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第2話 俺が乗るって言ってんだ!!

第2話 俺が乗るって言ってんだ!!

●ついに地上進出を果たしたシモンとカミナは、リットナー村の人々と合流。エンジニアのリーロンも初登場。3体のガンメンとの激しい攻防戦が展開し、カミナは敵の乗っていたガンメンを奪って「グレン」と命名する。コンテ・演出は『この醜くも美しい世界』『これが私の御主人様』監督などを手がける佐伯昭志。『グレンラガン』では各話のコンテ・演出・脚本の他、OP・ED演出なども担当している。

脚本/中島かずき|絵コンテ・演出/佐伯昭志|作画監督/本村晃一|原画/平松禎史、森久司、田中将賀、伊藤智子、奥野浩行、外山陽一、赤井俊文、横田匡史、山口智、田中春香、榎本花子、小林幸洋、戸田さやか、貞方希久子、雨宮哲、長谷川ひとみ、小竹歩、本村晃一

取材日/2007年11月9日、2007年12月11日、2008年1月16日、2008年2月20日 | 取材場所/GAINAX | 取材/小黒祐一郎、岡本敦史 | 構成/岡本敦史
初出掲載/2008年1月7日

── 監督にとって2話のポイントはなんだったんですか?

今石 やっぱり、ヨーコをエロく撮るという事ですね(笑)。

大塚 それは佐伯(昭志)君にリクエストしたの?

今石 したと思いますよ、多分。

大塚 かなりエロかったよね。

今石 とりあえず、ヨーコが出ている間は絶対にチャンネルを変えられないようにしてほしくて(笑)。佐伯君がそれに期待以上に応えてくれましたね。シリーズ中でいちばんヨーコがエロい回だと思います。

大塚 アングルがエロいしね。

今石 そこはもう、いちいち「さすがだな」と。他の部分もいいですけど、そこは特に(笑)。

大塚 2話は、ほとんどコンテの直しを入れてないよね。

今石 そうですね。僕は初めから直す気ゼロでしたけど(笑)。TVシリーズを始めるにあたって、1話のコンテは自分で書くけれども、2話の全直しまでしてたら先が思いやられるので、いかに直さないかという事が目標でした。第1部に関しては、そのあたりをかなり気にしてたと思いますよ。

大塚 でも、僕が書いた3話のコンテは大分直されましたけどね(苦笑)。

今石 うーん、そうか……だから、周期的にくるんですよ。2話はほとんど直さなくて、3話はかなり変えちゃって、4話はまた全然直さなくて(笑)、5話はまたいじくり倒して、6話は全然いじらない、みたいな。

大塚 2話は佐伯君の方が合わせてくれた感じなの?

今石 合わせてくれた部分もあると思うけれども、呼吸が近いというか……ガイナで『カレカノ(彼氏彼女の事情)』で一緒に育ったというところで、共通項が凄くいっぱいあるんですよ。何度も一緒にやっている分、画も想像できるから安心できるし、何がやりたいかも大体分かる。コンテで少し緩くても演出で補ってくれるだろうとか、アクションも考えてくれてるだろうとか。

── 相当な信頼ぶりですね。

今石 でも、尺とカット数が凄くオーバーしていたんですよね。中島さんの脚本が、普通の脚本の書き方じゃないから、普通にコンテをきっちゃうと確実にオーバーするんですよ。特に初期の頃はそうでした。そんなのシナリオ会議でちゃんと詰めとけよって話なんだけど(笑)、まあ面白いからそのままいっちゃえという事で。僕がやったのは、そのあたりを調整したぐらいだった気がする。

── フィルムの仕上がりはいかがでしたか。

今石 1話は全部のレイアウトをチェックして、かなりちゃんと見たという感覚があるんですけど、2話は8カットくらい見ただけかな(笑)。

大塚 それだけ?

今石 基本的には佐伯君に任せて、「ここ分かんない」っていうところだけ回してきてくれ、という事にしたら、7〜8カットだけ回してきた。シモンが真面目になるところの表情の具合とか、カミナがキメるところの表情とか、そういう部分だけだったと思う。それ以外はレイアウトも原画も見ていなくて、色がついて上がったのを見て「OK!」って言ってるだけ(笑)。ほぼお任せ状態でしたね。

大塚 本村(晃一)さんの描く女の子が可愛かったよね。

今石 そうですねえ。

大塚 あの無口な本村さんが、こんな画を描くんだ、みたいな(笑)。

今石 ダハハハ!

── どのあたりを描かれてるんですか?

大塚 いや、作監だから全般的に。女の子の顔が普段より2割増しぐらい可愛くなってるんです。

今石 1話よりヨーコの頭身がちょっと低めだと思うんですよね。錦織はもう1話から自分のキャラ表からズレていってるんで(笑)、どちらかというと1話の方が頭身は上がってる。2話はキャラ表に合わせつつ、ちょっと低めに描いてると思います。あと、やたらヨーコの頬ブラシが多かったり(笑)。

── 他に、作画に関しては何か?

今石 やっぱり森久司さんの原画ですね。爆発のカットがもう素晴らしくて。トリッキーすぎて一瞬何が起きたか状況が分からなくなるんだけど、そんなのは些細な問題で、ただひたすらにカッコイイ。

── 森さんは全部で何カット描いてるんですか?

今石 あの爆発と、ガンメンが埋もれるカットと、ガンメンが刀を振って岩が吹っ飛ぶところ。あそこでまた、謎の超兵器が発動する(笑)。殴る蹴るだけの奴しかいない設定なのに、なんかイカヅチみたいなのが光って、岩がブワーッと弾け飛ぶんですよ。「こんな設定ないんだけどなー」と思ったけど、メチャメチャかっこいいんでOK!

一同 (笑)

今石 謎の螺旋力が発動してましたからね、ラガンしか持ってないはずなのに。いちばん分からないのは、手前に入ってる映写機の窓ゴミみたいな謎のボカシ。

大塚 あれ、なんなのかねえ?

今石 全然分からない(笑)。ホントにフィルムのゴミみたいな感じで入ってて。マルチボケで、下の方にちょろっと。

大塚 かっこいいなとは思ったけど。

今石 うん、そこもやっぱり、かっこいいからOK!(笑)

── それが完成品に残ってるのが凄いですね。

今石 原画では分からないけど、とりあえずフィルムにしてみようと。で、フィルムにしてみても分からないから、じゃあ繋いでみようと。そしたら「やっぱり分かんなかったね」って(笑)。でもカッコいいんだから、それでいいじゃないか、と。

── これはDVDを買ってチェックする甲斐がありますね(笑)。

今石 次のカット、カミナとヨーコの方に岩の破片が飛んでくる切り返しの画は、平松(禎史)さんなんですよね。森さんが描いたエフェクトみたいな凄い形の破片が爆発したあと、平松さんの描いた端整な破片がスライドでスーッと流れていく。繋がってない(笑)。

大塚 平松さんは岩とかに興味ないから。

今石 そう。ヨーコが岩を避ける時のぶるんっ! と揺れる胸の方が大事だという。あの辺は森さんと平松さんが入れ替わりで描いていて、ちょっと分かりにくいんですけどね。リットナーの村人達が銃で応戦するところは、平松さんが描いてます。アニメスタイル読者ならば、そこは見抜かなければいけないところですね(笑)。

── バラバラだけど分かるでしょ、っていう。

今石 そうそう。なんのために修正してないと思ってるんですか?(笑) あの辺は作監の本村さんもスルーでしたね。まあ、いじりようがないと思うんですけど。

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●関連リンク
『天元突破グレンラガン』ポータルサイト
http://www.gurren-lagann.net/