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第13話 みなさん、た〜んと召し上がれ

第13話 みなさん、た〜んと召し上がれ

●アディーネを撃破し、王都テッペリンを目指す大グレン団の前に、最後の四天王・神速のシトマンドラが立ちはだかる! シリーズ初の空中戦が描かれるアクション編。ニアの自立、ヨーコとシモンの関係、ヴィラルの心情変化など、ドラマ面での進展も多いエピソードだ。演出は『天保異聞 妖奇士』『鉄人28号[2004]』などで注目を集める横山彰利。

脚本/砂山蔵澄|絵コンテ/本多康之|演出/横山彰利|キャラ作画監督/平田雄三|メカ作画監督/阿部慎吾|レイアウト監修/錦織敦史、本村晃一|原画/いまざきいつき、板垣敦、叉賀大介、二宮壮史、宮下雄次、秦洋美、外山陽介、伊藤篤、奥野浩行、沼田誠也、小澤円、本城恵一朗、塩塚正史、田中裕介、雨宮哲、長谷川ひとみ、富田浩章

取材日/2007年11月9日、2007年12月11日、2008年1月16日、2008年2月20日 | 取材場所/GAINAX | 取材/小黒祐一郎、岡本敦史 | 構成/岡本敦史
初出掲載/2008年1月23日

今石 シリーズ構成を作っている頃は、僕はここもギャグ回というかラブコメ回にしたかったんです。

大塚 そこはこだわってたよね。「シモンとヨーコが絡む話にしたい」って。

今石 結構ギリギリまでやってましたね。敵の戦艦なり中継基地なりに、シモンとヨーコが成り行きで潜入する事になっちゃって、2人きりで閉鎖空間に閉じ込められるという、もうベッタベタな展開をやりたかった。そこで、ヨーコはカミナが好きだった事をはっきり認識するとか、以前はヨーコが気になっていたシモンだけど、今はニアがいるから心は動かないとか。でも、目の前にでっかいオッパイがあるとさすがにドキドキしちゃうとか(笑)、そういう事をやりたかったんですけどね。

── 監督自身の気持ちに正直なシーンになるはずだった?

今石 ええ? まあ、男子とは皆そういうモノかと。元をただせば『(超時空要塞)マクロス』のイメージなんですよ。何かというと主人公とヒロインが2人きりで閉鎖空間に閉じ込められたりするじゃないですか。ミンメイとだったり、未沙とだったり。ああいうのを入れたかったんですけどね……あらゆる人に反対された気がする。

一同 (爆笑)

今石 「もうそんな事やってる場合じゃないよ!」って。確かに、この次の週で最終決戦ですからね(笑)。この辺がやっぱり、ネタの溢れ出し具合というか、入りきらない度数はいちばん高かったかな。

大塚 空中戦はやらなきゃいけないしね。

今石 そう。それに、ここで大グレン団がトビダマを手に入れて、次回からみんな飛べるようになるという伏線も張っておかなきゃいけない。ニアのキャラ立てもしたいから、料理のエピソードも入れないといけない。シトマンドラという新たな四天王のキャラも立たせないといけない。さらにヴィラルの復活もある(笑)。で、ヨーコだけが復活できなかったんですよね。カミナの死を吹っ切るシーンをなかなか作れなかったので、12話、13話とかけてやっと終われるという感じだった。

大塚 13話は「ホントはここで終わりたいのに」というところが2ヶ所ぐらいあるんだけど、なかなか終われなくって。

今石 そうそう。何回オチがあるんだ? みたいな。エピローグがみっつくらいある。

大塚 「次の話数に振れないかなあ……まあ無理だよなー」って感じで(笑)。

今石 いちばん皺寄せがいってますね。本当は、グレン団のくだらない日常のエピソードもいっぱいあったんですよ。食堂でキヨウとかがメシを作ってると、男連中がセクハラして怒られたりとか(笑)。

大塚 そういう日常を見せていくシーンで、ヨーコがシモンを探してダイグレン艦内を歩き回るという場面があったんだけど、本当はそこでヨーコがみんなにいろいろ気を遣っている、みたいな描写があったんですよね。そのくだりがあって、医務室でリーロンがヨーコに「最近ちょっと気張り過ぎなんじゃないの?」と言うシーンに繋がるはずだった。それがなくなっちゃったのは残念だな、と思います。13話はできればヨーコを押したい話なんだけど、それを許してくれない『グレンラガン』、みたいな(苦笑)。

今石 最終決戦に入ったらヨーコの話が描けないというのは明白だったので、ここしかない! と思ってたんですけどね。

大塚 第3部に入ったらいなくなっちゃうし。

今石 それでも13話は一応、いい話っぽくオチましたから。

── 作画的にはいかがでしたか?

今石 平田さんがキャラ作監で、メカの阿部(慎吾)君が初作監ですね。原画では7話ぐらいから入ったのかな。サンライズ系育ちだから、わりとかっちりとメカを描いてくれますね。数少ないロボット好きな人なので、助かりました。

大塚 この辺からだいぶスケジュールがきつくなってる頃だよね。

今石 もうオンエアが始まってますもんね。

大塚 そこで連投している平田さん。

今石 平田さんのフォローには相当助けられました。

大塚 平田さんがこのあたりを拾ってくれたおかげで、14話とか15話にかなり力を注ぐ事ができた。

今石 本来は美少女系アニメーターのはずなのに、メカも描ける。それに、全体の規模を見ながらクオリティコントロールができて、スケジュールに見合った仕事をするという事ができる。GAINAX育ちだとなかなかそういう事は……。

大塚 ありえない(苦笑)。

今石 貴重な戦力でしたね。あと、13話は横山(彰利)さんが演出をやってくれたので、「演出だけでこんなにクオリティが変わるのか」というぐらい、レベルが上がってましたね。コンテはやっていないのに、演出チェックのコントロールだけで、あれだけ豪華なものを作れるのは凄いなあと。

── 今、最も期待される演出家の1人ですね。

大塚 社内の若い人達も、横山さんのレイアウト修正を見て、だいぶ刺激を受けていたよね。

今石 本当はもう1本、横山さんにコンテをやってもらおうと思っていたんだけど、スケジュールが合わなくて。もっと早く押さえていればよかったな、と思いますね。

── いまざきいつきさんが原画に参加されてますね。

今石 いまざきさんの原画も面白かったですね。ダイグレンがダイガンテンに飛び蹴りを食らわすところを、懐かしい感じのエフェクトで描いてくれてます。すでにAパートの空中戦で、雨宮がそっち系の画をさんざん描いてますけど(笑)。空中戦に関しては、若干リアルな感じは欲しかったんですけど、全部が全部、真面目一辺倒になるのもつまらないと思っていたので、いいバランスになったと思います。

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●関連リンク
『天元突破グレンラガン』ポータルサイト
http://www.gurren-lagann.net/