく。この年はBSデジタル放送も開始。BSフジ製作の『ピポパポ パトルくん』は、20世紀最後の新作TVシリーズでもあった。
 深夜枠にBS・CS局が加わったTV界は、大量のコンテンツを欲していた。それは、コアなファン向け企画を可能にし、新興会社にも活躍の場を提供した。GONZO(92年設立)やボンズ(98年設立)は、NHK衛星第2からTV処女作『GATE KEEPERS』『機巧奇傳 ヒヲウ戦記』を発表。深夜枠では『ラブひな』や『ブギーポップは 笑わない Boogiepop Phantom』が、萌えやセカイ系というジャンルを浸透させる重要なステップになったほか、『はじめの 一歩 THE FIGHTING!』のように一般社会人を含んで成功する作品も現れた。
 女子向けアニメの新たな展開も本年の話題である。峰倉かずや原作の『幻想魔伝 最遊記』は、「西遊記」のキャラクターを個性的な美形男性に置き換えた物語が熱狂的な支持を獲得した。『グラビテーション』のように、これまでは難しかったボーイズラブ作品の登場も、WOWOWの特性を生かした00年ならではの出来事だった。
 アニメファン向け作品が深夜や非・地上波へと拡散し、空いたゴールデンタイム枠には、前年に引き続き良質な児童・少年向け作品が登場した。『とっとこ ハム太郎』『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』という2作はロングランヒットとなり、ペットものやカードゲームものという新たな潮流を生んでいくのである。

(13.04.15)本文・リスト修正

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